JPH0985792A - 射出成形機の型締制御方法 - Google Patents

射出成形機の型締制御方法

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JPH0985792A
JPH0985792A JP27211195A JP27211195A JPH0985792A JP H0985792 A JPH0985792 A JP H0985792A JP 27211195 A JP27211195 A JP 27211195A JP 27211195 A JP27211195 A JP 27211195A JP H0985792 A JPH0985792 A JP H0985792A
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賢男 上口
Tetsuaki Neko
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スライドコア等を備えた複雑な構成の射出成
形金型を使用する場合であっても短い時間で型締動作を
完了させることのできる型締制御方法を提供すること。 【解決手段】 型締動作時に検出される型締用サーボモ
ータM1の負荷Aが、正常な型締時における負荷Bi を
基準として決められた許容負荷範囲の上限Bi +βを越
えた場合、および、下限Bi −αを下回った既場に限っ
て型締動作を停止させる。設定型締速度を達成するに必
要とされる負荷Aが許容負荷範囲内にあれば型締用サー
ボモータM1の駆動トルクには制限がなく、設定型締速
度に応じた速い速度で型締動作を完了させることができ
る。また、物品の挟み込み等により負荷Aが上限Bi +
βを越えれば型締動作が自動停止し、従来と同様の金型
保護機能が達成される。アンギュラピンの脱落等により
負荷Aが下限Bi −αを下回れば型締動作が自動停止
し、従来不可能であったスライドコアと固定側金型との
衝突防止が達成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、射出成形機の型締
制御方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】型締の工程において固定側金型と可動側
金型との接触が開始される接触開始位置の手前(金型保
護開始位置)から型締力発生開始位置(金型タッチ位
置)までの区間で射出成形機の金型保護機能を作動さ
せ、型締装置のモータを低トルク(金型保護力)で駆動
して型締動作を行わせるようにした射出成形機が既に公
知である。
【0003】一般に、カタログスペック上では、金型保
護開始位置から金型タッチ位置までの区間の型締速度
(金型保護速度)や金型保護力および金型保護開始位置
の設定に関しては、最大型締速度やモータの実用最大ト
ルクおよび最大型開きストロークを限界として任意に設
定できるものとされており、金型保護開始位置から金型
タッチ位置までの区間で金型保護力を上限として型締力
に制限を加えることにより、離型不良となった成形品や
スプルーランナーの挟み込み等によるコア折れを始めと
する金型各部の損傷を防止するようにしている。当然、
その目的からして、金型保護力としては、ムービングプ
ラテンがタイバーとの間の摩擦抵抗等に打ち勝って移動
できる最小の型締力を設定することが推奨されている。
【0004】しかし、実際問題として型締の速度はモー
タの駆動力による制限を受けるため、金型保護力を小さ
な値に設定し金型保護速度を大きな値に設定した場合で
は、金型保護力の制限のために設定した金型保護速度が
達成されない場合があり、結果的に、金型保護開始位置
から金型タッチ位置までの区間の型締速度が遅くなるこ
とがある。
【0005】金型タッチ位置と金型保護開始位置との間
の距離を必要以上に長くとると、この区間における型締
速度の低下が成形サイクルの増長に繋がるので望ましく
ない。そこで、ごく一般的にいって、単純なツープレー
ト金型構造、つまり、接触開始位置と型締力発生開始位
置とが一致するような構造を有する射出成形金型におい
ては、この間の距離は成形品1個分程度の幅に設定する
のが普通である。なお、ここでいう接触開始位置とは固
定側金型の一部と可動側金型の一部とが接触を開始する
位置(但し、型締型開き方向に設けられた単純形状のガ
イドピンとガイドピンブッシュ等との接触は除く)のこ
とであり、また、型締力発生開始位置とは、固定側金型
と可動側金型とが完全に一体化して型締動作によるタイ
バーの伸びが始まる位置であって、前述した単純なツー
プレート金型構造においては、その両者が金型タッチ位
置と同値である。
【0006】しかし、射出成形金型には、この他にも、
成形品のアンダーカットや製品の一体成形に対処する必
要上、3方開きや4方開き等の複雑な構成をとらねばな
らないものが多々ある。この種の射出成形金型では、成
形品のアンダーカットの部分を成形するためのスライド
コアが型締型開き方向と直交する平面内で移動するよう
に構成されており、更に、これらのスライドコアを型締
型開き動作に連動させてスライドさせるための手段、つ
まり、スライドコアのガイドとなるアンギュラピンやス
ライドコアのガイド面となる斜面が設けられている。
【0007】周知の通り、一般的にいって、アンギュラ
ピンは固定側金型のパーティングから可動側金型に向け
て突出するように設けられ、また、前記斜面は固定側金
型の本体にテーパ溝等として一体に掘り込まれるか、ま
たは、ロッキングブロックとして別途固設されている。
型締に際しては、まず、アンギュラピンがスライドコア
のガイド穴に突入してスライドコアを所定方向に移動さ
せ、しかる後、固定側金型の斜面がスライドコアの肩に
直に摺接してこれを前記所定方向に強力に押圧するとい
った動作が行われる。
【0008】固定側金型の側にガイドとなる斜面が形成
されているにも関わらずアンギュラピンを設けてスライ
ドコアを移動させるのは、型開き時において製品が離型
可能な位置にまでスライドコアを退避させるためと、固
定側金型の斜面の彫込みを厚くしなくてもスライドコア
の移動ストロークを確保できるようにするためである。
【0009】従って、このアンギュラピンにはある程度
の長さが必要であり、単純なツープレート金型構造を有
する射出成形金型と比べた場合、スライドコアを備えた
射出成形金型では、前述の接触開始位置がかなり手前の
側に移動することになる。つまり、金型タッチ位置と金
型保護開始位置との間の距離が増長されることを意味
し、この区間における型締速度の低下が成形サイクルの
増長に与える影響が大きくなるといった問題が生じる。
【0010】既に述べた通り、金型保護開始位置の設定
は任意であって、必ずしも接触開始位置よりも手前に設
定しなければならないといったものでもないが、アンギ
ュラピンやスライドコアの摺動部における“かじり”の
発生の危険性や、テーパ溝やスライドコア等の配備によ
る金型パーティングラインの凹凸の複雑化で生じる成形
品の落下不良(離型時)等の可能性を勘案すれば、接触
開始位置もしくはこれよりも手前に金型保護開始位置を
設定するのが賢明であり、前述したような従来の型締制
御方法では、スライドコアを備えた射出成形金型におけ
る型締所要時間の増長を避けるのが難しい。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、前記従来技術の欠点を改善し、スライドコア等を備
えた複雑な構成の射出成形金型を使用する場合であって
も、短い時間で型締動作を完了させることのできる射出
成形機の型締制御方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、型締力発生開
始位置までの区間で型締装置のモータに作用する負荷を
逐次検出して、該検出負荷と設定値とを比較し、前記検
出負荷が設定値以下ならば型締動作を継続して行う一
方、前記検出負荷が設定値を越えると型締動作を即時停
止させるようにしたことを特徴とする構成を有する。
【0013】従って、設定型締条件に基いて正常な型締
動作が行われたときに型締装置のモータに作用する負荷
の最大値を設定値として設定することにより、接触開始
位置から型締力発生開始位置までの区間における型締速
度の低下(トルク制限によるもの)を免れることがで
き、スライドコア等を備えた複雑な構成の射出成形金型
を使用する場合であっても、設定型締条件の型締速度に
見合った速い速度で型締動作を完了させることができ
る。また、モータに作用する負荷の検出値が前記設定値
を越えれば型締動作が即時停止されるので、アンギュラ
ピンやスライドコア等の摺動部に“かじり”が生じたり
固定側金型と可動側金型との間で成形品の挟み込みが生
たりしたような場合でも、無理な型締動作によって金型
に損傷を生じさせることなく確実な金型保護が達成し得
る(以上、請求項1に対応)。
【0014】更に、型締力発生開始位置までの区間を複
数に分割して各区間毎に設定値を設定し、区間に応じて
負荷の検出値と設定値とを比較することで、より精密な
型締制御を行えるようにした(以上、請求項2に対
応)。
【0015】特に、固定側金型と可動側金型との接触が
開始される接触開始位置までの区間、つまり、ムービン
グプラテンが無負荷状態で移動する区間と、固定側金型
と可動側金型との接触が開始されてアンギュラピンとス
ライドコアまたはスライドコアと固定側金型の斜面との
間で摺動抵抗が生じるようになる区間とでは、設定型締
条件の型締速度に従ってムービングプラテンを移動させ
るために必要とされるモータの駆動トルクに差があるの
で、固定側金型と可動側金型との接触が開始される接触
開始位置を1つの区切りとして前記分割区間を設定する
のが望ましい(以上、請求項3に対応)。
【0016】また、本発明は、設定型締条件に基いて正
常な型締動作が行われたときに型締装置のモータに作用
する負荷の変動パターンを予め求めて射出成形機の制御
装置に記憶させておき、以降の型締工程においては、前
記モータに作用する負荷を逐次検出して、該検出タイミ
ングに対応する前記パターン上の負荷の値に基いて決め
られた許容負荷範囲と比較し、前記負荷の検出値が前記
許容負荷範囲内にあれば型締動作を継続して行う一方、
前記負荷の検出値が前記許容負荷範囲外にあれば型締動
作を即時停止させるようにしたことを特徴とする構成に
より、前記と同様の目的を達成した。
【0017】この構成によれば、型締装置のモータに作
用する負荷の変動パターンに基いて比較対象となる許容
負荷範囲が決められるので、検出負荷を1つの設定値も
しくは分割区間毎に決められた幾つかの設定値と比較し
て型締動作の継続または即時停止の判別を行う場合に比
べ、より精密な型締制御が達成できる。また、型締工程
における各タイミング毎に、最適の比較値(検出タイミ
ングに対応するパターン上の負荷の値に基いて決められ
た許容負荷範囲)と検出値とを比較して型締動作の継続
または即時停止の判別を行うことができるので、アンギ
ュラピンやスライドコア等の摺動部に“かじり”が生じ
たり固定側金型と可動側金型との間で成形品の挟み込み
が生じたりしたような場合の金型保護をより確実に達成
することができる(以上、請求項4に対応)。
【0018】無論、型締開始から型締力発生開始位置ま
での全区間に亘って型締装置のモータに作用する負荷の
変動パターンを求めておいても構わないが、接触開始位
置から型締力発生開始位置までの区間における型締速度
の低下を防止するといった意味から、最低限、接触開始
位置から型締力発生開始位置までの区間で負荷の変動パ
ターンを求めておく必要がある(以上、請求項5に対
応)。
【0019】また、型締速度の低下を防止するだけであ
れば負荷の変動パターンを基準としてその上側にのみに
許容負荷範囲を設定するだけでもよいが、更に、負荷の
変動パターンを基準にその下側にも許容幅を設定して許
容負荷範囲を決めるようにすれば、型締工程における負
荷の異常な軽減現象、例えば、アンギュラピンの折損や
脱落等を検出して型締動作を即時停止させることができ
る。
【0020】アンギュラピンの折損や脱落等が生じた状
態で型締動作を行わせると型締動作に連動させてスライ
ドコアをロッキングブロックの斜面にまで案内すること
ができなくなるので、離型時の退避位置にあるスライド
コアが直にロッキングブロックに衝突するといった重大
な事故が発生する可能性がある。無論、スライドコアが
ロッキングブロックに衝突すれば、型締装置のモータに
過大な負荷が作用して検出値が許容負荷範囲を越えるこ
とにより型締動作が即時停止されるわけだが、実際問題
として、このような重大な事故の場合では、衝突を確認
してから型締動作を停止させても射出成形金型の損傷を
回避することはまずできない。負荷の変動パターンを基
準としてその下側にも許容負荷範囲を設定するようにす
れば、スライドコアがロッキングブロックに衝突する以
前の段階、つまり、接触開始位置の区間の始まりで、負
荷の異常な軽減現象によりアンギュラピンの折損や脱落
等を検出して型締動作を即時停止させることができるの
で、スライドコアとロッキングブロックとの衝突を未然
に回避し、金型の損傷を防止することができる(以上、
請求項6に対応)。
【0021】そして、上下の許容幅の設定は、基準とな
る負荷の変動パターンに対する設定値の加減算(請求項
7)、もしくは、1以上の設定係数および1以下の設定
係数の乗算(請求項8)によって実施することができ、
また、型締装置のモータに作用する負荷は、モータの駆
動電流(請求項9)、もしくは、該モータに対応して設
けられたオブザーバにより推定して求める(請求項1
0)ことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態の幾つかに付いて説明する。図1は本発明を適用
した一実施形態の射出成形機30の要部を示すブロック
図である。符号33はステーショナリープラテン、符号
32はムービングプラテン、符号34は射出シリンダ、
符号35は射出スクリューであり、ステーショナリープ
ラテン33とムービングプラテン32との間には射出成
形金型39が装着されている。ムービングプラテン32
は、型締用サーボモータM1の軸出力により、ボールナ
ット&スクリューやトグル機構等からなる型締め装置3
1を介し、従来と同様、射出成形機のタイバーに沿って
移動されるようになっている。また、射出スクリュー3
5は、駆動源の軸回転を射出軸方向の直線運動に変換す
るための駆動変換装置37を介して射出用サーボモータ
M2により軸方向に駆動され、また、歯車機構36を介
してスクリュー回転用モータM3により計量回転され
る。
【0023】そして、射出スクリュー35の基部にはロ
ードセル等からなる圧力検出器38が設けられ、射出ス
クリュー35の軸方向に作用する樹脂圧力、即ち、射出
保圧工程における射出保圧圧力や計量混練り工程におけ
るスクリュー背圧が検出されるようになっている。
【0024】射出用サーボモータM2には射出スクリュ
ー35の位置や移動速度を検出するためのパルスコーダ
P2が配備され、また、型締用サーボモータM1の側に
は、ムービングプラテン32を駆動する型締装置31の
クロスヘッドの位置を検出するためのパルスコーダP1
が配備されている。これらはいずれも公知の構成要素で
ある。
【0025】射出成形機を駆動制御する制御装置10
は、数値制御用のマイクロプロセッサであるCNC用C
PU25、プログラマブルマシンコントローラ用のマイ
クロプロセッサであるPMC用CPU18、サーボ制御
用のマイクロプロセッサであるサーボCPU20、なら
びに、A/D変換器16および圧力検出器38を介して
射出保圧圧力やスクリュー背圧のサンプリング処理を行
うための圧力モニタ用CPU17を有し、バス22を介
して相互の入出力を選択することにより各マイクロプロ
セッサ間での情報伝達が行えるようになっている。
【0026】PMC用CPU18には射出成形機のシー
ケンス動作を制御するシーケンスプログラム等を記憶し
たROM13および演算データの一時記憶等に用いられ
るRAM14が接続され、CNC用CPU25には、射
出成形機を全体的に制御するプログラム等を記憶したR
OM27および演算データの一時記憶等に用いられるR
AM28が接続されている。
【0027】また、サーボCPU20および圧力モニタ
用CPU17の各々には、サーボ制御専用の制御プログ
ラムを格納したROM21やデータの一時記憶に用いら
れるRAM19、および、射出保圧圧力のサンプリング
処理等に関する制御プログラムを格納したROM11や
データの一時記憶に用いられるRAM12が接続されて
いる。更に、サーボCPU20には、該CPU20から
の指令に基いてエジェクタ用(図示せず),型締用,射
出用およびスクリュー回転用等の各軸のサーボモータを
駆動するサーボアンプ15が接続され、型締用サーボモ
ータM1に配備したパルスコーダP1および射出用サー
ボモータM2に配備したパルスコーダP2からの出力の
各々がサーボCPU20に帰還され、パルスコーダP1
からのフィードバックパルスに基いてサーボCPU20
により算出された型締装置31のクロスヘッドの現在位
置や、パルスコーダP2からのフィードバックパルスに
基いてサーボCPU20により算出されたスクリュー3
5の移動速度およびその現在位置が、RAM19の現在
位置記憶レジスタおよび現在速度記憶レジスタの各々に
逐次更新記憶されるようになっている。
【0028】更に、サーボCPU20には、型締用サー
ボモータM1に作用する外乱負荷トルクを推定するため
のオブザーバとしての機能が設けられている。
【0029】図6は、位置に対し比例(P)制御を行
い、速度に対し比例,積分(PI)制御を行う型締用サ
ーボモータM1の制御系に、外乱負荷トルクを推定する
オブザーバを適用したときのブロック線図である。項4
0のKP は位置ループにおける比例ゲイン、項41は速
度ループにおける伝達関数で、K1 は積分定数、K2 は
比例定数である。また、項42,43は型締用サーボモ
ータM1の伝達関数で、Ktはトルク定数、Jはイナー
シャであり、項44は速度vを積分して位置θを算出す
る伝達関数である。また、TL は外乱負荷トルクであ
る。なお、Sはラプラス演算子である。
【0030】位置指令値θrから現在位置θのフィード
バック値を減算し、その差の位置偏差ε(=θr−θ)
に比例定数KP を乗じ、速度指令値を求め、該速度指令
値と実速度vとの差(速度偏差)によってPI制御を行
ってトルク指令(電流指令)Iを求め、該トルク指令I
に基いてモータ電流を制御して型締用サーボモータM1
を駆動する。型締用サーボモータM1は速度vで回転
し、この速度vを積分して位置θが求められる。
【0031】このようなサーボモータ制御系において、
外乱負荷トルクを推定する場合、トルク指令Iとモータ
速度vによって外乱負荷トルクを推定する外乱推定オブ
ザーバ45が図6に示すように組み込まれる。
【0032】外乱推定オブザーバ45の項47,48の
K3 ,K4 は外乱推定オブザーバのパラメータであり、
項46は実際に型締用サーボモータM1に出力されるト
ルク指令としての電流値Iに乗じるパラメータの値でモ
ータのトルク定数の推定値Kt * をイナーシャの推定値
* で除した値である。49は積分項である。
【0033】この図6のブロック図をKt =Kt * 、J
=J* として解析すると、 {I・Kt +TL }(1/J・S)=v …(1) {I・ (Kt /J) + (v−va) K3 + (v−va)(K4 /S)} (1/S) =va …(2) (なお、vaは積分項49の出力で推定速度)第(1)
式より I=(v・J・S−TL )/Kt …(3) 第(2)式に第(3)式を代入し整理すると、 (v・J・S−TL )/J+(v−va)K3 +(v−va)(K4 /S)=va・S …(4) S(v−va)+(v−va)・K3 +(v−va)(K4 /S)=TL /J …(5) 第(5)式より Verr =(v−va ) =(TL /J)[1/{S+K3 +(K4 /S)} …(6) 第6式より項48の出力Td1は次の第7式で示される。
【0034】 Td1=Verr ・(K4 /S) =(TL /J){K4 /(S2 +K3 ・S+K4 ) …(7) 第7式において、パラメータK3 ,K4 を極が安定する
ように選択すると、Td1=TL /Jと近似することがで
き、全外乱トルクTL を推定することができることを示
している。そして、この全外乱トルクTL から摩擦トル
ク相当分として速度Vに比例する値(k・v)を減じ
て、更に、項50でパラメータJ* /Kt * (J* はイ
ナーシャ推定値,Kt * はトルク定数の推定値)を乗じ
て、トルク指令Iの単位で推定外乱負荷トルクTd2を求
める。
【0035】図7は、サーボCPU20が速度ループ処
理周期毎に実施する外乱推定オブザーバの処理のフロー
チャートである。
【0036】なお、予め、オブザーバを構成する定数K
3 、K4 、トルク定数推定値Kt *、イナーシャ推定値
* 及び推定摩擦トルクの係数kをROM21内に設定
しておく。
【0037】そして、サーボCPU20は、オブザーバ
としての機能を達成するため、速度ループ処理周期毎に
図7に示す処理を実行する。
【0038】まず、位置ループ処理によって求められた
速度指令Vcmd とパルスコーダP1からフィードバック
される型締用サーボモータM1の実速度である速度フィ
ードバック値vを読み(ステップC1)、この速度指令
Vcmd と速度フィードバック値vより従来と同様に速度
ループ処理を行いトルク指令Iを求め、電流ループに引
き渡す(ステップS2)。次に、外乱推定オブザーバの
処理を開始する。ステップC1で読み取った速度フィー
ドバック値vからレジスタR(va)に記憶する推定速
度vaを減じて実速度と推定速度との差Verr を求める
(ステップC3)。更に、該差Verr に設定定数K4 を
乗じた値を全外乱推定値Td1を記憶するアキュムレータ
に加算し当該周期における全外乱推定値Td1を求める
(ステップC4)。すなわち、ステップC4の処理は図
6における要素48の処理である。
【0039】次に、推定速度vaを記憶するレジスタR
(va)にステップC4で求めた全外乱推定値Td1を加
算すると共にステップC3で求めた差Verr に定数K3
を乗じた値を加算し、更に、レジスタR(I)に記憶す
る前周期で読み込んだトルク指令Iに推定トルク定数と
推定イナーシャの比(Kt * /J* )を乗じた値を加算
し当該周期の速度推定値vaを求め、レジスタR(v
a)に格納する(ステップC5)。すなわち、ステップ
C5の処理は、図6における要素46および要素49等
の処理によって推定速度vaを求める処理である。
【0040】次に、ステップC2で読み込んだトルク指
令値IをレジスタR(I)に格納し(ステップC6)、
ステップC4で求めた全外乱推定値Td1から速度に比例
する摩擦トルクk・vを減じた値に推定イナーシャと推
定トルク定数の比(J* /Kt * )を乗じて摩擦トルク
を除去した推定外乱負荷トルクTd2を求める(ステップ
C7)。すなわち、全推定外乱値Td1、設定係数k、及
びステップC1で読み込んだ速度フィードバック値V、
推定イナーシャと推定トルク定数の比(J* /Kt *
により、次の演算を行って推定外乱負荷トルクTd2を求
める。
【0041】Td2=(J* /Kt * )(Td1−k・v) こうして求められた推定外乱負荷トルクTd2をRAM1
9に書き込み(ステップC8)、当該速度ループの処理
を終了する。
【0042】以上が、サーボCPU20によるオブザー
バの処理の概略であるが、これは、型締用サーボモータ
M1に作用する負荷をオブザーバによって推定する場合
において必要なものであり、型締用サーボモータM1の
駆動電流を直接検出して負荷トルクとするような場合に
は必ずしも必要はない。
【0043】インターフェイス23は射出成形機30の
各部に配備したリミットスイッチや操作盤からの信号を
受信したり射出成形機30の周辺機器等に各種の指令を
伝達したりするための入出力インターフェイスである。
ディスプレイ付手動データ入力装置29はCRT表示回
路26を介してバス22に接続され、データ設定画面や
モニタ表示画面等を始めとする各種の表示画面の選択操
作および各種データの入力操作等が行えるようになって
おり、数値データ入力用のテンキーおよび各種のファン
クションキーやカーソル移動用のカーソル移動キー等を
備える。
【0044】不揮発性メモリ24は射出成形作業に関連
する各種設定値,パラメータ,マクロ変数等を記憶する
成形データ保存用のメモリである。更に、本実施形態に
おいては、型締用サーボモータM1に作用する負荷との
比較対象となる設定値や、設定型締条件に基いて正常な
型締動作が行われたときに型締用サーボモータM1に作
用する負荷の変動パターン、つまり、正常な型締動作時
における負荷の時系列的なサンプリングデータ等がこの
不揮発性メモリ24に記憶されるようになっている。
【0045】以上の構成により、CNC用CPU25が
ROM27の制御プログラムや不揮発性メモリ24の成
形条件等に基いて各軸のサーボモータに対してパルス分
配を行い、サーボCPU20は各軸に対してパルス分配
された移動指令とパルスコーダP1,P2等の検出器で
検出された位置のフィードバック信号および速度のフィ
ードバック信号に基いて位置ループ制御,速度ループ制
御さらには電流ループ制御等のサーボ制御を行い、いわ
ゆるディジタルサーボ処理を実行する。
【0046】なお、トグル機構等からなる型締め装置3
1の場合においてはパルスコーダP1で検出される位置
は実際にはクロスヘッド位置であってムービングプラテ
ン32の位置それ自体ではないが、クロスヘッドの位置
とムービングプラテン32の位置とを対応させる変換式
およびそれに必要とされる内部処理等については既に公
知であるので、ここでは、ムービングプラテン32の位
置を直接的に検出できるものとし、飽くまで、ムービン
グプラテン32の位置を基準として説明を進める。
【0047】既に述べた通り、本発明は、型締時におい
て型締用サーボモータM1に作用する負荷トルクを検出
し、該負荷トルクの検出値と予め設定されている設定
値、もしくは、正常な型締動作が行われたときの型締用
サーボモータM1の負荷の変動パターンに基いて決めら
れた許容負荷範囲とを比較することによって型締動作の
継続または停止を選択的に実行するものであるから、ま
ず最初に、比較対象となる設定値もしくは負荷の変動パ
ターンを制御装置10に設定して記憶させておかなけれ
ばならない。
【0048】そこで、まず、オペレータは、これらの設
定値なり負荷の変動パターンなりを求めるための処理を
実施する必要がある。
【0049】オペレータは、まず、射出成形機30のス
テーショナリープラテン33およびムービングプラテン
32に射出成形金型39を装着する。この場合の射出成
形金型39とはスライドコア等を利用した3方開きや4
方開きの金型であって、当然、このスライドコアを作動
させるためのアンギュラピンやロッキングブロック(斜
面)を備えている。
【0050】この実施形態で使用している射出成形機3
0は、従来の電動式射出成形機と同様、型開き完了位置
から型締力発生開始位置(金型タッチ位置)までの区間
を任意の位置で分割して各区間毎に型締速度を設定して
型締動作を行わせることができるようになっているの
で、オペレータは、まず、ディスプレイ付手動データ入
力装置29を操作して、型締時の速度切替位置や各区間
毎の型締速度等の型締条件を制御装置10に設定する。
当然、分割区間や型締速度の設定は1段であってもよ
い。
【0051】既に述べた通り、この種の射出成形金型3
9は、スライドコアやアンギュラピンおよびロッキング
ブロック等を備える関係上、単純な2プーレート金型に
比べて構造および動作が複雑になっているので、型締速
度等は予め低めの値に設定し、制御装置10による駆動
制御のもと、型締のドライサイクル運転等を繰り返し実
行するなどして射出成形金型39の各部の様子を確認し
ながら徐々に型締速度の設定値を上げてゆき、射出成形
金型39のスライドコアの動作等に異常を生じない最大
の型締速度をある程度の安全を見込んだ上で見極めるよ
うにする必要がある。
【0052】但し、設定型締速度の達成を第一義とし、
また、オペレータの目視によって異常の有無を確認しな
がら型締動作を行わせるようにしているので、金型保護
開始位置としての速度切替位置は設定せず、金型保護力
の設定による型締用サーボモータM1の駆動トルクの制
限も行わない(減速開始位置もしくは加速開始位置とし
て速度切替位置を設定し、分割区間毎に設定型締速度を
変える場合はある)。
【0053】このようにして、オペレータが安全を確認
しながら型締速度の設定値を上げて射出成形機30に型
締動作を繰り返し実行させる間、PMC用CPU18
は、速度ループの処理周期と同期して型締用サーボモー
タM1の駆動電流(もしくは前述のオブザーバにより推
定された外乱負荷変動トルク)の現在値をムービングプ
ラテン32の現在位置と共に所定周期毎に読み込み、こ
れを、正常な型締動作時における負荷の変動パターンと
して不揮発性メモリ24のデータ記憶ファイルに時系列
的に記憶してゆく。
【0054】このデータ記憶ファイルには負荷の変動パ
ターンの要素を構成する負荷検出値のデータが1回の型
締動作完了毎に順次更新して記憶されてゆくので、最終
的にデータ記憶ファイルに残されるデータは、スライド
コアやアンギュラピンおよびロッキングブロック等の安
全が保証される範囲の最大速度で型締動作を行わせたと
きの型締用サーボモータM1の負荷の変動パターン、つ
まり、型締速度の条件出しのために行われた最後の型締
動作における負荷の変動パターンと一致する。
【0055】図3に示す曲線は正常な型締動作が行われ
た時の負荷の変動パターンの一例であり、このようなグ
ラフは、横軸をムービングプラテン32の位置、縦軸を
負荷の検出値として前述のデータ記憶ファイルの内容を
ドット表示することにより、ディスプレイ付手動データ
入力装置29のディスプレイ画面に描画することができ
る。最終的に必要とされるのは安全が保証される範囲の
最大速度で型締動作を行わせたときの型締用サーボモー
タM1の負荷の変動パターン、つまり、前述の通り、デ
ータ記憶ファイルに残された最後のデータであるが、オ
ペレータが型締速度の設定値を順次上げていって最大型
締速度の見極めを行う際にも、1型締動作の終了毎にこ
のようなグラフ画面を更新表示させることが可能であ
り、安全確認等に役立てることができる。なお、表示処
理等に関しては射出圧力や射出速度等をサンプリング表
示する従来の高速モニタ処理等と同じであるのでここで
は説明を省略する。
【0056】型締動作の異常を検出するための比較対象
となる設定値を1つだけ設定するような場合では、ディ
スプレイ付手動データ入力装置29に表示されたグラ
フ、つまり、安全が保証される範囲の最大速度で型締動
作を行わせたときの型締用サーボモータM1の負荷の変
動パターンの表示を参照して負荷の最大値(但し、型締
力発生開始位置から型締完了位置までの区間の値は除
く)を求め、これよりも僅かに大きな値を比較対象とな
る設定値として設定するようにする。安全が保証される
範囲の負荷の最大値といっても実際にはある程度の余裕
を見込んで型締速度の設定値の条件出しを行っているの
で、これより僅かに大きな値を許容負荷範囲として設定
しても射出成形金型39の各部に損傷が生じるといった
ことはない。
【0057】オペレータがグラフ表示を参照して負荷の
最大値を求め、その値を基準にして型締動作の異常を検
出するための比較対象となる設定値を決める場合につい
て述べたが、負荷の最大値の検出をPMC用CPU18
側の処理によって自動的に実行することもできる。その
場合、負荷の最大値を仮に記憶するためのレジスタを設
け、型締動作開始時点で該レジスタを零に初期化し、以
下サンプリング周期毎に負荷の現在値を読み込んで前記
レジスタにおける記憶値との大小関係を比較し、大きな
方の値をレジスタに更新記憶していくようにすればよ
い。最終的に前記レジスタに残った値(但し、型締力発
生開始位置から型締完了位置までの区間の値は除く)が
負荷の最大値であり、この値に許容値βを加えた値が比
較対象となる設定値である。
【0058】型締動作の異常を検出するための比較対象
となる設定値を1つだけ設定するような方法は、専ら、
型締速度を1段のみで設定する場合に適したものであ
り、分割区間を複数に設定してその各々に対して異なる
型締速度を設定したような場合では、必ずしも適確に対
処することができない場合がある。目標値となる型締速
度の相違やムービングプラテン32の位置の相違等によ
って型締用サーボモータM1の駆動に必要とされるトル
クに違いが生じる場合があり、ある区間の許容負荷範囲
として適した設定値が他の区間に対しては不適となる場
合があるからである。特に、スライドコア等を利用した
3方開きや4方開きの金型39においては、可動側金型
と固定側金型とが完全に一体化する型締力発生開始位置
(金型タッチ位置)の手前の接触開始位置で可動側金型
のスライドコアと固定側金型のアンギュラピンとの摺接
やスライドコアとロッキングブロック(斜面)との摺接
が開始されて型締用サーボモータM1に作用する負荷に
変化が生じることになるので、この接触開始位置を1つ
の分割点として複数の分割区間を設定するのが望まし
い。
【0059】そこで、このような場合には、例えば、図
3のようなグラフ表示を参照し、型締動作の区間を複数
に分割して各区間の各々に対して型締動作の異常検出に
適した設定値を求める必要が生じる。図3の例では型締
開始位置(型開き完了位置)P0 から型締完了位置PN
までをN個に分けて分割区間を設定した場合について示
しており、例えば、PN-2 の位置が接触開始位置、PN-
1 の位置が型締力発生開始位置(金型タッチ位置)であ
る。このように、オペレータは型締開始位置P0 から型
締完了位置PN までの区間を前記条件に基いて分割し、
各分割区間の始点および終点をムービングプラテン32
の位置を基準に設定し、各分割区間に対して適用すべき
設定値の値を決め、各分割区間毎の設定値(許容負荷範
囲)を各々の分割区間に対応させて不揮発性メモリ24
の設定値記憶ファイルに記憶させる。図3の例ではP0
〜P1 までの区間の設定値をB1 、P1 〜P2 までの区
間の設定値をB2 、P2 〜P3 までの区間の設定値をB
3 、・・・PN-1 〜PN までの区間の設定値をBN とし
て設定している。なお、設定値BN に関しては実際には
型締用サーボモータM1の最大トルクである。
【0060】図2は、前述のような設定作業完了後、設
定型締条件に基いて実施される射出成形作業の各工程に
おいてPMC用CPU18により速度ループの処理周期
と同期して実行される型締異常検出処理の概略を示すフ
ローチャートである。
【0061】型締異常検出処理を開始したPMC用CP
U18は、まず、異常検出処理継続フラグFがセットさ
れているか否かを判別する(ステップA1)。異常検出
処理継続フラグFがセットされていなければ、いまだに
実質的な型締異常検出処理が開始されていないことを意
味するので、PMC用CPU18は、更に、実質的な型
締異常検出処理を開始する必要があるか否か、つまり、
この処理周期が型締動作開始直後の処理周期であるか否
かを判別することになる(ステップA2)。
【0062】なお、ステップA2の実質的な判別基準は
型締動作の実行開始時点でセットされる型締実行フラグ
のON/OFF状態であり、型締実行フラグがONであ
ればステップA2の判別結果が真に、また、型締実行フ
ラグがOFFであればステップA2の判別結果が偽とな
る。型締実行フラグがOFFであってステップA2の判
別結果が偽となれば、改めて型締異常検出処理を開始す
る必要はないので、PMC用CPU18はこの処理周期
における型締異常検出処理を終了し、以下、型締実行フ
ラグのセットが検出されるまでの間、所定周期毎にステ
ップA1およびステップA2の判別処理のみを繰り返し
実行する。
【0063】そして、このような判別処理が繰り返し実
行される間に型締動作の開始によって型締実行フラグが
セットされ、型締動作開始直後の最初の速度ループの処
理に対応する処理周期がステップA2の判別処理で検出
されると、PMC用CPU18は、まず、異常検出処理
継続フラグFをセットして区間指定指標jに1を初期設
定し(ステップA3)、型締用サーボモータM1の駆動
電流(もしくは前述のオブザーバにより推定された外乱
負荷変動トルク)の現在値Aとムービングプラテン32
の現在位置Pとを読み込み(ステップA4)、ムービン
グプラテン32の現在位置Pが第j段目の分割区間の終
点Pj よりも手前側に位置するか否かを判別する(ステ
ップA5)。
【0064】ムービングプラテン32の現在位置Pが第
j段目の分割区間の終点Pj よりも手前側に位置すれ
ば、PMC用CPU18は第j段目の分割区間に対応す
る許容負荷範囲の設定値Bj を読み込んで型締用サーボ
モータM1の駆動電流(もしくは前述のオブザーバによ
り推定された外乱負荷変動トルク)の現在値Aとの大小
関係を比較し(ステップA6)、現在値Aの値が設定値
Bj の範囲内にあれば、この周期の型締異常検出処理を
終了して、型締用サーボモータM1による型締動作をそ
のまま継続して行わせる。
【0065】また、現在値Aの値が比較対象となる設定
値Bj の値よりも大きければ、PMC用CPU18は、
可動側金型のスライドコアと固定側金型のアンギュラピ
ンとの間やスライドコアとロッキングブロック(斜面)
との間で“かじり”等の抵抗が作用して型締用サーボモ
ータM1に過大な負荷が作用しているか、もしくは、可
動側金型と固定側金型との間で離型不良を来たした成形
品やランナ等が挟み込まれているものと判断し、型締用
サーボモータM1による型締動作を即時停止させて、射
出成形金型39の損傷を防止する(ステップA7)。
【0066】現在値Aの値が設定値Bj よりも小さく型
締用サーボモータM1による型締動作が許容された場
合、つまり、ステップA6の判別結果が真となった場合
においては、以下、前記と同様の処理が所定周期毎に繰
り返し実行されることになるが、第2回目以降の処理周
期では既に異常検出処理継続フラグFがセットされてい
るので、ステップA2の判別処理およびステップA3の
初期設定処理は非実行とされる。また、ステップA4で
読み込まれたムービングプラテン32の現在位置Pがそ
の時点で選択されている第j段の分割区間の終点Pjを
越えてステーショナリープラテン33の側に接近する
と、ステップA5の判別結果が偽となり、自動的に区間
指定指標jの値が歩進されるので(ステップA8)、型
締用サーボモータM1の駆動電流(もしくは前述のオブ
ザーバにより推定された外乱負荷変動トルク)の現在値
Aは、ステップA6の判別処理において、常に、そのと
きのムービングプラテン32の現在位置Pを含む分割区
間jに対応して設定された設定値Bj と比較されること
になる。
【0067】そして、ムービングプラテン32が型締開
始位置P0 から型締完了位置PN まで移動するまでの
間、ムービングプラテン32の各位置で検出された型締
用サーボモータM1の駆動電流(もしくは前述のオブザ
ーバにより推定された外乱負荷変動トルク)の現在値A
がその区間に対応して設定された設定値Bj を越えなけ
れば、1工程の型締動作が途中で停止することなく最後
まで行われ、型締完了時点で、型締実行フラグおよび異
常検出処理継続フラグFが自動的にリセットされる。
【0068】この実施形態では、型締用サーボモータM
1の駆動電流を予め制限することなく、設定型締条件の
速度を達成すべく型締用サーボモータM1の速度制御を
行うようにしているので、設定型締速度を達成するため
の型締用サーボモータM1の駆動トルクが各区間の設定
値Bj を越えない限り、型締条件で設定した通りの型締
速度を再現することができる。従って、可動側金型のス
ライドコアと固定側金型のアンギュラピンやロッキング
ブロック(斜面)との摺接が開始される接触開始位置か
ら可動側金型と固定側金型とが完全に一体化する型締力
発生開始位置(金型タッチ位置)までの区間内でも、実
際の型締速度が設定型締速度に比べて遅くなるといった
ことがなく、従来免れ得なかったトルク制限による型締
所要時間の増長が防止される。
【0069】一方、設定型締速度を達成するために必要
とされる型締用サーボモータM1の駆動電流(もしくは
前述のオブザーバにより推定された外乱負荷変動トル
ク)の現在値Aがその区間に対応する設定値Bj を越え
れば、型締用サーボモータM1の駆動が強制的に即時停
止されるので、可動側金型のスライドコアと固定側金型
のアンギュラピンとの間、または、スライドコアとロッ
キングブロック(斜面)との間の“かじり”等による射
出成形金型39の損傷や、成形品およびランナ等の挟み
込みによる射出成形金型39の損傷も未然に防止するこ
とができる。
【0070】既に述べた通り、従来の金型保護機構で
は、ムービングプラテン32がタイバーとの間の摩擦抵
抗等に打ち勝って移動できる最小の型締力を金型保護力
として設定することが推奨されていたが、実際にムービ
ングプラテン32とタイバーとの間の摩擦抵抗等(当
然、スライドコアを備えた金型構成においてはスライド
コアとアンギュラピンとの間やスライドコアとロッキン
グブロックとの間の摺接抵抗を含む)を測定して金型保
護力を設定していたわけではないので、金型保護力を必
要以上に大きく設定してしまうと金型の損傷を防止する
ことができず、また、金型保護力を極端に小さく設定し
てしまうと接触開始位置から型締力発生開始位置(金型
タッチ位置)までの区間内で型締動作が停止してしまう
という場合があったが(特に、スライドコアを備えた金
型構成の場合)、この実施形態では正常な型締動作時に
型締用サーボモータM1に作用する実際の負荷をサンプ
リングにより検出して設定値を決めるようにしているの
で、このような問題は解消され、金型保護機構としても
従来のものよりも優れた効果を発揮することができる。
【0071】以上、型締動作の区間を複数に分割して各
区間の各々に対して型締動作の異常検出に適した設定値
を設定するようにした場合の例を図2を参照して説明し
たが、前述した1つのみの設定値による場合も、図2の
処理をそのまま適用して実施することができる。その場
合、型締力発生開始位置PN-1 を第1段目の分割区間の
終点P1 として設定し、これに対応する設定値B1 とし
て前記1つのみの設定値(型締力発生開始位置から型締
完了位置までの区間の値を除くデータ記憶ファイルにお
ける負荷の最大値+βの値)を設定し、更に、型締完了
位置PN を第2段目の分割区間の終点P2 として設定
し、これに対応する設定値B2 として型締用サーボモー
タM1の最大トルクの値を設定するようにすればよい。
【0072】次に、もう1つの実施形態として、設定型
締条件に基いて正常な型締動作が行われたときに型締用
サーボモータM1に作用する負荷の変動パターンに基い
て決められた許容負荷範囲と型締動作時において型締用
サーボモータM1に作用する負荷の検出値とを比較して
型締動作の継続または停止を選択的に実行するようにし
た場合の例について説明する。
【0073】スライドコアの動作等に異常を生じない最
大の型締速度で正常な型締動作を行わせたときに型締用
サーボモータM1に作用する負荷(型締用サーボモータ
M1の駆動電流もしくは前述のオブザーバにより推定さ
れた外乱負荷変動トルク)の値を速度ループの処理周期
と同期して不揮発性メモリ24のデータ記憶ファイルに
時系列で記憶させる点に関しては前述の実施形態の場合
と同様である。無論、型締動作の分割区間やその設定速
度は単段に設定しても複数段に設定してもよい。
【0074】図4は、この実施形態における型締異常検
出処理の概略を示すフローチャートである。前記実施形
態の場合と同様、この処理は設定型締条件に基いて実施
される射出成形作業の各工程においてPMC用CPU1
8により速度ループの処理周期と同期して実行される。
【0075】型締異常検出処理を開始したPMC用CP
U18は、まず、異常検出処理継続フラグFがセットさ
れているか否かを判別する(ステップB1)。異常検出
処理継続フラグFがセットされていなければ、いまだに
実質的な型締異常検出処理が開始されていないことを意
味するので、PMC用CPU18は、更に、実質的な型
締異常検出処理を開始する必要があるか否か、つまり、
この処理周期が型締動作開始直後の処理周期であるか否
かを判別することになる(ステップB2)。
【0076】ステップB2の判別基準は前述の実施形態
におけるステップA2と同様であり、型締実行フラグが
OFFであってステップB2の判別結果が偽となれば、
改めて型締異常検出処理を開始する必要はないので、P
MC用CPU18はこの処理周期における型締異常検出
処理を終了し、以下、型締実行フラグのセットが検出さ
れるまでの間、所定周期毎にステップB1およびステッ
プB2の判別処理のみを繰り返し実行する。
【0077】そして、このような判別処理が繰り返し実
行される間に型締動作の開始によって型締実行フラグが
セットされ、型締動作開始直後の最初の速度ループの処
理に対応する処理周期がステップB2の判別処理で検出
されると、PMC用CPU18は、まず、異常検出処理
継続フラグFをセットしてサンプリングデータ検索指標
iに1を初期設定すると共にエラー数積算カウンタCを
零に初期化し(ステップB3)、型締用サーボモータM
1の駆動電流(もしくは前述のオブザーバにより推定さ
れた外乱負荷変動トルク)の現在値Aを読み込む(ステ
ップB4)。
【0078】次いで、PMC用CPU18は、当該処理
周期に対応するデータ記憶ファイルの記憶値Bi (第i
番目のサンプリングデータ)を読み込み、この値に上限
許容値βを加えた値Bi +β(但し、β>0)と、下限
許容値αを減じた値Bi −α(但し、α>0)を求め、
Bi −α〜Bi +βの許容負荷範囲内に前記現在値Aが
含まれているか否かを判別する(ステップB5)。そし
て、型締用サーボモータM1に作用する負荷の現在値A
が前記許容負荷範囲内にあれば、PMC用CPU18
は、サンプリングデータ検索指標iを歩進して当該処理
周期における型締異常検出処理を終了し(ステップB
9)、型締用サーボモータM1による型締動作をそのま
ま継続して行わせる。
【0079】また、負荷の現在値Aが前記許容負荷範囲
を外れてステップB5の判別結果が偽となれば、PMC
用CPU18は、エラー数積算カウンタCの値を歩進し
(ステップB6)、カウンタCの現在値がエラー数の設
定許容値D(不揮発性メモリ24に記憶)を越えている
か否かを判別する(ステップB7)。そして、カウンタ
Cの現在値がエラー数の設定許容値Dを越えていなけれ
ば、PMC用CPU18は、サンプリングデータ検索指
標iを歩進して当該処理周期における型締異常検出処理
を終了し(ステップB9)、型締用サーボモータM1に
よる型締動作をそのまま継続して行わせる。また、カウ
ンタCの現在値がエラー数の設定許容値Dを越えていれ
ば、可動側金型のスライドコアと固定側金型のアンギュ
ラピンとの間やスライドコアとロッキングブロック(斜
面)との間で“かじり”等の抵抗が作用するか、もしく
は、可動側金型と固定側金型との間で離型不良を来たし
た成形品やランナ等が挟み込まれる等して型締用サーボ
モータM1に過大な負荷が継続して作用しているものと
判断し、型締用サーボモータM1による型締動作を即時
停止させて射出成形金型39の損傷を防止する(ステッ
プB8)。
【0080】ステップB5の判別結果が真もしくはステ
ップB7の判別結果が偽となって型締用サーボモータM
1による型締動作が許容された場合、以下、前記と同様
の処理がPMC用CPU18により所定周期毎に繰り返
し実行されることになる。
【0081】このような処理が繰り返し実行される間に
カウンタCの現在値がエラー数の設定許容値Dを越えれ
ば、PMC用CPU18は、今回の型締動作時における
負荷の変動パターンが正常な型締動作時における負荷の
変動パターンと一致しないものと見做し、型締用サーボ
モータM1による型締動作を即時停止させて、射出成形
金型39の損傷を防止する(ステップB8)。
【0082】つまり、この実施形態は、基本的には、1
回の型締動作の実行に際して行われる負荷の検出処理に
おいて各サンプリング時に対応する許容負荷範囲から外
れるサンプリングデータの個数が設定値Dよりも大きい
か否かにより、正常な型締動作が行われた時の負荷の変
動パターンと各型締動作時の負荷の変動パターンとが一
致するか否かを判断し、負荷の変動パターンの一致不一
致によって型締用サーボモータM1による型締動作の継
続または停止を選択するものであるが、設定値Dの値を
零として設定すれば、許容負荷範囲から外れるサンプリ
ングデータが最初に検出された正にその時点で、型締用
サーボモータM1による型締動作を即時停止させること
もできる。
【0083】図4に示した例では、ステップB5の処理
でデータ記憶ファイルの記憶値Biを読み込み、この値
Bi に上限許容値βを加えたり下限許容値αを減じたり
することにより許容負荷範囲の上限と下限をその都度算
出するようにしているが、設定型締条件に基いた正常な
型締動作を行ってデータ記憶ファイルを作成した段階で
各サンプリング時の検出データBi にβを加えたりαを
減じたりすることにより予め各サンプリング時毎の許容
負荷範囲の上限Bi +βと下限Bi −αを求めておき、
その値自体をデータ記憶ファイルに格納しておいて、ス
テップB5の処理でこれを読み出して比較するようにし
てもよい。
【0084】いずれの場合においても、型締実行時にお
ける各時点の負荷の検出データAが、これに対応するタ
イミングの正常な型締動作時の負荷の検出データBi を
基準に決められた上限Bi +βと下限Bi −αとで構成
される許容負荷範囲と比較される点では同一である。ま
た、検出データBi に定数項β,αを加減して許容負荷
範囲の上限と下限を求める代わりに、検出データBi に
定数項β′,α′(但し、β′>1,0≦α′<1)を
乗じて許容負荷範囲の上限と下限を求めるようにしても
よい。正常な型締動作時における負荷の検出データBi
とこれによって決まる許容負荷範囲の上限Bi +βおよ
び下限Bi −αの関係の一例を図5に示す。なお、図5
に示したタイミングa,b,cは各々金型の接触開始位
置,型締力発生開始位置,型締完了位置に対応するタイ
ミングである。直圧式の型締装置を利用した射出成形機
においては、型締開始位置から型締力発生開始位置bま
での区間で必要とされる型締用サーボモータM1の駆動
力に比べて型締力発生開始位置bから型締完了位置cま
での区間で必要とされる型締用サーボモータM1の駆動
力が大きくなるのが当然だが、既に述べた通り、この実
施形態においてはトグル機構等からなる型締め装置31
を採用しているためロックアップ位置近傍で型締装置3
1による力の増幅率が大きく増大し、型締力発生開始位
置bから型締完了位置cまでの区間で必要とされる型締
用サーボモータM1の駆動力がそれほど大きくはならな
い。
【0085】この実施形態では各サンプリング時毎の負
荷の検出値をその各々に対応する許容負荷範囲と比較し
て型締動作の継続または停止を決めるようにしているの
で、各タイミングに最も適した許容負荷範囲を各タイミ
ングに対応させて設定することができ、検出負荷を1つ
の設定値もしくは分割区間毎に決められた幾つかの設定
値と比較して型締動作の継続または即時停止の判別を行
う場合に比べ、より精密な型締制御が達成できる。
【0086】図4および図5で示した例では、型締用サ
ーボモータM1に作用する負荷と許容負荷範囲とをサン
プリング周期(速度ループの周期)を基準に比較する場
合について述べたが、ムービングプラテン32の位置を
基準にして両者を比較するようにしてもよい。当然、そ
の場合には最初に述べた実施形態の場合と同じように、
データ記憶ファイルの作成に際し、速度ループの処理周
期と同期して型締用サーボモータM1の駆動電流(もし
くは前述のオブザーバにより推定された外乱負荷変動ト
ルク)の現在値と共にムービングプラテン32の現在位
置を記憶する必要がある。また、その後の型締工程にお
いては、型締用サーボモータM1に作用する負荷の検出
タイミングがPMC用CPU18の処理周期(速度ルー
プの周期)による制限を受けるので、必ずしも、データ
記憶ファイルに記憶されたムービングプラテン32の位
置と直に対応させて型締用サーボモータM1に作用する
負荷を検出するといったことはできない。つまり、その
後の型締工程においてPMC用CPU18の処理周期毎
に型締用サーボモータM1に作用する負荷を検出したと
しても、そのときのムービングプラテン32の位置がデ
ータ記憶ファイルにサンプリング記憶されたムービング
プラテン32の位置と一致するとは限らないということ
である。
【0087】そこで、この場合、その後の型締工程にお
いてPMC用CPU18の処理周期毎に型締用サーボモ
ータM1に作用する負荷を検出する際にもムービングプ
ラテン32の位置を同時に読み込み、該ムービングプラ
テン32の現在位置がデータ記憶ファイル上のどの記憶
領域に対応するかを、データ記憶ファイルに記憶された
ムービングプラテン32の位置に基いて検索し、対応す
るサンプリング時の負荷データをデータ記憶ファイルか
ら読み込んで許容負荷範囲を求めるようにする。要する
に、図3に示されるようなP0 ,P1 ,P2 ,・・・・
の各々をデータ記憶ファイル作成時の各サンプリング時
におけるムービングプラテン32の現在位置とし、B1
,B2 ,B3 ,・・・の各々を各サンプリング時の負
荷データとして記憶し(但し、図3の例ではB1 ,B2
,B3 ,・・・は設定値である)、その後の型締工程
においてPMC用CPU18の処理周期毎に検出される
ムービングプラテン32の位置がP0 〜P1 ,P1 〜P
2 ,P2 〜P3 ,・・・のどの領域に位置するかによっ
て、比較対象となる負荷データを検索し、この負荷デー
タに基いて許容負荷範囲を求めるのである。
【0088】型締用サーボモータM1に作用する負荷と
上限および下限を有する許容負荷範囲とを比較して型締
動作の継続および停止を選択する実施形態によれば、型
締用サーボモータM1に作用する負荷が異常に低くなっ
た場合にも、これを検出して型締動作を停止させること
ができる。例えば、スライドコアに摺接するアンギュラ
ピンが脱落したり折損により短くなったりしたような場
合では、接触開始位置近傍での型締用サーボモータM1
の駆動トルクが必然的に減少するので、これを検出して
自動的に型締動作が停止され、実際にスライドコアが固
定側金型やロッキングブロックに衝突する前の段階で、
金型の衝突を未然に防止することができる。つまり、ア
ンギュラピンが脱落したり折損したりした場合はその全
長が短くなっているので、ムービングプラテン32が通
常の接触開始位置の領域内に侵入しても金型は実際には
衝突しないということである。
【0089】型締条件で設定した通りの型締速度を再現
することができるので型締所要時間の増長が防止される
という点、可動側金型のスライドコアと固定側金型のア
ンギュラピンとの間、または、スライドコアとロッキン
グブロック(斜面)との間の“かじり”等による射出成
形金型39の損傷や、成形品およびランナ等の挟み込み
による射出成形金型39の損傷が未然に防止されるとい
う点、および、接触開始位置から型締力発生開始位置
(金型タッチ位置)までの区間内における不本意な型締
動作の停止が防止されるといった点に関しては、最初に
説明した実施形態の作用効果と同様である。
【0090】なお、検出負荷を1つの設定値もしくは分
割区間毎に決められた幾つかの設定値と比較して型締動
作の継続または即時停止の判別を行うようにした最初の
実施形態においては、金型の衝突防止の作用効果の点に
ついては格別に述べていないが、無論、上限の許容範囲
となる設定値Bj の各々に対応して下限の許容範囲とな
る設定値Bj ′を設定してステップA6の処理でBj ′
≦A≦Bj の判別処理を行うようにすれば、金型の衝突
防止に関し、後に説明した実施形態とほぼ同様の作用効
果を得ることができる。
【0091】
【発明の効果】本発明の型締制御方法は、型締力発生開
始位置までの区間で型締装置のモータに作用する負荷を
逐次検出してその値を設定値と比較し、検出負荷が設定
値以下ならば型締動作を継続して行い、また、検出負荷
が設定値を越えると型締動作を即時停止させて金型の安
全を図るようにしているので、従来の型締装置とは相違
し、金型保護のために型締装置のモータの駆動電流を予
め制限する必要がない。従って、設定型締速度を達成す
るに必要とされるモータの駆動トルクが設定値を越えな
い限り設定型締速度を維持することができ、スライドコ
アやアンギュラピンを備えた射出成形金型のように、金
型の接触開始位置から型締力発生開始位置までの距離が
長い射出成形金型を使用する場合であっても、短時間で
型締動作を完了させることができる。また、金型の接触
開始位置から型締力発生開始位置までの区間で金型に
“かじり”が生じたり成形品およびランナの挟み込みが
生じてモータに異常な負荷が作用すると自動的に型締動
作が停止されるので、金型の損傷に関する事故も未然に
防止できる。
【0092】また、設定型締条件に基いて正常な型締動
作が行われたときに型締装置のモータに作用する負荷の
変動パターンから求めた上限および下限を有する許容負
荷範囲と型締装置のモータに作用する負荷とを比較して
型締動作の継続もしくは停止を選択的に実行するように
しているので、スライドコアを備えた射出成形金型のア
ンギュラピンが折損したり脱落して負荷が軽減した場合
にも自動的に型締動作を停止させることができるように
なり、従来不可能であったアンギュラピンの異常で作動
不良となったスライドコアと固定側金型との衝突を未然
に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を適用した一実施形態の射出成形
機の要部を示すブロック図である。
【図2】同実施形態における型締異常検出処理の概略を
示すフローチャートである。
【図3】正常な型締動作を行ったときに型締用サーボモ
ータに作用する負荷の変動の一例を示した概念図であ
る。
【図4】もう1つの実施形態における型締異常検出処理
の概略を示すフローチャートである。
【図5】正常な型締動作を行ったときに型締用サーボモ
ータに作用する負荷の変動と許容負荷範囲との関係を一
例で示した概念図である。
【図6】型締用サーボモータに対応して設けたオブザー
バの構成を概念的に示したブロック図である。
【図7】外乱推定オブザーバの処理の概略を示したフロ
ーチャートである。
【符号の説明】
10 制御装置 15 サーボアンプ 17 圧力モニタ用CPU 18 PMC用CPU 20 サーボCPU 24 不揮発性メモリ 25 CNC用CPU 31 型締装置 32 ムービングプラテン 38 圧力検出器 39 射出成形金型 M1 型締用サーボモータ P1 パルスコーダ

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電動式型締装置を備えた射出成形機にお
    いて、型締力発生開始位置までの区間で型締装置のモー
    タに作用する負荷を逐次検出して、該検出負荷と設定値
    とを比較し、前記検出負荷が設定値以下ならば型締動作
    を継続して行う一方、前記検出負荷が設定値を越えると
    型締動作を即時停止させるようにしたことを特徴とする
    射出成形機の型締制御方法。
  2. 【請求項2】 型締力発生開始位置までの区間を複数に
    分割して各区間毎に設定値を設定し、区間に応じて前記
    検出値と前記設定値とを比較するようにしたことを特徴
    とする請求項1記載の射出成形機の型締制御方法。
  3. 【請求項3】 固定側金型と可動側金型との接触が開始
    される接触開始位置が前記複数の分割区間における1つ
    の分割点を構成していることを特徴とする請求項2記載
    の射出成形機の型締制御方法。
  4. 【請求項4】 電動式型締装置を備えた射出成形機にお
    いて、設定型締条件に基いて正常な型締動作が行われた
    ときに型締装置のモータに作用する負荷の変動パターン
    を予め求めて射出成形機の制御装置に記憶させておき、
    以降の型締工程においては、前記モータに作用する負荷
    を逐次検出して、該検出タイミングに対応する前記パタ
    ーン上の負荷の値に基いて決められた許容負荷範囲と比
    較し、前記負荷の検出値が前記許容負荷範囲内にあれば
    型締動作を継続して行う一方、前記負荷の検出値が前記
    許容負荷範囲外にあれば型締動作を即時停止させるよう
    にしたことを特徴とする射出成形機の型締制御方法。
  5. 【請求項5】 設定型締条件に基いて正常な型締動作が
    行われたときに型締装置のモータに作用する負荷の変動
    パターンを、少なくとも、固定側金型と可動側金型との
    接触が開始される接触開始位置から型締力発生開始位置
    までの区間で求め、射出成形機の制御装置に記憶させる
    ようにしたことを特徴とする請求項4記載の射出成形機
    の型締制御方法。
  6. 【請求項6】 前記負荷の変動パターンを基準として上
    下に許容幅を設定することにより許容負荷範囲を決める
    ようにしたことを特徴とする請求項4または請求項5記
    載の射出成形機の型締制御方法。
  7. 【請求項7】 許容幅の設定を設定値の加減算によって
    行うようにしたことを特徴とする請求項6記載の射出成
    形機の型締制御方法。
  8. 【請求項8】 許容幅の設定を1以上の設定係数および
    1以下の設定係数の乗算によって行うようにしたことを
    特徴とする請求項6記載の射出成形機の型締制御方法。
  9. 【請求項9】 型締装置のモータに作用する負荷を該モ
    ータの駆動電流によって検出するようにしたことを特徴
    とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の
    射出成形機の型締制御方法。
  10. 【請求項10】 型締装置のモータに作用する負荷を該
    モータに対応して設けられたオブザーバにより推定して
    求めるようにしたことを特徴とする請求項1ないし請求
    項8のいずれか1項に記載の射出成形機の型締制御方
    法。
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