JP3604739B2 - 射出成形機のエジェクタ制御方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、射出成形機のエジェクタ制御方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
図1は従来公知の射出成形金型Aの構成の概略を示す部分断面図である。射出成形金型Aは射出成形機の可動プラテンに装着される可動側金型a1と同射出成形機の固定プラテンに装着される固定側金型a2とからなり、可動側金型a1のコアプレート38と固定側金型a2のキャビティプレート39との間に形成されたキャビティ40内に固定プラテン側の射出シリンダ41から溶融樹脂が射出され、キャビティ40と同形状の製品が成形される。射出成形金型Aの製品離型機構は、可動金型a1に設けられた多数のエジェクタピン37と該エジェクタピン37を一体的に植設したエジェクタプレート33、および、エジェクタプレート33を元位置復帰させるリターンスプリング35等により構成される。エジェクタプレート33に植設されたエジェクタピン37は、その先端部がキャビティ40内の製品面と面一になるように可動側金型a1のコアプレート38を貫通して設けられ、リターンスプリング35により元位置に向けて付勢されたエジェクタプレート33の元位置保持機能により、図1に示される位置に保持される。つまり、可動側金型a1の構造上、エジェクタピン37の突出ストロークはコアプレート38と可動側取付け板32とを固着するスペーサブロック36の厚みにより規制され、エジェクタプレート33が図1のように完全に元位置復帰した状態でエジェクタピン37の先端部が製品面と面一になるように、エジェクタピン37の全長、もしくは、スペーサブロック36の厚みが精密に調整されている。さもないと、エジェクタピン37が元位置に復帰したときにその先端部とキャビティ40の製品面との間に段差が生じ、製品の表面に好ましくない凹凸が生じるからである。
【0003】
エジェクタピン37の形状としては、ランナー部分に設けられるもののように比較的径の太い単純なロッド状のものもあるが、一般に、キャビティ40の部分に設けられるものは製品の形状や肉厚などの影響を受けるため、ランナー部分のものに比べて小径に形成されることが多く、また、有効な押圧面積を少しでも殖やそうとして、場合によっては製品肉厚部の形状に沿って矩形断面に形成されることもある。エジェクタピン37を小径または矩形断面に形成した場合であってもエジェクタピン37自体の座屈強度を犠牲にすることはできないので、最終的に必要とするよりは太めのロッド材を用い、その先端部のみを小径または矩形断面に削り込んでエジェクタピン37を制作するのが一般的である。エジェクタピン37が段付形状に形成される結果、コアプレート38に穿設される穴も必然的に段付きの貫通穴形状となる。いうまでもなく、コアプレート38の裏面側ではエジェクタピン37の大径部に見合うように穴径が大きく形成され、また、表面側ではエジェクタピン37の小径部に見合うように穴径が小さく形成され、場合によっては矩形状に形成されたりもする。エジェクタピン37の突出ストロークがスペーサブロック36の厚みにより規制される点については既に述べたが、実際にはエジェクタピン37の大径部がコアプレート38の小径穴部にまで侵入することは不可能であり、エジェクタピン37の突出ストロークは更に制限されることになる。
【0004】
以上が射出成形金型の一般的な構成例であり、射出成形機は、型開き時において、そのエジェクタロッド31を可動プラテンおよび可動側取付け板32を介して突出させ、エジェクタプレート33を押圧してエジェクタピン37を突出させることにより、所定の製品離型作業を行わせる。モータでエジェクタロッド31を駆動し、設定復帰位置と突出目標位置との間で往復動作させることにより製品離型作業を行うようにした射出成形機が既に公知である。
【0005】
当然、成形サイクルを短縮するためには製品の離型作業も短時間の内に終わらせる必要があり、そのためには射出成形機側のエジェクタロッド31の突出ストロークもできるだけ短くすることが望ましい。まず、エジェクタロッド31の設定復帰位置に関してみると、図1に示されるように、エジェクタプレート33が完全に元位置復帰した状態でエジェクタロッド31の先端がエジェクタプレート33の裏面に接触するかしないかといった位置が最適の位置となる。もし、これよりもエジェクタロッド31を突出させた状態を縮退時の設定復帰位置として設定してしまうと製品に凹みが生じるからであり、また、これよりもエジェクタロッド31を縮退させた状態を設定復帰位置として設定してしまうと、エジェクタプレート33の復帰移動が既に完了しているにも関わらずエジェクタロッド31のみが無意味な縮退動作を行って成形サイクルが増長されるからである。手動操作によって最適の復帰位置を求めようとする場合は、一旦エジェクタロッド31を適当に突出させてエジェクタプレート33を可動側取付け板32から離間させた後、徐々にエジェクタロッド31を縮退させ、エジェクタプレート33の動きが停止する位置、つまり、エジェクタプレート33が完全に元位置復帰してエジェクタロッド31がエジェクタプレート33の裏面から離れ始めようとする位置を見極めて、その位置を設定復帰位置とする。しかし、成形サイクルを短縮しようとしてこの操作を誤り、エジェクタプレート33が完全に元位置復帰する前の位置を設定復帰位置として設定してしまうと、凹みを生じた製品を不良生産してしまうという危険がある。また、それを恐れて必要以上にエジェクタロッド31を縮退させた位置を設定復帰位置として設定してしまうと、前述したように成形サイクルが増長されるばかりか、エジェクタロッド31の突出開始時に該ロッド31がエジェクタプレート33に衝撃的にぶつかることにもなり、金型の構造に悪影響がおよぶこともある。
【0006】
また、エジェクタロッド31の突出目標位置に関してみればエジェクタピン37により製品をコアプレート38から引き剥がすことができれば十分であり、その突出量は常識的にわかるが、もし、設定操作のミス等によりエジェクタピン37を必要以上に突出させてしまうようなことになると、エジェクタピン37の大径部がコアプレート38の穴の小径部に突入してしまい、射出成形金型を大幅に破損してしまう恐れがある。
【0007】
また、手動操作で可動プラテンを動かすようなときにエジェクタロッド31を突出させたまま型閉じ動作を行うようなことをすると、その突出量によっては、エジェクタピン37の先端が固定側のキャビティプレート39にぶつかって座屈したりコアプレート38側の穴を痛めたりする。更に、このまま型締動作が行われてしまうと正に被害は甚大で、キャビティブロックやコアブロック等の高価な部品が修復不能な程度に大破することにもなり兼ねない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、前記従来技術の欠点を解消し、製品離型作業に関わるエジェクタ動作の設定に多少の異常がある場合であっても正常な射出成形作業の実施を可能とし、成形不良の発生や射出成形金型の損傷を未然に防止することのできるエジェクタ制御方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、製品の離型作業時においてのみエジェクタロッドを駆動するモータを励磁する構成により、製品離型作業に関わるエジェクタ動作の設定に多少の異常がある場合であっても正常な射出成形作業の実施を可能とした。
【0010】
また、直前の成形サイクルにおける製品離型作業完了時点におけるエジェクタロッドの復帰位置を記憶しておき、次の成形サイクルの型閉じ完了以降製品離型作業開始以前の設定タイミングでエジェクタロッドの位置を検出し、該検出位置と前記復帰位置との差が所定値を越えると設定異常検出信号を出力する構成により、エジェクタに関する設定異常を自動的に検出できるようにした。
【0011】
更に、突出動作時のエジェクタロッドに作用する負荷を検出し、該負荷が許容値を越えると設定異常検出信号を出力する構成により、射出成形金型の損傷を未然に防止できるようにした。
【0012】
【作用】
製品の離型作業時においてのみエジェクタロッドを駆動するモータを励磁するようにしているので、型閉じや型締および射出動作時におけるエジェクタロッドの移動が自在になる。この結果、エジェクタロッドの縮退操作を忘れてエジェクタピンを突出させたまま手動で型閉じ型締操作を行ったり、または、エジェクタロッドの復帰位置の設定異常等により射出成形金型のエジェクタピンが十分に縮退しない状態で型閉じおよび型締動作が行われてエジェクタピンの先端が固定側金型に当たったりした場合であっても、エジェクタピンの先端が固定側金型に押されて容易に縮退することができ、エジェクタピンの座屈や射出成形金型の破損が防止される。また、このまま射出保圧動作が行われれば、エジェクタピンは射出成形金型キャビティ内の圧力上昇により、射出成形金型自体の構造によって規定される位置、つまり、製品面と面一の位置まで自由に縮退することができるので、十分な射出保圧圧力さえ与えられれば、正常な製品を成形することが可能である。
【0013】
また、直前の成形サイクルにおける製品離型作業完了時点におけるエジェクタロッドの復帰位置、つまり、エジェクタロッドの設定復帰位置と、固定側金型との衝突または射出保圧圧力により押し戻されたエジェクタロッドの復帰位置との差が所定値を越えると設定異常検出信号が出力されるので、エジェクタロッドの復帰位置に関する設定異常が自動的に検出される。
【0014】
更に、突出動作時のエジェクタロッドに作用する負荷が許容値を越えると設定異常検出信号が出力されるので、エジェクタロッドの突出目標位置を大幅に誤って設定した場合であっても、エジェクタピンの過大な突出によって生じる可動側金型のコアプレートとの干渉によるエジェクタピンの座屈や射出成形金型の破損を未然に防止することができる。
【0015】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。図1は本発明のエジェクタ制御方法を適用した一実施例の電動式射出成形機の要部と一般的な射出成形金型の製品離型機構の要部を示すブロック図である。
【0016】
Aは、射出成形機の可動プラテンに装着される可動側金型a1と射出成形機の固定プラテンに装着される固定側金型a2とからなるツープレート型の射出成形金型であり、可動側金型a1には、エジェクタピン37,エジェクタプレート33,リターンスプリング35等により構成される製品離型機構が設けられている。また、38は可動側金型a1のコアプレート、39は固定側金型a2のキャビティプレートであり、これらの間に製品形状となるキャビティ40が形成されている。34は可動側取付け板32とコアプレート38との間に設けられた柱状のサポータであり、スペーサブロック36の厚みに匹敵する全長を有し、可動側金型a1のコアプレート38に作用する樹脂圧の一部をスペーサブロック36と共に受け、射出保圧時に作用する樹脂圧によるコアプレート38の撓みを防止する。サポータ34はコアプレート38の裏面または可動側取付け板32の表面に位置決め固定されている。また、エジェクタプレート33にはサポータ34の配設位置に対応してそれよりも僅かに大径の貫通口が穿設され、サポータ34に余裕をもって外嵌されたリターンスプリング35は、エジェクタプレート33の表面とコアプレート38の裏面とで両端を支えられ、僅かに圧縮されている。つまり、サポータ34にはコアプレート38の撓み防止の他にエジェクタプレート33の移動を型開閉方向に沿ってガイドする機能がある。射出成形金型Aに関する構成部材およびその機能等については本明細書における「従来の技術」の項で既に詳説しているので、ここでは説明を省略する。41は射出成形機の射出シリンダである。
【0017】
また、31は射出成形機の可動プラテンに標準装備されたエジェクタロッドであり、エジェクタ用サーボモータMにより型開閉方向に駆動され、可動側取付け板32の中央部に設けられた貫通口から突出してエジェクタプレート33をリターンスプリング35の元位置復帰力に抗して押圧することにより、型開き時において、エジェクタピン37をコアプレート38の表面に突出させ、キャビティ40内の製品をコアプレート38より離型させる。なお、リターンスプリング35自体は射出成形金型Aにおける製品離型機構の必須要件ではない。例えば、射出成形機側のエジェクタロッド31をエジェクタプレート33にボルト等で固着すれば、リターンスプリング35を廃止しても、エジェクタロッド31の突出縮退動作によってエジェクタプレート33を往復移動させることができる。エジェクタ用サーボモータMの回転運動をエジェクタロッド31の直線運動に変換するための機構については図示しないが、ボールナット&スクリュー等によるものが望ましく、少なくとも、エジェクタ用サーボモータMとエジェクタロッド31との間の動力伝達機構に関しては、ウォーム&ホイールのような機械要素、つまり、動力の伝達が一方向的になるようなものは絶対に用いない。エジェクタロッド31に外力が作用したときに、励磁を解除されているエジェクタ用サーボモータMが容易に空転して、エジェクタロッド31が容易に直線運動するようにするためである。エジェクタ用サーボモータMにはパルスコーダPが装着され、エジェクタロッド31の現在位置が適宜に検出できるようになっている。
【0018】
以上、製品離型作業に必要とされる射出成形金型側の製品離型機構および射出成形機側の機構について簡単に説明したが、当然、公知の機械要素や機構学等を適当に運用して他の構成を採用することも可能である。その機械的な構成は特に限定されないが、本発明の実施例として用いる射出成形機では、少なくとも、エジェクタ用サーボモータMの励磁を解除した状態でエジェクタロッド31に外力が作用すればエジェクタロッド31がその力の作用方向に移動してエジェクタ用サーボモータMが容易に空転するということが必須要件である。より広範な発明思想からすれば、不可逆的に動作する動力伝達機構とエジェクタロッド31との間にクラッチ等を設け、このクラッチを製品離型作業時においてのみ接続するなどといったことも本発明の発明思想には含まれるが、このような構成をとるとエジェクタロッド31の位置制御や機械的な構成が複雑になる反面、これといって格別の効果が得られるというわけでもないので、エジェクタロッド31の駆動に関して可逆動作が可能な動力伝達機構を用いた射出成形機を最適実施例として示すにとどめる。
【0019】
射出成形機を駆動制御する数値制御装置10は、数値制御用のマイクロプロセッサであるCNC用CPU25、プログラマブルマシンコントローラ用のマイクロプロセッサであるPMC用CPU18、サーボ制御用のマイクロプロセッサであるサーボCPU20、および、圧力モニタ用CPU17を有し、バス22を介して相互の入出力を選択することにより各マイクロプロセッサ間での情報伝達が行えるようになっている。圧力モニタ用CPU17はA/D変換器16および図示しない射出スクリュー側の圧力検出器を介して射出保圧圧力やスクリュー背圧のサンプリング処理を行うためのモニタ用CPUであるが、このサンプリング機能は本発明の要旨と直接の関わりがないので説明を省略する。
【0020】
PMC用CPU18には射出成形機のシーケンス動作を制御するシーケンスプログラム等を記憶したROM13および演算データの一時記憶等に用いられるRAM14が接続され、CNC用CPU25には、射出成形機を全体的に制御するプログラム等を記憶したROM27および演算データの一時記憶等に用いられるRAM28が接続されている。
【0021】
また、サーボCPU20および圧力モニタ用CPU17の各々には、サーボ制御専用の制御プログラムを格納したROM21やデータの一時記憶に用いられるRAM19、および、圧力データのサンプリング処理等に関する制御プログラムを格納したROM11やデータの一時記憶に用いられるRAM12が接続されている。更に、サーボCPU20には、該CPU20からの指令に基いて型締用,射出用,スクリュー回転用等の各軸のサーボモータ(以上、図示せず)およびエジェクタ用のサーボモータMを駆動するサーボアンプ15が接続され、各軸のサーボモータに配備したパルスコーダからの出力の各々がサーボCPU20に帰還され、パルスコーダからのフィードバックパルスに基いてサーボCPU20により算出された各軸の現在位置や移動速度がRAM19の現在位置記憶レジスタおよび現在速度記憶レジスタの各々に逐次更新記憶されるようになっている。
【0022】
また、インターフェイス23は射出成形機の各部に配備したリミットスイッチや操作盤からの信号を受信したり射出成形機の周辺機器等に各種の指令を伝達したりするための入出力インターフェイスである。なお、射出成形機の操作盤には手動操作用の動作項目選択スイッチ、即ち、“クランプ”(用途は可動プラテンの前進後退動作),“エジェクタ”(用途はエジェクタロッド31の突出縮退動作),“スクリュー”(用途は射出スクリューの前進後退動作),・・・等が複数設けられ、いずれか1つの動作項目選択スイッチのみを操作して、更に、各動作の順行/逆行を決めるための動作方向選択スイッチを操作することにより、射出成形機の可動プラテンやエジェクタロッド31または射出スクリュー等を所望する方向に適宜移動できるようになっている。エジェクタ用サーボモータMは“エジェクタ”の動作項目が選択されている場合に限って励磁され、更に、動作方向選択スイッチを操作することにより、その操作方向に応じて正逆に回転するが、手動操作時において他の動作項目が選択されている状況下では常に非励磁状態に維持される。ディスプレイ付手動データ入力装置29はCRT表示回路26を介してバス22に接続され、モニタ表示画面や機能メニューの選択および各種データの入力操作等が行えるようになっており、数値データ入力用のテンキーおよび各種のファンクションキー等が設けられている。
【0023】
不揮発性メモリ24は射出成形作業に関する成形条件と各種設定値,パラメータ,マクロ変数等を記憶する成形データ保存用のメモリであり、製品離型作業に関わる設定条件、より具体的にいえば、エジェクタロッド31の突出目標位置と設定復帰位置およびその突出し回数もここに設定記憶される。
【0024】
以上の構成により、PMC用CPU18が射出成形機全体のシーケンス制御を行う一方、CNC用CPU25がROM27の制御プログラムに基いて各軸のサーボモータに対してパルス分配を行い、サーボCPU20は各軸に対してパルス分配された移動指令とパルスコーダ等の検出器で検出された位置のフィードバック信号および速度のフィードバック信号に基いて、従来と同様に位置ループ制御,速度ループ制御,電流ループ制御等のサーボ制御を行い、いわゆるディジタルサーボ処理を実行する。
【0025】
以下、図2〜図3に示すPMC用CPU18のシーケンス制御を参照して本実施例におけるエジェクタ制御方法を説明する。なお、図2〜図3に示す処理は1成形サイクル分のシーケンス動作を示すもので、半自動運転時および自動運転時に適用され得る。1成形サイクルの工程は、従来と同様、型閉じ工程(型締めを含む)→射出工程→保圧工程→計量工程(冷却を含む)→型開き工程→製品離型作業(エジェクト工程)の順に実施されるようになっており、これらの各工程に関するステップS1〜ステップS5の処理内容に関しては、実質的に、従来と全く同様である。
【0026】
但し、本実施例の場合、製品離型作業の工程でのみエジェクタ用サーボモータMが励磁され(但し、手動操作時に“エジェクタ”の動作項目が選択された場合も励磁される)、その他の場合ではエジェクタ用サーボモータMが非励磁状態に維持されるようになっているので、現象的な作用効果の面では従来例と比較して大きな相違がある。
【0027】
例えば、エジェクタロッド31の突出目標位置や設定復帰位置を見極めるための手動操作等でエジェクタロッド31を極端に突出させたままの状態で半自動運転や自動運転による成形サイクルを開始させて型閉じ動作(ステップS1)を実行させてしまったり、または、エジェクタロッド31を突出させたまま不注意にも手動操作による型閉じ操作を行ってしまったような場合では、型閉じ動作に伴ってエジェクタピン37の先端が固定側金型a2におけるキャビティプレート39の表面に突き当たる場合がある。しかし、本実施例の場合、型閉じ動作が行われている段階ではエジェクタ用サーボモータMは励磁されておらず、しかも、エジェクタ用サーボモータMの回転をエジェクタロッド31の直線運動に変換するための動力伝達機構も可逆動作が容易なように構成されているので、エジェクタピン37はキャビティプレート39に押されて容易に縮退することができ、エジェクタピン37を始めとする射出成形金型A各部の損傷が防止され得る。図1に示される例ではリターンスプリング35がエジェクタピン37の復帰動作を助けるような構成となっているが、リターンスプリング35が存在しないとしてもエジェクタピン37の縮退は容易であり、同様の効果が得られる。従来のものでは、エジェクタ用サーボモータMが常に励磁され、その回転位置が位置ループの制御で強力に現位置保持されているため、リターンスプリング35があろうとなかろうとエジェクタピン37の縮退は事実上不可能であり、無理な型閉じ型締動作によりエジェクタピン37に座屈が生じ、更に、場合によっては射出成形金型Aの各部に損傷が生じる場合もあった。
【0028】
また、エジェクタピン37の挟み込みや座屈による射出成形金型Aの損傷を防止するための手段として、エジェクタロッド31が設定復帰位置よりも突出していると“エジェクタが後退していません”等のメッセージをディスプレイ付手動データ入力装置29のディスプレイに表示して半自動運転や自動運転の実行をキャンセルするようにした射出成形機も既に提案されているが、この安全措置も、エジェクタロッド31の設定復帰位置自体を誤って設定してしまったような場合では、エジェクタピン37および射出成形金型Aの安全を保証することはできない。つまり、エジェクタロッド31の位置が設定復帰位置よりも縮退していれば半自動運転や自動運転の開始が自動的に許容されてしまうように設計されていたわけで、例えば、復帰位置の設定を誤って極端な突出位置に設定してしまったような場合では、エジェクタロッド31が設定復帰位置よりも縮退しているとはいえ、依然として、エジェクタロッド37の先端が固定側金型a2に干渉する恐れがある。本実施例においては、エジェクタピン37およびエジェクタロッド31の縮退が極めて容易に許容される結果、例え、エジェクタロッド31の復帰位置の設定自体が完全に誤っていたとしても、エジェクタロッド37や射出成形金型Aに損傷が生じることはない。
【0029】
また、射出工程(ステップS2)および保圧工程(ステップS3)においても、本実施例と従来技術とを比較すると、作用効果の面で大きな差がある。既に述べた通り、従来の制御方法を適用した射出成形機では、エジェクタ用サーボモータMが常に励磁されてその時点における指令位置に強力に保持されていたため、もし、エジェクタロッド31の設定復帰位置を誤って前方(突出側)に設定してしまうと、エジェクタピン37の先端に射出保圧圧力が作用してもエジェクタプレート33が十分に後退することができず、結果的に、製品にはエジェクタピン37の先端部と同形状の好ましくない凹みがモールドされる結果になる。射出工程や保圧工程等におけるエジェクタロッド31の指令位置とはまさしくエジェクタロッド31の設定復帰位置そのものだからである。これに対し、エジェクタピン37の縮退が容易な本実施例の構成によれば、十分な射出保圧圧力が与えられる限り、エジェクタロッド31の復帰位置の設定が誤って前方になされていたとしても、エジェクタロッド31が樹脂圧によって正しい位置にまで縮退させられる可能性があるので、依然として、正常な製品が成形される余地がある。既に述べた通り、射出成形金型Aにおいては、エジェクタプレート33が図1のように完全に元位置復帰した状態でエジェクタピン37の先端部が製品面と面一になるように、エジェクタピン37の全長、もしくは、スペーサブロック36およびサポータ34の厚みが精密に調整されているからである。いうまでもないことだが、エジェクタピン37が設計上または加工上のミスで相対的に寸足らずに仕上がってしまったような場合は、スペーサブロック36およびサポータ34を同時に研削するか、または、エジェクタプレート33を厚いものに取り替えるかしてエジェクタピン37の先端が製品面に面一となるように調整するのが一般的であり、少なくとも、エジェクタロッド31の復帰位置を適当な突出位置に設定変更し、その位置に位置決め保持されるエジェクタロッド31でエジェクタプレート33を支えることによってエジェクタピン37の寸法不足を補うなどといったことは常識の範囲では行われない。エジェクタプレート33とコアプレート38との平行度が保証されなくなったり、射出保圧時にエジェクタプレート33に撓みが生じたりして、製品にエジェクタピン37と同形状の凹凸部がモールドされる危険があるからである。このように、射出成形金型の精度は射出成形金型自体の構成部材によって保証されるものであるから、エジェクタプレート33さえ十分に後退することができれば、正常な製品の成形は可能となるのである(エジェクタロッド31が何らかの理由により設定復帰位置よりも縮退したとしても何ら問題はない)。
【0030】
計量工程(ステップS4)および型開き工程(ステップS5)に関しては処理内容および作用効果とも従来のものと全く同一である。
【0031】
そこで、従来と同様にして型開き工程の処理を行ったPMC用CPU18は、まず、RAM19の現在位置記憶レジスタからエジェクタロッド31の現在位置Pを読み込んで一時記憶し(ステップS6)、直前位置記憶レジスタの現在値Rと現在位置Pとの差R−Pを求め、その値R−Pが所定値ε(但し、ε>0)を越えているか否かにより、エジェクタロッド31に関する復帰位置の設定異常の有無を判別する(ステップS7)。
【0032】
直前位置記憶レジスタは直前の成形サイクルで実施された製品離型作業の終了時にエジェクタロッド31が復帰した位置を記憶するレジスタであり、第1回目の成形サイクルの製品離型作業が完了するまでの間は、「従来の技術」の項で説明したような方法でオペレータが見極めて不揮発性メモリ24に設定記憶させたエジェクタロッド31の設定復帰位置の値が初期値として保存されている。ここで、もしも、設定復帰位置が正しい位置よりも前方(突出側)に設定されていたとすると、第1回目の成形サイクルにおけるステップS1の型閉じ工程もしくはステップS2,ステップS3の射出保圧工程でエジェクタピン37が外力を受けて縮退し、R−Pの値は相当に大きくなる。
【0033】
なお、型閉じ工程で受ける外力によりエジェクタピン37が縮退するのは、固定側金型a2との直接干渉によりエジェクタロッド31が縮退する場合であって、エジェクタピン37の設定復帰位置を極端に前方に設定してしまった場合に限られる。また、射出保圧工程で受ける外力によりエジェクタピン37が縮退するのは、樹脂に作用する射出保圧圧力を受けてエジェクタピン37が縮退する場合であって、固定側金型a2と直接干渉するほどではないにしろエジェクタロッド31の設定復帰位置を必要以上に前方に設定してしまった場合には常におこり得る。そして、これら2つの原因のいずれかによりエジェクタピン37が縮退したのだとすれば、製品に異常が生じる可能性がある。エジェクタピン37の縮退が検出されているとはいえ、必ずしも元位置にまで縮退させられているという保証はないからである。このような問題は、多くの場合、リターンスプリング35を備えていない金型構造において生じ易い。当然、リターンスプリング35の付勢力が十分であれば、必ずしも、固定側金型a2との干渉や射出保圧による外力が作用せずともエジェクタプレート33が適切な位置にまで自動的に後退することは有り得る。この場合、型閉じ動作が開始される前、つまり、直前の成形サイクルにおける製品離型作業が完了してエジェクタ用サーボモータMの励磁が解除された時点、または、エジェクタロッド31の手動操作が完了して“エジェクタ”の動作項目選択が解除されることによりエジェクタ用サーボモータMの励磁が解除された時点でエジェクタプレート33が適切な位置にまで自動的に後退しているはずであるから、設定復帰位置の異常が製品に直接の悪影響を与えることはないだろうが、エジェクタロッド31が容易に縮退可能であるにせよ、縮退の際にある程度の負荷が必要とされるのは否めない事実で、その結果、設定復帰位置の異常がエジェクタピン37の復帰動作の遅れとなって現れる場合がある。そして、エジェクタピン37の復帰動作の遅れはエジェクタピン37の正常な往復動作を妨げるので、製品離型作業時にエジェクタピン37の突出し動作を繰り返し行うような場合に問題となる。
【0034】
以上は第1回目の成形サイクルにおいてステップS7の判別結果が真となった場合のことであるが、第2回目以降の成形サイクルの場合も、ほぼ、これと同じことがいえる。但し、第2回目以降の成形サイクルでは、必ず、直前の成形サイクルにおける製品離型作業終了時の復帰位置Rとその時点で実行されている成形サイクルの型開き時のエジェクタロッド31の位置PによりステップS7の判別処理が実行されるので、直前の成形サイクルにおける製品離型作業終了時の復帰位置Rよりもその時点で実行されている成形サイクルの型開き時のエジェクタロッド31の位置Pの方が実際に後退しているといった場合でないと異常を検出することはできない。つまり、エジェクタロッド31の設定復帰位置が正しい位置よりも前方に設定されていた場合であっても、エジェクタロッド31がリターンスプリング35の力により正しい位置に復帰できる限り、基本的には、設定異常として検出されないのである。しかし、本実施例においては、直前の成形サイクルにおける製品離型作業終了時の復帰位置Rの検出タイミングが、エジェクタロッド31を復帰させるためのエジェクタ用サーボモータMへのパルス分配完了後かつ励磁解除前の時点として設定されているので(ステップS14参照)、リターンスプリング35によってエジェクタロッド31が縮退させられる前の復帰位置Rが検出されることになり、結果的には、設定復帰位置Rと現在位置Pとに基いて判別処理を行う第1回目の成形サイクルの場合と同様、エジェクタロッド31の設定復帰位置(=パルス分配完了時点におけるエジェクタロッド31の位置)が正しい位置よりも前方に設定されているならば、この設定異常は常にステップS7の判別処理で検出されることになる。当然、リターンスプリング35を備えない金型構造においてはパルス分配完了時点におけるエジェクタロッド31の位置がそのまま保持されるので、設定復帰位置の異常を検出するためのRの検出タイミングに格別の制限事項はない(要するに、ステップS13より後で1成形サイクル完了までの時点であればよい)。また、エジェクタロッド31の設定復帰位置が正しい位置よりも縮退側に設定されていた場合には、どのような事情があるにせよエジェクタロッド31が強制的に縮退されることはないのでR−P=0<εが常時成立する。従って、エジェクタロッド31の設定復帰位置が正しい位置よりも縮退側に設定されていた場合の設定誤りをステップS7の処理によって検出することは不可能であるが、既に述べた通り、エジェクタロッド31が必要以上に後退することには格別の問題はない。
【0035】
以上に述べた通り、R−P>εとなってステップS7の判別結果が真となった場合には、いずれにせよ、エジェクタロッド31の設定復帰位置に関する設定ミスがあることを意味する。従って、ステップS7の判別結果が真となった場合、PMC用CPU18はディスプレイ付手動データ入力装置29のディスプレイに“エジェクタ復帰位置の設定が異常です”等の警戒メッセージを表示し、設定異常のあることをオペレータに知らせる(ステップS8)。
【0036】
ステップS7の判別結果が真となった場合に直ちに成形作業を自動停止とせずに警戒表示にとどめるのは、既に述べた通り、本実施例においては、十分な射出保圧圧力が与えられる限り、エジェクタロッド31の復帰位置の設定が誤って前方になされていたとしても、依然として、正常な製品が成形される余地があるからである。製品の良否の判定、および、設定復帰位置の設定異常が実際に射出成形金型の破損といった大きな問題に結び付くか否かの判定は、最終的にオペレータに任される。
【0037】
なお、ステップS8の処理で警戒メッセージを表示する際にR−Pの値を数値表示するようにしてもよい。エジェクタピン37を元位置復帰させるに足る弾性を有したリターンスプリング35を備えない射出成形金型を装着して射出成形作業を行っているときにR−Pの値が極端に大きくなったとするなら、必然的に、型閉じ動作の際に固定側金型a2とエジェクタピン37の先端とが干渉していることを意味し、このような射出成形作業を繰り返し実行すると、固定側金型a2のキャビティ40に傷が付き、この傷が製品の外部に転写されて好ましくない結果を生むので、オペレータは直ちに射出成形作業を停止させ、設定復帰位置を再設定すべきである。ランナー部分にのみエジェクタピン37を配してランナーと製品を同時に可動側金型a1から離型させる金型構成ではこの限りではないが(製品には傷が付かない)、エジェクタピン37の衝突で固定側ランナーブロックに生じた傷にランナーが食い付いて固定側残留が生じる危険や、先端の変形したエジェクタピン37自体にランナーが食い付いて正常な離型作業を行えなくなる危険があるので、やはり成形作業は停止させるべきである。また、R−Pの値が比較的小さなものであればエジェクタピン37と固定側金型a2との直接干渉はなく、エジェクタピン37が樹脂圧によって押し戻されていることを意味するので、製品自体に異常がない限り連続運転は可能である。
【0038】
ステップS7の判別処理もしくはステップS8の表示処理を終了したPMC用CPU18は、次いで、エジェクタ用サーボモータMを当該成形サイクル開始後始めて励磁し(ステップS9)、CNC用CPU25にエジェクト指令を出力して、不揮発性メモリ24に設定記憶された突出目標位置に向け、サーボCPU20の駆動制御の下、エジェクタ用サーボモータMにパルス分配を実行してエジェクタロッド31の突出を開始させる(ステップS10)。エジェクタロッド31が設定復帰位置よりも後方に強制的に押し下げられていたような場合では、位置制御ループに蓄積された位置偏差のためにエジェクタ用サーボモータMが駆動開始の初期段階で強力に駆動される場合もあるが、既に型開きは完了しており、また、成形状態さえ正常であれば製品の離型に必要とされる突出し力も小さなものであるから、エジェクタピン37に座屈や変形が生じることはなく、駆動制御開始時点で蓄積されていた位置偏差もすぐに解消される。そして、エジェクタ用サーボモータMに対するパルス分配が完了すると、PMC用CPU18は、サーボCPU20およびサーボアンプ15を介し、この時点でエジェクタ用サーボモータMに流れている駆動電流の値Cを直ちに検出し(ステップS11)、その値が予め設定された許容値Aの範囲内にあるか否か、つまり、エジェクタ用サーボモータMに過大な負荷が作用していないかどうかを判別する(ステップS12)。エジェクタピン37の突出が突出目標位置に到達するまでにその移動が妨げられればパルス分配完了時点における位置偏差の値が増大して駆動電流が増大するため、パルス分配完了時点における駆動電流の大小によってエジェクタ用サーボモータMに作用する負荷、つまり、エジェクタロッド31に作用する負荷の大小を確認することができるのである。
【0039】
そこで、もし、エジェクタロッド31に作用する負荷が過大となってステップS12の判別結果が真となったならば、PMC用CPU18は、エジェクタ用サーボモータMの励磁を解除し(ステップS16)、射出成形機の駆動制御を中止する。前にも説明した通り、この時点では既に型開き動作が完了しているのでエジェクタピン37の先端が固定側金型a2に干渉してエジェクタロッド31の突出動作が妨げられることはない。この時点でエジェクタロッド31の突出動作が妨げられるとすれば、その原因は、段付きに形成されたエジェクタピン37の大径部がコアプレート38の穴の小径部に無理やり突入しようとしているか、または、それ以前にエジェクタプレート33がコアプレート38に衝接しているかのどちらかである。いずれにせよ、突出目標位置の設定に誤りがあり、必要以上にエジェクタロッド31を突出させようとするからこのような問題が生じるわけで、特に、エジェクタピン37の大径部がコアプレート38の穴の小径部に突入したような場合では、非常に食い付きが激しく、リターンスプリング35の力でエジェクタプレート33を元位置復帰させることは困難である。また、エジェクタプレート33がエジェクタロッド31にボルト等で固定されており元位置復帰が可能であったとしても、このような動作を繰り返すとエジェクタピン37が座屈するので運転を停止しなければならない。エジェクタプレート33がコアプレート38に衝接した程度で射出成形金型Aに損傷が生じることは一般にはないが、このような動作を繰り返し行うと、突出し時の振動によってクランプが緩み、可動プラテンに対する可動側金型a1の取付けにずれが生じる可能性があり、結果的にコアブロックやキャビティブロックのかじり等の損傷に繋がるので、やはり運転を停止しなければならない。
【0040】
一方、ステップS12の判別結果が偽となり、エジェクタロッド31に作用する負荷が軽微であることが確認された場合にはこのような問題はなく、成形運転を継続して行うことができる。この場合、PMC用CPU18は、CNC用CPU25にエジェクタ元位置復帰指令を出力して、不揮発性メモリ24に設定記憶された設定復帰位置に向け、サーボCPU20の駆動制御の下、エジェクタ用サーボモータMにパルス分配を実行してエジェクタロッド31の縮退を開始させる(ステップS13)。そして、エジェクタ用サーボモータMに対するパルス分配が完了すると、PMC用CPU18は、RAM19の現在位置記憶レジスタからエジェクタロッド31の現在位置R、つまり、次の成形サイクルで直前の成形サイクルにおける製品離型作業終了時の復帰位置として用いる値Rを読み込んで記憶し(ステップS14)、エジェクタ用サーボモータMの励磁を解除して(ステップS15)、1成形サイクル分のシーケンス制御を終了する。また、エジェクタの突出回数を2回以上に設定した場合には、ステップS10〜ステップS14までの処理を設定回数に合わせて繰り返し実行するようにする。
【0041】
この実施例では、エジェクタロッド31に作用する負荷としてエジェクタ用サーボモータMに流れる駆動電流の値を検出するようにしているが、エジェクタ用サーボモータMに対してオブザーバを組み、このオブザーバからの出力を検出してエジェクタロッド31に作用する負荷としてもよい。なお、オブザーバの構成に関しては、本出願人らが特願平6−113449として提案した型内圧測定方法等により既に開示されているので説明は省略する。また、負荷を検出するタイミングは前述の例に限られるものではなく、例えば、エジェクタロッド31の突出動作中の所定周期毎に駆動電流やオブザーバ出力を検出し、その最大値や平均値等を求めて検出負荷として利用するようにしてもよい。
【0042】
【発明の効果】
本発明のエジェクタ制御方法では製品の離型作業時以外の工程ではエジェクタロッドを駆動するモータが非励磁状態におかれるので、型閉じや型締および射出動作時におけるエジェクタロッドの移動が自在となる。この結果、エジェクタロッドの復帰位置を誤って突出側に設定し、型閉じ時にエジェクタピンの先端が固定側金型に干渉してしまったような場合でも、固定側金型からの押圧力によりエジェクタピンが容易に縮退することができ、エジェクタピンや射出成形金型の損傷が防止される。また、エジェクタピンが容易に縮退できるため、十分な射出保圧圧力さえ与えられれば、射出成形金型自体の構造によって規定される位置、つまり、エジェクタピンの先端が製品面と面一となる位置までエジェクタピンを強制的に縮退させることができ、エジェクタロッドの復帰位置を誤って突出側に設定した場合であっても、正常な製品を成形する余地がある。
【0043】
また、直前の成形サイクルにおける製品離型作業完了時点におけるエジェクタロッドの復帰位置、つまり、エジェクタロッドの設定復帰位置と、固定側金型との衝突または射出保圧圧力により押し戻されたエジェクタロッドの復帰位置との差が所定値を越えると設定異常検出信号が出力されるので、エジェクタロッドの復帰位置に関する設定異常を簡単に知ることができる。
【0044】
更に、突出動作時のエジェクタロッドに作用する負荷が許容値を越えると設定異常検出信号が出力されるので、エジェクタロッドの突出目標位置を大幅に誤って設定した場合であっても、エジェクタピンの過大な突出によって生じる可動側金型のコアプレートとの干渉によるエジェクタピンの座屈や射出成形金型の破損を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエジェクタ制御方法を適用した一実施例の射出成形機の要部と一般的な射出成形金型の製品離型機構の要部を示すブロック図である。
【図2】同実施例の射出成形機におけるシーケンス制御の概略を示すフローチャートである。
【図3】シーケンス制御の概略を示すフローチャートの続きである。
【符号の説明】
10 数値制御装置
15 サーボアンプ
18 PMC用CPU
20 サーボCPU
31 エジェクタロッド
33 エジェクタプレート
35 リターンスプリング
37 エジェクタピン
40 キャビティ
A 射出成形金型
a1 可動側金型
a2 固定側金型

Claims (3)

  1. 製品離型作業時にモータでエジェクタロッドを突出させて製品の離型作業を行う射出成形機のエジェクタ制御方法において、製品の離型作業時においてのみ前記モータを励磁するようにしたことを特徴とする射出成形機のエジェクタ制御方法。
  2. 直前の成形サイクルにおける製品離型作業完了時点におけるエジェクタロッドの復帰位置を記憶しておき、次の成形サイクルの型閉じ完了以降製品離型作業開始以前の設定タイミングで前記エジェクタロッドの位置を検出し、該検出位置と前記復帰位置との差が所定値を越えると設定異常検出信号を出力するようにした請求項1記載の射出成形機のエジェクタ制御方法。
  3. 突出動作時のエジェクタロッドに作用する負荷を検出し、該負荷が許容値を越えると設定異常検出信号を出力するようにした請求項1または請求項2記載の射出成形機のエジェクタ制御方法。
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