JP3590163B2 - 射出成形機の型締制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形機の型締制御装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
型締の工程において固定側金型と可動側金型との接触が開始される接触開始位置の手前(金型保護開始位置)から型締力発生開始位置(金型タッチ位置)までの区間で射出成形機の金型保護機能を作動させ、型締装置のモータを低トルク(金型保護力)で駆動して型締動作を行わせるようにした射出成形機が既に公知である。
【0003】
一般に、カタログスペック上では、金型保護開始位置から金型タッチ位置までの区間の型締速度(金型保護速度)や金型保護力および金型保護開始位置の設定に関しては、最大型締速度やモータの実用最大トルクおよび最大型開きストロークを限界として任意に設定できるものとされており、金型保護開始位置から金型タッチ位置までの区間で金型保護力を上限として型締力に制限を加えることにより、離型不良となった成形品やスプルーランナーの挟み込み等によるコア折れを始めとする金型各部の損傷を防止するようにしている。当然、その目的からして、金型保護力としては、ムービングプラテンがタイバーとの間の摩擦抵抗等に打ち勝って移動できる最小の型締力を設定することが推奨されている。
【0004】
しかし、実際問題として型締の速度はモータの駆動力による制限を受けるため、金型保護力を小さな値に設定し金型保護速度を大きな値に設定した場合では、金型保護力の制限のために設定した金型保護速度が達成されない場合があり、結果的に、金型保護開始位置から金型タッチ位置までの区間の型締速度が遅くなることがある。
【0005】
金型タッチ位置と金型保護開始位置との間の距離を必要以上に長くとると、この区間における型締速度の低下が成形サイクルの増長に繋がるので望ましくない。そこで、ごく一般的にいって、単純なツープレート金型構造、つまり、接触開始位置と型締力発生開始位置とが一致するような構造を有する射出成形金型においては、この間の距離は成形品1個分程度の幅に設定するのが普通である。なお、ここでいう接触開始位置とは固定側金型の一部と可動側金型の一部とが接触を開始する位置(但し、型締型開き方向に設けられた単純形状のガイドピンとガイドピンブッシュ等との接触は除く)のことであり、また、型締力発生開始位置とは、固定側金型と可動側金型とが完全に一体化して型締動作によるタイバーの伸びが始まる位置であって、前述した単純なツープレート金型構造においては、その両者が金型タッチ位置と同値である。
【0006】
しかし、射出成形金型には、この他にも、成形品のアンダーカットや製品の一体成形に対処する必要上、3方開きや4方開き等の複雑な構成をとらねばならないものが多々ある。この種の射出成形金型では、成形品のアンダーカットの部分を成形するためのスライドコアが型締型開き方向と直交する平面内で移動するように構成されており、更に、これらのスライドコアを型締型開き動作に連動させてスライドさせるための手段、つまり、スライドコアのガイドとなるアンギュラピンやスライドコアのガイド面となる斜面が設けられている。
【0007】
周知の通り、一般的にいって、アンギュラピンは固定側金型のパーティングから可動側金型に向けて突出するように設けられ、また、前記斜面は固定側金型の本体にテーパ溝等として一体に掘り込まれるか、または、ロッキングブロックとして別途固設されている。型締に際しては、まず、アンギュラピンがスライドコアのガイド穴に突入してスライドコアを所定方向に移動させ、しかる後、固定側金型の斜面がスライドコアの肩に直に摺接してこれを前記所定方向に強力に押圧するといった動作が行われる。
【0008】
固定側金型の側にガイドとなる斜面が形成されているにも関わらずアンギュラピンを設けてスライドコアを移動させるのは、型開き時において製品が離型可能な位置にまでスライドコアを退避させるためと、固定側金型の斜面の彫込みを厚くしなくてもスライドコアの移動ストロークを確保できるようにするためである。
【0009】
従って、このアンギュラピンにはある程度の長さが必要であり、単純なツープレート金型構造を有する射出成形金型と比べた場合、スライドコアを備えた射出成形金型では、前述の接触開始位置がかなり手前の側に移動することになる。つまり、金型タッチ位置と金型保護開始位置との間の距離が増長されることを意味し、この区間における型締速度の低下が成形サイクルの増長に与える影響が大きくなるといった問題が生じる。
【0010】
既に述べた通り、金型保護開始位置の設定は任意であって、必ずしも接触開始位置よりも手前に設定しなければならないといったものでもないが、アンギュラピンやスライドコアの摺動部における“かじり”の発生の危険性や、テーパ溝やスライドコア等の配備による金型パーティングラインの凹凸の複雑化で生じる成形品の落下不良(離型時)等の可能性を勘案すれば、接触開始位置もしくはこれよりも手前に金型保護開始位置を設定するのが賢明であり、前述したような従来の型締制御方法では、スライドコアを備えた射出成形金型における型締所要時間の増長を避けるのが難しい。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、前記従来技術の欠点を改善し、スライドコア等を備えた複雑な構成の射出成形金型を使用する場合であっても、短い時間で型締動作を完了させることのできる射出成形機の型締制御装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電動式型締装置を備えた射出成形機において、設定型締条件に基づいて型締動作を行う手段と、該型締条件に基づいて正常な型締動作が行われたときに型締装置のモータに作用する負荷の変動パターンを逐次検出して記憶する手段と、該検出タイミングに対応する前記パターン上の負荷の値に基づいて許容負荷範囲を設定する手段と、以降の型締工程においては前記モータに作用する負荷を逐次検出して該許容負荷範囲と比較する手段を有し、該検出負荷が該許容負荷範囲の上限値を上回ったとき、または該許容負荷範囲の下限値を下回ったときに型締動作を即時停止する手段を備えることを特徴とする。
【0021】
また、型締装置のモータに作用する負荷は、モータの駆動電流、もしくは、該モータに対応して設けられたオブザーバにより推定して求めることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の幾つかに付いて説明する。図1は本発明を適用した一実施形態の射出成形機30の要部を示すブロック図である。符号33はステーショナリープラテン、符号32はムービングプラテン、符号34は射出シリンダ、符号35は射出スクリューであり、ステーショナリープラテン33とムービングプラテン32との間には射出成形金型39が装着されている。ムービングプラテン32は、型締用サーボモータM1の軸出力により、ボールナット&スクリューやトグル機構等からなる型締め装置31を介し、従来と同様、射出成形機のタイバーに沿って移動されるようになっている。また、射出スクリュー35は、駆動源の軸回転を射出軸方向の直線運動に変換するための駆動変換装置37を介して射出用サーボモータM2により軸方向に駆動され、また、歯車機構36を介してスクリュー回転用モータM3により計量回転される。
【0023】
そして、射出スクリュー35の基部にはロードセル等からなる圧力検出器38が設けられ、射出スクリュー35の軸方向に作用する樹脂圧力、即ち、射出保圧工程における射出保圧圧力や計量混練り工程におけるスクリュー背圧が検出されるようになっている。
【0024】
射出用サーボモータM2には射出スクリュー35の位置や移動速度を検出するためのパルスコーダP2が配備され、また、型締用サーボモータM1の側には、ムービングプラテン32を駆動する型締装置31のクロスヘッドの位置を検出するためのパルスコーダP1が配備されている。これらはいずれも公知の構成要素である。
【0025】
射出成形機を駆動制御する制御装置10は、数値制御用のマイクロプロセッサであるCNC用CPU25、プログラマブルマシンコントローラ用のマイクロプロセッサであるPMC用CPU18、サーボ制御用のマイクロプロセッサであるサーボCPU20、ならびに、A/D変換器16および圧力検出器38を介して射出保圧圧力やスクリュー背圧のサンプリング処理を行うための圧力モニタ用CPU17を有し、バス22を介して相互の入出力を選択することにより各マイクロプロセッサ間での情報伝達が行えるようになっている。
【0026】
PMC用CPU18には射出成形機のシーケンス動作を制御するシーケンスプログラム等を記憶したROM13および演算データの一時記憶等に用いられるRAM14が接続され、CNC用CPU25には、射出成形機を全体的に制御するプログラム等を記憶したROM27および演算データの一時記憶等に用いられるRAM28が接続されている。
【0027】
また、サーボCPU20および圧力モニタ用CPU17の各々には、サーボ制御専用の制御プログラムを格納したROM21やデータの一時記憶に用いられるRAM19、および、射出保圧圧力のサンプリング処理等に関する制御プログラムを格納したROM11やデータの一時記憶に用いられるRAM12が接続されている。更に、サーボCPU20には、該CPU20からの指令に基いてエジェクタ用(図示せず),型締用,射出用およびスクリュー回転用等の各軸のサーボモータを駆動するサーボアンプ15が接続され、型締用サーボモータM1に配備したパルスコーダP1および射出用サーボモータM2に配備したパルスコーダP2からの出力の各々がサーボCPU20に帰還され、パルスコーダP1からのフィードバックパルスに基いてサーボCPU20により算出された型締装置31のクロスヘッドの現在位置や、パルスコーダP2からのフィードバックパルスに基いてサーボCPU20により算出されたスクリュー35の移動速度およびその現在位置が、RAM19の現在位置記憶レジスタおよび現在速度記憶レジスタの各々に逐次更新記憶されるようになっている。
【0028】
更に、サーボCPU20には、型締用サーボモータM1に作用する外乱負荷トルクを推定するためのオブザーバとしての機能が設けられている。
【0029】
図6は、位置に対し比例(P)制御を行い、速度に対し比例,積分(PI)制御を行う型締用サーボモータM1の制御系に、外乱負荷トルクを推定するオブザーバを適用したときのブロック線図である。項40のKP は位置ループにおける比例ゲイン、項41は速度ループにおける伝達関数で、K1 は積分定数、K2 は比例定数である。また、項42,43は型締用サーボモータM1の伝達関数で、Ktはトルク定数、Jはイナーシャであり、項44は速度vを積分して位置θを算出する伝達関数である。また、TL は外乱負荷トルクである。なお、Sはラプラス演算子である。
【0030】
位置指令値θrから現在位置θのフィードバック値を減算し、その差の位置偏差ε(=θr−θ)に比例定数KP を乗じ、速度指令値を求め、該速度指令値と実速度vとの差(速度偏差)によってPI制御を行ってトルク指令(電流指令)Iを求め、該トルク指令Iに基いてモータ電流を制御して型締用サーボモータM1を駆動する。型締用サーボモータM1は速度vで回転し、この速度vを積分して位置θが求められる。
【0031】
このようなサーボモータ制御系において、外乱負荷トルクを推定する場合、トルク指令Iとモータ速度vによって外乱負荷トルクを推定する外乱推定オブザーバ45が図6に示すように組み込まれる。
【0032】
外乱推定オブザーバ45の項47,48のK3 ,K4 は外乱推定オブザーバのパラメータであり、項46は実際に型締用サーボモータM1に出力されるトルク指令としての電流値Iに乗じるパラメータの値でモータのトルク定数の推定値Kt * をイナーシャの推定値J* で除した値である。49は積分項である。
【0033】
この図6のブロック図をKt =Kt * 、J=J* として解析すると、
第6式より項48の出力Td1は次の第7式で示される。
【0034】
第7式において、パラメータK3 ,K4 を極が安定するように選択すると、 Td1=TL /Jと近似することができ、全外乱トルクTL を推定することができることを示している。
そして、この全外乱トルクTL から摩擦トルク相当分として速度Vに比例する値(k・v)を減じて、更に、項50でパラメータJ* /Kt * (J* はイナーシャ推定値,Kt * はトルク定数の推定値)を乗じて、トルク指令Iの単位で推定外乱負荷トルクTd2を求める。
【0035】
図7は、サーボCPU20が速度ループ処理周期毎に実施する外乱推定オブザーバの処理のフローチャートである。
【0036】
なお、予め、オブザーバを構成する定数K3 、K4 、トルク定数推定値Kt * 、イナーシャ推定値J* 及び推定摩擦トルクの係数kをROM21内に設定しておく。
【0037】
そして、サーボCPU20は、オブザーバとしての機能を達成するため、速度ループ処理周期毎に図7に示す処理を実行する。
【0038】
まず、位置ループ処理によって求められた速度指令Vcmd とパルスコーダP1からフィードバックされる型締用サーボモータM1の実速度である速度フィードバック値vを読み(ステップC1)、この速度指令Vcmd と速度フィードバック値vより従来と同様に速度ループ処理を行いトルク指令Iを求め、電流ループに引き渡す(ステップS2)。次に、外乱推定オブザーバの処理を開始する。ステップC1で読み取った速度フィードバック値vからレジスタR(va)に記憶する推定速度vaを減じて実速度と推定速度との差Verr を求める(ステップC3)。更に、該差Verr に設定定数K4 を乗じた値を全外乱推定値Td1を記憶するアキュムレータに加算し当該周期における全外乱推定値Td1を求める(ステップC4)。すなわち、ステップC4の処理は図6における要素48の処理である。
【0039】
次に、推定速度vaを記憶するレジスタR(va)にステップC4で求めた全外乱推定値Td1を加算すると共にステップC3で求めた差Verr に定数K3 を乗じた値を加算し、更に、レジスタR(I)に記憶する前周期で読み込んだトルク指令Iに推定トルク定数と推定イナーシャの比(Kt * /J* )を乗じた値を加算し当該周期の速度推定値vaを求め、レジスタR(va)に格納する(ステップC5)。すなわち、ステップC5の処理は、図6における要素46および要素49等の処理によって推定速度vaを求める処理である。
【0040】
次に、ステップC2で読み込んだトルク指令値IをレジスタR(I)に格納し(ステップC6)、ステップC4で求めた全外乱推定値Td1から速度に比例する摩擦トルクk・vを減じた値に推定イナーシャと推定トルク定数の比(J* /Kt * )を乗じて摩擦トルクを除去した推定外乱負荷トルクTd2を求める(ステップC7)。すなわち、全推定外乱値Td1、設定係数k、及びステップC1で読み込んだ速度フィードバック値V、推定イナーシャと推定トルク定数の比(J* /Kt * )により、次の演算を行って推定外乱負荷トルクTd2を求める。
【0041】
Td2=(J* /Kt * )(Td1−k・v)
こうして求められた推定外乱負荷トルクTd2をRAM19に書き込み(ステップC8)、当該速度ループの処理を終了する。
【0042】
以上が、サーボCPU20によるオブザーバの処理の概略であるが、これは、型締用サーボモータM1に作用する負荷をオブザーバによって推定する場合において必要なものであり、型締用サーボモータM1の駆動電流を直接検出して負荷トルクとするような場合には必ずしも必要はない。
【0043】
インターフェイス23は射出成形機30の各部に配備したリミットスイッチや操作盤からの信号を受信したり射出成形機30の周辺機器等に各種の指令を伝達したりするための入出力インターフェイスである。ディスプレイ付手動データ入力装置29はCRT表示回路26を介してバス22に接続され、データ設定画面やモニタ表示画面等を始めとする各種の表示画面の選択操作および各種データの入力操作等が行えるようになっており、数値データ入力用のテンキーおよび各種のファンクションキーやカーソル移動用のカーソル移動キー等を備える。
【0044】
不揮発性メモリ24は射出成形作業に関連する各種設定値,パラメータ,マクロ変数等を記憶する成形データ保存用のメモリである。更に、本実施形態においては、型締用サーボモータM1に作用する負荷との比較対象となる設定値や、設定型締条件に基いて正常な型締動作が行われたときに型締用サーボモータM1に作用する負荷の変動パターン、つまり、正常な型締動作時における負荷の時系列的なサンプリングデータ等がこの不揮発性メモリ24に記憶されるようになっている。
【0045】
以上の構成により、CNC用CPU25がROM27の制御プログラムや不揮発性メモリ24の成形条件等に基いて各軸のサーボモータに対してパルス分配を行い、サーボCPU20は各軸に対してパルス分配された移動指令とパルスコーダP1,P2等の検出器で検出された位置のフィードバック信号および速度のフィードバック信号に基いて位置ループ制御,速度ループ制御さらには電流ループ制御等のサーボ制御を行い、いわゆるディジタルサーボ処理を実行する。
【0046】
なお、トグル機構等からなる型締め装置31の場合においてはパルスコーダP1で検出される位置は実際にはクロスヘッド位置であってムービングプラテン32の位置それ自体ではないが、クロスヘッドの位置とムービングプラテン32の位置とを対応させる変換式およびそれに必要とされる内部処理等については既に公知であるので、ここでは、ムービングプラテン32の位置を直接的に検出できるものとし、飽くまで、ムービングプラテン32の位置を基準として説明を進める。
【0047】
既に述べた通り、本発明は、型締時において型締用サーボモータM1に作用する負荷トルクを検出し、該負荷トルクの検出値と予め設定されている設定値、もしくは、正常な型締動作が行われたときの型締用サーボモータM1の負荷の変動パターンに基いて決められた許容負荷範囲とを比較することによって型締動作の継続または停止を選択的に実行するものであるから、まず最初に、比較対象となる設定値もしくは負荷の変動パターンを制御装置10に設定して記憶させておかなければならない。
【0048】
そこで、まず、オペレータは、これらの設定値なり負荷の変動パターンなりを求めるための処理を実施する必要がある。
【0049】
オペレータは、まず、射出成形機30のステーショナリープラテン33およびムービングプラテン32に射出成形金型39を装着する。この場合の射出成形金型39とはスライドコア等を利用した3方開きや4方開きの金型であって、当然、このスライドコアを作動させるためのアンギュラピンやロッキングブロック(斜面)を備えている。
【0050】
この実施形態で使用している射出成形機30は、従来の電動式射出成形機と同様、型開き完了位置から型締力発生開始位置(金型タッチ位置)までの区間を任意の位置で分割して各区間毎に型締速度を設定して型締動作を行わせることができるようになっているので、オペレータは、まず、ディスプレイ付手動データ入力装置29を操作して、型締時の速度切替位置や各区間毎の型締速度等の型締条件を制御装置10に設定する。当然、分割区間や型締速度の設定は1段であってもよい。
【0051】
既に述べた通り、この種の射出成形金型39は、スライドコアやアンギュラピンおよびロッキングブロック等を備える関係上、単純な2プーレート金型に比べて構造および動作が複雑になっているので、型締速度等は予め低めの値に設定し、制御装置10による駆動制御のもと、型締のドライサイクル運転等を繰り返し実行するなどして射出成形金型39の各部の様子を確認しながら徐々に型締速度の設定値を上げてゆき、射出成形金型39のスライドコアの動作等に異常を生じない最大の型締速度をある程度の安全を見込んだ上で見極めるようにする必要がある。
【0052】
但し、設定型締速度の達成を第一義とし、また、オペレータの目視によって異常の有無を確認しながら型締動作を行わせるようにしているので、金型保護開始位置としての速度切替位置は設定せず、金型保護力の設定による型締用サーボモータM1の駆動トルクの制限も行わない(減速開始位置もしくは加速開始位置として速度切替位置を設定し、分割区間毎に設定型締速度を変える場合はある)。
【0053】
このようにして、オペレータが安全を確認しながら型締速度の設定値を上げて射出成形機30に型締動作を繰り返し実行させる間、PMC用CPU18は、速度ループの処理周期と同期して型締用サーボモータM1の駆動電流(もしくは前述のオブザーバにより推定された外乱負荷変動トルク)の現在値をムービングプラテン32の現在位置と共に所定周期毎に読み込み、これを、正常な型締動作時における負荷の変動パターンとして不揮発性メモリ24のデータ記憶ファイルに時系列的に記憶してゆく。
【0054】
このデータ記憶ファイルには負荷の変動パターンの要素を構成する負荷検出値のデータが1回の型締動作完了毎に順次更新して記憶されてゆくので、最終的にデータ記憶ファイルに残されるデータは、スライドコアやアンギュラピンおよびロッキングブロック等の安全が保証される範囲の最大速度で型締動作を行わせたときの型締用サーボモータM1の負荷の変動パターン、つまり、型締速度の条件出しのために行われた最後の型締動作における負荷の変動パターンと一致する。
【0055】
図3に示す曲線は正常な型締動作が行われた時の負荷の変動パターンの一例であり、このようなグラフは、横軸をムービングプラテン32の位置、縦軸を負荷の検出値として前述のデータ記憶ファイルの内容をドット表示することにより、ディスプレイ付手動データ入力装置29のディスプレイ画面に描画することができる。最終的に必要とされるのは安全が保証される範囲の最大速度で型締動作を行わせたときの型締用サーボモータM1の負荷の変動パターン、つまり、前述の通り、データ記憶ファイルに残された最後のデータであるが、オペレータが型締速度の設定値を順次上げていって最大型締速度の見極めを行う際にも、1型締動作の終了毎にこのようなグラフ画面を更新表示させることが可能であり、安全確認等に役立てることができる。なお、表示処理等に関しては射出圧力や射出速度等をサンプリング表示する従来の高速モニタ処理等と同じであるのでここでは説明を省略する。
【0056】
型締動作の異常を検出するための比較対象となる設定値を1つだけ設定するような場合では、ディスプレイ付手動データ入力装置29に表示されたグラフ、つまり、安全が保証される範囲の最大速度で型締動作を行わせたときの型締用サーボモータM1の負荷の変動パターンの表示を参照して負荷の最大値(但し、型締力発生開始位置から型締完了位置までの区間の値は除く)を求め、これよりも僅かに大きな値を比較対象となる設定値として設定するようにする。安全が保証される範囲の負荷の最大値といっても実際にはある程度の余裕を見込んで型締速度の設定値の条件出しを行っているので、これより僅かに大きな値を許容負荷範囲として設定しても射出成形金型39の各部に損傷が生じるといったことはない。
【0057】
オペレータがグラフ表示を参照して負荷の最大値を求め、その値を基準にして型締動作の異常を検出するための比較対象となる設定値を決める場合について述べたが、負荷の最大値の検出をPMC用CPU18側の処理によって自動的に実行することもできる。その場合、負荷の最大値を仮に記憶するためのレジスタを設け、型締動作開始時点で該レジスタを零に初期化し、以下サンプリング周期毎に負荷の現在値を読み込んで前記レジスタにおける記憶値との大小関係を比較し、大きな方の値をレジスタに更新記憶していくようにすればよい。最終的に前記レジスタに残った値(但し、型締力発生開始位置から型締完了位置までの区間の値は除く)が負荷の最大値であり、この値に許容値βを加えた値が比較対象となる設定値である。
【0058】
型締動作の異常を検出するための比較対象となる設定値を1つだけ設定するような方法は、専ら、型締速度を1段のみで設定する場合に適したものであり、分割区間を複数に設定してその各々に対して異なる型締速度を設定したような場合では、必ずしも適確に対処することができない場合がある。目標値となる型締速度の相違やムービングプラテン32の位置の相違等によって型締用サーボモータM1の駆動に必要とされるトルクに違いが生じる場合があり、ある区間の許容負荷範囲として適した設定値が他の区間に対しては不適となる場合があるからである。特に、スライドコア等を利用した3方開きや4方開きの金型39においては、可動側金型と固定側金型とが完全に一体化する型締力発生開始位置(金型タッチ位置)の手前の接触開始位置で可動側金型のスライドコアと固定側金型のアンギュラピンとの摺接やスライドコアとロッキングブロック(斜面)との摺接が開始されて型締用サーボモータM1に作用する負荷に変化が生じることになるので、この接触開始位置を1つの分割点として複数の分割区間を設定するのが望ましい。
【0059】
そこで、このような場合には、例えば、図3のようなグラフ表示を参照し、型締動作の区間を複数に分割して各区間の各々に対して型締動作の異常検出に適した設定値を求める必要が生じる。図3の例では型締開始位置(型開き完了位置)P0 から型締完了位置PN までをN個に分けて分割区間を設定した場合について示しており、例えば、PN−2 の位置が接触開始位置、PN−1 の位置が型締力発生開始位置(金型タッチ位置)である。このように、オペレータは型締開始位置P0 から型締完了位置PN までの区間を前記条件に基いて分割し、各分割区間の始点および終点をムービングプラテン32の位置を基準に設定し、各分割区間に対して適用すべき設定値の値を決め、各分割区間毎の設定値(許容負荷範囲)を各々の分割区間に対応させて不揮発性メモリ24の設定値記憶ファイルに記憶させる。図3の例ではP0 〜P1 までの区間の設定値をB1 、P1 〜P2 までの区間の設定値をB2 、P2 〜P3 までの区間の設定値をB3 、・・・PN−1 〜PN までの区間の設定値をBN として設定している。なお、設定値BN に関しては実際には型締用サーボモータM1の最大トルクである。
【0060】
図2は、前述のような設定作業完了後、設定型締条件に基いて実施される射出成形作業の各工程においてPMC用CPU18により速度ループの処理周期と同期して実行される型締異常検出処理の概略を示すフローチャートである。
【0061】
型締異常検出処理を開始したPMC用CPU18は、まず、異常検出処理継続フラグFがセットされているか否かを判別する(ステップA1)。異常検出処理継続フラグFがセットされていなければ、いまだに実質的な型締異常検出処理が開始されていないことを意味するので、PMC用CPU18は、更に、実質的な型締異常検出処理を開始する必要があるか否か、つまり、この処理周期が型締動作開始直後の処理周期であるか否かを判別することになる(ステップA2)。
【0062】
なお、ステップA2の実質的な判別基準は型締動作の実行開始時点でセットされる型締実行フラグのON/OFF状態であり、型締実行フラグがONであればステップA2の判別結果が真に、また、型締実行フラグがOFFであればステップA2の判別結果が偽となる。型締実行フラグがOFFであってステップA2の判別結果が偽となれば、改めて型締異常検出処理を開始する必要はないので、PMC用CPU18はこの処理周期における型締異常検出処理を終了し、以下、型締実行フラグのセットが検出されるまでの間、所定周期毎にステップA1およびステップA2の判別処理のみを繰り返し実行する。
【0063】
そして、このような判別処理が繰り返し実行される間に型締動作の開始によって型締実行フラグがセットされ、型締動作開始直後の最初の速度ループの処理に対応する処理周期がステップA2の判別処理で検出されると、PMC用CPU18は、まず、異常検出処理継続フラグFをセットして区間指定指標jに1を初期設定し(ステップA3)、型締用サーボモータM1の駆動電流(もしくは前述のオブザーバにより推定された外乱負荷変動トルク)の現在値Aとムービングプラテン32の現在位置Pとを読み込み(ステップA4)、ムービングプラテン32の現在位置Pが第j段目の分割区間の終点Pj よりも手前側に位置するか否かを判別する(ステップA5)。
【0064】
ムービングプラテン32の現在位置Pが第j段目の分割区間の終点Pj よりも手前側に位置すれば、PMC用CPU18は第j段目の分割区間に対応する許容負荷範囲の設定値Bj を読み込んで型締用サーボモータM1の駆動電流(もしくは前述のオブザーバにより推定された外乱負荷変動トルク)の現在値Aとの大小関係を比較し(ステップA6)、現在値Aの値が設定値Bj の範囲内にあれば、この周期の型締異常検出処理を終了して、型締用サーボモータM1による型締動作をそのまま継続して行わせる。
【0065】
また、現在値Aの値が比較対象となる設定値Bj の値よりも大きければ、PMC用CPU18は、可動側金型のスライドコアと固定側金型のアンギュラピンとの間やスライドコアとロッキングブロック(斜面)との間で“かじり”等の抵抗が作用して型締用サーボモータM1に過大な負荷が作用しているか、もしくは、可動側金型と固定側金型との間で離型不良を来たした成形品やランナ等が挟み込まれているものと判断し、型締用サーボモータM1による型締動作を即時停止させて、射出成形金型39の損傷を防止する(ステップA7)。
【0066】
現在値Aの値が設定値Bj よりも小さく型締用サーボモータM1による型締動作が許容された場合、つまり、ステップA6の判別結果が真となった場合においては、以下、前記と同様の処理が所定周期毎に繰り返し実行されることになるが、第2回目以降の処理周期では既に異常検出処理継続フラグFがセットされているので、ステップA2の判別処理およびステップA3の初期設定処理は非実行とされる。また、ステップA4で読み込まれたムービングプラテン32の現在位置Pがその時点で選択されている第j段の分割区間の終点Pjを越えてステーショナリープラテン33の側に接近すると、ステップA5の判別結果が偽となり、自動的に区間指定指標jの値が歩進されるので(ステップA8)、型締用サーボモータM1の駆動電流(もしくは前述のオブザーバにより推定された外乱負荷変動トルク)の現在値Aは、ステップA6の判別処理において、常に、そのときのムービングプラテン32の現在位置Pを含む分割区間jに対応して設定された設定値Bj と比較されることになる。
【0067】
そして、ムービングプラテン32が型締開始位置P0 から型締完了位置PN まで移動するまでの間、ムービングプラテン32の各位置で検出された型締用サーボモータM1の駆動電流(もしくは前述のオブザーバにより推定された外乱負荷変動トルク)の現在値Aがその区間に対応して設定された設定値Bj を越えなければ、1工程の型締動作が途中で停止することなく最後まで行われ、型締完了時点で、型締実行フラグおよび異常検出処理継続フラグFが自動的にリセットされる。
【0068】
この実施形態では、型締用サーボモータM1の駆動電流を予め制限することなく、設定型締条件の速度を達成すべく型締用サーボモータM1の速度制御を行うようにしているので、設定型締速度を達成するための型締用サーボモータM1の駆動トルクが各区間の設定値Bj を越えない限り、型締条件で設定した通りの型締速度を再現することができる。従って、可動側金型のスライドコアと固定側金型のアンギュラピンやロッキングブロック(斜面)との摺接が開始される接触開始位置から可動側金型と固定側金型とが完全に一体化する型締力発生開始位置(金型タッチ位置)までの区間内でも、実際の型締速度が設定型締速度に比べて遅くなるといったことがなく、従来免れ得なかったトルク制限による型締所要時間の増長が防止される。
【0069】
一方、設定型締速度を達成するために必要とされる型締用サーボモータM1の駆動電流(もしくは前述のオブザーバにより推定された外乱負荷変動トルク)の現在値Aがその区間に対応する設定値Bj を越えれば、型締用サーボモータM1の駆動が強制的に即時停止されるので、可動側金型のスライドコアと固定側金型のアンギュラピンとの間、または、スライドコアとロッキングブロック(斜面)との間の“かじり”等による射出成形金型39の損傷や、成形品およびランナ等の挟み込みによる射出成形金型39の損傷も未然に防止することができる。
【0070】
既に述べた通り、従来の金型保護機構では、ムービングプラテン32がタイバーとの間の摩擦抵抗等に打ち勝って移動できる最小の型締力を金型保護力として設定することが推奨されていたが、実際にムービングプラテン32とタイバーとの間の摩擦抵抗等(当然、スライドコアを備えた金型構成においてはスライドコアとアンギュラピンとの間やスライドコアとロッキングブロックとの間の摺接抵抗を含む)を測定して金型保護力を設定していたわけではないので、金型保護力を必要以上に大きく設定してしまうと金型の損傷を防止することができず、また、金型保護力を極端に小さく設定してしまうと接触開始位置から型締力発生開始位置(金型タッチ位置)までの区間内で型締動作が停止してしまうという場合があったが(特に、スライドコアを備えた金型構成の場合)、この実施形態では正常な型締動作時に型締用サーボモータM1に作用する実際の負荷をサンプリングにより検出して設定値を決めるようにしているので、このような問題は解消され、金型保護機構としても従来のものよりも優れた効果を発揮することができる。
【0071】
以上、型締動作の区間を複数に分割して各区間の各々に対して型締動作の異常検出に適した設定値を設定するようにした場合の例を図2を参照して説明したが、前述した1つのみの設定値による場合も、図2の処理をそのまま適用して実施することができる。その場合、型締力発生開始位置PN−1 を第1段目の分割区間の終点P1 として設定し、これに対応する設定値B1 として前記1つのみの設定値(型締力発生開始位置から型締完了位置までの区間の値を除くデータ記憶ファイルにおける負荷の最大値+βの値)を設定し、更に、型締完了位置PN を第2段目の分割区間の終点P2 として設定し、これに対応する設定値B2 として型締用サーボモータM1の最大トルクの値を設定するようにすればよい。
【0072】
次に、もう1つの実施形態として、設定型締条件に基いて正常な型締動作が行われたときに型締用サーボモータM1に作用する負荷の変動パターンに基いて決められた許容負荷範囲と型締動作時において型締用サーボモータM1に作用する負荷の検出値とを比較して型締動作の継続または停止を選択的に実行するようにした場合の例について説明する。
【0073】
スライドコアの動作等に異常を生じない最大の型締速度で正常な型締動作を行わせたときに型締用サーボモータM1に作用する負荷(型締用サーボモータM1の駆動電流もしくは前述のオブザーバにより推定された外乱負荷変動トルク)の値を速度ループの処理周期と同期して不揮発性メモリ24のデータ記憶ファイルに時系列で記憶させる点に関しては前述の実施形態の場合と同様である。無論、型締動作の分割区間やその設定速度は単段に設定しても複数段に設定してもよい。
【0074】
図4は、この実施形態における型締異常検出処理の概略を示すフローチャートである。前記実施形態の場合と同様、この処理は設定型締条件に基いて実施される射出成形作業の各工程においてPMC用CPU18により速度ループの処理周期と同期して実行される。
【0075】
型締異常検出処理を開始したPMC用CPU18は、まず、異常検出処理継続フラグFがセットされているか否かを判別する(ステップB1)。異常検出処理継続フラグFがセットされていなければ、いまだに実質的な型締異常検出処理が開始されていないことを意味するので、PMC用CPU18は、更に、実質的な型締異常検出処理を開始する必要があるか否か、つまり、この処理周期が型締動作開始直後の処理周期であるか否かを判別することになる(ステップB2)。
【0076】
ステップB2の判別基準は前述の実施形態におけるステップA2と同様であり、型締実行フラグがOFFであってステップB2の判別結果が偽となれば、改めて型締異常検出処理を開始する必要はないので、PMC用CPU18はこの処理周期における型締異常検出処理を終了し、以下、型締実行フラグのセットが検出されるまでの間、所定周期毎にステップB1およびステップB2の判別処理のみを繰り返し実行する。
【0077】
そして、このような判別処理が繰り返し実行される間に型締動作の開始によって型締実行フラグがセットされ、型締動作開始直後の最初の速度ループの処理に対応する処理周期がステップB2の判別処理で検出されると、PMC用CPU18は、まず、異常検出処理継続フラグFをセットしてサンプリングデータ検索指標iに1を初期設定すると共にエラー数積算カウンタCを零に初期化し(ステップB3)、型締用サーボモータM1の駆動電流(もしくは前述のオブザーバにより推定された外乱負荷変動トルク)の現在値Aを読み込む(ステップB4)。
【0078】
次いで、PMC用CPU18は、当該処理周期に対応するデータ記憶ファイルの記憶値Bi (第i番目のサンプリングデータ)を読み込み、この値に上限許容値βを加えた値Bi +β(但し、β>0)と、下限許容値αを減じた値Bi −α(但し、α>0)を求め、Bi −α〜Bi +βの許容負荷範囲内に前記現在値Aが含まれているか否かを判別する(ステップB5)。そして、型締用サーボモータM1に作用する負荷の現在値Aが前記許容負荷範囲内にあれば、PMC用CPU18は、サンプリングデータ検索指標iを歩進して当該処理周期における型締異常検出処理を終了し(ステップB9)、型締用サーボモータM1による型締動作をそのまま継続して行わせる。
【0079】
また、負荷の現在値Aが前記許容負荷範囲を外れてステップB5の判別結果が偽となれば、PMC用CPU18は、エラー数積算カウンタCの値を歩進し(ステップB6)、カウンタCの現在値がエラー数の設定許容値D(不揮発性メモリ24に記憶)を越えているか否かを判別する(ステップB7)。そして、カウンタCの現在値がエラー数の設定許容値Dを越えていなければ、PMC用CPU18は、サンプリングデータ検索指標iを歩進して当該処理周期における型締異常検出処理を終了し(ステップB9)、型締用サーボモータM1による型締動作をそのまま継続して行わせる。また、カウンタCの現在値がエラー数の設定許容値Dを越えていれば、可動側金型のスライドコアと固定側金型のアンギュラピンとの間やスライドコアとロッキングブロック(斜面)との間で“かじり”等の抵抗が作用するか、もしくは、可動側金型と固定側金型との間で離型不良を来たした成形品やランナ等が挟み込まれる等して型締用サーボモータM1に過大な負荷が継続して作用しているものと判断し、型締用サーボモータM1による型締動作を即時停止させて射出成形金型39の損傷を防止する(ステップB8)。
【0080】
ステップB5の判別結果が真もしくはステップB7の判別結果が偽となって型締用サーボモータM1による型締動作が許容された場合、以下、前記と同様の処理がPMC用CPU18により所定周期毎に繰り返し実行されることになる。
【0081】
このような処理が繰り返し実行される間にカウンタCの現在値がエラー数の設定許容値Dを越えれば、PMC用CPU18は、今回の型締動作時における負荷の変動パターンが正常な型締動作時における負荷の変動パターンと一致しないものと見做し、型締用サーボモータM1による型締動作を即時停止させて、射出成形金型39の損傷を防止する(ステップB8)。
【0082】
つまり、この実施形態は、基本的には、1回の型締動作の実行に際して行われる負荷の検出処理において各サンプリング時に対応する許容負荷範囲から外れるサンプリングデータの個数が設定値Dよりも大きいか否かにより、正常な型締動作が行われた時の負荷の変動パターンと各型締動作時の負荷の変動パターンとが一致するか否かを判断し、負荷の変動パターンの一致不一致によって型締用サーボモータM1による型締動作の継続または停止を選択するものであるが、設定値Dの値を零として設定すれば、許容負荷範囲から外れるサンプリングデータが最初に検出された正にその時点で、型締用サーボモータM1による型締動作を即時停止させることもできる。
【0083】
図4に示した例では、ステップB5の処理でデータ記憶ファイルの記憶値Bi を読み込み、この値Bi に上限許容値βを加えたり下限許容値αを減じたりすることにより許容負荷範囲の上限と下限をその都度算出するようにしているが、設定型締条件に基いた正常な型締動作を行ってデータ記憶ファイルを作成した段階で各サンプリング時の検出データBi にβを加えたりαを減じたりすることにより予め各サンプリング時毎の許容負荷範囲の上限Bi +βと下限Bi −αを求めておき、その値自体をデータ記憶ファイルに格納しておいて、ステップB5の処理でこれを読み出して比較するようにしてもよい。
【0084】
いずれの場合においても、型締実行時における各時点の負荷の検出データAが、これに対応するタイミングの正常な型締動作時の負荷の検出データBi を基準に決められた上限Bi +βと下限Bi −αとで構成される許容負荷範囲と比較される点では同一である。また、検出データBi に定数項β,αを加減して許容負荷範囲の上限と下限を求める代わりに、検出データBi に定数項β′,α′(但し、β′>1,0≦α′<1)を乗じて許容負荷範囲の上限と下限を求めるようにしてもよい。正常な型締動作時における負荷の検出データBi とこれによって決まる許容負荷範囲の上限Bi +βおよび下限Bi −αの関係の一例を図5に示す。なお、図5に示したタイミングa,b,cは各々金型の接触開始位置,型締力発生開始位置,型締完了位置に対応するタイミングである。直圧式の型締装置を利用した射出成形機においては、型締開始位置から型締力発生開始位置bまでの区間で必要とされる型締用サーボモータM1の駆動力に比べて型締力発生開始位置bから型締完了位置cまでの区間で必要とされる型締用サーボモータM1の駆動力が大きくなるのが当然だが、既に述べた通り、この実施形態においてはトグル機構等からなる型締め装置31を採用しているためロックアップ位置近傍で型締装置31による力の増幅率が大きく増大し、型締力発生開始位置bから型締完了位置cまでの区間で必要とされる型締用サーボモータM1の駆動力がそれほど大きくはならない。
【0085】
この実施形態では各サンプリング時毎の負荷の検出値をその各々に対応する許容負荷範囲と比較して型締動作の継続または停止を決めるようにしているので、各タイミングに最も適した許容負荷範囲を各タイミングに対応させて設定することができ、検出負荷を1つの設定値もしくは分割区間毎に決められた幾つかの設定値と比較して型締動作の継続または即時停止の判別を行う場合に比べ、より精密な型締制御が達成できる。
【0086】
図4および図5で示した例では、型締用サーボモータM1に作用する負荷と許容負荷範囲とをサンプリング周期(速度ループの周期)を基準に比較する場合について述べたが、ムービングプラテン32の位置を基準にして両者を比較するようにしてもよい。当然、その場合には最初に述べた実施形態の場合と同じように、データ記憶ファイルの作成に際し、速度ループの処理周期と同期して型締用サーボモータM1の駆動電流(もしくは前述のオブザーバにより推定された外乱負荷変動トルク)の現在値と共にムービングプラテン32の現在位置を記憶する必要がある。また、その後の型締工程においては、型締用サーボモータM1に作用する負荷の検出タイミングがPMC用CPU18の処理周期(速度ループの周期)による制限を受けるので、必ずしも、データ記憶ファイルに記憶されたムービングプラテン32の位置と直に対応させて型締用サーボモータM1に作用する負荷を検出するといったことはできない。つまり、その後の型締工程においてPMC用CPU18の処理周期毎に型締用サーボモータM1に作用する負荷を検出したとしても、そのときのムービングプラテン32の位置がデータ記憶ファイルにサンプリング記憶されたムービングプラテン32の位置と一致するとは限らないということである。
【0087】
そこで、この場合、その後の型締工程においてPMC用CPU18の処理周期毎に型締用サーボモータM1に作用する負荷を検出する際にもムービングプラテン32の位置を同時に読み込み、該ムービングプラテン32の現在位置がデータ記憶ファイル上のどの記憶領域に対応するかを、データ記憶ファイルに記憶されたムービングプラテン32の位置に基いて検索し、対応するサンプリング時の負荷データをデータ記憶ファイルから読み込んで許容負荷範囲を求めるようにする。要するに、図3に示されるようなP0 ,P1 ,P2 ,・・・・の各々をデータ記憶ファイル作成時の各サンプリング時におけるムービングプラテン32の現在位置とし、B1 ,B2 ,B3 ,・・・の各々を各サンプリング時の負荷データとして記憶し(但し、図3の例ではB1 ,B2 ,B3 ,・・・は設定値である)、その後の型締工程においてPMC用CPU18の処理周期毎に検出されるムービングプラテン32の位置がP0 〜P1 ,P1 〜P2 ,P2 〜P3 ,・・・のどの領域に位置するかによって、比較対象となる負荷データを検索し、この負荷データに基いて許容負荷範囲を求めるのである。
【0088】
型締用サーボモータM1に作用する負荷と上限および下限を有する許容負荷範囲とを比較して型締動作の継続および停止を選択する実施形態によれば、型締用サーボモータM1に作用する負荷が異常に低くなった場合にも、これを検出して型締動作を停止させることができる。例えば、スライドコアに摺接するアンギュラピンが脱落したり折損により短くなったりしたような場合では、接触開始位置近傍での型締用サーボモータM1の駆動トルクが必然的に減少するので、これを検出して自動的に型締動作が停止され、実際にスライドコアが固定側金型やロッキングブロックに衝突する前の段階で、金型の衝突を未然に防止することができる。つまり、アンギュラピンが脱落したり折損したりした場合はその全長が短くなっているので、ムービングプラテン32が通常の接触開始位置の領域内に侵入しても金型は実際には衝突しないということである。
【0089】
型締条件で設定した通りの型締速度を再現することができるので型締所要時間の増長が防止されるという点、可動側金型のスライドコアと固定側金型のアンギュラピンとの間、または、スライドコアとロッキングブロック(斜面)との間の“かじり”等による射出成形金型39の損傷や、成形品およびランナ等の挟み込みによる射出成形金型39の損傷が未然に防止されるという点、および、接触開始位置から型締力発生開始位置(金型タッチ位置)までの区間内における不本意な型締動作の停止が防止されるといった点に関しては、最初に説明した実施形態の作用効果と同様である。
【0090】
なお、検出負荷を1つの設定値もしくは分割区間毎に決められた幾つかの設定値と比較して型締動作の継続または即時停止の判別を行うようにした最初の実施形態においては、金型の衝突防止の作用効果の点については格別に述べていないが、無論、上限の許容範囲となる設定値Bj の各々に対応して下限の許容範囲となる設定値Bj ′を設定してステップA6の処理でBj ′≦A≦Bj の判別処理を行うようにすれば、金型の衝突防止に関し、後に説明した実施形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
【0091】
【発明の効果】
本発明の型締制御装置は、検出負荷が該許容負荷範囲の上限値を上回ったとき、または該許容負荷範囲の下限値を下回ったときに型締動作を即時停止させて金型の安全を図るようにしているので、従来の型締装置とは相違し、金型保護のために型締装置のモータの駆動電流を予め制限する必要がない。従って、設定型締速度を達成するに必要とされるモータの駆動トルクが設定型締速度を維持することができ、スライドコアやアンギュラピンを備えた射出成形金型のように、金型の接触開始位置から型締力発生開始位置までの距離が長い射出成形金型を使用する場合であっても、短時間で型締動作を完了させることができる。また、金型の接触開始位置から型締力発生開始位置までの区間で金型に“かじり”が生じたり成形品およびランナの挟み込みが生じてモータに異常な負荷が作用すると自動的に型締動作が停止されるので、金型の損傷に関する事故も未然に防止できる。
【0092】
また、設定型締条件に基いて正常な型締動作が行われたときに型締装置のモータに作用する負荷の変動パターンから求めた上限および下限を有する許容負荷範囲と型締装置のモータに作用する負荷とを比較して型締動作の継続もしくは停止を選択的に実行するようにしているので、スライドコアを備えた射出成形金型のアンギュラピンが折損したり脱落して負荷が軽減した場合にも自動的に型締動作を停止させることができるようになり、従来不可能であったアンギュラピンの異常で作動不良となったスライドコアと固定側金型との衝突を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の射出成形機の要部を示すブロック図である。
【図2】同実施形態における型締異常検出処理の概略を示すフローチャートである。
【図3】正常な型締動作を行ったときに型締用サーボモータに作用する負荷の変動の一例を示した概念図である。
【図4】もう1つの実施形態における型締異常検出処理の概略を示すフローチャートである。
【図5】正常な型締動作を行ったときに型締用サーボモータに作用する負荷の変動と許容負荷範囲との関係を一例で示した概念図である。
【図6】型締用サーボモータに対応して設けたオブザーバの構成を概念的に示したブロック図である。
【図7】外乱推定オブザーバの処理の概略を示したフローチャートである。
【符号の説明】
10 制御装置
15 サーボアンプ
17 圧力モニタ用CPU
18 PMC用CPU
20 サーボCPU
24 不揮発性メモリ
25 CNC用CPU
31 型締装置
32 ムービングプラテン
38 圧力検出器
39 射出成形金型
M1 型締用サーボモータ
P1 パルスコーダ
Claims (3)
- 電動式型締装置を備えた射出成形機において、設定型締条件に基づいて型締動作を行う手段と、該型締条件に基づいて正常な型締動作が行われたときに型締装置のモータに作用する負荷の変動パターンを逐次検出して記憶する手段と、該検出タイミングに対応する前記パターン上の負荷の値に基づいて許容負荷範囲を設定する手段と、以降の型締工程においては前記モータに作用する負荷を逐次検出して該許容負荷範囲と比較する手段を有し、該検出負荷が該許容負荷範囲の上限値を上回ったとき、または該許容負荷範囲の下限値を下回ったときに型締動作を即時停止する手段を有する射出成形機の型締制御装置。
- 型締装置のモータに作用する負荷を該モータの駆動電流によって検出するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の射出成形機の型締制御装置。
- 型締装置のモータに作用する負荷を該モータに対応して設けられたオブザーバにより推定して求めるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の射出成形機の型締制御装置。
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