JP5374357B2 - 射出成形機のエジェクタ制御装置 - Google Patents
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なお、金型にリターンピンを設けることでエジェクタピンの破損を防止する仕組みは、誤ってエジェクタピンが可動側金型より突き出た状態で金型が閉じた場合、エジェクタピンより先にリターンピンが固定側金型に接触することで、エジェクタピンと固定側金型との直接の衝突を回避し、エジェクタピンが破損することを防止できる場合がある。しかしながら、リターンピンが固定側金型に接触することにより、エジェクタピンを含めてエジェクタ装置や金型が破損に至る場合があった。
従来、射出成形機が駆動するエジェクタ装置の後退端位置の設定方法は、金型を開いた状態で、手動操作によりエジェクタ装置や金型が損傷しないような低速度かつ低トルクでエジェクタ用サーボモータを駆動し、リターンピン又はエジェクタコア等の金型構成部品の位置を目視確認しながら、リターンピン又はエジェクタコア等の金型構成部品が可動側金型の表面より突き出ない状態でエジェクタ用サーボモータの駆動を停止し、この停止した位置を表示装置から読み取り、エジェクタ後退端位置として制御装置に手動設定していた。そのため、オペレータが操作方法を間違えたり、エジェクタ後退端位置を誤設定すると、エジェクタ装置や金型を破損させたりする場合があった。
特許文献1に開示される技術では、エジェクタ装置のエジェクタロッドに検出器を追加することで、エジェクタロッドがエジェクタプレートに接触する位置を検出してエジェクタ後退端位置を設定することができる。同様に、エジェクタロッド以外の場所に近接スイッチ等の検出器を追加することで、エジェクタ装置や金型の構成部品が接触する位置を検出してエジェクタ後退端位置を設定する手段もある。
特許文献4に開示される技術では、金型を設置/非設定の2成形サイクル分の電流を計測して比較することでエジェクタ突出開始位置を検出できる。
特許文献5に開示される技術では、成形品のエジェクト動作時以外は、モータの励磁を切ることで、リターンピンが固定側金型に衝突した衝撃を緩和し、エジェクタ装置や金型の損傷を緩和することができる。
特許文献2や特許文献3に開示される技術では、エジェクタ前進端位置においては、リターンピンは可動側金型より突き出た状態となっており、リターンピンの先端が可動側金型に収まった状態であるべきエジェクタ後退端位置は検出できなかった。
請求項3に係る発明は、前記記憶したエジェクタ位置に予めパラメータとして設定された距離を減じた位置を前記エジェクタ装置のエジェクタ後退端位置として前記エジェクタ用サーボモータを制御することを特徴とする請求項1または2のいずれか一つに記載の射出成形機のエジェクタ制御装置である。
請求項5に係る発明は、前記エジェクタ後退端位置を表示装置に表示することを特徴とする請求項2または3のいずれか一つに記載の射出成形機のエジェクタ制御装置である。
請求項6に係る発明は、前記エジェクタ装置のエジェクタ位置が前記ジェクタ後退端位置を超えると異常検出信号を出力することを特徴とする請求項2または3のいずれか一つに記載の射出成形機のエジェクタ制御装置である。
図1は、本発明に係るエジェクタ装置のシステム構成を説明する図である。射出成形機10は、射出成形機本体30と射出成形機本体30を制御する制御装置50とから構成される。
射出成形機本体30は、機台45上にリアプラテン33、可動プラテン37、および固定プラテン43を立設して備えている。リアプラテン33と固定プラテン43とは複数本のタイバ(図示せず)によって連結されている。また、可動プラテン37は複数本の前記タイバに摺動自在に配置されている。
サーボインタフェース53を介して取得した金型開閉用サーボモータ32の第1の位置検出器31やエジェクタ用サーボモータ35の第2の位置検出器34からの位置フィードバック信号や検出駆動電流信号に基づいて金型開閉用サーボモータ32の位置および速度、エジェクタ用サーボモータ35の位置、速度、およびトルクを制御する制御手段である。成形データ保存用メモリ56は、射出成形作業に関する成形条件と各種設定値、パラメータなどを記憶しており、エジェクタロッド38の突き出し目標位置、エジェクタ後退端位置PosEjectBackなどが記憶される。
る。図2(a)は型閉の開始の時の状態、図2(b)はリターンピン48が金型に接触した状態、図2(c)は型閉じの終了状態を説明する図である。なお、図2に示されるリターンピン48の位置は、金型交換の終了後などの段取り作業の中で行われるエジェクタ後退端位置PosEjectBackを求める状態の場合である。あるいは、自動サイクル運転中にエジェクタ後退端位置PosEjectBackに異常が発生した状態の場合である。
なお、エジェクタ用サーボモータ35のトルク制限値Tlimitは、金型交換後の調整時や自動運転時等の射出成形機の運転モード毎に異なるトルク制限値Tlimitを設けて使い分けても良い。
PosPlaten :エジェクタのトルクを切り換える可動プラテン位置
PosTouch :金型が閉じた状態の可動プラテン位置
EjectStroke : リターンピン48の最大ストローク
α : マージン
続いて、このエジェクタ用サーボモータ35のトルク制限値Tlimitを低トルクTlowに切り換えた状態のまま、金型開閉用サーボモータ32を駆動して可動プラテン37を前進させ可動側金型40を閉じ続けると、図2(b)に示されるようにリターンピン48が固定側金型42表面に接触する。しかし、エジェクタ用サーボモータ35のトルク制限値Tlimitを低トルクTlowに変更してあるので、リターンピン48にかかる力は緩んでおり、リターンピン48と固定側金型42が接触した際の衝撃は小さく、エジェクタ装置や金型を破損することはない。
図3は、エジェクタのトルクと可動プラテンの位置または時間との関係を説明する図である。図3(a)は、型閉じの開始位置からの可動プラテン位置、または型閉じの開始からの経過時間に対するエジェクタ用サーボモータのトルクである。
なお、図4に示されるように、可動側金型40と固定側金型42とが密着した状態において、可動側金型40と固定側金型42の間にキャビティ空間47等の隙間がある。リターンピン48が無い金型では、エジェクタピン41が可動側金型40の表面から前記隙間へ突き出た状態で停止する。
PosEjectBack :エジェクタ後退端位置
PosEject :成形データ保存用メモリに記憶したエジェクタ位置
CavitySize :キャビティ空間等の隙間のサイズ
さらに、図5に示されるように、前記記憶されたエジェクタ位置またはエジェクタ後退端位置PosEjectBackを表示装置/MDI60に表示することもできる。図5は、表示装置の操作画面の一例を説明する図である。符号300は、エジェクタ後退端位置の表示を表す。符号302は、エジェクタ用サーボモータのトルクを切り換える可動プラテン位置の表示を表す。符号304は、エジェクタ後退速度の表示を表す。符号306は、エジェクタ前進速度を表す。符号308は、エジェクタ前進端位置を表す。符号310は、エジェクタ後退端位置(検出値)を表す。
●[ステップSA100]エジェクタのトルク制限値Tlimitを通常のトルク値Tstdに設定する。
●[ステップSA101]型閉じ開始。
●[ステップSA102]現在の可動プラテン位置データを取得しCPとする。
●[ステップSA103]現在の可動プラテン位置データを表すCPはエジェクタ用サーボモータのトルク値を切り換える可動プラテン位置データを表すPosPlaten以上であるか否か判断し、CPがPosPlaten以上である場合にはステップSA104へ移行し、以上でない場合にはステップSA102に戻る。つまり、可動プラテンがエジェクタ用サーボモータのトルクを切り換える位置に達するのを監視する。
●[ステップSA104]エジェクタ用サーボモータのトルク制限値Tlimitを、金型を破損しない低トルク値Tlowとする。
●[ステップSA105]現在の可動プラテン位置データを取得しCPとする。
●[ステップSA106]現在の可動プラテン位置CPは型閉じ終了時の可動プラテン位置CPend以上であるか否か判断し、CPがCPend以上である場合には、ステップSA107へ移行し、以上でない場合にはステップSA105へ移行する。
●[ステップSA107]検出したエジェクタ位置PosEjectをエジェクタ後退端位置PosEjectBackとする。
●[ステップSA108]エジェクタのトルク制限値Tlimitを通常のトルク値Tstdに戻し、処理を終了する。
●[ステップSB100]型閉じ開始。
●[ステップSB101]現在のエジェクタ位置データを取得しPosEjectとする。
●[ステッSB102]現在のエジェクタ位置PosEjectはエジェクタ後退端位置PosEjectBackより小さいか否か判断し、小さい場合にはステップSB103へ移行し、小さくない場合にはステップSB104へ移行する。
●[ステップSB103]異常検出信号を出力し、アラームメッセージを表示装置に表示する。
●[ステップSB104]型閉じ終了か否か判断し、終了の場合は今回の処理を終了し、型閉じ終了でないならステップSB101へ戻り、処理を継続する。
また、最適なエジェクタ後退端位置を使用して自動運転を行なうので、成形サイクル時間を長くするような無駄なエジェクタの前進/後進動作を排除することができ、良好な生産効率を維持することができる。
30 射出成形機本体
31 第1の位置検出器
32 金型開閉用サーボモータ
33 リアプラテン
34 第2の位置検出器
35 エジェクタ用サーボモータ
36 エジェクタ駆動機構
36a ベルト
36b プーリ
37 可動プラテン
38 エジェクタロッド
39 エジェクタプレート
40 可動側金型
41 エジェクタピン
42 固定側金型
43 固定プラテン
44 金型開閉機構
44a ベルト
44b プーリ
44c ボールネジ
44d トグル機構
45 機台
46 成形品
47 キャビティ空間
48 リターンピン
49 バネ
50 制御装置
51 第1のサーボアンプ
52 第2のサーボアンプ
53 サーボインタフェース
54 バス
55 プロセッサ
56 成形データ保存用メモリ
57 表示回路
58 入出力回路
59 警告灯
60 表示装置/MDI
61 RAM
62 ROM
Tlimit エジェクタ用サーボモータのトルク制限値
Tstd 通常のトルク値
Tlow 金型を破損しない低トルク
Tr 実トルク
PosEject エジェクタ位置
PosEjectBack エジェクタ後退端位置
PosPlaten エジェクタ用サーボモータのトルクを切り換える可動プラテン位置
CP 現在の可動プラテン位置
CPend 型閉じ終了時の可動プラテン位置
Claims (6)
- 成形品を金型より排出するエジェクタ装置を備えた射出成形機のエジェクタ制御装置において、金型開閉用サーボモータで金型を閉じる手段と、可動プラテンが所定の位置に到達したらエジェクタ用サーボモータのトルク制限値を変更する手段と、型閉じ後にエジェクタ位置を検出する手段と、前記検出したエジェクタ位置を記憶することを特徴とする射出成形機のエジェクタ制御装置。
- 前記記憶したエジェクタ位置を前記エジェクタ装置のエジェクタ後退端位置として前記エジェクタ用サーボモータを制御することを特徴とする請求項1に記載の射出成形機のエジェクタ制御装置。
- 前記記憶したエジェクタ位置に予めパラメータとして設定された距離を減じた位置を前記エジェクタ装置のエジェクタ後退端位置として前記エジェクタ用サーボモータを制御することを特徴とする請求項1または2のいずれか一つに記載の射出成形機のエジェクタ制御装置。
- 前記記憶したエジェクタ位置を表示装置に表示することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の射出成形機のエジェクタ制御装置。
- 前記エジェクタ後退端位置を表示装置に表示することを特徴とする請求項2または3のいずれか一つに記載の射出成形機のエジェクタ制御装置。
- 前記エジェクタ装置のエジェクタ位置が前記ジェクタ後退端位置を超えると異常検出信号を出力することを特徴とする請求項2または3のいずれか一つに記載の射出成形機のエジェクタ制御装置。
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