JP2017030238A - 金型保護方法および装置、型締装置 - Google Patents

金型保護方法および装置、型締装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2017030238A
JP2017030238A JP2015152557A JP2015152557A JP2017030238A JP 2017030238 A JP2017030238 A JP 2017030238A JP 2015152557 A JP2015152557 A JP 2015152557A JP 2015152557 A JP2015152557 A JP 2015152557A JP 2017030238 A JP2017030238 A JP 2017030238A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mold
torque
theoretical
servo motor
actual
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015152557A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6537920B2 (ja
Inventor
卓 也 五十嵐
Takuya Igarashi
卓 也 五十嵐
田 淳 也 藤
Junya Fujita
田 淳 也 藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shibaura Machine Co Ltd
Original Assignee
Toshiba Machine Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Machine Co Ltd filed Critical Toshiba Machine Co Ltd
Priority to JP2015152557A priority Critical patent/JP6537920B2/ja
Publication of JP2017030238A publication Critical patent/JP2017030238A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6537920B2 publication Critical patent/JP6537920B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

【課題】移動金型と固定金型の間に異物が挟まるなどの異常を検知する基準となる型締モータの理論動作トルクを正確に求めることにより、特に、型閉減速中であっても高応答の異常検知を可能にする。【解決手段】この金型保護方法は、予め型閉動作試験を実施し、サーボモータ40が型閉動作の過程で実際に出力する実動作トルクを記録し、サーボモータ40が型閉動作の過程で出力する力学理論上の理論トルクを算出し、前記実動作トルクに近似するように、前記理論トルクを補正し、実際の成形工程の型閉動作では、補正された前記理論トルクと型閉動作時の実動作トルクとを比較し、前記実動作トルクと理論トルクの差が所定のしきい値を超えたことを検知することにより、金型に異常が生じたと判定し、金型保護動作を行う。【選択図】図1

Description

本発明は、射出成形機やダイカストマシンなどで用いられている型締装置における金型保護方法および装置に関する。
射出成形機やダイカストマシンなどの成形装置で用いられている型締装置は、固定金型が取り付けられる固定盤と、移動金型が取り付けられる移動盤と、を備えている。この型締装置では、トグルリンク式の型締装置が広く利用されており、電動駆動されるトグルリンク機構の屈伸によって、移動盤を進退動させ、金型の型閉、型締めおよび型開を行っている。
ところで、成形サイクル中に、開いている金型の間に、例えば成形品や工具などを落したり、うっかり置き忘れてしまうことがある。このような異物の存在に気づかずに、金型型閉動作を行うと、金型の間で異物を挟んでしまうことがある。その場合に、型閉動作をそのまま継続してしまうと、金型を損傷させてしまう虞がある。
このため、従来の型締装置では、型閉動作中に固定金型と移動金型の間に介在する異物を検知し、型閉動作を停止させるなどの金型保護動作を行う機能を有するものが知られている(例えば、特許文献1乃至4)。
このうち、特許文献1−3では、トグルリンク機構を駆動する型締モータのトルクにあらかじめ制限値や許容限界値を設定しておき、型締モータの実動作トルクが制限値や許容限界値を超えた場合に、固定金型と移動金型の間に異物を挟み込む異常が発生したものと判断し、型締モータを停止させる金型保護方法が開示されている。
ここで、図8は、型閉動作時に、トグルリンク機構を駆動する型締モータのトルク変化を示すグラフである。
以下、図8を参照して、従来の一般的な金型保護動作について説明する。
この図8において、横軸は移動金型の位置を示し、右に行くにしたがって固定金型に近づいていく。縦軸は型締モータのトルクを示す。
型閉工程では、移動金型が固定金型に向かって移動し、減速区間に入ると減速される。その後、移動金型は一定の遅い速度で固定金型に接近していく。この間、正常に型閉動作が行われた場合の型締モータのトルク変化は、実線で示すトルク曲線100のようになる。
型閉動作中に、固定金型と移動金型との間に異物が挟まるなどの異常発生を検知する基準になるのが、参照符号102で示す異常検知トルクである。低速で金型を閉じる型閉動作では、型締モータの負荷は徐々に下がっていくので、これに対応させて、異常検知トルク102は、右肩下がりの直線となるように設定されている。
そこで、移動金型が固定金型に低速で接近しているときに、位置P1で異物に接触したとする。この時、移動金型と固定金型とで異物を挟み込むことになるので、型締モータのトルクは2点鎖線で示すように急激に上昇する。型締モータのトルクと異常検知トルクとは比較され、型締モータのトルクが異常検知トルクに達した時点で、異常の発生が検知され、型締モータを停止させるなどの金型保護動作が行なわれる。このような定速区間での異常検知は、異物を挟みこんでから遅れることなく、速やかに検知される。
これに対して、減速区間での異常検知は、異物を挟み込んでから遅れてしまうという問題があった。これについて図9を参照して説明する。
図9は、減速区間で異物を挟み込んだ場合の型締モータのトルクの変化を実機で測定した例を示す。図9において、減速区間内の位置P2は、移動金型が異物と接触した位置である。
移動金型が異物と接触した直後に、トルクが上昇することになるが、この位置での異常検知トルク102の設定値は、高く設定されているので、異物接触直後に異常は検知されない。
その後、移動金型が定速で異物を挟み込みながら移動し、型締モータのトルクが異常検知トルク102を超えたときにはじめて異常が検知されるので、減速中の異常検知には、定速時とは異なり移動金型が異物と接触し始めた時点からかなりの遅れが発生することになる。
本出願人は、減速中に異物を挟み込んだ場合の異常検知の遅れを防止するために、特許文献4において新たな金型保護の技術を提案している。
すなわち、この特許文献4に係る金型保護方法は、型閉動作時の型締モータの理論動作トルクを表すトルク波形をあらかじめ設定した内部パラメータ、型閉条件等に基づいて理論上から計算し、この理論動作トルクと、型締モータの実動作トルクとを比較しながら監視し、異物の挟み込みなどの異常を検知するというものである。
特開2006−334820号公報 特開2004−330527号公報 特開2004−142211号公報 特開2014−124793号公報
しかしながら、実際には、型閉動作時の実動作トルクと同等のトルク波形となるような理論動作トルクを、内部パラメータや型閉条件のみに基づく計算で得ることは困難な場合が多かった。これは、実際の型閉動作には、理論動作トルクの計算に考慮していない様々な因子、外乱因子があるためと考えられる。このため、型締モータの理論動作トルクが実際の型締モータの実動作トルクの変化を表す波形からずれていると、高応答での異常検知をできなくなるという問題があった。
本発明は、前記従来技術の有する問題点に鑑みなされたものであって、移動金型と固定金型の間に異物が挟まるなどの異常を検知する基準となる型締モータの理論動作トルクを正確に求めることにより、特に、型閉減速中であっても高応答の異常検知を可能にする金型保護方法および装置、型締装置を提供することを目的としている。
前記の目的を達成するために、本発明に係る金型保護装置は、一方の金型が取り付けられる固定盤と、前記固定盤と対抗するように配置され、他方の金型が取り付けられる移動盤と、前記移動盤を前後進させて金型の開閉と型締めを行う型締機構と、前記型締機構を駆動するサーボモータを有する駆動機構と、前記サーボモータを制御する制御装置と、を有する型締装置における金型保護方法であって、予め型閉動作試験を実施し、前記サーボモータが型閉動作の過程で実際に出力する実動作トルクを記録し、前記サーボモータが型閉動作の過程で出力する力学理論上の理論トルクを算出し、前記実動作トルクに近似するように、前記理論トルクを補正し、実際の成形工程の型閉動作では、補正された前記理論トルクと型閉動作時の実動作トルクとを比較し、前記実動作トルクと理論トルクの差が所定のしきい値を超えたことを検知することにより、金型に異常が生じたと判定し、金型保護動作を行うことを特徴とするものである。
また、本発明に係る金型保護方法は、一方の金型が取り付けられる固定盤と、前記固定盤と対抗するように配置され、他方の金型が取り付けられる移動盤と、前記移動盤を前後進させて金型の開閉と型締めを行う型締機構と、前記型締機構を駆動するサーボモータを有する駆動機構と、前記サーボモータを制御する制御装置と、を有する型締装置に用いられる金型保護装置であって、前記サーボモータが型閉動作の過程で実際に出力する実動作トルクを測定するトルク測定手段と、前記サーボモータが型閉動作の過程で出力する力学理論上の理論トルクを算出する理論トルク算出手段と、予め型閉動作試験を実施して記録した前記サーボモータの実動作トルクに近似するように、前記理論トルクを補正する補正手段と、補正された前記理論トルクと、実際の型閉動作時の実動作トルクとを比較し、前記実動作トルクと理論トルクの差が所定のしきい値を超えたことを検知することにより、金型に異常が生じたことを検知する金型異常検知手段と、を具備したことを特徴とするものである。
さらに、本発明に係る型締装置は、一方の金型が取り付けられる固定盤と、前記固定盤と対抗するように配置され、他方の金型が取り付けられる移動盤と、前記移動盤を前後進させて金型の開閉と型締めを行う型締機構と、前記型締機構を駆動するサーボモータを有する駆動機構と、前記サーボモータを制御する制御装置と、前記サーボモータが型閉動作の過程で実際に出力する実動作トルクを測定するトルク測定手段と、前記サーボモータが型閉動作の過程で出力する力学理論上の理論トルクを算出する理論トルク算出手段と、 予め型閉動作試験を実施して記録した前記サーボモータの実動作トルクに近似するように、前記理論トルクを補正する補正手段と、補正された前記理論トルクと、実際の型閉動作時の実動作トルクとを比較し、前記実動作トルクと理論トルクの差が所定のしきい値を超えたことを検知することにより、金型に異常が生じたことを検知する金型異常検知手段と、を具備したことを特徴とするものである。
本発明の一実施形態による金型保護方法が適用される射出成形機の概要を示す側面図である。 本発明の一実施形態による型締装置の概要を示す側面図である。 本発明の一実施形態による金型保護装置が設けられた型締モータの制御系を示すブロック図である。 図3の金型保護装置の構成を示すブロック図である。 成形サイクルを開始する前に実施した型開閉試験で記録した型締モータの実動作トルクの変化と、算出した理論上のトルクを対照して示すグラフである。 補正後の理論トルクの波形と実動作トルクの波形を示すグラフである。 実際の成形サイクルにおいて、型閉動作中に異常が発生した場合の型締モータのトルク変化を示すグラフである。 従来の一般的な金型保護動作を説明する実動作トルクの変化を示すグラフである。 減速区間で異物を挟み込んだ場合の型締モータのトルクの変化を実機で測定した例を示すグラフである。
以下、本発明による金型保護方法および装置、型締装置の一実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態による金型保護方法が適用される射出成形機1の概要を示す図である。図1において、参照番号2は射出成形機1の射出装置を示す。参照番号3は射出成形機1の型締装置を示している。
射出装置2のバレル4には、スクリュ5が回転自在でかつ軸方向に移動可能に挿入されている。樹脂(成形材料、材料)は、ホッパ6からバレル4に投入される。バレル4の周囲には樹脂を加熱する図示しない加熱ヒータが配置されている。射出装置2では、図示しない計量用モータによりスクリュ5を回転させ、樹脂の溶融と混練を行いながら、樹脂をバレル4の前方に溜めることで、計量が行われる。バレル4の前方に溜められた樹脂は、図示しない射出用モータ、ボールねじ及びナットによってスクリュ5を前進させることで、ノズル7から金型19内に形成されたキャビティに充填される。
次に、図2は、本実施形態による型締装置3の概要を示す側面図である。
フレーム11の一端側には、固定ダイプレート(固定盤)20が固定されている。フレーム11の他端側には、受圧盤24が配置されている。固定ダイプレート20と、受圧盤24の間には、移動ダイプレート(移動盤)22がフレーム11上を移動可能に設置されている。固定ダイプレート20には固定金型21が取り付けられ、移動ダイプレート22には移動金型23が取り付けられている。金型19は、固定金型21と移動金型23とを有しており、この金型19によって、つまり固定金型21と移動金型23とを合わせることによって成形品のキャビティが形成されている。
固定ダイプレート20と受圧盤24とは、複数の(例えば、4本の)タイバー36を介して連結されている。タイバー36は、例えば、型閉じをする型閉動作の後の金型を締め上げる(型締めをする)型締動作の際に、トグルリンク機構(トグル機構、型締機構、型開閉機構)28によってもたらされる型締力を受けるようになっている。
図2に示されるように、トグルリンク機構28は、例えば、第1リンク30と第2リンク31と、第3リンク32とによって構成されている。
図2には、上下、左右にそれぞれ設けられているトグルリンクのうち、上側のトグルリンクおよび下側のそれぞれ一方のトグルリンクが示されている、いずれも同一に構成されるものである。
第1リンク30の一端部は、トグルピン34を介して、受圧盤24に連結されている。第1リンク30の他端部は、トグルピン35を介して第2リンク31の一端部と連結されている。この第2リンク31の他端部は、トグルピン37を介して移動ダイプレート22と連結されている。
次に、図2において、参照番号26は、トグルリンク機構28と連結されるクロスヘッドを示している。
クロスヘッド26には、第3リンク32の一端部がトグルピン38を介して連結されている。第3リンク32の他端部は、第1リンク30とトグルピン39を介して連結されている。
この実施形態では、受圧盤24には、トグルリンク機構28の駆動源となる型締モータ40が設けられている。クロスヘッド26の中央部には、サーボモータ40の回転を並進運動に変換してトグルリンク機構28に伝達するボールねじ機構の図示されないナット部が設けられている。このナット部には、ボールねじ27が螺合している。型締モータ40の回転はプーリ25a、25b、タイミングベルト29を介してボールねじ27に伝達される。
次に、型締装置の型閉動作について説明をする。
図2では、トグルリンク機構28の第1リンク30と第2リンク31が伸び、金型19が閉じられた状態が示されている。
すなわち、サーボモータ40が駆動されてクロスヘッド26が型閉じ方向(紙面上の右方)に移動(前進)すると、第1リンク30と第2リンク31が伸びるため、移動ダイプレート22は固定ダイプレート20に向かって前進し、型閉じが行われる。そして、固定金型21に対して、移動金型23が当接した時点で型閉じが完了する。
その後、移動金型23が固定金型21に当接している状態で、トグルリンク機構28を伸ばすと、移動金型23が移動する代わりに、タイバー36が伸び、そのタイバー36が伸びる力の反力で、移動金型23を固定金型21に強く押し付ける型締力が発生する。最終的にはトグルリンク機構28を伸ばすことで、移動金型23は固定金型21に対して所定の型締力で締め付けられる。
本実施形態による型締装置3では、上記のような型閉動作の過程で、成形品や工具などの異物を移動金型23と固定金型21の間に挟み込み、移動金型23または固定金型21を破損させてしまうという事故を防止するために、次のような金型保護装置が設けられている。
ここで、図3は、金型保護装置50が設けられた型締モータ40の制御系を示すブロック図である。
型締モータ40の回転位置および速度は、サーボ制御部42とサーボアンプ44とを有するサーボ機構によって、コントローラ43から与えられる位置指令に追従するように制御される。型締モータ40の回転角度(回転位置)は、エンコーダ45によって検出され、検出された型締モータ40の回転角度を用いて位置フィードバックループ及び速度フィードバックループが形成されている。サーボ制御部42の出力するトルク指令は、型締モータ40に流れる電流のフィードバックと比較され、その偏差がサーボアンプ44で増幅され、サーボモータ40に印加される。金型保護装置50は、このような型締モータ41の制御系に組み込まれている。
次に、図4は、金型保護装置50の構成を示すブロック図である。
本実施形態による金型保護装置50は、型閉動作の過程で、型締モータ40に流れる電流値に基づいて型締モータ40が実際に出力する実動作トルクを測定する実動作トルク測定部60と、型閉動作中の型締モータ40の出力トルクを理論上から求める理論トルク算出部62と、この理論トルクに修正を加えるための補正係数増減部61と、を備えている。
また、金型保護装置50は、型締モータ40の実動作トルクを監視し、この実動作トルクが理論トルクに所定の許容値を加えた異常検知トルクを超えた場合に、金型に異常が発生したことを検知する金型異常検知部64と、を備えている。
まず、型締モータ40の理論動作トルクの算出の仕方について説明する。
図2において、本実施形態のようなトグルリンク式の型締装置3の場合、型締モータ40によって動く主要部分は、プーリ25a、25bとタイミングベルト29からなるベルト伝動機構およびボールねじ27などの回転部の他、クロスヘッド26と、移動ダイプレート22である。
型閉動作中に、型締モータ40にかかる理論上のトルクは、次の(1)式で表されるように、上記主要部分のイナーシャによるトルクと、摺動抵抗によるトルクとの和となる。
Tt=Ti+Ts …(1)
ここで、Tt:理論動作トルク
Ti:イナーシャによるトルク
Ts:摺動抵抗によるトルク
である。
そこで、イナーシャによるトルクTiについて説明する。
イナーシャによるトルクTiは、次の(2)式で表されるように、動く主要部各部のイナーシャと加速度の積の和をとったものとなる。
Ti=αXH・JXH・CXH+αMP・JMP・CMP+αR・JR・CR …(2)
ここで、αXH:クロスヘッド26の加速度
JXH:クロスヘッド26のイナーシャ
CXH:クロスヘッド26のイナーシャに対する補正係数
αMP:移動ダイプレート22の加速度
JMP:移動ダイプレート22のイナーシャ
CMP:移動ダイプレート22のイナーシャに対する補正係数
αR :回転部の加速度
JR :回転部のイナーシャ
CR :回転部のイナーシャに対する補正係数
である。
なお、移動ダイプレート22のイナーシャJMPについては、トグルリンク機構28の影響を受け、このイナーシャJMPは、単位時間あたりのクロスヘッド26の移動量に対する移動ダイプレート22の移動量の比である速度比の二乗に比例する。
図4に示されるように、金型保護装置50では速度比を求める必要があるため、クロスヘッド位置検出部67と、クロスヘッド26の位置とそれに対応する移動ダイプレート22の位置が対になったデータが記憶されたメモリテーブル68が設けられている。
理論トルク算出部62では、検出したクロスヘッド26の位置から移動ダイプレート22の位置と移動ダイプレート22のクロスヘッド26に対する速度比とが演算され、これらから移動ダイプレート22のイナーシャJMPが算出される。
また、各部の加速度αXH、αMP、αRについては、それぞれクロスヘッド26、移動ダイプレート22の移動量、回転部の回転量から加速度が算出される。
また、イナーシャによるトルクTiの算出にあたり、各部のイナーシャJXH、JMP、JRと、加速度αXH、αMP、αRは、型締モータ40のモータ軸相当の値に換算して使用される。各部のイナーシャJXH、JMP、JRは予め計算されて、設定部69を介してメモリテーブル68に内部パラメータとして記憶されている。
この実施形態では、クロスヘッド26、移動ダイプレート22、回転部の各部のイナーシャJXH、JMP、JRについては、それぞれ補正係数CXH、CMP、CRが乗じられる。これらの補正係数CXH、CMP、CRの増減を補正係数増減部61においてすることで、イナーシャによるトルクTiを補正することが可能である。
次に、摺動抵抗によるトルクTsについて説明する。
摺動抵抗によるトルクTsは、次の(3)式で表される。
Ts=[(WMP+WMO)・RV+WXH]・μ・CS・PB・1/2πR …(3)
ここで、
WMP:移動ダイプレート22の重量
WMO: 移動金型の重量
WXH:クロスヘッド26の重量
RV:移動ダイプレート22の速度比
μ:可動部摩擦係数
CS:摺動抵抗トルクに対する補正係数
PB:ボールネジのリード
R:減速比
摺動抵抗によるトルクTsは、主要な各可動部の重量に摩擦係数とボールねじのリードを掛けたものになる。ただし、移動ダイプレート22の重量(移動金型23の重量を含む)については、トグルリンク機構28の影響を受けるため、移動ダイプレート22のクロスヘッド26に対する速度比との積により求められる。
この実施形態においても、補正係数CSの値を増減することで、摺動抵抗によるトルクTsを補正するようになっている。
以上のように算出される、イナーシャによるトルクTiと摺動抵抗によるトルクTsの和である理論トルクTtは、成形サイクル開始前に、型閉試験動作を実施することで記録した実動作トルクと比較されて、実動作トルクに近似するように、補正係数CXH、CMP、CR、CSの値を増減することで、次のようにして修正される。
ここで、図5は、成形サイクルを開始する前に実施した型開閉試験で記録した型締モータ40の実動作トルクの変化と、上述のようにして算出した理論上のトルクTtを対照して示す図である。
この図5において、横軸は移動金型23の位置を示し、右に行くにしたがって固定金型21に近づいていく。縦軸は型締モータ40のトルクを示す。実線で示す曲線110は、型閉動作試験で記録した実動作トルクの波形を示しており、鎖線で示す曲線112は、理論トルクTtの変化を示す波形である。
図5に示されるように、例えば、減速区間においては、実動作トルクの波形110からは理論トルクTtの波形112の乖離が大きくなりがちとなる。このままでは、理論トルクTtは、型閉動作中の金型の異常を検知する基準である異常検知トルクの基礎にすることができないので、補正を加える。
この補正は、イナーシャによるトルクTiについては、(2)式の補正係数CXH、CMP、CRの値を適宜増減させ、摺動抵抗によるトルクTsについては、(3)式の補正係数CSの値を増減させることより、理論トルクTtの波形112が実動作トルクの波形110に近似するように補正を行う。この場合、イナーシャによるトルクTiの補正は、トルクの振幅を加減するのに有効であり、摺動抵抗によるトルクTsの補正は、曲線を縦軸の±方向にシフトさせるのに有効である。
次に、図6は、補正後の理論トルクTtの波形112と実動作トルクの波形110を示す。
型閉動作中に異物を挟み込む等の金型の異常を検知する基準となる異常検知トルクは、補正後の理論トルク曲線112に、所定の許容値を加えて得られる。図6では、参照番号120で示すのが、異常検知トルクである。以上のようにして求められた異常検知トルクのデータは、図4において、記憶装置70に保存される。
次に、図7は、実際の成形サイクルにおいて、型閉動作中に異常が発生した場合の型締モータ40のトルク変化を示すグラフである。実線で示すのが実動作トルクの波形110である。
以下、図7を参照して、本実施形態による金型保護動作について説明する。
型閉動作中は、型締モータ40の実動作トルクは、金型異常検知部64により監視され、
上述したように補正された理論トルクTiの波形112で表される各位置での理論トルクの値と比較される。
そこで、図7において、減速区間内の位置P2で、移動金型23が異物と接触したとする。移動金型23が異物と接触した直後に、実動作トルクは上昇する。移動金型が異物を挟み込みながら移動すると、実動作トルクはさらに上昇し、異常検知トルクを超えるに到る。
実動作トルクが異常検知トルクを超えると(図6において、実動作トルクと補正後の理論トルクTtとの差がしきい値である許容値を超えた場合である)、金型異常検知部64によって異常が検知される。図4において、コントローラ43は、金型異常検知部64から異常検知信号を受信すると、型締モータ40を停止させる指令を出力するので、型閉動作は直ちに停止させられる。以上のようにして、金型の破損等の事故を防止することができる。
本実施形態によれば、型締モータ40にかかる理論トルクを、イナーシャによるトルクと摺動抵抗によるトルクに分けて精密に算出した上で、さらに、予め型閉動作試験を行って記録した実動作トルクに近似するように理論トルクに補正を加えて、この修正した理論トルクを基礎に異常検知トルクを設定している。これによって、減速区間であっても、従来のように遅れなしで異物を挟み込むなどの異常を高応答で検知することが可能になる。
なお、型閉を定速で行う区間で、異常が生じた場合でも、異常をすぐさま検知できることは同様である。
以上、本発明に係る金型保護方法および装置ついて、好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は、射出成形機の型締装置に限られずに、ダイカストマシンの型締装置にも同様に適用可能である。
1…射出成形機、2…射出装置、3…型締装置、4…バレル、5…スクリュ、19…金型、20…固定ダイプレート(固定盤)、21…固定金型、22…移動ダイプレート(移動盤)、23…移動金型、24…受圧盤、26…クロスヘッド、27…ボールねじ、28…トグルリンク機構、40…型締モータ、50…金型保護装置

Claims (5)

  1. 一方の金型が取り付けられる固定盤と、前記固定盤と対抗するように配置され、他方の金型が取り付けられる移動盤と、前記移動盤を前後進させて金型の開閉と型締めを行う型締機構と、前記型締機構を駆動するサーボモータを有する駆動機構と、前記サーボモータを制御する制御装置と、を有する型締装置における金型保護方法であって、
    予め型閉動作試験を実施し、前記サーボモータが型閉動作の過程で実際に出力する実動作トルクを記録し、
    前記サーボモータが型閉動作の過程で出力する力学理論上の理論トルクを算出し、前記実動作トルクに近似するように、前記理論トルクを補正し、
    実際の成形工程の型閉動作では、補正された前記理論トルクと型閉動作時の実動作トルクとを比較し、前記実動作トルクと理論トルクの差が所定のしきい値を超えたことを検知することにより、金型に異常が生じたと判定し、金型保護動作を行うことを特徴とする請金型保護方法。
  2. 前記型締機構は、前記サーボモータにより駆動されるクロスヘッドを有するトグルリンク式の型締機構からなり、
    前記理論トルクは、前記型締機構の回転部、前記クロスヘッドおよび前記移動盤の各部のイナーシャによるトルクと、前記各部の摺動抵抗によるトルクと、から算出されることを特徴とする請求項1に記載の金型保護方法。
  3. 前記理論トルクは、前記型締機構の回転部、前記クロスヘッドおよび前記移動盤の各部のイナーシャによるトルクと、前記各部の摺動抵抗によるトルクにそれぞれ補正係数を設定し、これらの補正係数を増減させることにより、前記理論トルクを補正することを特徴とする請求項2に記載の金型保護方法。
  4. 一方の金型が取り付けられる固定盤と、
    前記固定盤と対抗するように配置され、他方の金型が取り付けられる移動盤と、
    前記移動盤を前後進させて金型の開閉と型締めを行う型締機構と、
    前記型締機構を駆動するサーボモータを有する駆動機構と、
    前記サーボモータを制御する制御装置と、を有する型締装置に用いられる金型保護装置であって、
    前記サーボモータが型閉動作の過程で実際に出力する実動作トルクを測定するトルク測定手段と、
    前記サーボモータが型閉動作の過程で出力する力学理論上の理論トルクを算出する理論トルク算出手段と、
    予め型閉動作試験を実施して記録した前記サーボモータの実動作トルクに近似するように、前記理論トルクを補正する補正手段と、
    補正された前記理論トルクと、実際の型閉動作時の実動作トルクとを比較し、前記実動作トルクと理論トルクの差が所定のしきい値を超えたことを検知することにより、金型に異常が生じたことを検知する金型異常検知手段と、
    を具備したことを特徴とする金型保護装置。
  5. 一方の金型が取り付けられる固定盤と、
    前記固定盤と対抗するように配置され、他方の金型が取り付けられる移動盤と、
    前記移動盤を前後進させて金型の開閉と型締めを行う型締機構と、
    前記型締機構を駆動するサーボモータを有する駆動機構と、
    前記サーボモータを制御する制御装置と、
    前記サーボモータが型閉動作の過程で実際に出力する実動作トルクを測定するトルク測定手段と、
    前記サーボモータが型閉動作の過程で出力する力学理論上の理論トルクを算出する理論トルク算出手段と、
    予め型閉動作試験を実施して記録した前記サーボモータの実動作トルクに近似するように、前記理論トルクを補正する補正手段と、
    補正された前記理論トルクと、実際の型閉動作時の実動作トルクとを比較し、前記実動作トルクと理論トルクの差が所定のしきい値を超えたことを検知することにより、金型に異常が生じたことを検知する金型異常検知手段と、
    を具備したことを特徴とする型締装置。
JP2015152557A 2015-07-31 2015-07-31 金型保護方法および装置、型締装置 Active JP6537920B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015152557A JP6537920B2 (ja) 2015-07-31 2015-07-31 金型保護方法および装置、型締装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015152557A JP6537920B2 (ja) 2015-07-31 2015-07-31 金型保護方法および装置、型締装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017030238A true JP2017030238A (ja) 2017-02-09
JP6537920B2 JP6537920B2 (ja) 2019-07-03

Family

ID=57985313

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015152557A Active JP6537920B2 (ja) 2015-07-31 2015-07-31 金型保護方法および装置、型締装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6537920B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019077041A (ja) * 2017-10-20 2019-05-23 株式会社タハラ 中空成形方法および中空成形装置
CN112743535A (zh) * 2019-10-30 2021-05-04 北京配天技术有限公司 一种自适应碰撞检测方法、装置以及存储介质
WO2022228031A1 (zh) * 2021-04-26 2022-11-03 上海神泰医疗科技有限公司 状态监测方法、安全控制装置、存储介质和机器人

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0985792A (ja) * 1995-09-27 1997-03-31 Fanuc Ltd 射出成形機の型締制御方法
JP2002172670A (ja) * 2000-12-05 2002-06-18 Nissei Plastics Ind Co 射出成形機の異物検出方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0985792A (ja) * 1995-09-27 1997-03-31 Fanuc Ltd 射出成形機の型締制御方法
JP2002172670A (ja) * 2000-12-05 2002-06-18 Nissei Plastics Ind Co 射出成形機の異物検出方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019077041A (ja) * 2017-10-20 2019-05-23 株式会社タハラ 中空成形方法および中空成形装置
CN112743535A (zh) * 2019-10-30 2021-05-04 北京配天技术有限公司 一种自适应碰撞检测方法、装置以及存储介质
CN112743535B (zh) * 2019-10-30 2024-01-09 北京配天技术有限公司 一种自适应碰撞检测方法、装置以及存储介质
WO2022228031A1 (zh) * 2021-04-26 2022-11-03 上海神泰医疗科技有限公司 状态监测方法、安全控制装置、存储介质和机器人

Also Published As

Publication number Publication date
JP6537920B2 (ja) 2019-07-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10293536B2 (en) Controller and management system for injection molding machine
US8636495B2 (en) Abnormality detector for an injection molding machine
EP1612027B1 (en) Method of controlling injection molding machine
JP3694684B2 (ja) 射出成形機
US8651846B2 (en) Abnormality detection apparatus of an injection molding machine
JP6537920B2 (ja) 金型保護方法および装置、型締装置
EP3168028B1 (en) Injection molding information management device and injection molding machine
JP5723676B2 (ja) 型締装置、成形機、型締装置の制御方法
JP3309274B2 (ja) 電動射出成形機におけるロードセル原点調整方法
WO2015104991A1 (ja) 成形機
JPH0661806B2 (ja) トグル式型締装置の自動型締力設定方法
JP5808850B1 (ja) 型締装置、成形装置および成形方法
JP2006272867A (ja) 射出成形機の制御方法
JP2007196391A (ja) 射出成形機及び射出成形機に設けられた圧力検出器の異常を検出する方法
JP3892852B2 (ja) 電動射出成形機の負荷検出装置
JP3842596B2 (ja) 金型保護制御を行う型閉装置が設けられた射出成形機および型閉装置の制御方法
JP7077002B2 (ja) 型締力制限機能付き型締装置、型締力制限プログラム
US11945148B2 (en) Injection molding machine
JP5485192B2 (ja) 型締力の適否判定方法および型締力調整方法
JP3821550B2 (ja) サーボプレスの金型保護装置及びその方法
JPH0486211A (ja) トグル式型締装置の自動型締力修正方法
JP2009000929A (ja) 射出成形機、および射出成形機の異常検出方法
CN108715016B (zh) 注射成型机
JP5666413B2 (ja) 電動竪型射出成形機における金型取付異常の検出方法
JP6068174B2 (ja) 射出成形機のリアプラテン調整装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20161216

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180409

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190227

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190305

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190419

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190507

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190605

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6537920

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350