JPH0982152A - 超電導線の製造方法及び超電導線 - Google Patents

超電導線の製造方法及び超電導線

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JPH0982152A
JPH0982152A JP7233095A JP23309595A JPH0982152A JP H0982152 A JPH0982152 A JP H0982152A JP 7233095 A JP7233095 A JP 7233095A JP 23309595 A JP23309595 A JP 23309595A JP H0982152 A JPH0982152 A JP H0982152A
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Nobuyuki Sadakata
伸行 定方
Takashi Saito
隆 斉藤
Tsukasa Kono
宰 河野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 縮径加工が容易で、得られる超電導線の長さ
を大幅に長くすることができる超電導線の製造方法と、
これによって得られる線長さが大幅に長い超電導線の提
供。 【解決手段】 合金系超電導体からなる芯部または熱処
理によって超電導体となる材料を具備する芯部の外周に
TaあるいはNbからなる拡散防止層を設け、さらにこ
の外周にCu−Nb合金の補強層を設ける超電導線の製
造方法において、芯部の外周にTaあるいはNbからな
る拡散防止管42を被せ後、該拡散防止管42の外周に
Cuからなる管体43を被せ、さらに該管体43の外周
にCu−Nb合金からなる補強管44を被せた後、縮径
加工を施す工程を具備する超電導線の製造方法と、超電
導体からなる芯部の外周にTaあるいはNbからなる拡
散防止層が設けられ、Cuからなるクッション層が設け
られ、さらにこのクッション層の外周にCu−Nb合金
の補強層が設けられてなる超電導線。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医療用MRI用マ
グネット、核融合炉用トロイダルマグネット、粒子加速
機用マグネット、超電導発電機用マグネット、磁気浮上
列車用マグネット等に利用される高強度の超電導線及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、超電導線は、超電導体からなる
芯部の外周に安定化材などからなる付属部を設けた構造
となっている。このような超電導線の一種に内部補強安
定化型Nb3Sn系超電導線が知られている。図4は、
内部補強安定化型Nb3Sn系超電導線の例を示すもの
である。この内部補強安定化型Nb3Sn系超電導線1
は、Cu−Sn合金からなる基地の内部に無数の極細の
Nb3Sn超電導フィラメントが配列されてなる芯部2
の外周に、TaあるいはNbからなる拡散防止層3を介
してCu−Nb合金からなる補強層4が設けられ、さら
にこの外周にCuなどからなる安定化層5が設けられた
ものである。このような構造の内部補強安定化型Nb3
Sn系超電導線1は、補強層を有してない構造の超電導
線と比べて外部からの補強が必要がないため、コンパク
トな超電導マグネットの作製に好適に用いられていた。
【0003】次に、このような内部補強安定化型Nb3
Sn系超電導線1の一般的な製造方法を図5を用いて説
明する。まず、図5(A)に示すようなNbからなるロ
ッド状の芯材10の外周にCu−Sn合金からなる管体
11を被せ、全体を縮径して図5(B)に示すような複
合体14を得る。次いで、図5(C)に示すように前記
複合体14を複数本集合してCu−Sn合金の管体15
に挿入し、さらに縮径し、図5(D)に示す一次素線1
6を得る。次いで、この一次素線16を図5(E)に示
すように複数本集合してCu−Sn合金からなる管体1
7に挿入し、更に縮径して図5(F)に示すような二次
素線18を作製する。
【0004】次いで、前記二次素線18を複数本集合し
て、図5(G)に示すようにCuのパイプ20に挿入し
た後、このパイプ20の外方に拡散防止層3となるべき
TaあるいはNbからなる拡散防止管22を被せ、つい
で該拡散防止管22の外周に補強層4となるべきCu−
Nb合金からなる補強管23を被せ、ついで該補強管2
3の外周に安定化層5となるべきCuなどからなる被覆
管24を被せ、さらに全体を最終的に得るべき直径まで
縮径した後、拡散熱処理を行うことにより、二次素線1
8の内部のNbの極細フィラメントとSnを反応させて
Nb3Sn超電導フィラメントを生成させて、図4に示
すような内部補強安定化型Nb3Sn系超電導線1を製
造していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の超
電導線の製造方法においては、縮径加工を施して伸線す
る際、異種金属間の整合が難しく、特に、補強層4を形
成する材料としてCu−Nb合金を用いる場合、このC
u−Nb合金と、拡散防止層3を形成する材料であるT
aあるいはNbとの整合が困難で、伸線するにつれて拡
散防止層3にクラック等の欠陥が生じたり、断線が起り
易くなるため、伸線できる長さが短かく、得られる超電
導線の長さも数十m程度と短く、製造効率が悪かった。
【0006】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、縮径加工が容易で、得られる超電導線の長さを大幅
に長くすることができる超電導線の製造方法と、これに
よって得られる線長さが大幅に長い超電導線を提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明にあ
っては、合金系超電導体からなる芯部または熱処理によ
って超電導体となる材料を具備する芯部の外周にTaあ
るいはNbからなる拡散防止層を設け、さらにこの外周
にCu−Nb合金からなる補強層を設ける超電導線の製
造方法において、芯部の外周にTaあるいはNbからな
る拡散防止層を形成した後、該拡散防止層の外周にCu
からなるクッション材を被せ、さらに該クッション材の
外周にCu−Nb合金からなる補強材を被せた後、縮径
加工を施す工程を具備する超電導線の製造方法を前記課
題の解決手段とした。また、請求項2記載の発明にあっ
ては、請求項1記載の超電導線の製造方法において、ク
ッション材の厚みを、超電導線線径の1.5%以上とす
ることを前記課題の解決手段とした。
【0008】また、請求項3記載の発明にあっては、超
電導体からなる芯部の外周にTaあるいはNbからなる
拡散防止層が設けられ、さらにこの外周にCu−Nb合
金からなる補強層が設けられてなる超電導線において、
拡散防止層と補強層との間にCuからなるクッション層
を介在させた超電導線を前記課題の解決手段とした。
【0009】本願発明者は、得られる超電導線の長さを
大幅に長くすることができる超電導線の製造方法を提供
するべく、特に、CuとCu−Nb合金との整合は良好
であり、一方TaとCuとの整合は良好であることに着
目し、隣合う異種金属層間の整合について種々の検討及
び実験を重ねた結果、Taからなる拡散防止管と、Cu
−Nb合金からなる補強管との間にCuからなるクッシ
ョン材を介在させることにより、隣合う金属層間の整合
が良好となり、伸線できる長さを大幅に向上させること
ができることを究明し、本発明を完成したのである。
【0010】
【発明の実施の形態】図1から図2は、内部補強安定化
型Nb3Sn系超電導線の製造方法に本発明を適用した
例を示すもので、超電導線を製造するには、まず、図1
(A)に示すようにNbロッドからなる芯材30にCu
−Sn合金からなる管体31を被せた後、スウェージン
グ加工、引抜加工などの縮径加工によって所望の直径ま
で縮径して図1(B)に示す複合体34を作製する。前
記芯材30としては、NbまたはNbをTiに添加して
なるものを用いるのが望ましく、Tiが添加されている
と無添加の場合と比べて高磁界における臨界電流特性が
向上する。なお、管体31は図面に示すような単管状の
ものに限るものではなく、柱状体に複数の透孔が形成さ
れた形状のものなどを用い、複数の透孔の各々に芯材3
0を挿入して複合材を形成することもできる。
【0011】次いで、前記複合体34を複数本集合して
Cu−Sn合金の管体35に図1(C)に示すように収
納して縮径し、図1(D)に示す一次素線36を作製
し、次いで、この一次素線36を図1(E)に示すよう
に複数本集合してCu−Sn合金からなる管体37に挿
入し、更に縮径加工を施して図1(F)に示すような二
次素線38を作製する。この二次素線38の内部構造
は、Cu−Sn合金からなる基地の内部にNbからなる
極細のフィラメントが多数分散された構造となってい
る。なお、前記二次素線38を更に複数本集合してCu
−Sn合金管に挿入し、縮径する処理を必要に応じて複
数回行って複合体を作製しても良い。なお、前記二次素
線38形成用として用いたCu−Sn合金のSn濃度が
低い場合には、その外周にSnのメッキ層を形成して以
下の工程に用いても良い。
【0012】次いで、図1(G)に示すように前記二次
素線38の外周に拡散防止層となるべきTaあるいはN
bからなる拡散防止管42を被せ、続いて図2に示すよ
うにこの拡散防止管42の外周にクッション材からなる
管体43を被せ、続いて該管体43の外周に補強材から
なる補強管44を被せ、さらに該補強管44の外周に安
定化材からなる被覆管45を被せ、更に全体を最終的に
得るべき直径まで縮径加工により伸線し、素線を形成す
る。なお、この例では、1本の二次素線38の外周に拡
散防止管42を被せた後、さらにクッション材からなる
管体43を被せているが、二次素線38を複数本集合し
てCuパイプに挿入した後、このCuパイプの外周に拡
散防止管42を被せ、さらに拡散防止管42の外周にク
ッション材からなる管体43を被せるようにしても良
い。
【0013】前記管体43をなすクッション材として
は、Cuが挙げられる。前記管体43の厚みは、目的と
する超電導線線径によって異るが、10μm以上が好ま
しく、より好ましくは15μm以上〜20μm以下とさ
れる。管体43の厚みが10μm未満であると薄過ぎて
前記管体43自身にクラックが生じたり、あるいは拡散
防止管42までクラックが生じてしまう恐れがあり、伸
線できる長さを大幅に向上させることができない。ま
た、20μmを超えて厚くしてももはや効果の増大は期
待できず、目的とする超電導線内のCuの割合が多くな
りすぎて超電導部分の割合が少なくなる。前記補強管4
4をなす補強材としては、Cu−Nb合金が挙げられ
る。補強管44としてCu−Nb合金を用いた場合、補
強管44はCuの金属マトリックスの内部にNbフィラ
メントが多数分散配列された構造を有している。この補
強管44は、CuとNbの両元素が互いにほとんど固溶
しないという性質を有することを利用して製造されたも
ので、Cu−Nb合金をその溶湯から鋳造した際に、C
uマトリックス中にNb樹枝状晶が生成された鋳塊を得
ることができ、この鋳塊を冷間線引加工することでNb
樹枝状晶を引き延ばしてフィラメント状に加工すること
ができ、これによりCuのマトリックスの内部にNbフ
ィラメントが分散配列された構造が得られる。このNb
フィラメントは、Cuのマトリックス中に分散配列され
るが、このNbフィラメントがCuのマトリックスを強
化するので、補強管44はCuからなるものより耐力が
向上する。更に、NbはCuにほとんど固溶しないの
で、補強管44の導電率が低下することもなく、補強管
44の導電率は充分に高いものとなる。また、前記被覆
管45をなす安定化材としては、Cu、Alなどの金属
材料が挙げられる。
【0014】ここで縮径加工を施して伸線するとき、T
aあるいはNbからなるからなる拡散防止管42と、C
u−Nb合金からなる補強管44との間にCuからなる
管体43を介在させると、隣合う金属層間の整合が良好
となるので、従来のようにTaあるいはNbからなる拡
散防止管の外周にCu−Nb合金からなる補強管を被せ
た状態で伸線する場合と比べて、拡散防止層となる拡散
防止管42や補強層となる補強管44にクラックが生じ
ることや断線が起こることが低減されるので、縮径加工
が容易となり、伸線できる長さを大幅に向上させること
ができ、線長さが大幅に長い素線が得られる。
【0015】次いで、前記素線を500〜650℃で数
十時間〜数百時間加熱する拡散熱処理を行うことによ
り、図3に示すような内部補強安定型Nb3Sn系超電
導線51を製造することができる。前述のような拡散熱
処理を行うと、Cu−Sn合金からなる基地の内部に極
細のNb3Sn超電導フィラメントが配列された構造の
Nb3Sn超電導体が得られる。
【0016】前述のように製造された内部補強安定化型
Nb3Sn系超電導線51は、Cu−Sn合金からなる
基地の内部に無数のNb3Sn超電導フィラメントが配
列されてなる芯部52と、これの外周に設けられた拡散
防止層53と、該拡散防止層53の外周に設けられたC
uからなるクッション層54と、該クッション層54の
外周に設けられた補強層55と、さらにこの補強層55
の外周に設けられた安定化層56とから構成されてい
る。前記Cuからなるクッション層54の厚みは、15
〜17μm程度である。
【0017】この例の内部補強安定化型Nb3Sn系超
電導線の製造方法にあっては、芯部52の外周にTaあ
るいはNbからなる拡散防止管42を被せた後、該拡散
防止層42の外周にCuからなる管体43を被せ、つい
でこの管体43の外周にCu−Nb合金からなる補強管
44を被せ、さらにこの外周にCuなどからなる被覆管
45を被せた後、縮径加工を施す工程を具備することよ
り、縮径加工を施して伸線するとき、隣合う金属層間の
整合が良好となるので、従来のようにTaあるいはNb
からなる拡散防止管の外周にCu−Nb合金からなる補
強管を被せた状態で伸線する場合と比べて、拡散防止管
42にクラックが生じることや断線が起こることが低減
されるので、縮径加工が容易となり、伸線できる長さを
大幅に向上させることができ、従って線長が大幅に長い
内部補強安定化型Nb3Sn系超電導線51が得られ、
製造効率が向上する。
【0018】このようにして得られた内部補強安定化型
Nb3Sn系超電導線51は、拡散防止層53と補強層
55との間にCuからなるクッション層54を介在させ
たものであるので、従来の内部補強安定化型Nb3Sn
系超電導線より線長が大幅に長いものであっても、隣合
う金属層間の整合が良好であり、拡散防止層53にクラ
ック等の不良が生じていないため、機械的強度が優れる
うえ、前記クラック等に起因してSnが補強層55およ
び最外層の安定化層56まで拡散するのを防止できるの
で、Snの拡散による安定化層56の汚染が防止でき
る。
【0019】なお、前記の例においては、Nb3Sn系
超電導線の製造方法に本発明の超電導線の製造方法を適
用した例について説明したが、本発明の製造方法をNb
3Snの他、Nb3Ga、Nb3Ge、Nb3Al、V3
a、Nb−Tiなどの超電導線の製造方法に適用しても
よいのは勿論である。
【0020】
【実施例】以下、本発明を、実施例および比較例によ
り、具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみ
に限定されるものではない。 (実施例1)直径14mmのNb−1.2wt%Tiロ
ッドをCu−13wt%Sn合金からなる外径25m
m、内径15mmの管体に挿入し、縮径して直径1.0
mmの複合体を得た。次にこの複合体を91本集合し、
Cu−8wt%Sn合金からなる外径11.5mm、内
径10.5mmの管体に挿入し、縮径加工を行って直径
1.14mmの一次素線を得た。次いで、この一次素線
を91本集合し、Cu−8wt%Sn合金からなる外径
13mm、内径12mmの管体に挿入し、縮径加工を行
って直径11mmの二次素線を作製した。
【0021】次いで、このようにして得られた二次素線
の外周に、外径13mm、内径12mmのTaからなる
拡散防止管を被せ、ついでこの拡散防止管の外周に外径
14mm、内径13.2mmのCuからなる管体を被せ
た後、この管体の外周に外径18mm、内径14.5m
mのCu−20wt%Nbからなる補強管を被せ、さら
にこの補強管の外周に外径18.5mm、内径17.5
mmのCuからなる被覆管を被せた後、全体を径1.0
mmまで縮径した後、675℃で10日間加熱する拡散
熱処理を行うことにより、線長1kmのCu−Nb/
(Nb,Ti)3Sn超電導線を得た。このようにして
得られた超電導線の芯部は、Cu−Sn合金からなる基
地の内部に径3.9μmの(Nb,Ti)3Sn超電導
フィラメントが7,849本配列された構造であった。
【0022】(実施例2)直径7.6mmのNbロッド
をCu−6wt%Sn合金からなる外径18mm、内径
8mmの管体に挿入し、縮径して直径1.0mmの複合
体を得た。次にこの複合体を91本集合し、Cu−6w
t%Sn合金からなる外径11.5mm、内径10.5
mmの管体に挿入し、縮径加工を行って直径1.0mm
の一次素線を得た。次いで、この一次素線を91本集合
し、Cu−6wt%Sn合金からなる外径11.5m
m、内径10.5mmの管体に挿入し、縮径加工を行っ
て直径9.0mmの二次素線を作製した。
【0023】次いで、この二次素線の外周に外径9.9
mm、内径9.3mmのTaからなる拡散防止管を被
せ、ついでこの拡散防止管の外周に外径11.2mm、
内径10.2mmのCuからなる管体を被せた後、こ
の管体の外周に外径14mm、内径12mmのCu−1
5wt%Nbからなる補強管を被せた後、さらにこの補
強管の外周に外径15.4mm、内径14.6mmのC
uからなる被覆管を被せた後、全体を径0.46mmま
で縮径したのち、前記実施例1と同様にして拡散熱処理
を行うことにより、線長1kmのCu−Nb/Nb3
n超電導線を得た。ここで得られた超電導線の芯部は、
Cu−Sn合金からなる基地の内部に径1.8μmのN
3Sn超電導フィラメントが8,281本配列された
構造であった。
【0024】(比較例1)前記実施例1と同様にして二
次素線を作製した。次いで、作製した二次素線の外周に
外径13mm、内径12mmのTaからなる拡散防止管
を被せ、ついでこの拡散防止管の外周に外径17mm、
内径13.5mmのCu−20wt%Nbからなる補強
管を被せ、さらにこの補強管の外周に外径18.5m
m、内径17.5mmのCuからなる被覆管を被せた
後、全体を径1.0mmまで縮径した後、前記実施例1
と同様にして拡散熱処理を行うことにより、線長50m
のCu−Nb/(Nb,Ti)3Sn系超電導線を得
た。このようにして得られた超電導線の芯部は、Cu−
Sn合金からなる基地の内部に径3.9μmの(Nb,
Ti)3Sn超電導フィラメントが7.841本配列さ
れた構造のものであった。
【0025】(比較例2)前記実施例2と同様にして二
次素線を作製した。次いで、作製した二次素線の外周に
外径9.9mm、内径9.3mmのTaからなる拡散防
止管を被せ、ついでこの拡散防止管の外周に外径14m
m、内径11.5mmのCu−15wt%Nbからなる
補強管を被せ、さらにこの補強管の外周に外径15.4
mm、内径14.6mmのCuからなる被覆管を被せた
後、全体を径0.46mmまで縮径した後、前記実施例
1と同様にして拡散熱処理を行うことにより、線長40
mのCu/(Nb,Ti)3Sn超電導線を得た。この
ようにして得られた超電導線の芯部は、Cu−Sn合金
からなる基地の内部に径1.8μmのNb3Sn超電導
フィラメントが7,841本配列された構造のものであ
った。
【0026】上記実施例1〜2で得られた超電導線と、
比較例1〜2で得られた超電導線の線長を比較すると、
実施例1〜2で得られた超電導線は、比較例1〜2の超
電導線に比べて線長が大幅に長いことが分る。なお、比
較例1〜2のものでは、これ以上の長さに伸線した場合
に拡散防止層にクラック等の欠陥が生じた。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように本発明の超電導線の
製造方法にあっては、芯部の外周にTaあるいはNbか
らなる拡散防止層を形成した後、該拡散防止層の外周に
Cuからなるクッション材を被せ、さらに該クッション
材の外周にCu−Nb合金からなる補強材を被せた後、
縮径加工を施す工程を具備することにより、隣合う金属
層間の整合が良好となり、従来のようにTaあるいはN
bからなる拡散防止管の外周にCu−Nb合金からなる
補強管を被せた状態で伸線する場合と比べて、拡散防止
層にクラックが生じることや断線が起こることが低減さ
れるので、縮径加工が容易となり、伸線できる長さを大
幅に向上させることができ、従って線長が大幅に長い超
電導線が得られ、製造効率が向上するという利点があ
る。
【0028】また、本発明の超電導線にあっては、拡散
防止層と補強層との間にCuからなるクッション層を介
在させたものであるので、従来の超電導線より線長が大
幅に長いものであっても、隣合う金属層間の整合が良好
であり、拡散防止層にクラック等が生じていないため、
機械的強度が優れるうえ、前記クラック等に起因して補
強層および安定化層までSnが拡散するのを防止できる
のでSnの拡散による安定化層の汚染が防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A)〜(G)は、本発明の超電導線の製造
方法の一例を工程順に示した断面図である。
【図2】 本発明の超電導線の製造方法の一例を示した
断面図である。
【図3】 本発明の超電導線の一例を示す拡大断面図で
ある。
【図4】 従来の内部補強安定化型Nb3Sn系超電導
線の例を示す拡大断面図である。
【図5】 (A)〜(G)は、従来の内部補強安定化型
Nb3Sn系超電導線の製造方法を工程順に示した断面
図である。
【符号の説明】
30・・・芯材、31・・・管体、34・・・複合体、35・・・管
体、36・・・一次素線、37・・・管体、38・・・二次素
線、42・・・拡散防止管、43・・・管体、44・・・補強
管、51・・・超電導線、52・・・芯部、53・・・拡散防止
層、54・・・クッション層、55・・・補強層、56・・・安
定化層。
フロントページの続き (72)発明者 斉藤 隆 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会 社フジクラ内 (72)発明者 河野 宰 東京都江東区木場1丁目5番1号 株式会 社フジクラ内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合金系超電導体からなる芯部または熱処
    理によって超電導体となる材料を具備する芯部の外周に
    TaあるいはNbからなる拡散防止層を設け、さらにこ
    の外周にCu−Nb合金からなる補強層を設ける超電導
    線の製造方法において、芯部の外周にTaあるいはNb
    からなる拡散防止層を形成した後、該拡散防止層の外周
    にCuからなるクッション材を被せ、さらに該クッショ
    ン材の外周にCu−Nb合金からなる補強材を被せた
    後、縮径加工を施す工程を具備することを特徴とする超
    電導線の製造方法。
  2. 【請求項2】 クッション材の厚みを、超電導線線径の
    1.5%以上とすることを特徴とする請求項1記載の超
    電導線の製造方法。
  3. 【請求項3】 超電導体からなる芯部の外周にTaある
    いはNbからなる拡散防止層が設けられ、さらにこの外
    周にCu−Nb合金からなる補強層が設けられてなる超
    電導線において、拡散防止層と補強層との間にCuから
    なるクッション層を介在させたことを特徴とする超電導
    線。
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JP2007509466A (ja) * 2003-10-17 2007-04-12 オックスフォード スーパーコンダクティング テクノロジー Tiソース・ロッドを用いて(Nb,Ti)3Snワイヤを製造するための方法
EP2333793A1 (en) * 2009-12-09 2011-06-15 Bruker BioSpin AG Superconductors with improved mechanical strength

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