JP2001052547A - Nb3Al化合物系超電導線およびその製造方法 - Google Patents
Nb3Al化合物系超電導線およびその製造方法Info
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Abstract
の間に拡散反応が生ずることのない内部構成のもとに製
造され、これによって高い臨界電流特性を確保したNb
3 Al化合物系超電導線とその製造方法を提供する。 【解決手段】マルチ線材18の内部のシングル線材6と
安定化材19をバリヤ材20によって隔離する。この結
果、加熱と冷却によりNb−Al過飽和固溶体を生成さ
せるときに、シングル線材6のNb/Al複合物のAl
と安定化材19が拡散反応を起こす恐れがなくなり、高
い臨界電流特性を備えたNb3 Al化合物系超電導線の
製造が可能となる。
Description
系超電導線およびその製造方法に関し、特に、安定化材
を線材の内部に組み込んだ内部安定型のNb3 Al化合
物系超電導線とこれを製造するための製造方法に関す
る。
Sn、NbTiのような一般的な超電導線と比べ、高磁
界における臨界電流密度特性と、耐電磁応力特性に優れ
ていることから、たとえば、核融合炉用超電導マグネッ
トや、物性研究用高磁界NMRマグネットなどの超電導
材料として実用化が期待されている。
方法として、たとえば、NbとAlを所定の組成比率で
複合し、相互の拡散距離をサブミクロンオーダまで小さ
くした状態で600〜1,050℃の温度に加熱し、こ
れにより固相拡散を起こさせてNb3 Alを生成させる
製造方法が知られている。
0℃以上の高温においてのみ安定なNb3 Al系化合物
にとっては、温度不足での固相拡散となり、このため、
化学量論組成からのずれが発生するようになることか
ら、高い臨界電流密度を得るのが難しい。
他の製造方法として、NbとAlを所定の組成比率で複
合し、これを1,500℃以上に加熱して直ちに冷却す
ることにより、Nb‐Al過飽和固溶体を生成させ、そ
の後、これを600〜1,050℃の温度で再加熱し、
Nb3 Al相に変態させる方法が知られている。
系超電導線は、Nb‐Al過飽和固溶体生成のための加
熱温度が高いため、化学量論組成からのずれによる臨界
電流密度の低下がなく、従って、NMRマグネット等へ
の適用を考えた場合には、最も適した製造方法とされて
いる。
以下の手順によって進められる。たとえば、ジェリーロ
ール法の場合であれば、まず、NbまたはNb合金のシ
ートと、AlまたはAl合金のシートを積層巻きしてN
bパイプに詰め、これに伸線加工を施すことによって所
定のサイズのシングル線材とする。
部マトリックスとなるNbパイプに入れ、これに伸線加
工を施すことによってNbとAlのマルチ線材を作成
し、その後、これを1、500℃以上の高温に加熱して
直ちに冷却する。この加熱と冷却処理の結果、NbとA
lの複合部には、Nb‐Al過飽和固溶体が生成し、次
に、この素材を600〜1,050℃の温度で再加熱す
ることにより、Nb‐Al過飽和固溶体をNb3 Al化
合物に変態させる。
界電流密度を有する超電導線の製造が可能であり、従っ
て、この方法は、要求性能の厳しいNMRマグネット等
に使用される超電導線にとっては、唯一とも言える製造
方法であり、有望視されている。
に基づいたNb3 Al化合物系超電導線の製造方法によ
ると、Nb‐Al過飽和固溶体生成のための加熱温度
は、多くの場合、1,500℃と高く、このため、安定
化材を構成するCu、Cu合金、AgまたはAg合金の
融点をはるかに超えてしまうことから、加熱冷却処理前
に安定化材を外部に形成することは不可能である。
成する必要があるが、安定化材が溶融してしまうこと、
加熱冷却時にNb/Al複合材のAlと安定化材が拡散
反応を起こすことなどから、超電導線の内部に安定化材
を組み込んだ構成の変態法によるNb3 Al系超電導線
は、いまだ出現していないのが実情である。特に、安定
化材として一般的なCuを使用した場合には、Nb−C
u−Alの3元系合金が生成されることになる。
材のAlと安定化材の間に拡散反応が生ずることのない
内部構成のもとに製造され、これによって高い臨界電流
特性を確保したNb3 Al化合物系超電導線とその製造
方法を提供することにある。
達成するため、Nb3 Al系化合物の超電導部を有する
Nb3 Al化合物系超電導線において、NbまたはNb
合金とAlまたはAl合金から生成されたNb−Al過
飽和固溶体が変態されることによって構成されたNb3
Al系化合物の超電導部と、該超電導部の周囲に形成さ
れた外部マトリックスと、該外部マトリックスの内部に
位置させられた安定化材と、前記超電導部と前記安定化
材を隔離したバリヤ材を有することを特徴とする内部安
定型のNb3 Al化合物系超電導線を提供するものであ
る。
め、NbまたはNb合金とAlまたはAl合金の複合材
にNbまたはNb合金を被覆してシングル線材を形成
し、該シングル線材の複数本と安定化材とをバリヤ材で
隔離した状態でこれらにNbまたはNb合金を被覆する
ことによってマルチ線材を形成し、該マルチ線材に所定
温度の加熱と冷却処理を施すことによって前記複合材か
らNb−Al過飽和固溶体を生成させた後、所定の温度
で再加熱処理を施すことによって前記Nb−Al過飽和
固溶体をNb3 Al系化合物に変態させることを特徴と
するNb3 Al化合物系超電導線の製造方法を提供する
ものである。
たはCu合金、AgまたはAg合金が使用される。これ
らのうち、Ag系の材料は、低い電気抵抗を有している
ことで好適な材料であるが、Nb‐Ag、Ta‐Ag、
V‐Ag二元系状態図が存在しないため、高温での反応
性については全く知見が無かったが、AgとNb、T
a、Vを夫々アーク溶解する予備実験を行ってNb、T
a、Vとの反応性を確認した結果、Agは1,500℃
以上の高温においてCuに比べて格段に反応性が低いこ
とを発見し、本発明における安定化材の一つに選定した
ものである。
とが考えられるが、Al系では、Nb/Al複合材周囲
のマトリックスとバリヤ材をNb系材料で構成した場
合、加熱と冷却処理の際にNbとの間で拡散反応を起こ
す恐れがあるので好ましくない。
a、Ta合金、VまたはV合金が使用され、これらは安
定化材の種類に応じてその厚さを変えることが好まし
く、たとえば、安定化材がCuでバリヤ材がNbである
組み合わせでは、バリヤ材の厚さは30μm以上が望ま
しい。
み合わせでは、バリヤ材の厚さは15μm以上、安定化
材がCuでバリヤ材がVである組み合わせでは、バリヤ
材の厚さは50μm以上が望ましい。また、安定化材が
Agでバリヤ材がNbである組み合わせでは、バリヤ材
の厚さは10μm以上、安定化材がAgでバリヤ材がT
aである組み合わせでは、バリヤ材の厚さは5μm以
上、安定化材がAgでバリヤ材がVである組み合わせで
は、バリヤ材の厚さは15μm以上が好ましい。
バリヤ材をシングル線材と安定化材の間に配置したり、
安定化材の周囲にバリヤ材の層を形成するなどが考えら
れる。いずれの場合にも、そのサイズないしは厚さを考
慮すべきであり、特に、後者においては充分な厚さを持
たせることが必要となる。
の複合材にNbまたはNb合金を被覆したシングル線材
を製造するための方法としては、ジェリーロール法、ロ
ッドインチューブ法、クラッドチップ押出法、または粉
末押出法が有効である。
Al相を析出させる再加熱処理の前に、マルチ線材の外
周に前記安定化材と同様の安定化材の層を形成しても差
し支えない。その場合、外部安定化材の層と外部マトリ
ックスとの間にGaの薄い皮膜を介在させることが望ま
しい。このGaの皮膜が厚すぎると複合化する外部安定
化材が汚染され、安定化材としての役割を果たさなくな
る恐れがあるので、その量は線材断面積にして0.01
〜5%程度が望ましい。
ングル線材の製造方法を示したもので、まず、(イ)の
ようにNbの中心材1にNbシート2とAlシート3を
巻き付け、次いで、これにNb被覆4とCu合金被覆5
を順に被覆することによって(ロ)のような構成とした
後、これを伸線することによって(ハ)のような断面六
角形に減面加工し、その後、Cu合金被覆5を除去する
ことによって所定のシングル線材6とする。図3(b)
は、その加工手順をまとめたフローチャートである。
るシングル線材の製造方法を示す。Al棒とNb管を準
備して、(イ)のようにAl棒7をNb管8の中に入れ
て(ロ)の構成とした後、伸線加工によって(ハ)のよ
うな断面六角形の構造にし、所定のシングル線材6とす
る。図4(b)は、その加工手順をまとめたフローチャ
ートである。
るシングル線材の製造方法を示す。貼り合わせ面を研磨
したNbシート9とAlシート10をそれぞれ準備
(イ)し、これに圧延加工を施すことによって(ロ)の
ようなクラッド材11とし、次に、クラッド材11から
切断した小片12を(ハ)のようにNb管13に入れて
充填し、その後、これを押し出して伸線加工を施すこと
によって(ニ)のような断面六角形のシングル線材6と
する。図5(b)は、その加工手順をまとめたものであ
る。
線材の製造方法を示す。(イ)のように、Nbの粉末と
Alの粉末の混合物14をNb管15に入れて充填し、
これを押し出してから伸線加工を施すことによって
(ロ)のような断面六角形のシングル線材6とする。図
6(b)は、その加工手順をまとめたものである。
合物系超電導線およびその製造方法の実施の形態を説明
する。図1(a)は、図3〜6によって得られたシング
ル線材6からマルチ線材を製造する方法を示したもので
ある。
複数本を束ねた上に外部マトリックスとなるNb被覆1
6とCu合金被覆17を押し出し、次に、これをダイス
伸線することによって所定のサイズに減面加工した後、
Cu合金被覆17を除去することにより、(ロ)の概略
図(シングル線材等の断面六角形を略して円形に表示)
に示されるような多数のシングル線材6を有したマルチ
線材18を製作する。
部には、安定化材19とバリヤ材20が、たとえば、図
のような配置で位置させられている。これらの安定化材
19とバリヤ材20は、Nb被覆16が形成される前に
予め所定の位置となるようにシングル線材6と組み合わ
されており、バリヤ材20は、これによってシングル線
材6と安定化材19を隔離する。図1(b)は、この間
の製造手順をまとめたものである。
は、次に、所定の温度に加熱されて直ちに液体Ga中に
浸漬して急冷され、各シングル線材の積層体の部分にN
b‐Al過飽和固溶体が生成される。加熱手段として
は、マルチ線材18に直接電流を流す通電加熱方式が使
用できる。マルチ線材18は、この後、再度、所定の温
度に加熱され、Nb‐Al過飽和固溶体からNb3 Al
相を析出させて所定の超電導線部となる。
マルチ線材18の断面構造を示したものである。なお、
図において、21はシングル線材6と安定化材19の間
を隔離するバリヤの役割を果たしていないNbを示し、
隙間を充填するために存在している。
部分が加熱と冷却によってNb−Al過飽和固溶体を生
成し、その後、再加熱されることによってNb3 Alに
変態し、超電導部を構成する。
施例と比較例においては、シングル線材6の製造を図3
のジェリーロール法に統一し、Nb−Al過飽和固溶体
を生成させるときの加熱温度を2,000℃に一律に設
定し、さらに、Nb−Al過飽和固溶体からNb3 Al
相を析出させるための再加熱温度を800℃に設定し
た。
さが75μmの純Nbシート2と、厚さが25μmの純
Alシート3を使用してシングル線材6を製造し、その
85本構成の中心にシングル線材6と同サイズのNb材
1本を配置し、安定化材を使用しないでマルチ線材を得
た。次いで、これにNb‐Al過飽和固溶体を生成させ
るための加熱冷却処理を施した後、Nb3 Al相変態の
ための熱処理を施してNb3 Al化合物系超電導線を製
造した。
し、安定化材19にはシングル線材6と同サイズのCu
を用いて、図2(f)に示されるようなマルチ線材18
を得た。本線材ではバリヤを設置しておらず、シングル
線材6の外周にフィラメントを分割するために設置した
Nb21がバリヤの役目を果たすのみである。次いで、
マルチ線材18にNb‐Al過飽和固溶体を生成させる
ための加熱冷却処理を施した後、Nb3 Al相変態のた
めの熱処理を施してNb3 Al化合物系超電導線を製造
した。
安定化材19にはシングル線材6と同径のCu、バリヤ
材20にはシングル線材6と同径のNbを用いて図2
(a)に示すようなマルチ線材18を得た。次いで、こ
れにNb‐Al過飽和固溶体を生成させるための加熱冷
却処理を施した後、Nb3 Al相変態のための熱処理を
施してNb3 Al化合物系超電導線を製造した。
を用いた以外は実施例1と同じシングル線材6と、バリ
ヤ材20を用いて図2(c)に示すようなマルチ線材1
8を得た後、実施例1と同様にしてNb3 Al化合物系
超電導線を製造した。
19およびバリヤ材20を用いて図2(b)に示すよう
なマルチ線材18を得た後、実施例1と同様にしてNb
3 Al化合物系超電導線を製造した。
19およびバリヤ材20を用いて図2(c)に示すよう
なマルチ線材18を得た後、実施例1と同様にしてNb
3 Al化合物系超電導線を製造した。
材19およびバリヤ材20を用いて図2(d)に示すよ
うなマルチ線材18を得た後、実施例1と同様にしてN
b3Al化合物系超電導線を製造した。
ル線材と同径で、Cuの周囲をNb20で被覆した構造
のNb被覆Cu材からなる安定化材19を用いて図2
(e)に示すようなマルチ線材18を得た後、実施例1
と同様にしてNb3 Al化合物系超電導線を製造した。
覆した構造のNb被覆Ag材を用いた以外は、実施例6
と同様にしてNb3 Al化合物系超電導線を製造した。
で、Cuの周囲をTaで被覆した構造のTa被覆Cuを
用いた以外は、実施例6と同様にしてNb3 Al化合物
系超電導線を製造した。
で、Agの周囲をTaで被覆した構造のTa被覆Ag材
を用いた以外は、実施例6と同様にしてNb3 Al化合
物系超電導線を製造した。
25μmの純Alシート3と、外径1.5mmのAgの
中心材1を使用し、周囲にNbのバリヤ材20を配して
シングル線材6を作製し、安定化材19にはシングル線
材と同径のAgを用いて図2(g)に示すようなマルチ
線材18を得た後、他の実施例と同様にしてNb3 Al
化合物系超電導線を製造した。
実施例10と同じシングル線材6および安定化材19を
用いて図2(h)に示すようなマルチ線材18を得た
後、実施例10と同様にしてNb3 Al化合物系超電導
線を製造した。
のVを用いた以外は、実施例1と同じシングル線材6お
よび安定化材19を用いて図2(d)に示すようなマル
チ線材18を得た後、他の実施例と同様にしてNb3 A
l化合物系超電導線を製造した。
れたと同じマルチ線材18を形成し、これにNb−Al
過飽和固溶体を生成させるための加熱冷却処理を施し、
外部マトリックスのNb被覆16の外周にGaの層(図
示せず)を5μmの厚さ(線材の断面積にして約2%)
に形成した後、その外周を厚さ約0.2mm程度のCu
材(図示せず)で包囲してこれに塑性加工を加えて複合
化し、最後にNb−Al過飽和固溶体相からNb3 Al
相を析出させるための熱処理を施してNb3 Al化合物
系超電導線を製造した。
以外は実施例6と同じマルチ線材18について他の実施
例と同様にしてNb3 Al化合物系超電導線を製造し
た。
おけるマルチ線材18の構成の要点と超電導部の単位断
面積当たりの臨界電流特性を示す。表中の臨界電流値
は、真空中で測定対象の超電導線を800℃に加熱した
後、温度4.2Kおよび18T以下の磁場における臨界
電流値を測定した結果である。
が優れた臨界電流密度特性を示していることがわかる。
この値は従来のNb3 Al化合物系超電導部に相当する
比較例1の臨界電流密度特性を超える値である。一方、
比較例2および3においては、シングル線材と安定化材
との反応により特性が低下している。
ずれも臨界温度がほぼ同じ値を示し、これは従来のNb
3 Al化合物系超電導部に相当する比較例1と比較して
も同等の値であり、本発明が臨界温度の劣化をもたらさ
ないことを意味している。また、実施例13は内部安定
化構造だけでは得られない高い安定化材比が実現できて
いる。
組み合わせによって異なるが、超電導部や安定化材への
悪影響はみられず、選択したバリヤ厚が適当であること
を示している。これに対して、比較例2および比較例3
ではバリヤ厚みが不足したために、安定化材、バリヤ材
およびフィラメント中のAlが反応してNb‐Al‐C
uの三元系化合物が生成されてしまった。
材およびバリヤ材の材種および構成を最適化することに
より、従来の線材では困難であった線材の安定化を図る
と同時に、臨界電流値も低下させることなくNb3 Al
化合物系超電導線の製造が可能になった。
Nb3 Al化合物系超電導線に相当する比較例1よりも
大きい。しかし、好ましいバリヤの厚さは安定化材とバ
リヤ材の組み合わせによって異なる。たとえば、Cuは
急熱時にNbバリヤを30μm程度侵食してしまう(図
7)。そのため安定化材がCuでNbバリヤ材の厚みが
薄すぎると、比較例2、比較例3に示すように、バリヤ
材を通って安定化材がシングル超電導線と拡散反応して
しまい、Nb‐Al‐Cuの3元系化合物が形成される
(図8)。その場合は、表1に示すように超電導特性は
大幅に劣化してしまう。
材をTaにすることによりそれをかなり抑制できる(図
9)。また、安定化材をAgにすると、バリヤ材が侵食
されることは殆ど起こらない(図10)。従って、図2
(f)の配置で比較した場合、安定化材がAgでバリヤ
材がTaの組み合わせの場合に、最もマトリックス比を
小さく、また安定化材比を大きくすることができる(実
施例7〜9)。また、図2(h)の配置で安定化材がA
gでバリヤ材がTaの場合に最も高い安定化材比を得る
ことができた。
飽和固溶体を生成させるための加熱冷却処理前後での線
材断面の光学顕微鏡写真である。処理前(a)と処理後
(b)、(c)を比べると、明らかに安定化銅の外周付
近がバリヤのNbと反応していることが分かる。また、
安定化銅の内部にはデンドライト状のNb粒子が観察さ
れる。
飽和固溶体を生成させるための加熱冷却処理前後での線
材断面の光学顕微鏡写真である。処理前(a)と処理後
(b)、(c)を比べると、明らかに安定化銅が超電導
部と拡散反応し、Cu‐Nb‐Alの3元化合物が生成
されていることが分かる。
飽和固溶体を生成させるための加熱冷却処理後における
線材断面の光学顕微鏡写真である。バリヤ材をTaにす
ることにより、図7に示した侵食反応が抑制されている
ことが明らかである。
過飽和固溶体を生成させるための加熱冷却処理前後での
線材断面の光学顕微鏡写真である。処理前(a)と処理
後(b)を比較すると、バリヤ材がNbであっても、図
7に示したような侵食反応が生じていないことが分か
る。
3 Al化合物系超電導線およびその製造方法によれば、
マルチ線材の構成において、シングル線材と共に安定化
材およびバリヤ材を組み込んでいるため、これを加熱お
よび冷却してNb−Al過飽和固溶体を生成させるとき
にシングル線材におけるNb/Alの複合体のAlと安
定化材が拡散反応することがなく、従って、臨界電流特
性の高いNb3 Al化合物系超電導線を提供することが
できる。特に、安定化材の形成が困難であったNb3 A
l化合物系超電導線にとって、本発明の製造方法は実用
性を高める上で非常に有意義なものである。
方法を示す説明図であり、(a)は製造手順、(b)は
そのフローチャートを示す。
例において製造されたマルチ線材の断面構造を示し、
(f)は比較例2、他は実施例を示す。
方法を示す説明図であり、(a)は製造手順、(b)は
フローチャートを示す。
他の方法を示す説明図であり、(a)は製造手順、
(b)はフローチャートを示す。
さらに別の方法を示す説明図であり、(a)は製造手
順、(b)はフローチャートを示す。
他の方法を示す説明図であり、(a)は製造手順、
(b)はそのフローチャートを示す。
固溶体生成のための通電加熱急冷処理前後における線材
断面の顕微鏡写真であり、(a)は加熱および冷却処理
を行う前、(b)、(c)は行った後を示す。
溶体生成のための通電加熱急冷処理前後における線材断
面の顕微鏡写真であり、(a)は加熱および冷却処理を
行う前、(b)、(c)は行った後を示す。
溶体生成のための通電加熱急冷処理後における線材断面
の顕微鏡写真である。
固溶体生成のための通電加熱急冷処理前後における線材
断面の顕微鏡写真であり、(a)は加熱および冷却処理
を行う前、(b)は行った後を示す。
Claims (16)
- 【請求項1】Nb3 Al系化合物の超電導部を有するN
b3 Al化合物系超電導線において、 Nb‐Al過飽
和固溶体を加熱することにより変態されたNb3 Alの
超電導材からなる超電導部と、 前記超電導部の周囲に設けられた外部マトリックスと、 前記マトリックスの内部に位置させられた安定化材と、 前記超電導部と前記安定化材を隔離したバリヤ材を有す
ることを特徴とするNb3 Al化合物系超電導線。 - 【請求項2】前記安定化材は、Cu、Cu合金、Agま
たはAg合金によって構成されていることを特徴とする
請求項1項記載のNb3 Al化合物系超電導線。 - 【請求項3】前記バリヤ材は、Nb、Nb合金、Ta、
Ta合金、VまたはV合金によって構成されていること
を特徴とする請求項1項記載のNb3 Al化合物系超電
導線。 - 【請求項4】前記外部マトリックスは、Nb、Nb合
金、TaまたはTa合金によって構成されていることを
特徴とする請求項1項記載のNb3 Al化合物系超電導
線。 - 【請求項5】超電導部の内部に、バリヤ材で包囲された
安定化材を有することを特徴とする請求項1〜4のいず
れか1に記載のNb3 Al化合物系超電導線。 - 【請求項6】超電導部の内部の安定化材がAgまたはA
g合金によって構成されていることを特徴とする請求項
5に記載のNb3 Al化合物系超電導線。 - 【請求項7】前記外部マトリックスの外周に、薄いGa
の皮膜を介して安定化材を有することを特徴とする請求
項1〜6のいずれか1に記載のNb3 Al化合物系超電
導線。 - 【請求項8】NbまたはNb合金とAlまたはAl合金
の複合体にNbまたはNb合金を被覆してシングル線材
を形成し、 前記シングル線材の複数本と安定化材をバリヤ材で隔離
した状態でこれらにNbまたはNb合金を被覆すること
によってマルチ線材を形成し、 前記マルチ線材に所定の温度の加熱と冷却処理を施すこ
とによって前記複合物からNb‐Al過飽和固溶体を生
成させた後、 所定の温度で再加熱処理を施すことによって前記Nb−
Al過飽和固溶体をNb3 Al系化合物に変態させるこ
とを特徴とするNb3 Al化合物系超電導線の製造方
法。 - 【請求項9】前記複合体を形成する際、該複合体にバリ
ヤ材で包囲された安定化材を内蔵させることを特徴とす
る請求項8記載のNb3 Al化合物系超電導線の製造方
法。 - 【請求項10】前記安定化材は、Cu、Cu合金、Ag
またはAg合金によって構成されていることを特徴とす
る請求項8または9記載のNb3 Al化合物系超電導線
の製造方法。 - 【請求項11】前記バリヤ材は、Nb、Nb合金、T
a、Ta合金、VまたはV合金によって構成されている
ことを特徴とする請求項8、9または10記載のNb3
Al化合物系超電導線の製造方法。 - 【請求項12】前記シングル線材に内蔵される安定化材
がAgまたはAg合金であることを特徴とする請求項9
または11記載のNb3 Al化合物系超電導線の製造方
法。 - 【請求項13】NbまたはNb合金によって構成される
前記バリヤ材は、前記安定化材がCuまたはCu合金に
よって構成されるときに少なくとも30μmの厚さを有
し、前記安定化材がAgまたはAg合金によって構成さ
れるときに少なくとも10μmの厚さを有することを特
徴とする請求項8〜12のいずれか1に記載のNb3 A
l化合物系超電導線の製造方法。 - 【請求項14】TaまたはTa合金によって構成される
前記バリヤ材は、前記安定化材がCuまたはCu合金に
よって構成されるときに少なくとも15μmの厚さを有
し、前記安定化材がAgまたはAg合金によって構成さ
れるときに少なくとも5μmの厚さを有することを特徴
とする請求項8〜12のいずれか1に記載のNb3 Al
化合物系超電導線の製造方法。 - 【請求項15】VまたはV合金によって構成される前記
バリヤ材は、前記安定化材がCuまたはCu合金によっ
て構成されるときに少なくとも50μmの厚さを有し、
前記安定化材がAgまたはAg合金によって構成される
ときに少なくとも20μmの厚さを有することを特徴と
する請求項8〜12のいずれか1に記載のNb3 Al化
合物系超電導線の製造方法。 - 【請求項16】Nb3 Al相を析出させる熱処理の前の
Nb−Al過飽和固溶体を生成させた状態のマルチ線材
の外周を、薄いGaの皮膜を介して安定化材で包囲し、
その安定化材で包囲されたマルチ線材に塑性加工を加え
ることを特徴とする請求項8〜15のいずれか1に記載
のNb3 Al化合物系超電導線の製造方法。
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