JP3585770B2 - 超電導導体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、直径の異なる複数種類の補強線材を内部補強用として用いた構造の超電導ケーブルとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、金属系超電導線材は磁界発生用の超電導コイルとして種々実用化されている。この種の超電導コイルは、金属系超電導線材を巻胴に巻回して構成され、全体を液体ヘリウムにより極低温に冷却した状態において金属系超電導線材に通電して主に磁界発生用として使用されるものである。この超電導コイルに通電すると、超電導コイルを構成する金属系超電導線材には自身が発生させた強大な電磁力が作用することになる。
【0003】
ここで、この強大な電磁力を受けた超電導線材が巻胴に巻回された状態で動くようなことが生じると、超電導線材が超電導状態から常電導状態へと転移するクエンチを引き起こし、超電導コイルとしての超電導特性を低下させてしまう問題がある。
【0004】
また、電磁力によって超電導線材が延びるようなことが生じると、超電導線材としての線材特性も劣化することになる問題があった。
【0005】
そこでこれらの背景から、超電導線材においてはできる限り構造強度を高めることが要求されており、従来、このような超電導線材の構造強度を高める手段として以下に説明する方法が実施されている。
▲1▼外部補強法:超電導コイルを構成する超電導線材をその外側から何らかの補強部材で補強して固定する方法。
▲2▼内部補強法:超電導線材の内部に補強部材を複合し、超電導線材そのものの強度を高める構造を採用する方法。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述の外部補強法にあっては、超電導線材を補強するための部材を別途設ける関係から、超電導コイルが巨大化、高重量化し易い問題があった。また、前述の内部補強法にあっては、超電導線材の内部に複合する超電導導体自身の断面積が少なくなるために、超電導線材自体の臨界電流密度が低下するおそれが高い問題を有していた。
更に、超電導線材の内部には、補強材の外に、超電導線材のクエンチを防止するための電流のバイパス通路としての安定化部材も複合されており、最近ではこの安定化材自体を高強度材料から形成して補強材兼用とした構造も現れてきている。ところが、この種の構造においても以下に説明する問題を有していた。
【0007】
図4は、超電導導体となり得る多数の超電導フィラメント1をCuなどの安定化母材2の内部に複合してなる超電導フィラメント集合線3を中心部に備え、その外周部に超電導フィラメント集合線3よりも径の小さな複数の補強線5を備え、これらの全体を管体6の内部に複合してなる補強材外部配置型の超電導素線7を示している。図4に示す超電導素線7を所望の線径まで縮径加工して圧密し、超電導金属間化合物を生成させるための拡散熱処理を施すと超電導導体を得ることができる。
図5は、超電導導体となり得る多数の超電導フィラメント11をCuなどの安定化母材12の内部に複合してなる超電導フィラメント集合線13を内径の大きな補強線15の周囲に複数備え、これらの全体を管体6の内部に複合してなる補強材内部配置型の超電導素線17を示している。図5に示す超電導素線17を所望の線径まで縮径加工して圧密し、超電導金属間化合物を生成させるための拡散熱処理を施すと超電導導体を得ることができる。
【0008】
これら図4と図5に示す超電導素線7、17を製造するには、まず、超電導フィラメント集合線3、13を製造する。超電導フィラメント集合線3、13を製造するには、例えば、超電導金属間化合物を構成する2種の金属元素のうち、1種を含む線材を用意し、これを超電導金属間化合物を構成する残り1種を含む管体に挿入して複合線を得、この複合線を所望の線径まで縮径加工して得ることができる。また、超電導線材を得る場合に、超電導金属間化合物を構成する2種の金属元素のうち、1種の金属元素の基地の内部に残り1種の金属の樹枝状晶を含むインサイチュ線材を用い、これを所望の線径まで縮径加工して得る方法など、種々の方法が知られている。
【0009】
以上のように得られた超電導フィラメント集合線3を図4に示す補強線5・・・とともに管体の内部に集合して縮径し、拡散熱処理するか、超電導フィラメント集合線13・・・を補強線15とともに管体の内部に集合して縮径し、拡散熱処理することで、所望の線径の超電導素線を得ることができ、この超電導素線に拡散熱処理を施すことで超電導導体を得ることができる。
【0010】
しかしながら、前述の方法で得られる超電導導体は、異種金属の集合と縮径を多数回繰り返し施されて得られるものであるので、縮径加工の際に、径方向に強加工されることになるが、異種金属複合体の強加工を行うと、断面方向で線材強度の不均一性が現れ易い問題があった。特に、図4または図5に示す断面構造の超電導素線7、17は、線材中心部あるいは線材外周部に補強材を集中配置した構造であるので、線材強度の断面方向における不均一性が一層増加する傾向がある。この強度不均一性は、線材を縮径加工する場合に断線を引き起こしたり、フィラメントのいびつな変形を引き起こす不均一加工となり易い傾向があった。
【0011】
本発明は前記の背景に基づき、超電導線材の内部に補強材を複合する構造において断面方向での補強材の不均一性を解消して線材加工性を向上させて加工中の断線を防止するとともに、超電導フィラメントの異常変形を抑制し、線材強度も向上させることができる超電導線とその製造方法の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するために、多数の超電導フィラメントを金属基地の内部に複合してなる超電導フィラメント集合体が、複数本、外被の内部に補強材とともに分散圧密されてなる超電導線であり、前記補強材が直径の異なる複数種類の補強材からなり、前記複数の補強材のうち、少なくとも1つが、前記外被の内部に収納されている複数本の超電導フィラメント集合体のうち、隣接する複数本の超電導フィラメント集合体間に挿入されて前記超電導フィラメント集合体よりも直径の小さなものであり、前記複数の補強材のうち、他の少なくとも1つが、隣接する複数本の超電導線の外部側で外被の内側に配置されたものであることを特徴とする。
【0013】
本発明は前記課題を解決するために、前記補強材が4種類以上の径の異なるものからなり、前記補強材の中でも径の小さなものが隣接する超電導フィラメント集合体間に配置されるとともに、隣接する超電導フィラメント集合体の外側に径の異なる複数の補強材が配置されてなることを特徴とする。
【0014】
本発明は、熱処理することで超電導金属間化合物を生成可能なフィラメント集合体を複数本と、補強線材を複数本、外被パイプの内部に集合して所望の線径まで縮径加工を施し、縮径加工後に超電導金属間化合物を生成させる拡散熱処理を施す超電導導体の製造方法において、径の異なる複数種類の補強線を用い、このうち、フィラメント集合体の径よりも小さな径の補強線を複数のフィラメント集合体の間に配置して超電導素線を集合するとともにフィラメント集合体の外側に前記径の異なる補強線を複数種類配置し、全体を外被パイプの内部に挿入し、この後に全体に縮径加工を施して目的の線径の超電導素線を得た後、前記超電導金属間化合物を生成させるための拡散熱処理を施すことを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は本発明に係る超電導導体の第1実施形態を示すもので、この実施形態の超電導導体Aは、外被21の内部中央側に配置された7本の超電導フィラメント集合体22とその外部側で外被21の内側に配置された4種類の外径の補強材23、25、26、27とを主体として構成されている。
【0016】
前記超電導フィラメント集合体22は中心部に1本、その周囲部に周回りに等間隔で6本配置されるとともに、中心のフィラメント集合体22とその外周部に位置するフィラメント集合体22・・・との境界部分には各々最も径の小さな補強材23が中心部のフィラメント集合体22の周回りに等間隔で合計6本配置されている。これらの最小径の補強材23は、前記中心に位置するフィラメント集合体22と、その外側の一対のフィラメント集合体22、22との境界部分にそれぞれ配置されている。
【0017】
次に、中心部のフィラメント集合体22の外周側に位置する6本のフィラメント集合体22のうち、互いに隣接する2本のフィラメント集合体22、22の間の部分の外周側には最も径の小さな補強材23が更に配置され、これら各補強材23の外側に最も径の大きな補強材27が配置されている。即ち、これらの補強材27は互いに隣接するフィラメント集合体22の境界部分の外側に位置されている。次に、周回りに配置されている6本のフィラメント集合体22の各々の外側であって、フィラメント集合体22・・・の外周側に配置されている最大径の補強材27、27の間の部分には、補強材27に近い位置に第2番目の直径の補強材26がそれぞれ配置され、これら補強材26、26の間の部分に補強材26、26に挟まれるように第3番目の直径の補強材25が配置されている。
【0018】
更に、前記6本のフィラメント集合体22の各々の外側に位置する最大径の補強材27とそれに隣接する第2番目の径の補強材26との間の部分の外周側に最小径の補強材23が配置され、前記補強材26とそれに隣接する補強材25との境界部分の外周側に最小径の補強材23が配置されている。従って、前記6本のフィラメント集合体22の外周部であって外被21の内側には、外被21の内周回りに補強材27、23、26、23、25、23、26、23の順で補強材が繰り返し配置されていて、これらを覆って外被21が設けられている。
【0019】
前記外被21は高純度銅などの電気抵抗の低い良導電性金属材料から構成されている。
前記フィラメント集合体22は図2(B)に拡大して示す2次複合体29を縮径加工して構成される。この2次複合体29は、図2(A)に示すNbなどの芯材30の外部をCuSn合金などの被覆層31で覆った構成の1次複合体32を多数本集合し、これらをCuSn合金などからなる内部パイプ33の内部に挿入し、更に内部パイプ33をTaなどの高融点金属材料からなる外部パイプ34で図2(B)に示すように覆って構成されている。
【0020】
ここで用いられる芯材30を構成する材料は、目的とする超電導金属間化合物を構成する2つ以上の元素のうち、少なくとも1つの元素を含むものから選定されるので、目的とする超電導金属間化合物がNb3Snである場合は、芯材30をNbから構成する。
【0021】
超電導金属間化合物として前記Nb3Snの外に、Nb3Ge、Nb3Al、V3Ga等のA−15型化合物など種々のものが知られているので、それらの超電導金属間化合物を構成する元素のうちの適宜なものを選択することができる。また、芯材30を覆う被覆層31の構成元素は、芯材30に含有させた超電導金属間化合物構成元素を除いた残りの超電導金属間化合物構成元素を含むものを選択して用いることができる。従ってこの実施形態においては、Nb3Sn超電導金属間化合物を製造することを目的とするので被覆層31の構成元素はCu−Sn合金が選択される。
【0022】
なお、1次複合線として本実施形態ではNbの芯材30とCuSn合金の被覆層31からなる構造のものを用いたが、CuSn合金の金属基地の内部にNbの樹枝状晶が分散された構造のインサイチュ線材を1次複合線の代わりに用いても良い。
【0023】
次に、前記補強材23、25、26、27はCu−20%Nb合金、アルミナ分散銅、Ta等のCu−Sn合金よりも強度の高い合金材料からなる。
【0024】
図1に示す構造の超電導導体を製造するには、図2(B)に示す2次複合体29を縮径加工して図2(C)に示すフィラメント集合体42とした後、このフィラメント集合体42を7本用意し、更に先の補強材と同等の構成材料からなる4種類の直径の補強線43、45、46、47を複数本用意する。ここで補強線43、44、46、47はこの順に直径が大きくなるものとする。一例としてフィラメント集合体42の直径を4.26mmとした場合に、補強線43の直径を0.6mm、補強線45の直径を1.08mm、補強線46の直径を1.6mm、補強線47の直径を2.77mmと設定することができる。
【0025】
これらの補強線43、45、46、47を図2(C)に示すように配置して外被パイプ51の内部に収納し、3次複合体を形成し、この3次複合体を所望の線径まで縮径加工することで超電導素線を得ることができ、この超電導素線に超電導金属間化合物生成用の拡散熱処理を施すことで図1に示す断面構造の超電導導体Aを得ることができる。
これらの補強線43、45、46、47をフィラメント集合体42の周囲に配置する場合、いずれの線径の補強線も線材横断面全体に出来る限り均一に分布するように配置することが好ましい。このような背景から本実施形態にあっては、中心に配置するフィラメント集合体42の周囲に等間隔で6本の最小径の補強線43を配置し、それらを囲むように6本のフィラメント集合体42を配置し、更に6本のフィラメント集合体42のうち、隣接するフィラメント集合体42の間の外側に最小径の補強線43を配置し、更にそれらの補強線43の外側に最大径の補強線47を配置し、最大径の補強線47、47間に第2番目の径の補強線46、46と第3番目の径の補強線45と最小径の補強線43を配置して外被51との間の隙間を補強線43〜47で出来る限り埋め込むように配置する。
ここで例えば、中心部のフィラメント集合体42のまわりにフィラメント集合体42を7本以上設置する場合は、各フィラメント集合体42の間にそれぞれ最小径の補強線43を配置することが好ましく、各フィラメント集合体42の外側にできる限り均一に直径の異なる複数本の補強線43、45、46、47を配置することが好ましい。
【0026】
図1に示す超電導導体Aにあっては、1次複合体32に複合されているNbの芯材30が微細なフィラメント状に加工された状態とされていて、この周囲にCu−Sn合金のSnが存在しているので、このSnが拡散してNbと反応する結果、NbフィラメントがNb3Sn超電導フィラメントとなり、超電導導体Aを得ることができる。
【0027】
以上のように構成された超電導導体Aは、内部に多数のNb3Sn超電導フィラメントを有するので、液体ヘリウム等の冷媒で冷却して超電導フィラメントを超電導状態に遷移させることで超電導導体として使用することができる。
前記超電導導体Aは、内部に4種類の径の異なる補強材23、25、26、27が複合され、しかも各補強材は線材横断面において均一に分散されている。即ち、中心部に配置したフィラメント集合体22の周囲に対称性を有するように他のフィラメント集合体22を配置し、更に補強材23〜27も良好な対称性で配置しているので、超電導導体Aの横断面を見た場合に良好な対称性でもって補強材23〜27を配置したことになる。
従って、本実施形態の超電導導体Aにあっては、線材強度の不均一性を解消することができ、縮径加工時のNbフィラメントの不均一変形や断線のおそれを少なくすることができる。また、縮径された状態において補強材23〜27はいずれも細径に加工されるので、補強材23〜27の繊維補強効果により超電導導体の線材強度が向上される。
【0028】
【実施例】
外径25.4mm、内径15.4mmのCu−13wt%Sn合金のパイプの内部に外径14.9mmのNb−1.2%Ti合金からなる芯材を挿入して1次複合線を作成し、この1次複合線を直径0.7mmまで縮径加工し、縮径加工後の1次複合線を331本集合した。次に、これら331本の1次複合線を外径16mm、内径15mmのCu−8wt%Sn合金のパイプの内部に挿入し、全体を更に外径18mm、内径16mmのTaパイプの内部に挿入し、これら全体を外径4.26mmになるまで縮径加工してフィラメント集合体を得た。
【0029】
このフィラメント集合体を7本作成し、1本のフィラメント集合体の周囲に他の6本のフィラメント集合体を配置し、中心部のフィラメント集合体と外周部のフィラメント集合体との間の部分に直径0.6mmのCu−20wt%Nb合金の補強線を6本介在させた。続いて外周側の6本のフィラメント集合体の間の部分の外周側に直径0.6mmのCu−20wt%Nb合金の補強線を6本介在させ、更にそれらの補強線の外側に直径2.77mmの最大径の補強線を配置した。
続いて外周部側に存在する最大径の補強線の間に、最大径の補強線に近い部分から順に第2番目の大きさの直径1.6mmの補強線と第3番目の大きさの直径1.08mmの補強線を介在させ、更にこれらの第2番目と第3番目の直径の補強線の境界部分の外側に直径0.6mmのCu−20wt%Nb合金の補強線を配し、これら全体を外径17.3mm、内径16.5mmの純銅製のパイプの内部に挿入し、全体を直径1mmになるまで縮径加工して超電導素線を得た。ここまでの縮径加工において断線等のトラブルは全く生じなかった。更にここで用いた4種類の直径の補強線の合計本数は58本である。
【0030】
次に前記直径1mmの超電導素線を670℃に240時間加熱するNb3Sn生成用拡散熱処理を施し、内部補強型のNb3Sn超電導線を得た。
このNb3Sn超電導線の強度を測定した結果、同様の補強材断面積を有する超電導線材の約1.1倍の強度を有していることが判明した。更に、得られた超電導線材の断面観察を行なったところ、拡散熱処理によって内部に生成されている超電導フィラメントに異常な変形は見られなかった。
【0031】
次に、以上のように製造された超電導導体と比較例の超電導導体について室温において引張試験を行なった結果を図3に示す。
比較例の超電導導体は以下のように製造した。、外径25.4mm、内径15.4mmのCu−13wt%Snパイプに直径14.1mmのNb−1.2wt%Ti線材を挿入して、全体を縮径して直径1mmの1次複合線を得、更にこの1次複合線を85本集合し、直径0.6mmの6本のCu−13wt%Sn線材とともにCu−8wt%Snパイプ中に挿入し、縮径加工を施して直径1.14mmの1次集合線を得た。
【0032】
次にこの1次集合線を85本集合し、直径0.64mmの6本のCu−13wt%Sn線とともに、外径13mm、内径12mmのCu−8wt%Snパイプの内部に挿入して縮径加工を施し、外径11mmの2次集合線を得た。
次にこの2次集合線の外部に外径14mm、内径11.5mmのTaパイプを被せ、外径15.5mm、内径14.5mmのCuパイプを被せ、更に全体を縮径して直径11.6mmの2次複合線を得た。
【0033】
次に、2次複合線の周囲に直径2.45mmのCu−20wt%Nb線材を18本配置し、更にその外側に、外径18.5mm、内径17.5mmのCuパイプを被せてから最終縮径加工を施し、直径1.0mmの超電導素線を得た。続いてこの超電導素線に対して先の例と同等の熱処理条件で熱処理を施して超電導導体を得た。
【0034】
図3に示す試験結果から明らかなように、本実施例の超電導導体は同一径の比較例の超電導導体に対し、同一歪量において10%程度高い引張応力を示すことが判明した。従って、直径の異なる4種類の補強材を用いて構成した超電導導体が優れた線材強度を示すことが判明した。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように本発明方法によれば、直径の異なる複数種類の補強材が複数のフィラメント集合体とともに外被の内側に複合圧密されてなり、複数本のフィラメント集合体の間に複数本の補強材が挿入されてなり、フィラメント集合体と外被との間に複数種類の径の異なる補強材が配置されているので、線材横断面において均一に補強材を配置できる結果として強度の高い、線材断面において強度の不均一性を有しない超電導導体を提供することができる。
【0036】
本発明は、フィラメント集合体が外被の中に複数集合されてなる構造においてフィラメント集合体の内側と周囲にいずれも補強材を配置することで縮径加工時のフィラメント集合体の異常変形が抑制される結果、形の揃った超電導フィラメントを有する超電導導体が得られる。
フィラメント集合体の周囲にフィラメント集合体よりも小径の補強材が配置されるので、フィラメント集合体が繊維強化された構造となり、線材強度の高いものが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る超電導導体の第1実施形態を示す断面図。
【図2】図2は図1に示す第1実施形態の超電導導体を製造するために用いる1次複合体と2次複合体と3次複合体を示すもので、図2(A)は図1に示す第1実施形態の超電導導体を製造するために用いる1次複合体の断面図、図2(B)は同超電導導体を製造するために用いる2次複合体の断面図、図2(C)は同超電導導体を製造するために用いる3次複合体の断面図。
【図3】図3は超電導導体と比較例の超電導導体について室温において引張試験を行なった結果を示す図。
【図4】従来の補強材外部配置型の超電導導体の一例を示す図。
【図5】従来の補強材内部配置型の超電導導体の一例を示す図。
【符号の説明】
A・・・超電導導体、21・・・外被、22、42・・・フィラメント集合体、23、25、26、27・・・補強材、30・・・芯材、31・・・被覆層、29・・・2次複合体、32・・・1次複合体、43、45、46、47・・・補強線、51・・・外被パイプ。
Claims (3)
- 多数の超電導フィラメントを金属基地の内部に複合してなる超電導フィラメント集合体が、複数本、外被の内部に補強材とともに分散圧密されてなる超電導導体であり、
前記補強材が直径の異なる複数種類の補強材からなり、前記複数の補強材のうち、少なくとも1つが、前記外被の内部に収納されている複数本の超電導フィラメント集合体のうち、隣接する複数本の超電導フィラメント集合体間に挿入されて前記超電導フィラメント集合体よりも直径の小さなものであり、
前記複数の補強材のうち、他の少なくとも1つが、隣接する複数本の超電導線の外部側で外被の内側に配置されたものであることを特徴とする超電導導体。 - 前記補強材が4種類以上の径の異なるものからなり、前記補強材の中でも径の小さな小径補強材が外被の内側で相互に隣接する超電導フィラメント集合体間に配置されるとともに、外被の内側で相互に隣接する超電導フィラメント集合体の外側に径が異なり前記小径補強材よりも径の大きな複数の補強材が配置されてなることを特徴とする請求項1に記載の超電導導体。
- 熱処理することで超電導金属間化合物を生成可能なフィラメント集合体を複数本と、補強線材を複数本、外被パイプの内部に集合して所望の線径まで縮径加工を施し、縮径加工後に超電導金属間化合物を生成させる拡散熱処理を施す超電導導体の製造方法において、
径の異なる複数種類の補強線を用い、このうち、フィラメント集合体の径よりも小さな径の補強線を複数のフィラメント集合体の間に配置して超電導素線を集合するとともにフィラメント集合体の外側に前記径の異なる補強線を複数種類配置し、全体を外被パイプの内部に挿入し、この後に全体に縮径加工を施して目的の線径の超電導素線を得た後、
前記超電導金属間化合物を生成させるための拡散熱処理を施すことを特徴とする超電導導体の製造方法。
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