JP2000348547A - 超電導導体およびその製造方法 - Google Patents

超電導導体およびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、超電導線材の内部に補強材を複合
する構造において線材加工性を向上させて加工中の断線
を防止し、超電導フィラメントの異常変形を抑制し、線
材強度も向上させた超電導線とその製法の提供を目的と
する。 【解決手段】 本発明は、多数の超電導フィラメントを
金属基地の内部に複合してなる超電導フィラメント集合
体22が、複数本、外被の内部に補強材とともに分散圧
密されてなる超電導導体であり、補強材が直径の異なる
複数種類の補強材23、25、26、27からなり、複
数の補強材のうち、少なくとも1つが、外被21の内部
に収納されている複数本の超電導フィラメント集合体の
うち、隣接する複数本の超電導フィラメント集合体間に
挿入されて超電導フィラメント集合体よりも直径の小さ
なものであり、複数の補強材のうち、他の少なくとも1
つが隣接する複数本の超電導線の外部側で外被の内側に
配置されたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、直径の異なる複数
種類の補強線材を内部補強用として用いた構造の超電導
ケーブルとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、金属系超電導線材は磁界発生用の
超電導コイルとして種々実用化されている。この種の超
電導コイルは、金属系超電導線材を巻胴に巻回して構成
され、全体を液体ヘリウムにより極低温に冷却した状態
において金属系超電導線材に通電して主に磁界発生用と
して使用されるものである。この超電導コイルに通電す
ると、超電導コイルを構成する金属系超電導線材には自
身が発生させた強大な電磁力が作用することになる。
【0003】ここで、この強大な電磁力を受けた超電導
線材が巻胴に巻回された状態で動くようなことが生じる
と、超電導線材が超電導状態から常電導状態へと転移す
るクエンチを引き起こし、超電導コイルとしての超電導
特性を低下させてしまう問題がある。
【0004】また、電磁力によって超電導線材が延びる
ようなことが生じると、超電導線材としての線材特性も
劣化することになる問題があった。
【0005】そこでこれらの背景から、超電導線材にお
いてはできる限り構造強度を高めることが要求されてお
り、従来、このような超電導線材の構造強度を高める手
段として以下に説明する方法が実施されている。 外部補強法:超電導コイルを構成する超電導線材をそ
の外側から何らかの補強部材で補強して固定する方法。 内部補強法:超電導線材の内部に補強部材を複合し、
超電導線材そのものの強度を高める構造を採用する方
法。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述の外部補強法にあ
っては、超電導線材を補強するための部材を別途設ける
関係から、超電導コイルが巨大化、高重量化し易い問題
があった。また、前述の内部補強法にあっては、超電導
線材の内部に複合する超電導導体自身の断面積が少なく
なるために、超電導線材自体の臨界電流密度が低下する
おそれが高い問題を有していた。更に、超電導線材の内
部には、補強材の外に、超電導線材のクエンチを防止す
るための電流のバイパス通路としての安定化部材も複合
されており、最近ではこの安定化材自体を高強度材料か
ら形成して補強材兼用とした構造も現れてきている。と
ころが、この種の構造においても以下に説明する問題を
有していた。
【0007】図4は、超電導導体となり得る多数の超電
導フィラメント1をCuなどの安定化母材2の内部に複
合してなる超電導フィラメント集合線3を中心部に備
え、その外周部に超電導フィラメント集合線3よりも径
の小さな複数の補強線5を備え、これらの全体を管体6
の内部に複合してなる補強材外部配置型の超電導素線7
を示している。図4に示す超電導素線7を所望の線径ま
で縮径加工して圧密し、超電導金属間化合物を生成させ
るための拡散熱処理を施すと超電導導体を得ることがで
きる。図5は、超電導導体となり得る多数の超電導フィ
ラメント11をCuなどの安定化母材12の内部に複合
してなる超電導フィラメント集合線13を内径の大きな
補強線15の周囲に複数備え、これらの全体を管体6の
内部に複合してなる補強材内部配置型の超電導素線17
を示している。図5に示す超電導素線17を所望の線径
まで縮径加工して圧密し、超電導金属間化合物を生成さ
せるための拡散熱処理を施すと超電導導体を得ることが
できる。
【0008】これら図4と図5に示す超電導素線7、1
7を製造するには、まず、超電導フィラメント集合線
3、13を製造する。超電導フィラメント集合線3、1
3を製造するには、例えば、超電導金属間化合物を構成
する2種の金属元素のうち、1種を含む線材を用意し、
これを超電導金属間化合物を構成する残り1種を含む管
体に挿入して複合線を得、この複合線を所望の線径まで
縮径加工して得ることができる。また、超電導線材を得
る場合に、超電導金属間化合物を構成する2種の金属元
素のうち、1種の金属元素の基地の内部に残り1種の金
属の樹枝状晶を含むインサイチュ線材を用い、これを所
望の線径まで縮径加工して得る方法など、種々の方法が
知られている。
【0009】以上のように得られた超電導フィラメント
集合線3を図4に示す補強線5・・・とともに管体の内部
に集合して縮径し、拡散熱処理するか、超電導フィラメ
ント集合線13・・・を補強線15とともに管体の内部に
集合して縮径し、拡散熱処理することで、所望の線径の
超電導素線を得ることができ、この超電導素線に拡散熱
処理を施すことで超電導導体を得ることができる。
【0010】しかしながら、前述の方法で得られる超電
導導体は、異種金属の集合と縮径を多数回繰り返し施さ
れて得られるものであるので、縮径加工の際に、径方向
に強加工されることになるが、異種金属複合体の強加工
を行うと、断面方向で線材強度の不均一性が現れ易い問
題があった。特に、図4または図5に示す断面構造の超
電導素線7、17は、線材中心部あるいは線材外周部に
補強材を集中配置した構造であるので、線材強度の断面
方向における不均一性が一層増加する傾向がある。この
強度不均一性は、線材を縮径加工する場合に断線を引き
起こしたり、フィラメントのいびつな変形を引き起こす
不均一加工となり易い傾向があった。
【0011】本発明は前記の背景に基づき、超電導線材
の内部に補強材を複合する構造において断面方向での補
強材の不均一性を解消して線材加工性を向上させて加工
中の断線を防止するとともに、超電導フィラメントの異
常変形を抑制し、線材強度も向上させることができる超
電導線とその製造方法の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決
するために、多数の超電導フィラメントを金属基地の内
部に複合してなる超電導フィラメント集合体が、複数
本、外被の内部に補強材とともに分散圧密されてなる超
電導線であり、前記補強材が直径の異なる複数種類の補
強材からなり、前記複数の補強材のうち、少なくとも1
つが、前記外被の内部に収納されている複数本の超電導
フィラメント集合体のうち、隣接する複数本の超電導フ
ィラメント集合体間に挿入されて前記超電導フィラメン
ト集合体よりも直径の小さなものであり、前記複数の補
強材のうち、他の少なくとも1つが、隣接する複数本の
超電導線の外部側で外被の内側に配置されたものである
ことを特徴とする。
【0013】本発明は前記課題を解決するために、前記
補強材が4種類以上の径の異なるものからなり、前記補
強材の中でも径の小さなものが隣接する超電導フィラメ
ント集合体間に配置されるとともに、隣接する超電導フ
ィラメント集合体の外側に径の異なる複数の補強材が配
置されてなることを特徴とする。
【0014】本発明は、熱処理することで超電導金属間
化合物を生成可能なフィラメント集合体を複数本と、補
強線材を複数本、外被パイプの内部に集合して所望の線
径まで縮径加工を施し、縮径加工後に超電導金属間化合
物を生成させる拡散熱処理を施す超電導導体の製造方法
において、径の異なる複数種類の補強線を用い、このう
ち、フィラメント集合体の径よりも小さな径の補強線を
複数のフィラメント集合体の間に配置して超電導素線を
集合するとともにフィラメント集合体の外側に前記径の
異なる補強線を複数種類配置し、全体を外被パイプの内
部に挿入し、この後に全体に縮径加工を施して目的の線
径の超電導素線を得た後、前記超電導金属間化合物を生
成させるための拡散熱処理を施すことを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態について説明するが、本発明は以下の実施形態
に限定されるものではない。図1は本発明に係る超電導
導体の第1実施形態を示すもので、この実施形態の超電
導導体Aは、外被21の内部中央側に配置された7本の
超電導フィラメント集合体22とその外部側で外被21
の内側に配置された4種類の外径の補強材23、25、
26、27とを主体として構成されている。
【0016】前記超電導フィラメント集合体22は中心
部に1本、その周囲部に周回りに等間隔で6本配置され
るとともに、中心のフィラメント集合体22とその外周
部に位置するフィラメント集合体22・・・との境界部分
には各々最も径の小さな補強材23が中心部のフィラメ
ント集合体22の周回りに等間隔で合計6本配置されて
いる。これらの最小径の補強材23は、前記中心に位置
するフィラメント集合体22と、その外側の一対のフィ
ラメント集合体22、22との境界部分にそれぞれ配置
されている。
【0017】次に、中心部のフィラメント集合体22の
外周側に位置する6本のフィラメント集合体22のう
ち、互いに隣接する2本のフィラメント集合体22、2
2の間の部分の外周側には最も径の小さな補強材23が
更に配置され、これら各補強材23の外側に最も径の大
きな補強材27が配置されている。即ち、これらの補強
材27は互いに隣接するフィラメント集合体22の境界
部分の外側に位置されている。次に、周回りに配置され
ている6本のフィラメント集合体22の各々の外側であ
って、フィラメント集合体22・・・の外周側に配置され
ている最大径の補強材27、27の間の部分には、補強
材27に近い位置に第2番目の直径の補強材26がそれ
ぞれ配置され、これら補強材26、26の間の部分に補
強材26、26に挟まれるように第3番目の直径の補強
材25が配置されている。
【0018】更に、前記6本のフィラメント集合体22
の各々の外側に位置する最大径の補強材27とそれに隣
接する第2番目の径の補強材26との間の部分の外周側
に最小径の補強材23が配置され、前記補強材26とそ
れに隣接する補強材25との境界部分の外周側に最小径
の補強材23が配置されている。従って、前記6本のフ
ィラメント集合体22の外周部であって外被21の内側
には、外被21の内周回りに補強材27、23、26、
23、25、23、26、23の順で補強材が繰り返し
配置されていて、これらを覆って外被21が設けられて
いる。
【0019】前記外被21は高純度銅などの電気抵抗の
低い良導電性金属材料から構成されている。前記フィラ
メント集合体22は図2(B)に拡大して示す2次複合
体29を縮径加工して構成される。この2次複合体29
は、図2(A)に示すNbなどの芯材30の外部をCu
Sn合金などの被覆層31で覆った構成の1次複合体3
2を多数本集合し、これらをCuSn合金などからなる
内部パイプ33の内部に挿入し、更に内部パイプ33を
Taなどの高融点金属材料からなる外部パイプ34で図
2(B)に示すように覆って構成されている。
【0020】ここで用いられる芯材30を構成する材料
は、目的とする超電導金属間化合物を構成する2つ以上
の元素のうち、少なくとも1つの元素を含むものから選
定されるので、目的とする超電導金属間化合物がNb3
Snである場合は、芯材30をNbから構成する。
【0021】超電導金属間化合物として前記Nb3Sn
の外に、Nb3Ge、Nb3Al、V3Ga等のA-15型
化合物など種々のものが知られているので、それらの超
電導金属間化合物を構成する元素のうちの適宜なものを
選択することができる。また、芯材30を覆う被覆層3
1の構成元素は、芯材30に含有させた超電導金属間化
合物構成元素を除いた残りの超電導金属間化合物構成元
素を含むものを選択して用いることができる。従ってこ
の実施形態においては、Nb3Sn超電導金属間化合物
を製造することを目的とするので被覆層31の構成元素
はCu-Sn合金が選択される。
【0022】なお、1次複合線として本実施形態ではN
bの芯材30とCuSn合金の被覆層31からなる構造
のものを用いたが、CuSn合金の金属基地の内部にN
bの樹枝状晶が分散された構造のインサイチュ線材を1
次複合線の代わりに用いても良い。
【0023】次に、前記補強材23、25、26、27
はCu-20%Nb合金、アルミナ分散銅、Ta等のC
u-Sn合金よりも強度の高い合金材料からなる。
【0024】図1に示す構造の超電導導体を製造するに
は、図2(B)に示す2次複合体29を縮径加工して図
2(C)に示すフィラメント集合体42とした後、この
フィラメント集合体42を7本用意し、更に先の補強材
と同等の構成材料からなる4種類の直径の補強線43、
45、46、47を複数本用意する。ここで補強線4
3、44、46、47はこの順に直径が大きくなるもの
とする。一例としてフィラメント集合体42の直径を
4.26mmとした場合に、補強線43の直径を0.6m
m、補強線45の直径を1.08mm、補強線46の直
径を1.6mm、補強線47の直径を2.77mmと設定
することができる。
【0025】これらの補強線43、45、46、47を
図2(C)に示すように配置して外被パイプ51の内部
に収納し、3次複合体を形成し、この3次複合体を所望
の線径まで縮径加工することで超電導素線を得ることが
でき、この超電導素線に超電導金属間化合物生成用の拡
散熱処理を施すことで図1に示す断面構造の超電導導体
Aを得ることができる。これらの補強線43、45、4
6、47をフィラメント集合体42の周囲に配置する場
合、いずれの線径の補強線も線材横断面全体に出来る限
り均一に分布するように配置することが好ましい。この
ような背景から本実施形態にあっては、中心に配置する
フィラメント集合体42の周囲に等間隔で6本の最小径
の補強線43を配置し、それらを囲むように6本のフィ
ラメント集合体42を配置し、更に6本のフィラメント
集合体42のうち、隣接するフィラメント集合体42の
間の外側に最小径の補強線43を配置し、更にそれらの
補強線43の外側に最大径の補強線47を配置し、最大
径の補強線47、47間に第2番目の径の補強線46、
46と第3番目の径の補強線45と最小径の補強線43
を配置して外被51との間の隙間を補強線43〜47で
出来る限り埋め込むように配置する。ここで例えば、中
心部のフィラメント集合体42のまわりにフィラメント
集合体42を7本以上設置する場合は、各フィラメント
集合体42の間にそれぞれ最小径の補強線43を配置す
ることが好ましく、各フィラメント集合体42の外側に
できる限り均一に直径の異なる複数本の補強線43、4
5、46、47を配置することが好ましい。
【0026】図1に示す超電導導体Aにあっては、1次
複合体32に複合されているNbの芯材30が微細なフ
ィラメント状に加工された状態とされていて、この周囲
にCu-Sn合金のSnが存在しているので、このSn
が拡散してNbと反応する結果、NbフィラメントがN
3Sn超電導フィラメントとなり、超電導導体Aを得
ることができる。
【0027】以上のように構成された超電導導体Aは、
内部に多数のNb3Sn超電導フィラメントを有するの
で、液体ヘリウム等の冷媒で冷却して超電導フィラメン
トを超電導状態に遷移させることで超電導導体として使
用することができる。前記超電導導体Aは、内部に4種
類の径の異なる補強材23、25、26、27が複合さ
れ、しかも各補強材は線材横断面において均一に分散さ
れている。即ち、中心部に配置したフィラメント集合体
22の周囲に対称性を有するように他のフィラメント集
合体22を配置し、更に補強材23〜27も良好な対称
性で配置しているので、超電導導体Aの横断面を見た場
合に良好な対称性でもって補強材23〜27を配置した
ことになる。従って、本実施形態の超電導導体Aにあっ
ては、線材強度の不均一性を解消することができ、縮径
加工時のNbフィラメントの不均一変形や断線のおそれ
を少なくすることができる。また、縮径された状態にお
いて補強材23〜27はいずれも細径に加工されるの
で、補強材23〜27の繊維補強効果により超電導導体
の線材強度が向上される。
【0028】
【実施例】外径25.4mm、内径15.4mmのCu-
13wt%Sn合金のパイプの内部に外径14.9mm
のNb-1.2%Ti合金からなる芯材を挿入して1次複
合線を作成し、この1次複合線を直径0.7mmまで縮
径加工し、縮径加工後の1次複合線を331本集合し
た。次に、これら331本の1次複合線を外径16m
m、内径15mmのCu-8wt%Sn合金のパイプの
内部に挿入し、全体を更に外径18mm、内径16mm
のTaパイプの内部に挿入し、これら全体を外径4.2
6mmになるまで縮径加工してフィラメント集合体を得
た。
【0029】このフィラメント集合体を7本作成し、1
本のフィラメント集合体の周囲に他の6本のフィラメン
ト集合体を配置し、中心部のフィラメント集合体と外周
部のフィラメント集合体との間の部分に直径0.6mm
のCu-20wt%Nb合金の補強線を6本介在させ
た。続いて外周側の6本のフィラメント集合体の間の部
分の外周側に直径0.6mmのCu-20wt%Nb合金
の補強線を6本介在させ、更にそれらの補強線の外側に
直径2.77mmの最大径の補強線を配置した。続いて
外周部側に存在する最大径の補強線の間に、最大径の補
強線に近い部分から順に第2番目の大きさの直径1.6
mmの補強線と第3番目の大きさの直径1.08mmの
補強線を介在させ、更にこれらの第2番目と第3番目の
直径の補強線の境界部分の外側に直径0.6mmのCu-
20wt%Nb合金の補強線を配し、これら全体を外径
17.3mm、内径16.5mmの純銅製のパイプの内部
に挿入し、全体を直径1mmになるまで縮径加工して超
電導素線を得た。ここまでの縮径加工において断線等の
トラブルは全く生じなかった。更にここで用いた4種類
の直径の補強線の合計本数は58本である。
【0030】次に前記直径1mmの超電導素線を670
℃に240時間加熱するNb3Sn生成用拡散熱処理を
施し、内部補強型のNb3Sn超電導線を得た。このN
3Sn超電導線の強度を測定した結果、同様の補強材
断面積を有する超電導線材の約1.1倍の強度を有して
いることが判明した。更に、得られた超電導線材の断面
観察を行なったところ、拡散熱処理によって内部に生成
されている超電導フィラメントに異常な変形は見られな
かった。
【0031】次に、以上のように製造された超電導導体
と比較例の超電導導体について室温において引張試験を
行なった結果を図3に示す。比較例の超電導導体は以下
のように製造した。、外径25.4mm、内径15.4m
mのCu-13wt%Snパイプに直径14.1mmのN
b-1.2wt%Ti線材を挿入して、全体を縮径して直
径1mmの1次複合線を得、更にこの1次複合線を85
本集合し、直径0.6mmの6本のCu-13wt%Sn
線材とともにCu-8wt%Snパイプ中に挿入し、縮
径加工を施して直径1.14mmの1次集合線を得た。
【0032】次にこの1次集合線を85本集合し、直径
0.64mmの6本のCu-13wt%Sn線とともに、
外径13mm、内径12mmのCu-8wt%Snパイ
プの内部に挿入して縮径加工を施し、外径11mmの2
次集合線を得た。次にこの2次集合線の外部に外径14
mm、内径11.5mmのTaパイプを被せ、外径15.
5mm、内径14.5mmのCuパイプを被せ、更に全
体を縮径して直径11.6mmの2次複合線を得た。
【0033】次に、2次複合線の周囲に直径2.45m
mのCu-20wt%Nb線材を18本配置し、更にそ
の外側に、外径18.5mm、内径17.5mmのCuパ
イプを被せてから最終縮径加工を施し、直径1.0mm
の超電導素線を得た。続いてこの超電導素線に対して先
の例と同等の熱処理条件で熱処理を施して超電導導体を
得た。
【0034】図3に示す試験結果から明らかなように、
本実施例の超電導導体は同一径の比較例の超電導導体に
対し、同一歪量において10%程度高い引張応力を示す
ことが判明した。従って、直径の異なる4種類の補強材
を用いて構成した超電導導体が優れた線材強度を示すこ
とが判明した。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように本発明方法によれ
ば、直径の異なる複数種類の補強材が複数のフィラメン
ト集合体とともに外被の内側に複合圧密されてなり、複
数本のフィラメント集合体の間に複数本の補強材が挿入
されてなり、フィラメント集合体と外被との間に複数種
類の径の異なる補強材が配置されているので、線材横断
面において均一に補強材を配置できる結果として強度の
高い、線材断面において強度の不均一性を有しない超電
導導体を提供することができる。
【0036】本発明は、フィラメント集合体が外被の中
に複数集合されてなる構造においてフィラメント集合体
の内側と周囲にいずれも補強材を配置することで縮径加
工時のフィラメント集合体の異常変形が抑制される結
果、形の揃った超電導フィラメントを有する超電導導体
が得られる。フィラメント集合体の周囲にフィラメント
集合体よりも小径の補強材が配置されるので、フィラメ
ント集合体が繊維強化された構造となり、線材強度の高
いものが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る超電導導体の第1実施形態を示
す断面図。
【図2】 図2は図1に示す第1実施形態の超電導導体
を製造するために用いる1次複合体と2次複合体と3次
複合体を示すもので、図2(A)は図1に示す第1実施
形態の超電導導体を製造するために用いる1次複合体の
断面図、図2(B)は同超電導導体を製造するために用
いる2次複合体の断面図、図2(C)は同超電導導体を
製造するために用いる3次複合体の断面図。
【図3】 図3は超電導導体と比較例の超電導導体につ
いて室温において引張試験を行なった結果を示す図。
【図4】 従来の補強材外部配置型の超電導導体の一例
を示す図。
【図5】 従来の補強材内部配置型の超電導導体の一例
を示す図。
【符号の説明】
A・・・超電導導体、21・・・外被、22、42・・・フィラ
メント集合体、23、25、26、27・・・補強材、3
0・・・芯材、31・・・被覆層、29・・・2次複合体、32・
・・1次複合体、43、45、46、47・・・補強線、5
1・・・外被パイプ。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数の超電導フィラメントを金属基地の
    内部に複合してなる超電導フィラメント集合体が、複数
    本、外被の内部に補強材とともに分散圧密されてなる超
    電導導体であり、 前記補強材が直径の異なる複数種類の補強材からなり、
    前記複数の補強材のうち、少なくとも1つが、前記外被
    の内部に収納されている複数本の超電導フィラメント集
    合体のうち、隣接する複数本の超電導フィラメント集合
    体間に挿入されて前記超電導フィラメント集合体よりも
    直径の小さなものであり、 前記複数の補強材のうち、他の少なくとも1つが、隣接
    する複数本の超電導線の外部側で外被の内側に配置され
    たものであることを特徴とする超電導導体。
  2. 【請求項2】 前記補強材が4種類以上の径の異なるも
    のからなり、前記補強材の中でも径の小さな小径補強材
    が外被の内側で相互に隣接する超電導フィラメント集合
    体間に配置されるとともに、外被の内側で相互に隣接す
    る超電導フィラメント集合体の外側に径が異なり前記小
    径補強材よりも径の大きな複数の補強材が配置されてな
    ることを特徴とする請求項1に記載の超電導導体。
  3. 【請求項3】 熱処理することで超電導金属間化合物を
    生成可能なフィラメント集合体を複数本と、補強線材を
    複数本、外被パイプの内部に集合して所望の線径まで縮
    径加工を施し、縮径加工後に超電導金属間化合物を生成
    させる拡散熱処理を施す超電導導体の製造方法におい
    て、 径の異なる複数種類の補強線を用い、このうち、フィラ
    メント集合体の径よりも小さな径の補強線を複数のフィ
    ラメント集合体の間に配置して超電導素線を集合すると
    ともにフィラメント集合体の外側に前記径の異なる補強
    線を複数種類配置し、全体を外被パイプの内部に挿入
    し、この後に全体に縮径加工を施して目的の線径の超電
    導素線を得た後、 前記超電導金属間化合物を生成させるための拡散熱処理
    を施すことを特徴とする超電導導体の製造方法。
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