JPH0977835A - グラフト共重合樹脂組成物、およびこれを含む熱可塑性樹脂成形材料 - Google Patents

グラフト共重合樹脂組成物、およびこれを含む熱可塑性樹脂成形材料

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JPH0977835A
JPH0977835A JP23485195A JP23485195A JPH0977835A JP H0977835 A JPH0977835 A JP H0977835A JP 23485195 A JP23485195 A JP 23485195A JP 23485195 A JP23485195 A JP 23485195A JP H0977835 A JPH0977835 A JP H0977835A
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JP
Japan
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monomer
resin composition
graft copolymer
latex
polymer
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JP23485195A
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Ryuichi Hasegawa
龍一 長谷川
Hiroki Kashiwagi
浩樹 柏木
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐衝撃性、表面光沢および流動性などの物性
バランスのとれたグラフト共重合体樹脂組成物、および
これを含む耐衝撃性樹脂成形材料を提供すること。 【解決手段】 ゴム質重合体のラテックスの存在下に、
シアン化ビニル単量体、芳香族ビニル単量体、および必
要に応じて、他の共重合可能な単量体からなる単量体混
合物を乳化重合法によって重合させて得られ、(イ)ゴ
ムの重量平均粒子径、(ロ)ゴム質重合体の分率、
(ハ)ゴム質重合体にグラフトした共重合体の分子量、
分子量分布、などを特定の範囲としたグラフト共重合体
樹脂組成物、およびこれを含む耐衝撃性樹脂成形材料を
特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、グラフト共重合樹
脂組成物、およびこれを含む成形材料に関する。更に詳
しくは、ゴム質重合体を幹重合体とするグラフト共重合
樹脂組成物であって、それ自身が耐衝撃性樹脂材料とし
て使用されるばかりでなく、これを他の樹脂に配合して
耐衝撃性樹脂成形材料を調製するにも有用なである。
【0002】
【従来の技術】従来、耐衝撃性樹脂の一種としてグラフ
ト共重合体は周知であって、ゴム質重合体(たとえば、
共役ジエン重合体ラテックス)の存在下に、樹脂質重合
体を与えるべき単量体(たとえば、スチレン+アクリロ
ニトリル)を重合させることによって製造されるグラフ
ト共重合樹脂組成物(たとえば、ABS樹脂組成物)
は、耐衝撃性樹脂材料として実用されている。
【0003】このようなグラフト共重合体にも改変が加
えられていて、耐衝撃性の向上を目指して、またそれに
加えて製品の外観、特に表面高光沢、流動性などの向上
をも目指して、多くの提案がなされている。これら各種
の提案は、たとえば、特開昭59−129215号、特
開昭59−147009号、特開昭59−196810
号、特開昭60−11514号、特開昭60−2500
57号、特開昭61−233044号、特開昭62−1
1713号、特開昭62−11714号、特開昭62−
15470号および特開平3−177405号などの各
公報に記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとした課題】ABS樹脂組成物から
得られる成形品の表面光沢は、上記の幾つかの公報にも
記載されているように、樹脂組成物に含まれるゴム粒子
の粒子径、およびその分散状態の影響を強く受けること
が知られている。また、一般に、ゴム粒子径の小さいほ
ど、そして分散状態が良好なものほど、表面光沢の高い
成形品が得られることも知られている。上記の各公報に
記載された技術は、それぞれ有用なものであるが、本発
明者らの知るところでは、これら提案によるものは、耐
衝撃性、表面光沢および流動性などの物性バランスの観
点から、なお十分に満足できるものとは言い難かった。
本発明は、上記課題を解決したグラフト共重合樹脂組成
物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に記載の発明では、ゴム質重合体のラテッ
クスの存在下に、シアン化ビニル単量体、芳香族ビニル
単量体、および必要に応じて、他の共重合可能な単量体
からなる単量体混合物を、乳化重合法によって重合させ
て得られ、下記(イ)、(ロ)および(ハ)の条件を充
足するものであることを特徴とする、グラフト共重合樹
脂組成物を提供するものである。 (イ)ラテックス中のゴム質重合体の重量平均粒子径が
0.1〜0.8μmのものであること、(ロ)このグラ
フト共重合樹脂組成物中のゴム質重合体分率が、0.1
〜0.8のものであること、(ハ)このグラフト共重合
樹脂組成物を常温でクロロホルム抽出に付した時の不溶
を、更にクロロホルム中でオゾン分解した後の数平均分
子量が2万〜5万で、重量平均分子量/数平均分子量が
3.0以上であること。
【0006】また、請求項3に記載の発明では、請求項
1に記載のグラフト共重合樹脂組成物に、芳香族ビニル
単量体の単独重合体、芳香族ビニル単量体とシアン化ビ
ニル単量体との共重合体、ポリアミド、ポリカーボネー
ト、ポリフェニレンオキサイドから選ばれた少なくとも
一種の熱可塑性樹脂が配合されてなることを特徴とする
熱可塑性樹脂成形材料を提供するものである。
【0007】[発明の実施の形態]以下、本発明を詳細
に説明する。 <グラフト共重合樹脂組成物−1>本発明に係るグラフ
ト共重合樹脂組成物は、ゴム質重合体のラテックスの存
在下に、特定の単量体混合物を乳化重合させて得られた
ものであり、その製造に関連する要件{(イ)、
(ロ)}と、それ自身に関連する要件{(ハ)}とによ
って特定されるものである。
【0008】<ゴム質重合体のラテックス> (1)単量体の種類 本発明に係るグラフト共重合樹脂組成物の基体となるゴ
ム質重合体は、ゴムとしての性質を主として共役ジエン
成分に依っている重合体を意味する。ゴム質重合体の共
役ジエンとして使用される共役ジエンとしては、1,3
−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、ピ
ペリレン、クロロプレンなどが挙げられる。これらの中
では、1,3−ブタジエンおよびイソプレンが好まし
く、特に好ましいのは1,3−ブタジエンである。
【0009】ゴム質重合体は、上記共役ジエンの単独重
合体またはこれらの相互の共重合体の他、これらの共役
ジエン単量体とそれと共重合可能なエチレン性不飽和単
量体との共重合体であってもよい。そのような共重合可
能なエチレン性不飽和単量体としては、芳香族ビニル単
量体、シアン化ビニル単量体(いずれもその具体例につ
いては、後記グラフト共重合についての記載を参照され
たい)、アクリル酸またはメタクリル酸のC1 〜C10
アルカノール(たとえば、n−ブチルアルコール、i−
ブチルアルコール)エステル、α−オレフィンたとえば
イソブチレン、ジエン単量体とたとえばジビニルベンゼ
ン、(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、その他が挙げられる。
【0010】これらの中では、最初の二種、特にスチレ
ン、アクリロニトリルが代表的である。共重合体中の共
役ジエン単位の含有量は少なくとも50重量%であるの
が好ましい。50重量%未満であると、ゴム弾性が不十
分であり、その結果、生成組成物の耐衝撃性が低下す
る。共役ジエン単位は、60重量%以上であるのが特に
好ましい。従って、本発明で対象とするゴム質重合体の
好ましい具体例は、ポリ−1,3−ブタジエン、ポリイ
ソプレン、ブタジエン−スチレン共重合体(いわゆるS
BR)、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体(いわ
ゆるNBR)である。このようなゴム質重合体のラテッ
クスは、共役ジエン50〜100重量%と上記の共重合
可能な単量体0〜50重量%からなる単量体混合物を、
水性媒体中で、一時にまたは段階的に、乳化重合法によ
って重合させることによって製造することができる。
【0011】本発明では、ゴム質重合体(以下、単に
「ゴム」または「共役ジエン系重合体」ということがあ
る)のラテックスは、(i) ゴム質重合体の粒子径、およ
び(ii)ゴム質重合体のゲル含有率について、特定の条件
を満たすものでなければならない。
【0012】(2)ゴム質重合体(ゴム)の粒子径{要
件(イ)} ゴム質重合体は、そのラテックス中で重量平均粒子径
が、0.1〜0.8μmのものである。ゴムの粒子径が
0.1μm未満の小粒子径である場合には、最終製品で
ある成形品の光沢が優れるなどの有利性はあるものの、
反面、最終製品を成形する場合の成形性(流動性)が低
下するとともに、より重要な耐衝撃性が低下し、このた
めゴム添加効率が悪化する。このため総合的にみた場
合、各性能のバランス上不利となる。一方、ゴムの粒子
径が0.8μmを越える大粒子径である場合には、耐衝
撃性が向上するなどの有利性はあるものの、反面、最終
製品の光沢低下、またはこの種樹脂の重要な特性である
剛性が低下し、性能のバランス上不利となる。ゴムの粒
子径の特に好ましい範囲は、0.2〜0.65μmであ
る。
【0013】上記のゴム質重合体ラテックスは、その粒
子径が汎用のゴムラテックスのものに比べて比較的大粒
子径である。このような大粒子径のゴム質重合体ラテッ
クスは、乳化重合法で直接製造するのは困難であるの
で、まず、小粒子径の汎用のゴム質重合体ラテックスを
製造し、次いで、小粒子径のラテックスの粒子径を肥大
化する(粒径肥大)操作を行い、目的の粒子径のものと
する必要がある。この粒径肥大操作は、従来から提案さ
れており、たとえば、(i) ゴムラテックスを凍結させて
から解凍する方法、(ii)ゴムラテックスに鉱酸、有機酸
などを添加してゴムラテックスのpHを一時的に低下さ
せる方法、(iii) ゴムラテックスに剪断力を加える方法
(特開昭54−133588号公報、特開昭59−20
2211号公報参照)、によって行うことができる。中
でも、ゴムラテックスに燐酸、無水酢酸を添加する(ii)
の方法が、粒子径の調整が容易であるので、好ましい。
【0014】ゴム質重合体ラテックスの粒子径は上記範
囲に入ることが必要であるが、ゴムの粒子径分布は、単
一な山を持ついわゆるモノモーダルである必要はなく、
複数の山、たとえば2つの山を持つバイモーダルであっ
てもよい。バイモーダルの粒子径分布を持つ場合には、
その両者のラテックスの重量平均したゴムの粒子径が、
前記範囲すなわち0.1〜0.8μmに入ればよい。
【0015】<グラフト共重合>本発明に係るグラフト
共重合樹脂組成物は、上記のようになゴム質重合体ラテ
ックスの存在下に、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニ
ル単量体、および必要に応じて他の共重合可能な単量体
を、乳化重合法によって重合させて得られたものであ
る。
【0016】(1)芳香族ビニル単量体など 本発明において芳香族ビニル単量体としては、スチレ
ン、および側鎖または(および)核置換スチレン(置換
基は、低級アルキル基、低級アルコキシ基、トリフルオ
ロメチル基、ハロゲン原子、その他)、たとえばα−メ
チルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレ
ン、m−メチルスチレン、核ハロゲンスチレン、α−ま
たはβ−ビニルナフタレン、その他が挙げられる。これ
らは単独でも、2種以上の混合物であってもよい。混合
物とする場合は、その選択は群内、群間のいずれであっ
てもよい。本発明おいてシアン化ビニル単量体として
は、アクリロニトリルおよびメタアクリロニトリルが挙
げられ、これらは併用してもよい。
【0017】他の共重合可能な単量体としては、アクリ
ル酸またはメタクリル酸のC1 〜C10アルカノール(た
とえば、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコー
ル)エステル、特にメチルアクリレートおよびメチルメ
タアクリレート、ジエン単量体(ただし、少量を上記の
ような単量体と併用)、ジビニルベンゼン、(ポリ)ア
ルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、その他が
挙げられる。
【0018】芳香族ビニル単量体(S)、シアン化ビニ
ル単量体(A)および他の共重合可能な単量体(C)を
組合せる際の割合は、シアン化ビニル単量体(A)は、
[(A)/{(A)+(S)+(C)}]が20〜45
重量%の範囲、好ましくは25〜40重量%の範囲であ
る。他の共重合可能な単量体(C)は、[(C)/
{(A)+(S)+(C)}]0〜40重量%の範囲、
好ましくは0〜30重量%の範囲で使用することができ
る。
【0019】(2)その他の条件 グラフト共重合反応は、重合開始剤(または触媒)の存
在下に行う。使用し得る重合開始剤としては、過硫酸、
過酢酸、過フタル酸などの過酸触媒、過硫酸カリウム、
過硫酸ナトリウムなどの過酸塩触媒、過酸化水素、過酸
化ベンゾイル、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ナフチ
ル、過酸化アセチレン、過酸化ベンゾイルアセチル、過
酸化ラウリルなどの過酸化物触媒、ヒドロ過酸化t−ブ
チルなどのヒドロ過酸化アルキル、アゾビスイソブチロ
ニトリルなどのアゾ化合物が挙げられる。これらは単独
でも、2種類以上の混合物であってもよい。また、これ
らは、還元剤と組合せてレドックス触媒として、使用す
ることもできる。
【0020】グラフト共重合反応は、連鎖移動剤の存在
下で行うことができる。本発明で用いられる連鎖移動剤
には特に制限はなく、たとえば、n−オクチルメルカプ
タン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカ
プタン、テルピノレン、α−メチルスチレンリニアダイ
マーなど、従来から知られている物質が挙げられる。連
鎖移動剤の添加方法は、単量体混合物に均一に混合して
連続的に添加してもよく、濃度を変化させて間歇的に添
加してもよい。
【0021】グラフト共重合反応の際の温度条件は、単
量体の種類、組合せ、重合開始剤の種類、量、連鎖移動
剤の種類、量、乳化剤のの種類、量などにより異なる
が、50〜85℃の範囲で選ばれる。温度が50℃未満
の場合は、重合反応速度が小さくて実用的でなく、また
85℃を越える場合は、凝固物または付着物の発生量が
多くなり、重合率の低下および最終製品の品質低下をき
たすので、いずれも好ましくない。上記温度範囲で特に
好ましいのは、55〜75℃の範囲である。温度条件
は、経時的に変化させることもできる。
【0022】グラフト共重合反応の際のその他の条件
は、ABS樹脂の製造に慣用されている条件と、本質的
には異ならない。グラフト共重合用単量体は、全量を一
挙に重合系に添加してもよく、段階的に添加してもよ
い。この共重合反応は乳化重合方式によるが、必要な乳
化剤がゴム質重合体ラテックスに由来するものでは不十
分であれば、それと同種のものまたは同効物を追加すれ
ばよい。乳化剤の濃度は、経時的に変化させることもで
きる。
【0023】<グラフト共重合樹脂組成物−2>このよ
うに製造されるグラフト共重合樹脂組成物は、ゴム質重
合体分率について、次の要件を満たすものでなければな
らない。 (1)樹脂組成物中のゴム質重合体分率{要件(ロ)} 本発明に係るグラフト共重合樹脂組成物は、ゴム質重合
体のラテックスの存在下に、芳香族ビニル単量体などを
乳化重合方式によって得られるものである。このグラフ
ト共重合樹脂組成物は、得られるグラフト共重合体中
に、ゴム質重合体分率(重量分率)が0.1〜0.8の
範囲でなければならない。分率が0.1未満では、生成
組成物の耐衝撃性の発現が困難となり、耐衝撃性向上剤
としての効果も減じることになり、好ましくない。一
方、0.8を越えると、グラフト共重合反応を行う際、
共役ジエン系重合体粒子の凝集が生じて反応遂行が困難
となり、反応を遂行し得ても、最終樹脂組成物からの成
形品の光沢が損なわれるだけでなく、耐衝撃性も低下す
るので好ましくない。ゴム質重合体分率の特に好ましい
範囲は、0.3〜0.6である。
【0024】(2)グラフト共重合樹脂組成物の分子量
および分子量分布{要件(ハ)} 本発明に係るグラフト共重合樹脂組成物(R) は、ゴム質
重合体に上記単量体混合物がグラフトしたグラフト共重
合体(G) および単量体混合物が重合した遊離の樹脂質重
合体(F) の混合物であり、グラフト共重合樹脂組成物
(R) を製造する際に使用した単量体混合物は、一部がゴ
ム質重合体にグラフト(G-C) し、残りは樹脂質重合体
(F) になるものと推定される。グラフト共重合樹脂組成
物(R) をクロロホルムに溶解分散させ、可溶分として抽
出された樹脂質重合体(F) 以外の単量体混合物は、ゴム
質重合体にグラフト共重合体(G) にグラフトしたものと
見做される。クロロホルム不溶分であるグラフト共重合
体(G) は、オゾン分解(詳細は後記)することによっ
て、共役ジエン系共重合体中の2重結合をすべて切断
し、共役ジエン系共重合体にグラフトしている樹脂質重
合体(G-C) を得ることができる。
【0025】本発明者らの実験によれば、この樹脂質重
合体(G-C) の数平均分子量は、2万〜5万でなければな
らないことが分かった。これが2万未満であると、生成
組成物の耐衝撃性の発現が困難となり、耐衝撃性向上剤
としての効果も減じることとなり、好ましくない。一
方、5万を越えると、最終樹脂組成物の流動性が低下す
るのみならず、成形品の表面光沢が損なわれ、好ましく
ない。本発明者らの実験によれば、更に、この樹脂質重
合体(G-C) の分子量分布、すなわち、{(重量平均分子
量)/(数平均分子量)}の比(以下この比を「分子量
分布」ということがある)が3.0以上でなければなら
ないことが分かった。この比が3.0未満であると、共
役ジエン重合体粒子の凝集が生じ易く、最終樹脂組成物
の成形する際に成形品の光沢を損なうので、好ましくな
い。なお本発明において分子量とは、GPC法による測
定値を、ポリスチレン換算した値をいう。
【0026】このように定義される共役ジエン系共重合
体にグラフトしている樹脂質重合体(G-C) の分子量およ
び分子量分布は、グラフト共重合する際の重合開始剤の
種類、量、添加時期、連鎖移動剤の種類、量、添加時
期、乳化剤の種類、量、添加時期、反応温度、反応時間
などを適宜調整することによって、所望の値にすること
ができる。
【0027】<グラフト共重合樹脂組成物−3>本発明
に係るグラフト共重合樹脂組成物は、各種要件を具備す
べく定義されているのを除けば、この種の慣用の樹脂、
すなわちABS樹脂と本質的に異ならない。従って、本
発明に係るグラフト共重合樹脂組成物(R) は、ABS樹
脂、ひいては熱可塑性樹脂に慣用されている手法に従っ
て、各種の補助資材、たとえば有機または無機の充填
剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、可塑
剤、相溶化剤、着色剤、難燃材、防煙剤、防錆材、防曇
剤、その他を配合することができ、加熱溶融混練を伴う
手段によって、ペレットその他成形用素材に、または最
終成形品に成形することができる。
【0028】本発明に係るグラフト共重合樹脂組成物
(R) は、それ自身で耐衝撃性樹脂として使用することが
できるだけでなく、この樹脂組成物(R) と他の熱可塑性
樹脂とブレンドして成形材料として使用することができ
る。他の熱可塑性樹脂としては、芳香族ビニル単量体の
単独重合体および共重合体(共重合可能なたの単量体
は、シアン化ビニル単量体、アクリル酸またはメタアク
リル酸のC1〜C10アルカノールエステル、その他があ
る)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレン
オキサイドなどが代表的である。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例、比較例に基づいて更
に詳細に説明するが、本発明はその趣旨を越えない限
り、以下の記載例に限定されるものではない。なお、以
下の記載例において、「部」、「%」はいずれも重量基
準を意味する。また、以下の記載例において、耐衝撃性
樹脂組成物の各種物性は、次の方法によって測定したも
のである。
【0030】(1)ラテックス中のゴム質重合体の平均粒
子径:米国コールター社製「ナノサイザー」によって測
定した。 (2)ラテックス中の固形分濃度:恒温乾燥機で、試料ラ
テックス中に含まれている水分を蒸発させ、得られた残
渣の重量を測定し、これを試料ラテックスの当初の重量
に対する百分率で表示した。
【0031】(3)樹脂質重合体(G-C) の分子量および分
子量分布:グラフト共重合体1gをクロロホルムに60
mlに投入して一晩放置し、溶解させた。得られた溶液
を、10℃の温度に設定した遠心分離機(日立高速冷却
遠心分離機、CR20B2)を用いて、1800rpm
で30分間遠心分離に付した。遠心管内の溶液は廃棄
し、不溶分(X) を得た。この不溶分(X) にクロロホルム
30mlを少しづつ加えて不溶分(X) を分散させ、上と
同様の条件で遠心分離に付した。この処理操作{不溶分
(X) の洗浄}を更に2回繰り返した。クロロホルム20
0mlを用いて、洗浄した不溶分(X) を遠心管から容量
250mlの洗浄瓶に移し、撹拌しながら酢酸エチル2
0mlと、メタノール20mlとを加えた。洗浄瓶をド
ライアイス/エタノール中に浸漬して冷却し、液中にオ
ゾンを通気してゴム質重合体中のブタジエンを分解し
た。このオゾン分解反応は、2時間行った。分解反応の
終了は、液中の過剰のオゾンによる青色の呈色により判
断できる。
【0032】分解反応終了後、室温下で、洗浄瓶中の液
の青色が消失するまで窒素ガスを通気した。青色が消失
するまでには約10分間要した。この後、洗浄瓶を氷水
中に浸漬させ、水素化ホウ素ナトリウム0.5gを加
え、1時間撹拌した。この液に酢酸1ml滴下した。こ
の滴下の途中で気泡が発生するので、この気泡が発生終
了するまで更に酢酸を滴下した。酢酸の添加量は約2m
lであった。その後、メタノール20mlを加えて、1
時間撹拌した。液は減圧下、ロータリーエバポレーター
で約5mlになるまで濃縮した。得られた濃縮液を、メ
チルエチルケトン(MEK)100mlに溶解し、この
液をメタノール800mlに投入して、1時間撹拌し、
細孔径1μmのテフロン製の濾紙(東洋ろ紙社製)を用
い、沈殿を吸引濾過した。沈殿は室温で風乾後、減圧下
70℃で10時間乾燥させサンプル(Y) を得た。
【0033】このサンプル(Y) 10mgをテトラヒドロ
フラン10mlに溶解し、この溶液の100μlをテト
ラヒドロフランを移動相溶媒としたゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィー(昭和電工社製、Shodex
GPC SYSTEM−11)に注入して、分子量およ
び分子量分布を測定した。移動相溶媒の流量は1.0m
l/分とし、検出器としては示差屈折計を使用した。カ
ラムは、昭和電工社製、Shodex DS−4を用
い、設定温度を40℃として測定した。分子量を計算す
るための校正曲線(ポリマーの溶離体積と分子量の関係
図)の作成には、昭和電工社製の標準ポリスチレン S
M−105)を用いた。校正曲線は三次式で近似する。
グラフト鎖の分子量は、ポリスチレンで換算値として算
出した。
【0034】(4)アイゾット衝撃強度:JIS K−7
110に準拠して測定した。 (5)メルトフローレイト:JIS K−7210に準拠
し、温度220℃、荷重10kgの条件で測定し、10
分間の流出量をgで表示した。 (6)光沢:JIS K−7105に準拠して測定し、2
0度鏡面光沢の数値で表示した。
【0035】[実施例1] (1)共役ジエンゴムの製造 撹拌機、温度計、原料助剤仕込口、窒素ガス供給口、ジ
ャケットなどを装備した容量5リットルのSUS製オー
トクレーブに、脱イオン水150部、高級脂肪酸石鹸
(炭素数18を主成分とする脂肪酸のナトリウム塩)
4.0部、水酸化ナトリウム0.075部をそれぞれ仕
込み、撹拌下、オートクレーブ内を窒素ガスで置換した
後、内温を68℃に昇温した。1,3−ブタジエン(B
D)90部、スチレン10部およびt−ドデシルメルカ
プタン0.3部よりなる単量体混合物のうち、20%を
オートクレーブに仕込んだ後、過硫酸カリウム0.13
5部を添加した。数分間で発熱が起こり、重合の開始が
確認された。過硫酸カリウムを添加してから1時間経過
した時点から、残りの単量体混合物の連続添加を開始
し、内温を68℃に維持しながら、6時間を費やして全
量添加した。単量体混合物の連続添加終了後、30分を
費やして内温を80℃に昇温し、この温度でさらに1時
間反応させた。得られたゴムラテックスは、固形分濃度
39.5%、ゴム粒子の平均粒子径0.08μm、ゲル
含有率95.0%であった。
【0036】(2)グラフト共重合体の製造、評価など 上で用いた反応器中で、上記に記載した方法で得た共役
ジエンゴムラテックスを、無水酢酸によって粒径肥大操
作を行い、平均粒子径0.25μmのものと0.65μ
mのものを、固形分としてそれぞれ80部と20部と、
脱イオン水347部(ラテックス中の水分を含む)を仕
込み、内温を60℃に昇温した。内温が60℃に達した
時点で、スチレン21部、アクリロニトリル9部、過硫
酸カリウム0.076部、不均化ロジン酸カリウム石鹸
0.54部、水酸化カリウム0.12部、脱イオン水2
0部などの連続添加を開始し、1.5時間を費やして添
加した。連続添加終了後、60℃の温度で更に30分間
反応を継続し、30分を費やして内温を70℃へ昇温し
た。昇温の途中65℃の温度で、脱イオン水20部に溶
解したピロリン酸ナトリウム0.69部、デキストロー
ズ0.56部、および硫酸第一鉄0.007部を添加し
た。内温が70℃に達した時点で、スチレン49部、ア
クリロニトリル21部、t−ドデシルメルカプタン0.
76部、クメンハイドロパーオキサイド0.35部、不
均化ロジン酸石鹸1.26部、水酸化カリウム0.28
部、脱イオン水26.3部などの連続添加を開始し、2
時間を費やして添加した。連続添加終了後、更に15分
間内温を70℃に保持した後、内温を冷却し、反応を終
了した。このグラフト共重合体ラテックスに、老化防止
剤5部添加したあと、95℃に加熱した硫酸マグネシウ
ム水溶液中に撹拌しながら加えて凝固させ、凝固物を脱
水、水洗乾燥して、白色粉末状の樹脂組成物を得た。
【0037】[比較例1] (1)共役ジエンゴムの製造 実施例1の(1) におけると同様である。 (2)グラフト共重合体の製造、評価など 実施例1の(1) で用いたのと同じ反応器に、上記に記載
した方法で得た共役ジエンゴムラテックスを、同様に無
水酢酸によって粒径肥大操作を行い、平均粒子径0.2
5μmのものと0.65μmのものを、固形分としてそ
れぞれ80部と20部と、脱イオン水347部(ラテッ
クス中の水分を含む)を仕込み、内温を70℃に昇温し
た。昇温の途中60℃で、脱イオン水20部に溶解した
ピロリン酸ナトリウム1.0部、デキストローズ0.5
部、および硫酸第一鉄0.01部を添加した。内温が7
0℃に達した時点で、スチレン70部、アクリロニトリ
ル30部、t−ドデシルメルカプタン1.1部、クメン
ハイドロパーオキサイド0.5部、不均化ロジン酸カリ
ウム石鹸1.8部、水酸化カリウム0.37部、脱イオ
ン水35部などの連続添加を開始し、2.5時間を費や
して添加した。連続添加終了後、更に30分間内温を7
0℃に保持した後、内温を冷却し、反応を終了した。こ
のグラフト共重合体ラテックスに、老化防止剤5部添加
したあと、95℃に加熱した硫酸マグネシウム水溶液中
に撹拌しながら加えて凝固させ、凝固物を脱水、水洗乾
燥して、白色粉末状の樹脂組成物を得た。
【0038】[使用例]上記実施例および比較例で得ら
れたグラフト共重合体樹脂組成物に、汎用のスチレン−
アクリロニトリル共重合体(スチレン/アクリロニトリ
ル単量体比が重量比で70/30、重量平均分子量16
万、数平均分子量7万)を、最終製品中のゴム質重合体
の含有率が15重量%となるような割合として配合し、
押出機で混練しペレット化した後、射出成形機によって
各試験片を作成し、前記の方法で各種物性を評価した。
評価結果を、表−1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】本発明に係るグラフト共重合樹脂組成物
は、耐衝撃性、表面光沢、流動性などの各物性がバラン
スしており、極めて優れた耐衝撃性材料であり、その産
業上の利用価値は極めて大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 71/12 LQP C08L 71/12 LQP 77/00 LQS 77/00 LQS

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴム質重合体のラテックスの存在下に、
    シアン化ビニル単量体、芳香族ビニル単量体、および必
    要に応じて、他の共重合可能な単量体からなる単量体混
    合物を、乳化重合法によって重合させて得られ、下記
    (イ)、(ロ)および(ハ)の条件を充足するものであ
    ることを特徴とする、グラフト共重合樹脂組成物。 (イ)ラテックス中のゴム質重合体の重量平均粒子径
    が、0.1〜0.8μmのものであること、(ロ)この
    グラフト共重合樹脂組成物中のゴム質重合体分率が、
    0.1〜0.8のものであること、(ハ)このグラフト
    共重合樹脂組成物を常温でクロロホルム抽出に付した時
    の不溶分を、更にクロロホルム中でオゾン分解した後の
    数平均分子量が2万〜5万で、かつ、{(重量平均分子
    量)/(数平均分子量)}が3.0以上であること。
  2. 【請求項2】 ゴム質重合体が、共役ジエン系重合体で
    ある、請求項1に記載のグラフト共重合樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のグラフト共重合樹脂組
    成物に、芳香族ビニル単量体の単独重合体、芳香族ビニ
    ル単量体とシアン化ビニル単量体との共重合体、ポリア
    ミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイドか
    ら選ばれた少なくとも一種の熱可塑性樹脂が配合されて
    なることを特徴とする熱可塑性樹脂成形材料。
JP23485195A 1995-09-13 1995-09-13 グラフト共重合樹脂組成物、およびこれを含む熱可塑性樹脂成形材料 Pending JPH0977835A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000198905A (ja) * 1998-10-29 2000-07-18 Ube Cycon Ltd 熱可塑性樹脂組成物
JP2019178227A (ja) * 2018-03-30 2019-10-17 株式会社カネカ グラフト共重合体の製造方法、及び塩化ビニル系樹脂組成物の製造方法

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