JP2895085B2 - 改良された衝撃抵抗性を有するゴム変性高ニトリル共重合体の製造法 - Google Patents

改良された衝撃抵抗性を有するゴム変性高ニトリル共重合体の製造法

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JP2895085B2 JP1044003A JP4400389A JP2895085B2 JP 2895085 B2 JP2895085 B2 JP 2895085B2 JP 1044003 A JP1044003 A JP 1044003A JP 4400389 A JP4400389 A JP 4400389A JP 2895085 B2 JP2895085 B2 JP 2895085B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の背景〕 〈技術分野〉 本発明は、所謂グラフト共重合体によって、それ自身
既に耐衝撃性の良好なゴム変性高ニトリル共重合体を、
耐衝撃性のさらに向上したものとして製造する方法に関
する。
水性媒体中で、共役ジエン系ゴムの存在下に、熱可塑
性重合体を与える単量体を重合させて、すなわちグラフ
ト共重合体によって、ゴム変性熱可塑性樹脂を製造する
方法はいまや周知である。この場合に、単量体として優
位量の不飽和ニトリルからなるものを用いて得られるゴ
ム変性高ニトリル共重合体は、該単量体由来の重合体が
本来有するガスおよび水蒸気に対する高いバリヤー性お
よび優れた耐溶剤性に加えて、ゴム由来の耐衝撃性を有
する熱可塑性樹脂であるところから、食品、農医薬品、
化粧品、その他の分野で容器や包装材料として注目され
ている。
〈従来の技術〉 このようなゴム変性高ニトリル共重合体は、「幹」と
してのジエン系ゴム、「枝」としてグラフト共重合させ
るべき単量体が高含量の不飽和ニトリルからなるもので
あるところから、単量体間の重合性の不揃いによって生
成共重合体の組成が経時的に異なったり、生成共重合体
が可塑性の不十分なものであったり、する問題がある。
またこの共重合体はゴム成分由来の良好な耐衝撃性を有
するものであるが、与えられたゴム成分含量において、
一層良好な耐衝撃性が実現できれば好ましいことはいう
までもない。
このようなところから、ゴム変性高ニトリル共重合体
の製造に関して、これまでも種々の重合方法が研究さ
れ、また多数の改良技術が提案されている。
例えば、共役ジエン/ニトリル共重合体ゴムの存在下
に不飽和ニトリル及びアクリル酸アルキルエステルから
成る単量体を回分式添加方法で重合させる方法(特公昭
46−25005号公報)、衝撃抵抗改良のためゴムの重合の
際に可塑剤を加える方法(特開昭55−71709号公報)、
加工の際にエポキシ化油を混合する方法(特開昭56−93
745号公報)等がある。
〔発明の概要〕
〈発明が解決しようとする問題点〉 これらの技術はそれなりの解決を与えたものとして有
意義なものであるといえようが、本発明者らの知る限り
では、完全に満足すべきものではない。
すなわち、たとえば、これらの方法のあるものでは可
塑剤等の低分子量成分がかなり多量に必要とされるた
め、耐熱温度の低下や熱安定性の低下などの問題がある
からである。また、生成共重合体の耐衝撃性向上効果は
依然として不充分である。
〈問題点を解決する手段〉 本発明者らは鋭意研究の結果、ジエン系ゴムの存在下
に不飽和オレフィン性ニトリルを高率に含む単量体を重
合させる際に、重合反応の転化率が10%に達するまでの
間にヒンダードフェノール化合物を重合系に添加するこ
とにより生成共重合体の衝撃抵抗を大きく改良できるこ
とを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明による改良された衝撃抵抗性を有す
るゴム変性高ニトリル共重合体の製造法は、共役ジエン
単量体の単位50重量%以上とこれと共重合可能なエチレ
ン性不飽和単量体の単位50重量%以下とからなる共役ジ
エン系ゴム10〜150重量部の存在下に、少なくとも50重
量%の不飽和ニトリルからなる単量体混合物100重量部
を、水性媒体中で重合させる際に、重合反応の軟化率が
10%に達するまでの間に、共役ジエン系ゴムの0.01〜1.
0重量%に相当する量のヒンダードフェノール化合物を
重合系に添加すること、を特徴とするものである。
〈発明の効果〉 グラフト共重合の極く初期の少量の特定のフェノール
化合物の存在下に実施することによって、改良された耐
衝撃性を有するゴム変性高ニトリル共重合体が得られ
る。すなわち、本発明によるゴム変性高ニトリル共重合
体は、ヒンダードフェノール化合物を重合反応の転化率
が10%を越えてから添加する場合、重合反応終了後に添
加する場合、あるいは加工工程中に添加する場合、に比
較して、より大きい衝撃強度を有する。
ヒンダードフェノール化合物を特定の態様で特定の重
合系で使用することによるこの効果は、思いがけなかっ
たことと解される。
本発明によって得られるゴム変性高ニトリル共重合体
は、所与のゴム成分含量に対しては一層高い耐衝撃性を
有し、目的の耐衝撃性に対してはゴム成分含量を低下さ
せることができるから、この共重合体は高ニトリル樹脂
成分に由来する高いバリヤー性および優れた耐溶剤性を
最大限に有する高耐衝撃性樹脂材料として有用なもので
ある。そして、この共重合体は、既知の熱可塑性樹脂材
料を使用する従来の成形法、例えば押出し成形、射出成
形、ブロー成形等により容易に熱成形し得る熱可塑性樹
脂であるから、特にビン、フィルム及びその他の種類の
液体及び固体用包装材料として有用である。
〔発明の具体的説明〕
1、基本となるゴム変性高ニトリル共重合体 本発明に従ってヒンダードフェノール化合物(詳細後
記)の使用によって改良された衝撃抵抗性のものとして
得るゴム変性高ニトリル共重合体は、本質的には、従来
公知のものと変らない。
(1)定義 基本となるゴム変性高ニトリル共重合体は、共役ジエ
ン単量体50重量%以上とこれと共重合可能なエチレン性
不飽和単量体50重量%以下とからなる共役ジエン系ゴム
10〜150重量部の存在下に、少なくとも50重量%の不飽
和ニトリルからなる単量体混合物100重量部を、水性媒
体中で重合させて得られるものである。
このような重合方式で得られる共重合体は、所謂グラ
フト共重合体であるが、単量体由来の重合体がすべて
「枝」として、ゴムからなる「幹」に結合しているとは
限らない。従って、本明細書で「幹」あるいは「枝」と
いうことがあっても、それはこのような意味においての
ことであると理解されたい。
(2)「幹」用共役ジエン系ゴム この共役ジエン系ゴムは、共役ジエン単量体単位50重
量%以上と共単量体単位50重量%以下とからなるもので
ある。
このような共役ジエン系ゴムの一具体例は、共役ジエ
ン単量体単位100重量%からなるものである。しかし、
本発明で好ましいのは共重合体、特に共役ジエン単量体
単位が60〜95重量%のもの、である。
共役ジエン系ゴムを与えるべき共役ジエン単量体とし
ては、1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等
があげられる。入手の容易さおよび重合性の観点から
は、1,3−ブタジエンおよびイソプレンが好ましい。こ
れらは、併用してもよい。
共単量体としては、たとえば不飽和ニトリル、不飽和
カルボン酸エステル、芳香族ビニル、ビニルピリジン
類、等があげられる。これらは群内または群間において
併用してもよい。具体例を挙げれば、(イ)不飽和ニト
リル、たとえばアクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル、α−クロロアクリロニトリル等、好ましくはアクリ
ロニトリルおよびメタクリロニトリル、就中アクリロニ
トリル、(ロ)不飽和カルボン酸エステル、たとえばア
クリル酸あるいはメタクリル酸のメチル、エチル、プロ
ピル、ブチル等のエステル、好ましくはアクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチルおよびメタ
クリル酸エチル、(ハ)芳香族ビニル、たとえばスチレ
ン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン類、ビニルキ
シレン類等、好ましくはスチレン、(ニ)ビニルピリジ
ン、たとえば4−ビニルピリジン、がある。
これらのうちで代表的な共役ジエン系ゴムは、ポリブ
タジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、およびブタ
ジエン−アクリロニトリル共重合体であり、特に後二者
が好ましい。
共役ジエン系ゴムは、前記の単量体を重合させること
によって得られる。
次工程でのグラフト共重合を水性媒体中で実施するこ
とを考慮すれば、共役ジエン系ゴムは水性媒体中での重
合、好ましくは乳化重合または懸濁重合、就中乳化重
合、によって製造したものであることが好ましい。
乳化重合によって共役ジエン系ゴムを製造することは
周知であって、その詳細については、成書たとえば「合
成ゴムハンドブック」((株)朝倉書店)を参照するこ
とができる。
本発明で使用するのに適用な共役ジエン系ゴムが市場
で入手できればそれを利用してもよいことはいうまでも
ない。
(3)「枝」用単量体 上記の共役ジエン系ゴムの存在下に重合させるべき単
量体は、少なくとも50重量%、好ましくは50〜80重量
%、の不飽和ニトリルからなるものである。不飽和ニト
リル含量が50重量%未満では、本発明による衝撃強度向
上の効果が小さい。
不飽和ニトリルの具体例は、共役ジエン系ゴムに関し
て前記したものの中に見出すことができる。この場合
も、好ましいのはアクリロニトリルおよびメタクリロニ
トリル、就中アクリロニトリル、である。
共単量体としては、たとえば、不飽和カルボン酸エス
テル、芳香族ビニル、ビニルエステル、ビニルエーテ
ル、α−オレフィン、二官能性単量体等が挙げられる。
これらは、群内または群間で併用してもよい。具体例を
挙げれば(イ)不飽和カルボン酸エステル、(ロ)芳香
族ビニル(これら両者の具体例は、共役ジエン系ゴムに
関して前記したものの中に見出すことができる)、
(ハ)ビニルエステル、たとえば酢酸ビニル、プロピオ
ン酸ビニル、酪酸ビニル類等、好ましくは酢酸ビニル、
(ニ)ビニルエーテル、たとえばメチルビニルエーテ
ル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル
等、好ましくはメチルビニルエーテルおよびエチルビニ
ルエーテル、(ホ)α−オレフィン、たとえばイソブテ
ン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテ
ン等、好ましくはイソブテン、(ヘ)二官能性単量体、
たとえばジビニルベンゼン、(ポリ)アルキレングリコ
ール(メタ)アクリレート、たとえばエチレングリコー
ルジメタクリレートおよびジエチレングリコールメタク
リレート等、がある。二官能性単量体は、これを使用す
るときは、少量であることが好ましい。
(4)グラフト共重合 上記のような「幹」重合体と「枝」重合体を与えるべ
き単量体の水性媒体中でのグラフト共重合も周知である
(本発明は、このグラフト共重合時にヒンダードフェノ
ール化合物を添加するものであることはいうまでもな
い)。
水性媒体中でグラフト共重合を行なうには、共役ジエ
ン系ゴムとして乳化重合法または水性懸濁重合法、就中
乳化重合法、で製造したものを使用することが好ましい
ことは前記したところである。
乳化重合法によるグラフト共重合の詳細についても、
適当な成書、たとえば「ABS樹脂」〕(丸善(株))を
参照することができる。本発明で好ましい方法は、酸素
を除去した状態で約0〜100℃程度の温度で、単量体を
別々にまたは混合して、必要に応じて単量体以外の成分
たとえば乳化剤、分散剤、重合開始剤、分子量調節剤な
いし連鎖移動剤、pH調節剤、その他をも、そのままある
いは乳化状態で、一時に、あるいは回分式に、あるいは
連続的に、重合系で供給して、重合させることである。
使用し得る重合開始剤(または触媒)としては、過硫
酸、過酢酸、過フタル酸等の過酸触媒、過硫酸カリウム
等の過酸塩触媒、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、過酸
化クロルベンゾイル、過酸化ナフチル、過酸化アセチ
ル、過酸化ベンゾイルアセチル、過酸化ラウリル、過酸
化ジ−t−ブチル、過酸化ジクミル、過酢酸t−ブチ
ル、過酸化ナトリウム等の過酸化物触媒、ヒドロ過酸化
t−ブチル等のヒドロ過酸化アルキル、アゾビスイソブ
チロニトリル等のアゾ触媒があり、これらは単独である
いは2種以上の混合で使用できる。これらは、還元剤と
組合せてレドックス触媒として使用することもできる。
本発明で好ましい重合方法は水性乳化重合法であり、
使用し得る乳化剤としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エ
ステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナ
フタレンスルホン酸塩、アルキルヒスルホコハク酸塩、
アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキル
リン酸塩等がある。
重合体生成物はラテックスの形で得られ、従来公知の
方法、例えば電解質又は溶媒による凝集法あるいは凍結
法等、により重合体を凝固し、更にこれを水洗、乾燥し
て重合体を得る。
可塑剤、安定剤、潤滑剤、染料および顔料、充填剤等
を必要に応じて重合中にあるいは重合後に添加すること
も可能である。
共役ジエン系ゴムの使用量は、単量体合計重量100重
量部に対して約10〜150重量部である。共役ジエン系ゴ
ムが単量体合計重量100重量部に対して10重量部未満で
あると衝撃強度が不足し、150重量部超過では衝撃強度
を与えるに十分なグラフト反応が困難となる。
「枝」重合体を形成すべき単量体は、単量体合計重量
に対して少なくとも50重量%の不飽和ニトリルを含むも
のである。50重量%未満では本発明での衝撃強度向上の
効果が小さくなり、特に50〜80重量%程度が好ましい。
II.ヒンダードフェノール化合物の使用 (1)定義 本発明は、上記のようなゴム変性高ニトリル共重合体
を水性グラフト共重合によって製造する際に、重合反応
の転化率が10%に達するまでの間に、共役ジエン系ゴム
の0.01〜1.0重量%に相当する量のヒンダードフェノー
ル化合物を重合系に添加することを特徴とするものであ
る。
ここで、「重合反応の転化率が10%に達するまでの
間」ということは、転化率が0%、すなわち重合が未だ
開始されない状態をも包含するものである。また、「転
化率」は「枝」重合体形成用単量体の重合についてのそ
れであることはいうまでもない。
(2)ヒンダードフェノール化合物 本発明でいう「ヒンダードフェノール化合物」とは、
2,6−ジ置換フェノール構造を有する化合物を意味す
る。
この場合の置換基は、メチル基以上の嵩高さを持つも
のであればよく、その典型的なものはt−ブチル基であ
る。この置換基は、メチル基やt−ブチル基のようなア
ルキル基の外に、アラルキル基たとえば置換ないし非置
換のベンジル基であってもよい。この場合のベンジル基
は、そのベンゼン環がフェノール構造(好ましくは2,6
−ジ置換フェノール構造)を持つものであっもよい。2,
6−ジ置換フェノール構造は、2,6−位以外に、たとえば
3−および(または)4−位に置換基を持つものであっ
てもよい。
本発明で使用するのに好ましい2,6−ジ置換フェノー
ル構造は、むしろ4−位に置換基を持つものである。4
−位置換基としては、炭素数2以上、好ましくは4以
上、のもの、たとえば炭化水素残基(炭素数の上限は20
程度)の外に、この置換基が2,6−ジ置換フェニル基を
鎖中、特にω−位、に有する低級アルカン酸(たとえ
ば、炭素数2〜4程度。たとえば3−(3′,5′−ジ置
換−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸)の誘導
体、特にエステルまたはN−置換アミド、であるもの、
が適当である。この場合のエステルとしては一価アルコ
ール〜多価アルコール(五価程度まで)(いずれも炭素
数10程度まで)とのエステルが、N−置換アミドしては
置換基が炭素数1〜10程度の一価炭化水素残基または二
価炭化水素残基(従って、このN−置換アミドはN,N′
−ビスアミドである)であるものが、それぞれ代表的で
ある。
ヒンダードフェノール化合物は、プラスチック材料の
酸化防止剤ないし紫外線吸収剤として使用されることが
あり、本発明で使用するのに適当なものも市場で入手す
ることができる。
本発明で使用するのに適当なヒンダードフェノール化
合物の具体例のいくつかを、酸化防止剤としての商品名
と共に示せば下記の通りである。
これらのうちで好ましいのは、N,N′−ヘキサメチレ
ンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒド
ロシンナマミド)(IX1098)および2−t−ブチル−6
−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベン
ジル)−4−メチルフェニルアクリレート(スミライザ
ーGM)である。
(3)ヒンダードフェノール化合物の添加 ヒンダードフェノール化合物の添加時期は、重合反応
の転化率が10%になるまでの間、特に転化率が5%にな
るまでの間、が好ましく、添加量はゴムに対して0.01〜
1,0重量%、好ましくは0.03〜0.3重量%、である。添加
方法は任意であって、これを乳化剤などで分散して加え
てもよいし、単量体の一部に溶解して加えてもよい。
III.ゴム変性高ニトリル共重合体およびその用途 このようにして得られる、本発明によるゴム変性高ニ
トリル共重合体は、その個有の高いバリヤー性および優
れた耐溶剤性に加えて、耐衝撃性が改良されているの
で、このような特性に着目して、要求のより高度の用途
に利用することができる。その場合に、熱可塑性樹脂に
慣用されているところに従って(本発明によるゴム変性
高ニトリル共重合体が熱可塑性樹脂の範疇に入ることは
いうまでもない)、各種の補助資材、たとえば酸化防止
剤、安定剤、着色剤、滑剤、充填剤、その他、を配合す
ることができることはいうまでもない。これらの資材の
配合は、ゴム変性高ニトリル共重合体を、その軟化点以
上の温度で混練しながら行なうことができ、またグラフ
ト共重中または重合後の水性系、特に乳化液、に対して
行なうこともできる。
このような「補助資材」の一つの具体例は、混和性の
熱可塑性樹脂である。すなわち、本発明による重合体は
使用目的に応じた物性を与えるゴム含量とするために、
ゴム(および、希望するならばヒンダードフェノール化
合物)を含まない点を除けば同一または同様の組成の樹
脂(不飽和ニトリルがアクリロニトリルであり、共単量
体がスチレンである場合は、両者の共重合体である所謂
AS樹脂)と混練して使用することも可能である。その場
合の混練には、通常の単軸押出機、二軸押出機、バンバ
リーミキサー、各種のニーダー、等が使用できることは
いうまでもない。また、両者の混合は、乳化液の状態で
実施することができることもいうまでもない。
IV.実験例 下記の実施例および比較例は、本発明をさらに具体的
に説明するためのものである。同例中の「部」及び
「%」は、いずれも重量基準によるものである。
実施例1 (A)共役ジエン系ラテックスの製造 1,3−ブタジエン 90 部 スチレン 10 〃 脂肪酸石ケン 4 〃 過硫酸カリウム 0.15〃 t−ドデシルメルカプタン 0.3〃 水 140〃 上記成分からなる混合物をステンレス鋼製重合反応器
に入れ、酸素を除去し、攪拌下に68℃で6時間、その
後、1.5時間かけて68℃から80℃に昇温して、さらに80
℃で2.5時間、重合を行なった。得られたラテックスの
固形分濃度は、40%であった。
(B)グラフト重合体の製造 上記(A)のラテックス(固形分量) 50 部 アルキルジフェニルエーテ 2.5 〃 ルジスルホン酸ナトリウム 過硫酸カリウム 0.085〃 スミライザーGM 0.05 〃 水 200 〃 以上の物質を還流器を備えた重合反応器に仕込み、窒
素気流下で攪拌しながら65℃に保ち、下記の第一段目単
量体混合物を4時間かけて連続的に添加した。
アクリロニトリル 35 部 スチレン 11.7〃 n−ドデシルメルカプタン 2.3〃 第一段目単量体混合物添加終了後、反応系を65℃に保
ち、下記の第二段目単量体を1時間かけて連続的に添加
した。
スチレン 3.3部 第一段目単量体混合物添加開始30分後から、下記の開
始剤を水溶液として、4時間かけて連続的に添加した。
過硫酸カリウム 0.17部 単量体の添加終了後、更に1時間重合を継続した。得
られたラテックスの固形分濃度は、34%であった。得ら
れたラテックスを硫酸マグネシウム水溶液で凝固させ、
水洗および乾燥して、粉末重合体を得た。
上記の方法で得た粉末重合体を、ゴムを除いた同じ組
成の樹脂(アクリロニトリル含量66重量%、スチレン含
量34重量%のAS樹脂。)とブレンドして共役ジエン系ゴ
ム含量が15%となるようにし、このブレンド品をバンバ
リーミキサーにて混練して、ペレット化した。このペレ
ットより新JIS規格の試験片を成形し、JIS K−7110に準
じてノッチ付アイゾット衝撃値を測定した。測定結果
は、第1表に示す通りであった。
実施例2および3 実施例1(B)でスミライザーGMに変えてそれぞれIX
1098およびIX1010を用いたほかは、全て実施例1と同様
にして重合を行ない、同様にコンパウンドして得られた
樹脂のアイゾット衝撃値は、第1表に示す通りであっ
た。
実施例4および5 実施例1(B)でスミライザーGMの量をそれぞれ0.02
5および0.15重量部としたほかは、全て実施例1と同様
に重合を行ない、同様にコンパウンドして得られた樹脂
のアイゾット衝撃値は、第1表に示す通りであった。
実施例6 実施例1(B)において第一段目単量体混合物の組成
を アクリロニトリル 27.5部 スチレン 19.2〃 n−ドデシルメルカプタン 1.15〃 とした以外は、全て実施例1と同様に重合及びコンパウ
ンドを行なって得られた樹脂のアイゾット衝撃値は、第
1表に示す通りであった。
比較例1 実施例1(B)においてスミライザーGMを用いない以
外は、全て実施例1と同様に重合及びコンパウンドを行
なって得られた樹脂のアイゾット衝撃値は、第1表に示
す通りであった。
比較例2 実施例1(B)においてスミライザーGMに変えてトリ
ス(ノニルフェニル)ホスファイト(TNP)を用いた以
外は、全て実施例1と同様に重合及びコンパウンドを行
なって得られた樹脂のアイゾット衝撃値は、第1表に示
す通りであった。
比較例3 実施例1(B)においてスミライザーGMを第一段目単
量体混合物添加開始1時間後に添加する以外は、全て実
施例1と同様にして重合及びコンパウンドを行なって得
られた樹脂のアイゾット衝撃値は、第1表に示す通りで
あった。
比較例4 実施例6においてスミライザーGMを用いない以外は、
全て実施例6と同様に重合及びコンパウンドを行なって
得られた樹脂のアイゾット衝撃値は、第1表に示す通り
であった。
比較例5 比較例1で得られた樹脂を実施例1と同様にしてコン
パウンドする際に、スミライザーGMをゴムに対し0.01部
添加した。得られた樹脂のアイゾット衝撃値は、第1表
に示す通りであった。
上記の結果から明らかなように、本発明の方法により
製造される共重合体は、改良された衝撃抵抗性を有す
る。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】共役ジエン単量体の単位50重量%以上とこ
    れと共重合可能なエチレン性不飽和単量体の単位50重量
    %以下とからなる共役ジエン系ゴム10〜150重量部の存
    在下に、少なくとも50重量%の不飽和ニトリルからなる
    単量体混合物100重量部を、水性媒体中で重合させる際
    に、重合反応の転化率が10%に達するまでの間に、共役
    ジエン系ゴムの0.01〜1.0重量%に相当する量のヒンダ
    ードフェノール化合物を重合系に添加することを特徴と
    する、改良された衝撃抵抗性を有するゴム変性高ニトリ
    ル共重合体の製造法。
JP1044003A 1989-02-23 1989-02-23 改良された衝撃抵抗性を有するゴム変性高ニトリル共重合体の製造法 Expired - Lifetime JP2895085B2 (ja)

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