JPH0974319A - 受信機 - Google Patents

受信機

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JPH0974319A
JPH0974319A JP4837096A JP4837096A JPH0974319A JP H0974319 A JPH0974319 A JP H0974319A JP 4837096 A JP4837096 A JP 4837096A JP 4837096 A JP4837096 A JP 4837096A JP H0974319 A JPH0974319 A JP H0974319A
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JP
Japan
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circuit
signal
phase shift
input
tuning
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JP4837096A
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Tadataka Oe
忠孝 大江
Tsutomu Nakanishi
努 中西
Akira Okamoto
明 岡本
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  • Input Circuits Of Receivers And Coupling Of Receivers And Audio Equipment (AREA)
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  • Circuits Of Receivers In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 2連バリコンやその調整が不要であって製造
時の手間を軽減することができ、しかも集積化に適した
受信機を提供すること。 【解決手段】 受信機は、高周波増幅回路1、同調増幅
器2、AM検波回路3、低周波増幅回路4およびスピー
カ5を含んで構成される。同調増幅器2は、縦続接続さ
れた2つの移相回路と非反転回路を備えており、後段の
移相回路の出力を非反転回路および帰還抵抗を介して前
段の移相回路の入力に帰還させる。各移相回路はトラン
ジスタを含んでおり、トランジスタのドレイン側にコン
デンサを接続し、ソース側に可変抵抗を接続し、コンデ
ンサと可変抵抗の各一端を接続して、入力信号の位相を
所定量シフトさせた信号を取り出す。これにより、各移
相回路を合わせた位相シフト量が所定の周波数において
360°となり、所定の周波数で安定した同調動作が行
われる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、AM波またはFM
波を受信可能な受信機に関する。
【0002】
【従来の技術】AM受信機には種々の周波数の信号が入
力されるが、これらの信号の中から希望する放送波を選
局して受信するには、希望する信号のみを通過させるバ
ンドパスフィルタを受信機の入力回路に設ければよい。
多数の放送局の中から希望する1局を自由に選局するた
めには、バンドパスフィルタの中心周波数を受信帯域内
で連続的に変化できるようにする必要がある。しかし、
フィルタの帯域特性を変えずにこれを行うことは非常に
難しいため、スーパーヘテロダイン方式が発明された。
スーパーヘテロダイン方式は、バンドパスフィルタの中
心周波数および帯域特性を変えずに、希望する放送局の
周波数をバンドパスフィルタの中心周波数に変換するこ
とで、希望する周波数信号のみを取り出すものである
(日本放送協会編「NHKラジオ技術教科書」201頁
より引用)。
【0003】図23は、スーパーヘテロダイン方式のA
Mラジオ受信機の回路構成を示す図である。
【0004】アンテナで受信された様々な周波数の放送
波の中から、不図示の同調回路で希望する周波数の信号
f1 (例えば1000kHz)を選択し、高周波増幅回
路によって増幅したのち、周波数変換回路に加える。
【0005】周波数変換回路には、局部発振回路から受
信周波数よりも高い周波数f2 (例えば1455kH
z)が加えられており、混合回路で周波数f1 との間に
うなり現象(ビート)を起こし、f1 −f2 (455k
Hz)およびf1 +f2 (2455kHz)の周波数成
分を生じる。この信号のいずれか一方(通常はf1 −f
2 )をフィルタによって取り出し、中間周波数増幅回路
に加える(日本放送協会編「NHKラジオ技術教科書」
201,202頁より引用)。
【0006】このようにして中間周波増幅を行った後A
M検波を行い、さらに低周波増幅を行ってスピーカから
希望する放送局の音声を出力することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したス
ーパーヘテロダイン方式を用いた受信機においては、選
択度を向上させるためにアンテナで受信した高周波信号
を同調回路に入力して所定の同調処理を行っており、こ
の同調周波数を局部発振回路の発振周波数に連動して変
化させることにより1つの放送局の電波のみを選択する
ようになっている。そのため、一般の受信機は機械式の
2連バリコンを備えており、この2連バリコンは受信周
波数に応じて所定の静電容量を有するように大きさが決
まっていることから、受信機全体の小型化や集積化が難
しかった。
【0008】また、従来の受信機の局部発振回路や中間
周波増幅回路には局部発振トランスや中間周波トランス
が使用されており(最近では中間周波増幅をセラミック
フィルタを用いて行うものもある)、これらのトランス
は外付け部品であって、この点からも受信機全体の集積
化が難しかった。
【0009】さらに、上述した2連バリコンを用いた従
来の受信機においては同調特性のばらつきが大きいた
め、受信機を組み立てた後に、2連バリコンに備わった
トリマコンデンサの微調整を行っており、製造時に手間
がかかっていた。また、最近では2連バリコンの代わり
に可変容量ダイオードを用いた受信機も出回っている
が、微調整が必要な点は同じであり、製造時に手間がか
かっていた。
【0010】本発明は、このような点に鑑みて創作され
たものであり、その目的は2連バリコンやその調整が不
要であって製造時の手間を軽減することができ、しかも
集積化に適した受信機を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、請求項1の受信機は、トランジスタを内部に含
む2つの移相回路を縦続接続し、後段の移相回路から出
力された帰還信号とアンテナからの入力信号とを加算し
て前段の移相回路に入力する。例えば、2つの移相回路
全体での位相シフト量が所定の周波数において360°
あるいは180°となるように制御すれば、安定な同調
出力が得られる。
【0012】また、請求項2の受信機は、2つの移相回
路を縦続接続して形成される帰還ループの一部に非反転
回路を挿入する。このため、2つの移相回路による位相
シフト量と同量だけ位相がシフトした信号が同調増幅器
から出力される。
【0013】また、請求項3の受信機は、2つの移相回
路全体での位相シフト量が360°になる周波数近傍の
信号のみを通過させる同調増幅器を設けるため、混信の
ない同調出力が得られる。
【0014】また、請求項4の受信機は、2つの移相回
路内の双方の合成手段にリアクタンス素子としてキャパ
シタが含まれている場合、あるいは双方の合成手段にリ
アクタンス素子としてインダクタが含まれている場合に
は、合成手段を構成する抵抗およびリアクタンス素子の
接続の仕方を2つの移相回路で反対にしたため、2つの
移相回路全体での位相シフト量が所定の周波数において
360°になる。
【0015】また、請求項5の受信機は、2つの移相回
路内の一方の合成手段にリアクタンス素子としてキャパ
シタが含まれ、他方の合成手段にリアクタンス素子とし
てインダクタが含まれている場合には、合成手段を構成
する抵抗およびリアクタンス素子の接続の仕方を2つの
移相回路で同じにしたため、2つの移相回路全体での位
相シフト量が所定の周波数において360°になる。
【0016】また、請求項6の受信機は、2つの移相回
路を縦続接続して形成される帰還ループの一部に位相反
転回路を挿入する。このため、2つの移相回路による位
相シフト量と180°位相が異なる信号が同調増幅器か
ら出力される。
【0017】また、請求項7の受信機は、2つの移相回
路と位相反転回路とを合わせた位相シフト量が360°
になる周波数近傍の信号のみを通過させる同調増幅器を
設けるため、混信のない同調出力が得られる。
【0018】また、請求項8の受信機は、2つの移相回
路内の双方の合成手段にリアクタンス素子としてキャパ
シタが含まれている場合、あるいは双方の合成手段にリ
アクタンス素子としてインダクタが含まれている場合に
は、合成手段を構成する抵抗およびリアクタンス素子の
接続の仕方を2つの移相回路で同じにしたため、2つの
移相回路全体での位相シフト量が所定の周波数において
180°になる。したがって、位相反転回路を接続すれ
ば、同調増幅器全体での位相シフト量が360°にな
る。
【0019】また、請求項9の受信機は、2つの移相回
路内の一方の合成手段にリアクタンス素子としてキャパ
シタが含まれ、他方の合成手段にリアクタンス素子とし
てインダクタが含まれている場合には、合成手段を構成
する抵抗およびリアクタンス素子の接続の仕方を2つの
移相回路で反対にしたため、2つの移相回路全体での位
相シフト量が所定の周波数において180°になる。
【0020】また、請求項10の受信機は、前記変換手
段の内部にトランジスタを含んでおり、トランジスタの
ソースあるいはドレインに接続する抵抗の抵抗値と、ト
ランジスタのエミッタあるいはコレクタに接続する抵抗
の抵抗値を等しくするため、トランジスタのソースある
いはドレイン側の電圧振幅と、エミッタあるいはコレク
タ側の電圧振幅とが等しくなる。
【0021】また、請求項11の受信機は、入力インピ
ーダンス素子と帰還インピーダンス素子を抵抗により構
成し、そのうちの一方を可変抵抗により形成するため、
可変抵抗の抵抗値を変化させることにより、同調周波数
および同調時の利得を一定にしたまま、最大減衰量のみ
を変化させることができる。
【0022】また、請求項12の受信機は、2つの移相
回路内の少なくとも一方の抵抗を可変抵抗により形成し
たため、合成手段の時定数を変化させることができ、同
調周波数を可変できる。
【0023】また、請求項14の受信機は、縦続接続さ
れた2つの移相回路によって形成される帰還ループの一
部に分圧回路を接続し、分圧出力を前段側に帰還させる
とともに、分圧前の信号を同調出力とするため、同調動
作と同時に信号振幅の増幅も行える。
【0024】また、請求項15の受信機は、アンテナで
受信された信号を正弦波発振回路からの正弦波信号を用
いて中間周波信号に変換した後に同調増幅器で同調を行
う。この場合、正弦波発振信号の周波数と同調周波数と
を連動して可変する必要がないため、従来のスーパーヘ
テロダイン方式の受信機のような2連バリコンが不要と
なる。
【0025】また、請求項16の受信機は、棒状あるい
は紐状の導電性材料によってアンテナを形成する。この
ような簡易な構成のアンテナであっても、従来のような
LC共振回路を必要としないことから、AM波あるいは
FM波を感度よく受信でき、しかも受信機を極めて薄く
かつ小型化できる。
【0026】また、請求項17の受信機は、受信機の構
成部品を半導体基板上にいったい形成するため、製造工
程を簡略化できるとともに、コストダウンおよび小型化
を図れる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明を適用した一実施形
態の受信機について、図面を参照しながら具体的に説明
する。
【0028】〔受信機の第1の実施形態〕図1は、本発
明を適用した第1の実施形態のAM受信機の構成を示す
図である。同図に示す本実施形態のAM受信機は、高周
波増幅回路1、同調増幅器2、AM検波回路3、低周波
増幅回路4、スピーカ5を含んで構成されている。
【0029】高周波増幅回路1は、アンテナ6によって
受信したAM信号に対して高周波増幅を行うものであ
り、充分なSN比を確保するために設けられている。し
たがって、受信電界が充分強いような場合には、この高
周波増幅回路1を省略して、アンテナ6によって受信し
た信号を直接同調増幅器2に入力するようにしてもよ
い。
【0030】また、高周波増幅回路1のゲインを上げす
ぎてノイズ分が飽和しないようにするために、同調増幅
器2とAM検波回路3の間に2段目の高周波増幅回路を
設けて、2つの高周波増幅回路によって増幅動作を分担
するようにしてもよい。この場合にはSN比をさらに改
善することができる。
【0031】同調増幅器2は、同調周波数がf1 に設定
されており、前段の高周波増幅回路1から入力される信
号の中から周波数がf1 近傍のものだけを選択して出力
する。この同調増幅器2の詳細構成および動作について
は後述する。
【0032】AM検波回路3は、同調増幅器2によって
選択された周波数f1近傍の信号に対してAM検波を行
う。最も一般的には、ダイオードを用いて半波整流を行
い、さらにローパスフィルタを通して搬送波成分を取り
除くことにより音声信号の復調を行っている。
【0033】低周波増幅回路4は、AM検波回路3から
出力される信号に対して電圧増幅および電力増幅を行っ
て、スピーカ5から受信音声を出力する。なお、受信音
声をスピーカ5から出力する代わりに、イヤホン等のレ
シーバから出力してもよい。
【0034】〔同調増幅器の第1の構成例〕図2は上述
した同調増幅器2の詳細構成を示す回路図である。同図
に示す同調増幅器2は、それぞれが入力される交流信号
の位相を所定量シフトさせることにより所定の周波数に
おいて合計で360°の位相シフトを行う2つの移相回
路10C、30Cと、移相回路30Cの出力信号の位相
を変えずに所定の増幅度で増幅して出力する非反転回路
50と、非反転回路50の後段に設けられた可変抵抗1
62および164からなる分圧回路160と、帰還抵抗
70および入力抵抗74(入力抵抗74は帰還抵抗70
のn倍の抵抗値を有しているものとする)のそれぞれを
介することにより分圧回路160の分圧出力(帰還信
号)と入力端子90に入力される信号(入力信号)とを
所定の割合で加算する加算回路とを含んで構成されてい
る。
【0035】帰還抵抗70と直列に接続されたキャパシ
タ72、および入力抵抗74と入力端子90との間に挿
入されたキャパシタ76はともに直流電流を阻止するた
めのものであり、そのインピーダンスは動作周波数にお
いて極めて小さく、すなわち大きな静電容量を有してい
る。
【0036】図3は、図2に示した前段の移相回路10
Cの構成を抜き出して示したものである。同図に示す前
段の移相回路10Cは、ゲートが入力端22に接続され
たFET12と、このFET12のソース・ドレイン間
に直列に接続された可変抵抗16およびキャパシタ14
と、FET12のドレインと正電源との間に接続された
抵抗18と、FET12のソースとアースとの間に接続
された抵抗20とを含んで構成されている。
【0037】ここで、上述したFET12のソースおよ
びドレインに接続された2つの抵抗20、18の抵抗値
はほぼ等しく設定されており、入力端22に印加される
入力電圧の交流成分に着目すると、位相が一致した信号
がFET12のソースから、位相が反転した(位相が1
80°シフトした)信号がFET12のドレインからそ
れぞれ出力されるようになっている。
【0038】なお、図2に示した移相回路10C内の抵
抗26は、FET12に適切なバイアス電圧を印加する
ためのものである。
【0039】このような構成を有する移相回路10Cに
おいて、所定の交流信号が入力端22に入力されると、
すなわちFET12のゲートに所定の交流電圧(入力電
圧)が印加されると、FET12のソースにはこの入力
電圧と同相の交流電圧が現れ、反対にFET12のドレ
インにはこの入力電圧と逆相であってソースに現れる電
圧と振幅が等しい交流電圧が現れる。このソースおよび
ドレインに現れる交流電圧の振幅をともにEi とする。
【0040】このFET12のソース・ドレイン間には
可変抵抗16とキャパシタ14とにより構成される直列
回路(CR回路)が接続されている。したがって、FE
T12のソースおよびドレインに現れる電圧のそれぞれ
を可変抵抗16あるいはキャパシタ14を介して合成し
た信号が出力端24から出力される。
【0041】図4は、前段の移相回路10Cのキャパシ
タ等に現れる電圧を示すベクトル図である。
【0042】FET12のソースとドレインにはそれぞ
れ入力電圧と同相および逆相であって電圧振幅がEi の
交流電圧が現れるため、ソース・ドレイン間の電位差
(交流成分)は2Ei となる。また、キャパシタ14の
両端に現れる電圧VC1と可変抵抗16の両端に現れる電
圧VR1とは互いに90°位相がずれており、これらをベ
クトル的に合成したものが、FET12のソース・ドレ
イン間の電圧2Ei に等しくなる。
【0043】したがって、図4に示すように、電圧Ei
の2倍を斜辺とし、キャパシタ14の両端電圧VC1と可
変抵抗16の両端電圧VR1とが直交する2辺を構成する
直角三角形を形成することになる。このため、入力信号
の振幅が一定で周波数のみが変化した場合には、図4に
示す半円の円周に沿ってキャパシタ14の両端電圧VC1
と可変抵抗16の両端電圧VR1とが変化する。
【0044】ところで、キャパシタ14と可変抵抗16
の接続点とグランドレベルとの電位差を出力電圧Eo と
して取り出すものとすると、この出力電圧Eo は、図4
に示した半円においてその中心点を始点とし、電圧VC1
と電圧VR1とが交差する円周上の一点を終点とするベク
トルで表すことができ、その大きさは半円の半径Eiに
等しくなる。しかも、入力信号の周波数が変化しても、
このベクトルの終点は円周上を移動するだけであるた
め、周波数に応じて出力振幅が変化しない安定した出力
を得ることができる。
【0045】また、図4から明らかなように、電圧VC1
と電圧VR1とは円周上で直角に交わるため、理論的には
FET12のゲートに印加される入力電圧と同相の電圧
Eiと電圧VC1との位相差は、周波数ωが0から∞まで
変化するに従って、電圧Eiを基準として時計回り方向
に0°から90°まで変化する。そして、移相回路10
C全体の位相シフト量φ1 はその2倍であり、周波数に
応じて0°から180°まで変化する。
【0046】同様に、図5は図2に示した後段の移相回
路30Cの構成を抜き出して示したものである。同図に
示す後段の移相回路30Cは、ゲートが入力端42に接
続されたFET32と、このFET32のソース・ドレ
イン間に直列に接続されたキャパシタ34および可変抵
抗36と、FET32のドレインと正電源との間に接続
された抵抗38と、FET32のソースとアースとの間
に接続された抵抗40とを含んで構成されている。
【0047】移相回路10Cと同様に、図5に示したF
ET32のソースおよびドレインに接続された2つの抵
抗40、38の抵抗値はほぼ等しく設定されており、入
力端42に印加される入力電圧の交流成分に着目する
と、位相が一致した信号がFET32のソースから、位
相が反転した信号がFET32のドレインからそれぞれ
出力されるようになっている。また、図2に示す移相回
路30C内の抵抗46はFET32に適切なバイアス電
圧を印加するためのもので、移相回路10Cと30Cと
の間に設けられたキャパシタ48は移相回路10Cの出
力から直流成分を取り除く直流電流阻止用のものであ
る。
【0048】このような構成を有する移相回路30Cに
おいて、所定の交流信号が入力端42に入力されると、
すなわちFET32のゲートに所定の交流電圧(入力電
圧)が印加されると、FET32のソースにはこの入力
電圧と同相の交流電圧が現れ、反対にFET32のドレ
インにはこの入力電圧と逆相であってソースに現れる電
圧と振幅が等しい交流電圧が現れる。このソースおよび
ドレインに現れる交流電圧の振幅をともにEi とする。
【0049】FET32のソース・ドレイン間にはキャ
パシタ34と可変抵抗36とにより構成される直列回路
が接続されており、FET32のソースおよびドレイン
に現れる電圧のそれぞれをキャパシタ34あるいは可変
抵抗36を介して合成した信号が出力端44から出力さ
れる。
【0050】図6は、後段の移相回路30Cのキャパシ
タ等に現れる電圧を示すベクトル図である。
【0051】図6に示すように、可変抵抗36の両端に
現れる電圧VR2とキャパシタ34の両端に現れる電圧V
C2とは互いに90°位相がずれており、これらをベクト
ル的に加算したものが、FET32のソース・ドレイン
間の電位差2Ei に等しくなる。したがって、電圧Ei
の2倍を斜辺とし、可変抵抗36の両端電圧VR2とキャ
パシタ34の両端電圧VC2とを直交する2辺とする直角
三角形が形成される。このため、入力信号の振幅が一定
で周波数のみが変化した場合には、図6に示す半円の円
周に沿って可変抵抗36の両端電圧VR2とキャパシタ3
4の両端電圧VC2とが変化する。
【0052】可変抵抗36とキャパシタ34の接続点と
グランドレベルとの電位差を出力電圧Eo として取り出
すものとすると、この出力電圧Eo は、図6に示した半
円においてその中心点を始点とし、電圧VR2と電圧VC2
とが交差する円周上の一点を終点とするベクトルで表す
ことができ、その大きさは半円の半径Ei に等しくな
る。しかも、入力信号の周波数が変化しても、このベク
トルの終点は円周上を移動するだけであるため、周波数
に応じて出力振幅が変化しない安定した出力を得ること
ができる。
【0053】また、図6から明らかなように、電圧VR2
と電圧VC2とは円周上で直角に交わるため、理論的には
FET32のゲートに印加される入力電圧と同相の電圧
Eiと電圧VR2との位相差は、周波数ωが0から∞まで
変化するに従って、電圧Eiを基準として270°から
360°まで変化する。そして、移相回路30C全体の
位相シフト量φ2 は、周波数に応じて180°から36
0°まで変化する。
【0054】このようにして、2つの移相回路10C、
30Cのそれぞれにおいて位相が所定量シフトされる。
しかも、図4および図6に示すように、2つの移相回路
10C、30Cの全体により位相シフト量の合計が36
0°となる。
【0055】また、図2に示した非反転回路50は、ド
レインと正電源との間に抵抗54が、ソースとアースと
の間に抵抗56がそれぞれ接続されたFET52と、ベ
ースがFET52のドレインに接続されているとともに
コレクタが抵抗60を介してソースに接続されたトラン
ジスタ58と、FET52に適切なバイアス電圧を印加
するための抵抗62とを含んで構成されている。なお、
図2に示した非反転回路50の前段に設けられたキャパ
シタ64は、後段の移相回路30Cの出力から直流成分
を取り除く直流電流阻止用であり、交流成分のみが非反
転回路50に入力される。
【0056】非反転回路50内のFET52は、ゲート
に交流信号が入力されると、逆相の信号をドレインから
出力する。また、トランジスタ58は、ベースにこの逆
相の信号が入力されると、さらに位相を反転した信号、
すなわちFET52のゲートに入力された信号の位相を
基準に考えると同相の信号をコレクタから出力し、この
同相の信号が非反転回路50から出力される。
【0057】この非反転回路50の出力は、出力端子9
2から同調増幅器2の出力として取り出されるととも
に、この非反転回路50の出力を分圧回路160を通し
た信号が帰還抵抗70を介して前段の移相回路10Cの
入力側に帰還されている。そして、この帰還された信号
と入力抵抗74を介して入力される信号とが加算され、
この加算された信号の電圧が前段の移相回路10Cの入
力端(図3に示した入力端22)に印加されている。
【0058】また、上述した非反転回路50の増幅度
は、上述した抵抗54、56、60の各抵抗値によって
決まる。これら各抵抗の抵抗値を調整することにより、
2つの移相回路10C、30Cおよび分圧回路160を
通すことにより生じる信号振幅の減衰を補い、かつ同調
増幅器全体の帰還ループのオープンループゲインが1以
下になるように設定されている。
【0059】また、同調増幅器2の出力端子92から
は、分圧回路160に入力される前の非反転回路50の
出力信号が取り出されるため、同調増幅器2自体に利得
を持たせることができ、後述する同調動作と同時に信号
振幅の増幅が可能となる。
【0060】図7は、上述した構成を有する2つの移相
回路10C、30C、非反転回路50および分圧回路1
60の全体を伝達関数K1 を有する回路に置き換えたシ
ステム図であり、伝達関数K1 を有する回路と並列に抵
抗R0 を有する帰還抵抗70が、直列に帰還抵抗70の
n倍の抵抗値(nR0 )を有する入力抵抗74が接続さ
れている。図8は、図7に示すシステムをミラーの定理
によって変換したシステム図であり、変換後のシステム
全体の伝達関数Aは、 A=Vo /Vi =K1 /{n(1−K1 )+1} ・・・(1) で表すことができる。
【0061】ところで、前段の移相回路10Cの伝達関
数K2 は、可変抵抗16とキャパシタ14からなるCR
回路の時定数をT1 (可変抵抗16の抵抗値をR、キャ
パシタ14の静電容量をCとするとT1 =CR)とする
と、 K2 =a1 (1−T1 s)/(1+T1 s) ・・・(2) となる。ここで、s=jω、a1 は移相回路10Cの利
得であって1未満の値となる。
【0062】また、後段の移相回路30Cの伝達関数K
3 は、キャパシタ34と可変抵抗36からなるCR回路
の時定数をT2 (可変抵抗36の抵抗値をR、キャパシ
タ34の静電容量をCとするとT2 =CR)とすると、 K3 =−a2 (1−T2 s)/(1+T2 s) ・・・(3) となる。ここで、a2 は移相回路30Cの利得であって
1未満の値となる。
【0063】また、分圧回路160の利得をa3 (≦
1)とするとともに、これら移相回路10C、30Cお
よび分圧回路160による信号振幅の減衰分を補うため
に、非反転回路50の利得を1/a1 2 3 とする
と、移相回路10C、30C、非反転回路50および分
圧回路160を縦続接続した場合の全体の伝達関数K1
は、 K1 =−{1+(Ts)2 −2Ts}/{1+(Ts)2 +2Ts} ・・・(4) となる。なお、計算を簡単なものとするために、各移相
回路の時定数T1 、T2をともにTとした。この(4)
式を上述した(1)式に代入すると、 A=−{1+(Ts)2 −2Ts} /〔(2n+1){1+(Ts)2 }+2Ts〕 =−{1/(2n+1)}〔{1+(Ts)2 −2Ts} /{1+(Ts)2 +2Ts/(2n+1)}〕 ・・・(5) となる。
【0064】この(5)式によれば、ω=0(直流の領
域)のときにA=−1/(2n+1)となって、最大減
衰量を与えることがわかる。また、ω=∞のときにもA
=−1/(2n+1)となって、最大減衰量を与えるこ
とがわかる。さらに、ω=1/Tの同調点(各移相回路
の時定数が異なる場合には、ω=1/√(T1 ・T2
の同調点)においてはA=1であって帰還抵抗70と入
力抵抗74の抵抗比nに無関係であることがわかる。換
言すれば、図9に示すように、nの値を変化させても同
調点がずれることなく、かつ同調点の減衰量も変化しな
い。
【0065】しかも、移相回路10C、30C内の可変
抵抗16、36の抵抗値を変えることにより、可変抵抗
16あるいは36を含む各CR回路の時定数T1 、T2
を変化させることができ、同調周波数ωをある範囲で任
意に変化させることができる。
【0066】なお、(2)式あるいは(3)式から図
4、図6に示したφ1 (入力電圧と同相の電圧Ei を基
準として時計回り方向に0°≦φ1 ≦180°)、φ2
(電圧Ei を基準として時計回り方向に180°≦φ2
≦360°)を求めると、 φ1 =tan{2ωT1 /(1−ω2 1 2 )} ・・・(6) φ2 =tan{2ωT2 /(1−ω2 2 2 )} ・・・(7) となる。なお、(6)、(7)式のφ1 およびφ2 は、
図4および図6に示す電圧Eiを基準として時計回り方
向を正方向としたものである。
【0067】例えばT1 =T2 (=T)の場合には、ω
=1/Tのときに2つの移相回路10C、30Cによる
位相シフト量の合計が360°となって上述した同調動
作が行われ、このときφ1 =90°、φ2 =270°と
なる。
【0068】このように、本実施形態の受信機は、帰還
抵抗70と入力抵抗74の抵抗比nを変えても同調周波
数および同調時の利得が一定で、かつ最大減衰量および
同調帯域幅を変えることができる同調増幅器2を用いて
同調動作を行っているため、混信が生じる場合には上述
した抵抗比nを大きく設定して同調帯域幅を狭くして混
信を防ぎ、反対に混信が少ない場合には上述した抵抗比
nを小さく設定して同調帯域幅を広げて受信信号を忠実
に再現するといった調整が容易であり、混信状態に応じ
て最適なAM受信機の設計が可能となる。
【0069】また、本実施形態の受信機は、分圧回路1
60を介して減衰した信号を帰還信号として用いるとと
もに、分圧回路160に入力する前の信号を同調増幅器
2の出力として取り出すことにより、入力信号の中から
所定の周波数成分のみを抽出する同調動作とともに、こ
の抽出された信号に対して所定の増幅を行うことができ
る。しかも、このときの利得は、分圧回路160の分圧
比を変えることにより任意に設定することができる。
【0070】また、最大減衰量は、帰還抵抗70と入力
抵抗74の抵抗比nによって決定され、同調周波数は可
変抵抗16または36の抵抗値によって決定されるた
め、同調周波数や最大減衰量を互いに干渉しあうことな
く調整することができる。なお、可変抵抗16、36の
いずれか一方を抵抗値が固定の抵抗に置き換えてもよ
い。
【0071】さらに、上述した同調増幅器2は、トラン
ジスタ、キャパシタおよび抵抗を組み合わせて構成して
おり、どの構成素子も半導体基板上に形成することがで
きることから、同調増幅器2を含めた受信機の主要部分
を半導体基板上に形成して集積回路とすることも容易で
ある。また、可変抵抗16、36の少なくとも一方の抵
抗値を連続的に変えることにより、同調周波数を連続的
に変更でき、従来必要不可欠であったバリコンを省くこ
とができ、受信機全体の回路規模を大幅に小型化するこ
とができ、製造時に微調整を行う必要もなくなることか
ら、製造工程を大幅に簡略化できる。
【0072】また、上述した同調増幅器2は、同調周波
数を可変する場合であっても安定した特性を有してお
り、このような同調増幅器2を周波数可変型のフィルタ
として用いれば、一旦中間周波信号に変換して同調をと
る必要がないため、局部発振コイルを用いた局発振回路
や中間周波トランスやセラミックフィルタを用いた中間
周波増幅回路が不要であり、大きな外付け部品を極力減
らすことができる。
【0073】また、本実施形態のAM受信機は、アンテ
ナ6からの入力部分にバリコンとバーアンテナによるL
C回路を用いていないため、入力部分の設計が容易とな
る。このため、アンテナ6を短い棒状あるいは紐状の導
電性材料で形成することができ、AM波を効率よく受信
することができる。具体的には、カーラジオ等に使用さ
れるロッドアンテナによってアンテナ6を形成したり、
イヤホンのリード部分をアンテナ6として使用するだけ
で、所望のAM波を感度よく受信することができ、従来
不可欠であったバーアンテナも省略できる。
【0074】なお、上述した同調増幅器2に含まれる非
反転回路50は、バイポーラトランジスタ58を含んで
構成したが、これをFETに置き換えて、2段のソース
接地回路によって構成するようにしてもよい。この場合
には、同調増幅器2に使用されるトランジスタの全てが
FETで統一されるため、製造プロセスを簡略化でき
る。
【0075】また、本実施形態のAM受信機に含まれる
同調増幅器2では、前段に移相回路10Cを、後段に移
相回路30Cをそれぞれ配置したが、これらの全体によ
って入出力信号間の位相シフト量が360°となればよ
いことから、これらの前後を入れ換えて前段に移相回路
30Cを、後段に移相回路10Cをそれぞれ配置して同
調増幅器を構成するようにしてもよい。
【0076】また、図2に示した同調増幅器2におい
て、移相回路30Cの後段の分圧回路160を省略し、
移相回路30Cの出力を直接前段側に帰還してもよい。
あるいは分圧回路160内の抵抗162を取り除いて抵
抗164だけにしてもよい。
【0077】〔同調増幅器の第2の構成例〕上述した第
1の実施形態のAM受信機に含まれる同調増幅器2は、
各移相回路10C、30CをCR回路を含んで構成した
が、CR回路を抵抗とインダクタからなるLR回路に置
き換えた移相回路を用いて同調増幅器を構成することも
できる。
【0078】図10は、LR回路を含む移相回路の構成
を示す回路図であり、図2に示した同調増幅器2の前段
の移相回路10Cと置き換え可能な構成が示されてい
る。同図に示す移相回路10Lは、図2に示した前段の
移相回路10C内のキャパシタ14と可変抵抗16から
なるCR回路を、可変抵抗16とインダクタ17からな
るLR回路に置き換えた構成を有しており、抵抗18と
抵抗20の各抵抗値が同じ値に設定されている。なお、
可変抵抗16とFET12のドレインとの間に挿入され
たキャパシタ19は直流電流阻止用である。
【0079】したがって、上述した移相回路10Lの入
出力電圧等の関係は、図11のベクトル図に示すよう
に、図4に示した電圧VC1を可変抵抗16の両端電圧V
R3に、図4に示した電圧VR1をインダクタ17の両端電
圧VL1にそれぞれ置き換えて考えることができる。
【0080】また、図10に示した移相回路10Lの伝
達関数は、インダクタ17と可変抵抗16からなるLR
回路の時定数をT1 (インダクタ17のインダクタンス
をL、可変抵抗16の抵抗値をRとするとT1 =L/
R)とすると、(2)式に示したK2 をそのまま適用で
き、図11に示す位相シフト量φ3 も上述した(6)式
に示したφ1 と同じになる。
【0081】したがって、図10に示す移相回路10L
は、図3に示した移相回路10Cと基本的に等価であ
り、図2に示した移相回路10Cを図10に示した移相
回路10Lに置き換えることができる。
【0082】図12は、LR回路を含む移相回路の他の
構成を示す回路図であり、図2に示した同調増幅器2の
後段の移相回路30Cと置き換え可能な構成が示されて
いる。同図に示す移相回路30Lは、図5に示した後段
の移相回路30C内のキャパシタ34と可変抵抗36か
らなるCR回路を、可変抵抗36とインダクタ37から
なるLR回路に置き換えた構成を有しており、抵抗38
と抵抗40の各抵抗値は同じ値に設定されている。な
お、インダクタ37とFET32のドレインとの間に挿
入されたキャパシタ39は直流電流阻止用である。
【0083】したがって、上述した移相回路30Lの入
出力電圧等の関係は、図13のベクトル図に示すよう
に、図6に示した電圧VR2をインダクタ37の両端電圧
VL2に、図6に示した電圧VC2を可変抵抗36の両端電
圧VR4にそれぞれ置き換えて考えることができる。
【0084】ところで、図12に示した移相回路30L
の伝達関数は、可変抵抗36とインダクタ37からなる
LR回路の時定数をT2 (可変抵抗36の抵抗値をR、
インダクタ37のインダクタンスをLとするとT2 =L
/R)とすると、(3)式に示したK3 をそのまま適用
でき、図13に示す位相シフト量φ4 も上述した(7)
式に示したφ2 と同じになる。
【0085】したがって、図12に示す移相回路30L
は、図5に示した移相回路30Cと基本的に等価であ
り、図2に示した移相回路30Cを図12に示した移相
回路30Lに置き換えることができる。
【0086】このように、図2に示した2つの移相回路
10Cおよび30Cのいずれか一方、あるいは両方を図
10、12に示した移相回路10L、30Lに置き換え
ることができる。2つの移相回路10C、30Cの両方
を移相回路10L、30Lに置き換えた場合には、同調
増幅器全体を集積化することにより同調周波数の高周波
化が容易となる。
【0087】また、2つの移相回路10C、30Cのい
ずれか一方のみを移相回路10Lあるいは30Lに置き
換えた場合であって、LR回路を構成するインダクタを
含めて、あるいはこのインダクタを除く同調回路全体を
集積化した場合には、温度変化による同調周波数の変動
を防止する、いわゆる温度補償が可能となる。
【0088】また、図2に示した移相回路10C、30
Cの少なくとも一方を移相回路10Lあるいは30Lに
置き換えた場合に、分圧回路160を省略して後段の移
相回路の出力を直接前段側に帰還してもよい。あるいは
分圧回路160内の抵抗162を取り除いて抵抗164
だけにしてもよい。分圧回路160を省略した場合、あ
るいは抵抗162を取り除いた場合には、同調動作のみ
を行うことができる。
【0089】〔同調増幅器の第3の構成例〕上述した同
調増幅器2は、2つの移相回路による位相シフト量の合
計が360°となる周波数で所定の同調動作を行ってい
たが、基本的に同じ動作を行う2つの移相回路を組み合
わせて同調増幅器を構成することにより、2つの移相回
路による位相シフト量の合計が180°となる周波数で
所定の同調動作を行うようにしてもよい。
【0090】図14は同調増幅器の第3の構成例を示す
回路図である。同図に示す同調増幅器2Aは、図2に示
した後段の移相回路30Cの代わりに移相回路10Cを
接続し、非反転回路50の代わりに位相反転回路80を
接続したものである。
【0091】位相反転回路80は、ドレインと正電源と
の間に抵抗84が、ソースとアースとの間に抵抗86が
それぞれ接続されたFET82と、FET82のゲート
に所定のバイアス電圧を印加する抵抗88とを含んで構
成されている。FET82のゲートに交流信号が入力さ
れると、FET82のドレインからは位相を反転した逆
相の信号が出力される。また、この位相反転回路80
は、2つの抵抗84、86の抵抗比によって定まる所定
の増幅度を有する。
【0092】ところで、上述したように、図14に示す
2つの移相回路10Cのそれぞれは、入力信号の周波数
ωが0から∞まで変化するに従って、入力電圧と同相の
電圧Ei を基準として時計回り方向に0°から180°
まで位相がシフトする。例えば、2つの移相回路10C
内のCR回路の時定数が同じであると仮定し、これをT
とおくと、ω=1/Tの周波数では2つの移相回路10
Cのそれぞれにおける位相シフト量が90°となる。し
たがって、2つの移相回路10Cの全体によって位相が
180°シフトされ、しかも2つの移相回路10Cの後
段に接続された位相反転回路80によって位相が反転さ
れるため、全体として、位相が一巡して位相シフト量が
360°となる信号が位相反転回路80から出力され
る。
【0093】また、上述した同調増幅器2Aでは、上述
した位相反転回路80の利得を1より大きな値に設定し
ており、2つの移相回路10Cや分圧回路160による
信号振幅の減衰を補い、かつ帰還ループのループゲイン
を1以下に設定することで所定の同調動作を行ってい
る。
【0094】〔同調増幅器の第4の構成例〕図14に示
した同調増幅器2Aは、移相回路10Cを縦続接続する
例を示したが、図2に示した移相回路30Cを縦続接続
した場合も同調動作を行わせることができる。
【0095】図15は、同調増幅器の第4の構成例を示
す回路図である。同図に示す同調増幅器2Bは、図2に
示した前段の移相回路10Cの代わりに移相回路30C
を接続し、非反転回路50の代わりに位相反転回路80
を接続したものである。
【0096】図15に示す各移相回路30Cは、図6に
示したように、入力信号の周波数ωが0から∞まで変化
するに従って、入力電圧と同相の電圧Ei を基準として
時計回り方向に180°から360°まで位相がシフト
する。例えば、2つの移相回路30C内のCR回路の時
定数が同じであると仮定し、これをTとおくと、ω=1
/Tの周波数では、2つの移相回路30Cのそれぞれに
おける位相シフト量が270°となる。したがって、2
つの移相回路30Cの全体によって位相が180°シフ
トされ、しかも2つの移相回路30Cの後段に接続され
た位相反転回路80によって位相が反転されるため、全
体として、位相が一巡して位相シフト量が360°とな
る信号が位相反転回路80から出力される。
【0097】また、図14に示した同調増幅器2Aと同
様に、図15に示す同調増幅器2Bでは、上述した位相
反転回路80の利得を1より大きな値に設定しており、
2つの移相回路30Cや分圧回路160による信号振幅
の減衰を補い、かつ帰還ループのループゲインを1以下
に設定することで所定の同調動作を行っている。
【0098】なお、図14、図15に示した同調増幅器
2A、2Bは、いずれも2つの移相回路をCR回路を含
んで構成したが、少なくとも一方をLR回路を含んで構
成するようにしてもよい。すなわち、図14に示した同
調増幅器2Aにおいて、前段および後段の移相回路10
Cの少なくとも一方を図10に示した移相回路10Lに
置き換えてもよい。同様に、図15に示した同調増幅器
2Bにおいて、前段および後段の移相回路30Cの少な
くとも一方を図12に示した移相回路30Lに置き換え
てもよい。
【0099】特に、両方の移相回路をLR回路を有する
移相回路に置き換えた場合には、同調増幅器全体を集積
化することにより同調周波数の高周波化が容易となり、
一方の移相回路をLR回路を有する移相回路に置き換え
た場合には、温度変化による同調周波数の変動を防止す
る、いわゆる温度補償が可能となる。
【0100】〔同調増幅器のその他の構成例〕ところ
で、上述した各種の同調増幅器2等は、位相シフトに着
目すると、2つの移相回路と非反転回路、あるいは2つ
の移相回路と位相反転回路によって構成されており、接
続された3つの回路の全体によって所定の周波数におい
て合計の位相シフト量を360°にすることにより所定
の同調動作を行うようになっている。したがって、位相
シフト量だけに着目すると、2つの移相回路のどちらを
前段に用いるか、あるいは3つの回路をどのような順番
で接続するかはある程度の自由度があり、必要に応じて
接続順番を決めることができる。
【0101】図16は、2つの移相回路と非反転回路5
0を組み合わせて同調増幅器を構成した場合において、
その接続状態を示す図である。なお、これらの図におい
て、帰還インピーダンス素子70aおよび入力インピー
ダンス素子74aは、各同調増幅器の出力信号と入力信
号とを所定の割合で加算するためのものであり、最も一
般的には図2等に示すように、帰還インピーダンス素子
70aとして帰還抵抗70を、入力インピーダンス素子
74aとして入力抵抗74を使用する。
【0102】但し、帰還インピーダンス素子70aおよ
び入力インピーダンス素子74aは、それぞれの素子に
入力された信号の位相関係を変えることなく加算できれ
ばよいことから、帰還インピーダンス素子70aおよび
入力インピーダンス素子74aをともにキャパシタによ
り形成したり、抵抗やキャパシタ等を組み合わせてイン
ピーダンスの実数分と虚数分の比を同時に調整しうるよ
うにしてもよい。
【0103】なお、図16および後述する図17に示し
た同調増幅器では、図2等に示す分圧回路160を除い
た構成を示したが、最終段の回路のさらに後段に分圧回
路160を接続し、分圧後の信号を帰還信号として用い
るとともに分圧前の信号を出力として取り出してもよ
い。
【0104】図16(A)には2つの移相回路の後段に
非反転回路50を配置した構成が示されており、図2に
示した同調増幅器2(CR回路の代わりにLR回路を接
続したものも含む)に対応している。このように、後段
に非反転回路50を配置した場合には、この非反転回路
50に出力バッファの機能を持たせることにより、大き
な出力電流を取り出すこともできる。
【0105】図16(B)には2つの移相回路の間に非
反転回路50を配置した構成が示されている。このよう
に、中間に非反転回路50を配置した場合には、前段の
移相回路と後段の移相回路の相互干渉を完全に防止する
ことができる。
【0106】図16(C)には2つの移相回路のさらに
前段に非反転回路50を配置した構成が示されている。
このように、初段に非反転回路50を配置した場合に
は、前段の移相回路に対する帰還インピーダンス素子7
0a等の影響を最小限に抑えることができる。
【0107】同様に、図17は、2つの移相回路と位相
反転回路80を組み合わせて同調増幅器を構成した場合
において、その接続状態を示す図である。
【0108】図17(A)には2つの移相回路の後段に
位相反転回路80を配置した構成が示されており、図1
4に示した同調増幅器2Aあるいは図15に示した同調
増幅器2Bに対応している。このように、後段に位相反
転回路80を配置した場合には、この位相反転回路80
に出力バッファの機能を持たせることにより、大きな出
力電流を取り出すこともできる。
【0109】図17(B)には2つの移相回路の間に位
相反転回路80を配置した構成が示されており、この場
合には2つの移相回路間の相互干渉を完全に防止するこ
とができる。図17(C)には2つの移相回路のさらに
前段に位相反転回路80を配置した構成が示されてお
り、この場合には前段の移相回路に対する帰還インピー
ダンス素子70a等の影響を最小限に抑えることができ
る。
【0110】〔受信機の第2の実施形態〕図1に示した
第1の実施形態のAM受信機では、受信信号を中間周波
数信号に変換することなく同調を行う例を説明したが、
いったん中間周波数信号に変換した後に同調を行う場合
にも、本発明は同様に適用できる。
【0111】図18は第2の実施形態のAM受信機の構
成を示す図である。図18に示すAM受信機は、高周波
増幅回路1、混合回路7、局部発振回路8、同調増幅器
2、AM検波回路3、低周波増幅回路4およびスピーカ
5を含んで構成されている。
【0112】混合回路7は、高周波増幅回路1から出力
されるAM信号と局部発振回路8から出力される正弦波
信号とを混合して、中間周波数信号を出力する。AM信
号の周波数をf1、局部発振回路8から出力される正弦
波信号の周波数をf2とすると、周波数f2+f1を有
する中間周波数信号が出力される。例えば、正弦波信号
の周波数f2を2MHz とし、AM信号の周波数f1を現
在国内のAM放送で使われている周波数である550kH
z 〜1.66MHz 程度と考えると、中間周波数信号の周
波数は2.55〜3.66MHz 程度となる。
【0113】図18に示す同調増幅器は同調周波数がf
3に設定されており、前段の混合回路7から入力される
中間周波数信号の中から周波数がf3近傍の信号だけを
選択して出力する。この同調増幅器は、図2、14、1
5に示した同調増幅器2、2A、2Bのいずれかの構成
を有する。
【0114】図19は、図18に示した局部発振回路8
の内部構成を示す回路図である。図18に示す局部発振
回路8は、図3および図5に示した移相回路10Cと移
相回路30C(より正確には、可変抵抗16、36を抵
抗値が固定の抵抗16′、36′にした移相回路10
C′および30C′)を縦続接続し、後段の移相回路3
0C′の出力を非反転回路50および帰還抵抗70を介
して前段の移相回路10C′に入力したものである。
【0115】図19の2つの移相回路10C′、30
C′のそれぞれにおいて位相が所定量シフトし、各移相
回路10C′、30C′を合わせた位相シフト量の合計
が、所定の周波数において360°となるため、このと
きのループゲインを1以上に設定することにより、所定
の周波数で発振する。
【0116】このように、図2に示した同調増幅器2と
ほぼ同様の構成で局部発振回路8を構成できるため、同
調増幅器2とともに半導体基板上に形成することによ
り、受信機全体を小型化できる。
【0117】図20は局部発振回路の第2の構成例を示
す回路図であり、図14に示した同調増幅器2Aから分
圧回路160および入力抵抗74を省き、可変抵抗16
を抵抗値が固定の抵抗16′に変更した構成を有する。
この場合も、ループゲインを1以上に設定することによ
り、2つの移相回路10C′を合わせた位相シフト量の
合計が360°となるような周波数で正弦波発振が行わ
れる。
【0118】同様に、図21は局部発振回路の第3の構
成例を示す回路図であり、図15に示した同調増幅器2
Bから分圧回路160および入力抵抗74を省き、可変
抵抗36を抵抗値が固定の抵抗36′に変更し、かつル
ープゲインを1以上に設定した構成を有する。
【0119】図19〜21において、後段の移相回路3
0Cの後段に分圧回路160を接続し、分圧出力を前段
側に帰還させてもよい。
【0120】なお、本発明は上記実施形態に限定される
ものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施
が可能である。
【0121】例えば、上述した局部発振回路8等では、
前段に移相回路10Cを、後段に移相回路30Cをそれ
ぞれ配置したが、2つの移相回路全体で入出力信号間の
位相シフト量が360°となればよいことから、前後を
入れ替えて前段に移相回路30Cを、後段に移相回路1
0Cをそれぞれ配置して局部発振回路を構成してもよ
い。すなわち、図3、図5、図10および図12に示す
各移相回路のうち、いずれか2つの移相回路を縦続接続
して局部発振回路を構成してもよい。
【0122】なお、上述した同調増幅器内の各移相回路
に含まれている可変抵抗16および36は、接合型ある
いはMOS型のFETを用いて実現することができる。
【0123】図22は、上述した各実施形態の同調増幅
器に含まれる各移相回路内の可変抵抗16あるいは36
をFETに置き換えた場合の移相回路の構成を示す図で
ある。
【0124】同図(A)には、図2等に示した移相回路
10Cにおいて、可変抵抗16をFETに置き換えた構
成が示されている。同図(B)には、図2等に示した移
相回路30Cにおいて、可変抵抗36をFETに置き換
えた構成が示されている。
【0125】このように、FETのソース・ドレイン間
に形成されるチャネルを抵抗体として利用して可変抵抗
16あるいは36の代わりに使用すると、ゲート電圧を
可変に制御してこのチャネル抵抗をある範囲で任意に変
化させて各移相回路における位相シフト量を変えること
ができる。したがって、同調増幅器において一巡する信
号の位相シフト量が360°となる周波数を変えること
ができ、各実施形態の同調増幅器の同調周波数を任意に
変更することができる。
【0126】また、可変抵抗を1つのFET、すなわち
pチャネルあるいはnチャネルのFETによって構成す
る代わりに、pチャネルのFETとnチャネルのFET
とを並列接続して1つの可変抵抗を構成し、各ゲート電
圧を変化させて抵抗値を可変してもよい。2つのFET
を組み合わせて可変抵抗を構成すれば、FETの非線形
領域の改善を行うことができるため、同調信号の歪みを
軽減できる。
【0127】また、上述した各実施形態において示した
移相回路10C等は、キャパシタ14等と直列に接続さ
れた可変抵抗16等の抵抗値を変化させて位相シフト量
を変化させることにより全体の同調周波数を変えるよう
にしたが、キャパシタ14等の静電容量を変化させるこ
とにより全体の同調周波数を変えるようにしてもよい。
【0128】例えば、2つの移相回路の中の少なくとも
一方に含まれるキャパシタ14等を可変容量素子に置き
換えてこの静電容量を可変することにより、各移相回路
による位相シフト量を変化させて同調周波数を変えるこ
とができる。さらに具体的には、上述した可変容量素子
をアノード・カソード間に印加する逆バイアス電圧が変
更可能な可変容量ダイオードによって、あるいはゲート
電圧によってゲート容量が変更可能なFETによって形
成することができる。
【0129】なお、上述した可変容量素子に印加する逆
バイアス電圧を可変するには、この可変容量素子と直列
に直流電流阻止用のキャパシタを接続すればよい。
【0130】また、上述したような可変抵抗や可変容量
素子を用いる場合の他、素子定数が異なる複数の抵抗あ
るいはキャパシタを用意しておいて、スイッチを切り換
えることにより、これら複数の素子の中から1つあるい
は複数を選ぶようにしてもよい。この場合にはスイッチ
切り換えにより接続する素子の個数および接続方法(直
列接続、並列接続あるいはこれらの組み合わせ)によっ
て、素子定数を不連続に切り換えることができる。この
ため、複数の放送局から1局を選局して受信するような
用途に適している。
【0131】例えば、可変抵抗の代わりに抵抗値がR,
2R,4R,…といった2のn乗の系列の複数の抵抗を
用意しておいて、1つあるいは任意の複数を選択して直
列接続することにより、等間隔の抵抗値の切替えをより
少ない素子で容易に実現することができる。同様に、キ
ャパシタの代わりに静電容量がC,2C,4C,…とい
った2のn乗の系列の複数のキャパシタを用意しておい
て、1つあるいは任意の複数を選択して並列接続するこ
とにより、等間隔の静電容量の切替えをより少ない素子
で容易に実現することができる。
【0132】また、上述した同調増幅器2等では、帰還
インピーダンス素子として抵抗値が固定の帰還抵抗70
を用い、入力インピーダンス素子として抵抗値が固定の
入力抵抗74を用いるようにしたが、少なくとも一方の
抵抗を可変抵抗により構成して、同調増幅器2等におけ
る同調帯域幅を可変するようにしてもよい。また、この
可変抵抗をFETのチャネル抵抗を利用して形成するこ
とができることはいうまでもない。特に、pチャネルの
FETとnチャネルのFETとを並列接続して1つの可
変抵抗を構成し、各FETのベースとサブストレート間
に大きさが等しく極性が異なるゲート電圧を印加した場
合には、FETの非線形領域の改善を行うことができる
ため、同調信号の歪みを少なくすることができる。
【0133】このように、同調帯域幅をAM受信機を完
成させた後に変えることができれば、混信が生じる場合
においては上述した抵抗比n(インピーダンス素子がキ
ャパシタの場合には静電容量比)を連続的に大きい方向
に変化させて同調帯域幅を狭くして混信を防ぎ、反対に
混信が少ない場合においては上述した抵抗比nを連続的
に小さい方向に変化させて同調帯域幅を広げて受信信号
を忠実に再現するといった外部からの調整が容易であ
り、電界強度に応じた最適な状態で受信機を動作させる
ことができる。
【0134】また、上述したように帰還インピーダンス
素子あるいは入力インピーダンス素子として可変抵抗や
可変容量素子を用いる場合の他、素子定数が異なる複数
の抵抗あるいはキャパシタを用意しておいて、スイッチ
を切り換えることにより、これら複数の素子の中から1
つあるいは複数を選ぶようにしてもよい。この場合には
スイッチ切り換えにより接続する素子の個数および接続
方法(直列接続、並列接続あるいはこれらの組み合わ
せ)によって、素子定数を不連続に切り換えることがで
きる。このため、混信の度合いに応じて何段階かの切替
えを行う用途に適している。
【0135】なお、上述した各実施形態において、縦続
接続された2つの移相回路内のFET12、32や、非
反転回路50あるいは位相反転回路80内のFET5
2、82をバイポーラトランジスタにより構成してもよ
い。
【0136】上述した第1および第2の実施形態では、
AM放送を受信するAM受信機について説明したが、図
1に示したAM検波回路の代わりにFM検波回路を接続
し、同調増幅器での同調周波数をFM放送を受信可能な
周波数に設定すれば、FM受信機として利用することも
可能である。
【0137】
【発明の効果】以上の各実施形態に基づく説明から明ら
かなように、トランジスタを含む2つの移相回路を縦続
接続して同調増幅器を構成し、後段の移相回路の出力を
前段の移相回路に帰還させるようにしたため、同調増幅
器全体における位相シフト量を所定の周波数において3
60°あるいは180°にすることができ、振幅変動の
ない安定した同調出力を得ることができる。
【0138】また、本発明の受信機内部の同調増幅器で
は、帰還インピーダンス素子と入力インピーダンス素子
のインピーダンス比を可変することにより、同調周波数
や同調時の利得に影響を与えることなく、最大減衰量の
みを変化させることができる。すなわち、混信が生じる
場合には上述したインピーダンス比nを大きく設定して
同調帯域幅を狭くして混信を防ぎ、反対に混信が少ない
場合には抵抗比nを小さく設定して同調帯域幅を拡げて
受信信号を忠実に再現するといった調整が容易であり、
混信状態に応じて最適な受信条件を簡易に設定できる。
【0139】また、移相回路内のCR回路等の時定数を
可変することにより、同調周波数を簡易に変更できるた
め、従来の受信機のようなLC共振を利用した同調を行
う必要がなく、バリコンやコイル等が不要となる。ま
た、入力インピーダンス素子と帰還インピーダンス素子
の各素子定数の比を適切な値に設定することにより、同
調周波数以外の周波数成分を十分に減衰できることか
ら、いったん中間周波数に変換して処理する必要がな
く、局部発振回路や中間周波信号の増幅用のトランス類
が不要となる。このため、大きな外付け部品が不要であ
り、全体の小型化や集積化が可能となる。また、アンテ
ナからの入力部分における同調周波数と局部発振の周波
数とを連動させて可変する必要がなく、2連バリコンが
不要であるため、組み立て後の微調整の必要もなく、工
程の簡略化も可能となる。
【0140】また、同調増幅器内の各移相回路に含まれ
る変換手段は、トランジスタとリアクタンス素子および
抵抗といった簡単な構成によって実現することができる
ため、受信機全体の回路規模を簡素化できる。
【0141】また、アンテナで受信された信号をいった
ん中間周波信号に変換してから同調する場合も、アンテ
ナからの入力部分における同調周波数と局部発振の周波
数とを連動させて可変する必要がなく、受信機の組立後
の調整が不要となるため、製造工程を大幅に簡略化でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した第1の実施形態のAM受信機
の構成を示す図である。
【図2】図1に示した同調増幅器の詳細構成を示す回路
図である。
【図3】図2に示した前段の移相回路の構成を抜き出し
て示した図である。
【図4】前段の移相回路の入出力電圧とキャパシタ等に
現れる電圧との関係を示すベクトル図である。
【図5】図2に示した後段の移相回路の構成を抜き出し
て示した図である。
【図6】後段の移相回路の入出力電圧とキャパシタ等に
現れる電圧との関係を示すベクトル図である。
【図7】上述した構成を有する2つの移相回路および分
圧回路の全体を伝達関数を有する回路に置き換えたシス
テム図である。
【図8】図7に示すシステムをミラーの定理によって変
換したシステム図である。
【図9】図2に示した同調増幅器の同調特性を示す図で
ある。
【図10】LR回路を含む移相回路の構成を示す回路図
である。
【図11】移相回路の入出力電圧とインダクタ等に現れ
る電圧との関係を示すベクトル図である。
【図12】LR回路を含む移相回路の他の構成を示す回
路図である。
【図13】移相回路の入出力電圧とインダクタ等に現れ
る電圧との関係を示すベクトル図である。
【図14】同調増幅器の第3の構成例を示す回路図であ
る。
【図15】同調増幅器の第4の構成例を示す回路図であ
る。
【図16】2つの移相回路と非反転回路を組み合わせて
同調増幅器を構成した場合において、その接続状態の組
み合わせを示す図である。
【図17】2つの移相回路と位相反転回路を組み合わせ
て同調増幅器を構成した場合において、その接続状態の
組み合わせを示す図である。
【図18】第2の実施形態のAM受信機の構成を示す図
である。
【図19】図18に示した局部発振回路の内部構成を示
す回路図である。
【図20】局部発振回路の第2の構成例を示す回路図で
ある。
【図21】局部発振回路の第3の構成例を示す回路図で
ある。
【図22】同調増幅器に含まれる各移相回路内の可変抵
抗をFETに置き換えた場合の移相回路の構成を示す図
である。
【図23】スーパーヘテロダイン方式のAMラジオ受信
機の回路構成を示す図である。
【符号の説明】
1 高周波増幅回路 2 同調増幅器 3 AM検波回路 4 低周波増幅回路 5 スピーカ 6 アンテナ 7 混合回路 8 局部発振回路 10C、30C 移相回路 12、32、52 電界効果トランジスタ(FET) 16、36 可変抵抗 14、34 キャパシタ 50 非反転回路 70 帰還抵抗 74 入力抵抗 80 位相反転回路 90 入力端子 92 出力端子

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アンテナで受信した信号の中から所定の
    周波数近傍の信号を選択する同調増幅器と、前記同調増
    幅器によって選択した同調信号に対して検波処理を行う
    検波回路と、前記検波回路によって検波された信号を増
    幅する低周波増幅回路と、前記低周波増幅回路によって
    増幅された信号を音声に変換して出力する出力手段とを
    有する受信機であって、 前記同調増幅器は、ゲートあるいはベースに交流信号が
    入力されるトランジスタを含む2つの移相回路を縦続接
    続して構成され、後段の前記移相回路から出力された帰
    還信号と前記アンテナからの入力信号とを加算して前段
    の前記移相回路に入力し、前記2つの移相回路のいずれ
    かの出力を前記同調信号として出力することを特徴とす
    る受信機。
  2. 【請求項2】 アンテナで受信した信号の中から所定の
    周波数近傍の信号を選択する同調増幅器と、前記同調増
    幅器によって選択した同調信号に対して検波処理を行う
    検波回路と、前記検波回路によって検波された信号を増
    幅する低周波増幅回路と、前記低周波増幅回路によって
    増幅された信号を音声に変換して出力する出力手段とを
    有する受信機であって、 前記同調増幅器は、 前記アンテナからの入力信号が一方端に入力される入力
    インピーダンス素子と、帰還信号が一方端に入力される
    帰還インピーダンス素子とを含んでおり、前記入力信号
    と前記帰還信号とを加算する加算回路と、 入力された交流信号を同相および逆相の交流信号に変換
    して出力する変換手段と、前記変換手段によって変換さ
    れた一方の交流信号をキャパシタあるいはインダクタに
    よるリアクタンス素子を介して、他方の交流信号を抵抗
    を介して合成する合成手段とを含む2つの移相回路と、 入力される交流信号を所定の増幅度で増幅するとともに
    位相を変えずに出力する非反転回路と、 を備え、前記2つの移相回路および前記非反転回路を所
    定の順序で縦続接続し、これら縦続接続された複数の回
    路の最終段の出力を前記帰還信号として前記帰還インピ
    ーダンス素子の一方端に入力し、前記加算回路の出力を
    前記縦続接続された複数の回路の初段に入力し、前記移
    相回路のいずれかの出力あるいは前記非反転回路の出力
    を前記同調信号として出力することを特徴とする受信
    機。
  3. 【請求項3】 請求項2において、 前記同調増幅器は、前記2つの移相回路の全体により位
    相シフト量の合計が360°となる周波数近傍の信号の
    みを通過させることを特徴とする受信機。
  4. 【請求項4】 請求項3において、 前記縦続接続された2つの移相回路内の双方の前記合成
    手段に前記リアクタンス素子として前記キャパシタが含
    まれている場合、あるいは双方の前記合成手段に前記リ
    アクタンス素子として前記インダクタが含まれている場
    合には、前記合成手段を構成する抵抗および前記リアク
    タンス素子の接続の仕方を前記2つの移相回路において
    反対にしたことを特徴とする受信機。
  5. 【請求項5】 請求項3において、 前記縦続接続された2つの移相回路内の一方の前記合成
    手段に前記リアクタンス素子として前記キャパシタが含
    まれ、他方の前記合成手段に前記リアクタンス素子とし
    て前記インダクタが含まれている場合には、前記合成手
    段を構成する抵抗および前記リアクタンス素子の接続の
    仕方を前記2つの移相回路において同じにしたことを特
    徴とする受信機。
  6. 【請求項6】 アンテナで受信した信号の中から所定の
    周波数近傍の信号を選択する同調増幅器と、前記同調増
    幅器によって選択した同調信号に対して検波処理を行う
    検波回路と、前記検波回路によって検波された信号を増
    幅する低周波増幅回路と、前記低周波増幅回路によって
    増幅された信号を音声に変換して出力する出力手段とを
    有する受信機であって、 前記同調増幅器は、 前記アンテナからの入力信号が一方端に入力される入力
    インピーダンス素子と、帰還信号が一方端に入力される
    帰還インピーダンス素子とを含んでおり、前記入力信号
    と前記帰還信号とを加算する加算回路と、 入力された交流信号を同相および逆相の交流信号に変換
    して出力する変換手段と、前記変換手段によって変換さ
    れた一方の交流信号をキャパシタあるいはインダクタに
    よるリアクタンス素子を介して、他方の交流信号を抵抗
    を介して合成する合成手段とを含む2つの移相回路と、 入力される交流信号を所定の増幅度で増幅するとともに
    位相を反転して出力する位相反転回路と、 を備え、前記2つの移相回路および前記位相反転回路を
    所定の順序で縦続接続し、これら縦続接続された複数の
    回路の最終段の出力を前記帰還信号として前記帰還イン
    ピーダンス素子の一方端に入力し、前記加算回路の出力
    を前記縦続接続された複数の回路の初段に入力し、前記
    移相回路のいずれかの出力あるいは前記位相反転回路の
    出力を前記同調信号として出力することを特徴とする受
    信機。
  7. 【請求項7】 請求項6において、 前記同調増幅器は、前記2つの移相回路の全体により位
    相シフト量の合計が180°となる周波数近傍の信号の
    みを通過させることを特徴とする受信機。
  8. 【請求項8】 請求項7において、 前記縦続接続された2つの移相回路内の双方の前記合成
    手段に前記リアクタンス素子として前記キャパシタが含
    まれている場合、あるいは双方の前記合成手段に前記リ
    アクタンス素子として前記インダクタが含まれている場
    合には、前記合成手段を構成する抵抗および前記リアク
    タンス素子の接続の仕方を前記2つの移相回路において
    同じにしたことを特徴とする受信機。
  9. 【請求項9】 請求項7において、 前記縦続接続された2つの移相回路内の一方の前記合成
    手段に前記リアクタンス素子として前記キャパシタが含
    まれ、他方の前記合成手段に前記リアクタンス素子とし
    て前記インダクタが含まれている場合には、前記合成手
    段を構成する抵抗および前記リアクタンス素子の接続の
    仕方を前記2つの移相回路において反対にしたことを特
    徴とする受信機。
  10. 【請求項10】 請求項2〜9のいずれかにおいて、 前記2つの移相回路のそれぞれに含まれる前記変換手段
    はそれぞれトランジスタを含んでおり、前記トランジス
    タのソースおよびドレイン、あるいはエミッタおよびコ
    レクタにそれぞれ抵抗値がほぼ等しい抵抗を接続し、前
    記トランジスタのゲートあるいはベースに交流信号を入
    力し、前記トランジスタのソース・ドレイン間あるいは
    エミッタ・コレクタ間に前記合成手段を構成する前記リ
    アクタンス素子および抵抗を接続したことを特徴とする
    受信機。
  11. 【請求項11】 請求項2〜10のいずれかにおいて、 前記入力インピーダンス素子および前記帰還インピーダ
    ンス素子のそれぞれは抵抗であり、少なくとも一方を可
    変抵抗により形成することを特徴とする受信機。
  12. 【請求項12】 請求項2〜11のいずれかにおいて、 前記2つの移相回路のそれぞれに含まれる前記合成手段
    内の抵抗の少なくとも一方を可変抵抗により形成するこ
    とを特徴とする受信機。
  13. 【請求項13】 請求項2〜12のいずれかにおいて、 前記移相回路の少なくとも一方に含まれる前記合成手段
    は、素子定数が固定の複数の抵抗あるいはキャパシタを
    備えており、これら抵抗あるいはキャパシタをスイッチ
    切り換えにより選択的に接続することを特徴とする受信
    機。
  14. 【請求項14】 請求項1〜13のいずれかにおいて、 前記縦続接続された2つの移相回路を含んで形成される
    帰還ループの一部に分圧回路を接続し、前記分圧回路に
    入力される交流信号を前記同調増幅器の同調信号として
    出力することを特徴とする受信機。
  15. 【請求項15】 請求項1〜14のいずれかにおいて、 固定周波数の正弦波信号を出力する正弦波発振回路と、 前記正弦波発振回路の出力信号と前記アンテナで受信し
    た受信信号とを混合することにより前記受信信号をこれ
    より高周波の中間周波信号に変換する混合回路と、をさ
    らに備え、 前記同調増幅器は、前記混合回路から出力される中間周
    波信号の中から所定の周波数近傍のものを選択すること
    を特徴とする受信機。
  16. 【請求項16】 請求項1〜15のいずれかにおいて、 前記アンテナを棒状あるいは紐状の導電性材料により形
    成することを特徴とする受信機。
  17. 【請求項17】 請求項1〜16のいずれかにおいて、 構成部品を半導体基板上に一体形成したことを特徴とす
    る受信機。
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