JPH0970231A - 育苗容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 花芽方向をより容易に安定させる。 【解決手段】 育苗容器が、子株を植え付ける培地が充
填される本体部１と、ランナー４ａを所定方向に案内す
るガイド部２と、本体部１を支持する受け台と、を有す
る。ランナー４ａをガイド部２の溝２ｂに挟み込むこと
により、該ランナー４ａを強制的に案内され、姿勢保持
される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は育苗容器に関する。

【０００２】

【従来の技術】例えば、イチゴは、次のように栽培され
る。まず、地面に盛り土等して圃場を形成し、その略中
央部を親株床として、そこに親株を植えつける。この親
株からは、所定の時期にランナーが発生し、圃場上で親
株床の左右に隣接する部分（ランナー床）にランナーが
着地すると子株が発生する。さらに、この子株からラン
ナーが発生し着地してさらに子株が発生する。以降、こ
れを繰り返し、子株が増殖する。

【０００３】子株が所定数に増殖したならば、子株をラ
ンナー床から掘り起こして採苗し、土、砂、ロックウー
ル等が充填された栽培床若しくは栽培鉢に仮植して育苗
を行う。この間、必要に応じて、低温、短日環境におき
夜冷処理を行い、花芽分化させる。そして、第１花房の
分化後本圃に定植する。

【０００４】また、本出願人は、上記のイチゴ栽培方法
よりも、子株の増殖に要する栽培面積を小さくして、所
定面積当りの子株の栽培量を増加させることができると
共に、採苗作業も容易で、地下部での伝染病の蔓延を抑
制することができる栽培方法を特願平６−１４４１３０
号として提案している。親株定植用の栽培床を所定の高
さで設置して、ランナーを栽培床の周壁を乗り越えさせ
て下方へ成長させていく方法である。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記したランナーを水
平方向に成長させる方法により形成した子株を採苗して
育苗する場合、花芽の方向をほぼ一定にさせるため、従
来、子株についているランナーをガイドにして各子株の
向きをそろえて行っている。しかしながら、育苗容器に
子株を入れて培地を充填する際にランナーの位置がずれ
てしまうこともあり、花芽が必ず一定方向にそろうとは
限らない。花芽の方向が一定しない場合には、隣接して
定植する子株（苗）間の距離を一定にしてそのまま成長
させたとすると、葉や茎が接触したり、果実が接触した
りして良質の果実を得るのが困難になる。特に、果実が
葉に隠れることにより、収穫作業がしにくくなったり、
見逃されて収穫されない果実も生じ、この果実から灰色
カビ病が発生する場合もある。

【０００６】また、上記した空中で子株を形成する栽培
方法の場合には、空中で形成するため、クラウンが太陽
光側に向きを調整しようとする結果、クラウンが変形し
てしまうことが多いこと等のため、花芽の方向が一定し
ないという問題はより顕著に生じる。

【０００７】本発明は上記した課題を解消するためにな
されたものであり、花芽方向をより容易に安定させるこ
とができる育苗容器を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明の育苗容器は、子
株を植え付ける培地が充填される本体部と、ランナーを
所定方向に案内するガイド部と、本体部を支持する受け
台と、を有し、該ガイド部が、本体部の上部に取り付け
られていることを特徴とする。

【０００９】また、本発明の育苗容器は、子株を植え付
ける培地が充填される本体部と、ランナーを所定方向に
案内するガイド部と、本体部を支持する受け台と、を有
し、該ガイド部が、本体部を受け台に支持させたときに
該本体部上部に隣接する受け台上に設けられていること
を特徴とする。

【００１０】

【実施例】以下、図面に示した実施例に基づき本発明を
さらに詳細に説明する。図１及び図２は本発明の一実施
例にかかる育苗容器であり、本体部１、ガイド部２、受
け台３を有して構成される。

【００１１】本体部１は、培地を充填できればよく、通
常、断面略円形の鉢形に形成されるが、断面略四角形等
の角形のものであってもよい。また、本体部１の底面に
は、通常、排液用の孔部１ａが設けられている。

【００１２】ガイド部２は、本実施例では、本体部１の
上縁に一体的に設けられており、略直方体状の突部２ａ
とその略中央部に上面から刻設した案内溝２ｂとからな
る。この案内溝２ｂに子株４のランナー４ａを挟み込む
ことによりランナー４ａの成長方向が所定の方向に案内
される。

【００１３】受け台３は、中空の略箱形に形成され、そ
の上面には、本体部１を挿入するための挿入孔３ａが所
定間隔をおいて複数形成されている。本実施例では、ガ
イド部２が本体部１に一体的に取り付けられていること
から、該挿入孔３ａに本体部１を挿入すると、挿入孔３
ａの周縁にガイド部２が当接する。その結果、本体部１
は所定位置に保持される。

【００１４】本実施例の育苗容器によれば、本体部１内
の培地５に凹部を形成して、該凹部に、採苗した子株４
の根部を位置させ、周囲の培地５を寄せて押圧する。次
に、子株４のランナー４ａをガイド部２の案内溝２ｂに
挟み込む。ランナー４ａは案内溝２ｂにより規制される
方向に強制的に案内され、姿勢保持される。従って、花
芽の方向が一定することになる。

【００１５】図３及び図４は、本発明の他の実施例にか
かる育苗容器を示し、本体部１０、ガイド部２０、受け
台３０を有して構成されている。本実施例では、本体部
１０とガイド部２０とが別体に形成され、略直方体状で
その略中央部に案内溝２０ｂを有するガイド部２０が受
け台３０の上面に開口する挿入孔３０ａの周縁に、すな
わち本体部１０を挿入孔３０ａに挿入したときに該本体
部１０の上部に隣接する受け台３０上に固着されている
ほかは、上記実施例とほぼ同じである。但し、本実施例
によれば、上記実施例と異なりガイド部２０が受け台３
０の挿入孔３０ａの周縁に掛かるように、本体部１０の
上縁にはフランジ１０ａが形成されている。すなわち、
本体部１０は受け台３０の挿入孔３０ａに挿入したとき
に、フランジ１０ａにより支持されることになる。な
お、本体部１０が挿入孔３０ａ内に落下しないように支
持する手段としてはこのフランジ１０ａに限らず、いか
なる手段であってもよい。例えば、受け台３０の挿入孔
３０ａ内に設けた本体部支持用の突起（図示せず）など
であってもよい

【００１６】本発明の育苗容器は上記した実施例に何ら
限定されるものではない。例えば、本体部としては、図
５に示したように、周壁に複数のスリット１００ｂが形
成されたものを用いることができる。この本体部１００
によれば根部がスリット１００ｂを通して成長可能であ
るため、育苗後、当該本体部１００を子株４につけたま
ま本圃へ定植することができる。なお、スリット１００
ｂを有する本体部１００を用いる場合、育苗中は該スリ
ット１００ｂが拡開しないように保つことが必要であ
り、そのため、図６に示したように、受け台３００の挿
入孔３００ａ内に、本体部１００の形状に合わせたテー
パ部３００ｂを形成しておくことが好ましい。

【００１７】また、本体部を本圃へそのまま定植する場
合には、該本体部は生分解性プラスチックから形成する
ことが好ましい。さらに、ガイド部２，２０としては、
上記したような直方体状のブロックに溝を形成したもの
に限られるものではなく、ランナーを挿通するための案
内孔等を有するブロックであってもよい。また、本体部
の上縁付近に溝や孔を形成して、当該溝や孔をガイド部
として利用することもできる。

【００１８】

【発明の効果】本発明の育苗容器は、ランナーのガイド
部を有しているため、従来のいずれの子株栽培方法で栽
培した子株であっても、育苗時に花芽の方向を一定にさ
せ、良質の苗を形成することができる。また、本体部１
つに対して１つの苗を植えるため、従来のランナーを水
平方向に成長させる方法と比較して培地の量が少なくて
済む。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本発明の育苗容器の一実施例にかかる
本体部及びガイド部を示す斜視図である。

【図２】図２は、本発明の育苗容器の一実施例にかかる
受け台を示す斜視図である。

【図３】図３は、本発明の育苗容器の他の実施例にかか
る本体部を示す斜視図である。

【図４】図４は、本発明の育苗容器の他の実施例にかか
るガイド部及び受け台を示す斜視図である。

【図５】図５は、本発明の育苗容器の本体部の他の態様
を示す斜視図である。

【図６】図６は、図５に示した本体部を支持するのに適
した受け台の一部分を示す断面図である。

【符号の説明】

１ 本体部 ２ ガイド部 ３ 受け台 １０ 本体部 ２０ ガイド部 ３０ 受け台

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 子株を植え付ける培地が充填される本体
   部と、ランナーを所定方向に案内するガイド部と、本体
   部を支持する受け台と、を有し、該ガイド部が、本体部
   の上部に取り付けられている育苗容器。
2. 【請求項２】 子株を植え付ける培地が充填される本体
   部と、ランナーを所定方向に案内するガイド部と、本体
   部を支持する受け台と、を有し、該ガイド部が、本体部
   を受け台に支持させたときに該本体部上部に隣接する受
   け台上に設けられている育苗容器。