JPH0967893A - 木造建築物の遮音構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】木造建築物において天井パネルの取り付けを容
易に行なえるようにするとともに、階下と階上との間で
の遮音性の向上を図る。 【解決手段】木造建築物において、互いに平行な梁など
の横架材１，１間に、棧材５，６を組み立てて作られた
天井パネル取り付け用の枠体３を位置させ、この枠体３
に設けた枠体受け金具９の上端板部１１を前記横架材１
で受けて枠体受け金具９を横架材１に固定し、前記枠体
３の下面に天井パネル１６を取り付けてなり、さらに前
記枠体３の上端に遮音用の面材２１を取り付けて隣り合
う横架材１と横架材１との間の空間を前記面材２１によ
って上下に仕切るようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、木造建築物におい
て天井パネル取り付け部での遮音性を向上させるように
した遮音構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来から一般に知られる木造建築物の天
井は梁などの横架材の下側に吊り木を介して取り付けら
れた棧に天井パネルを釘打ちにより取り付けて形成され
ている。

【０００３】さらに、詳しくは前記棧は吊り木に釘打ち
により直接取り付けられる上側の棧材と、この棧材に対
して直交する方向に向き釘打ちにより取り付けられる下
側の棧材とにより形成され、この下側の棧材に天井パネ
ルを下方より釘打ちにより取り付けている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の横架材に対
する吊り木の取り付け、吊り木に対する上側の棧材の取
り付け、上側の棧材に対する下側の棧材の取り付け、下
側の棧材に対する天井パネルの取り付けを全て建築現場
で行なっており、建築現場での釘打ち部が非常に多く、
特に高所での作業であるため、危険性が高く、作業性が
非常に悪いという問題があった。また、階下と階上との
間は天井パネルおよびその上の床板とにより遮られてい
るが、上下の音が天井パネルおよびその上の床板を介し
て伝わり、遮音性に問題があった。

【０００５】本発明はこのような課題を解決するもの
で、木造建築物において天井パネルの取り付けを容易に
行なえるようにするとともに、階下と階上との間での遮
音性の向上を図るようにすることを目的とするものであ
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明は、木造建築物において、互いに平行な梁など
の横架材間に、棧材を組み立てて作られた天井パネル取
り付け用の枠体を配設し、この枠体の下面に天井パネル
を取り付けてなり、さらに前記枠体の上端に遮音用の面
材を取り付けて隣り合う横架材と横架材との間の空間を
前記面材によって上下に仕切ったことを要旨とするもの
である。

【０００７】この構成により、棧材を組み立てて作られ
た天井パネル取り付け用の枠体を互いに平行な梁などの
横架材間に配設して、この枠体の下面に天井パネルを取
り付けることにより作業能率の向上が図れる。即ち、天
井パネル取り付け用の棧材をユニット化することによ
り、従来のような横架材に対する吊り木の取り付け、吊
り木に対する上側の棧材の取り付け、上側の棧材に対す
る下側の棧材の取り付けを建築現場で行なう場合に比べ
て、現場での作業性を大幅に向上させることができ、且
つ作業の安全性を向上させることができる。特に、本発
明によれば、隣り合う横架材と横架材との間の空間を遮
音用の面材によって上下に仕切ることにより、階下と階
上との間での遮音性が得られる。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面に基づいて説明する。先ず、図１〜図６に基づ
き第１の実施の形態について説明すると、１は柱２など
によって受けられた梁などの横架材であって、横架材１
と横架材１との間に天井パネル取り付け用として木材か
らなる枠体３と、床パネル取り付け用として木材からな
る枠体４が位置されている。前記天井パネル取り付け用
の枠体３は２本の平行な棧材５，５と、この棧材５，５
の長さ方向両端部を含む棧材５，５の長さ方向に適当間
隔おきに棧材５，５間に位置し棧材５，５に対して直角
に向いて棧材５，５に釘打ちなどにより固定される棧材
６，…とにより形成されている。また、床パネル取り付
け用の枠体４も２本の平行な棧材７，７と、この棧材
７，７の長さ方向両端部を含む棧材７，７の長さ方向に
適当間隔おきに棧材７，７間に位置し棧材７，７に対し
て直角に向いて棧材７，７に釘打ちなどにより固定され
る棧材８，…とにより形成されている。そして、前記枠
体３および枠体４の長さ方向両端近傍部には枠体受け金
具９が取り付けられている。

【０００９】枠体受け金具９は横架材１により受けられ
釘10打ちにより固定される水平な板部11と、この板部11
に繋がり前記棧材７，７の外側面に当接し鉛直方向に向
く板部12と、この板部12に繋がり前記棧材７，７の底面
を受けて釘10打ちにより固定される水平な板部13と、こ
の板部13に繋がり鉛直方向に向く板部14と、この板部14
に繋がり棧材５，５の底面を受けて釘10打ちにより固定
される水平な板部15とから構成されている。即ち、前記
天井パネル取り付け用の枠体３と床パネル取り付け用の
枠体４は前記枠体受け金具９により一体的に結合されて
いる。

【００１０】16は前記枠体３の下側に釘打ちなどにより
取り付けられる天井パネルで、前記枠体３の上側での電
気配線工事が終了した後で枠体３の下側に取り付けられ
る。電気配線工事の邪魔にならない場合は、天井パネル
16は予め前記枠体３に一体的に取り付けられている。

【００１１】17は前記枠体４の上側に釘打ちなどにより
取り付けられる床パネルで、この床パネル17の上に床仕
上げ材18が設けられる。なお、前記枠体受け金具９の上
端の水平な板部11は前記横架材１の上面に形成された位
置決め用の凹部19に嵌まり、また下端の前記水平な板部
15は枠体３の棧材５，５下面の凹部20に嵌まって、枠体
４および枠体３の位置決めが行なわれる。

【００１２】ところで、第１の実施の形態において、天
井パネル取り付け用の枠体３の上端には遮音用の面材21
が取り付けられている。この遮音用の面材21は合板、石
膏ボード、合成樹脂板、ゴム、紙製シート、木製板（パ
ーチクルボードなどの木屑を固めたものなどを含む）、
金属板などが使用され、隣り合う横架材１と横架材１と
の間の空間を上下に仕切るように配設される。この面材
21は前記枠体受け金具９の箇所において外側が切除さ
れ、この切除部21ａの上を同じ材料からなる面材22で覆
っている。23は前記横架材１に近接する面材21と横架材
１との間の隙間および隣り合う面材21，21間の隙間を閉
じる遮音性のフィルムで、このフィルム23は面材21や横
架材１などに対してワイヤー止めなどにより固定され
る。なお、隣り合う面材21，21間にあっては一方の面材
21の端部のフィルム23を他方の面材21の端部のフィルム
23を巻き込むようにしている。24は前記枠体３の棧材
５，５下面の凹部20底面と枠体受け金具９の下端の水平
な板部15上面との間に介在されたゴムなどからなる緩衝
材である。

【００１３】以上のように、隣り合う横架材１と横架材
１との間の空間を遮音用の面材21によって上下に仕切る
ことにより、階下と階上との間での遮音性が得られる。
次に、図７〜図９に基づき第２の実施の形態について説
明すると、第１の実施の形態では天井パネル取り付け用
の枠体３と床パネル取り付け用の枠体４を枠体受け金具
９により一体的に結合させているが、第２の実施の形態
は天井パネル取り付け用の枠体３と床パネル取り付け用
の枠体４を切り離し、天井パネル取り付け用の枠体３に
は枠体受け金具９を取り付け、床パネル取り付け用の枠
体４には枠体受け金具25を取り付けている。そして、枠
体受け金具９の上端に枠体受け金具25の上端を重ならし
て枠体受け金具９および枠体受け金具25を横架材１に固
定している。また、第１の実施の形態では遮音用の面材
21は天井パネル取り付け用の枠体３から外方に張り出し
ているが、第２の実施の形態では遮音用の面材21の大き
さを天井パネル取り付け用の枠体３とほぼ同じとし、面
材21と横架材１との間の隙間および隣り合う面材21，21
間の隙間を遮音性のフィルム23で閉じている。なお、こ
の第２の実施の形態では枠体受け金具９の板部14を棧材
５，５の外側面に当接して釘10打ちにより固定してお
り、板部14はフィルム23を貫通している。

【００１４】ところで、以上述べた２つの実施の形態で
は、天井パネル取り付け用の枠体３と床パネル取り付け
用の枠体４を枠体受け金具９や25により横架材１に固定
しているが、天井パネル取り付け用の枠体３および床パ
ネル取り付け用の枠体４を別の部材により横架材１に固
定するようにしても良い。また、以上述べた２つの実施
の形態では、横架材１に近接する遮音用の面材21と横架
材１との間の隙間および隣り合う面材21，21間の隙間を
遮音性のフィルム23によって閉じているが、遮音用の面
材21の端部を直接横架材１に隙間がないように固定する
ようにしても良い。

【００１５】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、棧材を組
み立てて作られた天井パネル取り付け用の枠体を互いに
平行な梁などの横架材間に配設して、この枠体の下面に
天井パネルを取り付けることにより作業能率の向上が図
れる。即ち、天井パネル取り付け用の棧材をユニット化
することにより、従来のような横架材に対する吊り木の
取り付け、吊り木に対する上側の棧材の取り付け、上側
の棧材に対する下側の棧材の取り付けを建築現場で行な
う場合に比べて、現場での作業性を大幅に向上させるこ
とができ、且つ作業の安全性を向上させることができ
る。特に、本発明によれば、隣り合う横架材と横架材と
の間の空間を遮音用の面材によって上下に仕切ることに
より、階下と階上との間での遮音性が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施の形態における天井パネル
取り付け用の枠体ならびに床パネル取り付け用の枠体の
斜視図である。

【図２】同両枠体の取り付け状態を示す正面断面図であ
る。

【図３】同両枠体の取り付け状態を示す平面図である。

【図４】図２の要部拡大断面図である。

【図５】図４のＸ−Ｘ断面図である。

【図６】同要部拡大側面断面図である。

【図７】本発明の第２の実施の形態における天井パネル
取り付け用の枠体ならびに床パネル取り付け用の枠体の
取り付け状態を示す正面断面図である。

【図８】図７の要部拡大断面図である。

【図９】同要部拡大側面断面図である。

【符号の説明】

１ 横架材 ２ 柱 ３ 枠体 ４ 枠体 ５，６，７，８ 棧材 ９ 枠体受け金具 １０ 釘 １１，１２，１３，１４，１５ 板部 １６ 天井パネル １７ 床パネル １８ 床仕上げ材 １９，２０ 凹部 ２１ 面材 ２１ａ 切除部 ２２ 面材 ２３ フィルム ２４ 緩衝材 ２５ 枠体受け金具

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 木造建築物において、互いに平行な梁な
   どの横架材間に、棧材を組み立てて作られた天井パネル
   取り付け用の枠体を配設し、この枠体の下面に天井パネ
   ルを取り付けてなり、さらに前記枠体の上端に遮音用の
   面材を取り付けて隣り合う横架材と横架材との間の空間
   を前記面材によって上下に仕切ったことを特徴とする木
   造建築物の遮音構造。