JPH0967051A - シート体の搬送装置及びシート体の搬送方法 - Google Patents

シート体の搬送装置及びシート体の搬送方法

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JPH0967051A
JPH0967051A JP22433995A JP22433995A JPH0967051A JP H0967051 A JPH0967051 A JP H0967051A JP 22433995 A JP22433995 A JP 22433995A JP 22433995 A JP22433995 A JP 22433995A JP H0967051 A JPH0967051 A JP H0967051A
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JP
Japan
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magnetic tape
roll
sheet body
suction
sheet
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Application number
JP22433995A
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English (en)
Inventor
Yukiro Akahira
幸郎 赤平
Toshimasa Sugano
利政 菅野
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、シート体に皺を発生させることが
なく、しかも、走行状態を修正して、正確かつ安定に搬
送するようにする。 【解決手段】 外周表面が両端部12a,12bから中
央部12cに至るに従って直径が大きくなるクラウンロ
ール11と、このクラウンロール11と連続して配置さ
れ、シート体Tを円筒状の外周表面に吸着させる吸引作
用を有するサクションロール21と、これら両ロール1
1,21に巻き付けられたシート体Tの走行のずれを検
知する検知手段20と、これら両ロール11,21を載
置する揺動架台41と、検知手段20からの情報に基づ
いて揺動架台41を移動させる駆動手段45とを備え
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、データ信号や映像
信号等の情報信号を記録する磁気テープ、すなわち、シ
ート状の非磁性支持体に磁性層が形成される磁気テープ
原反等のシート体の搬送装置及びシート体の搬送方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、データ信号や映像信号等の情報信
号を記録する磁気テープとして、ポリエステルやポリエ
チレンテレフタレート(PET)等からなる非磁性支持
体上に酸化物磁性粉末や合金磁性粉末等の粉末磁性材料
を有機高分子材料からなる結合剤中に分散せしめた磁性
塗料を塗布、乾燥することにより磁性層を形成した、い
わゆる塗布型の磁気テープが広く使用されている。
【0003】この塗布型の磁気テープの製造において
は、シート状の非磁性支持体に磁性塗料を塗布して磁性
層が形成され、乾燥されるが、この乾燥では、磁性塗料
が塗布された非磁性支持体(磁気テープ)に熱風を上下
から吹き付けて、浮上させながら乾燥が行なわれる「エ
アーフローティングドライヤー」と呼ばれている炉が使
用されることがある。
【0004】このような乾燥炉は、長いもので10m〜
30mにも及ぶものがあり、その間を磁気テープが送ら
れて来る。そして、このような乾燥炉の出口には、図1
5に示すように、磁気テープ原反Tであるシート体を搬
送するシート体の搬送装置101が配置されている。
【0005】このシート体の搬送装置101は、乾燥炉
から出て来た磁気テープ原反Tを引っ張りながら、次の
巻き取り装置等が配置される下流側に送り出すものであ
る。このシート体の搬送装置101は、円筒状のロール
103とゴム製のガイドロール108が組み合わせられ
て、乾燥炉から出て来た磁気テープ原反Tを略々断面S
字状に巻き付けて送り出すようになされている。また、
このシート体の搬送装置101は、円筒状のロール10
3とゴム製のガイドロール108の両ロール103,1
08を載置する揺動架台106と、磁気テープ原反Tの
幅方向のずれを検知する検知手段110と、検知手段1
10からの情報に基づいて揺動架台106を移動させる
駆動手段とを備えた構成とされている。
【0006】なお、昨今においては、ゴム製のガイドロ
ール108に代わって、吸引作用により磁気テープ原反
Tを外周表面に吸着させるサクションロール105が使
用されることも多くなっている。上記円筒状のロール1
03は、いわばストレートに外周表面が円筒形状を呈す
るロール部104を有する。ゴム製のガイドロール10
8は、駆動手段であるモータを有し、円筒状のロール1
03から受けた磁気テープ原反Tを下流側に送り出す。
【0007】一方、ゴム製のガイドロール108に代わ
って使用されるサクションロール105は、ゴム製のガ
イドロール108間で発生していた滑りを減少させるた
めに導入されたものである。このサクションロール10
5は、円筒状の吸引ロール部104と、図示しない軸
と、軸受けと駆動手段であるモータとから構成されてい
る。吸引ロール部104の外周表面には、小さな孔が多
数設けられており、吸引作用により磁気テープ原反Tを
外周表面に吸着させるように構成されてなる。また、吸
引ロール部104の内部は、これらの孔に連続して中空
部が設けられ(磁気テープ原反が当たっている面に対し
て)、この中空部に対して連結パイプが接続されてい
る。そして、吸引手段である空気ポンプに連結されてい
る。
【0008】したがって、空気ポンプを作動させると、
磁気テープ原反Tが吸引ロール部104の外周表面に密
着力をもって吸着される。このように、従来のシート体
の搬送装置110によれば、磁気テープ原反Tは、円筒
状のロール103とゴム製のガイドロール108で磁気
テープ原反Tを受ける場合でも、円筒状のロール103
とサクションロール105で受ける場合でも、円筒状の
ロール103と、ゴム製のガイドロール108(又は、
サクションロール105)に断面S字状に巻き付けられ
て、次の巻き取り装置が配置される下流側に搬送される
(図15中矢印の方向)。
【0009】しかし、磁気テープ原反Tは、その個々に
持つ湾曲癖や、乾燥炉102内において吹き付けられる
熱風の勢いの違い等によって、真っすぐには走行せず、
蛇行状態になり易い。このため、磁気テープ原反Tの走
行のずれを検知する検知手段110と、揺動架台106
と、揺動架台106を移動させる駆動手段とを備えた走
行修正装置(Edge Position Controler)と呼ばれる装
置が使用される。
【0010】この装置は、円筒状のロール103とゴム
製のガイドロールに巻き付けた磁気テープ原反Tの走行
位置がずれたことを検知手段110が検知すると、駆動
手段により、揺動架台106が円筒状のロール103と
ゴム製のガイドロール108ごと一体的に移動調整され
ることによって、磁気テープ原反Tが正しい走行位置に
なるように修正される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、磁気テープ
原反Tは、乾燥炉内では、熱風が吹き付けられて、いわ
ばサインカーブを描きながら走行している。しかも、磁
気テープ原反Tは、約10mμm以下のものもある薄い
もので、熱風によって、幅方向ではエッジTa,Tbよ
りも中央Tcが円弧状に湾曲して走行している。このた
め、搬送が蛇行状態になり易い。また、磁気テープ原反
Tは、熱に敏感な粘弾性を有する材料で構成されている
ために、乾燥炉から出て来た状態では、温度が高く可塑
性を帯びている。
【0012】ところでまた、従来のシート体の搬送装置
101において、磁気テープ原反Tの幅方向の走行のず
れを正確に修正するためには、磁気テープ原反Tが各ロ
ール103,108に対して密着力をもって巻き付けら
れるとともに、各ロール103,108が正確かつ安定
的に一体的に動かされることが、前提として必要であ
る。
【0013】しかしながら、まず、円筒状のロール10
3とゴム製のガイドロール108で磁気テープ原反Tを
受ける場合においては、磁気テープ原反Tとゴム製のガ
イドロール108間に強い密着力が必要であるために、
一般的にゴム製のものが多く用いられている。しかし、
搬送速度が高くなると空気が入り込む空気層が大きくな
り、磁気テープ原反Tがゴム製のガイドロール108と
の間で必要以上に滑ってしまい、磁気テープ原反Tの密
着力が低下するという問題を有していた。
【0014】このため、かかる問題を解決するために、
ゴム製のガイドロール108の外周表面にスパイラル状
の溝を彫って、この溝から余分な空気を逃がすという方
法が考えられる。しかしながら、乾燥炉から出て来たば
かりの磁気テープ原反Tは、温度が高く可塑性を帯びて
いるために、このスパイラル状の溝の跡が磁気テープ原
反にはっきり残ってしまう問題があった。
【0015】他方、円筒状のロール103とサクション
ロール105で磁気テープ原反Tを受ける場合には、上
記ゴム製のガイドロール108の場合に生じるような滑
りを防止することができる。しかしながら、10μm以
下のような薄い磁気テープ原反Tを走行させた場合に
は、サクションロール105の中央部付近に磁気テープ
原反Tが折り畳まれるような皺Sが発生する問題を有し
ていた。このような皺Sの発生は、磁気テープ原反Tの
搬送速度が遅い場合、極めて強い跡で残り、磁気テープ
として製品になり得ない大きな欠陥となる。
【0016】また、密着力を上げるために最も多くとら
れる方法として、磁気テープ原反Tに与える引っ張り張
力を高くすることが知られている。しかしながら、磁気
テープ原反Tが高温雰囲気の乾燥炉内にあるときに、こ
れ以上強く引っ張ると、粘弾性を有する磁気テープ原反
Tに残留歪みを残すことになる。この結果、製品として
の磁気テープの形状が経時変化する要因になってしま
う。
【0017】また、従来のシート体の搬送装置101で
は、磁気テープ原反Tの搬送速度が高い場合、幅方向で
はエッジTa,Tbよりも中央Tcが円弧状に湾曲して
走行している磁気テープ原反Tを、皺Sを発生させない
ように平坦な状態にして磁気テープ原反Tを搬送させる
ことは、極めて困難か、或いは、極めて高い引っ張り張
力が必要となる。
【0018】そこで、本発明は、高い搬送速度でも磁気
テープ原反等のシート体に皺を発生させることがないシ
ート体の搬送装置及びシート体の搬送方法を提供するこ
とを目的とする。また、本発明は、乾燥炉から出て来た
磁気テープ原反の走行状態を修正して、正確かつ安定に
送り出すシート体の搬送装置及びシート体の搬送方法を
提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述の目
的を達成するために鋭意研究した結果、従来のシート体
の搬送装置では、磁気テープ原反の皺の発生は、上記ロ
ール103の構成では、磁気テープ原反の間に入り込む
空気層が厚くなることに原因があることを見い出した。
そして、磁気テープ原反が高速で搬送されると、空気が
入りすぎることとなるために、この空気の厚みがいわば
潤滑剤の役目を果たして、磁気テープ原反が両ロール間
で必要以上に滑ってしまうことに原因があることを見い
出した。
【0020】また、磁気テープ原反Tは、エアーフロー
ティングドライヤーのような乾燥炉内部では、熱風を上
下から吹き付けられていることによって、いわばサイン
カーブを描きながら走行しているばかりではなく、幅方
向ではエッジよりも中央が円弧状に湾曲して走行してい
る。このため、サクションロール105の外周表面で
は、磁気テープ原反Tは強い密着力によって幅方向に広
げられないため、余った部分が折り畳まれるようにし
て、皺になることを見い出した。磁気テープ原反が幅方
向に湾曲している形状のままサクションロールの強い密
着力が磁気テープ原反のエッジにのみ働き、中央へ余っ
た磁気テープ原反を寄せ集めてしまうことを見い出し
た。
【0021】一方、従来装置において、磁気テープ原反
Tの幅方向のずれを正確に修正するためには、磁気テー
プ原反Tが各ロールに対して密着力をもって巻き付けら
れていることが必要である。そこで、本発明にかかるシ
ート体の搬送装置は、外周表面が両端部から中央部に至
るに従って直径が大きくなるクラウンロールと、クラウ
ンロールと組み合わせて連続して配置され、シート体を
円筒状の外周表面に吸着させる吸引作用を有するサクシ
ョンロールと、クラウンロールとサクションロールに巻
き付けられたシート体の走行のずれを検知する検知手段
と、これら両ロールを載置する揺動架台と、検知手段か
らの情報に基づいて揺動架台を移動させる駆動手段とを
備えたことを特徴とする。
【0022】また、シート体が非磁性支持体に磁性層が
形成される磁気テープ原反であることを特徴とする。他
方、本発明にかかるシート体の搬送方法は、外周表面が
両端部から中央部に至るに従って直径が大きくなるクラ
ウンロールと、クラウンロールと組み合わせて連続して
配置され、シート体を円筒状の外周表面に吸着させる吸
引作用を有するサクションロールとを備えて、シート体
を送り出す工程と、クラウンロールとサクションロール
に巻き付けられたシート体の走行のずれを検知する検知
手段と、これら両ロールを載置する揺動架台と、検知手
段からの情報に基づいて揺動架台を揺動させる駆動手段
とを備えて、シート体の走行のずれを修正する工程とか
らなることを特徴とする。
【0023】また、シート体が非磁性支持体に磁性層が
形成される磁気テープ原反であることを特徴とする。磁
気テープ原反を送り出す工程が磁性層が形成された磁気
テープを浮上させながら乾燥させる乾燥炉の出口から出
て来たものを受けて送り出すものであることを特徴とす
る。
【0024】シート体の搬送装置にかかる本発明によれ
ば、外周表面が両端部から中央部に至るに従って直径が
大きくなるクラウンロールがサクションロールと組み合
わされて配置されているために、磁気テープがそのエッ
ジよりも中央が円弧状に湾曲して走行されたとしても、
磁気テープが中央からエッジの方向に引き延ばされるこ
ととなる。
【0025】すなわち、本発明にかかるクラウンロール
の周長差が中心部と両端部では異なるので、シート体を
高速走行させたときに生じる応力が均一に働かせられる
こととなる。そして、このようにエッジの方向に引き延
ばされたシート体が、そのままの状態で、次の吸引作用
を有するサクションロールによって、外周表面に密着力
が高められて巻き付けられ、その後、送り出されること
となる。
【0026】したがって、シート体が高速で走行されて
も、従来装置のようにサクションロールの中央部付近に
皺を発生させるようなことがない。また、シート体の搬
送装置にかかる本発明においては、シート体を高速走行
させたときに生じる応力が均一に働かされてエッジ方向
に引き延ばされるとともに密着力が高められるために、
シート体に与える引っ張り張力が低減されるようにな
る。
【0027】そして、シート体の搬送方法にかかる本発
明において、シート体が非磁性支持体に磁性層が形成さ
れる磁気テープ原反であり、この磁気テープ原反の送り
出しが磁性層が形成された磁気テープを浮上させながら
乾燥させる乾燥炉の出口から出て来たものを受けて送り
出すものである場合は、粘弾性を有する磁気テープ原反
であっても、従来装置のようにサクションロールの中央
部付近に皺を発生させるようなことがない。
【0028】また、磁気テープ原反の走行のずれを修正
する工程が、乾燥炉の出口から出て来た磁気テープ原反
がエッジ方向に引き延ばされるとともに密着力が高めら
れ状態で行われる。したがって、磁気テープ原反の走行
のずれの修正が正確に行われるようになり、正確かつ安
定した磁気テープ原反であるシート体の搬送が行われ
る。
【0029】特に、クラウンロールの膨らみを考慮し
て、磁気テープ原反の幅の中央部に強めに当たるように
設定すると、比較的厚さの厚い磁気テープ原反から厚さ
の薄い磁気テープ原反まで広範囲で効果が発揮される。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明を適用したシート体
の搬送装置及びシート体の搬送方法について、図面に基
づいて具体的に説明する。本実施の形態のシート体の搬
送装置は、いわゆる「エアーフローティングドライヤ
ー」と呼ばれている乾燥炉の出口に設けられることによ
り、本発明を適用してなるものである。また、このシー
ト体の搬送装置で搬送される磁気テープ原反Tは、その
幅寸法が1240mmであり、厚さが10μm以下のも
ので説明する。なお、以下の[1]から[4]の順序で
説明する。 [1]シート体の搬送装置 [2]シート体の走行ずれの修正機構 [3]シート体の搬送方法 [4]実験結果
【0031】[1]シート体の搬送装置 まず、本実施の形態で使用されるシート体は、データ信
号や映像信号等の情報信号を記録する磁気テープの製造
の過程で使用される磁気テープ原反Tである。このよう
な磁気テープ原反Tは、ポリエステルやポリエチレンテ
タレート(PET)等からなる非磁性支持体上に酸化物
磁性粉末や合金磁性粉末等の粉末磁性材料を有機高分子
材料からなる結合剤中に分散せしめた磁性塗料を塗布し
た後において、この乾燥炉に送られ、ここで乾燥され
て、この乾燥炉から出て来るようになされている。
【0032】この乾燥炉2は、図3に示すように、磁気
テープ原反Tの上下から互い違いに細いスリットを持つ
エアーノズル3のスリットから熱風を吹き付けること
で、磁気テープ原反Tを浮上させながら乾燥を行う炉で
ある。この乾燥炉2の長さは、10〜30mに及ぶこと
があるが、この間には磁気テープ原反Tを支持するガイ
ドロール等の機構部品がないものである。したがって、
乾燥炉2内では、磁気テープ原反Tは、ノズル3のスリ
ットから噴出する熱風によって、図3に示すように、い
わばサインカーブを描きながら走行している。なお、こ
のような磁気テープ原反Tは、上記サインカーブを描き
ながら、しかも、図1に示すように、幅方向ではエッジ
Ta,Tbよりも中央Tcが円弧状に湾曲されて走行し
ている。
【0033】そして、乾燥炉2の出口に、本実施の形態
にかかるシート体の搬送装置1が配設されている。この
シート体の搬送装置1は、図1乃至図5に示すように乾
燥炉2から出て来た磁気テープ原反Tが巻き付けられる
クラウンロール11及びサクションロール21と、これ
ら両ロール11,21を載置する揺動架台41と、磁気
テープ原反Tのずれを検知する検知手段20と、検知手
段20からの情報に基づいて揺動架台41を移動させる
駆動手段45とから構成されている。
【0034】また、乾燥炉2から出て来た磁気テープ原
反Tの搬送経路としては、乾燥炉2に隣接して配置され
ている基台10上を通過する際に、この基台10上のク
ラウンロール11及びサクションロール21に巻き付け
られた後、一旦、上方に送られ(図3中矢印の方向)、
ガイドロール8を介して、次の巻き取り装置等の下流側
に送られるようになされている。乾燥炉2の上流側に
は、ロール状に巻かれた非磁性支持体が送り出される巻
き出し、該非磁性支持体に対する磁性塗料を均一な厚さ
にする塗布や、塗料中の磁性粉の長軸を一定方向に揃え
る配向の工程があり、これらの装置が配されている。
【0035】乾燥炉2から出て来た磁気テープ原反Tが
通過する基台10上には、クラウンロール11とサクシ
ョンロール21とが搭載されている揺動架台41が配置
されている。この揺動架台41は、基台10上におい
て、シリンダ45と、スライドレール46a,46bと
を介して配置されている。また、揺動架台41の高さは
基台10の高さを調整することによって、乾燥炉2から
出て来た磁気テープ原反Tの位置にクラウンロール11
とサクションロール21が位置するように設定されるよ
うになされている。なお、図4中においては、上記スラ
イドレール46a,46bは、省略されている。
【0036】まず、クラウンロール11は、図4に示す
ように、ロール部12と、このロール部12を貫通する
軸13と、この軸13を受ける軸受けとから構成されて
いる。なお、軸受けは、筺体18に覆われている。ロー
ル部12は、図6及び図7に示すように、内側の部品1
6と外側の部品17の二部品から構成されている。この
ロール部12は、いわゆる焼ばめによってはめ合わされ
たものである。そして、このロール部12は、内部に軸
13を固定する固定部14を有し、外周表面に乾燥炉2
から出て来た磁気テープ原反Tを巻き付けられるように
なされている。
【0037】このロール部12の外周表面は、両端部1
2a,12bから中央部12cに至るに従って直径が大
きくなる棒状の部材により構成されている。すなわち、
ロール部12の外周表面は、図1に示すように、両端部
12a,12bの直径L1よりも、中央部12cの直径
L2が大きくなるものである(図1中、L1<L2)。
【0038】クラウンロール11のロール部12の長さ
は、図6に示すように、磁気テープ原反Tの幅寸法12
40mmに対して、その長さよりも長い1400mmの
ものが使用されている。また、両端部12a,12bの
直径L1が100mmに対し、中央部12cの直径L2
が106mmで、その直径差が6mmである。なお、周
長差は、当然、この直径差よりも大きくなる。
【0039】また、ロール部12の両端部12a,12
bから中央部12cに至るに従って直径が徐々に大きく
なる、いわゆるクラウン量、すなわち、曲率半径Rは、
81668mmである。しかし、このクラウンロール1
1の最適な形状や長さ等は、磁気テープ原反Tの幅、厚
さ、乾燥炉2の長さ、磁気テープ原反Tの全長、クラウ
ンロール11とサクションロール21とに略断面S状に
巻き付けられる角度(巻き付け中心角、:θ、「抱
角」、「接触角」とも呼ばれる。)、更には、乾燥温
度、搬送速度等によって異なるものである。ただし、磁
気テープ原反Tの幅1240mmであり、厚さが10μ
m以下のような磁気テープ原反Tにおいては、乾燥炉2
から出て来た磁気テープ原反Tを搬送するためには、本
実施の形態にかかるクラウンロール11の大きさが好ま
しい。クラウン量Rが小さいと、磁気テープ原反Tに皺
Sを発生させないようにするという効果が有効に働か
ず、逆に、クラウン量Rを大きくしすぎると、エッジT
a,Tbから1/4幅の当たりで2本の皺Sが出易くな
るからである。
【0040】なお、クラウンロール11の最適な形状や
長さ等は、磁気テープ原反Tの幅1240mmである場
合で説明したのもので、例えば、磁気テープ原反Tの幅
620mm(1240mmの1/2)である場合には、
若干異なった形状となされている。
【0041】このような構成のクラウンロール11は、
サクションロール21と組み合わされて使用される。次
に、サクションロール21は、図8乃至図11示すよう
に、磁気テープ原反Tとの密着力を高めるようになされ
た吸引ロールである。このサクションロール21は、円
筒状を呈するロール部22と、このロール部22を貫通
する軸25と、この軸25を受ける軸受け26とから基
本的構成がなされている。そして、ロール部22には吸
引パイプ39が連続される。なお、サクションロール2
1にはモータは設けられていない。
【0042】ロール部22は、外周表面22aが、クラ
ウンロール11とは異なり、いわばストレートに円筒状
を呈するものである。また、このロール部22の外周表
面22aには、小さな吸着口23が多数設けられ、ロー
ル部22の内部には、この吸着口23と連続する中空部
24が設けられている。この中空部24は、吸引パイプ
39を介して、空気ポンプ40と連通している。
【0043】また、ロール部22の外周表面22aに
は、細かな隙間をもつ布のメッシュが被せられている。
このようなメッシュが被せられることにより、中空部2
4から吸着させる吸着力を有効に発揮させるようになさ
れている。また、このメッシュ構造により、磁気テープ
原反Tがロール部22の外周表面22aに密着力をもっ
て吸着されても、粘弾性を有する磁気テープ原反Tにい
わゆる転写を発生させないようになされている。
【0044】上記両軸受け26の近傍には、ロール部2
2の中空部24に連続するようになる排出口29a,2
9bが設けられている。この排出口29a,29bに
は、吸引パイプ39が連結される連結部32a,32b
が設けられている。そして、上記中空部24は、端部側
部材33と、吸引ボックス34とによって、ロール部2
2が軸25により回転されながらでも吸引効果が得られ
るようになされている。
【0045】まず、端部側部材33は、図10に示すよ
うに、ボルト31の外周に通気孔38が円環状に多数設
けられている。本実施の形態では、24個の通気孔38
が形成されている。次に、吸引ボックス34は、図11
に示すように、吸引口36と蓋部37と、解放口35と
から構成されている。この解放口35は、多数の通気孔
38のうちの特定の通気孔38から吸引し、それ以外の
通気孔38を覆うように構成されている。本実施の形態
の解放口35は、蓋部37の略々90°開口するように
形成されている。
【0046】したがって、吸引パイプ39を介して連通
している空気ポンプ40によって吸引作用が得られる
と、吸引パイプ39を介してロール部22の外周22a
に磁気テープ原反Tが密着するようになる。このサクシ
ョンロール21は、図1及び図13に示すように磁気テ
ープ原反Tの幅1240mmに対して、直径L3は、1
40mmである。すなわち、サクションロール21の直
径L3は、140mmである。クラウンロール11の中
央部12cの直径L2よりも大きな140mmである。
【0047】しかし、サクションロール21の最適な形
状や長さ等は、磁気テープ原反Tの幅、厚さ、乾燥炉2
の長さ、該クラウンロール11とサクションロール21
とに略断面S状に巻き付けられる角度(θ)等によって
異なる。ただし、本実施の形態のものは、磁気テープ原
反Tの幅1240mmであり、厚さ10μm以下のよう
な薄い磁気テープ原反Tにおいては、直径L3は、14
0mmであることが好ましい。また、図13に示すよう
に、このクラウンロール11とサクションロール21の
中心距離L4は、約190mmであることが好ましい。
【0048】このようなサクションロール21を使用す
るために、本実施の形態のシート体の搬送装置1は、従
来、磁気テープ原反Tとガイドロール間で発生していた
滑りの発生が有効に防止できることとなる。なお、サク
ションロール21の外周表面22aのメッシュの突起部
と毛羽立つ部をサンドペーパで磨いて凸部を滑らかにし
ておくことにより、磁気テープ原反Tに対する転写を有
効に防止することができる。
【0049】このようなクラウンロール11とサクショ
ンロール21は、組み合わせて連続的に配置されて揺動
架台41に搭載され、そして、乾燥炉2から出て来た磁
気テープ原反Tが略々断面S字状に巻き付けらて搬送さ
れる。ところで、従来のシート体の搬送装置101で
は、10μm以下のような薄い磁気テープ原反Tを高速
で走行させた場合には、サクションロール105の中央
部付近に磁気テープ原反Tが折り畳まれるような皺Sが
発生する問題を有していた(図15参照)。これは、磁
気テープ原反Tが円筒状のロール21と、ゴム製のガイ
ドロール108、又は、吸引作用により磁気テープ原反
Tを外周表面22aに吸着させるサクションロール10
5が組み合わせられたものであったために、磁気テープ
原反Tが高速で搬送されると、空気が入りすぎることと
なるためである。この結果、この空気の入みがいわば潤
滑剤の役目を果たして、磁気テープ原反Tがロール間で
必要以上に滑ってしまうこと等に原因があった。
【0050】しかしながら、本実施の形態においては、
両端部12a,12bから中央部12cに至るに従って
直径が大きくなる棒状のクラウンロール11に連続して
サクションロール21が配置されているために、乾燥炉
2から搬出された磁気テープ原反Tがその中央Tcから
エッジTa,Tbの方向に引き延ばされた後(図1中、
矢印E方向)、サクションロール21により密着力が高
められて搬送されることとなる。
【0051】磁気テープ原反Tは、クラウンロール11
により、中央TcからエッジTa,Tbの方向に引き延
ばされてからサクションロール21に巻き付けられる直
前の状態では、磁気テープ原反TのエッジTa,Tbに
比較して中央Tcがやや張り気味になって、安定して搬
送される。
【0052】したがって、乾燥炉で磁気テープ原反Tの
乾燥が浮上させながら高速で走行されても、サクション
ロール21の中央部付近に発生するような皺Sを発生さ
せるようなことがない。また、クラウンロール11は、
その周長差が中心部12cと両端部12a,12bでは
異なるので、粘弾性を有する磁気テープ原反Tを高速走
行させたときに生じる応力の均一に働かせることが可能
となる。すなわち、図14(a)に示すように、従来の
円筒状のロールが備えられたシート体の搬送装置101
では、粘弾性を有する磁気テープ原反Tを高速走行させ
たときに生じる応力(図中矢印で模式的に示す。)が不
均一となっていた。
【0053】これに対して、図14(b)に示すよう
に、本実施の形態では、クラウンロール11の周長差が
中心部12c両端部12a,12bでは異なるので、粘
弾性を有する磁気テープ原反Tを高速走行させたときに
生じる応力(図中矢印で模式的に示す。)が均一に働か
されることとなる。これにより、磁気テープ原反Tの搬
送が安定的になる。
【0054】これを詳細に見ると、図16に示すよう
に、従来の円筒状のロール103が備えられた磁気テー
プ原反Tの搬送装置においては、乾燥炉2のような長い
テープスパンを有するテープパス系においては、磁気テ
ープ原反Tに引っ張り張力F,Fを加えると、その直角
方向(幅方向)にはポアッソン比(Poisonn's ratio;弾
性体に外力を加えて引っ張ったとき、その力の方向の伸
びと、垂直な方向の縮みとの比)に応じた圧縮力W,W
が加わり、磁気テープ原反Tの幅は右図のように中心線
を対称軸とした凹形状になる。なお、この例で、磁気テ
ープ原反Tはガイドロール上で幅方向に拘束されている
と考えるものとする。
【0055】その結果、磁気テープ原反Tの中心Tcに
対してエッジTa,Tbでは、より伸びる結果となり、
幅方向で見た引っ張り応力は中心TcよりエッジTa,
Tbの方が高くなる。このような実質応力の幅方向にお
ける不均一な状態は、粘弾性を有する磁気テープ原反T
のように熱に敏感な材料にあっては好ましくない。磁気
テープ原反が幅方向に湾曲している形状のままサクショ
ンロールの強い密着力が磁気テープ原反TのエッジT
a,Tbにのみ働き、磁気テープ原反Tは幅方向に広げ
られないため、余った部分が折り畳まれるようにして皺
になるからである。
【0056】これに対して、本実施の形態では、上記構
成のクラウンロール11を使用することで、粘弾性を有
する磁気テープ原反Tを高速走行させたときに生じる応
力を均一に働かせるようになり(図14(a)参照)、
磁気テープ原反Tの中央Tcへ余った磁気テープ原反を
寄せ集めてしまうことがなくなる。したがって、従来装
置のように皺Sの発生せず、高い品質の磁気テープが製
造される。
【0057】[2]シート体の走行ずれの修正機構 このようなクラウンロール11とサクションロール21
が搭載された揺動架台41は、これら両ロール11,2
1ごと一体的に修正移動される。
【0058】本修正機構は、磁気テープ原反Tの走行の
ずれを検知する検知手段20と、揺動架台41と、検知
手段20からの情報に基づいて揺動架台41を移動させ
る駆動手段とから基本的構成がなされている。なお、こ
こで、揺動架台41の移動方向は、磁気テープ原反Tの
幅方向の走行のずれ対して元の正確な位置に戻す移動で
ある。
【0059】また、本修正機構は、図1に示すように、
検知手段20が磁気テープ原反Tの走行位置が幅方向に
ずれたことを検知すると、その情報に基づいて揺動架台
41を移動させる制御部44が設けられている。上記構
成のクラウンロール11とサクションロール21は、揺
動架台41に載置され、この揺動架台41を移動させる
駆動手段であるシリンダ45を介して、基台10上に設
けられている。また、このシリンダ45の両側には、ス
ライドレール46a,46bが配設されて、揺動架台4
1の移動を容易にしている。
【0060】さらに、揺動架台41は、図4に示すよう
に、その内部41aが中空に構成されて、吸引パイプ3
9を介して、連続されるようになされている。この揺動
架台41の一側面部には、図5に示すように、吸引パイ
プ39と接続させる接続部48a,48b、49が設け
られている。また、図3に示すように、内部41aが中
空の揺動架台41は、サクションロール21の連結部3
2a,32bと吸引パイプ39で連結されるようになさ
れている。また、図12に示すように、揺動架台41と
空気ポンプ40とが吸引パイプ39で接続されている。
【0061】一方、検知手段20は、図1に示すよう
に、凹状の検知部に磁気テープ原反Tの一部が通過する
ように形成されている。この検知手段20は、制御部4
4に接続されて、磁気テープ原反Tの走行位置が幅方向
にずれたことを検知すると、この制御部44にその情報
が伝達され、この制御部44が、シリンダ45を作動さ
せて、揺動架台41ごと移動調整させるようになされて
いる。また、シリンダ45の両側にはスライドレール4
6a,46bが設けられているために、図1中矢印方向
に容易に移動されるようになっている。
【0062】さらに、制御部44は、空気ポンプ40と
接続されている空気圧回路42が接続され、サクション
ロール21に対する吸引力が微細に調整されるようにな
っている。したがって、検知手段20の凹状の検出部に
より、乾燥炉2から出て来た磁気テープ原反Tの幅方向
に走行位置がずれた場合には、磁気テープ原反Tのエッ
ジTa(或いは、エッジTb)を検出して、その情報を
制御部44に伝達することによってシリンダ45が駆動
される。すると、揺動架台41に搭載されるクラウンロ
ール11とサクションロール21ごと一体的に移動され
るととなるため、走行方向がずれた磁気テープ原反Tを
正しい位置に戻すように調整することができる。
【0063】[3]シート体の搬送方法 本実施の形態は、上述した構成からなるものであるか
ら、乾燥炉2から出て来た磁気テープ原反Tは、クラウ
ンロール11にわずかに巻き付けられ、次ぎにサクショ
ンロール21にわずかに巻き付けられる。そして、空気
ポンプ39を動作させるとともに、サクションロール2
1のモータを駆動させる。
【0064】すると、まず、クラウンロール11によ
り、乾燥炉2から出て来た粘弾性を有する磁気テープ原
反Tが中央TcからエッジTa,Tbの方向に引き延ば
される。そして、引き延ばされた磁気テープ原反Tは、
吸引作用によりサクションロール21のロール部22の
外周に密着力をもって吸着される。
【0065】したがって、クラウンロール11により中
央12cから両端部12a,12bの方向に磁気テープ
原反Tが引き延ばされ、磁気テープ原反Tを高速走行さ
せたときに生じる応力を均一に働かせるようになる(図
14(a)参照)。そして、引き延ばされたそのままの
状態でサクションロール21の外周表面22aに巻き付
けられる。これにより、クラウンロール11とサクショ
ンロール21とに略断面S状に確実に巻き付けられて搬
送される。
【0066】したがって、後述するように、シート体の
搬送方法は、磁気テープ原反Tの走行のずれを修正する
工程が、磁気テープ原反TがエッジのTa,Tb方向に
引き延ばされるとともに密着力が高められた状態で行わ
れる。すなわち、検知手段20が磁気テープ原反Tの走
行位置が幅方向にずれたことを検知すると、図1に示す
ように、制御部44にその情報が伝達され、揺動架台4
1が、シリンダ45とスライドレール46a,46bを
介して、図1中矢印方向に移動されて、両ロール11,
21ごと一体的に磁気テープ原反Tを元の走行位置に戻
すようにされる。
【0067】その後は、磁気テープ原反Tは、一旦、上
方に送られ(図1中矢印の方向)、ガイドロール8を介
して、下流側に配置される巻き取り装置(図示せず)に
送られる。磁気テープ原反Tの幅方向の走行のずれを修
正するためには、磁気テープ原反Tが各ロール11,2
1に密着力をもって巻き付けられ、各ロール11,21
が正確かつ安定的に一緒に動かされることが必要である
が、本シート体の搬送装置1は、直径が徐々に大きくな
る棒状のクラウンロール11に連続してサクションロー
ル21が配置されているために、乾燥炉から搬出された
磁気テープ原反TがエッジTa,Tbの方向に引き延ば
された状態で、サクションロール21により密着力が高
められて吸着される。
【0068】したがって、磁気テープ原反Tが高速で走
行されても、従来装置のように本来の機能を失わない磁
気テープ原反Tの走行の修正が行われるようになる。
【0069】[4]実験結果 以上のようなシート体の搬送装置1について、次のよう
な実験を行い、その結果を調べた。
【0070】まず、クラウンロール11は、上述したよ
うに、ロール部12の長さは、磁気テープ原反Tの幅寸
法1240mmに対して、その長さよりも長い1400
mmのものを使用した。また、また、図13に示すよう
に、両端部12a,12bの直径L1が100mm(半
径50mm)に対し、中央部12cの直径L2が106
mmで、その直径差が6mmである。また、図7に示す
ように、ロール部12の両端部12a,12bから中央
部12cに至るに従って直径が徐々に大きくなる曲率半
径Rは、81668mmである。
【0071】次に、サクションロール21は、帝人製機
(株)社製、ナイロン・シュリンクネット被覆のサクシ
ョンロール21を使用した。このサクションロール21
は、そのロール部22が磁気テープ原反Tの幅1240
mmに対して、直径L3は、140mm(半径70m
m)である。また、クラウンロール11とサクションロ
ール21との中心距離L4は、約190mmである。
【0072】また、クラウンロール11とサクションロ
ール21との位置関係として、図13に示される巻き付
け中心角θは、39.2°である。また、間隔L5は、
34.2mmである。なお、これらの値を導く数式は以
下の通りである。
【0073】まず、巻き付け中心角θ=39.2°を導
く数式を数1に示す。
【0074】
【数1】
【0075】次に、間隔L5=34.2mmという値を
導く数式を数2に示す。
【0076】
【数2】
【0077】さらに、クラウンロール11の中心O1か
らサクションロール21の中心O2までの距離である
「L6」を導く数式を数3に示す。
【0078】
【数3】
【0079】さらに、磁気テープ原反Tの非磁性支持体
には、ポリエチレンテレフタレート(PET)が使用さ
れ、また、その縦弾性比率は、500kgf/mm2
ある。また、磁気テープ原反Tの厚さは、8〜10μm
である。さらに、乾燥炉2内の温度は、100°Cであ
る。
【0080】このような条件で実験を行った結果、第1
に、乾燥炉で磁気テープ原反Tの乾燥が浮上させながら
高速で走行されても、サクションロール21の中央部付
近に発生するような皺Sを発生させるようなことがない
ことが確認された。この理由については、前述の通りで
ある。
【0081】特に、クラウンロール11の膨らみを考慮
して、磁気テープ原反Tの幅方向の中央Tcに強めに当
たるように設計すると、磁気テープ原反Tの厚さが厚い
ものから10μm以下の薄いものまで、広い範囲で効果
が発揮されることが確認された。
【0082】また、第2に、クラウンロール11の上流
が十分長いと仮定すると、従来のシート体の搬送装置1
01と比較して、クラウンロール11を使用したこと
で、磁気テープ原反Tの中心Tcは、エッジTa,Tb
に対し、約0.5mm伸ばされていることが確認され
た。
【0083】このような理由としては、クラウンロール
11は、その周長差が中心部12cと両端部12b,1
2cでは異なるので、粘弾性を有する磁気テープ原反T
を高速走行させたときに生じる応力が均一に働かされる
こととなったからであると考えられる。
【0084】そして第3に、乾燥炉2内の磁気テープ原
反Tに与える引っ張り張力を低減させることができるこ
とが確認された。従来のゴム製のガイドロール108を
備えたシート体の搬送装置101においては、例えば、
400m/minのときと、600m/minのときと
では12kgfから20kgf以上にしても不足してい
た。
【0085】これに対して、本実施の形態においては、
に乾燥炉2内の磁気テープ原反Tの張力を12kgf/
1240mmから8〜10kgf/1240mmまで低
減させることが可能となった。このような理由として
は、従来のシート体の搬送装置101では、磁気テープ
原反Tを受ける場合、搬送速度が400m/minを超
えると磁気テープ原反Tとゴム製のガイドロール108
間で滑りが発生することがあったからである。しかし、
サクションロール21を使用した場合には、搬送速度を
600m/minに高くしても、滑りの発生は見られな
くなった。なお、搬送速度を600m/minにしたと
きの磁気テープ原反Tの滑りは、±1mm以下であっ
た。
【0086】したがって、クラウンロール11とサクシ
ョンロール21の各々の大きさや形状、また、これら両
ロール11,21の組み合わせ状態、配置位置は、上記
実験例で示すものが好ましい。このような実験装置を使
用することにより、乾燥路2から出て来た磁気テープ原
反Tを安定走行させて送り出すことができる。
【0087】以上、本実施の形態においては、乾燥炉2
から出て来た磁気テープ原反Tを搬送する場合について
説明したが、本発明は、テープ原反Tのようなシート体
を搬送する場合に広く適用できるものであって、本実施
の形態に限定されるものではないことは勿論である。
【0088】
【発明の効果】本発明にかかるシート体の搬送装置は、
外周表面が両端部から中央部に至るに従って直径が大き
くなるクラウンロールが配されているために、クラウン
ロールの中央部から両端部の方向に引き伸ばされるた
後、サクションロールに密着力を吸着される。したがっ
て、磁気テープが高速で搬送されても、従来のように磁
気テープに皺が発生するようなことがなくなり、高い品
質の磁気テープが製造されることとなる。
【0089】また、磁気テープはクラウンロールにより
エッジの方向に引き伸ばされたままサクションロールに
密着力をもって吸着されるために、磁気テープに与える
引っ張り張力が低減されるようになる。したがって、従
来のシート体の搬送装置のように、磁気テープを強く引
っ張ることにより、磁気テープに残留歪みを残すことが
なくなり、高い品質の磁気テープが提供されることとな
る。
【0090】他方、本発明にかかるシート体の搬送方法
は、磁気テープの走行のずれを修正する工程が、乾燥炉
の出口から出て来た磁気テープがエッジ方向に引き延ば
されるとともに密着力が高められた状態で行われる。し
たがって、高速で搬送させても、磁気テープの走行のず
れの修正が正確に行われることとなり、磁気テープの安
定走行が可能になり、磁気テープの搬送トラブルが低減
化する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される実施の形態のシート体の搬
送装置を示す斜視図である。
【図2】上記実施の形態にかかるシート体の搬送装置の
斜視図である。
【図3】上記実施の形態にかかるシート体の搬送装置の
断面図である。
【図4】上記実施の形態にかかるシート体の搬送装置の
平面図である。
【図5】上記実施の形態にかかるシート体の搬送装置の
側面図である。
【図6】上記実施の形態のクラウンロールのロール部を
一部破断して示す斜視図である。
【図7】上記実施の形態のクラウンロールのロール部を
一部破断して示す平面図である。
【図8】上記実施の形態のサクションロールを示す斜視
図である。
【図9】上記実施の形態のサクションロールの断面図で
ある。
【図10】上記サクションロールのロール部の側面部を
拡大して示す正面図である。
【図11】上記サクションロールの側面部に取り付けら
れる吸引ボックスを拡大して示す側面図である。
【図12】上記サクションロールの吸引パイプの連結状
態を示す斜視図である。
【図13】上記クラウンロールとサクションロールの大
きさと配置状態を示す図である。
【図14】磁気テープ原反にかかる応力を説明するため
の模式的な図であり、(a)は、従来のものであり、
(b)は、上記実施の形態のものである。
【図15】従来のシート体の搬送装置の斜視図である。
【図16】上記従来装置の円筒状のロールに巻き付けら
れる磁気テープ原反にかかる応力を説明するための模式
的な図である。
【符号の説明】
1 シート体の搬送装置 2 乾燥炉 11 クラウンロール 12a,12b クラウンロールの両端部 12c クラウンロールの中央部 20 検知手段 21 サクションロール 22 サクションロールのロール部 22a ロール部の外周表面 41 揺動架台 45 駆動手段(シリンダ) T 磁気テープ原反(シート体) Ta,Tb 磁気テープ原反のエッジ Tc 磁気テープ原反の中央 S 皺
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G11B 5/84 7303−5D G11B 5/84 Z

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外周表面が両端部から中央部に至るに従
    って直径が大きくなるクラウンロールと、 クラウンロールと組み合わせて連続して配置され、シー
    ト体を円筒状の外周表面に吸着させる吸引作用を有する
    サクションロールと、 クラウンロールとサクションロールに巻き付けられたシ
    ート体の走行のずれを検知する検知手段と、 これら両ロールを載置する揺動架台と、 検知手段からの情報に基づいて揺動架台を移動させる駆
    動手段とを備えたことを特徴とするシート体の搬送装
    置。
  2. 【請求項2】 シート体が非磁性支持体に磁性層が形成
    される磁気テープ原反であることを特徴とする請求項1
    記載のシート体の搬送装置。
  3. 【請求項3】 外周表面が両端部から中央部に至るに従
    って直径が大きくなるクラウンロールと、クラウンロー
    ルと組み合わせて連続して配置され、シート体を円筒状
    の外周表面に吸着させる吸引作用を有するサクションロ
    ールとを備えて、シート体を送り出す工程と、 クラウンロールとサクションロールに巻き付けられたシ
    ート体の走行のずれを検知する検知手段と、これら両ロ
    ールを載置する揺動架台と、検知手段からの情報に基づ
    いて揺動架台を揺動させる駆動手段とを備えて、シート
    体の走行のずれを修正する工程とからなることを特徴と
    するシート体の搬送方法。
  4. 【請求項4】 シート体が非磁性支持体に磁性層が形成
    される磁気テープ原反であることを特徴とする請求項3
    記載のシート体の搬送方法。
  5. 【請求項5】磁気テープ原反を送り出す工程が磁性層が
    形成された磁気テープを浮上させながら乾燥させる乾燥
    炉の出口から出て来たものを受けて送り出すものである
    ことを特徴とする請求項4記載のシート体の搬送方法。
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