JP2003233904A - 磁気テープ - Google Patents

磁気テープ

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JP2003233904A JP2002351651A JP2002351651A JP2003233904A JP 2003233904 A JP2003233904 A JP 2003233904A JP 2002351651 A JP2002351651 A JP 2002351651A JP 2002351651 A JP2002351651 A JP 2002351651A JP 2003233904 A JP2003233904 A JP 2003233904A
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真二 荒川
Junichi Shimizu
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 PES(位置ずれの標準偏差)およびオフト
ラック量が小さく、サーボ特性に優れた磁気テープおよ
び磁気テープカートリッジを提供する。 【解決手段】 磁性層またはバックコート層にトラッキ
ング制御用のサーボ信号が記録され、テープ走行速度を
V[mm/秒]、テープエッジ3aまたはその反対側とな
るテープエッジ3aに存在する周期がf[mm]のエッジ
ウィーブ量をα[μm]、記録トラック幅をW[μm]
とした時、(α/W)×(V/f)を10[s-1]以
下、および/または、α/Wを0.1以下に設定する。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、主として、記録容
量、アクセス速度、転送速度が高い磁気テープカートリ
ッジに関し、特にトラックサーボ用の磁気信号または光
学信号が記録され、磁気抵抗効果型素子を利用した再生
ヘッド(以下、MRヘッド)によって磁気記録信号が再
生される磁気テープを備えた、データバックアップ用と
して好適な1リール型の磁気テープカートリッジに関す
る。 【0002】 【従来の技術】磁気テープは、オーディオテープ、ビデ
オテープ、コンピユーターテープなど種々の用途がある
が、特にデータバックアップ用の磁気テープ(バックア
ップテープ)の分野ではバックアップ対象となるハード
ディスクの大容量化に伴い、1巻当たり数十GB以上の
記憶容量のものが商品化されており、今後もハードディ
スクのさらなる大容量化に対応するためこの種バックア
ップテープの高容量化は不可欠となっている。また、ア
クセス速度や転送速度を大きくするため、テープの送り
速度、テープとヘッド間の相対速度を高めることも必要
不可欠となっている。 【0003】バックアップテ−プ1巻当たりの高容量化
のためには、テープ全厚を薄くして1巻あたりのテープ
長さを長くすること、磁性層厚さを0.3μm以下と極め
て薄くすることで厚さ減磁を小さくして記録波長を短く
すること、記録トラック幅を21μm以下、特に15μ
m以下と狭くして幅方向の記録密度を高くすることなど
が必要である。 【0004】磁性層厚さを0.3μm以下と極めて薄くす
ると、耐久性が劣化するなどの問題が生じるので、これ
を防止するために非磁性支持体と磁性層との間に少なく
とも一層の下塗層を設ける手段も採られる。また、記録
波長を短くすると、磁性層と磁気ヘッドとのスペーシン
グの影響が大きくなるので、磁性層に大きな突起やへこ
みがあるとスペーシングロスによる出力の低下により、
エラーレートが高くなる。 【0005】記録トラック幅を21μm以下、特に15
μm以下と狭くして幅方向の記録密度を高くすると磁気
テープからの漏れ磁束が小さくなるため、再生ヘッドに
微小磁束でも高い出力が得られる磁気抵抗効果型素子を
利用したMRヘッドを使用する必要がある。 【0006】MRヘッド対応の磁気記録媒体には、例え
ば特開平11−238225号公報、特開2000−4
0217公報、特開2000−40218公報等に記載
されたものがある。これらの公報に記載された磁気記録
媒体では、その磁束(残留磁束密度と厚さとの積)を特
定の値に制御してMRヘッドの出力の歪を防止したり、
磁性層表面のへこみを特定の値以下にしてMRヘッドの
サーマル・アスペリティを低減させたりしている。 【0007】また、トラック幅を狭くすると、オフトラ
ックによる再生出力の低下が問題になるので、これを避
けるためにトラックサーボが必要になる。このようなト
ラックサーボの方式としては光学サーボ方式や磁気サー
ボ方式があるが、いずれの方式を採用するにしても、箱
状のケース本体の内部に磁気テープを収めた磁気テープ
カートリッジ(カセットテープともいう)においては、
磁気テープ巻装用のリールを一つしか持たない1リール
型(単リール型)にし、その上でカートリッジから引き
出した磁気テープにトラックサーボを行う必要がある。
これは、データ転送速度を高くするためにテープ走行速
度を高める(例えば2.5m/秒以上にする)と、テープ
繰り出し用とテープ巻き取り用の2つのリールを持った
2リール型では安定走行できないためである。また、2
リール型ではカートリッジサイズが大きくなり、体積当
たりの記憶容量が小さくなる。 【0008】先に述べたようにトラックサーボ方式には
磁気サーボ方式や光学サーボ方式があるが、前者は、後
述する図9に示すようなサーボバンド200を磁気記録
により磁性層に形成し、これを磁気的に読み取ってサー
ボトラッキングを行うものであり、後者は、凹部アレイ
からなるサーボバンドをレーザー照射等でバックコート
層に形成し、これを光学的に読み取ってサーボトラッキ
ングを行うものである。なお、これら以外に、磁気サー
ボ方式にはバックコート層にも磁性を持たせ、このバッ
クコート層に磁気サーボ信号を記録する方式があり、ま
た光学サーボ方式にはバックコート層に光を吸収する材
料等で光学サーボ信号を記録する方式もある。 【0009】ここで、前者の磁気サーボ方式を例にとっ
てトラックサーボの原理を簡単に説明する。図9に示す
ように、磁気サーボ方式を採用する磁気テープ3では、
磁性層にそれぞれテープ長手方向に沿って延びるトラッ
クサーボ用のサーボバンド200とデータ記録用のデー
タトラック300とが設けられる。このうちサーボバン
ド200は、各々サーボトラック番号を磁気的に記録し
た複数のサーボ信号記録部201からなる。磁気テープ
に対してデータの記録・再生を行う磁気ヘッドアレイ
(図示せず)は、一対(順走行用と逆走行用)のサーボ
トラック用MRヘッドと、例えば8×2対の記録・再生
用ヘッド(記録ヘッドは磁気誘導型ヘッドで構成され、
再生ヘッドはMRヘッドで構成される)とを有してお
り、サーボ信号を読み取ったサーボトラック用MRヘッ
ドからの信号に基づいて磁気ヘッドアレイ全体が連動し
て動くことで、記録・再生用ヘッドがテープ幅方向に移
動してデータトラック(例えば、8×2対の記録・再生
ヘッドが搭載された磁気ヘッドアレイでは、サーボトラ
ック1本に対応して8本のデータトラックが存在する)
に到達する。 【0010】このとき、磁気テープは、その長手方向に
沿った両端部(テープエッジ)のうちの一方のテープエ
ッジが、例えば、磁気記録再生装置(テープ駆動装置)
に備えられたガイドローラのフランジ内面によってテー
プ幅方向位置を規制された状態で走行するが(図7参
照)、図3に一部拡大して模式的に示したように、磁気
テープ3のテープエッジ3aには、通常、エッジウィー
ブまたはエッジウェーブと呼ばれる波打ち状の凹凸(テ
ープ幅方向の端面がテープ長手方向に沿って波打つこと
によってできた凹凸)が存在する。そのため、磁気テー
プ3は上記の走行基準となるフランジ内面に沿って走行
していてもその幅方向の位置が微妙に変動する。しか
し、上記のようなサーボ方式を採用することで、磁気テ
ープの位置がその幅方向に微妙に変動してもこれに伴っ
て磁気ヘッドアレイ全体がテープ幅方向に移動して、記
録・再生用ヘッドは絶えず正しいデータトラックに到達
する。また、記録トラック幅が24μm以上のシステム
では、再生トラック幅に比べて記録トラック幅を広くす
ることでオフトラックマージンを大きくし[例えば、
(記録トラック幅:約28μm,再生トラック幅:約1
2μm)、(記録トラック幅:約24μm,再生トラッ
ク幅:約12μm)]、約3μm程度の磁気テープの位
置の変動(エッジウイーブ)があってもオフトラックに
よる再生出力の低下が殆どなかった。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】ところが、記録トラッ
ク幅Wが21μm以下とすると、従来問題にならなかっ
た約3μm程度のエッジウイーブでもオフトラックによ
る再生出力の低下が見られた。これは、再生出力を確保
するために、再生トラック幅を従来と同じにする必要が
あったためにオフトラックマージンが小さくなったため
である。さらに、このように記録トラック幅が21μm
以下と狭い場合には、エッジウイーブの絶対値だけでは
なく、エッジウイーブの周期、テープ走行速度もオフト
ラックに複雑な関係を持つことがわかった。そこで、記
録トラック幅21μm以下と狭い磁気テープにサーボ方
式を適用するに当たって、そのエッジウィーブの周期f
と量α、記録トラック幅W、テープ走行速度Vと、ヘッ
ド追随性との関係等について詳しく調べたところ、図3
に示したようにテープエッジに存在する周期がfのエッ
ジウィーブ量(当該テープエッジのテープ幅方向(図3
のY−Y’方向)の変位量)をα、テープ走行速度をV
[mm/秒]、記録トラック幅をW[μm]とした時、α
/W、(α/W)×(V/f)が特定値を越えると、P
ES(positioning error signal、位置ずれ量のばらつ
きを表す数値、標準偏差σの値)が大きくなり、トラッ
キングエラーを引き起こすことが明らかになった。この
現象は記録トラック幅が21μm以下にした場合の新た
な課題である。 【0012】これは、磁気ヘッドアレイ全体は大きい質
量を有しているので、走行時にテープ幅方向の位置が規
制されるテープエッジ(図3に示す片側のテープエッジ
3aのみならず、直ぐ後で述べるように両側のテープエ
ッジ3a・3a’のときもある)における周期fのエッ
ジウィーブ量をα、記録トラック幅をW、テープ走行速
度をVとした時、(α/W)、(α/W)×(V/f)
が特定値を越えると、これに伴って生じる磁気テープの
幅方向の動きに磁気ヘッドアレイの動きが追随できなく
なるため、PESが大きくなり、オフトラックマージン
の小さい場合はオフトラックが大きくなると推定され
る。このような現象は上述のように記録トラック幅が2
4μm以上の場合はさほど問題にならなかった。問題に
ならなかった理由は、磁気ヘッドアレイの動きが鈍くP
ESが大きくても、再生トラック幅に比べて記録トラッ
ク幅が充分広いのでオフトラックマージンが大きく[例
えば、(記録トラック幅:約28μm,再生トラック
幅:約12μm)、(記録トラック幅:約24μm,再
生トラック幅:約12μm)の場合は片側約6μm以上
のオフトラックマージンがある]オフトラックによる再
生出力の低下が殆どなかったためである。 【0013】なお、上述のように磁気記録再生装置(テ
ープ駆動装置)では、通常、ガイドローラの溝幅(その
両端部に設けられている一対のフランジの内面間の間
隔、図7参照)は磁気テープの幅よりも数10μm大き
な寸法に設定されているので、走行基準側のエッジウィ
ーブの周期fと量αが支配的であるが、サーボ信号を記
録する装置(サーボライタ)ではガイドローラの溝幅は
磁気テープの幅とほぼ等しい寸法に設定されていてクリ
アランスが殆どないので、両側のテープエッジ3a・3
aがともに走行基準側になり、両側のテープエッジ3a
・3aのエッジウィーブの周期fと量αがともにサーボ
信号の直線性を支配する。したがって、PESを小さく
して、オフトラックを小さくするためには、両側のテー
プエッジ3a・3aにおけるエッジウィーブの周期fと
量αと、記録トラック幅W、テープ走行速度Vの関係を
上記の関係式を満たすようにする必要がある。 【0014】PESが大きくなると、記録トラック幅が
21μm以下と狭い場合には、オフトラックエラーが発
生し、正常なサーボを行うことができなくなる。このよ
うな問題は、磁気サーボ方式および光学サーボ方式の両
者に共通して生じるものであるが、光学サーボ方式の方
が、用いられる磁気ヘッドアレイ全体の質量が磁気サー
ボ方式のものに比べて大きいために一層顕著である。 【0015】本発明は、以上のような問題に対処するも
ので、その主たる目的は、PESが小さく、記録トラッ
ク幅が21μm以下と狭い場合にも、オフトラックの生
じにくい磁気テープおよび磁気テープカートリッジを提
供することにある。 【0016】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するため、鋭意検討した結果、テープ走行速度
をV、テープ走行時に走行基準側となる一方のテープエ
ッジ3aまたはその反対側となるテープエッジ3a’に
存在する周期がfのエッジウィーブ量をα、記録トラッ
ク幅をWとした時、α/W、(α/W)×(V/f)を
特定値以下にすると、PESが小さくなり、記録トラッ
ク幅が21μm以下と狭い場合にも、オフトラックが生
じにくくなることを見いだした。このような知見に基づ
き、本発明に係る磁気テープおよび磁気テープカートリ
ッジは、次のように構成した。 【0017】すなわち、非磁性支持体上の一面に、少な
くとも一層の磁性層が形成され、反対面にバックコート
層が形成されており、前記磁性層またはバックコート層
にトラッキング制御用のサーボ信号が記録され、4m/
秒以上の走行速度で使用され、記録トラック幅が21μ
m以上の磁気テープにおいて、図3に示すように、磁気
テープ3の走行時に走行基準側となる一方のテープエッ
ジ3aまたはその反対側となるテープエッジ3a’に存
在する周期がf[mm]のエッジウィーブ量をα[μ
m]、テープ走行速度をV[mm/秒]、記録トラック幅
をW[μm]とした時、(α/W)×(V/f)が10
[s-1]以下、および/またはα/Wを0.1以下に設定
する。また、本発明の磁気テープカートリッジは、図1
に示すように、箱状のケース本体1の内部に、上記磁気
テープ3を巻装した1個のリール2が配置されており、
テープ走行時に走行基準側となる一方のテープエッジの
テープ幅方向外方への位置が規制された状態で、当該磁
気テープ3に記録されたサーボ信号によってトラッキン
グ制御されるようにしたものである。 【0018】さらに、本発明者らは、このような1リー
ル型の磁気テープカートリッジにおいて、図2および図
8に示すように、リール2の巻芯部23の外周形状を、
テープ走行時に走行基準側となる一方のテープエッジ側
(図2および図8では巻芯部23の上端側)で大径とな
るようにテーパ状とし、かつ巻芯部23の直ぐ外側に位
置するリール内周部内側において対向する鍔部(巻芯部
23の両端側に設けられている大径のリール鍔)21・
22の内面間の間隔S1と、テープ幅の上限値Pとの比
(S1/P)を特定範囲にするとともに、リール外周部
内側において対向する鍔部21・22の内面間の間隔S
2と、テープ幅の上限値Pとの比(S2/P)を特定範
囲にすると、さらにPESが小さくなり、オフトラック
が生じにくく、またテープエッジの痛みや巻き乱れも少
なくなることを見いだした。なお、本発明の磁気テープ
カートリッジにおいて、リール内周部とは、リールに所
定の状態に巻装された磁気テープの最も内側の第1周目
が位置する部分を意味し、リール外周部とは、当該リー
ルの最外周部を意味する。 【0019】前記リール2は、具体的には、これの中央
に設けられた巻芯部23と、この巻芯部の両端に位置す
る一対の大径の鍔部21・22とを有する。そして、図
8に示すように、前記のテープ走行時に走行基準側とな
る一方のテープエッジ側に位置する巻芯部23の一端側
23aがその他端側23bよりも大径となるように、巻
芯部23の外周面が0.01〜0.1度のテーパ角を有する
テーパ状に形成されている。加えて、巻芯部23の直ぐ
外側に位置するリール内周部内側において対向する鍔部
21・23の内面間の間隔S1と、テープ幅の上限値P
との比(S1/P)が、1.010≦(S1/P)≦1.0
22の範囲に設定されているとともに、リール外周部内
側において対向する鍔部21・23の内面間の間隔S2
と、テープ幅の上限値Pとの比(S2/P)が、(S1
/P)<(S2/P)<1.041の範囲に設定されてい
る。これらの構成は、磁気テープを走行させたときに、
先の一方のテープエッジ3a側がガイドローラ70のフ
ランジ71の内面(走行基準となる面)に確実に沿うよ
うにすることにより、磁気テープ3の幅方向の微振動を
できるだけ抑制ないし防止し、これによってトラッキン
グサーボが良好に行われるようにするためのものである
(図7参照)。(S1/P)は、1.013≦(S1/
P)≦1.020がより好ましく、1.016≦(S1/
P)≦1.018がさらに好ましい。この範囲が好ましい
のは、(S1/P)が1.010未満ではテープエッジが
ガイド等にこすれて傷付き易く、1.022を越えるとテ
ープ巻き乱れが起こりやすくなるためである。また、
(S2/P)は、1.01(S1/P)〜1.03(S1/
P)がより好ましく、1.015(S1/P)〜1.025
(S1/P)がさらに好ましい。この範囲が好ましいの
は、(S2/P)が(S1/P)より小さいか等しいと
テープの巻き込み時や巻き出し時にリールの鍔と磁気テ
ープエッジがこすれてテープエッジが痛みやすくなるた
めである。この現象はリール巻芯部の高さとガイドロー
ラ溝部の高さが微妙に異なっている場合は顕著である。
また、(S2/P)が1.041以上になるとテープ巻き
乱れの原因になる。また、上述のように、テーパ角β、
(S1/P)、(S2/P)を上記範囲に設定したもの
は、オフトラック特性も優れている。さらに、磁気テー
プエッジの傷付き防止と巻き乱れ防止の目的で、磁気テ
ープのカーバチャーについてはテープ長さ1m当り2mm
以下とするのが望ましい。 【0020】以上の場合において、サーボ信号は磁気テ
ープの磁性層またはバックコート層に磁気信号として記
録したものであってもよいし、磁気テープのバックコー
ト層に凹部や光を吸収する材料で光学信号を形成したも
のであってもよい。つまり、本発明の磁気テープカート
リッジ(およびこれに備えられる磁気テープ)は、磁気
サーボ方式および光学サーボ方式のいずれにも適用でき
るものである。 【0021】また、高記録密度化のためには、本発明の
磁気テープカートリッジは、磁気テープにおける磁気記
録信号が、磁気抵抗効果型素子を利用した再生ヘッド
(MRヘッド)によって再生されるものであることが好
ましい。さらに、磁気サーボ方式では、サーボ信号もM
Rヘッドによって再生されるものであることが好まし
い。 【0022】 【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て説明する。図1は本発明が適用される磁気テープカー
トリッジの一般的な構造を示し、図2はその内部構造を
示す。図1において、磁気テープカートリッジは、上下
ケース1a・1bを蓋合わせ状に接合してなる角箱状の
ケース本体1を有し、ケース本体1の内部に配置した1
個のリール2に磁気テープ3を巻装している。ケース本
体1の前壁6の一側端には、テープ引出口4が開口して
ある。テープ引出口4は、スライド開閉可能なドア5で
開閉できるようになっている。リール2に巻装した磁気
テープ3をケース外へ引き出し操作するために、磁気テ
ープ3の繰り出し端にテープ引出具7が連結されてい
る。図1中の符号20は、ドア5を閉じ勝手に移動付勢
するためのドアばねを示す。 【0023】図2において、リール2は、上鍔部21と
下鍔部22、および下鍔部22と一体に成形されて上向
きに開口する有底筒状の巻芯部23とからなる。巻芯部
23の底壁23cは、ケース底壁の駆動軸挿入口1c上
に位置している。巻芯部23の底壁23cの外周には、
テープ駆動装置(磁気記録再生装置)側の部材に係合す
るギヤ歯が形成されており、巻芯部23の底壁23cの
中心には、テープ駆動装置側のロック解除ピン(図示せ
ず)の挿入を許す底孔23dが設けられている。ケース
本体1内には、不使用時にリール2の不用意な回転を阻
止するリールロック機構が備えられている。図2中の符
号12は、このリールロック機構を構成するブレーキボ
タンを示し、符号17は、同じくブレーキボタン12を
図中の下方に付勢するスプリングを示している。 【0024】本発明では、図1および図2に例示した磁
気テープカートリッジに使用し、4m/秒以上のテープ
走行速度、記録トラック幅Wが21μm以下の磁気テー
プ3において、図3に示すにように、テープ走行時に走
行基準側となる一方のテープエッジ3aに存在する周期
fがf[mm]のエッジウィーブ量をα[μm]、記録ト
ラック幅をW[μm]、テープ走行速度をV[mm/秒]
とした時、(α/W)×(V/f)を10[s-1]以
下、および/または、α/Wを0.1以下に設定する。こ
こで、図3では磁気テープ3の走行方向をX−X’で示
してある。エッジウィーブの周期fと量αと、記録トラ
ック幅W、テープ走行速度Vとの関係を上記のようにす
ると、PESが0.40μm以下と小さくなり、オフトラ
ック量が12%以下(より好ましくは6%以下、さらに
好ましくは5%以下)の良好なサーボトラック特性が得
られる。α/Wは、0.07以下がより好ましく、0.06
5以下がさらに好ましく、0.05以下が一層好ましく、
0が最も好ましい。α/Wは0.1以下が好ましいのは、
PESが小さくオフトラックによる再生出力の低下が少
ないためである。また、(α/W)×(V/f)は4.4
[s-1]以下がより好ましく、4以下がさらに好まし
く、0が最も好ましい。(α/W)×(V/f)は10
[s-1]以下が好ましいのは、テープ送り速度が大きく
なってもPESが小さく、オフトラックによる再生出力
の低下が少ないためである。特に、テープエッジに存在
する周期fのエッジウイーブ量αを上記の値に設定する
と、テープ走行速度が4m/秒以上と速く、かつ、記録
トラック幅が21μm以下と狭い場合にもさらに良好な
サーボトラック特性が得られる。 【0025】なお、サーボ信号を記録する装置(サーボ
ライタ、図示せず)では、両側のテープエッジ3a・3
a’がともに走行基準側になるので、良好なサーボ信号
を記録するためには、両側のテープエッジ3a・3a’
において、エッジウィーブ量を上記のように設定する必
要がある。 【0026】テープ送り速度が4m/秒程度でも、オフ
トラックを引き起こす範囲のエッジウィーブ量をもった
短周期(例えば、50mm以下)のエッジウィーブができ
る原因について調べた結果、磁気テープ原反をスリッテ
ィングする際の当該テープ原反のばたつきによる短周期
テンション変動が原因であることがわかった。この結果
を基に、本発明者らは、スリッティングシステム(磁気
テープ原反を所定幅の磁気テープにスリッティングする
ためのシステム)を構成している各種要素の改良を試み
た。具体的には、例えば図4に示すようなスリッティン
グシステム100に備えられているテンションカットロ
ーラ50の改良、刃物駆動部60に動力を伝達するタイ
ミングベルト・カップリング(図示せず)の改良、刃物
駆動部60の機械的振動の抑制等を行った。その結果、
スリッティング後の磁気テープにおいて、テープエッジ
に存在する短周期(周期fが50mm以下)のエッジウィ
ーブのエッジウィーブ量を2μm以下にすることができ
た。上記改良の中、磁気テープ原反Gの張力を調節する
ために使用されるテンションカットローラ50の改良
が、短周期のエッジウィーブによるテープ幅方向の変動
を抑制する手段として最も有効であった。 【0027】つぎに、テープ送り速度が6m/秒程度
で、オフトラックを引き起こす範囲のエッジウィーブ量
をもった比較的長周期(例えば、60〜70mm)のエッ
ジウィーブができる原因について調べた。図4に示した
刃物駆動部60においては、互いに反対方向に回転駆動
される上下の刃物群61・62が備えられている。これ
らは、別途備えられた動力伝達装置を介して図示しない
駆動モータに連結されており、この駆動モータによって
回転駆動されるようになっている。その場合、駆動モー
タの動力を刃物駆動部60に伝達する動力伝達装置を、
平ベルトとゴムカップリングとを組み合わせたもので構
成すると、タイミングベルトとゴムカップリングとを組
み合わせた場合や、平ベルトと金属カップリングとを組
み合わせた場合や、タイミングベルトと金属カップリン
グとを組み合わせた場合に比べて、スリッティング後に
得られる磁気テープのテープエッジにおいて、テープ幅
方向の位置変動の周期は変化しないないが、比較的長周
期のエッジウィーブ量は減少する。さらに、比較的長周
期のエッジウィーブ量を低減する方法について検討した
結果、刃物駆動部60を動力伝達装置を使用せず、モー
タからダイレクトドライブすれば、エッジウィーブ量が
極端に小さくなることも見出した。なお、図4中の符号
90・91は、磁気テープ原反Gの走行経路に沿って配
置したガイドを示す。 【0028】また、エッジウイーブの周期を、テープ送
り速度が8m/秒以上の速い速度でも、オフトラックを
引き起こさない範囲の長周期(例えば、80mm以上)の
する方法について検討した結果、スリティング速度を速
くすれば、エッジウイーブ量は殆ど変化しないが、周期
fがスリティング速度の比率に応じて長くなることがわ
かった。 【0029】テンションカットローラの吸引力を通常の
1.33×104 Pa(100mmHg)から、テンション
カットができる下限の1.33×103 Pa(10mmH
g)に減少させると、短い周期のエッジウィーブによる
テープ幅方向の変動量は殆どなくなる。しかし、この方
法では、生産の安定性に欠ける心配がある。 【0030】図5に示すように、先のスリッティングシ
ステムで用いられるテンションカットローラ50には、
これの外周に沿って一定間隔ごとにサクション吸引部5
1が設けられている。従来においては、この部分が、当
該ローラ50の軸方向(図5において紙面と直交する方
向)に一定間隔を開けて配置された複数の孔で形成され
ていたため、磁気テープ原反に対して吸引状態と非吸引
状態を繰り返したときに磁気テープ原反が比較的大きく
ばたつき、その結果、上述したような図5の周期T1に
応じた短周期のエッジウィーブにおいてテープ幅方向変
位量(エッジウィーブ量α)が比較的大きなものとなっ
ていた。そこで、先に述べたエッジ構造を有する本発明
の磁気テープを得るにあたっては、上記のサクション吸
引部51をメッシュあるいは多孔質材料で形成してメッ
シュサクションとしたテンションカットローラを使用す
る。これにより、テンションカットローラ50の吸引力
を1.33×104 Pa(100mmHg)とし且つスリッ
ティング速度を速くしても図5の周期T1に応じた短い
周期のエッジウィーブ量αを従来よりも小さなものとす
ることができる。つまり、本発明で特定したテープエッ
ジ構造を有する磁気テープ[(α/W)×(V/f)、
および/またはα/Wが小さい磁気テープ]を作ること
ができる。 【0031】ところで、このような磁気テープを用いて
データを記録再生するための磁気記録再生装置(テープ
駆動装置)においては、図6に示すように、磁気テープ
カートリッジのケース本体1から引き出した磁気テープ
3を所定の経路に沿って走行させるためにガイドローラ
70が備えられる。この図では、一対のガイドローラ7
0・70間にヘッド部80が配置されている。 【0032】前記ガイドローラ70は、図7に拡大して
示すように、その軸方向の両端部に磁気テープ3の幅方
向位置を規制するフランジ71・72が設けられてお
り、これら一対のフランジ71・72間のローラ外周部
が磁気テープの幅方向(図7の上下方向)の動きを規制
する溝73となっている。これの溝幅Hは、通常、磁気
テープ3の幅Lよりも数10μm大きな寸法に設定され
ており(溝73の深さは一般に2〜3mmである)、磁気
テープ3は溝73を形成している両フランジ71・72
によってそのテープ幅方向の動きを規制されながら走行
するようになっている。その場合、理由は不明である
が、先の磁気テープにおいて短周期エッジウィーブのエ
ッジウィーブ量を規定した側のテープエッジ3aを一方
のフランジ(図7で上部側に位置するフランジ)71の
内面に沿わせるようにして磁気テープ3を走行させると
PESを小さくできることが判明した。なお、上述のよ
うに磁気記録再生装置でのサーボトラッキング時にはガ
イドローラの溝幅が磁気テープの幅よりも数10μm大
きな寸法に設定されているので、走行基準側のエッジウ
ィーブ量が支配的であるが、サーボ信号を記録する装置
ではガイドローラの溝幅は磁気テープの幅とほぼ等しい
寸法に設定されていてクリアランスが殆どないので、両
側のテープエッジがともに走行基準側になり、両側のテ
ープエッジのエッジウィーブ量がともにサーボトラック
の直線性を支配する。したがって、両側のテープエッジ
のエッジウィーブ量をともに特定値以下に規制する必要
がある。 【0033】本発明の磁気テープカートリッジにおいて
は、磁気記録再生装置でのテープ走行時に走行基準とな
る前記一方のフランジ71の内面に沿って磁気テープ3
を走行させるために、図8に誇張して示したごとく、走
行基準側となるテープエッジ側に位置する巻芯部23の
一端側(図8において上端側)がその他端側(図8にお
いて下端側)よりも大径となるように、巻芯部23の外
周面を、0.01〜0.1度のテーパ角度を有するテーパ状
に形成する。加えて、図2に示したように、巻芯部23
の直ぐ外側に位置するリール内周部内側において対向す
る鍔部21・22の内面間の間隔S1と、テープ幅の上
限値Pとの比(S1/P)が、1.010≦(S1/P)
≦1.022の範囲に設定し、かつリール外周部内側にお
いて対向する鍔部21・22の内面間の間隔S2と、テ
ープ幅の上限値Pとの比(S2/P)が、(S1/P)
<(S2/P)<1.041の範囲に設定する。このよう
にすれば、一層PESが小さくなり、オフトラック量の
小さい良好なサーボトラック特性が得られる。また、テ
ープエッジの痛みやテープ巻き乱れも少なくなる。な
お、磁気テープの走行時にそのテープ幅方向において走
行基準となる側は磁気記録再生装置(テープ駆動装置)
によって異なっており、これに対応して磁気テープカー
トリッジにおいても、ケース本体1の上面側が走行基準
側になるものと、下面側が走行基準側になるものの両方
の方式が使用されている。図6に例示した磁気サーボ方
式の磁気記録再生装置に用いる磁気テープカートリッジ
では、図1、図2および図8に示したようにケース本体
1の上面側が走行基準側である。 【0034】ここで、図1および図2中に示したリール
2と、図6中および図7に示したガイドローラ70とに
おける各部の寸法例を以下に示す。 ・リール外径(鍔部の最外周の直径):約97mm ・巻芯部外径(最外周の直径):約42mm ・磁気記録再生装置に備えられたガイドローラの上下の
フランジ外面間の寸法:約12.9mm ・上下のフランジ71・72の内面間の寸法(ガイドロ
ーラの溝幅H):約12.7mm ・上下のフランジ71・72の直径:約12mm ・上下のフランジ71・72間に位置するローラ外周部
分の直径:約18mm 【0035】走行基準側となるテープエッジ3a側で外
径が大きくなるように巻芯部23の外周をテーパ状に形
成するとよいのは、磁気記録再生装置に備えられたガイ
ドローラ70において走行基準面となる一方のフランジ
71の内面に、前記エッジウィーブ量αを規定したテー
プエッジ3aが沿うようにして磁気テープ3が走行する
ので、当該テープエッジ3aとフランジ71との相対位
置のずれによるPESが小さくなり、オフトラック量の
小さい良好なサーボトラック特性が得られるためであ
る。この場合、巻芯部23のテーパ角度として0.01〜
0.1度が好ましいのは、0.01度未満では効果が小さ
く、0.1度を越えると上述したガイドローラ70におい
て走行基準面となる一方のフランジ71の内面にテープ
エッジ3aが強く押し付けられて当該エッジ部分が傷み
やすくなるためである。 【0036】巻芯部23の直ぐ外側に位置するリール内
周部内側において対向する鍔部21・22の内面間の間
隔S1と、テープ幅の上限値Pとの比(S1/P)とし
て、1.010≦(S1/P)≦1.022の範囲が好まし
いのは、(S1/P)が1.010未満になるとテープエ
ッジが痛む原因になり、1.022を越えるとテープ巻き
乱れの原因になるためである。(S1/P)は、1.01
3≦(S1/P)≦1.020がより好ましく、0.016
≦(S1/P)≦1.018がさらに好ましい。 【0037】リール外周部内側において対向する鍔部内
面間の間隔S2と、テープ幅の上限値Pとの比(S2/
P)として、(S1/P)<(S2/P)<1.041の
範囲が好ましいのは、この(S2/P)が(S1/P)
より小さいか等しいとテープの巻き込み時や巻き出し時
にリールの鍔と磁気テープエッジがこすれてテープエッ
ジが痛みやすくなるためである。この現象はリール巻芯
部の高さとガイドローラ溝部の高さが微妙に異なってい
る場合は顕著である。また、(S2/P)が1.041以
上になるとテープ幅方向の変動の周期fと変動量が同じ
ものでは、ガイドローラにおいて走行基準面となる側の
フランジとテープエッジとの相対位置のずれによるPE
Sが相対的に大きくなり、オフトラック量が大きくなり
やすいためである。また、テープ巻き乱れの原因にもな
る。さらに、(S2/P)は、1.01(S1/P)〜1.
03(S1/P)の範囲がより好ましく、1.015(S
1/P)〜1.025(S1/P)の範囲がさらに好まし
い。 【0038】1/2インチ幅の磁気テープを収容した磁
気テープカートリッジでは、リール内周部内側において
対向する鍔部21・22の内面間の間隔S1の一例は1
2.860mm〜12.880mm、リール外周部内側において
対向する鍔部21・22の内面間の間隔S2の一例は、
13.140mm〜13.160mmである。リール内周部内側
からリール外周部内側に至る鍔部21・23の内面は、
リール2を径方向に切断した断面形状において直線もし
くは略直線である。 【0039】また、通常、磁気テープには1m当り2mm
程度のカーバチャー(曲がり)がある。このカーバチャ
ーはないことが好ましいが、カーバチャーが避けられな
い場合には、2mm以下、より好ましくは1mm以下とす
る。カーバチャーをこのようなものとすることにより、
走行基準面となるガイドローラのフランジ内面に沿って
テープが走行することとなるので、当該テープエッジと
フランジ内面(走行基準面)との相対位置のずれによる
PESが小さくなり、オフトラック量の小さい良好なサ
ーボトラック特性が得られるので好ましい。なお、カー
バチャーが0.1mm未満の磁気テープを作製することは困
難であり、通常は0.1mm以上のカーバチャーが存在す
る。 【0040】さらに、テープ走行異常もPES上昇の原
因になる。テープ走行異常の原因には、(a)磁気テー
プの磁性層とスライダ(材料:ALTIC;アルミナ/
チタニア/カーバイド)との動摩擦係数と、磁気テープ
の磁性層とガイドローラ(材質:アルミニウム)との動
摩擦係数(磁気テープの磁性層とアルミニウムとの動摩
擦係数は、磁気テープの磁性層とSUSとの動摩擦係数
と等しいので、通常測定法が確立された後者で代用す
る)のアンバランス、(b)サーボ信号書き込みヘッド
の形状不適切等がある。特に、磁気テープとスライダ
(ALTIC)との動摩擦係数が高いと、磁気ヘッドア
レイが磁気テープの幅方向に移動する際に、磁気テープ
も幅方向に動くためにPESが大きくなり、オフトラッ
ク量が大きくなる。したがって、磁気テープ磁性層とス
ライダ(材料:ALTIC)の動摩擦係数は、0.35以
下にする必要がある。より好ましくは0.1〜0.3、さら
に好ましくは0.1〜0.25である。通常、磁気テープ磁
性層とSUSとの動摩擦係数は0.1〜0.3、磁気テープ
バックコート層とSUSとの動摩擦係数は0.1〜0.3で
ある。なお、これらの動摩擦係数を0.10未満にするこ
とは難しい。 【0041】また、磁性層とスライダ材料との動摩擦係
数をμmSL 、磁性層とSUSとの動摩擦係数をμmSUS
した時の[(μmSL )/(μmSUS)]を0.7〜1.3とす
れば磁気テープの走行異常によるPES上昇が小さくな
る。さらに、バックコート層とSUSとの動摩擦係数を
μBSUSとした時の[(μmSL )/(μBSUS)]を0.8〜
1.5とすれば磁気テープの走行異常によるPES上昇が
小さくなる。 【0042】以下に、各構成要素毎の好ましい形態を述
べる。 〈非磁性支持体〉非磁性支持体の厚さは、7.0μm以下
が好ましく、2.0〜7.0μmがより好ましい。この範囲
の厚さの非磁性支持体がより好ましいのは、2m未満で
は製膜が難しく、またテープ強度が小さくなり、7.0μ
mを越えるとテープ全厚が厚くなり、テープ1巻当りの
記憶容量が小さくなるためである。 【0043】非磁性支持体の長手方向のヤング率Eは、
非磁性支持体の厚さによって異なるが、通常5.07GP
a(500kg/mm2 )以上のものが使用される。6.08
GPa(600kg/mm2 )以上が好ましく、7.09GP
a(700kg/mm2 )以上がさらに好ましい。この範囲
のヤング率の非磁性支持体が好ましいのは、6.08GP
a(600kg/mm2 )未満では、磁気テープの強度が弱
くなったり、磁気テープの走行が不安定になるためであ
る。また、非磁性支持体の厚さTが5.0μm以下の場合
は、剛性(E・T3 )が小さくなりテープ強度が弱くな
るので、10.13GPa(1000kg/mm2 )以上のヤ
ング率のものが好ましく使用される。 【0044】長手方向のヤング率をMD、幅方向のヤン
グ率をTDとした時の比(MD/TD)は、本願発明の
ようなリニアレコーディングタイプでは、10〜1.8が
好ましく、1.1〜1.7がより好ましく、1.2〜1.6がさ
らに好ましい。この範囲が好ましいのは、ヘッドタッチ
が良くなるためである。このような非磁性支持体には、
ポリエチレンナフタレートフィルム、芳香族ポリアミド
フィルム、芳香族ポリイミドフィルム等がある。 【0045】非磁性支持体には、通常、磁性層形成面、
バックコート層形成面共に、中心線平均表面粗さRaが
5.0〜10nmのものが使用されるが、磁性層の中心線
平均表面粗さRaを小さくしてスペーシングロスを小さ
くする目的で、磁性層形成面のRaを10〜5.0nmと
した非磁性支持体(バックコート層形成面のRaは5.0
〜10nm)が使用される場合がある。このような非磁
性支持体はデュアルタイプと呼ばれ、2種の非磁性支持
体を貼り合わせて作製される。 【0046】〈下塗層〉必要に応じて下塗層を設けても
よい。その場合、下塗層の厚さは、0.3〜3.0μが好ま
しく、0.5〜21μmがより好ましい。この範囲が好ま
しいのは、0.3μ未満では磁気記録媒体の耐久性が悪く
なる場合があり、3.0μmを越えると磁気記録媒体の耐
久性向上効果が飽和するばかりでなく、磁気テープの場
合は全厚が厚くなって、1巻当りのテープ長さが短くな
り、記憶容量が小さくなるためである。 【0047】下塗層には、導電性改良の目的でカーボン
ブラック(CB)、塗料粘度やテープ剛性の制御を目的
に非磁性粒子を添加する。下塗層に使用する非磁性粒子
としては、酸化チタン、酸化鉄、アルミナ等があるが、
酸化鉄単独または酸化鉄とアルミナの混合系が好ましく
使用される。下塗層に、下塗層中の全無機粉体の重量を
基準にして、粒径10〜100nmのカーボンブラック
を15〜35重量%、長軸長0.05〜0.20μm、短軸
長5〜200nmの非磁性の酸化鉄を35〜83重量
%、必要に応じて粒径10〜100nmのアルミナを0
〜20重量%含有させると、ウエット・オン・ウエット
で、その上に形成した磁性層の表面粗さが小さくなるの
で好ましい。なお、非磁性酸化鉄は通常針状であるが、
粒状または無定形の非磁性酸化鉄を使用する場合には粒
径5〜200nmの酸化鉄が好ましい。さらに、表面の
平滑性を損なわない範囲で100nm以上の大粒径カー
ボンブラックを添加することを排除するものではない。
その場合のカーボンブラック量は、小粒径CBと大粒径
CBの和を上記範囲内にすることが好ましい。 【0048】下塗層に添加するカーボンブラック(C
B)としては、アセチレンブラック、ファーネスブラッ
ク、サーマルブラック等を使用できる。通常、粒径が5
nm〜200nmのものが使用されるが、粒径10〜1
00nmのものが好ましい。この範囲が好ましいのは、
カーボンブラックがストラクチャーを持っているため、
粒径が10nm以下になるとカーボンブラックの分散が
難しく、100nm以上では平滑性が悪くなるためであ
る。カーボンブラック添加量は、カーボンブラックの粒
子径によって異なるが、15〜35重量%が好ましい。
この範囲が好ましいのは、15重量%未満では導電性向
上効果が乏しく、35重量%を越えると効果が飽和する
ためである。粒径15nm〜80nmのカーボンブラッ
クを15〜35重量%使用するのがより好ましく、粒径
20nm〜50nmのカーボンブラックを20〜30重
量%用いるのがさらに好ましい。このような粒径・量の
カーボンブラックを添加することにより電気抵抗が低減
され、かつ走行むらが小さくなる。 【0049】下塗層に添加する非磁性の酸化鉄として
は、針状の場合、長軸長0.05〜0.20μm、短軸長
(粒径)5〜200nmのものが好ましく、粒状または
無定形のものでは、粒径5〜200nmが好ましい。粒
径0.05〜150nmがより好ましく、粒径0.05〜1
00nmがさらに好ましい。なお、針状のものが磁性層
の配向がよくなるのでより好ましい。添加量は、35〜
83重量%が好ましく、40〜80重量%がより好まし
く、50〜75重量%がさらに好ましい。この範囲の粒
径(針状の場合は短軸長)が好ましいのは、粒径5nm
未満では均一分散が難しく、200nmを越えると下塗
層と磁性層の界面の凹凸が増加するためである。この範
囲の添加量が好ましいのは、35重量%未満では塗膜強
度向上効果が小さく、83重量%を越えると反って塗膜
強度が低下するためである。 【0050】下塗層には酸化鉄に加えてアルミナを添加
してもよい。アルミナの粒径は、10〜100nmが好
ましく、20〜100nmがより好ましく、30〜10
0nmがさらに好ましい。この範囲の粒径が好ましいの
は、粒径10nm未満では均一分散が難しく、100n
mを越えると下塗層と磁性層の界面の凹凸が増加するた
めである。アルミナの添加量は、通常0〜20重量%で
あるが、2〜10重量%がより好ましく、4〜8重量%
がさらに好ましい。 【0051】〈潤滑剤〉下塗層と磁性層からなる塗布層
に、役割の異なる潤滑剤を使用する。下塗層には全粉体
に対して0.5〜4.0重量%の高級脂肪酸を含有させ、0.
2〜3.0重量%の高級脂肪酸のエステルを含有させる
と、磁気テープと走行系のガイドやMRヘッドのスライ
ダ等との動摩擦係数が小さくなるので好ましい。この範
囲の高級脂肪酸添加が好ましいのは、0.5重量%未満で
は、動摩擦係数低減効果が小さく、4.0重量%を越える
と下塗層が可塑化してしまい強靭性が失われる。また、
この範囲の高級脂肪酸のエステル添加が好ましいのは、
0.5重量%未満では、動摩擦係数低減効果が小さく、3.
0重量%を越えると磁性層への移入量が多すぎるため、
磁気テープと走行系のガイド等が貼り付く等の副作用が
あるためである。 【0052】磁性層には強磁性粉末に対して0.2〜3.0
重量%の脂肪酸アミドを含有させ、0.2〜3.0重量%の
高級脂肪酸のエステルを含有させると、磁気テープと走
行系のガイドローラやMRヘッドのスライダ等との動摩
擦係数が小さくなるので好ましい。この範囲の脂肪酸ア
ミドが好ましいのは、0.2重量%未満ではヘッドスライ
ダ/磁性層の動摩擦係数が大きくなりやすく、3.0重量
%を越えるとブリードアウトしてしまいドロップアウト
などの欠陥が発生する。脂肪酸アミドとしてはパルミチ
ン酸、ステアリン酸等のアミドが使用可能である。ま
た、上記範囲の高級脂肪酸のエステル添加が好ましいの
は、0.2重量%未満では動摩擦係数低減効果が小さく、
3.0重量%を越えると磁気テープと走行系のガイド等が
貼り付く等の副作用があるためである。なお、磁性層の
潤滑剤と下塗層の潤滑剤の相互移動を排除するものでは
ない。 【0053】磁気テープ磁性層とMRヘッドのスライダ
との動摩擦係数はPESを小さくするため0.35以下に
する必要がある。より好ましくは0.1〜0.3、さらに好
ましくは0.1〜0.25である。この範囲がより好ましい
のは、0.30を越えると、スライダ汚れによるスペーシ
ングロスが起こりやすいためである。また、磁気ヘッド
アレイが磁気テープ幅方向に移動する際に、磁気テープ
も幅方向に動くためにPESが大きくなり、オフトラッ
ク量が大きくなる。なお、0.10未満は実現が困難であ
る。通常、磁気テープ磁性層とSUSとの動摩擦係数は
0.1〜0.3で、0.10〜0.25が好ましく、0.10〜0.
20がより好ましい。この範囲が好ましいのは、0.25
を越えるとガイドローラ等が汚れやすくなるためであ
る。なお、動摩擦係数を0.10未満にすることは難し
い。また、磁性層とスライダ材料との動摩擦係数をμ
mSL 、磁性層とSUSとの動摩擦係数をμmSUSとした時
の[(μ mSL )/(μmSUS)]は0.7〜1.3が好まし
く、0.8〜10がより好ましい。この範囲が好ましいの
は、磁気テープの走行異常によるPES上昇が小さくな
り、トラッキングずれ(オフトラック)が小さくなるた
めである。 【0054】〈磁性層〉磁性層の厚さは、通常0.3m以
下で、0.01〜0.3μmが好ましく、0.01〜0.20μ
mがより好ましく、0.01〜0.15μmがさらに好まし
く、0.01〜0.10μmがいっそう好ましい。この範囲
がより好ましいのは、0.01μm未満では均一な磁性層
が得にくく、0.3μmを越えると厚さ損失により、再生
出力が小さくなったり、当該磁性層における残留磁束密
度(Br)と厚さ(δ)との積(Brδ)が大きくなり
過ぎて、MRヘッドの飽和による再生出力の歪が起こり
やすくなるためである。 【0055】長手方向の残留磁束密度と厚さとの積は0.
0018μTm〜0.06μTmが好ましく、0.036〜
0.050μTmがより好ましい。この範囲が好ましいの
は、0.0018μTm未満では、MRヘッドによる再生
出力が小さく、0.06μTmを越えるとMRヘッドによ
る再生出力が歪みやすいからである。このような磁性層
を有する磁気テープは、記録波長を短くでき、しかも、
MRヘッドで再生した時の再生出力を大きくでき、さら
に再生出力の歪が小さく出力対ノイズ比を大きくできる
ので好ましい。 【0056】磁性層の保磁力は、120〜320kA/
mが好ましく、140〜320kA/mがより好まし
く、160〜320kA/mがさらに好ましい。この範
囲が好ましいのは、120kA/m未満では記録波長を
短くすると反磁界減磁で出力低下が起こり、320kA
/mを越えると磁気ヘッドによる記録が困難になるため
である。 【0057】磁性層の中心線平均表面粗さRaは、3.2
nm以下が好ましく、0.5〜3.2nmがより好ましく、
0.7〜3.2nmがさらに好ましく、0.7〜2.9nmがい
っそう好ましい。この範囲がより好ましいのは、0.5n
m未満では磁気テープの走行が不安定になり、Raが3.
2nmを越えると、スペーシングロスにより、PW50
(再生出力の半値幅)が広くなったり出力が低下したり
して、エラーレートが高くなるためである。 【0058】磁性層に添加する磁性粉には、Fe粉末、
Fe−Co粉末やFe−Nd−B粉末等のような強磁性
鉄系金属粉末、六方晶バリウムフェライト粉末が使用さ
れる。強磁性鉄系金属粉末、六方晶バリウムフェライト
粉末の保磁力は、120〜320kA/mが好ましく、
飽和磁化量は、強磁性鉄系金属粉末では、120〜20
0A・m2 /kg(100〜200emu/g)が好まし
く、130〜180A・m2 /kg(130〜180em
u/g)がより好ましい。六方晶バリウムフェライト粉
末では、50〜70A・m2 /kg(50〜70emu/
g)が好ましい。なお、この磁性層の磁気特性と、強磁
性粉末の磁気特性は、いずれも試料振動形磁束計で外部
磁場128MA/m(16kOe)での測定値をいうも
のである。 【0059】本発明の磁気テープにおいて使用するFe
粉末、Fe−Co粉末等の針状の強磁性鉄系金属粉末の
平均長軸長としては、0.03〜0.2μmが好ましく、0.
03〜0.18μmがより好ましく、0.04〜0.15μm
がさらに好ましい。この範囲が好ましいのは、平均長軸
長が0.03μm未満となると、磁性粉の凝集力が増大す
るため塗料中への分散が困難になり、0.2μmより大き
いと、保磁力が低下し、また粒子の大きさに基づく粒子
ノイズが大きくなる。また、Fe−Co−B粉末のよう
な粒状の強磁性鉄系金属粉末では、同様の理由により、
粒径5〜200nmが好ましい。さらに、六方晶バリウ
ムフェライト粉末では、同様な理由により、板径5〜2
00nmが好ましい。なお、上記の平均長軸長、粒径
は、走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影した写真の粒
子サイズを実測し、100個の平均値により求めたもの
である。また、この強磁性鉄系金属粉末のBET比表面
積は、35m2 /g以上が好ましく、40m2 /g以上
がより好ましく、50m2 /g以上が最も好ましい。六
方晶バリウムフェライト粉末のBET比表面積は、1〜
100m2 /gが好ましい。 【0060】下塗層および磁性層に含有させる結合剤と
しては、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重
合樹脂、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合樹脂、塩
化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合樹脂、
塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合樹脂、
塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合樹
脂、ニトロセルロース(セルロース系樹脂)などの中か
ら選ばれる少なくとも1種とポリウレタン樹脂との組み
合わせを用いることができる。中でも、塩化ビニル−水
酸基含有アルキルアクリレート共重合樹脂とポリウレタ
ン樹脂を併用するのが好ましい。ポリウレタン樹脂に
は、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレ
タン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカ
ーボネートポリウレタン、ポリエステルポリカーボネー
トポリウレタンなどがある。 【0061】官能基としてCOOH、SO3 M、OSO
2 M、P=O(OM)3 、O−P=O(OM)2 [Mは
水素原子、アルカリ金属塩基又はアミン塩]、OH、N
R'R''、N+ R''' R''''R''''' [R' 、R''、
R''' 、R''''、R''''' は水素または炭化水素基]、
エポキシ基を有する高分子からなるウレタン樹脂等の結
合剤が使用される。このような結合剤を使用するのは、
上述のように磁性粉等の分散性が向上するためである。
2種以上の樹脂を併用する場合には、官能基の極性を一
致させるのが好ましく、中でも−SO3 M基どうしの組
み合わせが好ましい。 【0062】これらの結合剤は、磁性層では強磁性粉末
100重量部に対して、下塗層ではカーボンブラックと
非磁性粉末との合計量100重量部に対して、7〜50
重量部、好ましくは10〜35重量部の範囲で用いられ
る。特に、結合剤として、塩化ビニル系樹脂5〜30重
量部と、ポリウレタン樹脂2〜20重量部とを、複合し
て用いるのが最も好ましい。 【0063】これらの結合剤とともに、結合剤中に含ま
れる官能基などと結合させて架橋する熱硬化性の架橋剤
を併用するのが望ましい。この架橋剤としては、トリレ
ンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネートなどや、これらのイソ
シアネート類とトリメチロールプロパンなどの水酸基を
複数個有するものとの反応生成物、上記イソシアネート
類の縮合生成物などの各種のポリイソシアネートが好ま
しい。これらの架橋剤は、結合剤100重量部に対し
て、通常5〜50重量部の割合で用いられる。より好ま
しくは7〜35重量部である。なお、磁性層に使用する
架橋剤の量を、下塗層に使用する量の1/2程度(30
%〜60%)にすれば、MRヘッドのスライダに対する
動摩擦係数が小さくなるので好ましい。この範囲が好ま
しいのは、30%未満では、磁性層の塗膜強度が弱くな
りやすく、60%を越えるとスライダに対する動摩擦係
数が小さくするために、後述のLRT処理条件を強くす
る必要があり、コストアップにつながるためである。 【0064】磁性層には、導電性向上と表面潤滑性向上
を目的に従来公知のカーボンブラック(CB)を添加す
る。これらのカーボンブラックとしては、アセチレンブ
ラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等を使
用できる。粒子径が5nm〜100nmのものが使用さ
れるが、粒径10nm〜100nmのものが好ましい。
この範囲が好ましいのは、粒径が5nm以下になるとカ
ーボンブラックの分散が難しく、100nm以上では多
量のカーボンブラックを添加することが必要になり、何
れの場合も表面が粗くなり、出力低下の原因になるため
である。カーボンブラックの添加量は強磁性粉末に対し
て0.2〜5重量%が好ましく、0.5〜4重量%がより好
ましく、0.5〜3.5重量%がさらに好ましく、0.5〜3
重量%がいっそう好ましい。この範囲が好ましいのは、
0.2重量%未満では効果が小さく、5重量%を越える
と、磁性層表面が粗くなりやすいからである。 【0065】〈バックコート層〉走行性向上を目的に、
厚さ0.2〜0.8μmの従来公知のバックコート層を使用
できる。この範囲が良いのは、0.2μm未満では、走行
性向上効果が不充分で、0.8μmを越えるとテープ全厚
が厚くなり、1巻当たりの記憶容量が小さくなるためで
ある。バックコート層とSUSとの動摩擦係数は0.10
〜0.30が好ましく、0.10〜0.25がより好ましい。
この範囲が好ましいのは、0.10未満になるとガイド部
分で滑りやすく走行が不安定になり、0.30を越えると
ガイドローラ等が汚れやすくなるためである。また、
[(μmSL )/(μBSUS)]は0.8〜1.5が好ましく、
0.9〜1.4がより好ましい。この範囲が好ましいのは、
磁気テープの蛇行によるトラッキングずれ(オフトラッ
ク)が小さくなるためである。 【0066】バックコート層のカーボンブラック(C
B)としては、アセチレンブラック、ファーネスブラッ
ク、サーマルブラック等を使用できる。通常、小粒径カ
ーボンブラックと大粒径カーボンブラックを使用する。
小粒径カーボンブラックには、粒子径が5nm〜100
nmのものが使用されるが、粒径10nm〜100nm
のものがより好ましい。この範囲がより好ましいのは、
粒径が10nm以下になるとカーボンブラックの分散が
難しく、粒径が100nm以上では多量のカーボンブラ
ックを添加することが必要になり、何れの場合も表面が
粗くなり、磁性層への裏移り(エンボス)原因になるた
めである。大粒径カーボンブラックとして、小粒径カー
ボンブラックの5〜15重量%、粒径250〜400n
mの大粒径カーボンブラックを使用すると、表面も粗く
ならず、走行性向上効果も大きくなる。小粒径カーボン
ブラックと大粒径カーボンブラック合計の添加量は無機
粉体重量を基準にして60〜98重量%が好ましく、7
0〜95重量%がより好ましい。バックコート層の中心
線平均表面粗さRaは3〜15nmが好ましく、4〜1
0nmがより好ましい。 【0067】また、バックコート層には、強度向上を目
的に、粒子径が0.1μm〜0.6μmの酸化鉄、アルミナ
を添加するのが好ましく、0.2μm〜0.5μmがより好
ましい。酸化鉄、アルミナを合わせた添加量は無機粉体
重量を基準にして2〜40重量%が好ましく、5〜30
重量%がより好ましい。 【0068】バックコート層には、結合剤として、前述
した磁性層や下塗層に用いる樹脂と同じものを使用でき
るが、これらの中でも摩擦係数を低減し走行性を向上す
るため、セルロース系樹脂とポリウレタン樹脂とを複合
して併用することが好ましい。結合剤の含有量は、通
常、前記カーボンブラックと前記無機非磁性粉末との合
計量100重量部に対して40〜150重量部、好まし
くは50〜100重量部、より好ましくは60〜110
重量部、さらに好ましくは70〜110重量部である。
前記範囲が好ましいのは、50重量部未満では、バック
コート層の強度が不十分であり、100重量部を超える
と摩擦係数が高くなりやすいためである。セルロース系
樹脂を30〜70重量部、ポリウレタン系樹脂を20〜
50重量部使用することが好ましい。また、さらに結合
剤を硬化するために、ポリイソシアネート化合物などの
架橋剤を用いることが好ましい。 【0069】バックコート層には、前述した磁性層や下
塗層に用いる架橋剤と同様の架橋剤を使用する。架橋剤
の量は、結合剤100重量部に対して、通常、10〜5
0重量部の割合で用いられ、好ましくは10〜35重量
部、より好ましくは10〜30重量部である。前記範囲
が好ましいのは、10重量部未満ではバックコート層の
塗膜強度が弱くなりやすく、35重量部を超えるとSU
Sに対する動摩擦係数が大きくなるためである。 【0070】磁気サーボ信号がバックコート層に記録さ
れる特殊用途のものにおいては、当該バックコート層
に、磁性層に使用する上述の強磁性粉末を30〜60重
量部、先に述べたバックコート層に使用するカーボンブ
ラックを40〜70重量部、必要に応じて先のバックコ
ート層に使用する酸化鉄、アルミナを2〜15重量部添
加する。また、結合剤には、強磁性粉末とカーボンブラ
ックと無機非磁性粉末との合計量100重量部に対し
て、先のバックコート層に用いる樹脂を、通常40〜1
50重量部、好ましくは50〜100重量部使用する。
さらに、架橋剤には、先に述べた架橋剤を結合剤100
重量部に対して通常10〜50重量部の割合で使用す
る。上述した磁性層における場合と同じ理由で、保磁力
は120〜320kA/m、残留磁束密度Brと膜厚と
の積は、0.018〜0.06μTmが好ましい。 【0071】〈LRT処理(ラッピング/ロータリー/
ティッシュ処理)〉磁性層については、次に述べるラッ
ピング、ロータリーおよびティッシュの各処理からなる
LRT処理を施すことにより、表面の平滑性、MRヘッ
ドのスライダ材料やシリンダ材料との動摩擦係数や表面
粗さ、表面形状が最適化され、磁気テープの走行性、ス
ペーシングロスの低減、MR再生出力の向上ができる。 【0072】(1)ラッピング処理: 研磨テープ(ラ
ッピングテープ)を、回転ロールによってテープ送り
(標準:400m/分)と反対方向に一定の速さ(標
準:14.4cm/分)で移動させ、上部からガイドブロッ
クによって押さえることによってテープ磁性層表面と接
触させる。この時の磁気テープ巻き出しテンションおよ
びラッピングテープのテンションを一定(標準:各10
0g、250g)として磁気テープに対する研磨処理を
行う。この工程で使用する研磨テープ(ラッピングテー
プ)は、例えば、M20000番、WA10000番あ
るいはK10000番のような研磨砥粒の細かい研磨テ
ープ(ラッピングテープ)である。なお、研磨ホイール
(ラッピングホイール)を研磨テープ(ラッピングテー
プ)の代りにまたは併用して使用することを排除するも
のではないが、頻繁に交換を要する場合は、研磨テープ
(ラッピングテープ)のみを使用する。 【0073】(2)ロータリー処理: 空気抜き用溝付
ホイール[標準:幅1インチ(25.4mm)、直径60m
m、空気抜き用溝2mm幅、溝の角度45度、協和精工株
式会社製]と磁性層とを、一定の接触角度(標準:90
度)でテープと反対方向に一定の回転速度(通常:20
0〜3000rpm、標準:1100rpm)で接触さ
せることにより、磁気テープに対する処理を行う。 【0074】(3)ティッシュ処理: ティッシュ[例
えば東レ株式会社製の織布トレシー]を回転棒で各々バ
ックコート層および磁気層面をテープ送りと反対方向に
一定の速度(標準:14.0mm/分)で送り、磁気テープ
に対するクリーニング処理を行う。 【0075】 【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下
の実施例および参考例の部は重量部を示す。 【0076】 実施例1: 《下塗層用塗料成分》 (1) 酸化鉄粉末(粒径:0.11×0.02μm) 68部 α−アルミナ(粒径:0.07μm) 8部 カーボンブラック(粒径:25nm、吸油量:55g/cc) 24部 ステアリン酸 2.0部 塩化ビニル共重合体 8.8部 (含有−SO3 Na基:0.7×10-4当量/g) ポリエステルポリウレタン樹脂 4.4部 (Tg:40℃、含有−SO3 Na基:1×10-4当量/g) シクロヘキサノン 25部 メチルエチルケトン 40部 トルエン 10部 (2) ステアリン酸ブチル 1部 シクロヘキサノン 70部 メチルエチルケトン 50部 トルエン 20部 (3) ポリイソシアネート 4.4部 シクロヘキサノン 10部 メチルエチルケトン 15部 トルエン 10部 【0077】 《磁性層用塗料成分》 (1) 強磁性鉄系金属粉 100部 (Co/Fe:20at%、Y/(Fe+Co):3at%、Al/(Fe +Co):5wt%、Ca/Fe:0wt%、σs :155A・m2 /kg、Hc :149.6kA/m、pH:9.4、長軸長:0.10μm) 塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体 12.3部 (含有−SO3 Na基:0.7×10-4当量/g) ポリエステルポリウレタン樹脂 5.5部 (含有−SO3 Na基:1.0×10-4当量/g) α−アルミナ(平均粒径:0.12μm) 8部 α−アルミナ(平均粒径:0.07μm) 2部 カーボンブラック 1.0部 (平均粒径:75nm、DBP吸油量:72cc/100g) メタルアシッドホスフェート 2部 パルミチン酸アミド 1.5部 ステアリン酸n−ブチル 1.0部 テトラヒドロフラン 65部 メチルエチルケトン 245部 トルエン 85部 (2) ポリイソシアネート 2.0部 シクロヘキサノン 167部 【0078】上記の下塗層用塗料成分において(1)を
ニーダで混練したのち、(2)を加えて攪拌の後サンド
ミルで滞留時間を60分として分散処理を行い、これに
(3)を加え攪拌・濾過した後、下塗層用塗料とした。
これとは別に、上記の磁性層用塗料成分(1)をニーダ
で混練したのち、サンドミルで滞留時間を45分として
分散し、これに磁性層用塗料成分(2)を加え攪拌・濾
過後、磁性塗料とした。上記の下塗層用塗料を、ポリエ
チレンナフタレートフイルム(厚さ6.2μm、MD=6.
08GPa、MD/TD=1.3、帝人製)からなる非磁
性支持体上に、乾燥、カレンダ後の厚さが1.8μmとな
るように塗布し、この下塗層上に、さらに上記の磁性塗
料を磁場配向処理、乾燥、カレンダー処理後の磁性層の
厚さが0.15μmとなるようにウエット・オン・ウエッ
トで塗布し、磁場配向処理後、ドライヤを用いて乾燥
し、磁気シートを得た。なお、磁場配向処理は、ドライ
ヤ前にN−N対抗磁石(5kG)を設置し、ドライヤ内
で塗膜の指蝕乾燥位置の手前側75cmからN−N対抗磁
石(5kG)を2基50cm間隔で設置して行った。塗布
速度は100m/分とした。 【0079】 《バックコート層用塗料成分》 カーボンブラック(粒径:25nm) 80部 カーボンブラック(粒径:370nm) 10部 酸化鉄(長軸長:0.4μm、軸比:約10) 10部 ニトロセルロース 45部 ポリウレタン樹脂(SO3 Na基含有) 30部 シクロヘキサノン 260部 トルエン 260部 メチルエチルケトン 525部 【0080】上記バックコート層用塗料成分をサンドミ
ルで滞留時間45分として分散した後、ポリイソシアネ
ート15部を加えてバックコート層用塗料を調整し濾過
した後、上記で作製した磁気シートの磁性層の反対面
に、乾燥・カレンダ後の厚みが0.5μmとなるように塗
布し、乾燥した。このようにして得られた磁気シートを
金属ロールからなる7段カレンダで、温度100℃、線
圧150kg/cmの条件で鏡面化処理し、磁気シート(磁
気テープ原反)をコアに巻いた状態で70℃で72時間
エージングした。 【0081】〈スリッティング処理〉つぎに、図4に示
したスリッティングシステム100を用いて磁気テープ
原反Gを裁断して1/2インチ幅の磁気テープ3とし
た。ここで、図4中に記載されているテンションカット
ローラ50のサクション吸引部の拡大図を図5に示す。
このサクション吸引部は、図示しない吸引源に連通され
て磁気テープ原反を吸引する吸引部51と、外周面に磁
気テープ原反が接触するテープ接触部52とからなり、
これらを、テンションカットローラ50の外周面に沿っ
て一定間隔をあけて交互に配置した構成である。図示例
では、テンションカットローラ50の外周面において、
一つの吸引部51の終端から直ぐ隣の吸引部51の終端
までの周方向距離、つまり吸引部51の周期T1は13.
5mmである。吸引部51には、多孔金属を埋め込みメッ
シュサクションとした。このようなテンションカットロ
ーラ50を備えたスリッティングシステム100を使用
し、そのサクションの吸引圧を1.33×104 Pa(1
00mmHg)、テンションカットローラ50に対する磁
気テープ原反Gの巻付角を188度に設定して、磁気テ
ープ原反Gに対するスリティングを行った。なお、図示
はしないが、図4中の刃物駆動部60に駆動モータから
の動力を伝える動力伝達装置において、その構成要素で
ある駆動ベルトには平ベルト、カップリングにはゴムカ
ップリングを使用して、駆動モータからの振動をカット
した。ついで、下記の条件でLRT処理を行った。 【0082】〈LRT(ラッピング/ロータリー/ティ
ッシュ)処理〉 (1)ラッピング処理: 研磨テープ(ラッピングテー
プ)を、回転ロールによってテープ送り(400m/
分)と反対方向に14.4cm/分の速さで移動させ、上部
からガイドブロックによって押さえることによってテー
プ磁性層表面と接触させる。この時の磁気テープ巻き出
しテンションを100g及びラッピングテープのテンシ
ョンを250gとして磁気テープに対する研磨処理を行
った。 【0083】(2)ロータリーアルミホイール処理:
幅1インチ(25.4mm)、直径60mmで2mm幅の空気抜
き用溝付きのホイール(溝の角度45度、協和精工株式
会社製)と磁性層とを接触角度90度でテープと反対方
向に回転速度1100rpmで接触させて磁気テープに
対する処理を行った。 【0084】(3) ティッシュ処理: 東レ株式会社
製の織布トレシーを回転棒で各々バックコート層及び磁
気層面をテープ送りと反対方向に14.0mm/分の速度で
送り、磁気テープに対するクリーニング処理を行った。 【0085】サーボライターを用いて、磁気テープの磁
性層に4m/秒(4000mm/秒)の速度で磁気サーボ
信号を書き込み、この磁気テープをリールに巻装してケ
ース本体内に組み込むことにより、図1および図2に示
したコンピュータ用の磁気テープカートリッジを作製し
た。 【0086】この場合に使用したリールは、これの巻芯
部の外周面を、走行基準側となる図中の上側のテープエ
ッジ側で大径となるように、0.03度のテーパ角度
(β)を有するテーパ状に形成したものである。また、
リール内周部内側の鍔部内面間の間隔S1は12.93mm
で、磁気テープ幅の上限値Pである12.656mmに対す
る比(S1/P)は1.022であり、リール外周部内側
の鍔部内面間の間隔S2は13.16mmで、(S2/P)
は1.040で、1.020(S1/P)である。 【0087】実施例2および実施例13:一部条件を後
述の表2、表3に示した条件に変更したことを除き、実
施例1と同様にして実施例2〜実施例13のコンピュー
タ用の磁気テープカートリッジを作製した。なお、ダイ
レクトドライブとは、駆動ベルトの振動によるエッジウ
ィーブを防止するため、ベルトを用いた動力伝達装置を
使用せず、刃物駆動部をモータで直接駆動するものであ
る。 【0088】参考例1〜5:スリット条件を後述の表4
に示すように変更したことを除き、実施例1と同様にし
て参考例1〜3のコンピュータ用の磁気テープカートリ
ッジを作製した。なお、ここでは、メッシュサクション
を使用せず、図5の吸引部51に通常の吸引孔を有する
サクションを使用した。 【0089】実施例14〜17:後述の表5に示すリー
ルを使用したことを除き、実施例1と同様ににして実施
例14〜17のコンピュータ用の磁気テープカートリッ
ジを作製した。 【0090】実施例18〜23、参考例6〜13:後述
の表6〜表8に示すリールを使用したことと、実施例3
の磁気テープを使用したことを除き、実施例1と同様に
して、テープエッジの痛みおよびテープ巻き乱れの評価
用の実施例18〜23、参考例6〜13のコンピュータ
用の磁気テープカートリッジを作製した。 【0091】特性の評価は、以下のようにして行った。 〈エッジウィーブ量およびテープ長手方向周期の測定〉
走行基準側となるテープエッジにおけるエッジウィーブ
量は、サーボライターにエッジウィーブ量測定装置(キ
ーエンス社製)を取り付け、テープ長さ50mにわたっ
て連続測定した。ついで、得られたエッジウィーブ量の
フーリエ解析を行い、エッジウィーブ量およびテープ長
手方向のエッジウィーブ周期の測定を行った。 【0092】〈PESおよびオフトラック量の測定〉P
ESおよびオフトラック量は、改造したLTOドライブ
(記録トラック幅:20.6μm、再生トラック幅:12
μm)を用いて記録(記録波長0.37μm)・再生した
時の再生出力変動から求めた。 【0093】〈磁気テープエッジの痛みおよび巻き乱れ
の評価〉磁気テープエッジの痛みおよび巻き乱れの評価
は、LTOドライブ10台を用いて行った。評価には、
磁気テープを所定のリールに巻き込んだカートリッジ1
00巻を使用した。評価に使用した磁気テープカートリ
ッジには、予めデータ領域に基準データを記録・再生し
てオフトラックの値を求めておいた。ついで、このカー
トリッジを4m/秒で順走行・逆走行(往復走行)さ
せ、この往復走行を1000回行った。走行テスト後の
磁気テープエッジの痛み評価は、走行後のオフトラック
量を測定することで行い、走行後のオフトラック量が走
行前のオフトラック量に比べて50%以上増加していれ
ば、磁気テープエッジの痛みがあると評価した。また、
走行テスト後の巻き乱れの評価は、リール両側面から磁
気テープの巻き取り状態を目視観察して、巻き乱れの有
無を調べた。 【0094】〈磁性層の表面粗さ、凹凸の中心値および
凸量の評価〉ZYGO社製汎用三次元表面構造解析装置
NewView5000による走査型白色光干渉法にて
Scan Lengthを5μmで測定した。測定視野
は、350μm×260μmである。磁性層の中心線平
均表面粗さをRaとし、凹凸の中心値をP0 、最大の凸
量(第1番目の凸量)をP1 、順次第2番目、第3番
目、第4番目、第5番目、・・・、第19番目、第20
番目の凸量を、P2 、P 3 、P4 、P5 、・・・、
19、P20とした時の(P1 −P0 )と(P1 −P20
および[(P1 −P0 )/Ra]を求めた。 【0095】〈磁性層とスライダ材料およびSUSとの
動摩擦係数の測定〉 ・SUS:外径5mmのSUSピン(SUS304)に磁
気テープを角度90度、荷重0.64Nで掛け、磁気テー
プの同一箇所を送り速度20mm/秒で繰り返し10回摺
動させた時の動摩擦係数を測定した。 ・スライダ材料:外径7mmのALTICのピンに磁気テ
ープを角度90度、荷重0.64Nで掛け、磁気テープの
同一箇所を送り速度20mm/秒で繰り返し10回摺動さ
せた時の動摩擦係数を測定した。 【0096】以上の測定結果を表1〜表4に示す。表中
の略号の意味は、以下の通りである。 ・μmSL :磁性層とスライダ材料との摩擦係数 ・μmSUS:磁性層とSUSとの摩擦係数 ・μBSUS:バックコート層とSUSとの摩擦係数 ・Brδ:磁性層の残留磁束密度(Br)と厚さ(δ)
との積 ・Hc:磁性層の保磁力 ・磁性面表面粗度Ra:磁性層の中心線平均表面粗さR
a 【0097】 【表1】 【0098】 【表2】【0099】 【表3】 【0100】 【表4】【0101】 【表5】 【0102】 【表6】 【0103】 【表7】 【0104】 【表8】 【0105】これらの結果からわかるように、非磁性支
持体上の一面に、少なくとも一層磁性層が形成され、反
対面にバックコート層が形成されており、前記磁性層ま
たはバックコート層にトラッキング制御用のサーボ信号
が記録され、4m/秒以上のテープ走行速度で使用され
る、記録トラック幅が21μm以下の磁気テープにおい
て、テープ走行速度をV[mm/秒]、テープ走行時に走
行基準側となる一方のテープエッジ3aまたはその反対
側となるテープエッジ3a’に存在する周期がf[mm]
のエッジウィーブ量をα[μm]、記録トラック幅をW
[μm]とした時、(α/W)×(V/f)が10[s
-1]以下としたものや、(α/W)を0.1以下としたも
のは、PESおよびオフトラック量が小さく、サーボ特
性に優れている。また、このような磁気テープカートリ
ッジにおいて、リールの巻芯部の外周形状を、テープ走
行時に走行基準側となるテープエッジ側で大径となるよ
うに0.01〜0.1度のテーパ角度を有するテーパ状に形
成し、かつ、巻芯部の直ぐ外側に位置するリール内周部
内側において対向する鍔部内面間の間隔をS1[mm]、
リール外周部において対向する鍔部内面間の間隔をS2
[mm]、テープ幅の上限値をP[mm]とした時、1.01
0≦(S1/P)≦1.022、かつ、(S1/P)<
(S2/P)<1.041に設定したものは、いっそうサ
ーボ特性に優れている。また、テープエッジの痛みやテ
ープ巻き乱れも少なくなる。 【0106】 【発明の効果】以上のように、本発明によれば、PES
およびオフトラックが小さく、サーボ特性に優れた磁気
テープおよびこれを組み込んだ磁気テープカートリッジ
が得られる。また、本発明により得られる磁気テープカ
ートリッジは、1巻当たりの容量が大きく、MR再生ヘ
ッドを使用した場合の、PW50が小さく、再生出力が
高いので、エラーレートが低くなる。こうして、例えば
コンピュータ用のバックアップテープとして好適な信頼
性の高い磁気テープカートリッジを実現できる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明が適用される磁気テープカートリッジの
一般的な構造を示す斜視図である。 【図2】本発明が適用される磁気テープカートリッジの
内部構造を一部簡略化して示す断面図である。 【図3】磁気テープに存在するエッジウィーブを説明す
るために使用したもので、磁気テープをその一部拡大図
ととともに示す平面図である。 【図4】本発明の実施例において、磁気テープ原反をス
リッティングする際に使用したスリッティングシステム
の一部簡略化した構成図である。 【図5】スリッティングシステムに備えられるテンショ
ンカットローラのサクション吸引部を一部簡略化して示
す部分断面図である。 【図6】磁気テープカートリッジ用の磁気記録再生装置
(テープ駆動装置)の一例を示す平面図である。 【図7】磁気記録再生装置に備えられたガイドローラに
沿って磁気テープが走行する状態を説明するために使用
したもので、図6の矢印A方向から見た拡大側面図であ
る。 【図8】図2に示した磁気テープカートリッジの巻芯部
周辺を一部省略して示す拡大図である。 【図9】磁気テープに用いられるトラックサーボ方式の
一例(磁気サーボ方式)を説明するために使用したもの
で、磁気テープの磁気記録面(磁性層)にデータトラッ
クとサーボバンドとを交互に設けた状態を示す模式図で
ある。 【符号の説明】 1 磁気テープカートリッジのケース本体 2 リール 3 磁気テープ 3a・3a’ テープエッジ 21・22 鍔部 23 巻芯部 f エッジウィーブの周期 L 磁気テープ幅 S1 リール内周部内側において対向する鍔部内面間の
間隔 S2 リール外周部内側において対向する鍔部内面間の
間隔 α エッジウィーブ量 β 巻芯部外周面のテーパ角
フロントページの続き (72)発明者 天野 浩輔 大阪府茨木市丑寅1丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 荒川 真二 大阪府茨木市丑寅1丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 清水 順一 大阪府茨木市丑寅1丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 Fターム(参考) 3C021 CA01 5D006 DA00 5D112 HH01

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 非磁性支持体上の一面に、少なくとも一
    層の磁性層が形成され、反対面にバックコ−ト層が形成
    されており、前記磁性層またはバックコート層にトラッ
    キング制御用のサーボ信号が記録され、4m/秒以上の
    テープ走行速度で使用される、記録トラック幅が21μ
    m以下の磁気テープであって、 下記スリッティングシスムを用いて磁気テープ原反を所
    定幅にスリッティングすることにより製造された磁気テ
    ープ。 〈スリッティングシステム〉磁気テープ原反に対してサ
    クション吸引部による吸引状態と非サクション吸引部に
    よる非吸引状態とを繰り返すことにより磁気テープ原反
    の張力をするテンションカットローラを有し、 このテンションカットローラにおけるサクション吸引部
    がメッシュあるいは多孔質材料で形成されてメッシュサ
    クションとされたスリッティングシステム。
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