JP2001266327A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

Info

Publication number
JP2001266327A
JP2001266327A JP2000077852A JP2000077852A JP2001266327A JP 2001266327 A JP2001266327 A JP 2001266327A JP 2000077852 A JP2000077852 A JP 2000077852A JP 2000077852 A JP2000077852 A JP 2000077852A JP 2001266327 A JP2001266327 A JP 2001266327A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
magnetic layer
lubricant
layer
paint
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000077852A
Other languages
English (en)
Inventor
Futoshi Sasaki
太 佐々木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP2000077852A priority Critical patent/JP2001266327A/ja
Priority to US09/808,528 priority patent/US20010033947A1/en
Publication of JP2001266327A publication Critical patent/JP2001266327A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B5/00Recording by magnetisation or demagnetisation of a record carrier; Reproducing by magnetic means; Record carriers therefor
    • G11B5/84Processes or apparatus specially adapted for manufacturing record carriers
    • G11B5/848Coating a support with a magnetic layer by extrusion

Landscapes

  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁性層表面の潤滑剤量を正確に評価し、優れ
た走行耐久性を示すと同時に優れた電磁変換特性を示
す。 【解決手段】 磁性層表面を、フーリエ変換赤外分光法
を用いた全反射吸収測定法により測定したときの294
0〜2800cm-1の波長の吸収スペクトルの面積値を
Aとし、上記磁性層表面を有機溶媒により洗浄して上記
潤滑剤を除去した状態で上記磁性層表面を、フーリエ変
換赤外分光法を用いた全反射吸収測定法により測定した
ときの2940〜2800cm-1の波長の吸収スペクト
ルの面積値をBとしたときに、(A−B)の値が0.0
1以上0.30以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁性塗料を塗布し
てなる磁性層上に潤滑剤層が形成されてなる磁気記録媒
体に関する。
【0002】
【従来の技術】コンピュータ装置或いはワードプロセッ
サ装置等に用いられ、持ち運び可能な磁気記録媒体とし
て磁気ディスクがある。従来より用いられている磁気デ
ィスクとしては、「2HD」と称されるフロッピーディ
スク(商標)がある。この2HDのフロッピーディスク
は、1.44MB(メガバイト)の記録容量を有してい
る。このような磁気ディスクは、非磁性支持体上に、磁
性粉末と結合剤とを混練してなる磁性塗料を塗布してな
る磁性層を備えるものである。このような磁気ディスク
は、文字データを記録するには十分な記録容量を有して
いるが、音声データや画像データ等のファイルサイズの
大きな情報を記録するには十分とは言えない。さらに、
アプリケーションソフトの高度化も相まって、磁気ディ
スクには、十分な記録容量を有する、高容量化への要求
が強くなってきている。
【0003】磁気ディスクを高容量化するためには、短
波長領域の信号を使用する必要がある。このため、磁気
ディスクを高容量化した場合、短波長領域の信号の出力
を向上させる必要が生じる。これらのような要求に応え
るため、磁気ディスクでは、磁性層を薄層化することが
考えられる。磁性層を薄層化することによって、磁気デ
ィスクでは、記録時の自己減磁損失や再生時の厚み損失
を減少させることができ、その結果、短波長領域の信号
を良好に記録再生することができるのである。
【0004】しかしながら、磁性層を、例えば0.5μ
m以下といった薄層化にする場合には、均一な膜質を達
成することが困難であるとともに優れた生産性を実現す
ることが困難である。すなわち、磁性層を薄層化した場
合には、磁性層の表面が非磁性支持体の表面性状の影響
を受けて凹凸を有するものとなり、これら凹凸に起因す
るスペーシングロスや電磁変換特性の劣化、ドロップア
ウト等が顕著なものとなる。
【0005】このため、磁気ディスクとしては、非磁性
支持体上に、非磁性粉末を結合剤中に分散させた非磁性
塗料を塗布してなる下層非磁性層を形成し、その上に強
磁性金属粉末を結合剤中に分散してなる磁性塗料を塗布
してなる上層磁性層を形成するものが提案されている。
この磁気ディスクでは、上層磁性層と非磁性支持体との
間に下層非磁性層を配設することによって非磁性支持体
の表面性上が上層磁性層の表面に影響することが防止さ
れる。したがって、この磁気ディスクは、上層磁性層の
表面性が改善されるためにスペーシングロスを低減し、
優れた電磁変換特性を達成することが可能となる。
【0006】一方、磁気ディスクでは、データ転送速度
の高速化もまた求められている。これは、上述したよう
な記録容量の高容量化に伴って、データ転送率の低下が
作業性の劣化の原因となってしまうためである。このよ
うに、データ転送速度を高速化するには、先ず第1に、
磁気ディスクを駆動する際の回転数を上げることが考え
られる。このよう磁気ディスクは、高速回転しながら、
磁性層の表面から数10〜数100nmの高さで浮上す
る浮上型磁気ヘッドにより記録再生がなされる。
【0007】高速回転した状態で浮上型磁気ヘッドで記
録再生がなされる場合、磁気ディスク表面と浮上型磁気
ヘッドとの衝突によって、磁気ディスク表面に損傷を与
えてしまうことがある。そこで、磁気ディスクでは、磁
性層の塗膜強度を向上させるべく、磁性層に研磨粒子を
含有させて磁性層の研磨力を向上させたり、磁性層の塗
膜物性を改変して硬度を向上させることが考えられる。
【0008】しかしながら、研磨粒子を磁性層に含有さ
せた場合には、磁性層の磁気特性を劣化させて電磁変換
特性を低下させることになるし、磁性層表面の研磨力に
より浮上型磁気ヘッドの寿命を短くする虞もある。ま
た、磁性層の塗膜物性を改変するために結合剤の種類や
配合比を制御する場合には、磁性層を平滑に形成できな
いために磁性層の表面性を損なう虞がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】そこで、従来より磁性
層の表面に潤滑剤層を形成し、浮上型磁気ヘッドの走行
安定性を高めることで、走行耐久性の向上を図ってい
る。この潤滑剤層は、磁性層表面に潤滑剤を直接塗布或
いは噴霧したり、磁性塗料中に潤滑剤を内添したり又は
潤滑剤溶液中に磁気記録媒体自体を浸漬したりすること
により形成される。
【0010】ところが、この潤滑剤層が磁性層表面に厚
く形成されてしまうと、浮上型磁気ヘッドと磁性層との
間隔が大きくなることになり、スペーシングロスが生じ
てしまう。逆に、潤滑剤層が磁性層表面に薄く形成され
てしまうと、上述した走行耐久性を向上させる効果を奏
さなくなってしまう。しかしながら、潤滑剤層の厚み等
を規定したとしても、スペーシングロスの抑制及び走行
耐久性を向上を両立させることは困難であった。言い換
えると、従来の磁気ディスクにおいては、潤滑剤層の厚
みを規定したとしても、実際に表面に存在する潤滑剤の
量を規定したこととはならず、スペーシングロスの低減
及び走行耐久性の向上を両立させることはできないとい
った問題がある。
【0011】そこで、本発明は、上述したような問題点
に鑑がみてなされたものであり、磁性層表面の潤滑剤量
を正確に評価し、優れた走行耐久性を示すと同時に優れ
た電磁変換特性を示す磁気記録媒体を提供することを目
的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成した
本発明に係る磁気記録媒体は、非磁性支持体上に、少な
くとも結合剤と磁性粉末とを混練してなる磁性塗料を塗
布してなる磁性層と、上記磁性層表面に配設された潤滑
剤層とを備える磁気記録媒体において、上記磁性層表面
を、フーリエ変換赤外分光法を用いた全反射吸収測定法
により測定したときの2940〜2800cm-1の波長
の吸収スペクトルの面積値をAとし、上記潤滑剤を除去
した状態で上記磁性層表面を、フーリエ変換赤外分光法
を用いた全反射吸収測定法により測定したときの294
0〜2800cm-1の波長の吸収スペクトルの面積値を
Bとしたときに、(A−B)の値が0.01以上0.3
0以下であることを特徴とするものである。
【0013】以上のように構成された磁気記録媒体で
は、磁性層上に存在する潤滑剤の量を2940〜280
0cm-1の波長の吸収スペクトルの面積値で規定してい
る。ここで、フーリエ変換赤外分光法を用いた全反射吸
収測定法により測定したときの2940〜2800cm
-1の波長の吸収スペクトルは、潤滑剤に含まれるC−H
結合に起因して現れるスペクトルである。したがって、
本発明においては、潤滑剤の量を潤滑剤層の厚み等によ
り規定する場合と異なり、上記波長の範囲の吸収スペク
トルの面積値で規定するため、磁性層表面に存在する潤
滑剤の量をより正確に規定することができる。すなわ
ち、潤滑剤の量を潤滑剤層の厚み等をにより規定する場
合には、磁性層表面に存在する潤滑剤の量を示すことに
ならない虞がある。これに対して、本発明では、潤滑剤
層を形成した後における磁性層表面に存在する潤滑剤の
量を直接規定することができる。また、本発明では、
(A−B)の値を0.01以上0.30以下に規定する
ことによって、磁性層表面には、所望量の潤滑剤が存在
することとなる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る磁気記録媒体
の具体的な実施の形態について図面を参照して詳細に説
明する。
【0015】ここでは、本発明が適用される磁気記録媒
体として、図1に示すように、円盤状に形成された磁気
ディスク1について説明する。この磁気ディスク1は、
円盤状を呈する非磁性支持体2の両主面2a,2b上
に、下層非磁性層3及び上層磁性層4がこの順でそれぞ
れ形成されてなる構成とされる。また、この磁気ディス
ク1においては、上層磁性層4表面に潤滑剤層5が形成
されている。なお、本発明は、この磁気ディスク1のよ
うな構成の磁気記録媒体に限定されるものではなく、例
えば、非磁性支持体2の一方の主面2aのみに下層非磁
性層3及び上層磁性層4を有するような構成であって
も、また、下層非磁性層3の代わりに下層磁性層を有す
るような構成であってもよい。
【0016】特に、この磁気ディスク1では、上層磁性
層4表面を、フーリエ変換赤外分光法を用いた全反射吸
収測定法により測定したときの2940〜2800cm
-1の波長の吸収スペクトルの面積値をAとし、潤滑剤層
5を除去した状態で上層磁性層4表面を、フーリエ変換
赤外分光法を用いた全反射吸収測定法により測定したと
きの2940〜2800cm-1の波長の吸収スペクトル
の面積値をBとしたときに、(A−B)の値が0.01
以上0.30以下となっている。ここで、潤滑剤層5を
除去する手法としては、例えば、ヘキサンのような有機
溶剤により磁気ディスク1を洗浄する手法を例示でき
る。しかしながら、上層磁性層4上から潤滑剤層5を除
去できる方法であれば如何なる方法を使用しても良い。
【0017】具体的に、図2に示すように、潤滑剤層5
が上層磁性層4上に存在する状態でフーリエ変換赤外分
光法を用いた全反射吸収測定法により上層磁性層4表面
を測定したときチャートt1が得られ、上層磁性層4表
面を有機溶媒により洗浄して潤滑剤層5を除去した後に
フーリエ変換赤外分光法を用いた全反射吸収測定法によ
り上層磁性層4表面を測定したときのチャートt2が得
られる。そして、チャートt1における2940〜28
00cm-1の波長に現れる吸収スペクトルの面積値を
A、チャートt2における2940〜2800cm-1
波長に現れる吸収スペクトルの面積値をBとしたとき
に、この磁気ディスク1では、(A−B)の値が0.0
1以上0.30以下となっている。また、フーリエ変換
赤外分光法を用いた全反射吸収測定法により測定したと
きの2940〜2800cm-1の波長の吸収スペクトル
は、潤滑剤に含まれるC−H結合に起因して現れるスペ
クトルである。
【0018】ここで、潤滑剤としては、シリコーンオイ
ル、脂肪酸変性シリコーン、フッ素含有シリコーン、フ
ッ素含有エステル、ポリオレフィン、ポリグリコール、
モノ脂肪酸エステル、ジ脂肪酸エステル、トリ脂肪酸エ
ステル、脂肪酸アミド、脂肪族アミン及びオレフィンオ
キサイド等従来より公知のものを全て使用することがで
きる。また、これら例示した潤滑剤は、単独で使用して
も良いし2種以上を混合して使用しても良い。例えば、
潤滑剤として脂肪酸と脂肪酸エステルとを混合して使用
する場合、脂肪酸と脂肪酸エステルとは重量比で10:
90〜90:10の比率で使用することが好ましい。
【0019】潤滑剤層5は、上層磁性層4が形成された
後に潤滑剤を有機溶剤に溶解させてなる塗料を上層磁性
層4表面に塗布してなるものであってもよいし、詳細を
後述する上層磁性層4に内添された潤滑剤が上層磁性層
4表面に滲みだしてなるものであってもよい。
【0020】一方、非磁性支持体2の材料としては、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート
等のポリエステル類、ポリプロピレン等ポリオレフイン
類、セルローストリアセテート、セルロースダイアセテ
ート等のセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル等のビニル
系樹脂類、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスルホ
ン等のプラスチックのほかにアルミニウム、銅等に金
属、ガラス等のセラミツクス等も使用できる。これらの
非磁性支持体2は塗布に先立つて、コロナ放電処理、プ
ラズマ処理、下塗処理、熱処理、除塵埃処理、金属蒸着
処理、アルカリ処理をおこなってもよい。非磁性支持体
2の厚みとしては、30μm〜10mm程度あることが
好ましい。
【0021】また、この磁気ディスク1において、上層
磁性層4は、強磁性粉末を結合剤中に分散させてなる磁
性塗料を下層非磁性層3上に塗布することにより形成さ
れる。上層磁性層4には、磁性粉末、好ましくは強磁性
粉末が含有される。この強磁性粉末としては、特に制限
はないが、例示するならば、強磁性合金粉末、強磁性六
方晶系フェライト粉末、強磁性酸化鉄粒子、強磁性Cr
O2、強磁性コバルトフェライト(CoO−Fe2O
3)、コバルト吸着酸化物、窒化鉄等の微粒子を挙げる
ことができる。強磁性合金粉末としては、Fe合金粉
末、Co合金粉末、Ni合金粉末、並びに、Fe−C
o、Fe−Ni、Fe−Co−Ni、Co−Ni、Fe
−Co−B、Fe−Co−B、Mn−Bi、Mn−A
l、Fe−Co−V等の合金粉末、或いはこれらの合金
と他の元素との化合物である合金粉末を使用することが
できる。更に、強磁性合金粉末の磁気特性を改良するた
め、組成中にAl、Si、P、B、C等の非金属が添加
されることもある。通常、強磁性合金粉末の粒子表面
は、化学的に安定させるために酸化物の層が形成されて
いる。酸化物の形成方法としては、公知の徐酸化処理、
すなわち有機溶剤に浸漬したのち乾燥させる方法、有機
溶剤に浸漬したのち酸素含有ガスを送り込んで表面に酸
化膜を形成したのち乾燥させる方法、有機溶剤を用いず
酸素ガスと不活性ガスの分圧を調整して表面に酸化皮膜
を形成する方法等が挙げられ、いずれを施したものでも
用いることができる。
【0022】これら磁性粉末は、比表面積が20〜90
2/gであることが好ましく、25〜70m2/gであ
ることがより好ましい。磁性粉末の比表面積が上記範囲
内にあると、形状の微粒子化を伴うこととなり、高密度
記録が可能となり、また、ノイズ特性に優れたものとな
る。また、これら磁性粉末は、1種類で使用することも
可能であるが、2種類以上を混合して使用してもよい。
【0023】さらに、上層磁性層4中に含有させる結合
剤としては、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂ま
たは電子線硬化型樹脂やこれらの混合物を使用すること
ができる。
【0024】結合剤としては、熱可塑性樹脂として塩化
ビニル、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル塩
化ビニリデン共重合体、塩化ビニルアクリロニトリル共
重合体、アクリル酸エステルアクリロニトリル共重合
体、アクリル酸エステル塩化ビニリデン共重合体、アク
リル酸エステルスチレン共重合体、メタクリル酸エステ
ルアクリロニトリル共重合体、メククリル酸エステル塩
化ビニリデン、メククリル酸エステルスチレン共重合
体、ウレタンエラストマー、ポリ弗化ビニル、塩化ビニ
リデンアクリロニトリル共重合体、ブタジエンアクリロ
ニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラ
ール、セルロース誘導体(セルロースアセテートブチレ
ート、セルロースダイアセテート、セルローストリアセ
テート、セルロースプロピオネート、ニトロセルロース
等)、スチレンブタジエン共重合体、ポリエステル樹
脂、各種の合成ゴム系の熱可塑性樹脂(ポリブタジエ
ン、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、スチレンブタ
ジエン共重合体など)及びこれらの混合物等を挙げるこ
とができる。また、結合剤としては、熱硬化性樹脂とし
てフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型
樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、シリ
コーン樹脂、ポリアミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹
脂等を挙げることができる。
【0025】また、上述したような結合剤として使用さ
れる樹脂の分子中には、−SO3M、−OSO3M、−
PO(OM)2、−COOM等の極性官能基が導入され
ていても良い。ここで、上記分子式において、Mは水素
原子或いはリチウム、カリウム、ナトリウム等のアルカ
リ金属である。さらに、極性官能基としては、ヒドロキ
シル基、エポキシ基、アミノ基等であってもよい。これ
ら極性官能基を結合剤中に導入することによって、磁性
粉末の分散性を向上させることができる。さらに、これ
ら極性官能基は、結合剤中に10-1〜10-8モル/gの
割合で含有されることが好ましく、10-2〜10-6モル
/gの割合で含有されることがより好ましい。
【0026】さらに、この結合剤は、そのガラス転移温
度が50〜70℃であることが好ましい。ガラス転位温
度が50〜70℃である結合剤を用いることによって、
結合剤が微細な磁性粒子間を流動性よく流れることとな
ため、磁性粉末が結合剤中に良好に分散されることとな
る。また、結合剤の数平均分子量としては、5000〜
10000のものが好ましい。
【0027】さらにまた、上層磁性層4には、走行耐久
性等を改善する目的で、通常、磁気記録媒体で用いられ
る非磁性補強剤や帯電防止剤等の添加剤が任意に添加さ
れても良い。
【0028】非磁性補強剤としては、酸化アルミニウム
(α、β、γ)、酸化クロム、炭化珪素、ダイヤモン
ド、ガーネット、エメリー、酸化チタン、α−酸化鉄、
酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化タングステン、炭化モリ
ブデン、炭化ホウ素、コランダム、酸化亜鉛、酸化セリ
ウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素等を挙げることが
できる。この非磁性補強剤の平均粒子径としては、好ま
しくは0.05μm〜0.6μmであり、より好ましく
は0.05μm〜0.3μmである。非磁性補強剤の添
加量としては、磁性粉末100重量部に対して、好まし
くは3〜20重量部であり、より好ましくは5〜10重
量部である。また、これら非磁性補強剤は、モース硬度
が4以上であることが好ましく、5以上であることがよ
り好ましく、6以上であることが更に好ましい。さらに
また、非磁性補強粒子は、比重が2〜6の範囲であるこ
とが好ましく、3〜5の範囲であることがより好まし
い。
【0029】帯電防止剤としては、第4級アミン等のカ
チオン界面活性剤や、スルホン酸、硫酸、燐酸、燐酸エ
ステル、カルボン酸等の酸基を含むアニオン界面活性剤
や、アミノスルホン酸等の両性界面活性剤等を挙げるこ
とができる。これら帯電防止剤の添加量は、結合剤に対
して0.01〜40重量%の範囲とするのが良い。この
他、帯電防止剤としては、導電性微粉末を添加しても良
い。この導電性微粉末としては、例えば、カーボンブラ
ック、グラファイト、酸化錫、銀粉、酸化銀、硝酸銀、
銀の有機化合物、銅粉等の金属粒子や、酸化亜鉛、硫酸
バリウム、酸化チタン等の金属酸化物等の顔料を、酸化
錫被膜又はアンチモン固溶酸化錫被膜等の導電性物質で
コーティング処理したものを挙げることができる。これ
ら導電性微粉未の平均粒子径としては、好ましくは5〜
700nmであり、より好ましくは5〜200nmであ
る。
【0030】次に、下層非磁性層3について説明する。
【0031】下層非磁性層3には、非磁性粉末が含有さ
れる。この非磁性粉末としては、例えば、α−Fe2O
3、TiO2、カーボンブラック、グラファイト、硫酸
バリウム、ZnS、MgCO3、CaCO3、ZnO、
CaO、二硫化タングステン、二硫化モリブデン、窒化
ホウ素、MgO、SnO2、Cr2O3、α−Al2O
3、α−FeOOH、SiC、酸化セリウム、コランダ
ム、人造ダイヤモンド、α−酸化鉄、ザクロ石、ガーネ
ット、ケイ石、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、
炭化モリブデン、炭化ホウ素、炭化タングステン、チタ
ンカーバイド、トリボリ、ケイソウ土、ドロマイト等を
挙げることができる。
【0032】それらの中で好ましいのはα−Fe2O
3、TiO2、カーボンブラック、CaCO3、硫酸バ
リウム、α−Al2O3、α−FeOOH、Cr2O3
等の無機粉末やポリエチレン等のポリマー粉末等であ
る。
【0033】また、下層非磁性層3に含有される結合剤
としては、下層非磁性層3の表面性すなわち下層非磁性
層3に含有される顔料の分散能及び上層磁性層4との界
面の一様性を満たすことを第一義に考えて選択されるこ
とが好ましい。このような結合剤としては、上述した上
層磁性層4で使用される結合剤と同様に、従来公知の熱
可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または電子線等による放射線
架橋型樹脂やこれらの混合物を使用することができる。
【0034】さらに、下層非磁性層3には、帯電防止剤
を添加しても良い。帯電防止剤としては、カーボンブラ
ック、カーボンブラックグラフトポリマーなどの導電性
微粉末;サポニンなどの天然界面活性剤;アルキレンオ
キサイド系、グリセリン系およびグリシドール系などの
ノニオン系界面活性剤;高級アルキルアミン類、第4級
アンモニウム塩類、ピリジンその他の複素環化合物の塩
類、ホスホニウムまたはスルホニウム類などのカチオン
性界面活性剤;カルボン酸、燐酸、硫酸エステル基、燐
酸エステル基等の酸性基を含むアニオン性界面活性剤;
アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコールの
硫酸または燐酸エステル類等の両性界面活性剤等を挙げ
ることができる。帯電防止剤として上述した導電性微粉
末を使用する場合には、例えば、非磁性粉末100重量
部に対し1〜15重量部の範囲で使用され、帯電防止剤
として上述した界面活性剤を使用する場合にも、同様に
1〜15重量部の範囲で使用される。
【0035】さらにまた、下層非磁性層3には、上層磁
性層4同様、モース硬度5以上の無機質粒子を含有させ
ても良い。モース硬度5以上の無機質粒子としては、A
l2O3(モース硬度9)、TiO(モース硬度6)、
TiO2(モース硬度6.5)、SiO2(モース硬度
7)、SnO2(モース硬度6.5)、Cr2O3(モ
ース硬度9)及びα−Fe2O3(モース硬度5.5)
を挙げることができ、これらを単独あるいは混合して用
いることができる。
【0036】なお、下層非磁性層3には、上述した潤滑
剤を内添させても良い。下層非磁性層3に潤滑剤を内添
させることによって、下層非磁性層3内から潤滑剤が滲
みだして上層磁性層4内へと移動し、更に、上層磁性層
4上の潤滑剤層5へと移動する。したがって、下層非磁
性層3に潤滑剤を内添させることによって、潤滑剤層5
を長期間に亘って維持することができ、長期間に亘って
走行耐久性を向上させることができる。
【0037】磁気ディスク1を製造する際には、いわゆ
るウェット・オン・ウェット方式にて下層非磁性層3及
び上層磁性層4を形成することが好ましい。具体的に、
非磁性支持体2上に下層非磁性層3及び上層磁性層4を
ウェット・オン・ウェット方式にて形成する際には、例
えば、図3に示すような塗膜形成装置10が用いられ
る。塗膜形成装置10により長尺状の非磁性支持体2上
に下層非磁性層3及び上層磁性層4を形成した後、円盤
上に打ち抜くことによって磁気ディスク1が作製され
る。
【0038】塗膜形成装置10は、長尺状に形成された
非磁性支持体2を巻装するとともに非磁性支持体2を掛
け渡してなる巻取りロール12及び供給ロール13と、
この供給ロール13から引き出された非磁性支持体2上
に非磁性塗料及び磁性塗料を塗布する塗布装置14と、
磁性層の磁化方向を決定させる配向用磁石15と、塗料
を乾燥させる乾燥器16と、カレンダー処理を行うカレ
ンダー装置17とを備える。
【0039】すなわち、この塗膜形成装置10では、非
磁性支持体2が供給ロール13から巻取りロール12に
向かって搬送されるようになされており、この搬送方向
に沿って塗布装置14、配向用磁石15、乾燥器16、
カレンダー装置17がこの順に配置されている。
【0040】このような塗膜形成装置10では、先ず塗
布装置14によって非磁性塗料及び磁性塗料が非磁性支
持体2上に重層塗布される。この塗布装置14は、図4
に示すように、非磁性塗料を塗布する第1の押し出しコ
ーター18と、磁性塗料を塗布する第2の押し出しコー
ター19とを備える。また、この塗布装置14では、第
2の押し出しコーター19が非磁性支持体2の送り出し
側、第1の押し出しコーター18が非磁性支持体2の導
入側となるように配置されている。
【0041】これら第1の押し出しコーター18と第2
の押し出しコーター19には、その先端部に塗料が押し
出されるスリット部20、21がそれぞれ形成され、こ
のスリット部20、21の背面側に塗料が供給される塗
料溜まり22、23がそれぞれ設けられている。このよ
うな第1の押し出しコーター18及び第2の押し出しコ
ーター19では、塗料溜まり22、23に供給された非
磁性塗料又は磁性塗料が、スリット部20、21を通っ
てコーター先端部にそれぞれ押し出される。
【0042】そして、塗料が塗布される非磁性支持体2
は、この第1の押し出しコーター18及び第2の押し出
しコーター19の先端面に沿って図4中矢印Dの方向に
搬送される。
【0043】このようにして搬送される非磁性支持体2
上には、まず第1の押し出しコーター18を通過する際
に、スリット部20から押し出された非磁性塗料が塗布
されて非磁性塗膜24が形成される。そして、第2の押
し出しコーター19を通過する際に、スリット部21か
ら押し出された磁性塗料が湿潤状態の非磁性塗膜24上
に塗布され、磁性塗膜25が形成される。
【0044】なお、これら第1の押し出しコーター18
及び第2の押し出しコーター19への塗料の供給は、イ
ンラインミキサーを介して行うようにしても良い。
【0045】このように、非磁性塗膜24と磁性塗膜2
5とが形成された非磁性支持体2は、配向用磁石15、
乾燥器16、カレンダー装置17に順次搬送される。
【0046】配向用磁石15では、磁性層となる磁性塗
膜25が磁場配向処理される。なお、配向用磁石15と
しては、ランダム配向用磁石が用いられる。これら配向
用磁石15は、磁性層3に含有される磁性粉末の種類に
応じて適宜選択される。
【0047】乾燥器16では、当該乾燥器16内の上下
に配されたノズルからの熱風によって、非磁性塗膜24
及び磁性塗膜25が乾燥される。このときの乾燥条件と
しては、温度が約30〜120℃、乾燥時間が約0.1
〜10分間程度であることが好ましい。
【0048】そして、乾燥器16を通過した非磁性支持
体2は、さらにカレンダー装置17に導かれ、表面平滑
処理が施される。このカレンダー装置17による表面平
滑処理では、温度、線圧力及び搬送スピード等が重要と
なる。すなわち、表面平滑処理条件として、温度は50
〜140℃、線圧力は50〜1000kg/cm2、搬
送スピードは20〜1000m/分であることが好まし
い。これらの条件を満足しない場合には、上層磁性層4
の表面性が損なわれる虞れがある。
【0049】なお、この塗膜形成装置10では、非磁性
塗料及び磁性塗料が分離された別々のコーターで塗布さ
れていたが、このような塗布装置14に限定されるもの
ではない。すなわち、図5に示すように、第1の押し出
しコーター18と第2の押し出しコーター19とが一体
化してなる押し出しコーター26を備える塗布装置27
であってもよい。
【0050】また、上述した塗膜形成装置10では、非
磁性塗料と磁性塗料とが逐次的に塗布されような塗布装
置14,27を用いたが、これに限定されず、非磁性塗
料及び磁性塗料を同時に塗布するような塗布装置であっ
てもよい。すなわち、図6に示すように、2つのスリッ
トが近接して形成された押し出しコーター28を備える
塗布装置29を用い、この押し出しコーター28によっ
て非磁性塗料、磁性塗料を同時に塗布するようにしても
良い。
【0051】この塗布装置29は、押し出しコーター2
8の先端部に塗料が押し出される第1のスリット部30
及び第2のスリット部31が近接して形成され、これら
2つのスリット部30,31の背面側に非磁性塗料が供
給される第1の塗料溜まり33及び磁性塗料が供給され
る第2の塗料溜まり34がそれぞれ設けられている。
【0052】この塗布装置29では、第1の塗料溜まり
33に供給された非磁性塗料が第1のスリット部30か
ら非磁性支持体2上へ塗布され、非磁性塗膜24が形成
される。そして、第2の塗料溜まり34に供給された磁
性塗料が第2のスリット部31から湿潤状態の非磁性塗
膜24上にほぼ同時に塗布され、磁性塗膜25が形成さ
れる。
【0053】また、上述した塗布装置14,27,29
において、押し出しコーターが用いられたが、バースロ
ール、グラビアロール、エアドクターコーター、ブレー
ドコーター、エアナイフコーター、スクイズコーター、
含浸コーター、トランスファロールコーター、キスコー
ター、キャストコーター、スプレイコーター等を用いる
ようにしても良い。このとき非磁性塗料の塗布方式と磁
性塗料の塗布方式は同じであっても異なっていても良
い。したがって、例えば、リバースロールと押し出しコ
ーターとを組合せたり、グラビアロールと押し出しコー
ターとを組合わせて磁性塗料及び非磁性塗料を塗布する
ことも可能である。
【0054】なお、磁気ディスク1では、非磁性支持体
2の両面に、上述したような方法によって下層非磁性層
2及び磁性層3を形成する必要があることは言うまでも
ない。また、このように非磁性支持体2の上に、下層非
磁性層2及び磁性層3が形成された後、バーニッシュ処
理あるいはブレード処理等が必要に応じて行われる。
【0055】最後に所定の径を有する円盤状に打ち抜か
れることによって磁気ディスク1が完成する。
【0056】ところで、上述したように作製された磁気
ディスク1は、回転数が3000rpm以上、周速1.
6m/s以上であるようなディスクドライブ装置に使用
されることが好ましい。このようなディスクドライブ装
置は、磁気ディスク1の両主面を挟み込むように配設さ
れた一対の磁気ヘッド装置を有しており、これら一対の
磁気ヘッド装置により磁気ディスク1を挟み込むととも
に所定の回転速度で回転させる。ここで、磁気ヘッド装
置としては、インダクティブヘッドに加え、磁気抵抗効
果型磁気ヘッド等の使用も可能である。また、磁気ヘッ
ド装置は、回転する磁気ディスク1との間にエアーフィ
ルムを形成して、当該磁気ディスク1の主面から約20
0nm以下の浮上量となるように浮上しながら信号の記
録再生を行う。
【0057】上述した磁気ディスク1では、上層磁性層
4表面に潤滑剤層5が配設されているため、このような
浮上型の磁気ヘッド装置を用いたディスクドライブ装置
における走行耐久性が非常に優れたものとなる。すなわ
ち、浮上型の磁気ヘッド装置が磁気ディスク1に衝突し
た場合であっても、潤滑剤層5が形成されているために
上層磁性層4を損傷することが防止される。言い換える
と、磁気ディスク1は、潤滑剤層5が形成されているた
め、優れた走行耐久性を有することとなる。
【0058】特に、上述した磁気ディスク1では、上層
磁性層4表面に存在する潤滑剤量を、フーリエ変換赤外
分光法を用いた全反射吸収測定法により測定したときの
2940〜2800cm-1の波長の吸収スペクトルの面
積値をAとし、潤滑剤層5を除去した状態で上層磁性層
4表面を、フーリエ変換赤外分光法を用いた全反射吸収
測定法により測定したときの2940〜2800cm-1
の波長の吸収スペクトルの面積値をBとして、(A−
B)の値で規定している。
【0059】このように、上層磁性層4表面に存在する
潤滑剤量をフーリエ変換赤外分光法を用いた全反射吸収
測定法により規定することによって、上層磁性層4表面
の潤滑剤量を非常に正確に評価することができる。磁気
ディスク1では、この(A−B)の値が0.01以上
0.30以下となっている。(A−B)の値が0.01
未満である場合には、上層磁性層4表面に存在する潤滑
剤の量が少なすぎ、優れた走行耐久性を達成することが
できない。また、(A−B)の値が0.30を超える場
合には、上層磁性層4表面に存在する潤滑剤の量が多す
ぎるため、浮上型の磁気ヘッド装置と上層磁性層4との
間隔が大きくなりすぎ、スペーシングロスを生じさせて
電磁変換特性が劣化する。
【0060】このため、(A−B)の値を0.01以上
0.30以下の範囲とすることによって、上層磁性層4
表面に存在する潤滑剤を所望の量に正確に規定すること
ができ、優れた走行耐久性と優れた電磁変換特性とを両
立することができる。
【0061】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について説明
するが、本発明はこの実施例に限定されるものではな
い。
【0062】実施例1 実施例1においては、非磁性支持体上に下層非磁性層
と、この下層磁性層上に単層の上層磁性層が形成されて
なる磁気ディスクをサンプルとして作製することとし
た。先ず、上層磁性層を形成する磁性塗料と下層非磁性
層を形成する非磁性塗料の調製を行った。これら非磁性
塗料及び磁性塗料は、下記に示すような組成で各成分を
秤り取り、それぞれニーダー及びサンドミルを用いて混
練分散することで調整された。
【0063】 <磁性塗料組成> 強磁性粉末: 100重量部 Fe系メタル強磁性粉末(比表面積51m2/g、保磁力1600Oe) スルホン酸ナトリウム基含有ポリウレタン樹脂 4重量部 スルホン酸カリウム基含有塩化ビニル樹脂 16重量部 カーボンブラック(商品名:旭カーボン社製 #50) 4重量部 α−アルミナ 8重量部 ヘプチルステアレート(潤滑剤) 2.0重量部 オレイルオレエート(潤滑剤) 1.0重量部 メチルエチルケトン 200重量部 トルエン 150重量部 シクロヘキサン 200重量部
【0064】 <非磁性塗料> α−Fe23(比表面積52m2/g) 100重量部 スルホン酸ナトリウム基含有ポリウレタン樹脂 4重量部 スルホン酸カリウム基含有塩化ビニル樹脂 16重量部 ヘプチルステアレート(潤滑剤) 2.0重量部 オレイルオレエート(潤滑剤) 1.0重量部 メチルエチルケトン 100重量部 トルエン 50重量部 シクロヘキサン 100重量部
【0065】以上のように調整された磁性塗料及び非磁
性塗料を、厚み60μmのポリエチレンテレフタレート
からなる非磁性支持体の一主面上にウエット・オン・ウ
エット方式により塗布した。その後、ランダム磁化処理
及び乾燥処理を順次施した後、非磁性支持体の他主面上
にも磁性塗料及び非磁性塗料をウエット・オン・ウエッ
ト方式により塗布した。その後、同様にランダム磁化処
理及び乾燥処理を順次施した。その後、60℃でカレン
ダー処理を施した後、3.5インチの円盤状に打ち抜
き、60℃のオーブン中に20時間放置して硬化処理を
施し、磁気ディスクを作製した。なお、この磁気ディス
クでは、下層非磁性層の厚みが1.5μmであり、上層
磁性層の厚みが0.5μmであった。
【0066】実施例2 実施例2では、磁性塗料中に潤滑剤としてヘプチルステ
アレート0.5重量部のみを添加し、非磁性塗料中に潤
滑剤としてヘプチルステアレート1.0重量部及びオレ
イルオレエート1.0重量部を添加した以外は、実施例
1と同様にして磁気ディスクを作製した。
【0067】実施例3 実施例3では、磁性塗料中に潤滑剤としてヘプチルステ
アレート3.0重量部及びオレイルオレエート2.0重
量部を添加し、非磁性塗料中に潤滑剤としてヘプチルス
テアレート5.0重量部及びオレイルオレエート5.0
重量部を添加した以外は、実施例1と同様にして磁気デ
ィスクを作製した。
【0068】実施例4 実施例4では、磁性塗料中に潤滑剤としてヘプチルステ
アレート5.0重量部及びオレイルオレエート5.0重
量部を添加し、非磁性塗料中に潤滑剤としてヘプチルス
テアレート5.0重量部及びオレイルオレエート5.0
重量部を添加した以外は、実施例1と同様にして磁気デ
ィスクを作製した。
【0069】比較例1 比較例1では、磁性塗料中に潤滑剤としてヘプチルステ
アレート1.0重量部のみを添加し、非磁性塗料中に潤
滑剤としてヘプチルステアレート1.0重量部のみを添
加した以外は、実施例1と同様にして磁気ディスクを作
製した。
【0070】比較例2 比較例2では、磁性塗料中に潤滑剤を添加せず、非磁性
塗料中に潤滑剤としてヘプチルステアレート1.0重量
部及びオレイルオレエート1.0重量部を添加した以外
は、実施例1と同様にして磁気ディスクを作製した。
【0071】比較例3 比較例3では、磁性塗料中に潤滑剤としてヘプチルステ
アレート6.0重量部及びオレイルオレエート6.0重
量部を添加し、非磁性塗料中に潤滑剤としてヘプチルス
テアレート6.0重量部及びオレイルオレエート6.0
重量部を添加した以外は、実施例1と同様にして磁気デ
ィスクを作製した。
【0072】<特性評価>以上のように作製された実施
例1乃至実施例4と比較例1乃至比較例3とを用いて、
表面潤滑剤量の測定、電磁変換特性及び走行耐久性の評
価を行った。
【0073】表面潤滑剤量の測定 表面潤滑剤量は、Nicolet社製FT−IR装置(商品
名:Magna550)に、Harrick社製の全反射吸収(AT
R)用アタッチメントを取り付け、全反射吸収測定(以
下、ATR測定と称する。)を行った。ここで、測定条
件としては、赤外光入射角が75°、データ処理の積算
回数が256回、赤外光ビーム径が直径5mm、ATR
結晶がGe結晶とした。
【0074】具体的には、先ず、測定対象の磁気ディス
クを上記条件でATR測定し、その後、当該磁気ディス
クをヘキサンにて2時間洗浄した後に再びATR測定し
た。ATR測定では、得られたスペクトルデータから2
940〜2800cm-1の波長領域における吸収スペク
トル面積値を算出した。そして、洗浄前の磁気ディスク
における上記面積値から洗浄後の磁気ディスクにおける
上記面積値の差分を算出し、その値を表面潤滑剤量とし
た。
【0075】電磁変換特性の評価 電磁変換特性は、3600rpmのスピンスタンドを使
用し、評価対象の磁気ディスクの中心から約40mmの
位置の部分について記録周波数25MHzにおける外周
側の出力を測定した。具体的には、5回の測定を行い、
その平均の出力値を電磁変換特性の結果とした。なお、
実施例2乃至実施例4と比較例1乃至比較例3では、実
施例1の値を基準とした比較した。
【0076】走行耐久性の評価 走行耐久性は、45℃、30%rhの環境下において、
3600rpmの回転数で外周300トラックにわたっ
て書き込んだデータを繰り返し再生する私見を行い、エ
ラー訂正不可能なエラーが発生した時間として評価し
た。なお、当該エラーの測定時間は、200時間を限度
とした。
【0077】<結果>以上の表面潤滑剤量の測定、電磁
変換特性及び走行耐久性の評価結果を表1に示す。
【0078】
【表1】
【0079】表1から明らかなように、洗浄前後のAT
R面積値の差分として示す面積値が0.01以上0.3
0以下である実施例1乃至実施例4では、電磁変換特性
及び走行耐久性とも優れた結果となっている。これに対
して、面積値が0.01以上0.30以下の範囲から外
れた比較例1乃至比較例3では、電磁変換特性又は走行
耐久性が良好でない。特に、面積値が0.01を下回る
比較例1及び比較例2では、潤滑剤量が少なすぎるた
め、電磁変換特性に関しては良好な結果となっているが
十分な走行耐久性は得られなかった。逆に、面積値が
0.30を上回る比較例3では、潤滑剤量が多すぎるた
め十分な電磁変換特性は得られなかった。また、比較例
3では、走行耐久性を測定する試験の後、表面に多数の
傷が生じており、走行耐久性に関しても良好な結果を得
ることはできなかった。これは、潤滑剤量が多すぎるた
め上層磁性層が可塑化してしまうためであると考えられ
る。
【0080】上述した実験結果からも、洗浄前後のAT
R面積値の差分として示す面積値を0.01以上0.3
0以下とした磁気ディスクでは、上層磁性層表面に優れ
た潤滑効果を付与できるとともに上層磁性層の可塑化も
防止することができるため、優れた電磁変換特性及び優
れた走行耐久性を両立できることが判った。
【0081】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明に係
る磁気記録媒体は、磁性層表面に存在する潤滑剤量を、
フーリエ変換赤外分光法を用いた全反射吸収測定法によ
り測定したときの2940〜2800cm-1の波長の吸
収スペクトルの洗浄前の面積値Aと洗浄後の面積値Bと
の差分を算出し、その値が0.01以上0.30以下と
なるように規定している。このため、この磁気記録媒体
では、磁性層表面の潤滑剤量を正確に評価できるととも
に、優れた電磁変換特性及び優れた走行耐久性を両立す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る磁気記録媒体の一例として示す磁
気ディスクの要部断面図である。
【図2】フーリエ変換赤外分光法を用いた全反射吸収測
定法により上層磁性層表面を測定したときのチャートを
示す特性図である。
【図3】ウェット・オン・ウェット塗布方式で下層非磁
性層及び上層磁性層を形成するための塗膜形成装置を示
す模式図である。
【図4】塗膜形成装置の塗布装置の一例を示す模式図で
ある。
【図5】塗布装置の他の例を示す模式図である。
【図6】塗布装置の他の例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 磁気ディスク、2 非磁性支持体、3 下層非磁性
層、4 上層磁性層、5潤滑剤層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 5/84 G11B 5/84 C Fターム(参考) 4J038 BA021 CA021 CD021 CD081 CD101 CG141 DA031 DA111 DB001 DD121 DG001 DJ011 DL031 HA066 KA07 KA09 KA20 NA17 PB11 PC02 PC03 PC08 5D006 AA01 BA09 BA19 5D112 AA05 AA07 BB10 JJ06

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に、少なくとも結合剤と
    磁性粉末とを混練してなる磁性塗料を塗布してなる磁性
    層と、上記磁性層表面に配設された潤滑剤層とを備える
    磁気記録媒体において、 上記磁性層表面を、フーリエ変換赤外分光法を用いた全
    反射吸収測定法により測定したときの2940〜280
    0cm-1の波長の吸収スペクトルの面積値をAとし、上
    記潤滑剤を除去した状態で上記磁性層表面を、フーリエ
    変換赤外分光法を用いた全反射吸収測定法により測定し
    たときの2940〜2800cm-1の波長の吸収スペク
    トルの面積値をBとしたときに、(A−B)の値が0.
    01以上0.30以下であることを特徴とする磁気記録
    媒体。
  2. 【請求項2】 上記磁性層は、少なくとも結合剤と非磁
    性粉末とを混練してなる非磁性塗料を塗布してなる非磁
    性層上に、上記非磁性塗料が未乾燥状態のうちに上記磁
    性塗料を塗布することにより形成されたこと特徴とする
    請求項1記載の磁気記録媒体。
JP2000077852A 2000-03-15 2000-03-15 磁気記録媒体 Withdrawn JP2001266327A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000077852A JP2001266327A (ja) 2000-03-15 2000-03-15 磁気記録媒体
US09/808,528 US20010033947A1 (en) 2000-03-15 2001-03-14 Magnetic recording medium

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000077852A JP2001266327A (ja) 2000-03-15 2000-03-15 磁気記録媒体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001266327A true JP2001266327A (ja) 2001-09-28

Family

ID=18595340

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000077852A Withdrawn JP2001266327A (ja) 2000-03-15 2000-03-15 磁気記録媒体

Country Status (2)

Country Link
US (1) US20010033947A1 (ja)
JP (1) JP2001266327A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015179560A (ja) * 2015-06-10 2015-10-08 日立マクセル株式会社 磁気記録媒体

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6632465B2 (ja) * 2016-04-28 2020-01-22 富士フイルム株式会社 マイクロ波アシスト記録用磁気記録媒体および磁気記録装置
JP7105202B2 (ja) 2019-01-16 2022-07-22 富士フイルム株式会社 マイクロ波アシスト記録用磁気記録媒体、磁気記録装置、および磁気記録媒体の製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015179560A (ja) * 2015-06-10 2015-10-08 日立マクセル株式会社 磁気記録媒体

Also Published As

Publication number Publication date
US20010033947A1 (en) 2001-10-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2002269711A (ja) 磁気テープおよび磁気テープカートリッジ
JP2001266327A (ja) 磁気記録媒体
JP2003022520A (ja) 磁気テープ
JPH0935245A (ja) 磁気記録媒体
JPH1173628A (ja) 磁気記録媒体
JP3852198B2 (ja) 磁気記録媒体
JP2002245745A (ja) 磁気テープおよび磁気テープカートリッジ
JP2004103217A (ja) 磁気記録媒体
JP2001266340A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JP2004342171A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JPH0349032A (ja) 磁気記録媒体
JPH1186270A (ja) 磁気記録媒体
JP2001325712A (ja) ディスク状磁気記録媒体
JP2001325714A (ja) ディスク状磁気記録媒体
JPH117623A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
JPH0652544A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JPH1083530A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法、並びにその使用方法
JPH02132639A (ja) 磁気記録媒体の製造方法及びその装置
JP2001056934A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JP2000285439A (ja) 磁気記録媒体
JPH1031818A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JPH0997415A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
JP2001283422A (ja) 磁気記録媒体
JPH1196550A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JP2001150350A (ja) ラッピングテープ

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20070605