JP4575641B2 - スリッティング装置および方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、主として、記録容量、アクセス速度、転送速度が高い磁気テープカートリッジに関し、特にトラックサーボ用の磁気信号または光学信号が記録され、磁気抵抗効果型素子を利用した再生ヘッド(以下、MRヘッド)によって磁気記録信号が再生される磁気テープを備えた、データバックアップ用として好適な1リール型の磁気テープカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気テープは、オーディオテープ、ビデオテープ、コンピユーターテープなど種々の用途があるが、特にデータバックアップ用の磁気テープ(バックアップテープ)の分野ではバックアップ対象となるハードディスクの大容量化に伴い、1巻当たり数十GB以上の記憶容量のものが商品化されており、今後もハードディスクのさらなる大容量化に対応するためこの種バックアップテープの高容量化は不可欠となっている。また、アクセス速度や転送速度を大きくするため、テープの送り速度、テープとヘッド間の相対速度を高めることも必要不可欠となっている。
【0003】
バックアップテ−プ1巻当たりの高容量化のためには、テープ全厚を薄くして1巻あたりのテープ長さを長くすること、磁性層厚さを0.3μm以下と極めて薄くすることで厚さ減磁を小さくして記録波長を短くすること、記録トラック幅を21μm以下、特に15μm以下と狭くして幅方向の記録密度を高くすることなどが必要である。
【0004】
磁性層厚さを0.3μm以下と極めて薄くすると、耐久性が劣化するなどの問題が生じるので、これを防止するために非磁性支持体と磁性層との間に少なくとも一層の下塗層を設ける手段も採られる。また、記録波長を短くすると、磁性層と磁気ヘッドとのスペーシングの影響が大きくなるので、磁性層に大きな突起やへこみがあるとスペーシングロスによる出力の低下により、エラーレートが高くなる。
【0005】
記録トラック幅を21μm以下、特に15μm以下と狭くして幅方向の記録密度を高くすると磁気テープからの漏れ磁束が小さくなるため、再生ヘッドに微小磁束でも高い出力が得られる磁気抵抗効果型素子を利用したMRヘッドを使用する必要がある。
【0006】
MRヘッド対応の磁気記録媒体には、例えば特開平11−238225号公報、特開2000−40217公報、特開2000−40218公報等に記載されたものがある。これらの公報に記載された磁気記録媒体では、その磁束(残留磁束密度と厚さとの積)を特定の値に制御してMRヘッドの出力の歪を防止したり、磁性層表面のへこみを特定の値以下にしてMRヘッドのサーマル・アスペリティを低減させたりしている。
【0007】
また、トラック幅を狭くすると、オフトラックによる再生出力の低下が問題になるので、これを避けるためにトラックサーボが必要になる。このようなトラックサーボの方式としては光学サーボ方式や磁気サーボ方式があるが、いずれの方式を採用するにしても、箱状のケース本体の内部に磁気テープを収めた磁気テープカートリッジ(カセットテープともいう)においては、磁気テープ巻装用のリールを一つしか持たない1リール型(単リール型)にし、その上でカートリッジから引き出した磁気テープにトラックサーボを行う必要がある。これは、データ転送速度を高くするためにテープ走行速度を高める(例えば2.5m/秒以上にする)と、テープ繰り出し用とテープ巻き取り用の2つのリールを持った2リール型では安定走行できないためである。また、2リール型ではカートリッジサイズが大きくなり、体積当たりの記憶容量が小さくなる。
【0008】
先に述べたようにトラックサーボ方式には磁気サーボ方式や光学サーボ方式があるが、前者は、後述する図9に示すようなサーボバンド200を磁気記録により磁性層に形成し、これを磁気的に読み取ってサーボトラッキングを行うものであり、後者は、凹部アレイからなるサーボバンドをレーザー照射等でバックコート層に形成し、これを光学的に読み取ってサーボトラッキングを行うものである。なお、これら以外に、磁気サーボ方式にはバックコート層にも磁性を持たせ、このバックコート層に磁気サーボ信号を記録する方式があり、また光学サーボ方式にはバックコート層に光を吸収する材料等で光学サーボ信号を記録する方式もある。
【0009】
ここで、前者の磁気サーボ方式を例にとってトラックサーボの原理を簡単に説明する。図9に示すように、磁気サーボ方式を採用する磁気テープ3では、磁性層にそれぞれテープ長手方向に沿って延びるトラックサーボ用のサーボバンド200とデータ記録用のデータトラック300とが設けられる。このうちサーボバンド200は、各々サーボトラック番号を磁気的に記録した複数のサーボ信号記録部201からなる。磁気テープに対してデータの記録・再生を行う磁気ヘッドアレイ(図示せず)は、一対(順走行用と逆走行用)のサーボトラック用MRヘッドと、例えば8×2対の記録・再生用ヘッド(記録ヘッドは磁気誘導型ヘッドで構成され、再生ヘッドはMRヘッドで構成される)とを有しており、サーボ信号を読み取ったサーボトラック用MRヘッドからの信号に基づいて磁気ヘッドアレイ全体が連動して動くことで、記録・再生用ヘッドがテープ幅方向に移動してデータトラック(例えば、8×2対の記録・再生ヘッドが搭載された磁気ヘッドアレイでは、サーボトラック1本に対応して8本のデータトラックが存在する)に到達する。
【0010】
このとき、磁気テープは、その長手方向に沿った両端部(テープエッジ)のうちの一方のテープエッジが、例えば、磁気記録再生装置(テープ駆動装置)に備えられたガイドローラのフランジ内面によってテープ幅方向位置を規制された状態で走行するが(図7参照)、図3に一部拡大して模式的に示したように、磁気テープ3のテープエッジ3aには、通常、エッジウィーブまたはエッジウェーブと呼ばれる波打ち状の凹凸(テープ幅方向の端面がテープ長手方向に沿って波打つことによってできた凹凸)が存在する。そのため、磁気テープ3は上記の走行基準となるフランジ内面に沿って走行していてもその幅方向の位置が微妙に変動する。しかし、上記のようなサーボ方式を採用することで、磁気テープの位置がその幅方向に微妙に変動してもこれに伴って磁気ヘッドアレイ全体がテープ幅方向に移動して、記録・再生用ヘッドは絶えず正しいデータトラックに到達する。また、記録トラック幅が24μm以上のシステムでは、再生トラック幅に比べて記録トラック幅を広くすることでオフトラックマージンを大きくし[例えば、(記録トラック幅:約28μm,再生トラック幅:約12μm)、(記録トラック幅:約24μm,再生トラック幅:約12μm)]、約3μm程度の磁気テープの位置の変動(エッジウイーブ)があってもオフトラックによる再生出力の低下が殆どなかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、記録トラック幅Wが21μm以下とすると、従来問題にならなかった約3μm程度のエッジウイーブでもオフトラックによる再生出力の低下が見られた。これは、再生出力を確保するために、再生トラック幅を従来と同じにする必要があったためにオフトラックマージンが小さくなったためである。さらに、このように記録トラック幅が21μm以下と狭い場合には、エッジウイーブの絶対値だけではなく、エッジウイーブの周期、テープ走行速度もオフトラックに複雑な関係を持つことがわかった。そこで、記録トラック幅21μm以下と狭い磁気テープにサーボ方式を適用するに当たって、そのエッジウィーブの周期fと量α、記録トラック幅W、テープ走行速度Vと、ヘッド追随性との関係等について詳しく調べたところ、図3に示したようにテープエッジに存在する周期がfのエッジウィーブ量(当該テープエッジのテープ幅方向(図3のY−Y’方向)の変位量)をα、テープ走行速度をV[mm/秒]、記録トラック幅をW[μm]とした時、α/W、(α/W)×(V/f)が特定値を越えると、PES(positioning error signal、位置ずれ量のばらつきを表す数値、標準偏差σの値)が大きくなり、トラッキングエラーを引き起こすことが明らかになった。この現象は記録トラック幅が21μm以下にした場合の新たな課題である。
【0012】
これは、磁気ヘッドアレイ全体は大きい質量を有しているので、走行時にテープ幅方向の位置が規制されるテープエッジ(図3に示す片側のテープエッジ3aのみならず、直ぐ後で述べるように両側のテープエッジ3a・3a’のときもある)における周期fのエッジウィーブ量をα、記録トラック幅をW、テープ走行速度をVとした時、(α/W)、(α/W)×(V/f)が特定値を越えると、これに伴って生じる磁気テープの幅方向の動きに磁気ヘッドアレイの動きが追随できなくなるため、PESが大きくなり、オフトラックマージンの小さい場合はオフトラックが大きくなると推定される。このような現象は上述のように記録トラック幅が24μm以上の場合はさほど問題にならなかった。問題にならなかった理由は、磁気ヘッドアレイの動きが鈍くPESが大きくても、再生トラック幅に比べて記録トラック幅が充分広いのでオフトラックマージンが大きく[例えば、(記録トラック幅:約28μm,再生トラック幅:約12μm)、(記録トラック幅:約24μm,再生トラック幅:約12μm)の場合は片側約6μm以上のオフトラックマージンがある]オフトラックによる再生出力の低下が殆どなかったためである。
【0013】
なお、上述のように磁気記録再生装置(テープ駆動装置)では、通常、ガイドローラの溝幅(その両端部に設けられている一対のフランジの内面間の間隔、図7参照)は磁気テープの幅よりも数10μm大きな寸法に設定されているので、走行基準側のエッジウィーブの周期fと量αが支配的であるが、サーボ信号を記録する装置(サーボライタ)ではガイドローラの溝幅は磁気テープの幅とほぼ等しい寸法に設定されていてクリアランスが殆どないので、両側のテープエッジ3a・3aがともに走行基準側になり、両側のテープエッジ3a・3aのエッジウィーブの周期fと量αがともにサーボ信号の直線性を支配する。したがって、PESを小さくして、オフトラックを小さくするためには、両側のテープエッジ3a・3aにおけるエッジウィーブの周期fと量αと、記録トラック幅W、テープ走行速度Vの関係を上記の関係式を満たすようにする必要がある。
【0014】
PESが大きくなると、記録トラック幅が21μm以下と狭い場合には、オフトラックエラーが発生し、正常なサーボを行うことができなくなる。このような問題は、磁気サーボ方式および光学サーボ方式の両者に共通して生じるものであるが、光学サーボ方式の方が、用いられる磁気ヘッドアレイ全体の質量が磁気サーボ方式のものに比べて大きいために一層顕著である。
【0015】
本発明は、以上のような問題に対処するもので、その主たる目的は、PESが小さく、記録トラック幅が21μm以下と狭い場合にも、オフトラックの生じにくい磁気テープおよび磁気テープカートリッジを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するため、鋭意検討した結果、テープ走行速度をV、テープ走行時に走行基準側となる一方のテープエッジ3aまたはその反対側となるテープエッジ3a’に存在する周期がfのエッジウィーブ量をα、記録トラック幅をWとした時、α/W、(α/W)×(V/f)を特定値以下にすると、PESが小さくなり、記録トラック幅が21μm以下と狭い場合にも、オフトラックが生じにくくなることを見いだした。このような知見に基づき、本発明に係る磁気テープおよび磁気テープカートリッジは、次のように構成した。
【0017】
すなわち、非磁性支持体上の一面に、少なくとも一層の磁性層が形成され、反対面にバックコート層が形成されており、前記磁性層またはバックコート層にトラッキング制御用のサーボ信号が記録され、4m/秒以上の走行速度で使用され、記録トラック幅が21μm以上の磁気テープにおいて、図3に示すように、磁気テープ3の走行時に走行基準側となる一方のテープエッジ3aまたはその反対側となるテープエッジ3a’に存在する周期がf[mm]のエッジウィーブ量をα[μm]、テープ走行速度をV[mm/秒]、記録トラック幅をW[μm]とした時、(α/W)×(V/f)が10[s-1]以下、および/またはα/Wを0.1以下に設定する。また、本発明の磁気テープカートリッジは、図1に示すように、箱状のケース本体1の内部に、上記磁気テープ3を巻装した1個のリール2が配置されており、テープ走行時に走行基準側となる一方のテープエッジのテープ幅方向外方への位置が規制された状態で、当該磁気テープ3に記録されたサーボ信号によってトラッキング制御されるようにしたものである。
【0018】
さらに、本発明者らは、このような1リール型の磁気テープカートリッジにおいて、図2および図8に示すように、リール2の巻芯部23の外周形状を、テープ走行時に走行基準側となる一方のテープエッジ側(図2および図8では巻芯部23の上端側)で大径となるようにテーパ状とし、かつ巻芯部23の直ぐ外側に位置するリール内周部内側において対向する鍔部(巻芯部23の両端側に設けられている大径のリール鍔)21・22の内面間の間隔S1と、テープ幅の上限値Pとの比(S1/P)を特定範囲にするとともに、リール外周部内側において対向する鍔部21・22の内面間の間隔S2と、テープ幅の上限値Pとの比(S2/P)を特定範囲にすると、さらにPESが小さくなり、オフトラックが生じにくく、またテープエッジの痛みや巻き乱れも少なくなることを見いだした。なお、本発明の磁気テープカートリッジにおいて、リール内周部とは、リールに所定の状態に巻装された磁気テープの最も内側の第1周目が位置する部分を意味し、リール外周部とは、当該リールの最外周部を意味する。
【0019】
前記リール2は、具体的には、これの中央に設けられた巻芯部23と、この巻芯部の両端に位置する一対の大径の鍔部21・22とを有する。そして、図8に示すように、前記のテープ走行時に走行基準側となる一方のテープエッジ側に位置する巻芯部23の一端側23aがその他端側23bよりも大径となるように、巻芯部23の外周面が0.01〜0.1度のテーパ角を有するテーパ状に形成されている。加えて、巻芯部23の直ぐ外側に位置するリール内周部内側において対向する鍔部21・23の内面間の間隔S1と、テープ幅の上限値Pとの比(S1/P)が、1.010≦(S1/P)≦1.022の範囲に設定されているとともに、リール外周部内側において対向する鍔部21・23の内面間の間隔S2と、テープ幅の上限値Pとの比(S2/P)が、(S1/P)<(S2/P)<1.041の範囲に設定されている。これらの構成は、磁気テープを走行させたときに、先の一方のテープエッジ3a側がガイドローラ70のフランジ71の内面(走行基準となる面)に確実に沿うようにすることにより、磁気テープ3の幅方向の微振動をできるだけ抑制ないし防止し、これによってトラッキングサーボが良好に行われるようにするためのものである(図7参照)。(S1/P)は、1.013≦(S1/P)≦1.020がより好ましく、1.016≦(S1/P)≦1.018がさらに好ましい。この範囲が好ましいのは、(S1/P)が1.010未満ではテープエッジがガイド等にこすれて傷付き易く、1.022を越えるとテープ巻き乱れが起こりやすくなるためである。また、(S2/P)は、1.01(S1/P)〜1.03(S1/P)がより好ましく、1.015(S1/P)〜1.025(S1/P)がさらに好ましい。この範囲が好ましいのは、(S2/P)が(S1/P)より小さいか等しいとテープの巻き込み時や巻き出し時にリールの鍔と磁気テープエッジがこすれてテープエッジが痛みやすくなるためである。この現象はリール巻芯部の高さとガイドローラ溝部の高さが微妙に異なっている場合は顕著である。また、(S2/P)が1.041以上になるとテープ巻き乱れの原因になる。また、上述のように、テーパ角β、(S1/P)、(S2/P)を上記範囲に設定したものは、オフトラック特性も優れている。さらに、磁気テープエッジの傷付き防止と巻き乱れ防止の目的で、磁気テープのカーバチャーについてはテープ長さ1m当り2mm以下とするのが望ましい。
【0020】
以上の場合において、サーボ信号は磁気テープの磁性層またはバックコート層に磁気信号として記録したものであってもよいし、磁気テープのバックコート層に凹部や光を吸収する材料で光学信号を形成したものであってもよい。つまり、本発明の磁気テープカートリッジ(およびこれに備えられる磁気テープ)は、磁気サーボ方式および光学サーボ方式のいずれにも適用できるものである。
【0021】
また、高記録密度化のためには、本発明の磁気テープカートリッジは、磁気テープにおける磁気記録信号が、磁気抵抗効果型素子を利用した再生ヘッド(MRヘッド)によって再生されるものであることが好ましい。さらに、磁気サーボ方式では、サーボ信号もMRヘッドによって再生されるものであることが好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明が適用される磁気テープカートリッジの一般的な構造を示し、図2はその内部構造を示す。図1において、磁気テープカートリッジは、上下ケース1a・1bを蓋合わせ状に接合してなる角箱状のケース本体1を有し、ケース本体1の内部に配置した1個のリール2に磁気テープ3を巻装している。ケース本体1の前壁6の一側端には、テープ引出口4が開口してある。テープ引出口4は、スライド開閉可能なドア5で開閉できるようになっている。リール2に巻装した磁気テープ3をケース外へ引き出し操作するために、磁気テープ3の繰り出し端にテープ引出具7が連結されている。図1中の符号20は、ドア5を閉じ勝手に移動付勢するためのドアばねを示す。
【0023】
図2において、リール2は、上鍔部21と下鍔部22、および下鍔部22と一体に成形されて上向きに開口する有底筒状の巻芯部23とからなる。巻芯部23の底壁23cは、ケース底壁の駆動軸挿入口1c上に位置している。巻芯部23の底壁23cの外周には、テープ駆動装置(磁気記録再生装置)側の部材に係合するギヤ歯が形成されており、巻芯部23の底壁23cの中心には、テープ駆動装置側のロック解除ピン(図示せず)の挿入を許す底孔23dが設けられている。ケース本体1内には、不使用時にリール2の不用意な回転を阻止するリールロック機構が備えられている。図2中の符号12は、このリールロック機構を構成するブレーキボタンを示し、符号17は、同じくブレーキボタン12を図中の下方に付勢するスプリングを示している。
【0024】
本発明では、図1および図2に例示した磁気テープカートリッジに使用し、4m/秒以上のテープ走行速度、記録トラック幅Wが21μm以下の磁気テープ3において、図3に示すにように、テープ走行時に走行基準側となる一方のテープエッジ3aに存在する周期fがf[mm]のエッジウィーブ量をα[μm]、記録トラック幅をW[μm]、テープ走行速度をV[mm/秒]とした時、(α/W)×(V/f)を10[s-1]以下、および/または、α/Wを0.1以下に設定する。ここで、図3では磁気テープ3の走行方向をX−X’で示してある。エッジウィーブの周期fと量αと、記録トラック幅W、テープ走行速度Vとの関係を上記のようにすると、PESが0.40μm以下と小さくなり、オフトラック量が12%以下(より好ましくは6%以下、さらに好ましくは5%以下)の良好なサーボトラック特性が得られる。α/Wは、0.07以下がより好ましく、0.065以下がさらに好ましく、0.05以下が一層好ましく、0が最も好ましい。α/Wは0.1以下が好ましいのは、PESが小さくオフトラックによる再生出力の低下が少ないためである。また、(α/W)×(V/f)は4.4[s-1]以下がより好ましく、4以下がさらに好ましく、0が最も好ましい。(α/W)×(V/f)は10[s-1]以下が好ましいのは、テープ送り速度が大きくなってもPESが小さく、オフトラックによる再生出力の低下が少ないためである。特に、テープエッジに存在する周期fのエッジウイーブ量αを上記の値に設定すると、テープ走行速度が4m/秒以上と速く、かつ、記録トラック幅が21μm以下と狭い場合にもさらに良好なサーボトラック特性が得られる。
【0025】
なお、サーボ信号を記録する装置(サーボライタ、図示せず)では、両側のテープエッジ3a・3a’がともに走行基準側になるので、良好なサーボ信号を記録するためには、両側のテープエッジ3a・3a’において、エッジウィーブ量を上記のように設定する必要がある。
【0026】
テープ送り速度が4m/秒程度でも、オフトラックを引き起こす範囲のエッジウィーブ量をもった短周期(例えば、50mm以下)のエッジウィーブができる原因について調べた結果、磁気テープ原反をスリッティングする際の当該テープ原反のばたつきによる短周期テンション変動が原因であることがわかった。この結果を基に、本発明者らは、スリッティングシステム(磁気テープ原反を所定幅の磁気テープにスリッティングするためのシステム)を構成している各種要素の改良を試みた。具体的には、例えば図4に示すようなスリッティングシステム100に備えられているテンションカットローラ50の改良、刃物駆動部60に動力を伝達するタイミングベルト・カップリング(図示せず)の改良、刃物駆動部60の機械的振動の抑制等を行った。その結果、スリッティング後の磁気テープにおいて、テープエッジに存在する短周期(周期fが50mm以下)のエッジウィーブのエッジウィーブ量を2μm以下にすることができた。上記改良の中、磁気テープ原反Gの張力を調節するために使用されるテンションカットローラ50の改良が、短周期のエッジウィーブによるテープ幅方向の変動を抑制する手段として最も有効であった。
【0027】
つぎに、テープ送り速度が6m/秒程度で、オフトラックを引き起こす範囲のエッジウィーブ量をもった比較的長周期(例えば、60〜70mm)のエッジウィーブができる原因について調べた。図4に示した刃物駆動部60においては、互いに反対方向に回転駆動される上下の刃物群61・62が備えられている。これらは、別途備えられた動力伝達装置を介して図示しない駆動モータに連結されており、この駆動モータによって回転駆動されるようになっている。その場合、駆動モータの動力を刃物駆動部60に伝達する動力伝達装置を、平ベルトとゴムカップリングとを組み合わせたもので構成すると、タイミングベルトとゴムカップリングとを組み合わせた場合や、平ベルトと金属カップリングとを組み合わせた場合や、タイミングベルトと金属カップリングとを組み合わせた場合に比べて、スリッティング後に得られる磁気テープのテープエッジにおいて、テープ幅方向の位置変動の周期は変化しないないが、比較的長周期のエッジウィーブ量は減少する。さらに、比較的長周期のエッジウィーブ量を低減する方法について検討した結果、刃物駆動部60を動力伝達装置を使用せず、モータからダイレクトドライブすれば、エッジウィーブ量が極端に小さくなることも見出した。なお、図4中の符号90・91は、磁気テープ原反Gの走行経路に沿って配置したガイドを示す。
【0028】
また、エッジウイーブの周期を、テープ送り速度が8m/秒以上の速い速度でも、オフトラックを引き起こさない範囲の長周期(例えば、80mm以上)のする方法について検討した結果、スリティング速度を速くすれば、エッジウイーブ量は殆ど変化しないが、周期fがスリティング速度の比率に応じて長くなることがわかった。
【0029】
テンションカットローラの吸引力を通常の1.33×104 Pa(100mmHg)から、テンションカットができる下限の1.33×103 Pa(10mmHg)に減少させると、短い周期のエッジウィーブによるテープ幅方向の変動量は殆どなくなる。しかし、この方法では、生産の安定性に欠ける心配がある。
【0030】
図5に示すように、先のスリッティングシステムで用いられるテンションカットローラ50には、これの外周に沿って一定間隔ごとにサクション吸引部51が設けられている。従来においては、この部分が、当該ローラ50の軸方向(図5において紙面と直交する方向)に一定間隔を開けて配置された複数の孔で形成されていたため、磁気テープ原反に対して吸引状態と非吸引状態を繰り返したときに磁気テープ原反が比較的大きくばたつき、その結果、上述したような図5の周期T1に応じた短周期のエッジウィーブにおいてテープ幅方向変位量(エッジウィーブ量α)が比較的大きなものとなっていた。そこで、先に述べたエッジ構造を有する本発明の磁気テープを得るにあたっては、上記のサクション吸引部51をメッシュあるいは多孔質材料で形成してメッシュサクションとしたテンションカットローラを使用する。これにより、テンションカットローラ50の吸引力を1.33×104 Pa(100mmHg)とし且つスリッティング速度を速くしても図5の周期T1に応じた短い周期のエッジウィーブ量αを従来よりも小さなものとすることができる。つまり、本発明で特定したテープエッジ構造を有する磁気テープ[(α/W)×(V/f)、および/またはα/Wが小さい磁気テープ]を作ることができる。
【0031】
ところで、このような磁気テープを用いてデータを記録再生するための磁気記録再生装置(テープ駆動装置)においては、図6に示すように、磁気テープカートリッジのケース本体1から引き出した磁気テープ3を所定の経路に沿って走行させるためにガイドローラ70が備えられる。この図では、一対のガイドローラ70・70間にヘッド部80が配置されている。
【0032】
前記ガイドローラ70は、図7に拡大して示すように、その軸方向の両端部に磁気テープ3の幅方向位置を規制するフランジ71・72が設けられており、これら一対のフランジ71・72間のローラ外周部が磁気テープの幅方向(図7の上下方向)の動きを規制する溝73となっている。これの溝幅Hは、通常、磁気テープ3の幅Lよりも数10μm大きな寸法に設定されており(溝73の深さは一般に2〜3mmである)、磁気テープ3は溝73を形成している両フランジ71・72によってそのテープ幅方向の動きを規制されながら走行するようになっている。その場合、理由は不明であるが、先の磁気テープにおいて短周期エッジウィーブのエッジウィーブ量を規定した側のテープエッジ3aを一方のフランジ(図7で上部側に位置するフランジ)71の内面に沿わせるようにして磁気テープ3を走行させるとPESを小さくできることが判明した。なお、上述のように磁気記録再生装置でのサーボトラッキング時にはガイドローラの溝幅が磁気テープの幅よりも数10μm大きな寸法に設定されているので、走行基準側のエッジウィーブ量が支配的であるが、サーボ信号を記録する装置ではガイドローラの溝幅は磁気テープの幅とほぼ等しい寸法に設定されていてクリアランスが殆どないので、両側のテープエッジがともに走行基準側になり、両側のテープエッジのエッジウィーブ量がともにサーボトラックの直線性を支配する。したがって、両側のテープエッジのエッジウィーブ量をともに特定値以下に規制する必要がある。
【0033】
本発明の磁気テープカートリッジにおいては、磁気記録再生装置でのテープ走行時に走行基準となる前記一方のフランジ71の内面に沿って磁気テープ3を走行させるために、図8に誇張して示したごとく、走行基準側となるテープエッジ側に位置する巻芯部23の一端側(図8において上端側)がその他端側(図8において下端側)よりも大径となるように、巻芯部23の外周面を、0.01〜0.1度のテーパ角度を有するテーパ状に形成する。加えて、図2に示したように、巻芯部23の直ぐ外側に位置するリール内周部内側において対向する鍔部21・22の内面間の間隔S1と、テープ幅の上限値Pとの比(S1/P)が、1.010≦(S1/P)≦1.022の範囲に設定し、かつリール外周部内側において対向する鍔部21・22の内面間の間隔S2と、テープ幅の上限値Pとの比(S2/P)が、(S1/P)<(S2/P)<1.041の範囲に設定する。このようにすれば、一層PESが小さくなり、オフトラック量の小さい良好なサーボトラック特性が得られる。また、テープエッジの痛みやテープ巻き乱れも少なくなる。なお、磁気テープの走行時にそのテープ幅方向において走行基準となる側は磁気記録再生装置(テープ駆動装置)によって異なっており、これに対応して磁気テープカートリッジにおいても、ケース本体1の上面側が走行基準側になるものと、下面側が走行基準側になるものの両方の方式が使用されている。図6に例示した磁気サーボ方式の磁気記録再生装置に用いる磁気テープカートリッジでは、図1、図2および図8に示したようにケース本体1の上面側が走行基準側である。
【0034】
ここで、図1および図2中に示したリール2と、図6中および図7に示したガイドローラ70とにおける各部の寸法例を以下に示す。
・リール外径(鍔部の最外周の直径):約97mm
・巻芯部外径(最外周の直径):約42mm
・磁気記録再生装置に備えられたガイドローラの上下のフランジ外面間の寸法:約12.9mm
・上下のフランジ71・72の内面間の寸法(ガイドローラの溝幅H):約12.7mm
・上下のフランジ71・72の直径:約12mm
・上下のフランジ71・72間に位置するローラ外周部分の直径:約18mm
【0035】
走行基準側となるテープエッジ3a側で外径が大きくなるように巻芯部23の外周をテーパ状に形成するとよいのは、磁気記録再生装置に備えられたガイドローラ70において走行基準面となる一方のフランジ71の内面に、前記エッジウィーブ量αを規定したテープエッジ3aが沿うようにして磁気テープ3が走行するので、当該テープエッジ3aとフランジ71との相対位置のずれによるPESが小さくなり、オフトラック量の小さい良好なサーボトラック特性が得られるためである。この場合、巻芯部23のテーパ角度として0.01〜0.1度が好ましいのは、0.01度未満では効果が小さく、0.1度を越えると上述したガイドローラ70において走行基準面となる一方のフランジ71の内面にテープエッジ3aが強く押し付けられて当該エッジ部分が傷みやすくなるためである。
【0036】
巻芯部23の直ぐ外側に位置するリール内周部内側において対向する鍔部21・22の内面間の間隔S1と、テープ幅の上限値Pとの比(S1/P)として、1.010≦(S1/P)≦1.022の範囲が好ましいのは、(S1/P)が1.010未満になるとテープエッジが痛む原因になり、1.022を越えるとテープ巻き乱れの原因になるためである。(S1/P)は、1.013≦(S1/P)≦1.020がより好ましく、0.016≦(S1/P)≦1.018がさらに好ましい。
【0037】
リール外周部内側において対向する鍔部内面間の間隔S2と、テープ幅の上限値Pとの比(S2/P)として、(S1/P)<(S2/P)<1.041の範囲が好ましいのは、この(S2/P)が(S1/P)より小さいか等しいとテープの巻き込み時や巻き出し時にリールの鍔と磁気テープエッジがこすれてテープエッジが痛みやすくなるためである。この現象はリール巻芯部の高さとガイドローラ溝部の高さが微妙に異なっている場合は顕著である。また、(S2/P)が1.041以上になるとテープ幅方向の変動の周期fと変動量が同じものでは、ガイドローラにおいて走行基準面となる側のフランジとテープエッジとの相対位置のずれによるPESが相対的に大きくなり、オフトラック量が大きくなりやすいためである。また、テープ巻き乱れの原因にもなる。さらに、(S2/P)は、1.01(S1/P)〜1.03(S1/P)の範囲がより好ましく、1.015(S1/P)〜1.025(S1/P)の範囲がさらに好ましい。
【0038】
1/2インチ幅の磁気テープを収容した磁気テープカートリッジでは、リール内周部内側において対向する鍔部21・22の内面間の間隔S1の一例は12.860mm〜12.880mm、リール外周部内側において対向する鍔部21・22の内面間の間隔S2の一例は、13.140mm〜13.160mmである。リール内周部内側からリール外周部内側に至る鍔部21・23の内面は、リール2を径方向に切断した断面形状において直線もしくは略直線である。
【0039】
また、通常、磁気テープには1m当り2mm程度のカーバチャー(曲がり)がある。このカーバチャーはないことが好ましいが、カーバチャーが避けられない場合には、2mm以下、より好ましくは1mm以下とする。カーバチャーをこのようなものとすることにより、走行基準面となるガイドローラのフランジ内面に沿ってテープが走行することとなるので、当該テープエッジとフランジ内面(走行基準面)との相対位置のずれによるPESが小さくなり、オフトラック量の小さい良好なサーボトラック特性が得られるので好ましい。なお、カーバチャーが0.1mm未満の磁気テープを作製することは困難であり、通常は0.1mm以上のカーバチャーが存在する。
【0040】
さらに、テープ走行異常もPES上昇の原因になる。テープ走行異常の原因には、(a)磁気テープの磁性層とスライダ(材料:ALTIC;アルミナ/チタニア/カーバイド)との動摩擦係数と、磁気テープの磁性層とガイドローラ(材質:アルミニウム)との動摩擦係数(磁気テープの磁性層とアルミニウムとの動摩擦係数は、磁気テープの磁性層とSUSとの動摩擦係数と等しいので、通常測定法が確立された後者で代用する)のアンバランス、(b)サーボ信号書き込みヘッドの形状不適切等がある。特に、磁気テープとスライダ(ALTIC)との動摩擦係数が高いと、磁気ヘッドアレイが磁気テープの幅方向に移動する際に、磁気テープも幅方向に動くためにPESが大きくなり、オフトラック量が大きくなる。したがって、磁気テープ磁性層とスライダ(材料:ALTIC)の動摩擦係数は、0.35以下にする必要がある。より好ましくは0.1〜0.3、さらに好ましくは0.1〜0.25である。通常、磁気テープ磁性層とSUSとの動摩擦係数は0.1〜0.3、磁気テープバックコート層とSUSとの動摩擦係数は0.1〜0.3である。なお、これらの動摩擦係数を0.10未満にすることは難しい。
【0041】
また、磁性層とスライダ材料との動摩擦係数をμmSL 、磁性層とSUSとの動摩擦係数をμmSUSとした時の[(μmSL )/(μmSUS)]を0.7〜1.3とすれば磁気テープの走行異常によるPES上昇が小さくなる。さらに、バックコート層とSUSとの動摩擦係数をμBSUSとした時の[(μmSL )/(μBSUS)]を0.8〜1.5とすれば磁気テープの走行異常によるPES上昇が小さくなる。
【0042】
以下に、各構成要素毎の好ましい形態を述べる。
〈非磁性支持体〉
非磁性支持体の厚さは、7.0μm以下が好ましく、2.0〜7.0μmがより好ましい。この範囲の厚さの非磁性支持体がより好ましいのは、2m未満では製膜が難しく、またテープ強度が小さくなり、7.0μmを越えるとテープ全厚が厚くなり、テープ1巻当りの記憶容量が小さくなるためである。
【0043】
非磁性支持体の長手方向のヤング率Eは、非磁性支持体の厚さによって異なるが、通常5.07GPa(500kg/mm2 )以上のものが使用される。6.08GPa(600kg/mm2 )以上が好ましく、7.09GPa(700kg/mm2 )以上がさらに好ましい。この範囲のヤング率の非磁性支持体が好ましいのは、6.08GPa(600kg/mm2 )未満では、磁気テープの強度が弱くなったり、磁気テープの走行が不安定になるためである。また、非磁性支持体の厚さTが5.0μm以下の場合は、剛性(E・T3 )が小さくなりテープ強度が弱くなるので、10.13GPa(1000kg/mm2 )以上のヤング率のものが好ましく使用される。
【0044】
長手方向のヤング率をMD、幅方向のヤング率をTDとした時の比(MD/TD)は、本願発明のようなリニアレコーディングタイプでは、10〜1.8が好ましく、1.1〜1.7がより好ましく、1.2〜1.6がさらに好ましい。この範囲が好ましいのは、ヘッドタッチが良くなるためである。このような非磁性支持体には、ポリエチレンナフタレートフィルム、芳香族ポリアミドフィルム、芳香族ポリイミドフィルム等がある。
【0045】
非磁性支持体には、通常、磁性層形成面、バックコート層形成面共に、中心線平均表面粗さRaが5.0〜10nmのものが使用されるが、磁性層の中心線平均表面粗さRaを小さくしてスペーシングロスを小さくする目的で、磁性層形成面のRaを10〜5.0nmとした非磁性支持体(バックコート層形成面のRaは5.0〜10nm)が使用される場合がある。このような非磁性支持体はデュアルタイプと呼ばれ、2種の非磁性支持体を貼り合わせて作製される。
【0046】
〈下塗層〉
必要に応じて下塗層を設けてもよい。その場合、下塗層の厚さは、0.3〜3.0μが好ましく、0.5〜21μmがより好ましい。この範囲が好ましいのは、0.3μ未満では磁気記録媒体の耐久性が悪くなる場合があり、3.0μmを越えると磁気記録媒体の耐久性向上効果が飽和するばかりでなく、磁気テープの場合は全厚が厚くなって、1巻当りのテープ長さが短くなり、記憶容量が小さくなるためである。
【0047】
下塗層には、導電性改良の目的でカーボンブラック(CB)、塗料粘度やテープ剛性の制御を目的に非磁性粒子を添加する。下塗層に使用する非磁性粒子としては、酸化チタン、酸化鉄、アルミナ等があるが、酸化鉄単独または酸化鉄とアルミナの混合系が好ましく使用される。下塗層に、下塗層中の全無機粉体の重量を基準にして、粒径10〜100nmのカーボンブラックを15〜35重量%、長軸長0.05〜0.20μm、短軸長5〜200nmの非磁性の酸化鉄を35〜83重量%、必要に応じて粒径10〜100nmのアルミナを0〜20重量%含有させると、ウエット・オン・ウエットで、その上に形成した磁性層の表面粗さが小さくなるので好ましい。なお、非磁性酸化鉄は通常針状であるが、粒状または無定形の非磁性酸化鉄を使用する場合には粒径5〜200nmの酸化鉄が好ましい。さらに、表面の平滑性を損なわない範囲で100nm以上の大粒径カーボンブラックを添加することを排除するものではない。その場合のカーボンブラック量は、小粒径CBと大粒径CBの和を上記範囲内にすることが好ましい。
【0048】
下塗層に添加するカーボンブラック(CB)としては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等を使用できる。通常、粒径が5nm〜200nmのものが使用されるが、粒径10〜100nmのものが好ましい。この範囲が好ましいのは、カーボンブラックがストラクチャーを持っているため、粒径が10nm以下になるとカーボンブラックの分散が難しく、100nm以上では平滑性が悪くなるためである。カーボンブラック添加量は、カーボンブラックの粒子径によって異なるが、15〜35重量%が好ましい。この範囲が好ましいのは、15重量%未満では導電性向上効果が乏しく、35重量%を越えると効果が飽和するためである。粒径15nm〜80nmのカーボンブラックを15〜35重量%使用するのがより好ましく、粒径20nm〜50nmのカーボンブラックを20〜30重量%用いるのがさらに好ましい。このような粒径・量のカーボンブラックを添加することにより電気抵抗が低減され、かつ走行むらが小さくなる。
【0049】
下塗層に添加する非磁性の酸化鉄としては、針状の場合、長軸長0.05〜0.20μm、短軸長(粒径)5〜200nmのものが好ましく、粒状または無定形のものでは、粒径5〜200nmが好ましい。粒径0.05〜150nmがより好ましく、粒径0.05〜100nmがさらに好ましい。なお、針状のものが磁性層の配向がよくなるのでより好ましい。添加量は、35〜83重量%が好ましく、40〜80重量%がより好ましく、50〜75重量%がさらに好ましい。この範囲の粒径(針状の場合は短軸長)が好ましいのは、粒径5nm未満では均一分散が難しく、200nmを越えると下塗層と磁性層の界面の凹凸が増加するためである。この範囲の添加量が好ましいのは、35重量%未満では塗膜強度向上効果が小さく、83重量%を越えると反って塗膜強度が低下するためである。
【0050】
下塗層には酸化鉄に加えてアルミナを添加してもよい。アルミナの粒径は、10〜100nmが好ましく、20〜100nmがより好ましく、30〜100nmがさらに好ましい。この範囲の粒径が好ましいのは、粒径10nm未満では均一分散が難しく、100nmを越えると下塗層と磁性層の界面の凹凸が増加するためである。アルミナの添加量は、通常0〜20重量%であるが、2〜10重量%がより好ましく、4〜8重量%がさらに好ましい。
【0051】
〈潤滑剤〉
下塗層と磁性層からなる塗布層に、役割の異なる潤滑剤を使用する。下塗層には全粉体に対して0.5〜4.0重量%の高級脂肪酸を含有させ、0.2〜3.0重量%の高級脂肪酸のエステルを含有させると、磁気テープと走行系のガイドやMRヘッドのスライダ等との動摩擦係数が小さくなるので好ましい。この範囲の高級脂肪酸添加が好ましいのは、0.5重量%未満では、動摩擦係数低減効果が小さく、4.0重量%を越えると下塗層が可塑化してしまい強靭性が失われる。また、この範囲の高級脂肪酸のエステル添加が好ましいのは、0.5重量%未満では、動摩擦係数低減効果が小さく、3.0重量%を越えると磁性層への移入量が多すぎるため、磁気テープと走行系のガイド等が貼り付く等の副作用があるためである。
【0052】
磁性層には強磁性粉末に対して0.2〜3.0重量%の脂肪酸アミドを含有させ、0.2〜3.0重量%の高級脂肪酸のエステルを含有させると、磁気テープと走行系のガイドローラやMRヘッドのスライダ等との動摩擦係数が小さくなるので好ましい。この範囲の脂肪酸アミドが好ましいのは、0.2重量%未満ではヘッドスライダ/磁性層の動摩擦係数が大きくなりやすく、3.0重量%を越えるとブリードアウトしてしまいドロップアウトなどの欠陥が発生する。脂肪酸アミドとしてはパルミチン酸、ステアリン酸等のアミドが使用可能である。また、上記範囲の高級脂肪酸のエステル添加が好ましいのは、0.2重量%未満では動摩擦係数低減効果が小さく、3.0重量%を越えると磁気テープと走行系のガイド等が貼り付く等の副作用があるためである。なお、磁性層の潤滑剤と下塗層の潤滑剤の相互移動を排除するものではない。
【0053】
磁気テープ磁性層とMRヘッドのスライダとの動摩擦係数はPESを小さくするため0.35以下にする必要がある。より好ましくは0.1〜0.3、さらに好ましくは0.1〜0.25である。この範囲がより好ましいのは、0.30を越えると、スライダ汚れによるスペーシングロスが起こりやすいためである。また、磁気ヘッドアレイが磁気テープ幅方向に移動する際に、磁気テープも幅方向に動くためにPESが大きくなり、オフトラック量が大きくなる。なお、0.10未満は実現が困難である。通常、磁気テープ磁性層とSUSとの動摩擦係数は0.1〜0.3で、0.10〜0.25が好ましく、0.10〜0.20がより好ましい。この範囲が好ましいのは、0.25を越えるとガイドローラ等が汚れやすくなるためである。なお、動摩擦係数を0.10未満にすることは難しい。また、磁性層とスライダ材料との動摩擦係数をμmSL 、磁性層とSUSとの動摩擦係数をμmSUSとした時の[(μmSL )/(μmSUS)]は0.7〜1.3が好ましく、0.8〜10がより好ましい。この範囲が好ましいのは、磁気テープの走行異常によるPES上昇が小さくなり、トラッキングずれ(オフトラック)が小さくなるためである。
【0054】
〈磁性層〉
磁性層の厚さは、通常0.3m以下で、0.01〜0.3μmが好ましく、0.01〜0.20μmがより好ましく、0.01〜0.15μmがさらに好ましく、0.01〜0.10μmがいっそう好ましい。この範囲がより好ましいのは、0.01μm未満では均一な磁性層が得にくく、0.3μmを越えると厚さ損失により、再生出力が小さくなったり、当該磁性層における残留磁束密度(Br)と厚さ(δ)との積(Brδ)が大きくなり過ぎて、MRヘッドの飽和による再生出力の歪が起こりやすくなるためである。
【0055】
長手方向の残留磁束密度と厚さとの積は0.0018μTm〜0.06μTmが好ましく、0.036〜0.050μTmがより好ましい。この範囲が好ましいのは、0.0018μTm未満では、MRヘッドによる再生出力が小さく、0.06μTmを越えるとMRヘッドによる再生出力が歪みやすいからである。このような磁性層を有する磁気テープは、記録波長を短くでき、しかも、MRヘッドで再生した時の再生出力を大きくでき、さらに再生出力の歪が小さく出力対ノイズ比を大きくできるので好ましい。
【0056】
磁性層の保磁力は、120〜320kA/mが好ましく、140〜320kA/mがより好ましく、160〜320kA/mがさらに好ましい。この範囲が好ましいのは、120kA/m未満では記録波長を短くすると反磁界減磁で出力低下が起こり、320kA/mを越えると磁気ヘッドによる記録が困難になるためである。
【0057】
磁性層の中心線平均表面粗さRaは、3.2nm以下が好ましく、0.5〜3.2nmがより好ましく、0.7〜3.2nmがさらに好ましく、0.7〜2.9nmがいっそう好ましい。この範囲がより好ましいのは、0.5nm未満では磁気テープの走行が不安定になり、Raが3.2nmを越えると、スペーシングロスにより、PW50(再生出力の半値幅)が広くなったり出力が低下したりして、エラーレートが高くなるためである。
【0058】
磁性層に添加する磁性粉には、Fe粉末、Fe−Co粉末やFe−Nd−B粉末等のような強磁性鉄系金属粉末、六方晶バリウムフェライト粉末が使用される。強磁性鉄系金属粉末、六方晶バリウムフェライト粉末の保磁力は、120〜320kA/mが好ましく、飽和磁化量は、強磁性鉄系金属粉末では、120〜200A・m2 /kg(100〜200emu/g)が好ましく、130〜180A・m2 /kg(130〜180emu/g)がより好ましい。六方晶バリウムフェライト粉末では、50〜70A・m2 /kg(50〜70emu/g)が好ましい。なお、この磁性層の磁気特性と、強磁性粉末の磁気特性は、いずれも試料振動形磁束計で外部磁場128MA/m(16kOe)での測定値をいうものである。
【0059】
本発明の磁気テープにおいて使用するFe粉末、Fe−Co粉末等の針状の強磁性鉄系金属粉末の平均長軸長としては、0.03〜0.2μmが好ましく、0.03〜0.18μmがより好ましく、0.04〜0.15μmがさらに好ましい。この範囲が好ましいのは、平均長軸長が0.03μm未満となると、磁性粉の凝集力が増大するため塗料中への分散が困難になり、0.2μmより大きいと、保磁力が低下し、また粒子の大きさに基づく粒子ノイズが大きくなる。また、Fe−Co−B粉末のような粒状の強磁性鉄系金属粉末では、同様の理由により、粒径5〜200nmが好ましい。さらに、六方晶バリウムフェライト粉末では、同様な理由により、板径5〜200nmが好ましい。なお、上記の平均長軸長、粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影した写真の粒子サイズを実測し、100個の平均値により求めたものである。また、この強磁性鉄系金属粉末のBET比表面積は、35m2 /g以上が好ましく、40m2 /g以上がより好ましく、50m2 /g以上が最も好ましい。六方晶バリウムフェライト粉末のBET比表面積は、1〜100m2 /gが好ましい。
【0060】
下塗層および磁性層に含有させる結合剤としては、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合樹脂、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合樹脂、ニトロセルロース(セルロース系樹脂)などの中から選ばれる少なくとも1種とポリウレタン樹脂との組み合わせを用いることができる。中でも、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合樹脂とポリウレタン樹脂を併用するのが好ましい。ポリウレタン樹脂には、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタンなどがある。
【0061】
官能基としてCOOH、SO3 M、OSO2 M、P=O(OM)3 、O−P=O(OM)2 [Mは水素原子、アルカリ金属塩基又はアミン塩]、OH、NR' R''、N+ R''' R''''R''''' [R' 、R''、R''' 、R''''、R''''' は水素または炭化水素基]、エポキシ基を有する高分子からなるウレタン樹脂等の結合剤が使用される。このような結合剤を使用するのは、上述のように磁性粉等の分散性が向上するためである。2種以上の樹脂を併用する場合には、官能基の極性を一致させるのが好ましく、中でも−SO3 M基どうしの組み合わせが好ましい。
【0062】
これらの結合剤は、磁性層では強磁性粉末100重量部に対して、下塗層ではカーボンブラックと非磁性粉末との合計量100重量部に対して、7〜50重量部、好ましくは10〜35重量部の範囲で用いられる。特に、結合剤として、塩化ビニル系樹脂5〜30重量部と、ポリウレタン樹脂2〜20重量部とを、複合して用いるのが最も好ましい。
【0063】
これらの結合剤とともに、結合剤中に含まれる官能基などと結合させて架橋する熱硬化性の架橋剤を併用するのが望ましい。この架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどや、これらのイソシアネート類とトリメチロールプロパンなどの水酸基を複数個有するものとの反応生成物、上記イソシアネート類の縮合生成物などの各種のポリイソシアネートが好ましい。これらの架橋剤は、結合剤100重量部に対して、通常5〜50重量部の割合で用いられる。より好ましくは7〜35重量部である。なお、磁性層に使用する架橋剤の量を、下塗層に使用する量の1/2程度(30%〜60%)にすれば、MRヘッドのスライダに対する動摩擦係数が小さくなるので好ましい。この範囲が好ましいのは、30%未満では、磁性層の塗膜強度が弱くなりやすく、60%を越えるとスライダに対する動摩擦係数が小さくするために、後述のLRT処理条件を強くする必要があり、コストアップにつながるためである。
【0064】
磁性層には、導電性向上と表面潤滑性向上を目的に従来公知のカーボンブラック(CB)を添加する。これらのカーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等を使用できる。粒子径が5nm〜100nmのものが使用されるが、粒径10nm〜100nmのものが好ましい。この範囲が好ましいのは、粒径が5nm以下になるとカーボンブラックの分散が難しく、100nm以上では多量のカーボンブラックを添加することが必要になり、何れの場合も表面が粗くなり、出力低下の原因になるためである。カーボンブラックの添加量は強磁性粉末に対して0.2〜5重量%が好ましく、0.5〜4重量%がより好ましく、0.5〜3.5重量%がさらに好ましく、0.5〜3重量%がいっそう好ましい。この範囲が好ましいのは、0.2重量%未満では効果が小さく、5重量%を越えると、磁性層表面が粗くなりやすいからである。
【0065】
〈バックコート層〉
走行性向上を目的に、厚さ0.2〜0.8μmの従来公知のバックコート層を使用できる。この範囲が良いのは、0.2μm未満では、走行性向上効果が不充分で、0.8μmを越えるとテープ全厚が厚くなり、1巻当たりの記憶容量が小さくなるためである。バックコート層とSUSとの動摩擦係数は0.10〜0.30が好ましく、0.10〜0.25がより好ましい。この範囲が好ましいのは、0.10未満になるとガイド部分で滑りやすく走行が不安定になり、0.30を越えるとガイドローラ等が汚れやすくなるためである。また、[(μmSL )/(μBSUS)]は0.8〜1.5が好ましく、0.9〜1.4がより好ましい。この範囲が好ましいのは、磁気テープの蛇行によるトラッキングずれ(オフトラック)が小さくなるためである。
【0066】
バックコート層のカーボンブラック(CB)としては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等を使用できる。通常、小粒径カーボンブラックと大粒径カーボンブラックを使用する。小粒径カーボンブラックには、粒子径が5nm〜100nmのものが使用されるが、粒径10nm〜100nmのものがより好ましい。この範囲がより好ましいのは、粒径が10nm以下になるとカーボンブラックの分散が難しく、粒径が100nm以上では多量のカーボンブラックを添加することが必要になり、何れの場合も表面が粗くなり、磁性層への裏移り(エンボス)原因になるためである。大粒径カーボンブラックとして、小粒径カーボンブラックの5〜15重量%、粒径250〜400nmの大粒径カーボンブラックを使用すると、表面も粗くならず、走行性向上効果も大きくなる。小粒径カーボンブラックと大粒径カーボンブラック合計の添加量は無機粉体重量を基準にして60〜98重量%が好ましく、70〜95重量%がより好ましい。バックコート層の中心線平均表面粗さRaは3〜15nmが好ましく、4〜10nmがより好ましい。
【0067】
また、バックコート層には、強度向上を目的に、粒子径が0.1μm〜0.6μmの酸化鉄、アルミナを添加するのが好ましく、0.2μm〜0.5μmがより好ましい。酸化鉄、アルミナを合わせた添加量は無機粉体重量を基準にして2〜40重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましい。
【0068】
バックコート層には、結合剤として、前述した磁性層や下塗層に用いる樹脂と同じものを使用できるが、これらの中でも摩擦係数を低減し走行性を向上するため、セルロース系樹脂とポリウレタン樹脂とを複合して併用することが好ましい。結合剤の含有量は、通常、前記カーボンブラックと前記無機非磁性粉末との合計量100重量部に対して40〜150重量部、好ましくは50〜100重量部、より好ましくは60〜110重量部、さらに好ましくは70〜110重量部である。前記範囲が好ましいのは、50重量部未満では、バックコート層の強度が不十分であり、100重量部を超えると摩擦係数が高くなりやすいためである。
セルロース系樹脂を30〜70重量部、ポリウレタン系樹脂を20〜50重量部使用することが好ましい。また、さらに結合剤を硬化するために、ポリイソシアネート化合物などの架橋剤を用いることが好ましい。
【0069】
バックコート層には、前述した磁性層や下塗層に用いる架橋剤と同様の架橋剤を使用する。架橋剤の量は、結合剤100重量部に対して、通常、10〜50重量部の割合で用いられ、好ましくは10〜35重量部、より好ましくは10〜30重量部である。前記範囲が好ましいのは、10重量部未満ではバックコート層の塗膜強度が弱くなりやすく、35重量部を超えるとSUSに対する動摩擦係数が大きくなるためである。
【0070】
磁気サーボ信号がバックコート層に記録される特殊用途のものにおいては、当該バックコート層に、磁性層に使用する上述の強磁性粉末を30〜60重量部、先に述べたバックコート層に使用するカーボンブラックを40〜70重量部、必要に応じて先のバックコート層に使用する酸化鉄、アルミナを2〜15重量部添加する。また、結合剤には、強磁性粉末とカーボンブラックと無機非磁性粉末との合計量100重量部に対して、先のバックコート層に用いる樹脂を、通常40〜150重量部、好ましくは50〜100重量部使用する。さらに、架橋剤には、先に述べた架橋剤を結合剤100重量部に対して通常10〜50重量部の割合で使用する。上述した磁性層における場合と同じ理由で、保磁力は120〜320kA/m、残留磁束密度Brと膜厚との積は、0.018〜0.06μTmが好ましい。
【0071】
〈LRT処理(ラッピング/ロータリー/ティッシュ処理)〉
磁性層については、次に述べるラッピング、ロータリーおよびティッシュの各処理からなるLRT処理を施すことにより、表面の平滑性、MRヘッドのスライダ材料やシリンダ材料との動摩擦係数や表面粗さ、表面形状が最適化され、磁気テープの走行性、スペーシングロスの低減、MR再生出力の向上ができる。
【0072】
(1)ラッピング処理: 研磨テープ(ラッピングテープ)を、回転ロールによってテープ送り(標準:400m/分)と反対方向に一定の速さ(標準:14.4cm/分)で移動させ、上部からガイドブロックによって押さえることによってテープ磁性層表面と接触させる。この時の磁気テープ巻き出しテンションおよびラッピングテープのテンションを一定(標準:各100g、250g)として磁気テープに対する研磨処理を行う。この工程で使用する研磨テープ(ラッピングテープ)は、例えば、M20000番、WA10000番あるいはK10000番のような研磨砥粒の細かい研磨テープ(ラッピングテープ)である。なお、研磨ホイール(ラッピングホイール)を研磨テープ(ラッピングテープ)の代りにまたは併用して使用することを排除するものではないが、頻繁に交換を要する場合は、研磨テープ(ラッピングテープ)のみを使用する。
【0073】
(2)ロータリー処理: 空気抜き用溝付ホイール[標準:幅1インチ(25.4mm)、直径60mm、空気抜き用溝2mm幅、溝の角度45度、協和精工株式会社製]と磁性層とを、一定の接触角度(標準:90度)でテープと反対方向に一定の回転速度(通常:200〜3000rpm、標準:1100rpm)で接触させることにより、磁気テープに対する処理を行う。
【0074】
(3)ティッシュ処理: ティッシュ[例えば東レ株式会社製の織布トレシー]を回転棒で各々バックコート層および磁気層面をテープ送りと反対方向に一定の速度(標準:14.0mm/分)で送り、磁気テープに対するクリーニング処理を行う。
【0075】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例および参考例の部は重量部を示す。
【0076】
実施例1:
《下塗層用塗料成分》
(1)
酸化鉄粉末(粒径:0.11×0.02μm) 68部
α−アルミナ(粒径:0.07μm) 8部
カーボンブラック(粒径:25nm、吸油量:55g/cc) 24部
ステアリン酸 2.0部
塩化ビニル共重合体 8.8部
(含有−SO3 Na基:0.7×10-4当量/g)
ポリエステルポリウレタン樹脂 4.4部
(Tg:40℃、含有−SO3 Na基:1×10-4当量/g)
シクロヘキサノン 25部
メチルエチルケトン 40部
トルエン 10部
(2)
ステアリン酸ブチル 1部
シクロヘキサノン 70部
メチルエチルケトン 50部
トルエン 20部
(3)
ポリイソシアネート 4.4部
シクロヘキサノン 10部
メチルエチルケトン 15部
トルエン 10部
【0077】
《磁性層用塗料成分》
(1)
強磁性鉄系金属粉 100部
(Co/Fe:20at%、Y/(Fe+Co):3at%、Al/(Fe+Co):5wt%、Ca/Fe:0wt%、σs :155A・m2 /kg、Hc:149.6kA/m、pH:9.4、長軸長:0.10μm)
塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体 12.3部
(含有−SO3 Na基:0.7×10-4当量/g)
ポリエステルポリウレタン樹脂 5.5部
(含有−SO3 Na基:1.0×10-4当量/g)
α−アルミナ(平均粒径:0.12μm) 8部
α−アルミナ(平均粒径:0.07μm) 2部
カーボンブラック 1.0部
(平均粒径:75nm、DBP吸油量:72cc/100g)
メタルアシッドホスフェート 2部
パルミチン酸アミド 1.5部
ステアリン酸n−ブチル 1.0部
テトラヒドロフラン 65部
メチルエチルケトン 245部
トルエン 85部
(2)
ポリイソシアネート 2.0部
シクロヘキサノン 167部
【0078】
上記の下塗層用塗料成分において(1)をニーダで混練したのち、(2)を加えて攪拌の後サンドミルで滞留時間を60分として分散処理を行い、これに(3)を加え攪拌・濾過した後、下塗層用塗料とした。これとは別に、上記の磁性層用塗料成分(1)をニーダで混練したのち、サンドミルで滞留時間を45分として分散し、これに磁性層用塗料成分(2)を加え攪拌・濾過後、磁性塗料とした。上記の下塗層用塗料を、ポリエチレンナフタレートフイルム(厚さ6.2μm、MD=6.08GPa、MD/TD=1.3、帝人製)からなる非磁性支持体上に、乾燥、カレンダ後の厚さが1.8μmとなるように塗布し、この下塗層上に、さらに上記の磁性塗料を磁場配向処理、乾燥、カレンダー処理後の磁性層の厚さが0.15μmとなるようにウエット・オン・ウエットで塗布し、磁場配向処理後、ドライヤを用いて乾燥し、磁気シートを得た。なお、磁場配向処理は、ドライヤ前にN−N対抗磁石(5kG)を設置し、ドライヤ内で塗膜の指蝕乾燥位置の手前側75cmからN−N対抗磁石(5kG)を2基50cm間隔で設置して行った。塗布速度は100m/分とした。
【0079】
《バックコート層用塗料成分》
カーボンブラック(粒径:25nm) 80部
カーボンブラック(粒径:370nm) 10部
酸化鉄(長軸長:0.4μm、軸比:約10) 10部
ニトロセルロース 45部
ポリウレタン樹脂(SO3 Na基含有) 30部
シクロヘキサノン 260部
トルエン 260部
メチルエチルケトン 525部
【0080】
上記バックコート層用塗料成分をサンドミルで滞留時間45分として分散した後、ポリイソシアネート15部を加えてバックコート層用塗料を調整し濾過した後、上記で作製した磁気シートの磁性層の反対面に、乾燥・カレンダ後の厚みが0.5μmとなるように塗布し、乾燥した。このようにして得られた磁気シートを金属ロールからなる7段カレンダで、温度100℃、線圧150kg/cmの条件で鏡面化処理し、磁気シート(磁気テープ原反)をコアに巻いた状態で70℃で72時間エージングした。
【0081】
〈スリッティング処理〉
つぎに、図4に示したスリッティングシステム100を用いて磁気テープ原反Gを裁断して1/2インチ幅の磁気テープ3とした。ここで、図4中に記載されているテンションカットローラ50のサクション吸引部の拡大図を図5に示す。このサクション吸引部は、図示しない吸引源に連通されて磁気テープ原反を吸引する吸引部51と、外周面に磁気テープ原反が接触するテープ接触部52とからなり、これらを、テンションカットローラ50の外周面に沿って一定間隔をあけて交互に配置した構成である。図示例では、テンションカットローラ50の外周面において、一つの吸引部51の終端から直ぐ隣の吸引部51の終端までの周方向距離、つまり吸引部51の周期T1は13.5mmである。吸引部51には、多孔金属を埋め込みメッシュサクションとした。このようなテンションカットローラ50を備えたスリッティングシステム100を使用し、そのサクションの吸引圧を1.33×104 Pa(100mmHg)、テンションカットローラ50に対する磁気テープ原反Gの巻付角を188度に設定して、磁気テープ原反Gに対するスリティングを行った。なお、図示はしないが、図4中の刃物駆動部60に駆動モータからの動力を伝える動力伝達装置において、その構成要素である駆動ベルトには平ベルト、カップリングにはゴムカップリングを使用して、駆動モータからの振動をカットした。ついで、下記の条件でLRT処理を行った。
【0082】
〈LRT(ラッピング/ロータリー/ティッシュ)処理〉
(1)ラッピング処理: 研磨テープ(ラッピングテープ)を、回転ロールによってテープ送り(400m/分)と反対方向に14.4cm/分の速さで移動させ、上部からガイドブロックによって押さえることによってテープ磁性層表面と接触させる。この時の磁気テープ巻き出しテンションを100g及びラッピングテープのテンションを250gとして磁気テープに対する研磨処理を行った。
【0083】
(2)ロータリーアルミホイール処理: 幅1インチ(25.4mm)、直径60mmで2mm幅の空気抜き用溝付きのホイール(溝の角度45度、協和精工株式会社製)と磁性層とを接触角度90度でテープと反対方向に回転速度1100rpmで接触させて磁気テープに対する処理を行った。
【0084】
(3) ティッシュ処理: 東レ株式会社製の織布トレシーを回転棒で各々バックコート層及び磁気層面をテープ送りと反対方向に14.0mm/分の速度で送り、磁気テープに対するクリーニング処理を行った。
【0085】
サーボライターを用いて、磁気テープの磁性層に4m/秒(4000mm/秒)の速度で磁気サーボ信号を書き込み、この磁気テープをリールに巻装してケース本体内に組み込むことにより、図1および図2に示したコンピュータ用の磁気テープカートリッジを作製した。
【0086】
この場合に使用したリールは、これの巻芯部の外周面を、走行基準側となる図中の上側のテープエッジ側で大径となるように、0.03度のテーパ角度(β)を有するテーパ状に形成したものである。また、リール内周部内側の鍔部内面間の間隔S1は12.93mmで、磁気テープ幅の上限値Pである12.656mmに対する比(S1/P)は1.022であり、リール外周部内側の鍔部内面間の間隔S2は13.16mmで、(S2/P)は1.040で、1.020(S1/P)である。
【0087】
実施例2および実施例13:
一部条件を後述の表2、表3に示した条件に変更したことを除き、実施例1と同様にして実施例2〜実施例13のコンピュータ用の磁気テープカートリッジを作製した。なお、ダイレクトドライブとは、駆動ベルトの振動によるエッジウィーブを防止するため、ベルトを用いた動力伝達装置を使用せず、刃物駆動部をモータで直接駆動するものである。
【0088】
参考例1〜5:
スリット条件を後述の表4に示すように変更したことを除き、実施例1と同様にして参考例1〜3のコンピュータ用の磁気テープカートリッジを作製した。なお、ここでは、メッシュサクションを使用せず、図5の吸引部51に通常の吸引孔を有するサクションを使用した。
【0089】
実施例14〜17:
後述の表5に示すリールを使用したことを除き、実施例1と同様ににして実施例14〜17のコンピュータ用の磁気テープカートリッジを作製した。
【0090】
実施例18〜23、参考例6〜13:
後述の表6〜表8に示すリールを使用したことと、実施例3の磁気テープを使用したことを除き、実施例1と同様にして、テープエッジの痛みおよびテープ巻き乱れの評価用の実施例18〜23、参考例6〜13のコンピュータ用の磁気テープカートリッジを作製した。
【0091】
特性の評価は、以下のようにして行った。
〈エッジウィーブ量およびテープ長手方向周期の測定〉
走行基準側となるテープエッジにおけるエッジウィーブ量は、サーボライターにエッジウィーブ量測定装置(キーエンス社製)を取り付け、テープ長さ50mにわたって連続測定した。ついで、得られたエッジウィーブ量のフーリエ解析を行い、エッジウィーブ量およびテープ長手方向のエッジウィーブ周期の測定を行った。
【0092】
〈PESおよびオフトラック量の測定〉
PESおよびオフトラック量は、改造したLTOドライブ(記録トラック幅:20.6μm、再生トラック幅:12μm)を用いて記録(記録波長0.37μm)・再生した時の再生出力変動から求めた。
【0093】
〈磁気テープエッジの痛みおよび巻き乱れの評価〉
磁気テープエッジの痛みおよび巻き乱れの評価は、LTOドライブ10台を用いて行った。評価には、磁気テープを所定のリールに巻き込んだカートリッジ100巻を使用した。評価に使用した磁気テープカートリッジには、予めデータ領域に基準データを記録・再生してオフトラックの値を求めておいた。ついで、このカートリッジを4m/秒で順走行・逆走行(往復走行)させ、この往復走行を1000回行った。走行テスト後の磁気テープエッジの痛み評価は、走行後のオフトラック量を測定することで行い、走行後のオフトラック量が走行前のオフトラック量に比べて50%以上増加していれば、磁気テープエッジの痛みがあると評価した。また、走行テスト後の巻き乱れの評価は、リール両側面から磁気テープの巻き取り状態を目視観察して、巻き乱れの有無を調べた。
【0094】
〈磁性層の表面粗さ、凹凸の中心値および凸量の評価〉
ZYGO社製汎用三次元表面構造解析装置NewView5000による走査型白色光干渉法にてScan Lengthを5μmで測定した。測定視野は、350μm×260μmである。磁性層の中心線平均表面粗さをRaとし、凹凸の中心値をP0 、最大の凸量(第1番目の凸量)をP1 、順次第2番目、第3番目、第4番目、第5番目、・・・、第19番目、第20番目の凸量を、P2 、P3 、P4 、P5 、・・・、P19、P20とした時の(P1 −P0 )と(P1 −P20)および[(P1 −P0 )/Ra]を求めた。
【0095】
〈磁性層とスライダ材料およびSUSとの動摩擦係数の測定〉
・SUS:
外径5mmのSUSピン(SUS304)に磁気テープを角度90度、荷重0.64Nで掛け、磁気テープの同一箇所を送り速度20mm/秒で繰り返し10回摺動させた時の動摩擦係数を測定した。
・スライダ材料:
外径7mmのALTICのピンに磁気テープを角度90度、荷重0.64Nで掛け、磁気テープの同一箇所を送り速度20mm/秒で繰り返し10回摺動させた時の動摩擦係数を測定した。
【0096】
以上の測定結果を表1〜表4に示す。表中の略号の意味は、以下の通りである。
・μmSL :磁性層とスライダ材料との摩擦係数
・μmSUS:磁性層とSUSとの摩擦係数
・μBSUS:バックコート層とSUSとの摩擦係数
・Brδ:磁性層の残留磁束密度(Br)と厚さ(δ)との積
・Hc:磁性層の保磁力
・磁性面表面粗度Ra:磁性層の中心線平均表面粗さRa
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】
【表3】
【0100】
【表4】
【0101】
【表5】
【0102】
【表6】
【0103】
【表7】
【0104】
【表8】
【0105】
これらの結果からわかるように、非磁性支持体上の一面に、少なくとも一層磁性層が形成され、反対面にバックコート層が形成されており、前記磁性層またはバックコート層にトラッキング制御用のサーボ信号が記録され、4m/秒以上のテープ走行速度で使用される、記録トラック幅が21μm以下の磁気テープにおいて、テープ走行速度をV[mm/秒]、テープ走行時に走行基準側となる一方のテープエッジ3aまたはその反対側となるテープエッジ3a’に存在する周期がf[mm]のエッジウィーブ量をα[μm]、記録トラック幅をW[μm]とした時、(α/W)×(V/f)が10[s-1]以下としたものや、(α/W)を0.1以下としたものは、PESおよびオフトラック量が小さく、サーボ特性に優れている。また、このような磁気テープカートリッジにおいて、リールの巻芯部の外周形状を、テープ走行時に走行基準側となるテープエッジ側で大径となるように0.01〜0.1度のテーパ角度を有するテーパ状に形成し、かつ、巻芯部の直ぐ外側に位置するリール内周部内側において対向する鍔部内面間の間隔をS1[mm]、リール外周部において対向する鍔部内面間の間隔をS2[mm]、テープ幅の上限値をP[mm]とした時、1.010≦(S1/P)≦1.022、かつ、(S1/P)<(S2/P)<1.041に設定したものは、いっそうサーボ特性に優れている。また、テープエッジの痛みやテープ巻き乱れも少なくなる。
【0106】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、PESおよびオフトラックが小さく、サーボ特性に優れた磁気テープおよびこれを組み込んだ磁気テープカートリッジが得られる。また、本発明により得られる磁気テープカートリッジは、1巻当たりの容量が大きく、MR再生ヘッドを使用した場合の、PW50が小さく、再生出力が高いので、エラーレートが低くなる。こうして、例えばコンピュータ用のバックアップテープとして好適な信頼性の高い磁気テープカートリッジを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される磁気テープカートリッジの一般的な構造を示す斜視図である。
【図2】本発明が適用される磁気テープカートリッジの内部構造を一部簡略化して示す断面図である。
【図3】磁気テープに存在するエッジウィーブを説明するために使用したもので、磁気テープをその一部拡大図ととともに示す平面図である。
【図4】本発明の実施例において、磁気テープ原反をスリッティングする際に使用したスリッティングシステムの一部簡略化した構成図である。
【図5】スリッティングシステムに備えられるテンションカットローラのサクション吸引部を一部簡略化して示す部分断面図である。
【図6】磁気テープカートリッジ用の磁気記録再生装置(テープ駆動装置)の一例を示す平面図である。
【図7】磁気記録再生装置に備えられたガイドローラに沿って磁気テープが走行する状態を説明するために使用したもので、図6の矢印A方向から見た拡大側面図である。
【図8】図2に示した磁気テープカートリッジの巻芯部周辺を一部省略して示す拡大図である。
【図9】磁気テープに用いられるトラックサーボ方式の一例(磁気サーボ方式)を説明するために使用したもので、磁気テープの磁気記録面(磁性層)にデータトラックとサーボバンドとを交互に設けた状態を示す模式図である。
【符号の説明】
1 磁気テープカートリッジのケース本体
2 リール
3 磁気テープ
3a・3a’ テープエッジ
21・22 鍔部
23 巻芯部
f エッジウィーブの周期
L 磁気テープ幅
S1 リール内周部内側において対向する鍔部内面間の間隔
S2 リール外周部内側において対向する鍔部内面間の間隔
α エッジウィーブ量
β 巻芯部外周面のテーパ角
Claims (6)
- 複数の吸引部がローラの周方向に沿って一定の間隔にて配置され、吸引部による吸引状態と吸引部間の非吸引部による非吸引状態とを繰り返すことにより、走行状態の磁気テープ原反の張力を調節するテンションカットローラと、
磁気テープ原反を間に挟むように配置されるとともにテンションカットローラとは別に配置された一対の回転刃物部を有し、一対の回転刃物部を互いに反対方向に回転駆動させることで、テンションカットローラにより張力が調節された状態の磁気テープ原反を所定幅にスリッティングする刃物駆動部とを備え、
テンションカットローラにおいて、それぞれの吸引部がメッシュサクションとして形成されていることを特徴とする、スリッティング装置。 - 刃物駆動部は、駆動モータからの動力を一対の回転刃物部に伝えて回転駆動させる動力伝達装置を備え、
動力伝達装置は、
駆動モータからの動力を伝達させる駆動ベルトとして平ベルトと、
駆動モータから回転刃物部への振動の伝達を抑制するゴム材料により形成されたカップリングとを備える、請求項1に記載のスリッティング装置。 - 刃物駆動部は、一対の回転刃物部を駆動モータにより直接駆動させるダイレクトドライブである、請求項1に記載のスリッティング装置。
- メッシュサクションとして形成された複数の吸引部が、ローラの周方向に沿って一定の間隔にて配置されたテンションカットローラを用いて、磁気テープ原反に対して、吸引部による吸引状態と吸引部間の非吸引部による非吸引状態とを磁気テープ原反の走行方向において繰り返すことにより、磁気テープ原反の張力を調節しながら、磁気テープ原反を走行させ、
磁気テープ原反を間に挟むように配置されるとともにテンションカットローラとは別に配置された一対の回転刃物部を互いに反対方向に回転駆動させて、テンションカットローラにより張力が調節された状態の磁気テープ原反を所定幅にスリッティングすることを特徴とする、スリッティング方法。 - 駆動ベルトとして平ベルトを用いて、駆動モータからの動力を一対の回転刃物部に伝達して、回転刃物部を回転駆動させるとともに、ゴム材料により形成されたカップリングを用いて、駆動モータから回転刃物部への振動の伝達を抑制する、請求項4に記載のスリッティング方法。
- 一対の回転刃物部は、駆動モータにより直接駆動させるダイレクトドライブにより回転駆動される、請求項4に記載のスリッティング方法。
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