JP2004055137A - 磁気テープおよび磁気テープカートリッジ - Google Patents

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Abstract

【課題】短波長の記録再生特性に優れ、オフトラックによる再生出力の低下が生じにくい磁気テープおよび磁気テープカートリッジを提供する。
【解決手段】非磁性支持体の一方の面に下塗層および磁性層を有し、非磁性支持体の他方の面にバックコート層を有する磁気テープにおいて、磁性層に添加する磁性粉として、針状の鉄系磁性粉を用いる。磁性層の厚さは0.09μm以下にする。下塗層に添加する非磁性粉として、平均粒子径が10〜100nmの板状の非磁性酸化物粒子を用いる。さらに、磁性層のテープ幅方向の温度張係数が(0〜8)×10-6/℃、湿度膨張係数は(0〜10)×10-6/%RHであり、テープ走行時に走行基準側となる一方のテープエッジまたはその反対側となるテープエッジに存在するエッジウィーブ量が0.8μm以下である構成とする。
【選択図】図4

Description

 本発明は、記録容量、アクセス速度、転送速度が高い磁気テープおよびこれを備えた磁気テープカートリッジに関し、特にトラックサーボ用の磁気信号または光学信号が記録され、磁気抵抗効果素子を利用した再生ヘッド(MRヘッド)によって磁気記録信号が再生される磁気テープと、これを備えたデータバックアップ用として好適な1リール型の磁気テープカートリッジに関する。
 磁気テープは、オーディオテープ、ビデオテープ、コンピユーターテープなど種々の用途があるが、特にデータバックアップ用の磁気テープ(バックアップテープ)の分野ではバックアップ対象となるハードディスクの大容量化に伴い、1巻当たり100GB以上の記録容量のものも商品化されており、今後ハードディスクのさらなる大容量化に対応するためこの種のバックアップテープの高容量化は不可欠となっている。また、アクセス速度、転送速度を大きくするため、テープの送り速度、テープとヘッド間の相対速度を高めることも必要不可欠となっている。
 バックアップテープ1巻当たりの高容量化のためには、テープ全厚を薄くして1巻あたりのテープ長さを長くすること、磁性層厚さを0.09μm以下と極めて薄くすることで厚さ減磁を小さくして記録波長を短くすること、記録トラック幅を狭くしてテープ幅方向の記録密度を高くすることが必要である。
 磁性層厚さを0.09μm以下と極めて薄くすると、均一な厚さの塗膜を得るのが難しい、耐久性が劣化するなどの問題が生じるので、これを防止するために非磁性支持体と磁性層との間に少なくとも一層の下塗層を設けることが好ましい。また、記録波長を短くすると、磁性層と磁気ヘッドとのスペーシングの影響が大きくなるので、磁性層表面が粗いと、スペーシングロスによる出力の低下が大きくなり、エラーレートが高くなる。また、磁性層表面そのものの平滑化とともにバックコート層の表面粗さ形状にも注意を払いその粗さが磁性層に転移しにくいものにすることが好ましい。
 磁性層厚さを0.09μm以下と極めて薄くすると、磁性層の下側(つまり非磁性支持体と磁性層との間)に設けられる下塗層の影響が大きくなる。このため、平滑な磁性層を得るには、下塗層と磁性層との間の界面も可能な限り平滑にすることが必要になってきた。また、磁性粉の微粒子化と塗膜の薄膜化により、磁性粉の長手方向配向が困難になりつつあり、磁性粉の配向を容易ならしめる下塗層が求められるようになってきた。
 塗布型の磁気テープは、通常、非磁性支持体上に、針状や粒状の非磁性粉末を含有する非磁性の下塗層を塗布形成し、さらにその上に針状の磁性粉末を含有する磁性層を塗布形成して作製される。しかし、磁性層厚さが0.09μm以下に薄くなると、非磁性の下塗層と磁性層との間の界面の乱れが磁性層に反映して磁性層の表面が粗くなったり、磁性層の厚さむらの原因になったり、角型が低下したりする。また、塗膜面に平行に配向されなかった針状の磁性粉が、乾燥工程やカレンダ処理などの際に非磁性の下塗層に食い込むため、磁性層と下塗層との間の界面がいっそう乱れて、ノイズが高くなる等の問題があった。
 磁性層厚さを0.09μm以下と極めて薄くし、記録トラック幅を狭くして記録密度を高くすると、磁気テープからの漏れ磁束が小さくなるため、再生ヘッドに微小磁束でも高い出力が得られる磁気抵抗効果型素子を使用したMRヘッドを使用することが好ましい。
 MRヘッド対応の磁気記録媒体には、例えば特許文献1〜3に記載されたものがある。これらの公報に記載された磁気記録媒体では、その磁束(残留磁束密度と厚さの積)を特定の値以下にしてMRヘッドの出力の歪を防止したり、磁性層表面のへこみを特定の値以下にしてMRヘッドのサーマル・アスペリティを低減させたりしている。
 また、記録トラック幅を狭くすると、オフトラックによる再生出力の低下が問題になるので、これを避けるために走行系にトラックサーボ方式を採用するのが望ましい。トラックサーボ方式には、光学トラックサーボ方式(特許文献4〜6)や磁気サーボ方式があるが、いずれの方式を採用するにしても、箱状のケース本体の内部に磁気テープを収めた磁気テープカートリッジ(カセットテープともいう)においては、磁気テープ巻装用のリールを一つしか持たない1リール型(単リール型)にして、その上でカートリッジから引き出した磁気テープにトラックサーボを行うことが好ましい。これは、テープ走行速度を高める(例えば2.5m/s以上にする)と、テープ繰り出し用とテープ巻き取り用の2つのリールを持った2リール型よりも、磁気テープ巻装用のリールを一つしか持たない1リール型の方が安定走行しやすいためである。また、2リール型では、1リール型に比べてカートリッジサイズが大きくなるため、体積当たりの記録容量が小さくなってしまう。
 先に述べたようにトラックサーボ方式には磁気サーボ方式や光学サーボ方式があるが、前者は、後述する図9に示すようなサーボトラックバンドを磁気記録により磁性層に形成し、これを磁気的に読み取ってサーボトラッキングを行うものであり、後者は、凹部アレイからなるサーボトラックバンドをレーザー照射等でバックコート層に形成し、これを光学的に読み取ってサーボトラッキングを行うものである。なお、磁気サーボ方式にはバックコート層にも磁性を持たせ、このバックコート層に磁気サーボ信号を記録する方式(特許文献7)があり、また光学サーボ方式にはバックコート層に光を吸収する材料等で光学サーボ信号を記録する方式(特許文献8)もある。
 ここで、磁気サーボ方式を例にとってトラックサーボの原理を簡単に説明する。図9に示すように、磁気サーボ方式を採用する磁気テープ3では、磁性層にそれぞれテープ長手方向に沿って延びる、例えば約2.8mm間隔のトラックサーボ用のサーボバンド200とデータ記録用のデータトラック300とが設けられる。このうちサーボバンド200は、各々サーボトラック番号を磁気的に記録した複数のサーボ信号記録部201からなる。磁気テープ3に対してデータの記録・再生を行う磁気ヘッドアレイ80(図7参照)は、両端に1対(順走行用と逆走行用)のサーボトラック用MRヘッドと、両端のサーボトラック用MRヘッドに挟まれた例えば8×1対の記録・再生用ヘッド(記録ヘッドは磁気誘導型ヘッドで構成され、再生ヘッドはMRヘッドで構成される)とを有しており、サーボ信号を読み取ったサーボトラック用MRヘッドからの信号に基づいて磁気ヘッドアレイ全体が連動して動くことで、記録・再生用ヘッドがテープ幅方向に移動してデータトラック(例えば、8×1対の記録・再生ヘッドが搭載された磁気ヘッドアレイでは、サーボトラック一対に対応して16本のデータトラックが存在する)300に到達する。
 このとき、図8に示すように、磁気テープ3は、その長手方向に沿った両端部(テープエッジ)のうちの一方のテープエッジ3aが、例えば、磁気記録再生装置(テープ駆動装置)に備えられたガイドローラ70のフランジ内面によってテープ幅方向位置を規制された状態で走行するが、図4に一部拡大して模式的に示すように、磁気テープ3のテープエッジ3aには、通常、エッジウィーブまたはエッジウェーブと呼ばれる波打ち状の凹凸(テープ幅方向の端面がテープ長手方向に沿って波打つことによってできた凹凸)が存在する。そのため、磁気テープ3は上記の走行基準となるフランジ内面に沿って走行していてもその幅方向の位置が微妙に変動する。しかし、先に述べたようなサーボ方式を採用することで、磁気テープの位置がその幅方向に微妙に変動してもこれに伴って磁気ヘッドアレイ全体がテープ幅方向に移動して、記録・再生用ヘッドは絶えず正しいデータトラックに到達する。
 このような場合において、テープ走行速度をV、エッジウィーブの周期をfとした時の周波数[(V/f):s-1=Hz]が50Hz以上(特に200Hz以上)と高いエッジウィーブαがあると、磁気ヘッドアレイが追随できず、トラックずれ(オフトラック)という問題が発生する。ただ、このようなオフトラックが生じたとしても、記録トラック幅が30μm以上と広く、[(記録トラック幅)−(再生トラック幅)]が16μmを超える場合(例えば記録トラック幅が約80μmで再生トラック幅が約50μmであるような場合)は、さほど問題視する必要はない。なぜなら、記録トラック幅が30μm以上と広く、[(記録トラック幅)−(再生トラック幅)]が16μmを超える場合は、数μm程度のオフトラックがあっても記録トラック幅が再生トラック幅に比べて充分広く、再生ヘッドは記録トラック上を走行するので、出力低下にはつながらないからである。
 また、温度環境や湿度環境の変化があると、これに伴う磁気テープの幅方向の伸縮によりオフトラックを生じることがある。しかし、このような温度・湿度環境の変化に伴うオフトラックが生じたとしても、記録トラック幅が30μm以上と広く、[(記録トラック幅)−(再生トラック幅)]が16μmを越える場合は、上記と同様の理由により、さほど問題視する必要はない。なお、磁気テープ長手方向の温度膨張や湿度膨張は、記録波長等の変化の原因とはなるが、これについては回路補正が可能である。
 さらに、本発明者らが調べたところ、記録トラック幅が30μm未満と狭く、[(記録トラック幅)−(再生トラック幅)]が16μm以下と狭い場合であっても、特定の条件の下では、それほど問題とはならないことも確認された。すなわち、(a)エッジウィーブに伴うオフトラック大きくても、温度・湿度変化に伴うオフトラックが小さいときや、(b)温度・湿度変化に伴うオフトラックが大きくても、エッジウィーブに伴うオフトラックが小さいときは、オフトラックに伴う再生出力低下は殆ど問題にはならなかった。
 なお、本発明に関連する先行技術としては、上記したもののほか、磁性層と非磁性支持体との間の下塗層に板状の非磁性粒子を含ませたもの(特許文献9)、バックコート層に板状非磁性粒子を含ませたもの(特許文献10〜14)などがある。
特開平11−238225号公報 特開2000−40217号公報 特開2000−40218号公報 特開平11−213384号公報 特開平11−339254号公報 特開2000−293836号公報 特開平11−126327号公報 特開平11−126328号公報 特開平3−237616号公報 特開平4−228108号公報 特開平8−129724号公報 特開平9−198650号公報 特開平11−273053号公報 特開2001−331928号公報
 以上述べてきたように、磁気テープの記録密度の向上とサーボ制御を有効に働かせるためには、磁性層の薄層化とその表面平滑性、厚さの均一性の確保、磁性粉の微粒子化とその長手方向の配向性の確保、磁気テープの幅方向の温度・湿度寸法安定性、エッジウィーブ量の低減が求められる。
 オフトラックに関して、より詳細に検討した結果、記録トラック幅が24μm未満とさらに狭く、[(記録トラック幅)−(再生トラック幅)]が12μm未満と狭い場合には、エッジウィーブ量および温度・湿度膨張係数がそれぞれ単独では問題にならない程度に小さくても、オフトラックによる再生出力低下につながる場合があることが判明した。すなわち、装置間で記録ヘッドと再生ヘッドの位置に数μmのばらつきがあるが、最悪の組み合わせではこのばらつき量が倍化されるので、エッジウィーブに伴うオフトラックと、温度・湿度環境変化に伴うオフトラックとが加算されて、再生出力の低下が起こる。この現象は、[(記録トラック幅)−(再生トラック幅)]が10μm以下の場合に顕著である。
 また、記録トラック幅を21μm以下とさらに狭くしたときには、従来問題にならなかった約2μm程度のエッジウィーブでもオフトラックによる再生出力の低下が見られた。これは、再生出力を確保するために、再生トラック幅を従来と同じにする必要があり、その結果としてオフトラックマージンが小さくなったことによる。さらに、このように記録トラック幅が21μm以下と狭い場合には、エッジウィーブの絶対値だけではなく、エッジウィーブの周期やテープの走行速度もオフトラックに複雑な関係を持つことがわかった。
 そこで、記録トラック幅が21μm以下と狭い磁気テープにサーボ方式を適用するに当たって、そのエッジウィーブの周期および量、記録トラック幅、再生トラック幅ならびにテープ走行速度とヘッド追随性との関係等について詳しく調べた。その結果、図4に示したようにテープエッジに存在する周期がfのエッジウィーブ量〔当該テープエッジのテープ幅方向(図4のY−Y’方向)の変位量〕をα、テープ走行速度をV[mm/s]、記録トラック幅をTw[μm]、再生トラック幅をTr[μm]とした時に、〔α/(Tw−Tr)〕、〔α/(Tw−Tr)〕×(V/f)がそれぞれ0.07、13.3を越えると、PES(position error sample、位置ずれ量のばらつきを表す数値、標準偏差1σの値)が大きくなり、トラッキングエラーを引き起こすことが明らかになった。このような問題は、磁気ヘッドアレイ全体が大きい質量を有しているので、〔α/(Tw−Tr)〕、〔α/(Tw−Tr)〕×(V/f)がそれぞれ0.07、13.3を超えると、これに伴って生じる磁気テープの幅方向の動きに磁気ヘッドアレイの動きが追随できなくなる結果、PESが大きくなり、オフトラックマージンの小さい場合はオフトラックが大きくなったために生じたものと推定される。理想的には、上記2つの値が0である。
 上記の点は記録トラック幅を特に21μm以下と狭くした場合に生じる新たな課題であり、記録トラック幅が21μmを超える場合(特に24μm以上の場合)はさほど問題にならなかったものである。記録トラック幅が21μmを超える場合は、磁気ヘッドアレイの動きが鈍くPESが大きくても、再生トラック幅に比べて記録トラック幅が充分広いので、オフトラックマージンが大きい(例えば、記録トラック幅が約28μmで再生トラック幅が約12μmの場合、あるいは記録トラック幅が約24μmで再生トラック幅が約12μmの場合は、片側約6μm以上のオフトラックマージンがある)ことから、オフトラックによる再生出力の低下が殆ど生じない。
 本発明は、上述したような問題に対処するもので、非磁性支持体の一方の面に、非磁性粉を含む下塗層と、この下塗層の上側に設けられた、磁性粉を含む磁性層とを有し、非磁性支持体の他方の面に、非磁性粉を含むバックコート層を有する磁気テープにおいて、磁性粉として針状の鉄系磁性粉を使用し、かつ、磁性層の厚さを0.09μm以下と薄くした場合であっても、磁性層の表面平滑性、厚さの均一性、磁性粉の微粒子化、その長手方向の配向性を確保できるようにして、短波長の記録再生特性を向上させることを目的とする。また、本発明は、磁気テープの幅方向の温度・湿度寸法安定性の向上と、エッジウィーブ量の低減とを図ることによって、記録トラック幅が24μm未満(特に21μm以下)と狭く、[(記録トラック幅)−(再生トラック幅)]が12μm未満と狭い場合であっても、オフトラックによる再生出力の低下が生じにくい磁気テープおよび磁気テープカートリッジを提供することを目的とする。
 本発明者らは、上記の目的を達成するため、鋭意検討した結果、非磁性支持体と、この非磁性支持体の一方の面に設けられた、非磁性粉を含む下塗層と、この下塗層の上側に設けられた、磁性粉を含む磁性層とを有し、非磁性支持体の他方の面に、非磁性粉を含むバックコート層を有する磁気テープにおいて、磁性粉として針状の鉄系磁性粉(好ましくは平均長軸長が20〜60nm)を使用し、かつ、磁性層の厚さを0.09μm以下と薄くした場合であっても、少なくとも前記下塗層に、平均粒子径が10〜100nmの板状非磁性酸化物粒子を含ませると、磁性層の表面平滑性、厚さの均一性を確保できるだけでなく、長手方向の配向性を向上させることができ、結果として短波長の記録再生特性を向上させることができることを見出した。
 また、テープ幅方向の温度張係数(熱膨張係数)が(0〜8)×10-6/℃、湿度膨張係数が(0〜10)×10-6/%RH、テープのエッジウィーブ量が0.8μm以下とすることにより、オフトラックが小さく、エラーレートの小さい磁気テープを得ることができた。
 本発明の磁気テープは、上記の構成に加えて、さらに以下のような構成を有していることが好ましい。
(1) 磁性層に用いる針状の鉄系磁性粉は、平均長軸長が20〜60nmの鉄系磁性粉であること(請求項2)。
(2) 磁性層に用いる針状の鉄系磁性粉は、鉄に対して、20〜40重量%のコバルトと、10〜30重量%の希土類元素から選ばれる少なくとも1つの元素と、3〜10重量%のアルミニウムとを含むこと(請求項3)。
(3) 磁性層の長手方向の角型比(Br/Bs)が0.80以上であること(請求項4)。
(4) 少なくとも下塗層に用いる板状の非磁性酸化物粒子は、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化鉄のうちから選ばれた少なくとも一種の酸化物粒子であること(請求項5)。
(5) 下塗層またはバックコート層のうちの少なくとも一方に、平均粒子径が10〜100nmの板状の導電性粒子が含有されていること(請求項6)。
(6) 磁性層またはバックコート層に、トラッキング制御用のサーボ信号が記録されていること。
 また、本発明の磁気テープカートリッジは、箱状のケース本体の内部に上記の磁気テープを巻装した1個のリールを配置し、当該磁気テープに記録されたサーボ信号によってトラッキング制御されることを特徴とするものである(請求項10)。この場合のサーボ信号は、磁気テープの磁性層またはバックコート層に磁気信号として記録してもよいし(請求項11)、バックコート層に光学信号として記録してもよい(請求項12)。磁性層またはバックコート層に磁気信号として記録する場合、記録する磁気信号は、磁気抵抗効果型素子を利用した再生ヘッドによって再生されるものとするのが好ましい(請求項13)。
 磁気テープの幅方向の温度膨張係数は、(0〜8)×10-6/℃であることが好ましい。この範囲を超えると、テープの温度による膨張、収縮により、再生ヘッドが記録トラックからはみ出し、記録信号を読み取れなくなり、オフトラックが生じてしまうためである。このようなオフトラックの発生を更に確実に防止するには、テープ幅方向の熱膨張係数は(0〜7)×10-6/℃がより好ましく、(0〜5)×10-6/℃がいっそう好ましく、0が最も好ましい。
 本発明(請求項8)において、磁気テープの幅方向の湿度膨張係数が(0〜10)×10-6/%RHであるとしたのは、この範囲を超えると、テープの湿度による膨張・収縮により、再生ヘッドが記録トラックからはみ出し、記録信号を読み取れなくなり、オフトラックが生じてしまうためである。このようなオフトラックの発生を更に確実に防止するには、テープ幅方向の湿度膨張係数は(0〜8)×10-6/%RHがより好ましく、(0〜7)×10-6/%RHがいっそう好ましく、0が最も好ましい。
 なお、本発明者らの実験では、磁気テープの温度・湿度膨張係数が負になる場合はなかったが、非磁性支持体材料によっては、これらの値が負のものがあり、可能性としては、磁気テープの温度・湿度膨張係数が負となる場合がある。しかし、その絶対値が前記好ましい範囲内であれば、オフトラックが生じないので問題はなく、膨張係数の絶対値が前記範囲を超えればオフトラックが生じることは言うまでもない。
 エッジウィーブ量は、0.8μm以下にすることが好ましい。オフトラックの発生をさらに確実に防止するためには、エッジウィーブ量は、0.6μm以下がより好ましく、0.4μm以下がいっそう好ましく、0がもっとも好ましい。エッジウィーブ量が0.8μmを超えるとオフトラックが生じ、エラーが増大する。
 前述したように記録トラック幅が21μm以下と小さくなり、[ (記録トラック幅)−(再生トラック幅) ]が12μm未満になると、前述したようにエッジウィーブの絶対値だけではなく、エッジウィーブの周期や、テープの走行速度もオフトラックに複雑に関係してくることが分かってきた。
 すなわち、4000mm/s以上のテープ走行速度で使用される磁気テープにおいて、テープ走行速度をV[mm/s]、テープ走行時に走行基準側となる一方のテープエッジまたはその反対側となるテープエッジに存在する周期がf[mm]のエッジウィーブ量をα[μm]、記録トラック幅をTw[μm]、再生トラック幅をTr[μm]とした時に、[α/(Tw−Tr)]≦0.07、[α/(Tw−Tr)]×(V/f)≦13.3[s-1]となるように設定するのが好ましい。[α/(Tw−Tr)]×(V/f)は、8[s-1]以下が好ましく、さらに好ましくは6[s-1]以下、最も好ましくは0である。
 下塗層に含ませる好ましい板状の非磁性酸化物粒子としては、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化鉄があげられる。また、これらの板状の非磁性酸化物粒子を、バックコート層に含ませるとさらに好ましい。
 これらの粒子を下塗層に含ませると、磁性層の表面平滑性、厚さの均一性、配向性が向上し、磁気テープの温度・湿度寸法安定性が向上する。磁性層厚さが0.09μm以下と非常に薄くなってくると、磁性層表面の平滑性や厚さは下塗層と間の界面の乱れの影響を大きく受けるようになってくるのが通常であるが、本発明によれば、下塗層に添加された板状の非磁性酸化物粒子が、塗布、乾燥の過程で面内に平行に積み重なるように充填されるので、下塗層と磁性層との間の界面が乱れることなく、滑らかな面を形成するため平滑で厚さの均一な磁性層が得られる。また、薄層の磁性層になってくると、磁性層と下塗層との間の界面で針状の磁性粉が面内で長手方向に配向されず、一部の磁性粉は斜めに立ったような状態で下塗層に入り込んだりする現象が無視できなくなってくる。この場合も、下塗層に板状の非磁性酸化物粒子が含まれていると、これらの板状粒子が前記界面に並ぶようになる。その結果、下塗層に針状の磁性粉がはみだして存在することがなくなるので、磁性粉の配向性が向上する。さらに、磁性層表面に針状の磁性粉がはみだして存在することがなくなるので、磁性層削れによる走行後のエラーレートの上昇も抑制される。
 磁気テープの温度・湿度寸法安定性が向上するのは、結合剤とフィラー(非磁性粉)とを構成要素とするマトリックスからなる下塗層において、上述したように板状の非磁性酸化物粒子が面内に平行に積み重なるように充填されるので、板状非磁性酸化物粒子間の相互作用が強くなり、面内の温度・湿度膨張係数が結合剤の値(100〜300×10-6/℃、30〜100×10-6/%RH)からフィラー自体の値(<1×10-6/℃、<1×10-6/%RH)に近づくためである。また、板状であることから、これらの性質は二次元的に等方的に、すなわちテープの長手方向のみならず幅方向にも作用するため、磁気テープの幅方向の温度・湿度膨張係数を小さくするのに非常に効果的である。
 一方、針状、粒状あるいは球状形状の粒子を使用した場合には、上述したような効果は小さく、効果を得るためには多量の粒子を含ませなければならないために、平滑性が低下するなどの弊害があった。
 さらに、板状粒子を含ませることで、下塗層、バックコート層の塗膜厚さむらが少なくなり、テープ原反(所定幅のテープに切断される前の磁気シート)の変形(スジ、エッジの巻きズレ)が少なくなることにより、テープ幅にスリットする際の、エッジウィーブが小さくなることがわかった。
 なお、先の特許文献9では、磁性層と非磁性支持体との間の下塗層に平均粒子径500nmのα−酸化鉄を含ませて磁気記録媒体の剛性を大きくしている。しかし、本発明が対象としている、極めて薄層の磁性層を有する重層構造の磁気テープは想定されておらず、10〜100nmの範囲の板状の非磁性粒子は知られていなかったために記載がなく、また、本発明で見出した、温度・湿度寸法安定性についても開示されていない。さらに、磁性層の表面平滑性、厚さの均一性の向上効果、磁性層の配向性向上といった点についても、当時の厚さ2.5μm程度の磁性層ではそのような効果も発現せず、本発明が対象としているような厚さが0.09μm以下の磁性層を有する磁気テープにおいて初めて発現するものである。また、開示された粒子径500nmの板状粒子では、本発明で用いる板状の非磁性酸化物粒子の平均粒子径として特定した10〜100nmの範囲を外れているので、磁性層の平滑性が損なわれ、優れた短波長記録特性が得られない。
 さらに、先述した特許文献10〜14に記載の技術では、バックコート層に板状非磁性粒子を含ませているものの、使用している板状非磁性粒子の平均粒子径はいずれも100nmを超えるものである。また、特許文献12には、磁性を有するマグネタイトを使用することが記載されているが、これは、本発明で用いるような平均粒子径が10〜100nmの板状の非磁性酸化物粒子とは異なるものである。
 このような粒子径が10nmから100nmの範囲にある板状の非磁性酸化物粒子のうち、好ましくは、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化鉄の内から選ばれた少なくとも一種の酸化物粒子を含有させると、磁気テープの幅方向の湿度膨張係数および熱膨張係数を低減する上で効果的であることは、本発明者らにより初めて見出されたものであるが、さらに本発明者らは、全く独自の技術により、このような形状を有する酸化物粒子の合成に初めて成功したものである。
 詳細は後述するが、これらの酸化物粒子は、まず第一工程として、アルカリ水溶液にこれらの酸化物粒子を構成する金属の塩の水溶液を添加し、得られた水酸化物あるいは水和物を、水の存在下で110〜300℃の温度範囲で加熱処理することにより、目的とする形状、粒子径に整え、その後、第二工程として、これらの水酸化物あるいは水和物を空気中加熱処理することにより得られる。このような方法によると、粒子径分布が均一で、焼結、凝集が極めて少なく、結晶性の良好な10nmから100nmの範囲にある板状粒子が得られる。
 このように、形状、粒子径を整えることを目的とする工程と、その材料が本来有する物性を最大限に引き出すことを目的とする工程とを分離することにより、これまでの製造方法では不可能であった、粒子の形状が板状で、かつ平均粒子径が、10nmから100nmの範囲にある酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素および酸化鉄が合成できる。
 さらに、上述した酸化物粒子と同様の合成法で、板状のスズ含有酸化インジウムやアンチモン含有酸化スズなどの板状の導電性粒子が合成できる。これらの導電性粒子を、磁性層の下塗層やバックコート層に含有させると、上述した磁気テープの幅方向の温度・湿度膨張の抑制効果のみならず、帯電を低減させる効果も発現する。
 本発明によれば、電磁変換特性に優れ、しかもエラーレートが小さく、温度や湿度が変化した場合でもオフトラック量が小さい温度・湿度安定性に優れた磁気テープが得られる。
 次に、本発明の実施の形態について説明する。
〈磁性層〉
 磁性層の厚さは0.09μm以下とするが、0.06μm以下がより好ましい。磁性層の厚さが0.09μmを越えると厚さ損失により、再生出力が小さくなったり、短波長記録の分解能が低下するおそれがある。また、0.01μm未満では均一な塗膜を得るのが困難になるので、通常0.01μm以上である。
 長手方向の残留磁束密度と厚さの積は0.0018〜0.06μTmが好ましく、0.0036〜0.050μTmがより好ましい。この範囲が好ましいのは、0.0018μTm未満では、MRヘッドによる再生出力が小さく、0.06μTmを越えるとMRヘッドによる再生出力が歪みやすいからである。このような磁性層からなる磁気テープは、記録波長を短くでき、しかも、MRヘッドで再生した時の再生出力を大きくでき、しかも再生出力の歪が小さく出力対ノイズ比を大きくできるので好ましい。
 磁性層の保磁力は、80〜320kA/mが好ましく、100〜320kA/mがより好ましく、120〜320kA/mがさらに好ましい。この範囲が好ましいのは、80kA/m未満では記録波長を短くすると反磁界減磁で出力低下が起こり、320kA/mを越えると磁気ヘッドによる記録が困難になるためである。
 磁性層の中心線平均表面粗さRaは、6nm以下が好ましく、0.5〜5nmがより好ましく、0.7〜4nmがさらに好ましく、0.7〜3nmがいっそう好ましい。0.5〜5nmがより好ましいのは、0.5nm未満では磁気テープの走行が不安定になり、Raが5nmを越えると、スペーシングロスにより、PW50(再生出力の半値幅)が広くなったり出力が低下したりして、エラーレートが高くなるためである。
 磁性層に添加する磁性粉には、Fe粉末やFe−Co粉末のような針状の強磁性鉄系金属粉末が使用される。強磁性鉄系金属粉末の保磁力は、80〜320kA/mが好ましく、飽和磁化量は、強磁性鉄系金属粉末では、80〜200A・m2 /kg(80〜200emu/g)が好ましく、100〜180A・m2 /kg(100〜180emu/g)がより好ましい。このような範囲の強磁性鉄系金属粉を得るためには、Co/Fe=20〜40重量%であることが好ましい。なお、この磁性層の磁気特性と、強磁性粉末の磁気特性は、いずれも試料振動形磁束計で外部磁場1.273kA/m(16kOe)での測定値をいうものである。
 本発明の磁気記録媒体において使用するFe粉末、Fe−Co粉末の針状の強磁性鉄系金属粉末の平均長軸長としては、0.02〜0.06μmが好ましく、0.03〜0.05μmがより好ましい。この範囲が好ましいのは、平均長軸長が0.02μm未満となると、保磁力が低下したり、磁性粉の凝集力が増大するため塗料中への分散が困難になるために、短波長の出力が低下するためである。0.06μmより大きいと、また粒子の大きさに基づく粒子ノイズが大きくなる。
 平均長軸長が小さくなると磁性塗膜の耐久性や耐食性が低下する傾向になる。耐久性や耐食性の低下を最小限に留めるためには、Alや希土類元素を強磁性鉄系金属粉に含ませることが好ましい。希土類元素としてはY,Nd,Sm,Prなどが好ましい。Alを含ませる量としては、Al/Fe=3〜10重量%であることが好ましい。希土類元素を含ませる量としては、希土類/Fe=10〜30重量%であることが好ましい。
 なお、上記の平均長軸長は、透過型電子顕微鏡(TEM)にて撮影した写真から粒子サイズを実測し、100個の平均値により求めたものである。また、この強磁性鉄系金属粉末のBET比表面積は、35m2 /g以上が好ましく、40m2 /g以上がより好ましく、50m2 /g以上が最も好ましい。通常100m2 /g以下である。
 針状の強磁性鉄系金属粉末の平均長軸長が小さくなると、長手方向に磁場配向処理を行っても、針状磁性粉に十分な配向モーメントを与えることが難しくなるために、長手方向の角型比(Br/Bm)が小さくなる傾向にあり、また、磁性層の厚さが小さくなることによっても、針状磁性粉が下塗層に斜めにはみ出す傾向が無視できなくなるため、同様の傾向にある。本願発明のように、平均長軸長が20〜60nmの針状の鉄系磁性粉を含む、厚さが0.09μm以下の磁性層では、針状磁性粉を長手方向に良好に配向させることは難しいが、大きな短波長出力を得るためには、(Br/Bm)≧0.80であることが好ましい。本願発明者らは、鋭意検討の結果、下塗層に平均粒子径が10〜100nmの板状非磁性酸化物粒子を含ませることによって、針状磁性粉が下塗層に斜めにはみ出す傾向がなくなり、上記範囲の角型比の磁性層を得ることができた。
 下塗層、磁性層、バックコート層に含有させる結合剤としては、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合体、ニトロセルロース(セルロース系樹脂)などの中から選ばれる少なくとも1種とポリウレタン樹脂との組み合わせを用いることができる。中でも、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合体とポリウレタン樹脂を併用するのが好ましい。ポリウレタン樹脂には、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタンなどがある。
 官能基として−COOH、−SO3 M、−OSO3 M、−P=O(OM)3 、−O−P=O(OM)2 [これらの式中、Mは水素原子、アルカリ金属塩基又はアミン塩を示す]、−OH、−NR' R''、−N+ R''' R''''R''''' [これらの式中、R' 、R''、R''' 、R''''、R''''' は水素または炭化水素基を示す]、エポキシ基を有する高分子からなるウレタン樹脂等の結合剤が使用される。このような結合剤を使用するのは、上述のように磁性粉等の分散性が向上するためである。2種以上の樹脂を併用する場合には、官能基の極性を一致させるのが好ましく、中でも−SO3 M基どうしの組み合わせが好ましい。
 これらの結合剤は、磁性層では強磁性粉末100重量部に対して、また下塗層ではカーボンブラックと非磁性粉末との合計量100重量部に対して、7〜50重量部、好ましくは10〜35重量部の範囲で用いられる。特に、下塗層、磁性層には結合剤として、塩化ビニル系樹脂5〜30重量部とポリウレタン樹脂2〜20重量部とを組み合わせて用いるのが最も好ましい。
 これらの結合剤とともに、結合剤中に含まれる官能基などと結合させて架橋する熱硬化性の架橋剤を併用するのが望ましい。この架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどや、これらのイソシアネート類とトリメチロールプロパンなどの水酸基を複数個有するものとの反応生成物、上記イソシアネート類の縮合生成物などの各種のポリイソシアネートが好ましい。これらの架橋剤は、結合剤100重量部に対して、通常5〜50重量部の割合で用いられる。より好ましくは7〜35重量部である。なお、磁性層に使用する架橋剤の量を、下塗層に使用する量に対して減らしても(0〜100%未満)、下層から架橋剤が拡散にて供給されるので差し支えない。
 磁性層には、導電性向上と表面潤滑性向上を目的に従来公知のカーボンブラック(CB)を添加する。これらのカーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等を使用できる。通常、粒子径が5〜100nmのものが使用されるが、粒径10〜100nmのものが好ましい。この範囲が好ましいのは、粒径が10nm未満になるとカーボンブラックの分散が難しく、100nmを超えると多量のカーボンブラックを添加することが必要になり、何れの場合も表面が粗くなり、出力低下の原因になるためである。カーボンブラックの添加量は強磁性粉末に対して0.2〜5重量%が好ましく、0.5〜4重量%がより好ましく、0.5〜3.5重量%がさらに好ましく、0.5〜3重量%がいっそう好ましい。この範囲が好ましいのは、0.2重量%未満では効果が小さく、5重量%を超えると、磁性層表面が粗くなりやすいからである。
 また板状の導電性粒子を添加する場合は、0.5〜10重量%とすることが好ましく、導電性粒子としては、板状のスズ含有酸化インジウムやアンチモン含有酸化スズ粒子、グラファイト、板状カーボン、板状酸化物粒子表面にカーボン皮膜を形成した粒子が使用できる。これらの板状粒子としては、平均粒子径が10〜100nmのものが電気抵抗低減効果が大きく、特に好ましい。
〈下塗層〉
 下塗層の厚さは、0.3〜1.0μmが好ましく、0.3〜0.8μmがより好ましい。この範囲が好ましいのは、0.3μm未満では磁気記録媒体の耐久性が悪くなる場合があり、1.0μmを越えると磁気記録媒体の耐久性向上効果が飽和するばかりでなく、磁気テープの場合は全厚が厚くなって、1巻当りのテープ長さが短くなり、記録容量が小さくなるためである。
 下塗層には、既述した粒子径が10〜100nmの範囲の粒子形状が板状である非磁性の酸化物粒子、好ましくは酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化鉄の内から選ばれた少なくとも一種の酸化物粒子を含有させる。これらの酸化物粒子の添加量としては、下塗層に、下塗層中の全無機粉体の重量を基準にして、20〜85重量%とすることが好ましい。このような添加量にすることにより、テープ幅方向の熱膨張係数が(0〜8)×10-6/℃、湿度膨張係数が(0〜10)×10-6/%RHになると同時に、ウエット・オン・ウエットで、その上に形成した磁性層の表面粗さも小さくなり、針状磁性粉の配向性も向上するので好ましい。
 またさらに導電性粒子を添加する場合は、全無機粉体の重量を基準にして、10〜70重量%とすることが好ましく、導電性粒子としては、板状のスズ含有酸化インジウムやアンチモン含有酸化スズ粒子、グラファイト、板状カーボン、板状酸化物粒子表面にカーボン皮膜を形成した粒子が使用できる。これらの板状粒子としては、粒子径が10〜100nmのものが電気抵抗低減効果が大きく、特に好ましい。これは、これらの導電性粒子の電気抵抗が本質的に低いのみならず、これらの板状粒子どうしが面で接触するため、接触抵抗が小さくなるためであると考えている。
 導電性粒子としては、上述した板状のスズ含有酸化インジウムやアンチモン含有酸化スズ粒子、グラファイト、板状カーボン、板状酸化物粒子表面にカーボン皮膜を形成した粒子が使用できるが、従来公知のカーボンブラック(CB)を添加することも可能である。このカーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等を使用できる。通常、粒径が5〜200nmのものが使用されるが、粒径10〜100nmのものが好ましい。この範囲が好ましいのは、カーボンブラックがストラクチャーを持っているため、粒径が10nm以下になるとカーボンブラックの分散が難しく、100nm以上では平滑性が悪くなるためである。カーボンブラック添加量は、カーボンブラックの粒子径によって異なるが、全無機粉体の重量を基準にして、0〜15重量%が好ましい。この範囲が好ましいのは、15重量%越えると板状粒子が塗膜面に平行に並びにくくなるためである。粒径15〜80nmのカーボンブラックを0〜15重量%使用するのがより好ましく、粒径20〜50nmのカーボンブラックを0〜10重量%用いるのがさらに好ましい。このような粒径・量のカーボンブラックを添加することにより電気抵抗が低減され、かつ走行むらが小さくなる。
 また塗料粘度やテープ剛性の制御を目的に、上述した板状の酸化物粒子以外に、さらに非磁性酸化鉄、アルミナのような非磁性粒子を添加することもできる。この場合、添加する非磁性の酸化鉄としては、針状の場合、長軸長50〜200nm、短軸長5〜100nmのものが好ましく、粒状または無定形のものでは、粒径5〜200nmが好ましい。粒径5〜150nmがより好ましく、粒径5〜100nmがさらに好ましい。添加量としては、主要酸化物粒子である板状酸化物粒子の種類にもよるが、全無機粉体の重量を基準にして0〜20重量%が好ましい。この範囲が好ましいのは、20重量%を越えると板状粒子が塗膜面に平行に並びにくくなるためである。このように、粒子径が10nmから100nmの範囲にあり、粒子形状が板状である酸化物粒子、好ましくは酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化鉄の内から選ばれた少なくとも一種の酸化物粒子を主酸化物粒子として使用し、塗料粘度やテープ剛性の調整目的に、他の形状、粒子径の酸化物粒子を併用してもよい。また、これらの非磁性粒子はAlまたはSiで表面処理されていると、分散性が良くなるので、より好ましい。
 さらに、下塗層を二層にして、下層下塗層を従来公知の下塗層として導電性を付与し、上層下塗層に上述の板状の非磁性酸化物粒子を有する層を設けると高価な板状導電性粒子を使わないので製造コストが低くなる。
〈磁気テープの積層構造と構成材料の温度膨張係数および湿度膨張係数〉
 図1の(a)〜(c)は、本発明に係る磁気テープの積層構成例を示したものである。図中の符号3は磁気テープ、符号31は非磁性支持体、符号32は下塗層、符号33は磁性層、符号34はバックコート層をそれぞれ示す。また、符号35は非磁性支持体31と下塗層32との間に設けられた中間層を示す。
〈磁気テープカートリッジの構造〉
 図2は本発明が適用される磁気テープカートリッジの一般的な構造を示し、図3はその内部構造を示す。図2において、磁気テープカートリッジは、上下ケース1a・1bを蓋合わせ状に接合してなる角箱状のケース本体1を有し、ケース本体1の内部に配置した1個のリール2に磁気テープ3を巻装している。ケース本体1の前壁6の一側端には、テープ引出口4が開口してある。テープ引出口4は、スライド開閉可能なドア5で開閉できるようになっている。リール2に巻装した磁気テープ3をケース外へ引き出し操作するために、磁気テープ3の繰り出し端にテープ引出具7が連結されている。符号20は、ドア5を閉じ勝手に移動付勢するためのドアばねを示す。
 図3において、リール2は、上鍔部21と下鍔部22、および下鍔部22と一体に成形されて上向きに開口する有底筒状の巻芯部23とからなる。巻芯部23の底壁23cは、ケース底壁の駆動軸挿入口1c上に位置している。巻芯部23の底壁23cの外周には、テープ駆動装置(磁気記録再生装置)側の部材に係合するギヤ歯が形成されており、底壁23cの中心には、テープ駆動装置側のロック解除ピン(図示せず)の挿入を許す底孔23dが設けられている。ケース本体1内には、不使用時にリール2の不用意な回転を阻止するリールロック機構が備えられている。符号12は、このリールロック機構を構成するブレーキボタンを示し、符号17は、同じくブレーキボタン12を図中の下方に付勢するスプリングを示している。
 上記の磁気テープカートリッジに備えられた磁気テープ3は、図8に示すように、テープ走行時に走行基準側となる一方のテープエッジ3aのテープ幅方向外方への位置が規制された状態で、当該磁気テープ3に記録されたサーボ信号によってトラッキング制御される。なお、図8は、図7に示したテープ駆動装置(磁気記録再生装置)に備えられたガイドローラ70を図7の矢印A方向から見た状態を示すものである。図8中の符号71・72は、ガイドローラ70におけるフランジ、符号Hはフランジ71・72間に形成される溝73の幅、Lは磁気テープ3の幅をそれぞれ示す。
 以上の場合において、サーボ信号は磁気テープの磁気記録面またはバックコート層に磁気信号として記録したものであってもよいし、磁気テープのバックコート層に凹部や光を吸収する材料で光学信号を形成したものであってもよい。つまり、本発明の磁気テープカートリッジは、磁気サーボ方式および光学サーボ方式のいずれにも適用できるものである。
 また、高記録密度化のためには、本発明の磁気テープカートリッジは磁気テープにおける磁気記録信号が、磁気抵抗効果型素子を利用した再生ヘッド(MRヘッド)によって再生されるものであることが好ましい。さらに、磁気サーボ方式では、サーボ信号もMRヘッドによって再生されるものであることが好ましい。
〈磁気テープのエッジ構造〉
 本発明は、記録容量、アクセス速度、転送速度が高い磁気テープ、具体的には〔(記録トラック幅)−(再生トラック幅)〕つまりオフトラックマージンが12μm未満と小さく、4000mm/s以上の速度で走行駆動される磁気テープを対象としている。このような磁気テープでは、オフトラックマージンが従来のものよりも小さく、しかもテープ走行速度が速いので、従来においてはトラックずれが生じなかったようなテープ幅方向の変動であってもトラックずれが生じる可能性がある。このため、オフトラックを防止する観点からはエッジウィーブ量をできるだけ小さくするのが好ましいが、そのための技術的な困難性、言い換えれば実現性を考慮すると、オフトラックマージンや、さらにはテープ走行速度および当該エッジウィーブの周期との関連においてエッジウィーブ量を特定範囲のものとするのが効果的である。
 このような観点から、本発明では、図2および図3に例示したような磁気テープカートリッジに使用する磁気テープ3において、図4に示すように、テープエッジ部3aまたは3a’に存在する周期fのエッジウィーブによるテープ幅方向(図4のY−Y’方向)の変位量、つまりエッジウィーブ量を、次式(1)または(2)を満たすように設定することが好ましい。
 [ α/(Tw−Tr) ]≦0.07             ・・・(1)
 [ α/(Tw−Tr) ]×(V/f)≦13.3[ s -1 ]   ・・・(2)
ただし、
 α:テープ走行時に走行基準側となる一方のテープエッジまたはその反対側となるテープエッジに存在するエッジウィーブの量(エッジウィーブ量)[単位:μm]、
 Tw:記録トラック幅[単位:μm]、
 Tr:再生トラック幅[単位:μm]、
 V:磁気テープのテープ走行速度[単位:mm/s]、
 f:当該エッジウィーブの周期[単位:mm]
である。なお、図4では磁気テープ3の走行方向をX−X’で示してある。
 〔(記録トラック幅)−(再生トラック幅)〕が12μm未満と小さく、しかもテープ走行速度が4000mm/s以上と速い場合において、上記の[ α/(Tw−Tr) ]が0.07を超えると、湿度変化や温度変化に伴うテープ幅方向の寸法変化によるトラックずれがあったときに、エッジウィーブによるトラックずれが相乗的に作用して、オフトラックが生じやすくなる。この点は、後述する実施例および比較例の結果によって確認することができる。
 また、オフトラックの生じやすさは、テープ走行速度Vとエッジウィーブの周期fとの比(V/f)、つまりテープの走行時に周期fのエッジウィーブによって生じるテープ幅方向の振れの周波数とも関係し、この(V/f)と上記の[ α/(Tw−Tr) ]との積が13.3[ s -1=Hz ]を超えた場合もオフトラックが生じやすくなる。なお、磁気テープ3のオフトラックに影響を及ぼすエッジウィーブの周期f[ mm ]は、通常、f/V≦0.02[単位:s(秒)]、つまり50≦V/f[ s-1=Hz ]である。特に、200≦V/f[s-1]を満たす周期fのエッジウィーブがあるとオフトラック量が大きくなる。これは、例えば図7に示したようなテープドライブに備えられた磁気ヘッドアレイ80は全体として大きい質量を有しているので、テープ走行速度Vが大きくなるほど、長い周期のエッジウィーブでも磁気ヘッドアレイ80の動きが追随できなくなるためである。
 さらに、上記の(Tw−Tr)≦12[ μm ]で且つ4000≦V[mm/s]の範囲においては、記録トラック幅Twと再生トラック幅Trとの差(Tw−Tr)が小さくなればなるほど、またエッジウィーブ量αが大きくなればなるほど、オフトラックが生じやすくなる。(Tw−Tr)が小さければオフトラックマージンが少なくなるためであり、エッジウィーブ量が大きければそれだけテープ走行時に磁気テープが幅方向に大きく変動しやすくなるためである。上述したように、オフトラックに影響を及ぼすエッジウィーブの周期f[ mm ]は、磁気テープの走行速度をV[mm/s]とした時、f/V≦0.02[単位:s(秒)]、つまり50≦V/f[ s-1=Hz ]の関係式を満たす値である。例えば、磁気テープの走行速度Vが4000mm/sの時、オフトラックに影響するエッジウィーブの周期fは80mm以下(特に20mm以下)である。この周期のエッジウィーブ量αを0.8μm以下(好ましくは0.6μm以下)に設定すると、オフトラック量が小さく、良好なサーボトラック特性が得られる。
〈動摩擦係数〉
 テープ走行異常もオフトラックの原因になる。テープ走行異常の原因には、(1)磁気テープの磁性層とスライダ(材料:ALTIC;アルミナ/チタニア/カーバイド)との動摩擦係数と、磁気テープの磁性層とガイドローラ(材質:アルミニウム)との動摩擦係数(磁気テープの磁性層とアルミニウムとの動摩擦係数は、磁気テープの磁性層とSUSとの動摩擦係数と等しいので、通常測定法が確立された後者で代用する)のアンバランス、(2)サーボ信号書き込みヘッドの形状不適切、等がある。特に、磁気テープとスライダ(ALTIC)との動摩擦係数が高いと、磁気ヘッドアレイが磁気テープの幅方向に移動する際に、磁気テープも幅方向に動くためにオフトラック量が大きくなる。したがって、磁気テープ磁性層とスライダ(材料:ALTIC)の動摩擦係数は、0.35以下にすることが好ましい。より好ましくは0.1〜0.3、さらに好ましくは0.1〜0.25である。通常、磁気テープ磁性層とSUSとの動摩擦係数は0.1〜0.3、磁気テープバックコート層とSUSとの動摩擦係数は0.1〜0.3である。なお、これらの動摩擦係数を0.10未満にすることは難しい。
 磁性層とSUSとの摩擦係数は、外径5mmのSUSピン(SUS304)(表面粗さ0.1s)に磁気テープを角度90度、荷重0.64Nで掛け、磁気テープの同一箇所を送り速度20mm/秒で繰り返し10回摺動させた時の値を測定した。磁性層とALTICとの摩擦係数は、外径7mmのALTICのピン(表面粗さ0.1s)に磁気テープを角度90度、荷重0.64Nで掛け、磁気テープの同一箇所を送り速度20mm/秒で繰り返し10回摺動させた時の動摩擦係数を測定した。
 また、磁性層とスライダ材料との動摩擦係数をμmsl 、磁性層とSUSとの動摩擦係数をμmsusとした時の[(μmsl )/(μmsus)]を0.7〜1.3とすれば磁気テープの走行異常によるPES上昇が小さくなる。さらに、バックコート層とSUSとの動摩擦係数をμBSUSとした時の[(μmsl )/(μbsus)]を0.8〜1.5とすれば磁気テープの走行異常によるオフトラックが小さくなる。
 以下に、各構成要素毎の好ましい形態をさらに詳しく述べる。
〈非磁性支持体〉
 非磁性支持体の幅方向の温度膨張係数は、〔(−10)〜8〕×10-6/℃が好ましく、〔(−10)〜5〕×10-6/℃がより好ましい。この範囲が好ましいのは、この範囲を外れた場合に、磁気テープの幅方向の温度膨張係数の絶対値が、(0〜8)×10-6/℃の範囲から外れるため、オフトラックが生じ、エラーレートが大きくなるためである。
 非磁性支持体の幅方向の湿度膨張係数は、(0〜10)×10-6/%RHの範囲が好ましく、(0〜7)×10-6/%RHがより好ましい。この範囲が好ましいのは、この範囲を外れた場合、磁気テープの幅方向の湿度膨張係数の絶対値が、(0〜10)×10-6/%RHの範囲から外れるため、オフトラックが生じ、エラーレートが大きくなるためである。
 非磁性支持体の厚さは、6.0μm以下が好ましく、2.0〜6.0μmがより好ましい。この範囲の厚さの非磁性支持体がより好ましいのは、2μm未満では製膜が難しく、またテープ強度が小さくなり、6.0μmを越えるとテープ全厚が厚くなり、テープ1巻当りの記録容量が小さくなるためである。
 非磁性支持体を含めた磁気テープ全厚は2.5〜7.7μmが好ましい。この範囲の全厚が好ましいのは、2.5μm未満では、テープ強度が小さくなり、7.7μmを越えるとテープ1巻当たりの記録容量が小さくなるためである。
 非磁性支持体の長手方向のヤング率Eは、非磁性支持体の厚さによって異なるが、通常4.9GPa(500kg/mm2 )以上のものが好ましい。5.9GPa(600kg/mm2 )以上がより好ましく6.9GPa(700kg/mm2 )以上がさらに好ましい。この範囲のヤング率の非磁性支持体が好ましいのは、4.9GPa(500kg/mm2 )未満では、磁気テープの強度が弱くなったり、磁気テープの走行が不安定になるためである。
 長手方向のヤング率をMD、幅方向のヤング率をTDとした時の比(MD/TD)は、0.1〜1.8が好ましく、0.3〜1.7がより好ましく、0.5〜1.6がさらに好ましい。この範囲が好ましいのは、ヘッドタッチが良くなるためである。このような非磁性支持体には、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、芳香族ポリアミドフィルム、芳香族ポリイミドフィルム等がある。
 非磁性支持体には、通常、磁性層形成面、バックコート層形成面共に、中心線平均表面粗さRaが5.0〜10nmのものが使用されるが、磁性層の表面粗さRaを小さくしてスペーシングロスを小さくする目的で、磁性層形成面のRaを1.0〜5.0nmとした非磁性支持体(バックコート層形成面のRaは5.0〜10nm)が使用される場合がある。このような非磁性支持体はデュアルタイプと呼ばれ、2種の非磁性支持体を貼り合わせて作製される。
〈潤滑剤〉
 下塗層と磁性層とを含んでなる塗布層に、役割の異なる潤滑剤を使用することができる。下塗層には磁性層と下塗層に含まれる全粉体に対して0.5〜5.0重量%の高級脂肪酸を含有させ、0.2〜3.0重量%の高級脂肪酸のエステルを含有させると、ヘッドとの摩擦係数が小さくなるので好ましい。この範囲の高級脂肪酸添加が好ましいのは0.5重量%未満では、摩擦係数低減効果が小さく、5.0重量%を越えると下塗層が可塑化してしまい強靭性が失われるおそれがあるからである。また、この範囲の高級脂肪酸のエステル添加が好ましいのは、0.2重量%未満では、摩擦係数低減効果が小さく、3.0重量%を越えると磁性層への移入量が多すぎるため、テープとヘッドが貼り付く等の副作用を生じるおそれがあるためである。脂肪酸としては、炭素数10以上の脂肪酸を用いるのが好ましい。炭素数10以上の脂肪酸としては、直鎖、分岐、シス・トランスなどの異性体のいずれでもよいが、潤滑性能にすぐれる直鎖型が好ましい。このような脂肪酸としては、たとえば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸などが挙げられる。これらの中でも、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸などが好ましい。磁性層における脂肪酸の添加量としては、下塗層と磁性層の間で脂肪酸が転移するので、特に限定されるものではなく、磁性層と下塗層を合わせた脂肪酸の添加量を上記の量とすればよい。下塗層に脂肪酸を添加すれば、必ずしも磁性層に脂肪酸を添加しなくてもよい。
 磁性層には磁性粉末に対して0.5〜3.0重量%の脂肪酸アミドを含有させ、0.2〜3.0重量%の高級脂肪酸のエステルを含有させると、テープ走行時の摩擦係数が小さくなるので好ましい。この範囲の脂肪酸アミドが好ましいのは、0.5重量%未満ではヘッド/磁性層界面での直接接触が起こりやすく焼付き防止効果が小さく、3.0重量%を越えるとブリードアウトしてしまいドロップアウトなどの欠陥が発生するおそれがあるからである。脂肪酸アミドとしてはパルミチン酸、ステアリン酸等の炭素数が10以上の脂肪酸アミドが使用可能である。また、上記範囲の高級脂肪酸のエステル添加が好ましいのは、0.2重量%未満では摩擦係数低減効果が小さく、3.0重量%を越えるとヘッドに貼り付く等の副作用を生じるおそれがあるためである。なお、磁性層の潤滑剤と下塗層の潤滑剤の相互移動を排除するものではない。
 磁気テープの磁性層とMRヘッドのスライダとの動摩擦係数はPESを小さくするため0.35以下にすることが好ましい。より好ましくは0.1〜0.3、さらに好ましくは0.1〜0.25である。この範囲がより好ましいのは、0.30を越えると、スライダ汚れによるスペーシングロスが起こりやすいためである。また、磁気ヘッドアレイが磁気テープ幅方向に移動する際に、磁気テープも幅方向に動くために、オフトラック量が大きくなる。なお、0.10未満は実現が困難である。通常、磁気テープ磁性層とSUSとの動摩擦係数は0.1〜0.3で、0.10〜0.25が好ましく、0.12〜0.20がより好ましい。この範囲が好ましいのは、0.25を越えるとガイドローラが汚れやすくなるためである。なお、この動摩擦係数を0.10未満にすることは難しい。また、磁性層とスライダ材料との動摩擦係数をμmsl 、磁性層とSUSとの動摩擦係数をμmsusとした時の[(μmsl )/(μmsus)]を0.7〜1.3が好ましく、0.8〜1.2がより好ましい。この範囲が好ましいのは、磁気テープの走行異常によるトラッキングずれ(オフトラック)が小さくなるためである。
〈バックコート層〉
 非磁性支持体の他方の面には、走行性向上を目的に、厚さ0.2〜0.6μmの従来公知のバックコート層を設けるのが望ましい。この範囲が良いのは、0.2μm未満では走行性向上効果が不充分となり、0.6μmを超えるとテープ全厚が厚くなって1巻当たりの記録容量が小さくなるためである。バックコート層とSUSとの動摩擦係数は0.10〜0.30が好ましく、0.10〜0.25がより好ましい。この範囲が好ましいのは、0.10未満になるとガイド部分で滑りやすく走行が不安定になり、0.30を越えるとガイドローラが汚れやすくなるためである。また、[(μmsl )/(μbsus)]は0.8〜1.5が好ましく、0.9〜1.4がより好ましい。この範囲が好ましいのは、磁気テープの蛇行によるトラッキングずれ(オフトラック)が小さくなるためである。
 バックコート層に、既述した粒子径が10nmから100nmの範囲にあり、粒子形状が板状の非磁性酸化物粒子、好ましくは酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化鉄の内から選ばれた少なくとも一種の酸化物粒子を含有させることが好ましい。添加量はバックコート層に添加する全無機粉体重量を基準にして2〜40重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましい。既述したように、この板状の酸化物粒子を添加すると、塗布するときに機械的配向により板面が基材面に並行になるように並びやすく、その結果、温度膨張や湿度膨張に対して等方的な性質を示す。さらに本発明の粒子は、形状が板状であるのみならず、粒子径が10nmから100nmの範囲にある極めて粒子径が小さいため、粒状あるいは球状粒子と異なり、表面積が大きいため、少ない添加量で優れた温度膨張や湿度膨張に対する抑制効果を示す。
 一方、バックコート層に平均粒子径が10〜100nmの板状の非磁性酸化物粒子を添加する場合には、この粒子単独ではなく、磁気テープの導電性を出すために、板状の非磁性酸化物粒子とともに、導電性粒子として、板状のスズ含有酸化インジウムやアンチモン含有酸化スズ粒子、グラファイト、板状カーボン、板状酸化物粒子表面にカーボン皮膜を形成した粒子が使用できる。導電性粒子の添加量は、全無機粉体重量を基準にして60〜99重量%が好ましい。これらの板状粒子としては、粒子径が10〜100nmのものが電気抵抗低減効果が大きく、特に好ましい。これは、これらの導電性粒子の電気抵抗が本質的に低いのみならず、これらの板状粒子どうしが面で接触するため、接触抵抗が小さくなるためであると考えている。
 上述のように、板状の非磁性酸化物粒子と板状の導電性粒子をバックコート層に用いると磁気テープの温度・湿度膨張が小さくなるので好ましい。また、バックコート層を、板状の非磁性酸化物粒子を含む層と、従来公知のカーボンブラック等の導電性粒子を含む層の二層とすることを排除するものではない。
 バックコート層には、磁気テープの走行性を出すために、カーボンブラックを添加することが好ましい。このカーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等を使用できる。通常、小粒径カーボンブラックと大粒径カーボンブラックを使用する。小粒径カーボンブラックには、粒子径が5〜100nmのものが使用されるが、粒径10〜100nmのものがより好ましい。この範囲がより好ましいのは、粒径が10nm未満になるとカーボンブラックの分散が難しく、粒径が100nmを超えると多量のカーボンブラックを添加することが必要になり、何れの場合も表面が粗くなり、磁性層への裏移り(エンボス)原因になるためである。大粒径カーボンブラックとして、小粒径カーボンブラックの5〜15重量%、粒径250〜400nmの大粒径カーボンブラックを使用すると、表面も粗くならず、走行性向上効果も大きくなる。小粒径カーボンブラックと大粒径カーボンブラック合計の添加量は全無機粉体重量を基準にして60〜98重量%が好ましく、70〜95重量%がより好ましい。バックコート層の中心線平均表面粗さRaは3〜15nmが好ましく、4〜10nmがより好ましい。
 また、バックコート層には、強度向上を目的に酸化鉄を添加するのが好ましい。添加する酸化鉄の粒径は100〜600nmが好ましく、200〜500nmがより好ましい。酸化鉄の添加量は、全無機粉体重量を基準にして2〜40重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましい。また、粒径が100〜600nmのアルミナを全無機粉体重量を基準にして0.5〜5重量%添加すると、さらにバックコート層の強度が向上する。
 バックコート層には結合剤として、前述した磁性層や下塗層に用いるのと同じ樹脂を用いることができるが、これらの中でも摩擦係数を低減し走行性を向上するため、セルロース系樹脂とポリウレタン樹脂を複合して併用することが好ましい。結合剤の含有量は通常、カーボンブラックと前記無機非磁性粉末との合計量100重量部に対して40〜150重量部で、50〜120重量部が好ましく、60〜110重量部がより好ましく、70〜110重量部がさらに好ましい。この範囲が好ましいのは、50重量部未満では、バックコート層の強度が不十分で、120重量部を越えると摩擦係数が高くなりやすいためである。セルロース系樹脂を30〜70重量部、ポリウレタン系樹脂を20〜50重量部使用することが好ましい。また、さらに結合剤を硬化するために、ポリイソシアネート化合物などの架橋剤を用いることが好ましい。
 バックコート層には架橋剤として、前述した磁性層や下塗層に用いる架橋剤を使用する。架橋剤の量は、結合剤100重量部に対して、通常10〜50重量部の割合で用いられる。好ましくは10〜35重量部、より好ましくは10〜30重量部である。この範囲が好ましいのは、10重量部未満では、バックコート層の塗膜強度が弱くなりやすく、35重量部を越えるとSUSに対する動摩擦係数が大きくなるためである。
 磁気サーボ信号が記録される特殊用途のバックコート層には、使用する無機粉体100重量部中、磁性層に使用する上述の強磁性粉末を30〜60重量部、先に述べた板状の非磁性酸化物粒子の添加量を2〜15重量部、カーボンブラックを40〜70重量部添加することが好ましい。結合剤には、強磁性粉末、板状酸化物粒子とカーボンブラックとの合計量100重量部に対して、上記バックコート層に用いる樹脂を通常、40〜150重量部、好ましくは50〜120重量部使用する。また、架橋剤には、上述の架橋剤を結合剤100重量部に対して通常10〜50重量部の割合で用いることができる。上述の磁性層で述べたと同じ理由で、保磁力は80〜320kA/m、残留磁束密度Brと膜厚の積は、0.018〜0.06μTmが好ましい。
 下塗層に、数平均粒子径が10nm〜100nmの板状粒子を含ませることにより、テープの温度・湿度寸法安定性、エッジウィーブを小さくできることはすでに述べた。また、本発明者らは、図5に簡略化して例示したようなスリットマシン(磁気テープ原反を所定幅の磁気テープにスリッティングする装置)100について、その構造の一部を改良することにより、さらにエッジウィーブを低減させることができた。
 すなわち、テープ送り速度が4000mm/秒程度で、オフトラックを引き起こす範囲のエッジウィーブ量をもった短周期(例えば、80mm以下)のエッジウィーブができる原因について調べた結果、磁気テープ原反をスリッティングする際の当該テープ原反Gのばたつきによる短周期テンション変動が原因であることがわかった。この結果をもとに、本発明者らは、スリットマシン100を構成している各種要素の改良を行った。具体的には、巻き出し原反からスリット刃物群に至るウェブ経路中のテンションカットローラ50の改良、刃物駆動部60に動力を伝達するタイミングベルト・カップリング(図示せず)の改良、刃物駆動部の機械的振動の抑制等である。その結果、スリッティング後の磁気テープ3において、テープエッジに存在する短周期(周期fが80mm以下)のエッジウィーブのエッジウィーブ量を大幅に低減することができた。上記改良の中、磁気テープ原反Gの張力を制御するために使用されるテンションカットローラ50である図6に示すようなサクションローラの吸引孔51を多孔質材料で形成したメッシュサクションローラに改良したことが、短周期のエッジウィーブによるテープ幅方向の変動を抑制する手段として最も有効であった。なお、図6に示したサクションローラ(テンションカットローラ50)は、図示しない吸引源に連通されて磁気テープ原反を吸引する吸引孔51と、外周面に磁気テープ原反が接触するテープ接触部52とからなり、これらを、当該サクションローラの外周面に沿って一定間隔をあけて交互に配置した構成である。また、図5中の符号61・62は、互いに反対方向に回転駆動される上下の刃物群を示し、符号90・91は、磁気テープ原反Gの走行経路に沿って配置したガイドを示す。
 テープ送り速度が6m/秒程度で、オフトラックを引き起こし易い周期(例えば、60〜70mm)のエッジウィーブができる原因について調べたところ、刃物駆動部に動力を伝達するタイミングベルト、カップリングに原因があることがわかった。タイミングベルトを平ベルトに、金属カップリングをゴムカップリングにすることで中周期のエッジウィーブを大幅に低減することができた。
 さらに、比較的長周期のエッジウィーブ量を低減する方法について検討した結果、刃物駆動部を動力伝達装置を使用せず、モーターからダイレクトドライブすれば、エッジウィーブ量が極端に小さくなることも見出した。
 また、エッジウィーブの周期を、テープ送り速度が8m/秒以上の速い速度でも、オフトラックを引き起こさない範囲の長周期(例えば、160mm以上)のする方法について検討した結果、スリティング速度を速くすれば、周期fがスリティング速度の比率に応じて長くなり、エッジウィーブ量は殆ど変化しないものの、オフトラックへの影響を低減できることがわかった。
〈LRT処理(ラッピング/ロータリー/ティッシュ処理)〉
 磁気テープを製造するに当たっては、磁性層に対し、次に述べるラッピング、ロータリーおよびティッシュの各処理からなるLRT処理を施す。これにより、表面の平滑性、MRヘッドのスライダ材料やシリンダ材料との動摩擦係数や表面粗さ、表面形状が最適化され、磁気テープの走行性の向上、スペーシングロスの低減、MR再生出力の向上を図ることができる。
(1)ラッピング処理: 研磨テープ(ラッピングテープ)を、回転ロールによってテープ送り(標準:400m/分)方向と反対方向に一定の速さ(標準:14.4cm/分)で移動させ、上部からガイドブロックによって押さえることによってテープ磁性層表面と接触させる。この時の磁気テープ巻き出しテンションおよびラッピングテープのテンションを一定(標準:各100g、250g)として磁気テープに対する研磨処理を行う。この工程で使用する研磨テープ(ラッピングテープ)は、例えば、M20000番、WA10000番あるいはK10000番のような研磨砥粒の細かい研磨テープ(ラッピングテープ)である。なお、研磨ホイール(ラッピングホイール)を研磨テープ(ラッピングテープ)の代りにまたは併用して使用することを排除するものではないが、頻繁に交換を要する場合は、研磨テープ(ラッピングテープ)のみを使用する。
(2)ロータリー処理: 空気抜き用溝付ホイール[標準:幅1インチ(25.4mm)、直径60mm、空気抜き用溝2mm幅、溝の角度45度、協和精工社製]と磁性層とを、一定の接触角度(標準:90度)でテープと反対方向に一定の回転速度(通常:200〜3000rpm、標準:1100rpm)で接触させて処理を行う。
(3)ティッシュ処理: ティッシュ[例えば東レ社製の織布トレシー]を回転棒で各々バックコート層および磁気層面に接触させ、その状態でテープ送り方向と反対方向に一定の速度(標準:14.0mm/分)で送り、磁気テープに対するクリーニング処理を行う。
 以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例の部は重量部を示す。
(実施例1)
 まず、この実施例で用いた板状形状を有する酸化物粒子の合成について説明する。
〈酸化アルミニウム粒子の合成〉
 375モルの水酸化ナトリウムと50lの2−アミノエタノールを400lの水に溶解し、アルカリ水溶液を調整した。このアルカリ水溶液とは別に、37モルの塩化アルミニウム(III)七水和物を200lの水に溶解して塩化アルミニウム水溶液を調整した。前記アルカリ水溶液に前記塩化アルミニウム水溶液を滴下して、水酸化アルミニウムを含む沈殿物を作製し、その後塩酸を滴下することにより、pHを10.2にした。この沈殿物を懸濁液の状態で20時間熟成させたのち、約1000倍の水で水洗した。次に、上澄み液を除去した後、この沈殿物の懸濁液を、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH10.0に再調整し、オートクレーブに仕込み、200℃で2時間、水熱処理を施した。
 水熱処理生成物を、ろ過し、90℃で空気中乾燥した後、乳鉢で軽く解砕し、空気中600℃で1時間の加熱処理を行って酸化アルミニウム粒子とした。加熱処理後、未反応物や残存物を除去するために、さらに超音波分散機を使って水洗し、ろ過乾燥した。
 得られた酸化アルミニウム粒子について、X線回折スペクトルを測定したところ、γ−アルミナに対応するスペクトルが観測された。さらに、透過電子顕微鏡で形状観察を行ったところ、粒子径分布が30〜50nmの四角板状の粒子であることがわかった。得られた酸化アルミニウム粒子を、さらに空気中1250℃で1時間、加熱処理した。得られた酸化アルミニウム粒子を、X線回折スペクトルを測定したところ、α−アルミナに対応するスペクトルが観測された。さらに、透過電子顕微鏡で形状観察を行い、100個の粒子の粒子径(各粒子の最大径)を測定したところ、平均粒子径が50nmの四角板状の粒子であった。
〈酸化鉄粒子の合成〉
 375モルの水酸化ナトリウムと50lの2−アミノエタノールを400lの水に溶解し、アルカリ水溶液を作成した。このアルカリ水溶液とは別に、37モルの塩化第二鉄(III)七水和物を200lの水に溶解した。この塩化第二鉄水溶液と前記アルカリ水溶液を12℃に保持した状態で、前記アルカリ水溶液に、塩化第二鉄水溶液を滴下して、水酸化鉄を含む沈殿物を作製した。このときのpHは、11.3であった。次に室温で約20時間放置した後、1000倍の水で洗浄した後、上澄液を除去し、水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを11.3に調整し、オートクレーブに仕込んで、150℃で2時間の水熱処理を施した。
 この処理により、板状のゲーサイト(αFeOOH)を得た。さらに、このゲーサイトに対してSiO2 換算で、1wt%になるようにケイ酸ナトウム溶液を攪拌しなが添加し、塩酸によりpHを7.3に調整して、SiO2 による被覆処理を行った。ろ過・乾燥後、空気中、600℃で1時間加熱処理を行って、α−酸化鉄粒子とした。加熱処理後、未反応物や残存物を除去するために、さらに超音波分散機を使って水洗し、ろ過乾燥した。
 得られたα−酸化鉄粒子について、X線回折スペクトルを測定したところ、アルファへマタイトに対応するスペクトルが観測された。さらに、透過電子顕微鏡さらに、透過電子顕微鏡で形状観察を行い、100個の粒子の粒子径(各粒子の最大径)を測定したところ、平均粒子径が50nmの六角板状の粒子であることがわかった。
〈スズ含有酸化インジウム(ITO)粒子の合成〉
 375モルの水酸化ナトリウムと50lの2−アミノエタノールを400lの水に溶解して、アルカリ水溶液を調製した。これとは別に、33.5モルの塩化インジウム(III)四水和物と3.5モルの塩化スズ(IV)五水和物を200lの水に溶解して、塩化スズと塩化インジウムの水溶液を調製した。前者のアルカリ水溶液に、後者の塩化スズと塩化インジウムの水溶液を滴下して、スズとインジウムから成る水酸化物あるいは水和物の沈殿を作製した。このときのpHは10.2であった。この沈殿物を懸濁液の状態で20時間熟成させたのち、pHが7.6になるまで水洗した。
 次に、この沈殿物の懸濁液に水酸化ナトリウムの水溶液を添加して、pHを10.8に調整し、オートクレーブに仕込み、200℃で2時間、水熱処理を施した。
 得られた水熱処理生成物を、pHが7.8になるまで水洗した後、ろ過し、90℃で空気中乾燥した後、乳鉢で軽く解砕し、空気中800℃で1時間の加熱処理を行ってスズ含有酸化インジウム粒子とした。加熱処理後、未反応物や残存物を除去するために、さらに超音波分散機を使って水洗した。このスズ含有酸化インジウムに対して、SiO2 換算で、1wt%になるようにケイ酸ナトウム溶液を攪拌しなが添加し、塩酸によりpHを7.3に調整して、SiO2 による被覆処理を行った。ろ過・乾燥後、空気中、600℃で1時間加熱処理を行った。
 得られたスズ含有酸化インジウム粒子について、透過電子顕微鏡で形状観察を行い、100個の粒子の粒子径(各粒子の最大径)を測定したところ、粒子径分布が30〜50nm(平均粒子径:40nm)の六角板状の粒子であることがわかった。X線回折からは、単一構造の物質から構成されており、インジウムがスズで置換されたスズ含有酸化インジウムとなっていることがわかった。透過電子顕微鏡写真から求めた平均粒子径を、表1に示す。
 次に、下塗層用塗料成分、磁性層用塗料成分およびバックコート層用塗料成分について説明する。
《下塗層用塗料成分》
(1)
 ・板状アルミナ粒子(平均粒子径:50nm)              40部
 ・板状ITO粒子(平均粒子径:40nm)               60部
 ・ステアリン酸(潤滑剤)                        2部
 ・塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体         8.8部
  (含有−SO3 Na基:0.7×10-4当量/g)
 ・ポリエステルポリウレタン樹脂                    4.4部
  (含有−SO3 Na基:1.0×10-4当量/g)
 ・シクロヘキサノン                          25部
 ・メチルエチルケトン                         40部
 ・トルエン                              10部
(2)
 ・ステアリン酸ブチル(潤滑剤)                     1部
 ・シクロヘキサノン                          70部
 ・メチルエチルケトン                         50部
 ・トルエン                              20部
(3)
 ・ポリイソシアネート(架橋剤)                    2.0部
 ・シクロヘキサノン                          10部
 ・メチルエチルケトン                         15部
 ・トルエン                              10部
《磁性層用塗料成分》
(1)混練
 ・強磁性鉄系金属粉                         100部
  〔Co/Fe:25wt%、
   Y/Fe:25wt%、
   Al/Fe:6wt%、
   σs :99A・m2 /kg、
   Hc:215kA/m、
   平均長軸長:45nm〕
 ・塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体        12.3部
  (含有−SO3 Na基:0.7×10-4当量/g)
 ・ポリエステルポリウレタン樹脂                    5.5部
  (含有−SO3 Na基:1.0×10-4当量/g)
 ・板状アルミナ粒子(平均粒子径:50nm)              10部
 ・板状ITO粒子(平均粒子径:40nm)                5部
 ・メタルアシッドホスフェート                      2部
 ・テトロヒドロフラン(THF)                     9部
 ・メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(MEK/A)         20部
(2)希釈工程
 ・パルミチン酸アミド                         1.5部
 ・ステアリン酸n−ブチル                       1.0部
 ・テトラヒドロフラン                         65部
 ・メチルエチルケトン                        245部
 ・トルエン                              85部
(3)配合
 ・ポリイソシアネート(架橋剤)                    2.0部
 ・シクロヘキサノン                          30部
 上記下塗層用塗料成分において(1)をニーダで混練したのち、(2)を加えて攪拌の後サンドミルで滞留時間を60分として分散処理を行い、これに(3)を加え攪拌・濾過した後、下塗層用塗料とした。これとは別に、上記の磁性層用塗料成分(1)混連工程成分を予め高速混合しておき、その混合粉末を連続式2軸混練機で混練し、さらに(2)希釈工程成分を加え連続式2軸混練機で少なくとも2段階以上に分けて希釈を行い、サンドミルで滞留時間を45分として分散し、これに(3)配合工程成分を加え攪拌・ろ過後、磁性塗料とした。そして、ポリエチレンナフタレートフィルム(PEN、厚さ5.2μm、湿度膨張係数(テープ幅方向(TD)におけるもの)=9.0×10-6/%RH、熱膨張係数(TD)=3.0×10-6/℃、MD=8.8GPa、長手方向のヤング率MD/幅方向のヤング率TD=1.2、帝人社製)からなる非磁性支持体上に上記の下塗層用塗料を、乾燥・カレンダ後の厚さが0.6μmとなるように塗布し、この下塗層上に、さらに上記の磁性塗料を磁場配向処理、乾燥、カレンダ処理後の磁性層の厚さが0.06μmとなるようにウエット・オン・ウエット方式で塗布し、磁場配向処理後、ドライヤを用いて乾燥し、磁気シートを得た。なお、磁場配向処理は、ドライヤ前にN−N対抗磁石(5kG)を設置し、ドライヤ内で塗膜の指蝕乾燥位置の手前側75cmからN−N対抗磁石(5kG)を2基50cm間隔で設置して行った。塗布速度は100m/分とした。
《バックコート層用塗料成分》
 ・カーボンブラック(平均粒子径:25nm)               9部
 ・カーボンブラック(平均粒子径:0.35μm)              1部
 ・板状酸化鉄粒子(平均粒子径:50nm)               10部
 ・板状ITO粒子(平均粒子径:40nm)               80部
 ・ニトロセルロース(H1)                      44部
 ・ポリエステルポリウレタン樹脂                    30部
  (含有−SO3 Na基:1.0×10-4当量/g)
 ・シクロヘキサノン                         260部
 ・トルエン                             260部
 ・メチルエチルケトン                        525部
 上記バックコート層用塗料成分をサンドミルで滞留時間45分として分散した後、架橋剤であるポリイソシアネート13部を加えてバックコート層用塗料を調整し濾過した後、ベースフイルムに直接、あるいは磁気シートの磁性層の反対面に、乾燥・カレンダ後の厚みが0.5μmとなるように塗布し、乾燥した。このようにして得られたバックコート層塗布シートを金属ロールからなる7段カレンダで、温度100℃、線圧150kg/cmの条件で鏡面化処理し、磁気シート(磁気テープ原反)をコアに巻いた状態で70℃で72時間エージングしたのち1/2インチ幅に裁断した。
 スリットマシン(磁気テープ原反を所定幅の磁気テープに裁断する装置)は、構成している各種要素を下記のように改良したものを用いた。巻き出し原反からスリット刃物群に至るウェブ経路中にテンションカットローラを設け、このテンションカットローラをサクションタイプとし、吸引部を多孔質金属を埋め込んだメッシュサクションとした。刃物駆動部に動力を伝達する機構を持たないモーター直結のダイレクトドライブとした。
 裁断後のテープを200m/分で走行させながら磁性層表面に対しラッピングテープ研磨、ブレード研磨そして表面拭き取りの後処理を行い、磁気テープを作製した。この時、ラッピングテープにはK10000、ブレードには超硬刃、表面拭き取りには東レ社製トレシー(商品名)を用い、走行テンション0.294Nで処理を行った。上記のようにして得られた磁気テープを、カートリッジに組み込み、コンピュータ用の磁気テープカートリッジ(以下、コンピュータ用テープともいう)を作製した。
 このようにして得られたコンピュータ用テープを図2に示す。このコンピュータテープは、図2に示すように、上下ケース1a・1bを蓋合わせ状に接合してなる角箱状のケース本体1を有し、ケース本体1の内部に配置した1個のリール2に磁気テープ3を巻装している。ケース本体1の前壁6の一側端には、テープ引出口4が開口してある。テープ引出口4は、スライド開閉可能なドア5で開閉できるようになっている。リール2に巻装した磁気テープ3をケース外へ引き出し操作するために、磁気テープ3の繰り出し端にテープ引出具7が連結されている。図2中の符号20は、ドア5を閉じ勝手に移動付勢するためのドアばねを示す。
(実施例2)
 磁性層用塗料の成分中、板状アルミナ粒子(平均粒子径:50nm)10部、板状ITO粒子(平均粒子径:40nm)5部の代わりに、粒状アルミナ粒子(平均粒子径:80nm)10部、カーボンブラック(平均粒子径:75nm)2部を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例2のコンピュータ用テープを作成した。
(実施例3)
 バックコート層用塗料の成分中、カーボンブラック(平均粒子径:25nm)9 部、カーボンブラック(平均粒子径:0.35μm)1部、板状酸化鉄粒子(平均粒子径:50nm)10部、板状ITO粒子(平均粒子径:40nm)80部の代わりに、カーボンブラック(平均粒子径:25nm)80部、カーボンブラック(平均粒子径:0.35μm)10部、粒状酸化鉄粒子(平均粒子径:0.4μm)10部を用いた以外は、実施例2と同様にして実施例3のコンピュータ用テープを作成した。
(実施例4)
 下塗層用塗料の成分中、板状アルミナ粒子(平均粒子径:50nm)40部、板状ITO粒子(平均粒子径:40nm)60部の代わりに、板状アルミナ粒子(平均粒子径:50nm)70部、カーボンブラック(平均粒子径:25nm)30部を用いた以外は、実施例3と同様にして実施例4のコンピュータ用テープを作製した。
(実施例5)
 スリットマシンの構成要素を、テンションカットローラをサクションタイプの吸引部を多孔質金属を埋め込んだメッシュサクション、刃物駆動部に動力を伝達する機構を持たないモーター直結のダイレクトドライブから、テンションカットローラを通常のサクションタイプ、刃物駆動部に動力を伝達する機構をゴムベルトとゴムカップリングに変更した以外は実施例1と同様にして、実施例5のコンピュータ用テープを作製した。
(実施例6)
 磁性粉を、強磁性鉄系金属粉〔Co/Fe:25wt%、Y/Fe:25wt%、Al/Fe:6wt%、σs :99A・m2 /kg、Hc:215kA/m、平均長軸長:45nm〕の代わりに強磁性鉄系金属粉〔Co/Fe:21wt%、Y/Fe:8wt%、Al/Fe:6wt%、σs :155A・m2 /kg、Hc:188.2kA/m、平均長軸長:45nm〕に変更した以外は、実施例2と同様にして実施例6のコンピュータ用テープを作成した。
(実施例7)
 磁性粉を、強磁性鉄系金属粉〔Co/Fe:25wt%、Y/Fe:25wt%、Al/Fe:6wt%、σs :99A・m2 /kg、Hc:215kA/m、平均長軸長:45nm〕の代わりに強磁性鉄系金属粉〔Co/Fe:25wt%、Y/Fe:9.3wt%、Al/Fe:3.5wt%、σs :155A・m2 /kg、Hc:188.2kA/m、平均長軸長:100nm〕に変更した以外は、実施例3と同様にして実施例7のコンピュータ用テープを作成した。
(実施例8)
 磁性粉を、強磁性鉄系金属粉〔Co/Fe:25wt%、Y/Fe:25wt%、Al/Fe:6wt%、σs :99A・m2 /kg、Hc:215kA/m、平均長軸長:45nm〕の代わりに強磁性鉄系金属粉〔Co/Fe:22wt%、Y/Fe:23wt%、Al/Fe:10wt%、σs :92A・m2 /kg、Hc:111.4kA/m、平均長軸長:30nm〕に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例8のコンピュータ用テープを作成した。
(実施例9)
 磁性粉を、強磁性鉄系金属粉〔Co/Fe:25wt%、Y/Fe:25wt%、Al/Fe:6wt%、σs :99A・m2 /kg、Hc:215kA/m、平均長軸長:45nm〕の代わりに強磁性鉄系金属粉〔Co/Fe:21wt%、Y/Fe :14wt%、Al/Fe:5wt%、σs :119A・m2 /kg、Hc:181.4kA/m、平均長軸長:60nm〕に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例9のコンピュータ用テープを作成した。
(比較例1)
 下塗層用塗料の成分中、板状アルミナ粒子(平均粒子径:50nm)40部、板状ITO粒子(平均粒子径:40nm)60部の代わりに、針状酸化鉄粒子(平均粒子径:100nm)60部、粒状アルミナ粒子(平均粒子径:80nm)10部、カーボンブラック(平均粒子径:25nm)30部を用い、スリットマシンの構成要素を、テンションカットローラをサクションタイプの吸引部を多孔質金属を埋め込んだメッシュサクション、刃物駆動部に動力を伝達する機構を持たないモーター直結のダイレクトドライブから、テンションカットローラを通常のサクションタイプ、刃物駆動部に動力を伝達する機構をゴムベルトとゴムカップリングに変更した以外は実施例7と同様にして、比較例1のコンピュータ用テープを作製した。
(比較例2)
 下塗層用塗料の成分中、板状アルミナ粒子(平均粒子径:50nm)の代わりに、板状アルミナ粒子(平均粒子径:150nm)を用い、スリットマシンの構成要素を、テンションカットローラをサクションタイプの吸引部を多孔質金属を埋め込んだメッシュサクション、刃物駆動部に動力を伝達する機構を持たないモーター直結のダイレクトドライブから、テンションカットローラを通常のサクションタイプ、刃物駆動部に動力を伝達する機構をゴムベルトとゴムカップリングに変更した以外は実施例4と同様にして、比較例2のコンピュータ用テープを作製した。
(比較例3)
 下塗層用塗料の成分中、板状アルミナ粒子(平均粒子径:50nm)40部、板状ITO粒子(平均粒子径:40nm)60部の代わりに、針状酸化鉄粒子(平均粒子径:100nm)60部、粒状アルミナ粒子(平均粒子径:80nm)10部、カーボンブラック(平均粒子径:25nm)30部を用い、スリットマシンの構成要素を、テンションカットローラをサクションタイプの吸引部を多孔質金属を埋め込んだメッシュサクション、刃物駆動部に動力を伝達する機構を持たないモーター直結のダイレクトドライブから、テンションカットローラを通常のサクションタイプ、刃物駆動部に動力を伝達する機構をゴムベルトとゴムカップリングに変更した以外は実施例3と同様にして、比較例3のコンピュータ用テープを作製した。
 以上のコンピュータ用テープについて以下の測定を行うことにより特性を評価した。
〈出力と出力対ノイズ〉
 テープの電磁変換特性測定には、ドラムテスターを用いた。ドラムテスターには電磁誘導型ヘッド(トラック幅25μm、ギャップ長0.1μm)とMRヘッド(トラック幅8μm)を装着し、誘導型ヘッドで記録、MRヘッドで再生を行った。両ヘッドは回転ドラムに対して異なる場所に設置されており、両ヘッドを上下方向に操作することで、トラッキングを合わせることができる。磁気テープはカートリッジに巻き込んだ状態から適切な量を引き出して廃棄し、更に60cmを切り出し、更に4mm幅に加工して回転ドラムの外周に巻き付けた。
 出力及びノイズは、ファンクションジェネレータにより波長0.2μmの矩形波を書き込み、MRヘッドの出力をスペクトラムアナライザーに読み込んだ。0.2μmのキャリア値を媒体出力Cとした。また0.2μmの矩形波を書き込んだときに、出力及びシステムノイズを差し引いた値の積分値をノイズ値Nとして用いた。更に両者の比をとってC/Nとし、C、C/Nともにリファレンスとして用いている比較例1テープの値との相対値を求めた。
〈エラーレート〉
 エラーレートは、薄手テープも測定できるように改造したLTOドライブを用いて記録(記録波長0.55μm)・再生することによって求めた。エラーレートは、ドライブから出力されるエラー情報(エラービット数)をもとに、下式より求めた。
 エラーレート=(エラービット数/書き込みビット数)
〈テープの温度、湿度膨張係数〉
 作製した磁気テープ原反の幅方向から、幅12.65mm、長さ150mmの試料を準備し、温度膨張係数は、20℃、60%RHと40℃、60%RHとの試料長の差から、求めた。湿度膨張係数は、20℃、30%RHと20℃、70%RHとの試料長の差から、求めた。ここで求めた温度膨張係数および湿度膨張係数は、いずれもテープ幅方向におけるものである。
〈エッジウィーブ量の測定〉
 走行基準側となるテープエッジにおけるエッジウィーブ量は、サーボライター(走行速度5m/s)にエッジウィーブ量測定装置(キーエンス社製)を取り付け、テープ長さ50mにわたって連続測定した。ついで、得られたエッジウィーブ量のフーリエ解析を行い、周期f(mm)のエッジウィーブ量を求めた。テープ走行速度を、V(mm/s)としたときの周波数V/f(1/s)が50(1/s)以上の成分がオフトラックの原因になるので、本発明でいうエッジウィーブ量とは、V/f(1/s)が50(1/s)以上のものをいう。実施例、比較例ではV/f(V=4000mm/s,f=65mm)=61.5(1/s)のエッジウィーブ量を求めた。エッジウィーブオフトラック量はLTOドライブ装置でテープを走行させ求めた。
〈温度・湿度オフトラック量〉
 温度10℃、湿度10%RHから、温度29℃、湿度80%RHに環境が変化したときのトラック位置の最大ズレ量(サーボトラックから1400μm離れた位置のトラックズレ)をテープの温度膨張係数、湿度膨張係数からもとめた。
〈出力低下量〉
 上記エッジウィーブオフトラック量と温度、湿度オフトラック量の合計値から、記録トラック幅12μm、再生ヘッドトラック幅10μmの条件で記録再生を行ったときの、同一装置を使用した場合の出力低下量と、トラック位置が1.5μmずれた装置を使用した場合の出力低下量を計算によりもとめた。
 表1および表2に、以上の結果と、各実施例および比較例で採用した条件をまとめて示す。なお、表1および表2中の「スリットマシン」の項目における「S+G」は、テンションカートローラを通常のサクションタイプ(S)とし、刃物駆動部に動力を伝達する機構にゴムベルトとゴムカップリング駆動方式(G)を用いたことを示す。また、「M+D」は、テンションカットローラをサクションタイプの吸引部に多孔質金属を埋め込んだメッシュサクション(M)とし、刃物駆動部に動力を伝達する機構を持たないモーター直結のダイレクトドライブ方式(D)を用いたことを示す。
Figure 2004055137
Figure 2004055137
 表1および表2から明らかなように、本発明の実施例1〜6、および実施例8、実施例9に係る各コンピュータ用テープは、比較例1〜3に係るコンピュータ用テープに比べて、電磁変換特性に優れ、温度・湿度安定性が良好で、エッジウィーブ量が小さいため、温度や湿度が変化した場合でもオフトラック量が小さい。比較例2のコンピュータ用テープは、下塗層に板状非磁性酸化物粒子を含むが、その粒子径が、本発明の範囲を逸脱する150nmであるために、磁性層の表面粗さが大きくなり、電磁変換特性が悪い。実施例7のコンピュータ用テープは、磁性粉の粒子径が100nmで、実施例1〜6の磁性粉の粒子径45nm、実施例8の粒子径30nm、実施例9の粒子径60nm、に比べて大きいため、実施例1〜6、および実施例8、実施例9に比べて電磁変換特性が悪いが、平均粒子径が10〜100nmの板状の非磁性粉末を下塗層に使用しているので、比較例1〜3に比べてオフトラックによる出力低下は小さい。また、実施例1〜9に係るコンピュータ用テープは、100回走行後のエラーレートが、比較例1〜3に係るコンピュータ用テープに比べて小さい。
本発明に係る磁気テープの積層構造例を示すもので、(a)は中間層を設けない場合、(b)は非磁性支持体の片面に中間層を設けた場合、(c)は非磁性支持体の両面に中間層を設けた場合をそれぞれ示す断面図である。 本発明が適用される磁気テープカートリッジの一般的な構造を示す斜視図である。 本発明が適用される磁気テープカートリッジの内部構造を一部簡略化して示す断面図である。 磁気テープに存在するエッジウィーブを説明するために使用したもので、磁気テープをその一部拡大図ととともに示す平面図である。 本発明の実施例において、磁気テープ原反をスリッティングする際に使用したスリットマシンの一部簡略化した構成図である。 スリットマシンに備えられるテンションカットローラのサクション吸引部を一部簡略化して示す部分断面図である。 磁気テープカートリッジ用の磁気記録再生装置(テープ駆動装置)の一例を示す平面図である。 磁気記録再生装置に備えられたガイドローラに沿って磁気テープが走行する状態を説明するために使用したもので、図7の矢印A方向から見た拡大側面図である。 磁気テープに用いられるトラックサーボ方式の一例(磁気サーボ方式)を説明するために使用したもので、磁気テープの磁気記録面(磁性層)にデータトラックとサーボバンドとを交互に設けた状態を示す模式図である。
符号の説明
1 磁気テープカートリッジのケース本体
2 リール
3 磁気テープ
3・3' テープエッジ
31 非磁性支持体
32 下塗層
33 磁性層
34 バックコート層
α エッジウィーブ量
f エッジウィーブ

Claims (13)

  1.  非磁性支持体と、非磁性支持体の一方の面に設けられた、非磁性粉を含む下塗層と、この下塗層の上側に設けられた、磁性粉を含む磁性層とを有し、
     非磁性支持体の他方の面に、非磁性粉を含むバックコート層を有する磁気テープであって、
     前記磁性粉が針状の鉄系磁性粉で、
     前記磁性層の厚さが0.09μm以下で、
     前記下塗層中の非磁性粉として、平均粒子径が10〜100nmの板状の非磁性酸化物粒子を含有することを特徴とする磁気テープ。
  2.  針状の鉄系磁性粉は、平均長軸長が20〜60nmの鉄系磁性粉である、請求項1記載の磁気テープ。
  3.  針状の鉄系磁性粉は、鉄に対して、20〜40重量%のコバルトと、10〜30重量%の希土類元素から選ばれる少なくとも1つの元素と、3〜10重量%のアルミニウムとを含む、請求項2記載の磁気テープ。
  4.  磁性層の長手方向の角型比(Br/Bs)が0.80以上である、請求項3記載の磁気テープ。
  5.  板状の非磁性酸化物粒子は、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化鉄のうちから選ばれた少なくとも一種の酸化物粒子である、請求項1ないし4のいずれかに記載の磁気テープ。
  6.  下塗層またはバックコート層のうちの少なくとも一方に、平均粒子径が10〜100nmの板状の導電性粒子が含有されている、請求項1ないし5のいずれかに記載の磁気テープ。
  7.  磁性層またはバックコート層に、トラッキング制御用のサーボ信号が記録されている、請求項1ないし6のいずれかに記載の磁気テープ。
  8.  非磁性支持体と、非磁性支持体の一方の面に設けられた、非磁性粉を含む下塗層と、この下塗層の上側に設けられた、磁性粉を含む磁性層とを有し、
     非磁性支持体の他方の面に、非磁性粉を含むバックコート層を有する磁気テープであって、
     前記磁性粉が針状の鉄系磁性粉で、
     前記磁性層のテープ幅方向の温度張係数が(0〜8)×10-6/℃、湿度膨張係数が(0〜10)×10-6/%RHで、
     テープ走行時に走行基準側となる一方のテープエッジまたはその反対側となるテープエッジに存在するエッジウィーブ量が0.8μm以下であることを特徴とする磁気テープ。
  9.  針状の鉄系磁性粉は、平均長軸長が20〜60nmの鉄系磁性粉である、請求項8記載の磁気テープ。
  10.  箱状のケース本体の内部に、請求項1ないし9のいずれかに記載の磁気テープを巻装した1個のリールが配置されており、当該磁気テープに記録されたサーボ信号によってトラッキング制御されることを特徴とする磁気テープカートリッジ。
  11.  サーボ信号は、磁気テープの磁性層またはバックコート層に磁気信号として記録されている、請求項10記載の磁気テープカートリッジ。
  12.  サーボ信号は、磁気テープのバックコート層に光学信号として記録されている、請求項10記載の磁気テープカートリッジ。
  13.  磁気テープにおける磁気記録信号は、磁気抵抗効果型素子を利用した再生ヘッドによって再生される、請求項10ないし12のいずれかに記載の磁気テープカートリッジ。
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