JP2006059393A - 磁気テープおよびこれを用いた磁気テープカートリッジ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 非磁性支持体上に少なくとも磁性層を設けた磁気テープにおいて、前記磁気テープの25mmあたりの蛇行部の変位量が0.05mm以下であり、かつ前記磁性層のAl2O3/TiC部材に対する摩擦係数が0.30以下であることを特徴とする磁気テープと、カートリッジケースに磁気テープを巻装した単一若しくは複数のリールを回転可能に収容してなる磁気テープカートリッジにおいて、前記磁気テープとして、上記の磁気テープを用いる。
【選択図】 なし
Description
昨今の高度情報化・ネット社会において、取り扱われるデータ量は飛躍的に伸びている。そこで、磁気テープカートリッジ1巻当たりの記録容量を増やす手段として、記録トラック幅を狭くしてテープ幅方向の記録密度を高くしたり、記録波長を短波長化することが検討されている。しかし、記録トラック幅を狭くすると、オフトラックによる再生出力の低下の問題がある。これは、図12に示すように、磁気テープ103の長手方向に対して蛇行部103a,103b,103cが生じていると、巻き取り時の磁気テープ103の直進性が損なわれることによって磁気テープ103の巻姿が劣化することが原因の一つである(例えば、特許文献1参照)。
また、記録波長を短波長化するためには、ヘッドにダメージを与えない磁気テープが必要となる。
1)非磁性支持体上に少なくとも磁性層を設けた磁気テープにおいて、前記磁気テープの25mmあたりの蛇行部の変位量が0.05mm以下であり、かつ前記磁性層のAl2O3/TiC部材に対する摩擦係数が0.30以下であることを特徴とする磁気テープ。
2)下記の測定条件によって測定された蛇行部の変位量によって特定される上記1)に記載の磁気テープ。
(蛇行部の変位量の測定条件)前記磁気テープを支持面上に支持させ、前記支持面上の前記磁気テープに光を照射するとともに、前記光を前記磁気テープを介して受光部によって検出する場合に、前記受光部を保持する駆動手段を、前記支持面に支持された前記磁気テープの一方の端部から他方の端部へ至る直線上を移動させて、前記駆動手段の移動方向に対して垂直方向に配列された複数の受光素子によって前記光源から発せられた光を検出して蛇行部の変位量を測定する。
3)前記非磁性支持体上に、実質的に非磁性である下層と強磁性粉末を結合剤中に分散してなる磁性層とをこの順に設けたことを特徴とする上記1)または2)に記載の磁気テープ。
4)前記非磁性支持体の一方の面に、実質的に非磁性である下層と強磁性粉末を結合剤中に分散してなる磁性層とをこの順に設け、かつ前記非磁性支持体の他方の面にバック層を設けたことを特徴とする上記3)に記載の磁気テープ。
5)カートリッジケースに磁気テープを巻装した単一若しくは複数のリールを回転可能に収容してなる磁気テープカートリッジにおいて、前記磁気テープが、上記1)〜4)のいずれかに記載の磁気テープであることを特徴とする磁気テープカートリッジ。
磁気記録再生は、本発明の磁気テープを備えた磁気テープカートリッジを磁気記録再生装置に用いればよい。磁気テープに対し100kfci以上(好ましくは120kfci以上、更に好ましくは140kfci以上)の線記録密度、かつ記録トラック幅(好ましくは25μm以下、更に好ましくは15μm以下)と再生トラック幅(好ましくは15μm以下、更に好ましくは10μm以下)の差を0〜16μm(好ましくは0〜12μm、更に好ましくは0〜8μm)として記録再生が可能である。
上記トラック幅で記録再生を行う記録再生装置については、特に限定されず、記録・再生ヘッドを有した公知の態様の磁気記録再生装置を用いることができる。
本発明に用いられる磁気ヘッドは記録用としてはインダクティブヘッドが、再生用としてはMRヘッドが好ましく使用できる。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
この方法は、磁気テープを巻き取り可能なテープ巻取部と、磁気テープの巻き取り時に、該磁気テープを前記テープ巻取部へ案内するテープガイド部とを備え、予め測定された磁気テープの長手方向における蛇行部の位置で、テープガイド部を磁気テープの幅方向に駆動し、テープ巻取部に巻き取られる磁気テープの位置が一定になるように制御する制御部が設けられている磁気テープの巻取装置によって実施することができる。
以下、該方法および装置について詳述する。
図2は、磁気テープの蛇行部を測定する測定装置を示す構成図である。磁気テープの測定装置30は、磁気テープTを従動軸38aに回動可能に支持されたパンケーキ31から主軸38bに回動可能に支持されたリール32に巻き取りつつ、測定領域に磁気テープTを走行させて蛇行部を測定する構成である。
本発明において、単位長さあたりの蛇行部の変位量とは、巻き取られている磁気テープ(製品)を上記測定装置にて測定される、任意位置の磁気テープ25mmにおける上記測定点のpeak値の最大値とvalley値の最小値の差を意味する。本発明では、その差が0.05mm以下に制御される。ただし、磁気テープ600m当たり(2.4×104回の測定当たり)該変位量が0.05mmより超える場合が2回以下測定される場合は許容の範囲である。
先ず、図2で示す測定装置30によって磁気テープTの蛇行部Ta,Tbを測定し、図1に示す巻取装置10のメモリ24に入力する。その後、磁気テープTをテープ巻取部13によって磁気テープTの巻き取りを開始する。
磁気テープの磁性層の摩擦係数を下げることで、オフトラックおよび走行によるエラーレートの劣化の問題を解決することができるとともに、ロード/アンロードによる出力低下を抑制することができる。磁性層の摩擦係数を支配する要因としては、磁性層の表面粗さ、表面潤滑剤量、表面硬さ等が挙げられる。したがって、磁性層または非磁性層に添加されるカーボンブラックや研磨剤等の添加剤、結合剤、潤滑剤の量を調整する;支持体の表面粗さ、もしくはカレンダー・熱処理の条件等を調整することなどによって、所望の摩擦係数を達成することができる。
上記摩擦係数は、温度23±2℃、湿度50±5%の環境下において、直径7.0mmのAl2O3/TiC製シリンダー(Ra=50±10nm)に、テープを全巻き角度が170°から180°で磁気面を内側にして巻きつけ、外側のテープの一端にF1=1.0Nの力を加え、もう片方の端に直線スライドに載せたフォースゲージを付ける。スライドを速度1mm/秒で動かすのに必要な力F2を測定して得た値を意味する。摩擦係数γは以下の式で求められる。
γ=ln(F2/F1)(1/θ) θ:ラジアン単位の巻き付け角度
<磁性層および非磁性層の結合剤等>
磁性層(上層)、非磁性層(下層)に使用される結合剤としては従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物が使用される。熱可塑性樹脂としては、ガラス転移温度が−100〜150℃、数平均分子量が1000〜200000、好ましくは10000〜100000、重合度が約50〜1000程度のものが使用される。
ポリウレタン樹脂中の水酸基の含有量は、1分子あたり3〜20個であるのが好ましく、より好ましくは1分子あたり4〜5個である。1分子あたり3個未満であるとポリイソシアネート硬化剤との反応性が低下するために、塗膜強度と耐久性が低下しやすい。また、20個より多いと、溶剤への溶解性と分散性が低下しやすい。ポリウレタン樹脂中の水酸基の含有量を調整するために、ポリウレタン樹脂の合成に際し、水酸基が3官能以上の化合物を用いることができる。具体的には、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、無水トリメリット酸、グリセリン、ペンタエリスリトール、ヘキサントリオール、特公平6−64726号に記載されるポリエステルポリオールを原料とする2塩基酸と該化合物をグリコール成分として得られる3官能以上水酸基を有する分岐ポリエステル、ポリエーテルエステル等が挙げられる。好ましいのは3官能のものであり、4官能以上になると反応過程においてゲル化しやすくなる。
磁性層に使用する強磁性粉末としては、α−Feを主成分とする強磁性合金粉末が好ましい。これらの強磁性粉末には所定の原子以外にAl、Si、S、Sc、Ca、Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、Sr、Bなどの原子を含んでもかまわない。特に、Al、Si、Ca、Y、Ba、La、Nd、Co、Ni、Bの少なくとも1つをα−Fe以外に含むことが好ましく、Co、Y、Alの少なくとも一つを含むことがさらに好ましい。
磁性層の厚みは、50〜200nmが好ましく、50〜150nmが更に好ましい。
このRaは、光干渉式表面粗さ計(WYKO社製HD−2000)にて以下の条件で測定されるものを意味する。
対物レンズ:50倍、中間レンズ:0.5倍、測定範囲:242μm×184μmで円筒補正、傾き補正後にRaを算出する。
表面粗さは種々の方法で制御可能である。例えば、支持体の粗さ、塗布層の厚み、塗布層に用いる無機粒子の粒子サイズ、カレンダー処理などの表面成形処理の線圧、ロール表面性などを選定すること等が挙げられる。
非磁性層に用いられる無機粉末は、非磁性粉末であり、例えば、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物、等の無機質化合物から選択することができる。非磁性層にカーボンブラックを混合させて公知の効果である表面電気抵抗Rsを下げること、光透過率を小さくすることができるとともに、所望のマイクロビッカース硬度を得る事ができる。また、下層にカーボンブラックを含ませることで潤滑剤貯蔵の効果をもたらすことも可能である。カーボンブラックの種類はゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック、等を用いることができる。下層のカーボンブラックは所望する効果によって、以下のような特性を最適化すべきであり、併用することでより効果が得られることがある。また非磁性層には有機質粉末を目的に応じて、添加することもできる。非磁性層の潤滑剤、分散剤、添加剤、溶剤、分散方法その他は磁性層に関する公知技術が適用できる。
非磁性層の厚みは、1.0〜3.0μmが好ましく、1.0〜2.0μmが更に好ましい。
磁性層、非磁性層等に使用される添加剤としては、ヘッド研磨効果、潤滑効果、帯電防止効果、分散効果、可塑効果などをもつものが使用される。具体的にはWO98/35345号等に記載のものが挙げられる。
潤滑剤としては、例えば、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸、およびこれらの金属塩(Li、Na、K、Cuなど)または炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸と炭素数2〜12の一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコールのいずれか一つとからなるモノ脂肪酸エステルまたはジ脂肪酸エステルまたはトリ脂肪酸エステル、アルキレンオキシド重合物のモノアルキルエーテルの脂肪酸エステル、炭素数8〜22の脂肪酸アミドなどが使用できる。上記脂肪酸及びアルコールは、不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない。
これらの具体例としては脂肪酸では、カプリン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、イソステアリン酸、などが挙げられる。エステル類ではブチルステアレート、オクチルステアレート、アミルステアレート、イソオクチルステアレート、ブチルミリステート、オクチルミリステート、ブトキシエチルステアレート、ブトキシジエチルステアレート、2−エチルヘキシルステアレート、2−オクチルドデシルパルミテート、2−ヘキシルドデシルパルミテート、イソヘキサデシルステアレート、オレイルオレエート、ドデシルステアレート、トリデシルステアレート、エルカ酸オレイル、ネオペンチルグリコールジデカノエート、エチレングリコールジオレイル等が挙げられる。
バック層には、カーボンブラックと無機粉末が含有されていることが好ましい。結合剤、各種添加剤は、磁性層や非磁性層の処方が適用される。バック層の厚みは、0.1〜1.0μmが好ましく、0.4〜0.6μmが更に好ましい。
磁気テープに用いられる支持体は、非磁性可撓性支持体であることが好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリオレフィン類、セルローストリアセテート、ポリカーボネート、芳香族又は脂肪族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフォン、ポリアラミド、ポリベンゾオキサゾールなどの公知のフィルムが使用できる。中でもポリエチレンテレフタレートフィルム又はポリイミドフィルムを用いるのが好ましい。これらの支持体にはあらかじめコロナ放電処理、プラズマ処理、易接着処理、熱処理、除塵処理などを行ってもよい。
支持体は、長さ方向の弾性率が3.5〜20GPa、好ましくは6.2GPa以下、幅方向の弾性率が3.5〜20GPa、好ましくは5.7GPa以下、さらに好ましくは長さ方向及び幅方向共に弾性率が4〜15GPa、好ましくは5.4GPa以下とするのがよい。
非磁性支持体の厚みは、4.0〜8.0μmが好ましく、5.0〜7.0μmが更に好ましい。
磁性層と非磁性層は、上記成分を溶媒に溶解乃至分散して各々の塗料を作製し、支持体(ウェブ)上に順じ塗布することにより作製できる。非磁性層が湿潤状態にあるうち磁性層を塗布するウエット・オン・ウエット方式でも非磁性層が乾燥した上に塗布するウエット・オン・ドライ方式でもよい。塗布乾燥されたウェブは適宜配向処理、カレンダ処理、スリットが施される。
本発明の磁気テープカートリッジは、カートリッジケースに磁気テープを巻装した単一若しくは複数のリールを回転可能に収容してなり、前記磁気テープとして、本発明の磁気テープを用いることを特徴とする。
本発明の磁気テープは線記録密度100kfci以上で、記録トラック幅と再生トラック幅の差が16μm以下の磁気記録再生装置で使用された場合にとくに顕著な効果が奏され、記録トラック幅と再生トラック幅の差が10μm以下の磁気記録再生装置では、更に顕著な効果がえられる。
磁気テープドライブ70は、図9に示すように、スピンドル74と、このスピンドル74を駆動するためのスピンドル駆動装置75と、磁気ヘッドHと、ドライブリール71と、このドライブリール71を駆動するための巻取リール駆動装置76と、制御装置77とを備えている。
また、磁気テープドライブ70は、前記磁気テープカートリッジ60のリーダーテープLT先端に設けられたリーダピン80(図10参照)に係合可能なリーダーブロック81を有しており、このリーダーブロック81は、引出ガイド82等を含む図示しない引出機構により、磁気テープカートリッジ60側に移送されるようになっている。
磁気テープカートリッジ60が図9に示すように磁気テープドライブ70に装着されると、引出ガイド82(図10参照)がリーダピン80を引き出して、磁気ヘッドHを介してドライブリール71まで移送し、リーダーブロック81をドライブリール71のコア部72の凹部73へ嵌入させる。なお、凹部73には、リーダーブロック81に係合し、リーダーブロック81が凹部23から飛び出すのを防止する図示しない係止部が設けられている。
1.磁性層用塗料液の調製
強磁性針状金属粉末 100部
組成(at%):Fe/Co/Al/Y=67/20/8/5
表面処理層:Al2O3,Y2O3
抗磁力(Hc):183kA/m
結晶子サイズ:12.5nm
長軸径:45nm
針状比:6
BET比表面積(SBET):60m2/g
飽和磁化(σs):140A・m2/kg(140emu/g)
ポリウレタン樹脂 12部
分岐側鎖含有ポリエステルポリオール/ジフェニルメタンジイソシアネート系、親水性極性基:−SO3Na=70eq/ton含有
フェニルホスホン酸 3部
α−Al2O3(粒子サイズ0.06μm) 2部
カーボンブラック(粒子サイズ 20nm) 2部
シクロヘキサノン 110部
メチルエチルケトン 100部
トルエン 100部
ブチルステアレート 2部
ステアリン酸 1部
非磁性無機質粉末 85部
α−酸化鉄
表面処理層:Al2O3,SiO2
長軸径:0.15μm
タップ密度:0.8g/ml
針状比:7
BET比表面積(SBET):52m2/g
pH8
DBP吸油量:33g/100g
カーボンブラック 20部
DBP吸油量:120ml/100g
pH:8
BET比表面積(SBET):250m2/g
揮発分:1.5%
ポリウレタン樹脂 12部
分岐側鎖含有ポリエステルポリオール/ジフェニルメタンジイソシアネート系、親水性極性基:−SO3Na=70eq/ton含有
アクリル樹脂 6部
ベンジルメタクリレート/ダイアセトンアクリルアミド系、
親水性極性基:−SO3Na=60eq/ton含有
フェニルホスホン酸 3部
α−Al2O3(平均粒径0.2μm) 1部
シクロヘキサノン 140部
メチルエチルケトン 170部
ブチルステアレート 2部
ステアリン酸 1部
混練物1
カーボンブラックA 粒径 40nm 100部
ニトロセルロース RS1/2 50部
ポリウレタン樹脂 40部
(ガラス転移温度: 50℃)
分散剤 オレイン酸銅 5部
銅フタロシアニン 5部
沈降性硫酸バリウム 5部
メチルエチルケトン 500部
トルエン 500部
上記をロールミルで予備混練した後、
混練物2
カーボンブラック B SSA 8.5m2/g 100部
平均粒径 270nm、DBP吸油量 36ml/100g、pH10
ニトロセルロース RS1/2 40部
ポリウレタン樹脂 10部
メチルエチルケトン 300部
トルエン 300部
上記混練物1と2とをサンドグラインダーで分散し、完成後、以下を添加した。
ポリエステル樹脂 5部
ポリイソシアネート 5部
以上を加えて、バック層用塗料液を調整した。
得られた磁性層用塗料液、非磁性層用塗料液を、ポリエチレンナフタレート(PEN)支持体(厚さ:6.0μm、長さ(MD)方向のヤング率:800Kg/mm2(7.84GPa)、巾(TD)方法のヤング率:750Kg/mm2(7.35GPa)、磁性層塗布側の中心線平均表面粗さRa(カットオフ値:0.25mm):2nm)上に非磁性層、磁性層の順に乾燥後の厚みがそれぞれ1.5μm、0.1μmとなるよう同時重層塗布した。次いで、磁性層がまだ湿潤状態にあるうちに300mTの磁力をもつコバルト磁石と150mTの磁力をもつソレノイドを用いて配向処理を行った。その後、乾燥させることにより磁性層を形成した。
その後、支持体の他方の側(磁性層とは反対側)に、上記バック層用塗料を乾燥後の厚さが、0.5μmとなるように塗布し、乾燥してバック層を形成した。支持体の一方の面に磁性層そして他方の面にバック層がそれぞれ設けられた磁気テープ用のロールを得た。
上記ロールを、金属ロールのみから構成される7段のカレンダーで線圧:300Kg/cm(294kN/m)、温度90℃で表面平滑化処理を行った後、70℃48時間、加熱処理を行い、1/2インチ巾にスリットし、磁気テープを作製した。
得られた磁気テープを、前記実施形態で説明した磁気テープの巻取り装置に装着し、巻き取った。
実施例1の磁気テープの作製において、磁性層用塗料液に添加するカーボンブラックの量を1.5部に変更した以外は同様にして本発明に従う磁気テープを作製した。
実施例1の磁気テープの作製において、前記実施形態で説明した巻取り装置を使わないこと以外は同様にして磁気テープを作製した。
実施例1の磁気テープの作製において、磁性層塗料液に添加するカーボンブラックの量を1部に変更した以外は同様にして磁気テープを作製した。
実施例1の磁気テープの作製において、磁性層塗料液に添加するカーボンブラックの量を0.8部に変更し、前記実施形態で説明した巻き取り装置を使わないこと以外は同様にして磁気テープを作製した。
(1)薄膜磁気ヘッド
記録ヘッド:
構造:2ターン薄膜コイルをCo系アモルファス磁性薄膜ヨークで挟持したインダクティブヘッドである。トラック幅は24μm、ギャップ長は1.0μmである。
再生ヘッド:
構造:両シールド型シャントバイアスMR(磁気抵抗型)ヘッドである。MR素子は、Fe/Ni(パーマロイ)合金薄膜である。ショルダー部の部材はAl2O3/TiCである。トラック幅は12μm、シールド間隔は0.45μmである。
(2)磁気記録再生システムの組み立て
記録再生ヘッドをIBM社製LTOドライブ(1/2インチカートリッジ磁気テープ記録装置)に装着し、テープスピード4m/秒の磁気記録再生システムを作成した。
実施例1、比較例1〜3の磁気テープカートリッジを用いて以下の評価を行った。
(1)磁気テープの単位長さあたりの蛇行部の変位量
測定点同士の間隔を2.5cmとして、前記方法に準じて測定した。
(2)磁性層の摩擦係数
温度23±2℃、湿度50±5%の環境下において、直径7.0mmのAl2O3/TiC製シリンダー(Ra=50±10nm)に、テープを全巻き角度が170°から180°で磁気面を内側にして巻きつける。外側のテープの一端にF1=1.0Nの力を加え、もう片方の端に直線スライドに載せたフォースゲージを付ける。スライドを速度1mm/秒で動かすのに必要な力F2を測定する。摩擦係数γは以下の式で求められる。
γ=ln(F2/F1)(1/θ) θ:ラジアン単位の巻き付け角度
(3)巻き姿
リールに巻かれたテープの巻き姿を目視で観察し、以下の5段階でランク分けした。
A・・・飛び出し部が全く見られない。
B・・・飛び出し部が数箇所ある。
C・・・飛び出し部が約1/3を占める。
D・・・飛び出し部が半数以上を占める。
E・・・全体に渡り飛び出しが発生している。
(4)走行特性
a)上記の磁気記録再生システムに実施例及び比較例の磁気テープを装着してテープ全長を5000の繰り返し走行を行った。そして磁気テープの全長に渡って再生出力を測定し、走行前後における出力低下率を求めた。
b)上記の磁気記録再生システムに実施例及び比較例の磁気テープを装着して繰り返し走行を行ない(完走:50000回)、エラーが発生した時のパス回数を測定し、磁気テープの走行特性を評価した。
なお、上記a)及びb)のいずれの場合にも磁気テープのシステム内(ドライブ内)の走行時のテンションは1.0Nであるとする。
以上の評価の結果を表1に示す。
一方、比較例1の磁気テープは、巻き取り時において、磁気テープを幅方向に変位して巻き取る巻取制御が行われなかったため、巻き取り前の磁気テープの蛇行量が巻き取り時に矯正されず、蛇行部の変位量が0.05mmより大きくなってしまった。したがって比較例1の磁気テープは、巻き姿が劣るため、ドライブで繰り返し走行させるとオフトラックによる出力低下及びエラー劣化が発生する。比較例2は、蛇行部の変位量が0.05mm以下であり、巻き姿は良好であるが、摩擦係数が高いため走行特性が不十分であり、出力低下及びエラー発生は比較例1より更に劣る。また、比較例3は、蛇行部の変位量が0.05mmを超え、摩擦係数が更に高いため、巻き姿は悪く、走行特性も最も劣る。
11 テープ巻体
12 テープガイド部
13 テープ巻取部
14 アクチュエータ
20 制御部
25 検尺機
51 磁気記録再生装置
60 磁気テープカートリッジ
61 カートリッジリール(送出リール)
70 磁気テープドライブ
71 ドライブリール(巻取リール)
H 磁気ヘッド
LT リーダーテープ
MT 磁気テープ
Claims (5)
- 非磁性支持体上に少なくとも磁性層を設けた磁気テープにおいて、前記磁気テープの25mmあたりの蛇行部の変位量が0.05mm以下であり、かつ前記磁性層のAl2O3/TiC部材に対する摩擦係数が0.30以下であることを特徴とする磁気テープ。
- 下記の測定条件によって測定された蛇行部の変位量によって特定される請求項1に記載の磁気テープ。
(蛇行部の変位量の測定条件)前記磁気テープを支持面上に支持させ、前記支持面上の前記磁気テープに光を照射するとともに、前記光を前記磁気テープを介して受光部によって検出する場合に、前記受光部を保持する駆動手段を、前記支持面に支持された前記磁気テープの一方の端部から他方の端部へ至る直線上を移動させて、前記駆動手段の移動方向に対して垂直方向に配列された複数の受光素子によって前記光源から発せられた光を検出して蛇行部の変位量を測定する。 - 前記非磁性支持体上に、実質的に非磁性である下層と強磁性粉末を結合剤中に分散してなる磁性層とをこの順に設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の磁気テープ。
- 前記非磁性支持体の一方の面に、実質的に非磁性である下層と強磁性粉末を結合剤中に分散してなる磁性層とをこの順に設け、かつ前記非磁性支持体の他方の面にバック層を設けたことを特徴とする請求項3に記載の磁気テープ。
- カートリッジケースに磁気テープを巻装した単一若しくは複数のリールを回転可能に収容してなる磁気テープカートリッジにおいて、前記磁気テープが、請求項1〜4のいずれかに記載の磁気テープであることを特徴とする磁気テープカートリッジ。
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JP2003132526A (ja) * | 2001-08-15 | 2003-05-09 | Hitachi Maxell Ltd | 磁気テープおよび磁気テープカートリッジ |
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