JPH0960719A - 車両用直結クラッチの制御装置 - Google Patents

車両用直結クラッチの制御装置

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JPH0960719A
JPH0960719A JP7216016A JP21601695A JPH0960719A JP H0960719 A JPH0960719 A JP H0960719A JP 7216016 A JP7216016 A JP 7216016A JP 21601695 A JP21601695 A JP 21601695A JP H0960719 A JPH0960719 A JP H0960719A
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Toru Matsubara
亨 松原
Kunihiro Iwatsuki
邦裕 岩月
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 変速後のギヤ段においてスリップ制御が実行
される場合に、変速途中においてスリップ制御を開始さ
せても違和感やエンジン回転速度の一時的上昇が発生し
ない車両用直結クラッチの制御装置を提供する。 【解決手段】 変速後スリップ制御条件判定手段194
により変速後のギヤ段においてスリップ制御条件が成立
すると判定された場合には、スリップ制御切換手段20
0により、イナーシャ相判定手段196によりイナーシ
ャ相が判定されてからスリップ制御手段192に変速期
間スリップ制御が開始させられ、変速終了判定手段19
8により自動変速機14の変速の終了が判定された後に
は、そのスリップ制御手段192に定常時のスリップ制
御へ移行させるための移行スリップ制御が実行させられ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、車両用直結クラッ
チの制御装置に関し、特に、自動変速機の変速中にスリ
ップ制御を実行させる技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】トルクコンバータやフルードカップリン
グのような流体伝動装置のポンプ翼車とタービン翼車と
の間を直結する直結クラッチと、複数のギヤ段のいずれ
かへ自動的に変速される自動変速機とを有する車両が知
られている。そして、そのような車両には、加速走行時
における回転損失を一層少なくして車両の燃費を改善す
ることを目的として、車両状態が解放領域と係合領域と
の間に設定されたスリップ制御領域内となると直結クラ
ッチのスリップ量が所定の目標スリップ量となるように
制御するスリップ制御手段が設けられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、自動変速機
の変速後のギヤ段においてもスリップ制御条件が成立す
る場合には、その自動変速機の変速途中においても直結
クラッチのスリップを可及的に実行させることが望まれ
る。たとえば、特開平1−93665号公報に記載され
た制御装置によれば、ロックアップクラッチが半クラッ
チ状態となる範囲で適度の締結力が得られるようにアク
セル開度などに基づいて設定した一定のデューティ設定
値dを変速中に出力させることが行われる。これによれ
ば、スリップ量が目標スリップ量となるように直結クラ
ッチの締結力を制御するフィードバック制御が変速期間
内で実行される場合では必ずしも変速ショックを緩和す
るための適正値に維持されなかったのに対し、適度な締
結力が保持されることにより変速ショックが好適に防止
される。
【0004】しかしながら、上記の制御装置によれば、
単に変速期間中において上記一定のデューティ設定値d
が出力されるということであるが、変速期間の開始当初
から出力されるのか或いは変速終期において出力される
のかが明確でない。たとえば、変速期間の開始当初から
上記一定のデューティ設定値dが出力される場合には、
自動変速機の入力軸の回転速度変化開始のような実質的
な変速開始前から直結クラッチのスリップが開始される
ことになり、直結クラッチのスリップによる実質的変速
開始前のエンジン回転速度の低下と実質的変速によるエ
ンジン回転速度の変化(低下)とが連続的に発生し、違
和感を与えるという不都合が発生する。また、変速期間
の終期において上記一定のデューティ設定値dが出力さ
れる場合には、直結クラッチの係合遅れによってエンジ
ン回転速度の一時的上昇が発生する可能性があった。
【0005】これに対し、特開昭63−67461号公
報に記載されているように、車両状態が直結クラッチの
係合領域内である場合の自動変速機の変速中において、
イナーシャ相で直結クラッチをスリップさせる制御装置
が提案されている。しかしながら、このような制御装置
は、変速後のギヤ段で継続的に実行されるスリップ制御
の開始時期をイナーシャ相とするものではなく、直結ク
ラッチが変速前後において係合させられる状況下で変速
による変速ショックを単に緩和することを意図して、直
結クラッチのスリップ中に変速を実行させるためにイナ
ーシャ相で直結クラッチを単にスリップさせるものに過
ぎないのである。
【0006】本発明は以上の事情を背景として為された
ものであり、その目的とするところは、変速後のギヤ段
においてスリップ制御が実行される場合に、変速途中に
おいてスリップ制御を開始させても違和感やエンジン回
転速度の一時的上昇が発生しない車両用直結クラッチの
制御装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めの本発明の要旨とするところは、流体伝動装置のポン
プ翼車とタービン翼車との間を直結する直結クラッチ
と、複数のギヤ段のいずれかへ自動的に変速される自動
変速機とを有する車両において、その直結クラッチのス
リップ制御を実行するスリップ制御手段を備え、その自
動変速機の変速中においてもスリップ制御を実行させる
形式の制御装置であって、(a) 前記自動変速機の変速後
のギヤ段においてスリップ制御条件が成立するか否かを
判定する変速後スリップ制御条件判定手段と、(b) 前記
自動変速機の変速期間におけるイナーシャ相を判定する
イナーシャ相判定手段と、(c) 前記自動変速機の変速期
間の終了を判定する変速終了判定手段と、(d) その変速
後スリップ制御条件判定手段により変速後のギヤ段にお
いてスリップ制御条件が成立すると判定された場合に
は、前記イナーシャ相判定手段によりイナーシャ相が判
定されてから前記スリップ制御手段に変速期間スリップ
制御を開始させ、前記変速終了判定手段により前記自動
変速機の変速の終了が判定された後には、そのスリップ
制御手段に定常時のスリップ制御へ移行させるための移
行スリップ制御を実行させるスリップ制御切換手段と
を、含むことにある。
【0008】
【発明の効果】このようにすれば、変速後スリップ制御
条件判定手段により変速後のギヤ段においてスリップ制
御条件が成立すると判定された場合には、スリップ制御
切換手段により、前記イナーシャ相判定手段によりイナ
ーシャ相が判定されてから前記スリップ制御手段が変速
期間スリップ制御を開始させられ、前記変速終了判定手
段により前記自動変速機の変速の終了が判定された後に
は、そのスリップ制御手段が定常時のスリップ制御へ移
行させるための移行スリップ制御を実行させられる。こ
のように、イナーシャ相開始から上記変速期間スリップ
制御が開始されることから、スリップ制御開始時と変速
時とにおいて連続的にエンジン回転速度が変化すること
に起因する違和感が防止される。また、変速終了の後に
おいて移行スリップ制御が実行されることから、定常時
のスリップ制御へ円滑に移行させられるので、エンジン
回転速度の一時的上昇が防止される。
【0009】
【発明の他の態様】ここで、好適には、スリップ制御手
段は、直結クラッチの実際のスリップ量を目標スリップ
量に一致させるように直結クラッチの係合トルクを制御
するものである。そして、前記スリップ制御切換手段に
は、自動変速機の変速後、詳細にはその変速後の過渡期
の後において緩やかに定常時の目標スリップ量に接近す
る移行期の目標スリップ量を決定する移行期目標スリッ
プ量決定手段が備えられる。これにより、スリップ制御
切換手段は、前記変速終了判定手段により前記自動変速
機の変速の終了が判定された後において、実際のスリッ
プ量を上記移行期の目標スリップ量に一致させるように
直結クラッチの係合トルクを制御する移行期スリップ制
御をスリップ制御手段に実行させる。
【0010】また、好適には、上記移行期目標スリップ
量決定手段は、予め設定された一定の変化率で移行期の
目標スリップ量を減少させ、定常時の目標スリップ量と
なるまでその減少を継続させる。これにより、定常時の
スリップ制御へ円滑に移行させられ得る。
【0011】また、好適には、前記スリップ制御切換手
段には、実際のスリップ量を変速中の目標スリップ量と
して決定する第1変速期目標スリップ量決定手段と、予
め設定された一定の目標スリップ量を変速中の目標スリ
ップ量として決定する第2変速期目標スリップ量決定手
段とが備えられる。そして、自動変速機の変速前におい
てスリップ制御手段による直結クラッチのスリップ制御
が実行されていたか否かを判定する変速前スリップ制御
判定手段がさらに設けられる。これにより、スリップ制
御切換手段は、上記変速前スリップ制御判定手段によっ
て自動変速機の変速前においてスリップ制御手段による
直結クラッチのスリップ制御が実行されていたと判定さ
れた場合には、変速出力後においてもそのスリップ制御
を継続させるとともに、イナーシャ相が判定されると、
上記第2変速期目標スリップ量決定手段により決定され
た変速中の目標スリップ量を用いてスリップ制御手段に
変速期スリップ制御させ、上記変速前スリップ制御判定
手段によって自動変速機の変速前においてスリップ制御
手段による直結クラッチのスリップ制御が実行されてい
ないと判定された場合には、イナーシャ相が判定される
と、上記第1変速期目標スリップ量決定手段により決定
された変速中の目標スリップ量を用いてスリップ制御手
段に変速期スリップ制御させる。このように、上記第1
変速期目標スリップ量決定手段により実際のスリップ量
が変速中の目標スリップ量として決定され、スリップ制
御手段によりその変速中の目標スリップ量に追従するよ
うな変速期スリップ制御が実行される場合は、制御偏差
が常に零であってスリップ制御のうちのフィードバック
制御作動が実質的に停止させられることから、制御のば
らつきによって直結クラッチが完全係合させられること
が解消される。また、上記第2変速期目標スリップ量決
定手段により予め設定された一定の目標スリップ量が変
速中の目標スリップ量として決定され、スリップ制御手
段によりその変速中の目標スリップ量に追従するような
変速期スリップ制御が実行される場合は、変速前におい
てもスリップ制御されていてフィードバック制御が行わ
れていたことを前提として、常時の目標スリップ量より
も大きい値であるが、変速中における実際のスリップ量
よりは小さい値に設定された一定の目標スリップ量が用
いられるので、上記の場合に比較して回転損失が少なく
され、その分だけ燃費が改善される。
【0012】また、好適には、自動変速機の変速後に形
成される過渡期が経過したか否かを判定する変速後過渡
期経過判定手段がさらに備えられ、前記スリップ制御切
換手段は、変速後の過渡期において実際のスリップ量を
変速後の目標スリップ量として決定する変速後過渡期目
標スリップ量決定手段をさらに含む。これにより、スリ
ップ制御切換手段は、変速終了判定手段によって自動変
速機の変速終了が判定されると、上記変速後過渡期目標
スリップ量決定手段により決定された変速後の目標スリ
ップ量(実際のスリップ量)に実際のスリップ量が追従
するようにスリップ制御手段に過渡期スリップ制御を、
上記変速後過渡期経過判定手段により変速後の過渡期が
経過したと判断されるまで実行させ、その変速後過渡期
経過判定手段により変速後の過渡期が経過したと判断さ
れると、前記移行期目標スリップ量決定手段により決定
された移行期目標スリップ量に実際のスリップ量が追従
するようにスリップ制御手段に移行期スリップ制御を実
行させる。これにより、変速後の過渡期では、制御偏差
が実質的に解消されてスリップ制御に含まれるフィード
バック制御作動が実質的に停止させられることから、比
較的不安定な変速直後の過渡期においてフィードバック
制御に起因する変動が防止され、移行期に先立つ期間が
安定化される。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面に
基づいて詳細に説明する。
【0014】図1は、本発明の一実施例の油圧制御装置
により変速制御される車両用自動変速機を示す骨子図で
ある。図において、エンジン10の出力は、トルクコン
バータ12を介して自動変速機14に入力され、図示し
ない差動歯車装置および車軸を介して駆動輪へ伝達され
るようになっている。
【0015】上記トルクコンバータ12は、エンジン1
0のクランク軸16に連結されたポンプ翼車18と、自
動変速機14の入力軸20に連結されたタービン翼車2
2と、それらポンプ翼車18およびタービン翼車22の
間を直結するために、軸方向に移動可能且つ相対回転不
能にタービン翼車22のハブ軸に嵌合されたピストン2
3を介して上記入力軸20に連結されたロックアップ
(直結)クラッチ24と、一方向クラッチ26によって
一方向の回転が阻止されているステータ28とを備えて
いる。
【0016】上記自動変速機14は、ハイおよびローの
2段の切り換えを行う第1変速機30と、後進ギヤ段お
よび前進5段の切り換えが可能な第2変速機32を備え
ている。第1変速機30は、サンギヤSo、リングギヤ
Ro、およびキャリヤKoに回転可能に支持されてそれ
らサンギヤSoおよびリングギヤRoに噛み合わされて
いる遊星ギヤPoから成るHL遊星歯車装置34と、サ
ンギヤSoとキャリヤKoとの間に設けられたクラッチ
Coおよび一方向クラッチFoと、サンギヤSoおよび
ハウジング41間に設けられたブレーキBoとを備えて
いる。
【0017】第2変速機32は、サンギヤS1、リング
ギヤR1、およびキャリヤK1に回転可能に支持されて
それらサンギヤS1およびリングギヤR1に噛み合わさ
れている遊星ギヤP1から成る第1遊星歯車装置36
と、サンギヤS2、リングギヤR2、およびキャリヤK
2に回転可能に支持されてそれらサンギヤS2およびリ
ングギヤR2に噛み合わされている遊星ギヤP2から成
る第2遊星歯車装置38と、サンギヤS3、リングギヤ
R3、およびキャリヤK3に回転可能に支持されてそれ
らサンギヤS3およびリングギヤR3に噛み合わされて
いる遊星ギヤP3から成る第3遊星歯車装置40とを備
えている。
【0018】上記サンギヤS1とサンギヤS2は互いに
一体的に連結され、リングギヤR1とキャリヤK2とキ
ャリヤK3とが一体的に連結され、そのキャリヤK3は
出力軸42に連結されている。また、リングギヤR2が
サンギヤS3に一体的に連結されている。そして、リン
グギヤR2およびサンギヤS3と中間軸44との間にク
ラッチC1が設けられ、サンギヤS1およびサンギヤS
2と中間軸44との間にクラッチC2が設けられてい
る。また、サンギヤS1およびサンギヤS2の回転を止
めるためのバンド形式のブレーキB1がハウジング41
に設けられている。また、サンギヤS1およびサンギヤ
S2とハウジング41との間には、一方向クラッチF1
およびブレーキB2が直列に設けられている。この一方
向クラッチF1は、サンギヤS1およびサンギヤS2が
入力軸20と反対の方向へ逆回転しようとする際に係合
させられるように構成されている。
【0019】キャリヤK1とハウジング41との間には
ブレーキB3が設けられており、リングギヤR3とハウ
ジング41との間には、ブレーキB4と一方向クラッチ
F2とが並列に設けられている。この一方向クラッチF
2は、リングギヤR3が逆回転しようとする際に係合さ
せられるように構成されている。
【0020】以上のように構成された自動変速機14で
は、たとえば図2に示す作動表に従って後進1段および
前進5段のギヤ段が切り換えられる。図2において○印
は係合状態を示し、×印は非係合状態を示し、◎はロッ
クアップクラッチ24が係合或いはスリップ状態である
ときに作動させられることを示している。この図2から
も明らかなように、第3速ギヤ段から第4速ギヤ段への
3→4変速ではクラッチC2が係合させられ、第4速ギ
ヤ段から第5速ギヤ段への4→5変速ではクラッチC0
が解放されるとともにブレーキB0が係合させられる。
上記第4速ギヤ段では、自動変速機14の入力軸20と
出力軸42とが同じ回転速度とされる。
【0021】図3に示すように、車両のエンジン10の
吸気配管には、アクセルペダル50によって操作される
第1スロットル弁52とスロットルアクチュエータ54
によって操作される第2スロットル弁56とが設けられ
ている。また、エンジン10の回転速度を検出するエン
ジン回転速度センサ58、エンジン10の吸入空気量を
検出する吸入空気量センサ60、吸入空気の温度を検出
する吸入空気温度センサ62、上記第1スロットル弁5
2の開度TAを検出するアイドルスイッチ付スロットル
センサ64、出力軸42の回転速度などから車速Vを検
出する車速センサ66、エンジン10の冷却水温度を検
出する冷却水温センサ68、ブレーキの作動を検出する
ブレーキスイッチ70、シフトレバー72の操作位置を
検出する操作位置センサ74などが設けられており、そ
れらのセンサから、エンジン回転速度NE 、吸入空気量
Q、吸入空気温度THa 、第1スロットル弁の開度T
A、車速V、エンジン冷却水温THw 、ブレーキの作動
状態BK、シフトレバー72の操作位置Pshを表す信号
がエンジン用電子制御装置76および変速用電子制御装
置78に供給されるようになっている。また、タービン
翼車22の回転速度N T 或いはクラッチC0のクラッチ
ドラムの回転速度(クラッチ回転速度)NCOを検出する
ことによって実質的に入力軸回転速度NINを検出するタ
ービン回転速度センサ75、および作動油温度を検出す
る油温センサ77からタービン回転速度NT および作動
油温度TOIL を表す信号が変速用電子制御装置78にそ
れぞれ供給される。
【0022】エンジン用電子制御装置76は、CPU、
RAM、ROM、入出力インターフェースを備えた所謂
マイクロコンピュータであって、CPUはRAMの一時
記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラ
ムに従って入力信号を処理し、種々のエンジン制御を実
行する。たとえば、燃料噴射量制御のために燃料噴射弁
80を制御し、点火時期制御のためにイグナイタ82を
制御し、トラクション制御などのためにスロットルアク
チュエータ54により第2スロットル弁56を制御す
る。また、フューエルカット制御では、たとえば、第1
スロットル弁52が全閉状態とされたような車両の減速
走行時には、所定のフューエルカット回転速度Ncut
りもエンジン回転速度NE が高い期間において燃料噴射
弁80が閉じられる。
【0023】変速用電子制御装置78も、上記と同様の
マイクロコンピュータであって、CPUはRAMの一時
記憶機能を利用しつつ予めROM79に記憶されたプロ
グラムに従って入力信号を処理し、油圧制御回路84の
各電磁弁或いはリニヤソレノイド弁を駆動する。たとえ
ば、変速用電子制御装置78は、第1スロットル弁52
の開度TAに対応した大きさの制御圧PSLT を発生させ
るためにリニヤソレノイド弁SLT を、アキュム背圧を制
御するためにリニヤソレノイド弁SLN を、ロックアップ
クラッチ24を係合させ或いはそのスリップ量NSLP
を制御するためにリニヤソレノイド弁SLU をそれぞれ駆
動する。また、変速用電子制御装置78は、予め記憶さ
れた変速線図から実際のスロットル弁開度TAおよび車
速Vに基づいて自動変速機14のギヤ段やロックアップ
クラッチ24の係合状態を決定し、この決定されたギヤ
段および係合状態が得られるように電磁弁S1、S2、
S3を駆動し、エンジンブレーキを発生させる際には電
磁弁S4を非駆動とする。
【0024】変速用電子制御装置78は、さらにロック
アップクラッチ24の係合制御およびスリップ制御を実
行し、自動変速機14の第1速ギヤ段および第2速ギヤ
段ではロックアップクラッチ24を解放させ、且つ第5
速ギヤ段では係合させるが、第3速ギヤ段および第4速
ギヤ段では、予めROM79に記憶された、例えば図4
に示す関係から実際のスロットル弁開度TA、車速(変
速機出力軸回転速度)Vに基づいて解放、スリップ、係
合のいずれかの領域を判定し、解放或いは係合領域であ
れば、ロックアップクラッチ24を解放或いは係合させ
る。また、スリップ領域であれば、変速用電子制御装置
78はロックアップクラッチ24のスリップ制御を実行
する。
【0025】上記スリップ制御では、車両の駆動走行状
態において運転性を損なうことなく燃費を可及的に良く
することを目的としてエンジン10の回転変動を吸収し
つつ連結させてトルクコンバータ12の回転損失を可及
的に抑制するために、ロックアップクラッチ24がスリ
ップ状態に維持される。また、車両の非駆動走行状態す
なわち減速惰行走行中でも、エンジン回転速度Ne をフ
ューエルカット回転速度Ncut よりも高めてフューエル
カット制御の制御域を拡大することを目的として、ロッ
クアップクラッチ24の減速スリップ制御が実行され
る。この減速スリップ制御は、スロットル弁開度TAが
零であること、車速Vが所定値以上であることなどを条
件として実行される。
【0026】上記のスリップ制御においては、図示しな
いスリップ制御ルーチンに従って、実スリップ量NSL
P(=NE −NT )が算出され、予め設定された目標ス
リップ量TNSLPと実スリップ量NSLPとが一致す
るように、例えば下記 (1)式に従ってリニヤソレノイド
弁SLU への指令値すなわち駆動デューティ比DSLU
(%)が算出され、リニヤソレノイド弁SLU から出力さ
れる制御圧PSLU が調節される。 DSLU=DFWD+DFB ・・・ (1)
【0027】上記 (1)式において、DFWDは例えばエ
ンジン10の出力トルクの関数であるフィードフォワー
ド制御出力値であり、DFBは例えば上記目標スリップ
量TNSLPと実スリップ量NSLPとの間の偏差ΔE
(=NSLP−TNSLP)を解消するためのフィード
バック制御出力値である。これらDFWD、DFBは、
デューティ比に換算された量であってその単位は%であ
る。上記フィードバック制御出力値DFBは、良く知ら
れたPID制御式から算出されるものである。なお、
(1)式において、上記フィードバック制御出力値DFB
の負担を少なくするための学習補正項が、必要に応じて
設けられる。
【0028】図5は、油圧制御回路84の要部を示して
いる。図において、制御圧発生弁として機能するリニヤ
ソレノイド弁SLU は、モジュレータ圧PM を元圧とする
減圧弁であって、図6に示すように変速用電子制御装置
78から出力される駆動デューティ比DSLUに伴って
大きくなる制御圧PSLU を出力し、ロックアップリレー
弁98およびロックアップコントロール弁100へ供給
する。
【0029】ロックアップリレー弁98は、互いに当接
可能であり且つ両者間にスプリング102が介在させら
れた第1スプール弁子104および第2スプール弁子1
06と、その第1スプール弁子104の軸端側に設けら
れ、第1スプール弁子104および第2スプール弁子1
06を係合(ON)側の位置へ付勢するために制御圧P
SLU を受け入れる油室108と、第1スプール弁子10
4および第2スプール弁子106を解放側位置へ付勢す
るために第2ライン圧PL2を受け入れる油室110とを
備えている。第1スプール弁子104がその解放(OF
F)側位置に位置すると、入力ポート112に供給され
た第2ライン圧PL2が解放側ポート114からトルクコ
ンバータ12の解放側油室116へ供給されると同時
に、トルクコンバータ12の係合側油室118内の作動
油が係合側ポート120から排出ポート122を経てク
ーラバイパス弁124或いはオイルクーラ126へ排出
させられる。反対に、第1スプール弁子104がその係
合側位置に位置すると、入力ポート112に供給された
第2ライン圧PL2が係合側ポート120からトルクコン
バータ12の係合側油室118へ供給されると同時に、
トルクコンバータ12の解放側油室116内の作動油が
解放側ポート114から排出ポート128、ロックアッ
プコントロール弁100の制御ポート130、排出ポー
ト132を経て排出されるようになっている。
【0030】したがって、上記制御圧PSLU が所定値以
下の場合には、第1スプール弁子104は第2ライン圧
L2に基づく推力に従って図5の中心線より右側に示す
解放側(OFF)位置に位置させられてロックアップク
ラッチ24が解放されるが、制御圧PSLU が所定値を超
えると、第1スプール弁子104は第2ライン圧PL2
基づく推力に従って図5の中心線より左側に示す係合側
(ON)位置に位置させられてロックアップクラッチ2
4が係合或いはスリップ状態とされる。このときのロッ
クアップクラッチ24の係合或いはスリップ状態は、制
御圧PSLU の大きさに従って作動するロックアップコン
トロール弁100により制御される。
【0031】ロックアップコントロール弁100は、ロ
ックアップリレー弁98が係合側位置にあるときに制御
圧PSLU に従ってロックアップクラッチ24のスリップ
量NSLPを制御するためのものであって、スプール弁
子134と、このスプール弁子134に当接して図5の
中心線より右側に示す排出側位置へ向かう推力を付与す
るプランジャ136と、スプール弁子134に図5の中
心線より左側に示す供給側位置へ向かう推力を付与する
スプリング138と、スプリング138を収容し且つス
プール弁子134を供給側位置へ向かって付勢するため
にトルクコンバータ12の係合側油室118内の油圧P
ONを受け入れる油室140と、プランジャ136の軸端
側に設けられ、スプール弁子134を排出側位置へ向か
って付勢するためにトルクコンバータ12の解放側油室
116内の油圧POFF を受け入れる油室142と、プラ
ンジャ136の中間部に設けられ、制御圧PSLU を受け
入れる油室144とを備えている。
【0032】このため、上記スプール弁子134がその
排出側位置に位置させられると、制御ポート130と排
出ポート132との間が連通させられるのでロックアッ
プクラッチ24の係合トルクが増加させられるが、反対
に供給側位置に位置させられると、第1ライン圧PL1
供給されている供給ポート146と制御ポート130と
が連通させられるので、第1ライン圧PL1がトルクコン
バータ12の解放側油室116内へ供給されてロックア
ップクラッチ24の係合トルクが減少させられる。すな
わち、上記ロックアップコントロール弁100では、ト
ルクコンバータ12の係合側油室118内の油圧と解放
側油室116内の油圧との差圧、すなわちロックアップ
クラッチ24の係合トルクが制御圧PSLU に従って制御
されるのである。
【0033】したがって、制御圧PSLU が前記所定値を
超えて増加するに伴って、ロックアップクラッチ24の
係合トルクが増加させられ、完全係合に到達するように
なっている。ロックアップクラッチ24が解放される場
合には、制御圧PSLU が前記所定値よりも小さい値とな
るようにリニヤソレノイド弁SLU が変速用電子制御装置
78により駆動される。ロックアップクラッチ24が係
合される場合には、制御圧PSLU が最大値となるように
リニヤソレノイド弁SLU が変速用電子制御装置78によ
り駆動され、ロックアップクラッチ24がスリップさせ
られる場合には、制御圧PSLU が前記所定値と最大値と
の間となるようにリニヤソレノイド弁SLU が変速用電子
制御装置78により駆動されるのである。すなわち、ロ
ックアップコントロール弁100では、図7に示すよう
に、トルクコンバータ12の係合側油室118内の油圧
onと解放側油室内の油圧Poff とが制御圧PSLU に従
って変化させられるので、係合圧すなわちそれら油圧P
onとPoff との差圧(Pon−Poff )に対応するロック
アップクラッチ24の係合トルクも制御圧SLU に従って
変化させられてスリップ量NSLPが制御されるのであ
る。
【0034】ソレノイドリレー弁170は、ロックアッ
プリレー弁98の油室108に接続された出力ポート1
72と、ドレンポート174と、リニヤソレノイド弁SL
U の制御圧PSLU が供給される入力ポート176と、出
力ポート172をドレンポート174に連通させるロッ
クアップ解放位置と出力ポート172を入力ポート17
6に連通させるロックアップ許可位置とに切り換えられ
るスプール弁子178と、このスプール弁子178をロ
ックアップ許可位置に向かって付勢するスプリング18
0と、上記スプリング180を収容し、且つスプール弁
子178をロックアップ許可位置に向かって付勢するた
めに第3速ギヤ段以上のギヤ段において発生させられる
ブレーキB2の係合圧PB2をオリフィス181を介して
受け入れる油室182と、スプール弁子178をロック
アップ解放位置に向かって付勢するために第1ライン圧
L1を受け入れる油室184とを備えている。これによ
り、ロックアップリレー弁98は、第3速ギヤ段以上の
ギヤ段においてのみ、上記制御圧PSLU がその油室10
8に供給され得、その制御圧PSLU に従って係合(O
N)側の位置へ切り換えられ得るようになっている。前
記第2ライン圧PL2は上記第1ライン圧PL1を減圧する
ことにより調圧されたものであるから、第1ライン圧P
L1は常時第2ライン圧PL2よりも高圧である。
【0035】そして、リニヤソレノイド弁SLU とロック
アップコントロール弁100の油室144との間には油
路186が設けられており、リニヤソレノイド弁SLU か
ら出力される制御圧PSLU が上記ソレノイドリレー弁1
70を経ないでロックアップコントロール弁100の油
室144へ直接供給されるようになっている。この油路
186は、第2速ギヤ段以下でも制御圧PSLU によりロ
ックアップコントロール弁100を作動させてロックア
ップリレー弁98が係合側に位置する異常を検出可能と
するために設けられている。
【0036】図8は、変速用電子制御装置78の制御機
能の要部を説明する機能ブロック線図である。図におい
て、変速制御手段190は、自動変速機14のギヤ段を
自動的に切り換えるためのよく知られた変速制御を実行
する。すなわち、変速制御手段190は、たとえば図4
のシフトアップ線に例示されるよく知られた変速線図か
ら、たとえばスロットル弁開度TAおよび車速Vによっ
て表される車両状態に基づいて変速判断を行い、変速判
断された変速を実現するための変速出力を行う。
【0037】スリップ制御手段192は、車両の非駆動
走行、パワーオフ走行、或いは減速走行と称されるアク
セルペダル50の非動作時(アイドルスイッチオン時)
において、ロックアップクラッチ24のスリップ制御を
実行する。このスリップ制御では、実スリップ量NSL
P(=NE −NT )が算出され、予め設定された目標ス
リップ量TNSLPと実スリップ量NSLPとが一致す
るように、例えば前記(1)式に従ってリニヤソレノイド
弁SLU への駆動デューティ比DSLU(%)すなわちロ
ックアップクラッチ24の係合トルクが調節される。な
お、上記スリップ制御手段192は、スリップ制御の開
始時において、たとえば図11に示すように、応答性を
改善するためにたとえば約80%程度の比較的高い指令
値DSLUを初期昇圧期間において出力し、その後必要
に応じて、ロックアップクラッチ24を緩やかに係合さ
せるように指令値DSLUを緩やかに増加させる。
【0038】変速後スリップ制御条件判定手段194
は、自動変速機14の変速後のギヤ段において前記スリ
ップ制御手段192により実行されるスリップ制御の開
始条件が成立するか否かを、変速後の車両状態(スロッ
トル弁開度TAおよび出力軸回転速度NOUT )がたとえ
ば図4に示す変速後のスリップ制御領域内にあるか否か
に基づいて判定する。イナーシャ相判定手段196は、
自動変速機14の変速期間におけるイナーシャ相を、た
とえばタービン回転速度NT の低下が開始した点が検出
されたか否かに基づいて判定する。イナーシャ相とは、
自動変速機14の入力軸20やタービン翼車22などの
回転部材が変速のため(変速比を変更するため)に回転
変化を生じている期間である。そして、変速終了判定手
段198は、自動変速機14の変速期間の終了を、入力
軸回転速度NINと出力軸回転速度N OUT との比が変速す
るギヤ段の変速比に到達したか否かに基づいて判定す
る。
【0039】スリップ制御切換手段200は、変速後ス
リップ制御条件判定手段194により変速後のギヤ段に
おいてスリップ制御条件が成立すると判定された場合に
は、イナーシャ相判定手段196によりイナーシャ相が
判定されてからスリップ制御手段192に変速期間スリ
ップ制御を開始させ、変速終了判定手段198により自
動変速機14の変速の終了が判定された後には、そのス
リップ制御手段192に定常時のスリップ制御へ移行さ
せるための移行スリップ制御を実行させる。
【0040】上記スリップ制御切換手段200には、自
動変速機14の変速後、詳細にはその変速後の過渡期の
経過後において緩やかに定常時の目標スリップ量TNS
LPAに接近する移行期の目標スリップ量(TNSLP
B−N)を決定する移行期目標スリップ量決定手段20
2が備えられる。これにより、スリップ制御切換手段2
00は、変速終了判定手段198により自動変速機14
の変速の終了が判定された後において、実際のスリップ
量NSLPを上記移行期の目標スリップ量(TNSLP
B−N)に一致させるようにロックアップクラッチ24
の係合トルクを制御する移行期スリップ制御をスリップ
制御手段192に実行させる
【0041】また、上記移行期目標スリップ量決定手段
202は、予め設定された一定の変化率で移行期の目標
スリップ量(TNSLPB−N)を減少させ、定常時の
目標スリップ量TNSLPAとなるまでその減少を継続
させる。これにより、定常時のスリップ制御へ円滑に移
行させられ得る。上記定常時の目標スリップ量TNSL
PAは、車両の定常走行状態において、タービン回転速
度NT が大きくなるほど減少する予め設定された関係か
ら実際のタービン回転速度NT に基づいて決定される。
たとえば、タービン回転速度NT が1200r.p.m.以上
では定常時の目標スリップ量TNSLPAが50r.p.m.
程度とされる。
【0042】また、上記スリップ制御切換手段200に
は、実際のスリップ量NSLPを変速中の目標スリップ
量として決定する第1変速期目標スリップ量決定手段2
04と、予め設定された一定の目標スリップ量TNSL
P3を変速中の目標スリップ量として決定する第2変速
期目標スリップ量決定手段206とが備えられる。そし
て、自動変速機14の変速前においてスリップ制御手段
192によるロックアップクラッチ24のスリップ制御
が実行されていたか否かを判定する変速前スリップ制御
判定手段208がさらに設けられる。これにより、スリ
ップ制御切換手段200は、上記変速前スリップ制御判
定手段208によって自動変速機14の変速前において
スリップ制御手段192によるロックアップクラッチ2
4のスリップ制御が実行されていたと判定された場合に
は、変速出力後においてもそのスリップ制御を継続させ
るとともに、イナーシャ相が判定されると、上記第2変
速期目標スリップ量決定手段206により決定された変
速中の目標スリップ量TNSLP(=TNSLP3)を
用いてスリップ制御手段192に変速期スリップ制御を
実行させ、上記変速前スリップ制御判定手段208によ
って自動変速機14の変速前においてスリップ制御手段
192によるロックアップクラッチ24のスリップ制御
が実行されていないと判定された場合には、イナーシャ
相が判定されると、上記第1変速期目標スリップ量決定
手段204により決定された変速中の目標スリップ量T
NSLP(=NSLP)を用いてスリップ制御手段19
2に変速期スリップ制御を開始させる。このように、上
記第1変速期目標スリップ量決定手段204により実際
のスリップ量NSLPが変速中の目標スリップ量として
決定され、スリップ制御手段192により実際のスリッ
プ量NSLPをその変速中の目標スリップ量TNSLP
(=NSLP)に追従させる変速期スリップ制御が実行
される場合は、制御偏差が常に零であってスリップ制御
のうちのフィードバック制御作動が実質的に停止させら
れることから、制御のばらつきによってロックアップク
ラッチ24が完全係合させられることが解消される。ま
た、上記第2変速期目標スリップ量決定手段206によ
り予め設定された一定の目標スリップ量TNSLP3が
変速中の目標スリップ量として決定され、スリップ制御
手段192により実際のスリップ量NSLPをその変速
中の目標スリップ量TNSLP(=TNSLP3)に追
従させる変速期スリップ制御が実行される場合は、変速
前においてもスリップ制御が実行されてフィードバック
制御が行われていたことを前提として、定常時の目標ス
リップ量TNSLPAよりも大きい値であるが、変速中
における実際のスリップ量よりは小さい値に設定された
一定の目標スリップ量TNSLP(=TNSLP3)が
用いられるので、上記の場合に比較して回転損失が少な
くされ、その分だけ燃費が改善される。
【0043】また、変速後過渡期経過判定手段210
は、自動変速機14の変速後に形成される過渡期が経過
したか否かを、たとえば変速終了からの経過時間CSS
LPが所定の判断基準値CSSLP1に到達したことに
基づいて判定する。前記スリップ制御切換手段200
は、スリップ量NSLPが変速の影響によって変動し易
い変速後の過渡期において実際のスリップ量NSLPを
変速後の目標スリップ量TNSLP(=NSLP)とし
て決定する変速後過渡期目標スリップ量決定手段212
をさらに含む。これにより、スリップ制御切換手段20
0は、変速終了判定手段198によって自動変速機14
の変速終了が判定されると、上記変速後過渡期目標スリ
ップ量決定手段212により決定された変速後の目標ス
リップ量TNSLP(=NSLP)に実際のスリップ量
NSLPが追従するようにスリップ制御手段192に過
渡期スリップ制御を、上記変速後過渡期経過判定手段2
10により変速後の過渡期が経過したと判断されるまで
実行させ、その変速後過渡期経過判定手段210により
変速後の過渡期が経過したと判断されると、前記移行期
目標スリップ量決定手段202により決定された移行期
目標スリップ量(TNSLPB−N)に実際のスリップ
量NSLPが追従するようにスリップ制御手段192に
移行期スリップ制御を実行させる。これにより、変速後
の過渡期では、制御偏差が実質的に解消されてスリップ
制御に含まれるフィードバック制御作動が実質的に停止
させられることから、比較的不安定な変速直後の過渡期
においてフィードバック制御に起因する変動が防止さ
れ、移行期に先立つ期間が安定化される。
【0044】図9および図10は、変速用電子制御装置
78の制御作動の要部、すなわち自動変速機14の変速
後においてスリップ制御条件が成立するときの変速期間
内およびその後におけるスリップ制御を説明するフロー
チャートであり、図9はスリップ制御の開始タイミング
を制御するためのルーチンであり、図10は目標スリッ
プ量を切り換えることにより、スリップ制御の内容を切
り換えるルーチンを示している。上記図9および図10
のルーチンは、僅かな時間間隔で直列的に実行された
り、或いは時分割などによって並列的に実行される。
【0045】図9において、ステップ(以下、ステップ
を省略する)SA1では、第3速ギヤ段を達成させる出
力中であるか否か、すなわち電磁弁S2、S3、S4を
駆動する出力が変速用電子制御装置78から出力されて
いるか否かが判断される。このSA1の判断が否定され
た場合は、SA7において第4速ギヤ段を達成させる出
力中であるか否か、すなわち電磁弁S3、S4を駆動す
る出力が変速用電子制御装置78から出力されているか
否かが判断される。そのSA7の判断が否定された場合
は、SA8においてスリップ制御が禁止される。これよ
り第1速ギヤ段および第2速ギヤ段でのスリップ制御が
禁止される。
【0046】上記SA1の判断が肯定された場合は、前
記変速後スリップ制御条件判定手段194に対応するS
A2において、実際のスロットル弁開度TAおよび車速
Vにより表される車両状態がたとえば図4に示す第3速
スリップ制御領域内であるか否かが判断される。変速期
間は1秒程度の比較的短い期間であるから、SA2は変
速後においてスリップ条件が成立したか否かを判断して
いることと実質的に同じである。上記SA2の判断が否
定された場合は、SA3においてスリップ制御が禁止さ
れるが、肯定された場合は、SA4において自動変速機
14の変速中であるか否かが、たとえばタービン回転速
度NT と出力軸回転速度NOUT との比(NT /NOUT
が第2速ギヤ段の変速比γ2 と第3速ギヤ段の変速比γ
3 との間であることなどに基づいて判断される。
【0047】上記SA4の判断が肯定された場合は、前
記イナーシャ相判定手段196に対応するSA5におい
て、たとえば2→3変速中のイナーシャ相であるか否か
が、たとえばタービン回転速度NT の変化(低下)を示
す折点が検出されたか否かに基づいて判断される。この
SA5の判断が否定された場合には、前記SA3におい
て図11のt1 時点以後に示すようにスリップ制御が禁
止され、変速前と同様にしてスリップ制御が行われな
い。しかし、上記SA5の判断が肯定された場合には、
SA6においてスリップ制御が実行される。図11のt
2 時点以後はこの状態を示している。そして、それ以後
においては、SA4の判断が否定されてもSA6におい
てスリップ制御が継続的に実行される。すなわち、変速
前においてスリップ制御が実行されていない2→3変速
において変速後にスリップ制御条件が成立する場合に
は、その変速中のイナーシャ相が判定された時点t2
ら、前記スリップ制御手段192によるスリップ制御が
開始され、変速後においてもそのスリップ制御が継続さ
れるのである。
【0048】次に、前記SA7の判断が肯定された場合
には、SA9において、実際のスロットル弁開度TAお
よび車速Vにより表される車両状態がたとえば図4に示
す第4速スリップ制御領域内であるか否かが判断され
る。このSA9の判断が否定された場合にはSA8にお
いてスリップ制御が禁止されるが、肯定された場合に
は、SA10においてロックアップクラッチ24に関す
るそれまでの制御が継続される。すなわち、第4速ギヤ
段への変速に際して変速後にスリップ制御条件が成立す
る場合には、図12のt1 時点以後に示すように変速出
力前からのスリップ制御が継続され、或いは図13のt
1 時点以後に示すように変速出力前からの完全係合状態
が継続されるのである。
【0049】ここで、上記図11は、第2速トルクコン
バータ状態から第3速スリップ制御状態への変速に関連
した各部の作動を説明するタイムチャートであり、上記
図12は、第3速スリップ制御状態から第4速スリップ
制御状態への変速に関連した各部の作動を説明するタイ
ムチャートであり、上記図13は、第3速ロックアップ
状態から第4速スリップ制御状態への変速に関連した各
部の作動を説明するタイムチャートである。
【0050】図10のSB1では、ロックアップクラッ
チ24の完全係合状態或いは解放状態であるか否か、す
なわちトルクコンバータ12の直結状態或いはコンバー
タ状態であるか否かが判断される。このSB1の判断が
肯定された場合には、加速スリップ制御の開始時点から
の経過時間を計時するためのカウンタCASLPの内容
がクリアされ、その計時作動が再開された後、本ルーチ
ンが終了させられる。図11および図13の場合のイナ
ーシャ相開始時点t2 までは、この状態が継続される。
【0051】しかし、上記SB1の判断が否定された場
合には、前記変速後スリップ制御条件判定手段194に
対応するSB3においてスロットル弁開度TAおよび車
速Vにより表される車両状態がたとえば図4に示すスリ
ップ制御領域内であるか否かが判断される。このSB3
の判断が否定された場合は上記SB2が実行されるが、
肯定された場合は、前記変速終了判定手段198に対応
するSB4において変速中であるか否かがSA4と同様
にして判断される。このSB4の判断が肯定された場合
には、前記イナーシャ相判定手段196に対応するSB
5においてイナーシャ相であるか否かがSA5と同様に
判断される。
【0052】上記SB4およびSB5の何れかの判断が
否定された場合、たとえば図12のイナーシャ相開始前
の期間に示す場合には、SB12が実行される。このS
B12は、変速終了後の期間においても上記SB4の判
断が否定されることにより実行される。このSB12で
は、カウンタCASLPの内容が予め設定された判断基
準値CASLP1より大きく、且つカウンタCSSLP
の内容が予め設定された判断基準値CSSLP1より大
きいか否かが判断される。上記カウンタCASLPはス
リップ制御開始からの経過時間を計数するものであり、
カウンタCSSLPは変速終了からの経過時間を計数す
るものである一方、判断基準値CASLP1および判断
基準値CSSLP1は変速後の過渡期間が充分に終了す
る値、たとえば1200msおよび500ms程度にそれぞ
れ設定されているので、前記変速後過渡期経過判定手段
210に対応している。
【0053】図12に示す場合のイナーシャ相開始前で
は上記SB12の判断が肯定されるので、SB14にお
いて第2の目標スリップ量TNSLPBとして移行期目
標スリップ量(TNSLPB−N)が更新されるが、図
12に示す場合では前回の過渡期経過後に充分な時間が
経過している結果、その移行期目標スリップ量(TNS
LPB−N)の内容が零とされている。なお、移行期目
標スリップ量(TNSLPB−N)のうちTNSLPB
は前回サイクルの第2の目標スリップ量であり、Nはサ
イクル毎に差し引く減少値である。続くSB15では、
目標スリップ量TNSLPとして、上記第2の目標スリ
ップ量TNSLPBおよび定常時の目標スリップ量TN
SLPAのうちの大きい値が採用されるが、上記のよう
に移行期目標スリップ量(TNSLPB−N)の内容が
零とされているから、結局、目標スリップ量TNSLP
として定常時の目標スリップ量TNSLPAが採用され
る。図12のイナーシャ相前の期間(t1 〜t2 )はこ
の定常時の目標スリップ量TNSLPAにスリップ量N
SLPを追従させるスリップ制御が変速前から継続され
た状態を示している。
【0054】図9のSA6或いはSA10においてスリ
ップ制御が実行された場合には、図10のSB1の判断
が否定され且つSB3乃至SB5の判断が肯定される。
図11、図12、図13のt2 時点はこの状態を示す。
これにより、SB6においてカウンタCSSLPの内容
がクリアされて変速終了点からの時間の計数作動が再開
された後、SB7において一定の第2変速期目標スリッ
プ量TNSLP3が、予め記憶された関係から自動変速
機14のギヤ段Gおよびスロットル弁開度TAに基づい
て算出され、次いで前記変速前スリップ制御判定手段2
08に対応するSB8においてスリップ制御開始からの
経過時間CASLPが予め設定された判断基準値CAS
LP1以下であるか否かが判断される。図11および図
13に示すように変速出力前にスリップ制御が行われて
いない場合はカウンタCSSLPの内容がクリアされる
ため上記経過時間CASLPが判断基準値CASLP1
以下であるが、図12に示すように変速出力前にスリッ
プ制御が行われていた場合はスリップ制御が連続してい
る結果、経過時間CASLPが判断基準値CASLP1
を超えることとなるので、上記SB8は、変速出力前に
スリップ制御が実行されていたか否かを判断しているの
である。
【0055】図11および図13に示す場合では上記S
B8の判断が肯定されるので、前記第1変速期目標スリ
ップ量決定手段204に対応するSB9において、変速
出力前にはスリップ制御が行われていない場合において
イナーシャ相以後に用いられる第1変速期目標スリップ
量として実際のスリップ量NSLPが決定され、変速期
間における第2の目標スリップ量TNSLPBの値とさ
れる。次いで、SB10において、目標スリップ量TN
SLPとして、上記第2の目標スリップ量TNSLPB
(=NSLP)および第2変速期目標スリップ量TNS
LP3のうちの大きい値が採用される。上記第2変速期
目標スリップ量TNSLP3は、スリップ制御中の変速
によるショックが発生せず且つエンジン吹きが生じない
ように、定常時の目標スリップ量TNSLPAよりも大
きい値であって、加速走行においてスリップ制御が行わ
れない変速中における実際のスリップ量よりは小さい値
たとえば150r.p.m.程度の一定の値に設定されたもの
である。
【0056】このため、上記SB10では、第2変速期
目標スリップ量TNSLP3よりも大きい第2の目標ス
リップ量TNSLPB(=NSLP)が選択され、図1
1および図13のイナーシャ相検出時点t2 以後では、
実際のスリップ量NSLPを目標として前記(1) 式によ
り変速期スリップ制御が実行される。このときの変速期
スリップ制御では、実際のスリップ量NSLPが目標値
であるから、制御偏差が無く、スリップ量NSLPはな
りゆきで変化させられる。
【0057】しかし、変速前にスリップ制御が実行され
ている図12に示す場合は、前記SB8の判断が否定さ
れるので、前記第2変速期目標スリップ量決定手段20
6に対応するSB11において、第2変速期目標スリッ
プ量TNSLP3が第2の目標スリップ量TNSLPと
して採用される。これにより、図12のイナーシャ相検
出時点t2 以後では、一定の第2変速期目標スリップ量
TNSLP3に対して実スリップ量NSLPを前記(1)
式により追従させる変速期スリップ制御が実行される。
【0058】以上のステップが繰り返し実行されるうち
に変速が終了すると、SB5の判断が否定されるので、
SB12において変速によってスリップ量NSLPが不
安定となり易い変速過渡期間を経過したか否かが判断さ
れる。当初は上記SB12の判断が否定されるので、前
記変速後過渡期目標スリップ量決定手段212に対応す
るSB13において実際のスリップ量NSLPが第2の
目標スリップ量TNSLPBとして決定され、SB15
においてその第2の目標スリップ量TSNLPBと定常
時の目標スリップ量TNSLPAとのうちの大きい方の
値が目標スリップ量TNSLPとして採用される。これ
により、実際のスリップ量NSLPを変速後過渡期目標
スリップ量とした変速後過渡期スリップ制御が、図1
1、図12、図13の時点t3 乃至時点t4 の間におい
て実行される。実際のスリップ量NSLPの方が定常時
の目標スリップ量TNSLPAよりも大きいので、上記
図11、図12、図13において時点t3 乃至時点t4
の間の変速後過渡期スリップ制御においては、実際のス
リップ量NSLPがなりゆきで決まり、制御偏差ΔE
(=NSLP−TNSLP)が発生しない。
【0059】そして、変速直後の過渡期が終了するとS
B12の判断が肯定されるので、前記移行期目標スリッ
プ量決定手段202に対応するSB14において、移行
期目標スリップ量(TNSLPB−N)が第2の目標ス
リップ量TNSLPBとして決定される。この移行期目
標スリップ量(TNSLPB−N)のうちのTNSLP
Bは前回サイクルの第2の目標スリップ量であり、Nは
サイクル毎に差し引く減少値であるので、移行期目標ス
リップ量(TNSLPB−N)は制御サイクル毎に定常
時の目標スリップ量TNSLPAに向かって直線的に減
少させられる。このため、続くSB15では、目標スリ
ップ量TNSLPとして、第2の目標スリップ量TNS
LPBすなわち上記移行期目標スリップ量(TNSLP
B−N)が採用される。図11、図12、図13の時点
4 以降では、上記移行期目標スリップ量(TNSLP
B−N)を目標スリップ量TNSLPとする移行期スリ
ップ制御が実行される。
【0060】以上のステップが繰り返し実行されるう
ち、図11、図12、図13のt5 時点に示すように、
移行期目標スリップ量(TNSLPB−N)が定常時の
目標スリップ量TNSLPAに到達すると、上記SB1
5において、目標スリップ量TNSLPとして定常時の
目標スリップ量TNSLPAが採用される。これによ
り、上記t5 時点以降では、実際のスリップ量NSLP
を上記定常時の目標スリップ量TNSLPAに追従させ
る定常時のスリップ制御が実行される。なお、図11、
図12、図13において、スリップ制御の目標値、すな
わち上記定常時の目標スリップ量TNSLPAおよび前
記移行期目標スリップ量(TNSLPB−N)などは、
破線で示されている。
【0061】上述のように、本実施例によれば、変速後
スリップ制御条件判定手段194に対応するSA2によ
り変速後のギヤ段においてスリップ制御条件が成立する
と判定された場合には、スリップ制御切換手段200に
対応するSB9乃至SB11、SB13乃至SB15に
より、イナーシャ相判定手段196に対応するSA5、
SB5によりイナーシャ相が判定されてからスリップ制
御手段192による変速期スリップ制御が開始させら
れ、変速終了判定手段198に対応するSB4により自
動変速機14の変速の終了が判定された後には、そのス
リップ制御手段192に定常時のスリップ制御へ移行さ
せるための移行期スリップ制御が実行させられる。この
ため、イナーシャ相開始から変速期スリップ制御が開始
されることから、図14の実線に示すようにエンジン回
転速度NE の局所的変化がないので、スリップ制御開始
時と変速時とにおいて続けてエンジン回転速度が変化す
ることに起因する違和感が防止される。また、変速終了
の後において移行スリップ制御が実行されることから、
定常時のスリップ制御へ円滑に移行させられるので、エ
ンジン回転速度の一時的上昇が防止される。
【0062】因に、変速出力と同時に加速スリップ制御
が開始される従来の制御装置では、図14の2点鎖線に
示すように、変速出力に同期してエンジン回転速度NE
が局所的に低下し、さらにそれに続いて自動変速機14
の変速比γの変化とともにエンジン回転速度NE が低下
することが避けられなかったのである。また、変速終了
と同時に加速スリップ制御が開始される従来の制御装置
では、図14の1点鎖線に示すように、スリップ制御の
応答遅れによって変速終了と同時にエンジン回転速度N
E が局所的に上昇することが避けられなかったのであ
る。
【0063】また、本実施例によれば、上記スリップ制
御切換手段200には、自動変速機の変速後、詳細には
その変速後の過渡期の後において緩やかに定常時の目標
スリップ量に接近する移行期の目標スリップ量を決定す
る移行期目標スリップ量決定手段202(SB14)が
備えられることから、スリップ制御切換手段200は、
変速終了判定手段198により自動変速機14の変速の
終了が判定された後において、スリップ制御手段192
に実際のスリップ量NSLPを上記移行期の目標スリッ
プ量(TNSLP−N)に一致させるようにロックアッ
プクラッチ24の係合トルクを制御させる。上記移行期
目標スリップ量決定手段202は、予め設定された一定
の変化率で移行期の目標スリップ量を減少させ、定常時
の目標スリップ量TNSLPAとなるまでその減少を継
続させる。これにより、定常時のスリップ制御へ円滑に
移行させられ得る。
【0064】また、本実施例によれば、上記スリップ制
御切換手段200には、実際のスリップ量NSLPを変
速中の目標スリップ量(第1変速期目標スリップ量)と
して決定する第1変速期目標スリップ量決定手段204
(SB9)と、予め設定された一定の目標スリップ量T
NSLP3を変速中の目標スリップ量(第2変速期目標
スリップ量)として決定する第2変速期目標スリップ量
決定手段206(SB11)とが備えられる。そして、
自動変速機14の変速前においてスリップ制御手段19
2によるロックアップクラッチ24のスリップ制御が実
行されていたか否かを判定する変速前スリップ制御判定
手段208(SB8)がさらに設けられる。これによ
り、スリップ制御切換手段200は、上記変速前スリッ
プ制御判定手段208によって変速前においてスリップ
制御手段192によるロックアップクラッチ24のスリ
ップ制御が実行されていたと判定された場合には、イナ
ーシャ相が判定されると、上記第2変速期目標スリップ
量決定手段206により決定された変速中の目標スリッ
プ量TNSLP3を用いてスリップ制御手段192にス
リップ制御させ、上記変速前スリップ制御判定手段20
8によって変速前においてスリップ制御手段192によ
るロックアップクラッチ24のスリップ制御が実行され
ていないと判定された場合には、イナーシャ相が判定さ
れると、上記第1変速期目標スリップ量決定手段204
により決定された変速中の目標スリップ量NSLPを用
いてスリップ制御手段192にスリップ制御させる。こ
のため、上記第1変速期目標スリップ量決定手段204
により実際のスリップ量NSLPが変速中の目標スリッ
プ量として決定され、スリップ制御手段192によりそ
の変速中の目標スリップ量に追従するようなスリップ制
御が実行される場合は、制御偏差が常に零であってスリ
ップ制御のうちのフィードバック制御作動が実質的に停
止させられることから、制御のばらつきによって直結ク
ラッチが完全係合させられることが解消される。また、
上記第2変速期目標スリップ量決定手段206により予
め設定された一定の目標スリップ量TNSLP3が変速
中の目標スリップ量として決定され、スリップ制御手段
192によりその変速中の目標スリップ量に追従するよ
うなスリップ制御が実行される場合は、変速前において
もスリップ制御されていてフィードバック制御が行われ
ていたことを前提として、定常時の目標スリップ量TN
SLPAよりも大きい値であるが、変速中における実際
のスリップ量よりは小さい値に設定された一定の目標ス
リップ量が用いられるので、上記の場合に比較して回転
損失が少なくされ、その分だけ燃費が改善される。
【0065】また、本実施例によれば、変速後に形成さ
れる過渡期が経過したか否かを判定する変速後過渡期経
過判定手段210(SB12)がさらに備えられ、前記
スリップ制御切換手段200は、変速後の過渡期におい
て実際のスリップ量NSLPを変速後の目標スリップ量
として決定する変速後過渡期目標スリップ量決定手段2
12(SB13)をさらに含む。これにより、スリップ
制御切換手段200は、変速終了判定手段198によっ
て自動変速機14の変速終了が判定されると、上記変速
後過渡期目標スリップ量決定手段212により決定され
た変速後の目標スリップ量(実際のスリップ量NSL
P)に実際のスリップ量が追従するようにスリップ制御
手段192にスリップ制御を、上記変速後過渡期経過判
定手段210により変速後の過渡期が経過したと判断さ
れるまで実行させ、その変速後過渡期経過判定手段21
0により変速後の過渡期が経過したと判断されると、前
記移行期目標スリップ量決定手段202により決定され
た移行期目標スリップ量に実際のスリップ量が追従する
ようにスリップ制御手段192にスリップ制御を実行さ
せる。これにより、変速後の過渡期では、制御偏差が実
質的に解消されてスリップ制御に含まれるフィードバッ
ク制御作動が実質的に停止させられることから、比較的
不安定な変速直後の過渡期においてフィードバック制御
に起因する変動が防止され、移行期に先立つ期間が安定
化される。
【0066】以上、本発明の一実施例を図面に基づいて
詳細に説明したが、本発明は他の態様で実施することも
できる。
【0067】たとえば、前述の実施例では、3速スリッ
プ制御領域に隣接する4速スリップ領域のスロットル弁
開度TA方向の大きさが3速スリップ制御領域よりも小
さい関係(図4)が用いられているため、3→4変速の
後においてスリップ制御条件が成立する場合には、その
3→4変速期間の開始当初からスリップ制御が実行され
ていたが、上記4速スリップ領域のスロットル弁開度T
A方向の大きさが3速スリップ制御領域よりも大きい関
係が用いられてもよい。この関係が用いられるとき、3
→4速の判定と同時にスリップ制御領域内となる場合が
あるが、この場合には、3→4速変速期間内においてイ
ナーシャ相が判定されてからスリップ制御が開始される
ようにしてもよい。
【0068】また、前述の実施例において、変速終了後
においてスリップ量の変速に関連した過渡的な変動がそ
れほど発生しない場合には、変速後過渡期経過判定手段
210および変速後過渡期目標スリップ量決定手段21
2は、必ずしも設けられなくてもよい。この場合には、
変速終了が判定されると、移行期目標スリップ量(TN
SLPB−N)が定常時の目標スリップ量TNSLPA
に到達するまで移行期目標スリップ制御が実行される。
【0069】また、前述の実施例において、自動変速機
14の入力軸回転速度NINすなわちタービン翼車22の
回転速度NT 或いはクラッチC0のクラッチドラムの回
転速度(クラッチ回転速度)NCOを検出することによっ
て実質的に自動変速機14の入力軸回転速度NINを検出
するタービン回転速度センサ75が用いられていたが、
車速センサ66により検出される自動変速機14の出力
軸回転速度NOUT にそのときの変速比iG を乗算するこ
とにより上記入力軸回転速度NINが算出されるようにし
てもよい。この場合にはタービン回転速度センサ75が
除去されてもよい。
【0070】また、前述の実施例では、前進5段の自動
変速機14について説明されていたが、例えばトヨタA
340Eオートマチックトランスミッションのように、
前進4段の自動変速機であってもよい。この場合には、
第3速ギヤ段が達成されると、タービン回転速度NT
出力軸回転速度NOUT とが一致するようになる。
【0071】その他一々例示はしないが、本発明は当業
者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実
施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の制御装置によってロックア
ップクラッチが制御される車両用自動変速機の構成を説
明する骨子図である。
【図2】図1の自動変速機における、複数の摩擦係合装
置の作動の組合わせとそれにより成立するギヤ段との関
係を示す図表である。
【図3】図1の自動変速機を制御する油圧制御回路およ
び電気制御回路を含むブロック線図である。
【図4】図3の実施例において、ロックアップクラッチ
の解放領域、スリップ制御領域、係合領域をそれぞれ示
す図である。
【図5】図3の油圧制御回路の要部を説明する図であ
る。
【図6】図5のリニヤソレノイド弁の出力特性を説明す
る図である。
【図7】図5の油圧制御回路における制御圧PSLU とロ
ックアップクラッチの係合側油圧Ponおよび解放側油圧
off との関係を示す特性図である。
【図8】図3の変速用電子制御装置の制御機能の要部を
説明する機能ブロック線図である。
【図9】図3の変速用電子制御装置の制御作動の要部を
説明するフローチャートであって、スリップ制御開始制
御ルーチンを示している。
【図10】図3の変速用電子制御装置の制御作動の要部
を説明するフローチャートであって、スリップ制御内容
切換制御ルーチンを示している。
【図11】図9および図10の制御による各部の作動で
あって、2→3変速出力によって第2速でのロックアッ
プクラッチ解放状態から第3速スリップ制御状態へ切り
換えられた時のタイムチャートを示している。
【図12】図9および図10の制御による各部の作動で
あって、3→4変速出力によって第3速でのスリップ制
御状態から第4速スリップ制御状態へ切り換えられた時
のタイムチャートを示している。
【図13】図9および図10の制御による各部の作動で
あって、3→4変速出力によって第3速でのロックアッ
プクラッチ係合状態から第4速スリップ制御状態へ切り
換えられた時のタイムチャートを示している。
【図14】図9および図10の制御による効果を従来の
不都合と対比して説明するタイムチャートである。
【符号の説明】
10:エンジン 14:自動変速機 24:ロックアップクラッチ(直結クラッチ) 190:変速制御手段 192:スリップ制御手段 194:変速後スリップ制御条件判定手段 196:イナーシャ相判定手段 198:変速終了判定手段 200:スリップ制御切換手段

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流体伝動装置のポンプ翼車とタービン翼
    車との間を直結する直結クラッチと、複数のギヤ段のい
    ずれかへ自動的に変速される自動変速機とを有する車両
    において、該直結クラッチのスリップ制御を実行するス
    リップ制御手段を備え、該自動変速機の変速中において
    もスリップ制御を実行させる形式の制御装置であって、 前記自動変速機の変速後のギヤ段においてスリップ制御
    条件が成立するか否かを判定する変速後スリップ制御条
    件判定手段と、 前記自動変速機の変速期間におけるイナーシャ相を判定
    するイナーシャ相判定手段と、 前記自動変速機の変速期間の終了を判定する変速終了判
    定手段と、 該変速後スリップ制御条件判定手段により変速後のギヤ
    段においてスリップ制御条件が成立すると判定された場
    合には、前記イナーシャ相判定手段によりイナーシャ相
    が判定されてから前記スリップ制御手段に変速期間スリ
    ップ制御を開始させ、前記変速終了判定手段により前記
    自動変速機の変速の終了が判定された後には、該スリッ
    プ制御手段に定常時のスリップ制御へ移行させるための
    移行スリップ制御を実行させるスリップ制御切換手段と
    を含むことを特徴とする車両用直結クラッチの制御装
    置。
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