JPH0960537A - 車両用加速スリップ制御装置 - Google Patents

車両用加速スリップ制御装置

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JPH0960537A
JPH0960537A JP7214476A JP21447695A JPH0960537A JP H0960537 A JPH0960537 A JP H0960537A JP 7214476 A JP7214476 A JP 7214476A JP 21447695 A JP21447695 A JP 21447695A JP H0960537 A JPH0960537 A JP H0960537A
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JP
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acceleration slip
acceleration
control
throttle valve
driving force
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JP7214476A
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Inventor
Daijiro Yumoto
大次郎 湯本
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Hitachi Unisia Automotive Ltd
Original Assignee
Unisia Jecs Corp
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    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60KARRANGEMENT OR MOUNTING OF PROPULSION UNITS OR OF TRANSMISSIONS IN VEHICLES; ARRANGEMENT OR MOUNTING OF PLURAL DIVERSE PRIME-MOVERS IN VEHICLES; AUXILIARY DRIVES FOR VEHICLES; INSTRUMENTATION OR DASHBOARDS FOR VEHICLES; ARRANGEMENTS IN CONNECTION WITH COOLING, AIR INTAKE, GAS EXHAUST OR FUEL SUPPLY OF PROPULSION UNITS IN VEHICLES
    • B60K28/00Safety devices for propulsion-unit control, specially adapted for, or arranged in, vehicles, e.g. preventing fuel supply or ignition in the event of potentially dangerous conditions
    • B60K28/10Safety devices for propulsion-unit control, specially adapted for, or arranged in, vehicles, e.g. preventing fuel supply or ignition in the event of potentially dangerous conditions responsive to conditions relating to the vehicle 
    • B60K28/16Safety devices for propulsion-unit control, specially adapted for, or arranged in, vehicles, e.g. preventing fuel supply or ignition in the event of potentially dangerous conditions responsive to conditions relating to the vehicle  responsive to, or preventing, skidding of wheels
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60WCONJOINT CONTROL OF VEHICLE SUB-UNITS OF DIFFERENT TYPE OR DIFFERENT FUNCTION; CONTROL SYSTEMS SPECIALLY ADAPTED FOR HYBRID VEHICLES; ROAD VEHICLE DRIVE CONTROL SYSTEMS FOR PURPOSES NOT RELATED TO THE CONTROL OF A PARTICULAR SUB-UNIT
    • B60W2520/00Input parameters relating to overall vehicle dynamics
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  • Electrical Control Of Ignition Timing (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 加速不足や加速スリップ抑制不足を生じさせ
ることなしに、発進加速時であっても加速初期段階にお
けるスリップを十分に抑制することができる車両用加速
スリップ制御装置の提供。 【解決手段】 加速スリップ状態検出手段cで駆動車輪
の実際の加速スリップ状態が検出されると加速スリップ
を抑制すべく駆動力低減手段に駆動力低減量を指示する
加速スリップ制御手段eと、加速スリップ発生予測手段
fで駆動車輪の加速スリップ発生が予測された場合は加
速スリップ発生を防止すべく駆動力低減手段dに駆動力
低減量の初期設定値を指示する予測制御を行なう予測加
速スリップ制御手段gと、予測加速スリップ制御手段g
による予測制御中において加速スリップ状態検出手段c
で検出された駆動車輪の実際の加速スリップ状態により
予測加速スリップ制御手段gによる駆動力低減量の初期
設定値を修正する予測低減量修正手段hと、を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、加速時における
駆動車輪のスリップを防止する車両用加速スリップ制御
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】 従来、車両用加速スリップ制御装置と
しては、例えば、特開平3−50354号公報の第6ペ
ージの第1図に記載されたものが知られている。
【0003】この従来装置は、アクセルペダルの踏み込
みに応じて開閉するメインスロットル弁以外に内燃機関
の空気通路にサブスロットル弁を有し、加速スリップ発
生時にはトラクション制御手段により前記サブスロット
ル弁を所定開度まで閉弁することによりエンジンの吸入
空気を制限して駆動車輪の過大トルクを低減する車両の
加速スリップ制御装置において、車両の加速スリップの
発生を予測する加速スリップ予測手段と、前記加速スリ
ップ予測手段により加速スリップの発生が予測された時
には前記サブスロットル弁を所定量閉弁させるスタンバ
イ制御手段とを備えたものであった。そして、前記スタ
ンバイ制御手段においては、目標サブスロットル弁閉度
をエンジン回転数に略比例するマップから算出するよう
になっていた。
【0004】即ち、この従来装置では、加速スリップの
発生が予測された場合は、加速スリップが発生する前
に、サブスロットル弁を所定量閉弁させてエンジンの駆
動トルクを低減させることにより、加速初期段階におけ
る過大スリップを抑制することができるようになるとい
うものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、上述
の従来装置にあっては、目標サブスロットル弁閉度をエ
ンジン回転数に略比例するマップから算出するようにな
っていたため、走行路面の摩擦係数μに応じて発生する
実際のスリップ量が目標サブスロットル弁閉度に反映さ
れることがなく、このため、例えば、駆動車輪はスリッ
プせずにトルクコンバータやクラッチが滑った結果とし
てエンジン回転数だけが上昇した場合にあっては、駆動
車輪がスリップしてないにも係らず目標サブスロットル
弁を閉じる方向に制御されることで駆動力が低減され、
これにより、車両の加速不良の状態を生じさせてしまう
という問題点があった。
【0006】また、以上とは逆に、駆動車輪がスリップ
しているにも係らず、エンジン回転数が上昇しない場合
には、サブスロットル弁が閉じられないため、駆動力の
低減が行なわれず、これにより、加速スリップ抑制不足
状態になるという問題点もある。
【0007】なお、スタンバイ制御による駆動力低減量
と走行路面摩擦係数μに適した駆動力低減量との不一致
により、加速不良や加速スリップ抑制不足等を生じさせ
るのであるから、駆動車輪のスリップ量から走行路面の
摩擦係数μを推定し、これを用いてスタンバイ制御の駆
動力低減量を算出すれば以上の問題点を解消することが
できるわけであるが、スタンバイ制御を必要とする場合
は、車両の発進加速時が多く、走行路面の摩擦係数μを
推定することが困難な場合が多いし、また、加速スリッ
プを検知してから走行路面の摩擦係数μを推定したので
は、時間的に間に合わないため、加速初期段階のスリッ
プを抑制することはできない。
【0008】本発明は、上述の従来の問題点に着目して
なされたもので、加速不足や加速スリップ抑制不足を生
じさせることなしに、発進加速時であっても加速初期段
階における過大スリップを十分に抑制することができる
車両用加速スリップ制御装置を提供することを目的とす
るものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】 上述の目的を達成する
ために、本発明請求項1記載の車両用加速スリップ制御
装置は、図1のクレーム対応図に示すように、駆動車輪
の車輪速度を検出する駆動車輪速度検出手段aと、従動
車輪の車輪速度を検出する従動車輪速度検出手段bと、
前記駆動車輪速度検出手段aで検出された駆動車輪の車
輪速度と前記従動車輪速度検出手段bで検出された従動
車輪の車輪速度との比較から車両における駆動車輪の実
際の加速スリップ状態を検出する加速スリップ状態検出
手段cと、車両における駆動力の低減を行なう駆動力低
減手段dと、前記加速スリップ状態検出手段cで駆動車
輪の実際の加速スリップ状態が検出されると加速スリッ
プを抑制すべく前記駆動力低減手段に駆動力低減量を指
示する加速スリップ制御手段eと、車両における駆動車
輪の加速スリップ発生を予測する加速スリップ発生予測
手段fと、該加速スリップ発生予測手段fで駆動車輪の
加速スリップ発生が予測された場合は加速スリップ発生
を防止すべく前記駆動力低減手段dに駆動力低減量の初
期設定値を指示する予測制御を行なう予測加速スリップ
制御手段gと、該予測加速スリップ制御手段gによる予
測制御中において前記加速スリップ状態検出手段cで検
出された駆動車輪の実際の加速スリップ状態により前記
予測加速スリップ制御手段gによる駆動力低減量の初期
設定値を修正する予測低減量修正手段hと、を備えてい
る手段とした。
【0010】また、請求項2記載の車両用加速スリップ
制御装置では、前記請求項1において、スロットル弁開
度を検出するスロットル弁開度検出手段を備え、前記予
測加速スリップ制御手段における駆動力低減量の初期設
定値を、スロットル弁開度検出手段で検出されたスロッ
トル弁開度に応じて設定するようにした。
【0011】また、請求項3記載の車両用加速スリップ
制御装置では、前記請求項1において、予測低減量修正
手段は予測加速スリップ制御手段による予測制御中にお
いて前記加速スリップ状態検出手段で検出された駆動車
輪の実際の加速スリップ状態により前記予測加速スリッ
プ制御手段による駆動力低減量の初期設定値を修正する
ことを備えている手段とした。
【0012】また、請求項4記載の車両用加速スリップ
制御装置では、前記請求項1〜3において、予測加速ス
リップ制御手段による予測制御開始後所定時間経過後に
駆動力低減量の初期設定値を所定量ずつ減少させるよう
にした。
【0013】また、請求項5記載の車両用加速スリップ
制御装置では、前記請求項4において、駆動力低減量の
初期設定値を減少させる速度を、前記加速スリップ状態
検出手段で検出された駆動車輪の実際の加速スリップ状
態に応じて可変するようにした。
【0014】また、請求項6記載の車両用加速スリップ
制御装置では、前記請求項1〜5において、加速スリッ
プ発生予測手段fを、スロットル弁開度検出手段および
スロットル弁開速度検出手段と、該スロットル弁開度検
出手段およびスロットル弁開速度検出手段でそれぞれ検
出されたスロットル弁開度およびスロットル弁開速度が
それぞれ所定のしきい値を越えている場合に加速スリッ
プ発生を予測する予測判定手段とで構成した。
【0015】また、請求項7記載の車両用加速スリップ
制御装置では、前記請求項1〜6において、駆動力低減
手段dを、全部または一部の気筒に対する燃料をカット
する燃料カット手段で構成した。
【0016】また、請求項8記載の車両用加速スリップ
制御装置では、前記請求項1〜7において、駆動力低減
手段dを、エンジンの点火時期を遅らせる点火遅角手段
で構成した。
【0017】また、請求項9記載の車両用加速スリップ
制御装置では、前記請求項1〜8において、駆動力低減
手段dを、駆動車輪の制動を行なう制動手段で構成し
た。また、請求項10載の車両用加速スリップ制御装置
では、前記請求項1〜9において、駆動力低減手段d、
メインスロットル弁より下流側に設けられたサブスロッ
トル弁の開度を低減することにより駆動力を低減するサ
ブスロットル弁開度制御手段で構成した。
【0018】
【作用】 本発明の請求項1記載の車両用加速スリップ
制御装置では、実際に加速スリップが発生する前の段階
で、加速スリップ発生予測手段fにより、駆動車輪の加
速スリップ発生が予測されると、予測加速スリップ制御
手段gにおいて、加速スリップ発生を防止すべく駆動力
低減手段dに駆動力低減量を指示する予測制御が行なわ
れるもので、これにより、発進加速時であっても加速初
期段階における過大スリップを十分に抑制することがで
きる。
【0019】そして、前記予測制御中において前記加速
スリップ状態検出手段cにより駆動車輪の実際の加速ス
リップ状態が検出されると、予測低減量修正手段hで
は、前記予測加速スリップ制御手段gによる駆動力低減
量の初期設定値を前記車輪の実際の加速スリップ状態に
基づいて修正する処理が行なわれるもので、これによ
り、走行路面の摩擦係数等に起因する加速不足や加速ス
リップ抑制不足状態の発生を防止することができる。
【0020】また、請求項2記載の車両用加速スリップ
制御装置では、前記予測加速スリップ制御手段における
駆動力低減量の初期設定値が、エンジン回転数とは無関
係に、スロットル弁開度に応じて設定されるもので、こ
れにより、加速不足や加速スリップ抑制不足状態の発生
を防止することができる。
【0021】また、請求項6記載の車両用加速スリップ
制御装置では、前記予測加速スリップ制御手段による予
測制御開始後所定時間経過後に駆動力低減量の初期設定
値を所定量ずつ減少させてやることにより、駆動力低減
量の初期設定値を大きめに設定しても加速不足状態の発
生を防止できるため、加速初期段階における過大スリッ
プ抑制効果を高めることができる。
【0022】また、請求項7記載の車両用加速スリップ
制御装置では、前記駆動力低減量の初期設定値を減少さ
せる速度を、前記加速スリップ状態検出手段で検出され
た駆動車輪の実際の加速スリップ状態に応じて可変する
ことにより、駆動輪速を目標駆動輪速により早く収束さ
せることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】 本発明実施例を図面に基づいて
説明する。
【0024】(第1実施例)図2は、本発明第1実施例
の車両用加速スリップ制御装置を示す構成説明図であっ
て、図において、1、2は、従動車輪としての左右前
輪、3、4は駆動車輪としての左右後輪、5は4気筒4
サイクルエンジンであり、このエンジン5の回転トルク
が、変速装置6、プロペラシャフト7、ディファレンシ
ャル装置8、および、左右各ドライブシャフト9,10
を経由して前記左右後輪3,4に伝達され、駆動され
る。
【0025】そして、前記左右前輪1,2にはそれぞれ
の車輪速度VWFL ,VWFR を検出する車輪速度センサ1
1,12が設けられ、また、前記プロペラシャフト7に
はその回転数を検知することで、左右後輪3,4の車輪
速度VWRR を検出する車輪速度センサ13が設けられて
いる。なお、前記各車輪速度センサ11,12,13と
しては、ピックアップコイルを用いた電磁式回転センサ
が使用されていて、各車輪1,2またはプロペラシャフ
ト7の回転速度に対応した周波数信号を出力するように
なっている。
【0026】また、前記エンジン5には、吸気通路14
からインテークマニホールド15を経由して空気が吸入
されると共に、運転者により操作されるアクセルペダル
16がスロットル弁17と連動し、このスロットル弁開
度でエンジン5への空気吸入量が決定される。そして、
前記スロットル弁17の弁開度は、スロットル弁開度セ
ンサ18で検出される。なお、このスロットル弁開度セ
ンサ18には、スロットル弁17と連動するロータを有
し、このロータの接点が抵抗体上を回転摺動することに
より、スロットル弁開度に対応した所定電圧を出力する
ようになっている。
【0027】前記インテークマニホールド15には、エ
ンジン5の各気筒に燃料を噴射供給する燃料インジェク
タ19がそれぞれ設けられている。また、前記エンジン
5には、該エンジン5の回転数に応じた幅のパルス信号
を出力するエンジン回転数センサ20が設けられ、前記
変速装置6には、該変速装置6のギヤ位置を電気的信号
に変換して出力するギヤ位置センサ21が設けられてい
る。
【0028】また、図において、22は加速スリップ制
御装置であり、この加速スリップ制御装置22は、マイ
コンやメモリ等から構成される一般的な電子制御装置で
あって、前記各車輪速度センサ11,12,13、スロ
ットル弁開度センサ18、エンジン回転数センサ20、
および、ギヤ位置センサ21からの各出力信号が入力さ
れると共に、エンジン制御装置23に対し制御信号が出
力される。即ち、この加速スリップ制御装置22では、
各車輪速度センサ11,12,13からの車輪速度信号
から、駆動車輪である左右後輪3,4の加速スリップを
予測または検知した場合に、所定の演算から燃料遮断量
(フューエルカット気筒数)を算出し、これをエンジン
制御装置23に出力する。
【0029】そして、前記エンジン制御装置23には、
スロットル弁開度センサ18、および、エンジン回転数
センサ20からの出力信号が入力されると共に、各燃料
インジェクタ19に対し燃料噴射量制御信号が出力され
る。このエンジン制御装置23は、マイコンやメモリ等
から構成される一般的な加速スリップ制御装置であっ
て、スロットル弁開度センサ18で検出される吸入空気
量とエンジン回転数センサ20で検出されるエンジン回
転数から算出される1行程当たりの吸入空気量に応じ
て、燃料インジェクタ19を用いて各気筒に対する燃料
噴射量制御を実行する。
【0030】即ち、前記エンジン制御装置23では、燃
料遮断に適さない所定条件が満たされた場合、燃料遮断
禁止信号を加速スリップ制御装置22に出力し、また、
燃料遮断禁止信号がない場合で加速スリップ制御装置2
2から燃料遮断要求がある場合、燃料遮断量に相当する
気筒数だけ燃料インジェクタ19の燃料噴射を中断させ
ることで、エンジン5の駆動力を低減させるようになっ
ている。
【0031】次に、前記加速スリップ制御装置22およ
びエンジン制御装置23における制御作動を、図3,図
4および図5のフローチャートに基づいて説明する。装
置が起動されると、図3の本制御ルーチンの実施前段に
おいて、以下の処理が行なわれるものとする。
【0032】即ち、各車輪速度センサ11,12,13
から入力される車輪速周波数信号の周期を計測する公知
技術から、左右前輪1,2の車輪速度VWFL ,VWFR 、
および、左右後輪3,4の車輪速度VWRR を検出する。
また、スロットル弁開度センサ18から入力される電圧
信号をA/D変換器を用いて電圧を数値に変換してメモ
リに記憶する公知技術から、スロットル弁開度TVOを
算出する。また、初期化処理として、フィードフォワー
ド制御(F/F制御)開始時からの時間経過を示す第1
カウンターCNTRFF0、および、継続時間TMFF1経過後の
時間経過即ち、F/F制御の継続時間を示す第2カウン
ターCNTRFF1を、それぞれ0にリセットする。
【0033】まず、図3の本制御ルーチンについて説明
すると、ステップS10では、次式(1) に示すように、
左右前輪1,2の車輪速度VWFL ,VWFR の平均値を求
め、これを従動車輪の車輪速度(以後、従動輪速とい
う)VFFとし、かつ、前記左右後輪3,4の車輪速度
VWRR を駆動車輪の車輪速度(以後、駆動輪速という)
VRRとする。なお、制御量演算の基本となる従動輪速
VFFおよび駆動輪速VRRの算出前段階で、ノイズ除
去の目的で、VWFL ,VWFR ,VWRR に一般的なフィル
タ処理を施すようにしてもよい。
【0034】 VFF=(VWFL +VWFR )÷2・・・・・・・・(1) そして、次式(2) に示すように、従動輪速VFFに所定
のスリップしきい値SLIPSを加算して目標駆動輪速
VRRSを算出する。なお、前記スリップしきい値SL
IPSは、この実施例では、正の定数とするが、駆動車
輪の定常的な加速スリップ量やアクセル操作量から変動
する可変数として、加速スリップの状態や運転者の加速
意図をスリップしきい値SLIPSに反映させるように
してもよい。
【0035】 VRRS=VFF+SLIPS・・・・・・・・・・(2) 続くステップS20では、加速スリップ予測フラグFTCS
FFが1にセットされているか否か、即ち、本制御回数が
駆動車輪の加速スリップ発生を予測したか否かを判定
し、予測後のYES(FTCSFF=1)である時は、ステッ
プS200で示すフィードフォワード制御(F/F制
御)ルーチンに進み、また、予測前のNO(FTCSFF=
0)であればステップS30に進む。なお、前記ステッ
プS200で示すF/F制御ルーチンの具体的制御内容
については後に詳述するが、このステップS200の処
理が行なわれた後は、ステップS90に進む。
【0036】前記ステップS30では、スロットル弁開
速度ΔTVOから加速スリップの発生を予測するもの
で、スロットル弁開速度ΔTVOが所定のしきい値ΔT
VO0以上であるか否かが判定され、YES(ΔTVO
≧ΔTVO0)であれば、アクセルペダル16の操作が
急激で加速スリップ発生の恐れが十分にあるため、この
場合はステップS40に進み、また、NO(ΔTVO<
ΔTVO0)であれば、アクセルペダル16の操作が緩
やかで加速スリップ発生の恐れはないため、この場合は
前記ステップS60に進む。なお、前記スロットル弁開
速度ΔTVOは、次式(3) に示すように、本制御回数の
スロットル弁開度TVO(k)と3回前のスロットル弁
開度TVO(k−3)の差から算出する。これは、開度
の差を確実にするためである。 ΔTVO=TVO(k)−TVO(k−3)・・・・・・・・・・(3) なお、k=1〜3は、ΔTVO=0 となる。
【0037】前記ステップS40では、加速スリップ発
生の恐れが十分にあるとの前記ステップS30の判定が
適当であるか否かを、スロットル弁開度TVOで確認す
るもので、スロットル弁開度TVOが所定のしきい値T
VO0以上であるか否かが判定され、YES(TVO≧
TVO0)であれば、アクセルペダル16の踏み込み量
も大きくて加速スリップ発生が確信できるとし、この場
合はステップS50に進む。また、NO(TVO<TV
O0)であれば、アクセルペダル16の踏み込み量が小
さくて加速スリップ発生の恐れはないため、この場合は
ステップS60に進む。
【0038】前記ステップS50では、加速スリップ発
生の予測有りと判断されているので、次回制御回数から
ステップS30〜S50の加速スリップ予測判断を省略
し、ステップS10〜S20を経てステップS200で
示すF/F制御ルーチンに進むように、加速スリップ予
測フラグFTCSFFを1にセットすると共に、スロットル弁
開度TVOと初期設定の路面摩擦係数μ=μ1から、F
/F制御の諸変数を設定する。即ち、図8に示すよう
に、スロットル弁開度TVOの大きさに応じ、実験に基
づいて設定されたカット気筒数TCSFF (0〜A3)、ス
リップ量積算値SLIPFFの下限値SLIPFF0(B1〜B3)
および上限値SLIPFF1(C1〜C3)をそれぞれ決定し
た後、ステップS200に進む。なお、このステップS
200で示すF/F制御ルーチンの具体的制御内容につ
いては後に詳述するが、このステップS200の処理が
行なわれた後は、ステップS90に進む。
【0039】前記ステップS60では、加速スリップ判
断フラグFTCSFBが1にセットされているか否か、即ち、
本制御回数が駆動車輪の加速スリップ状態を判断したか
否かを判定し、判断後のYES(FTCSFB=1)である時
は、ステップS400で示す車輪速をフィードバック制
御する一般的な比例積分微分制御(F/B制御)ルーチ
ンに進み、また、判断前のNO(FTCSFB=0)である時
は、ステップS70に進む。
【0040】前記ステップS70では、駆動輪速VRR
が目標駆動輪速VRRS以上であるか否か、即ち、駆動
車輪が加速スリップ状態にあるか否かを判定し、YES
(VRR≧VRRS)である時は、次回制御回数からこ
のステップS70の判断を省略してステップS400に
進ませるために、ステップS60で判定される加速スリ
ップ判断フラグFTCSFBを1にセットした後、ステップS
400で示すF/B制御ルーチンに進み、また、NO
(VRR<VRRS)であればステップS90に進む。
【0041】そして、前記ステップS90では、F/F
制御のカット気筒数TCSFF (今回)と、F/B制御のカ
ット気筒数TCSFB (今回)との和を、燃料カット量TC
S(今回)として、これをエンジン制御装置23に送信
する。なお、エンジン制御装置23においては、加速ス
リップ制御装置22からの指令に基づき、前記決定カッ
ト気筒数TCSFF に相当する数の燃料インジェクタ19の
燃料噴射を中断させることにより、エンジン5の駆動力
を低減し、これにより、加速スリップの発生を防止する
処理が行なわれる。以上で一回の制御フローを終了し、
以後は以上の制御フローを繰り返すものである。
【0042】次に、図4に示すステップS200のF/
F制御ルーチンについて説明する。まず、ステップS2
10では、F/F制御開始からの時間管理のために、第
1カウンターCNTRFF0(初期値=0)を制御回数毎に1
ずつインクリメント(+1)する。
【0043】ステップS220では、次式(4) に示すよ
うに、駆動輪速VRRと従動輪速VFFの差ΔSLIPFFを
毎回積算( SLIPFF(今回) = SLIPFF(前回) +ΔSLIPF
F)してスリップ量積算値 SLIPFF(今回) を算出する。
なお、積算する理由は、スリップ量に瞬間的な変化が生
じた場合に、誤判断されることを防ぐためである。
【0044】 SLIPFF=Σ(VRR−VFF)・・・・・・・・・・(4) ステップS230では、第1カウンターCNTRFF0によ
り、F/F制御開始から走行路面摩擦係数μ推定までの
所定時間TMFF0を経過したか否かを判定し、YES(CN
TRFF0=TMFF0)であれば走行路面摩擦係数μ推定開始
ステップであるステップS240に進み、また、NO
(CNTRFF0<TMFF0)であれば摩擦係数μ推定ステップ
(S240〜S280)を省略してステップS290に
進む。
【0045】即ち、ステップS240〜S280では、
従動輪速VFFと駆動輪速VRRとの速度差の積算値が
大きい程、走行路面の摩擦係数μは低い値を示すことか
ら、予め、走行路面摩擦係数μに対応する従動輪速VF
Fと駆動輪速VRRとの速度差(スリップ量積算値SLIP
FFを基準とした上下限値SLIPFF1,SLIPFF0)を複数設
定しておき、現実のスリップ量積算値SLIPFFを推定摩擦
係数μに対応した上下限値SLIPFF1,SLIPFF0と比較す
ることにより、走行路面における現実の摩擦係数μを求
めるようにしたものであり、以下具体的に説明する。
【0046】ステップS240では、スリップ量積算値
SLIPFFが所定のスリップ量積算値の下限値SLIPFF0以上
であるか否かを判定し、YES(SLIPFF≧SLIPFF0)で
あればステップS250に進み、また、NO(SLIPFF<
SLIPFF0)であれば実際の摩擦係数μが高く摩擦係数μ
の初期設定値μ1では加速不良が生じている状態なの
で、ステップS280に進み、推定摩擦係数μをμ2に
修正設定する。
【0047】ステップS250では、スリップ量積算値
SLIPFFが所定のスリップ量積算値の上限値SLIPFF1を越
えているか否かを判定し、YES(SLIPFF>SLIPFF1)
であれば実際の摩擦係数μが低く摩擦係数μの初期設定
値μ1では加速スリップ抑制不足が生じている状態なの
で、ステップS260に進み、推定摩擦係数μをμ0に
修正設定する。また、NO(SLIPFF0≦SLIPFF≦SLIPFF
1)であれば摩擦係数μの初期設定値μ1で実際の摩擦
係数μ1に適合している状態なので、ステップS270
に進み、推定摩擦係数μをμ1に設定する。
【0048】そして、前記各ステップS260,S27
0,S280では、各推定摩擦係数(μ0,μ1,μ
2)に応じたカット気筒数TCSFF ,カット気筒数TCSFF
の継続時間(F/F制御開始からカット気筒数TCSFF の
減算開始までの時間)TMFF1,カット気筒数TCSFF の減
算間隔時間TMFF2を決定した後、ステップS290に進
む。
【0049】なお、走行路面の推定摩擦係数μが小さい
場合は、カット気筒数TCSFF を多く、かつ、継続時間TM
FF1,減算間隔時間TMFF2を長くし、逆に、走行路面の
推定摩擦係数μが大きい場合は、カット気筒数TCSFF を
少なく、かつ、継続時間TMFF1,減算間隔時間TMFF2を
短くすることにより、推定摩擦係数μに適応した駆動力
の低減が行なわれるようになっている。
【0050】前記ステップS290では、第1カウンタ
ーCNTRFF0により、F/F制御開始からの時間経過が継
続時間TMFF1未満であるか否かを判定し、YES(CNTR
FF0<TMFF1)であればステップS330に進み、ま
た、NO(CNTRFF0≧TMFF1)であればステップS30
0に進む。
【0051】このステップS300では、減算間隔時間
TMFF2毎にカット気筒数TCSFF を1気筒ずつ減算するた
めに、継続時間TMFF1経過後の時間経過を示す第2カウ
ンターCNTRFF1により管理する。即ち、第2カウンター
CNTRFF1が0の状態(初回)であるか否かを判定し、Y
ES(CNTRFF1=0(初回))であればステップS31
0に進み、カット気筒数TCSFF から1気筒減算(TCSFF
(今回) =TCSFF(前回)−1(気筒))すると共に、前記
第2カウンターCNTRFF1を前記ステップS260,S2
70,S280のいずれかで決定された減算間隔時間TM
FF2に設定した後、ステップS330に進む。また、N
O(CNTRFF1≧1(2回目以上))であればステップS
320に進み、前記第2カウンターCNTRFF1を制御回数
毎にデクリメント(CNTRFF1(今回)=CNTRFF1(前
回)−1)した後、ステップS330に進む。
【0052】ステップS330では、以下に示すF/F
制御終了条件,の少なくともいずれか一方が成立し
たか否かの判定が行なわれる。 F/F制御開始からF/F制御時間上限時間TMFF3
に達している(CNTRFF0≧TMFF3)場合。 前記ステップS310で減算されたカット気筒数TC
SFF(今回) が0となった場合。
【0053】そして、YES(F/F制御終了条件が成
立)であれば、ステップS340に進み、次回制御回数
から新たに加速スリップの発生を予測させるために、加
速スリップ予測フラグFTCSFF、および、カット気筒数TC
SFF をそれぞれ0にリセットした後、図3に示す本制御
ルーチンのステップS10に戻り、また、NOであれば
そのまま図3に示す本制御ルーチンのステップS10に
戻る。
【0054】次に、図5に示すステップS400のF/
B制御ルーチンについて説明する。即ち、このF/B制
御ルーチンでは、まず、そのステップS410におい
て、一般的な比例積分微分制御により、F/B制御のカ
ット気筒数TCSFB の算出が行なわれる。
【0055】即ち、既に存在する摩擦係数μ(μ0〜
2)の初期設定値から、比例ゲインKp ,積分ゲインK
i ,微分ゲインKd を決定した後、次式(5),(6),(7) に
基づき、駆動輪速VRRと目標駆動輪速VRRSの偏差
GSLIP ,偏差差分値DSLIP ,偏差積算値ISLIP を算出す
る。
【0056】 GSLIP(今回) =VRR (今回) −VRRS (今回) ・・・・・・・・・・(5) DSLIP(今回) =GSLIP(今回) −GSLIP(前回) ・・・・・・・・・・・・・・・・(6) ISLIP(今回) =ISLIP(前回) +Ki ×GSLIP(今回) ・・・・・・・・・・(7) そして、次式(8) に示す一般的な比例積分微分制御式に
基づき、カット気筒数TCSFB を算出する。
【0057】 TCSFB(今回)=Kp ×GSLIP(今回)+ISLIP(今回)+Kd ×DSLIP(今回)・・・・(8) 続くステップS420では、F/B制御の終了を判定す
るもので、即ち、カット気筒数TCSFB(前回) ≠0からTC
SFB(今回) =0に変化した後その状態が所定時間継続し
たか否かを判定し、YESであればF/B制御終了とし
てステップS430に進み、加速スリップ判断フラグFT
CSFBを0にリセットした後、図3に示す本制御ルーチン
のステップS10に戻り、また、NOであればそのまま
図3に示す本制御ルーチンのステップS10に戻る。
【0058】次に、加速スリップ制御装置22およびエ
ンジン制御装置23で実施される制御概要を、図6およ
び図7のタイミングチャートに基づいて説明する。
【0059】(イ)加速スリップ予測時 図6(f)に示すように、駆動輪速VRRが目標駆動輪
速VRRS未満であっても、図6(a),(b)に示す
ように、スロットル弁開速度ΔTVOが所定のしきい値
ΔTVO0以上であって、かつ、スロットル弁開度TV
Oが所定のしきい値TVO0を越えている時は、駆動車
輪である左右後輪3,4に加速スリップを発生させる恐
れがあるため、この時は、現実に加速スリップが発生す
る前に予測的にエンジン5の駆動力を低減するF/F制
御(予測制御)が開始されると同時に、加速スリップ予
測フラグFTCSFFが1にセットされる(図6(d))。
【0060】即ち、このF/F制御(予測制御)に際し
ては、初期設定の路面摩擦係数μ=μ1と、スロットル
弁開度TVOの大きさに応じ、実験に基づいて設定され
たカット気筒数TCSFF (0〜A3)、スリップ量積算値
SLIPFFの下限値SLIPFF0(B1〜B3)および上限値SL
IPFF1(C1〜C3)の決定が行なわれる。
【0061】そして、エンジン制御装置23において、
加速スリップ制御装置22からの指令に基づき、前記初
期設定値としてのカット気筒数TCSFF (この実施例で
は、図6(c)に示すように、TCSFF =2)に相当する
数の燃料インジェクタ19の燃料噴射を中断させること
により、エンジン5の駆動力を予測的に低減させるもの
で、これにより、加速スリップの発生を未然に防止する
ことができる。なお、図6(f)は、従動輪速VFFと
駆動輪速VRRの変化状態を示すもので、一点鎖線で示
す予測制御なしの場合の駆動輪速VRR変化に比べ、実
線で示す実施例では従動輪速VFFに対する駆動輪速V
RRの差の増加率が緩やかになる。
【0062】また、F/F制御開始から所定時間TMFF0
を経過した時点で、従動輪速VFFと駆動輪速VRRか
ら、現実のスリップ量積算値SLIPFFを算出し、この現実
のスリップ量積算値SLIPFFから、走行路面の摩擦係数μ
を推定し、この推定摩擦係数μに基づいて、初期設定さ
れた前記カット気筒数TCSFF の値の修正と、継続時間TM
FF1および減算時間TMFF2の決定が行なわれる。
【0063】即ち、所定時間TMFF0経過した時点で、現
実のスリップ量積算値SLIPFFから求めた推定摩擦係数μ
(μ0〜μ2)に基づいて初期設定されたカット気筒数
TCSFF の値の修正が行なわれると共に、継続時間TMFF1
が経過した時点でカット気筒数TCSFF が1気筒減算さ
れ、それからさらに減算時間TMFF2が経過する毎に、カ
ット気筒数TCSFF を1気筒ずつ減算するという減算処理
が行なわれるもので、この各時間TMFF1,TMFF2を、図
7に示すように、現実のスリップ量積算値SLIPFFから求
めた推定摩擦係数μ(μ0〜μ2)に基づいて可変設定
することにより、現実の摩擦係数μに適応した駆動力低
減量への修正が行なわれる。
【0064】図7は、駆動力低減量の修正態様を示すタ
イミングチャートであり、現実のスリップ量積算値SLIP
FFから求めた推定摩擦係数μが推定摩擦係数μの初期設
定値(μ1)より小さい場合は、実際の摩擦係数μが低
く、図7(c),(d),(e)の点線で示す初期設定
値(μ1)によるカット気筒数TCSFF (2気筒)および
継続時間TMFF1と減算間隔時間TMFF2の状態では、図7
(a)の点線で示すように加速スリップ抑制不足が生じ
ている状態なので、推定摩擦係数μを(μ0)に修正設
定し、それに応じ図7(c),(d),(e)の点線で
示すように、カット気筒数TCSFF を多く(3気筒)、か
つ、継続時間TMFF1,減算間隔時間TMFF2を長くするこ
とにより、加速スリップ抑制不足状態が解消され、逆
に、現実のスリップ量積算値SLIPFFから求めた推定摩擦
係数μが推定摩擦係数μの初期設定値(μ1)より大き
い場合は、実際の摩擦係数μが高く推定摩擦係数μの初
期設定値(μ1)では、図7(a)の一点鎖線で示すよ
うに加速不良が生じている状態なので、この場合は、推
定摩擦係数μを(μ2)に修正設定し、それに応じ図7
(c),(d),(e)の点線で示すように、継続時間
TMFF1,減算間隔時間TMFF2を短くすることにより、加
速不良状態が解消される。
【0065】以上のように、従動輪VFFと駆動輪VF
Rとの速度差の積算値(図7−(a)にて積算値は所定
時間における車輪速度の面積で表すことができる。)に
より走行路面の現実の摩擦係数μを推定し、走行路面の
摩擦係数μに適応した駆動力低減量への修正が行なわれ
るため、加速不足や加速スリップ抑制不足を生じさせる
ことなしに、発進加速時であっても加速初期段階におけ
る過大スリップを十分に抑制することができるようにな
る。
【0066】なお、以上のF/F制御は、F/F制御開
始からF/F制御時間上限時間TMFF3に達する(CNTRFF
0≧TMFF3)か、または、減算されたカット気筒数TCSF
F(今回) が0となった場合に終了し、加速スリップ予測
フラグFTCSFFおよびカット気筒数TCSFF がそれぞれ0に
リセットされる(図6(d))。
【0067】(ロ)加速スリップ発生時 図6(f)に示すように、駆動輪速VRRが目標駆動輪
速VRRS以上になった時は、駆動車輪である左右後輪
3,4が加速スリップ状態にあるため、この時は、図6
(e)に示すように、加速スリップ判断フラグFTCSFBが
1にセットされ、一般的な車輪速フィードバック制御
(F/B制御)が開始される。
【0068】即ち、このF/B制御においては、図5の
ステップS410で述べたように、一般的な比例積分微
分制御(式 (8))により、F/B制御のカット気筒数TC
SFBの算出が行なわれる。
【0069】そして、エンジン制御装置23において、
加速スリップ制御装置22からの指令に基づき、図6
(c)に示すように、前記カット気筒数TCSFB に相当す
る数の燃料インジェクタ19の燃料噴射を中断させるこ
とにより、エンジン5の駆動力を低減させるもので、こ
れにより、加速スリップを抑制することができる。
【0070】なお、その後、F/B制御の終了を判定す
るもので、即ち、F/B制御は、カット気筒数TCSFB(前
回) ≠0からTCSFB(今回) =0に変化した後その状態が
所定時間継続した時点で終了し、加速スリップ判断フラ
グFTCSFBが0にリセットされる。
【0071】以上説明してきたように、この実施例にあ
っては、以下に列挙する効果が得られる。
【0072】 F/F制御(予測制御)に際しては、
カット気筒数TCSFF の初期設定値を、エンジン回転数と
は無関係に、スロットル弁開度TVOの大きさに応じた
値に設定するようにしたことで、加速不足や加速スリッ
プ抑制不足を生じさせることなしに、発進加速時であっ
ても加速初期段階における過大スリップを十分に抑制す
ることができるようになる。
【0073】 予測制御開始から所定時間TMFF0経過
後に、駆動力低減量としてのカット気筒数TCSFF の初期
設定値を所定量ずつ減少させるようにしたことで、カッ
ト気筒数TCSFF の初期設定値を大きめに設定しても加速
不足状態の発生を防止できるため、加速初期段階におけ
る過大スリップ抑制効果を高めることができるようにな
る。
【0074】 F/F制御開始から所定時間TMFF0経
過後に、走行路面の現実の摩擦係数μに適応した駆動力
低減量(カット気筒数TCSFF ,継続時間TMFF1,減算間
隔時間TMFF2)への修正が行なわれるため、加速不足や
加速スリップ抑制不足を生じさせることなしに、発進加
速時であっても加速初期段階における過大スリップを十
分に抑制することができるようになると共に、駆動輪速
VRRを目標駆動輪速VRRSにより早く収束させるこ
とができるようになる。
【0075】(第2実施例)次に、本発明の第2実施例
について説明する。なお、この実施例の説明に当たって
は、前記第1実施例と同様の構成部分には同一の符号を
付けてその説明を省略し、相違点についてのみ説明す
る。
【0076】この実施例における加速スリップ制御装置
22およびエンジン制御装置23における制御作動を、
図9,図10および図11のフローチャートに基づいて
説明する。
【0077】まず、図9は本制御ルーチンの制御作動を
示すフローチャートであり、前記第1実施例とはステッ
プS50の内容を異にしている。即ち、このステップS
50では、加速スリップ予測フラグFTCSFF1を1にセッ
トすると共に、図14のマップに基づき、スロットル弁
開度TVOの値に応じたカット気筒数TCSFF の値を初期
設定するもので、該マップでは、スロットル弁開度TV
Oの大きさに対応したカット気筒数TCSFF (0〜A3)
が設定されるようになっている。なお、A1〜A3は、
0%≦A1〜A3≦100% の定数である。
【0078】次に、ステップS200のF/F制御ルー
チンの制御内容を、図10のフローチャートに基づいて
説明する。まず、ステップS510では、F/F制御開
始からの時間管理のために、第1カウンターCNTRFF0
(初期値=0)を制御回数毎に1ずつインクリメント
(+1)する。
【0079】続くステップS520では、適正スリップ
状態判断フラグFTCSFF2が1にセットされているか否
か、即ち、F/F制御量としてのカット気筒数TCSFF が
適切で駆動輪速VRRが適正なスリップ量状態にあるか
否かを周期的に監視し、適正なスリップ量のYES(FT
CSFF2=1)である時は、ステップS590に進み、F
/F制御量としてのカット気筒数TCSFF を一定量K2ず
つ減算する処理を行なった後、ステップS600に進
む。即ち、F/F制御量としてのカット気筒数TCSFF を
減算すると、加速スリップは増大するので、F/B制御
量としてのカット気筒数TCSFB が増大する。このため、
F/F制御量としてのカット気筒数TCSFF の減算分をF
/B制御量としてのカット気筒数TCSFB の増大分で補え
るようなK2の値に設定される。
【0080】また、前記ステップS520で、スリップ
量不適正のNO(FTCSFF2=0)と判定された場合は、
ステップS530に進む。このステップS530では、
第1カウンターCNTRFF0により、F/F制御開始からス
リップ量判断までの所定時間TMFF0を経過したか否かを
判定し、YES(CNTRFF0=TMFF0)であれば、スリッ
プ量判断開始ステップであるステップS540に進み、
また、NO(CNTRFF0<TMFF0)であれば、スリップ判
断ステップ(S540〜S580)を省略してステップ
S600に進む。
【0081】前記ステップS540〜S580では、F
/F制御量の初期設定が、路面摩擦係数μに適合したF
/F制御量(カット気筒数TCSFF )であるかを確認する
ために、駆動輪速VRRを目標駆動輪速VRRSと比較
してF/F制御量(カット気筒数TCSFF )の初期設定を
修正するための処理が行なわれる。
【0082】まず、ステップS540では、駆動輪速V
RRが、目標駆動輪速VRRSに所定のプラスしきい値
+K1(例えば、K1=0.5km/h)を加算した値以上
であるか否かを判定し、YESである時は、スリップ量
が過大であるため、F/F制御量(カット気筒数TCSFF
)が過小の場合の処理ステップS580に進み、カッ
ト気筒数TCSFF を前回より1気筒増やすと共に、所定時
間TMFF0経過後に再度駆動輪速VRRのスリップ量を判
断するために第1カウンターCNTRFF0を0にリセットし
た後、ステップS600に進む。
【0083】また、前記ステップS540でNOと判定
された場合は、ステップS550に進んで、駆動輪速V
RRが、目標駆動輪速VRRSから所定のマイナスしき
い値−K1を減算した値以上であるか否かを判定し、Y
ES(VRRS+K1≧VRR≧VRRS−K1)であ
る時は、スリップ量が適正で駆動輪速VRRを目標駆動
輪速VRRS付近に抑制できているため、F/F制御量
(カット気筒数TCSFF)が適切である場合の処理ステッ
プS570に進み、カット気筒数TCSFF を前回の数に維
持させると共に、次回制御回数からスリップ状態判断ス
テップであるステップS530〜S580を経由するこ
となく、ステップS590においてF/F制御量として
のカット気筒数TCSFF を一定量K2ずつ減算する処理を
行なわせるために、適正スリップ状態判断フラグFTCSFF
2を1にセットした後、ステップS600に進む。
【0084】また、前記ステップS550でNO(VR
R<VRRS−K1)と判定された時は、スリップ量が
過小であるため、F/F制御量(カット気筒数TCSFF )
が過大の場合の処理ステップS560に進み、カット気
筒数TCSFF を前回より1気筒減らすと共に、所定時間TM
FF0経過後に再度駆動輪速VRRのスリップ量を判断す
るために第1カウンターCNTRFF0を0にリセットした
後、ステップS600に進む。
【0085】前記ステップS600では、F/F制御終
了条件が成立したか否かの判定が行なわれる。即ち、F
/F制御量としてのカット気筒数TCSFF(今回) が0以下
となったか否かが判定され、YES(TCSFF ≦0)であ
れば、ステップS610に進み、次回制御回数から新た
に加速スリップの発生を予測させるために、加速スリッ
プ予測フラグFTCSFF1、適正スリップ状態判断フラグFT
CSFF2、カット気筒数TCSFF 、および、第1カウンター
CNTRFF0をそれぞれ0にリセットした後、図9に示す本
制御ルーチンのステップS10に戻り、また、NOであ
ればそのまま図9に示す本制御ルーチンのステップS1
0に戻る。
【0086】次に、図11のフローチャートに示すステ
ップS400のF/B制御ルーチンについて説明する。
即ち、このF/B制御ルーチンでは、まず、そのステッ
プS710において、一般的な比例積分微分制御によ
り、F/B制御のカット気筒数TCSFB の算出が行なわれ
る。
【0087】即ち、初期設定値から、比例ゲインKp ,
積分ゲインKi ,微分ゲインKd を決定した後、次式
(9) 〜 (11) に基づき、駆動輪速VRRと目標駆動輪速
VRRSの偏差GSLIP ,偏差差分値DSLIP ,偏差積算値
ISLIP を算出し、さらに、次式(12)〜 (14) に基づき、
TCSP , TCSI , TCSD を算出し、最後に
次式(15)に基づいてカット気筒数TCSFB を算出する。
【0088】 GSLIP(今回) =VRR (今回) −VRRS (今回) ・・・・・・・・・・・・・(9) DSLIP(今回) =GSLIP(今回) −GSLIP(前回) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(10) ISLIP(今回) =ISLIP(前回) +GSLIP(今回) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(11) TCSP(今回) =Kp ×GSLIP(今回) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(12) (−100%≦ TCSP(今回) ≦+100%) TCSI(今回) = TCSI(前回) +Ki ×GSLIP(今回) ・・・・・・・・・・・・(13) (0%≦ TCSI(今回) ≦+100%) TCSD(今回) =Kd ×DSLIP(今回) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(14) (−100%≦ TCSD(今回) ≦+100%) TCSFB(今回) = TCSP(今回) + TCSI(今回) + TCSD(今回) ・・・・(15) 続くステップS720では、F/B制御の終了を判定す
るもので、即ち、カット気筒数TCSFB(前回) ≠0からTC
SFB(今回) =0に変化した後その状態が所定時間継続し
たか否かを判定し、YESであればF/B制御終了とし
てステップS730に進み、加速スリップ判断フラグFT
CSFBを0にリセットした後、図9に示す本制御ルーチン
のステップS10に戻り、また、NOであればそのまま
図9に示す本制御ルーチンのステップS10に戻る。
【0089】次に、加速スリップ制御装置22で実施さ
れる制御概要を、図12および図13のタイムチャート
に基づいて説明する。
【0090】まず、図12のタイムチャートに示すよう
に、スロットル弁開度TVOスロットル弁開速度ΔTV
Oから判断して加速スリップの発生が予測された場合
(時間T0)、加速スリップ予測フラグFTCSFF1を1に
セットすると共に、図14のマップに基づき、スロット
ル弁開度TVOの値に応じたカット気筒数TCSFF の値を
初期設定する。
【0091】そして、F/F制御開始から所定時間TMFF
0後(時間T1)に、路面摩擦係数μに応じた適正なス
リップ状態となっているかを監視し、F/F制御量とし
てのカット気筒数TCSFF の値を修正する。なお、この修
正方法については、図13のタイムチャートに基づいて
後述する。
【0092】図12のタイムチャートに示すケースで
は、駆動輪速VRRは、適正なスリップ状態にあるの
で、適正スリップ状態判断フラグFTCSFF2を1にセット
して、カット気筒数TCSFF を所定量K2づつ減算する。
そして、駆動輪速VRR≧目標駆動輪速VRRSとなっ
た時点(時間T2)で、加速スリップ判断フラグFTCSFB
1を1にセットし、F/B制御が開始される。F/F制
御が終了した時点(時間T3)で、FTCSFF1=FTCSFF2
=0 として、F/F制御を終了する。
【0093】その結果、駆動輪速VRRの実線で示すよ
うに、F/F制御で初期加速スリップを抑制しつつ、F
/B制御で目標駆動輪速VRRSに収束する。なお、F
/F制御なしでF/B制御だけの場合は、駆動輪速VR
Rの点線で示すように、初期加速スリップが抑制できな
いので、駆動輪速VRRが目標駆動輪速VRRSに収束
するのが遅れる。
【0094】次に、この実施例の作用・効果を、図13
のタイムチャートに基づいて説明する。時間T0で初期
設定されたカット気筒数TCSFF が路面摩擦係数μに適合
しているか否かを、所定時間TMFF0経過後の時間T1で
判断する。そして、実線で示すように適合している場合
は、駆動輪速VRRが目標駆動輪速VRRS±K1の範
囲に収まり、加速スリップを抑制しながら程良い加速が
得られる状態であるため、一定量K2づつカット気筒数
TCSFF を減算し、時間T2でF/F制御を終了する。
【0095】また、点線で示すように、時間T0で初期
設定されたカット気筒数TCSFF が路面摩擦係数μに対し
不足な場合は、駆動輪速VRRが目標駆動輪速VRRS
+K1以上となり、加速スリップ過大となるため、カッ
ト気筒数TCSFF を1気筒増やした後、さらに所定時間TM
FF0経過後の時間T3において、路面摩擦係数μに適合
しているか否かを判断する。そして、これで適合してい
る場合は、一定量K2づつカット気筒数TCSFF を減算
し、時間T5でF/F制御を終了する。
【0096】また、一点鎖線で示すように、時間T0で
初期設定されたカット気筒数TCSFFが路面摩擦係数μに
対し過大な場合は、駆動輪速VRRが目標駆動輪速VR
RS−K1未満となり、加速スリップ過小となるため、
カット気筒数TCSFF を1気筒減らした後、さらに所定時
間TMFF0経過後の時間T3において、路面摩擦係数μに
適合しているか否かを判断する。そして、これで適合し
ている場合は、一定量K2づつカット気筒数TCSFF を減
算し、時間T4でF/F制御を終了する。
【0097】以上のように、この実施例では、点線およ
び一点鎖線で示すように、初期設定されたカット気筒数
TCSFF の修正が行なわれた結果、時間T3以降は加速ス
リップの過不足が解消されている。しかし、時間T1で
修正がなされずに時間T2でF/F制御を終了した場
合、一点鎖線のケースでは加速スリップ過大が増長さ
れ、点線のケースでは加速不良は解消されるが、初期加
速スリップが発生する可能性がある。
【0098】以上説明してきたように、この第2実施例
においても前記第1実施例と同様の効果を得ることがで
きる。
【0099】(第3実施例)次に、本発明の第3実施例
について説明する。なお、この実施例の説明に当たって
は、前記第2実施例と同様の構成部分には同一の符号を
付けてその説明を省略し、相違点についてのみ説明す
る。
【0100】即ち、この実施例は、前記第2実施例とは
F/F制御ルーチンの内容を異にするもので、実際のス
リップ状態判断に基づくカット気筒数TCSFF の初期設定
値の修正処理を省略した内容となっている。
【0101】図15は、この実施例におけるF/F制御
ルーチンの制御内容を示すもので、まず、ステップS8
10では、F/F制御開始からの時間管理のために、第
1カウンターCNTRFF0(初期値=0)を制御回数毎に1
ずつインクリメント(+1)する。
【0102】続くステップS820では、第1カウンタ
ーCNTRFF0により、F/F制御開始から所定時間TMFF0
を経過したか否かを判定し、YES(CNTRFF0≧TMFF
0)であれば、ステップS830に進み、F/F制御量
としてのカット気筒数TCSFF を一定量K2ずつ減算する
処理を行なった後、ステップS840に進む。また、N
O(CNTRFF0<TMFF0)であればそのままステップS8
40に進む。
【0103】前記ステップS840では、F/F制御終
了条件が成立したか否かの判定が行なわれる。即ち、F
/F制御量としてのカット気筒数TCSFF(今回) が0以下
となったか否かが判定され、YES(TCSFF ≦0)であ
れば、ステップS850に進み、次回制御回数から新た
に加速スリップの発生を予測させるために、加速スリッ
プ予測フラグFTCSFF1、カット気筒数TCSFF 、および、
第1カウンターCNTRFF0をそれぞれ0にリセットした
後、図9に示す本制御ルーチンのステップS10に戻
り、また、NOであればそのまま図9に示す本制御ルー
チンのステップS10に戻る。
【0104】以上のように、この実施例では、F/F制
御ルーチンにおいて、実際の加速スリップ状態判断に基
づくカット気筒数TCSFF の初期設定値の修正処理を省略
した分、前記第1および第2実施例に比べると効果的に
は劣るが、第2実施例と同様に、F/F制御量としての
カット気筒数TCSFF の初期設定値を、エンジン回転数と
は無関係に、スロットル弁開度TVOに応じて設定する
ことで、加速不足や加速スリップ抑制不足を生じさせる
ことなしに、発進加速時であっても加速初期段階におけ
るスリップを十分に抑制することができるという基本的
な効果を得ることができる。
【0105】(第4実施例)次に、本発明の第4実施例
について説明する。なお、この実施例の説明に当たって
は、前記第2実施例と同様の構成部分には同一の符号を
付けてその説明を省略し、相違点についてのみ説明す
る。
【0106】即ち、この実施例は、図10のフローチャ
ートに示す前記第2実施例のF/F制御ルーチンのう
ち、ステップS560〜S580で示す初期設定値の具
体的修正内容を異にするもので、該相違点を図16のフ
ローチャートに基づいて説明する。
【0107】図16は、この実施例におけるF/F制御
ルーチンの制御内容を示すもので、まず、F/F制御量
(カット気筒数TCSFF )が過小の場合の処理ステップS
580においては、カット気筒数TCSFF の初期設定値を
長く継続させるために、減算量K2を最小値RECSPD0に
設定すると共に、次回制御回数からカット気筒数TCSFF
を減少させるために、適正スリップ状態判断フラグFTCS
FF2を1にリセットする。
【0108】また、F/F制御量(カット気筒数TCSFF
)が適切である場合の処理ステップS570において
は、カット気筒数TCSFF の初期設定値を適正に継続させ
るために、減算量K2を基準値RECSPD1に設定すると共
に、次回制御回数からカット気筒数TCSFF を減少させる
ために、適正スリップ状態判断フラグFTCSFF2を1にリ
セットする。
【0109】また、F/F制御量(カット気筒数TCSFF
)が過大の場合の処理ステップS560においては、
カット気筒数TCSFF の初期設定値を早目に減少させるた
めに、減算量K2を最大値RECSPD2に設定すると共に、
次回制御回数からカット気筒数TCSFF を減少させるため
に、適正スリップ状態判断フラグFTCSFF2を1にリセッ
トする。
【0110】以上のように、この実施例では、所定時間
TMFF0経過後におけるF/F制御量(カット気筒数TCSF
F )の減算量を可変することにより、減算速度を可変
し、これにより、F/F制御による初期設定値の修正を
行なうようにしたものであり、従って、前記第2実施例
と同様の効果を得ることができる。
【0111】以上、実施例について説明してきたが具体
的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明
の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明
に含まれる。
【0112】例えば、実施例では、駆動力低減手段を、
全部または一部の気筒に対する燃料供給をカットする燃
料カット手段で構成した場合を示したが、エンジンの点
火時期を遅らせる点火遅角手段や、駆動車輪の制動を行
なう制動手段、または、メインスロットル弁より上流側
に設けられたサブスロットル弁の開度を低減するサブス
ロットル弁開度制御手段で構成することもできる。
【0113】
【発明の効果】 以上説明してきたように本発明請求項
1記載の車両用加速スリップ制御装置は、加速スリップ
発生予測手段で駆動車輪の加速スリップ発生が予測され
た場合は加速スリップ発生を防止すべく駆動力低減手段
に駆動力低減量を指示する予測制御を行なう予測加速ス
リップ制御手段と、該予測加速スリップ制御手段による
予測制御中において加速スリップ状態検出手段で検出さ
れた駆動車輪の実際の加速スリップ状態により前記予測
加速スリップ制御手段による駆動力低減量の初期設定値
を修正する予測低減量修正手段と、を備えている構成と
したことで、走行路面の摩擦係数等に起因する加速不足
や加速スリップ抑制不足を生じさせることなしに、発進
加速時であっても加速初期段階におけるスリップを十分
に抑制することができるようになるという効果が得られ
る。
【0114】また、請求項2記載の車両用加速スリップ
制御装置では、スロットル弁開度を検出するスロットル
弁開度検出手段と、車両における駆動車輪の加速スリッ
プ発生を予測する加速スリップ発生予測手段と、該加速
スリップ発生予測手段で駆動車輪の加速スリップ発生が
予測された場合は加速スリップ発生を防止すべく前記ス
ロットル弁開度検出手段で検出されたスロットル弁開度
に応じた駆動力低減量の初期設定値を前記駆動力低減手
段に指示する予測加速スリップ制御手段と、を備えてい
る手段としたことで、加速不足や加速スリップ抑制不足
を生じさせることなしに、発進加速時であっても加速初
期段階におけるスリップを十分に抑制することができる
ようになるという効果が得られる。
【0115】また、請求項6記載の車両用加速スリップ
制御装置では、前記予測加速スリップ制御手段による予
測制御開始後所定時間経過後に駆動力低減量の初期設定
値を所定量ずつ減少させるようにしたことで、駆動力低
減量の初期設定値を大きめに設定しても加速不足状態の
発生を防止できるため、加速初期段階における過大スリ
ップ抑制効果を高めることができるようになる。
【0116】また、請求項7記載の車両用加速スリップ
制御装置では、前記駆動力低減量の初期設定値を減少さ
せる速度を、前記加速スリップ状態検出手段で検出され
た駆動車輪の実際の加速スリップ状態に応じて可変する
ようにしたことで、駆動輪速を目標駆動輪速により早く
収束させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用加速スリップ制御装置を示すク
レーム対応図である。
【図2】本発明第1実施例の車両用加速スリップ制御装
置を示す構成説明図である。
【図3】第1実施例装置における本制御ルーチンの制御
作動を示すフローチャートである。
【図4】第1実施例装置におけるF/F制御ルーチンの
制御作動を示すフローチャートである。
【図5】第1実施例装置におけるF/B制御ルーチンの
制御作動を示すタイムチャートである。
【図6】第1実施例装置における制御作動の一例を示す
タイミングチャートである。
【図7】第1実施例装置における制御作動のうち駆動力
低減量の修正態様を示すタイミングチャートである。
【図8】第1実施例装置におけるスロットル弁開度の値
に応じたカット気筒数の初期設定値を示すマップであ
る。
【図9】第2実施例装置における本制御ルーチンの制御
作動を示すフローチャートである。
【図10】第2実施例装置におけるF/F制御ルーチン
の制御作動を示すフローチャートである。
【図11】第2実施例装置におけるF/B制御ルーチン
の制御作動を示すタイムチャートである。
【図12】第2実施例装置における制御作動の一例を示
すタイミングチャートである。
【図13】第2実施例装置における制御作動のうち駆動
力低減量の修正態様を示すタイミングチャートである。
【図14】第2実施例装置におけるスロットル弁開度の
値に応じたカット気筒数の初期設定値を示すマップであ
る。
【図15】第3実施例装置におけるF/F制御ルーチン
の制御作動を示すフローチャートである。
【図16】第4実施例装置におけるF/F制御ルーチン
の制御作動を示すフローチャートである。
【符号の説明】
a 駆動車輪速度検出手段 b 従動車輪速度検出手段 c 加速スリップ状態検出手段 d 駆動力低減手段 e 加速スリップ制御手段 f 加速スリップ発生予測手段 g 予測加速スリップ制御手段 h 予測低減量修正手段

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動車輪の車輪速度を検出する駆動車輪
    速度検出手段と、 従動車輪の車輪速度を検出する従動車輪速度検出手段
    と、 前記駆動車輪速度検出手段で検出された駆動車輪の車輪
    速度と前記従動車輪速度検出手段で検出された従動車輪
    の車輪速度との比較から車両における駆動車輪の実際の
    加速スリップ状態を検出する加速スリップ状態検出手段
    と、 車両における駆動力の低減を行なう駆動力低減手段と、 前記加速スリップ状態検出手段で駆動車輪の実際の加速
    スリップ状態が検出されると加速スリップを抑制すべく
    前記駆動力低減手段に駆動力低減量を指示する加速スリ
    ップ制御手段と、 車両における駆動車輪の加速スリップ発生を予測する加
    速スリップ発生予測手段と、 該加速スリップ発生予測手段で駆動車輪の加速スリップ
    発生が予測された場合は加速スリップ発生を防止すべく
    前記駆動力低減手段に駆動力低減量の初期設定値を指示
    する予測制御を行なう予測加速スリップ制御手段と、 該予測加速スリップ制御手段による予測制御中において
    前記加速スリップ状態検出手段で検出された駆動車輪の
    実際の加速スリップ状態により前記予測加速スリップ制
    御手段による駆動力低減量の初期設定値を修正する予測
    低減量修正手段と、を備えていることを特徴とする車両
    用加速スリップ制御装置。
  2. 【請求項2】 スロットル弁開度を検出するスロットル
    弁開度検出手段を備え、前記予測加速スリップ制御手段
    における駆動力低減量の初期設定値を、スロットル弁開
    度検出手段で検出されたスロットル弁開度に応じて設定
    するようにしたことを特徴とする請求項1記載の車両用
    加速スリップ制御装置。
  3. 【請求項3】 前記予測低減量修正手段は前記予測加速
    スリップ制御手段による予測制御中において前記加速ス
    リップ状態検出手段で検出された駆動車輪の実際の加速
    スリップ状態により前記予測加速スリップ制御手段によ
    る駆動力低減量の初期設定値を修正することを特徴とす
    る請求項1記載の車両用加速スリップ制御装置。
  4. 【請求項4】 前記予測加速スリップ制御手段による予
    測制御開始後所定時間経過後に駆動力低減量の初期設定
    値を所定量ずつ減少させるようにしたことを特徴とする
    請求項1〜3のいずれかに記載の車両用加速スリップ制
    御装置。
  5. 【請求項5】 前記駆動力低減量の初期設定値を減少さ
    せる速度を、前記加速スリップ状態検出手段で検出され
    た駆動車輪の実際の加速スリップ状態に応じて可変する
    ようにしたことを特徴とする請求項4記載の車両用加速
    スリップ制御装置。
  6. 【請求項6】 前記加速スリップ発生予測手段が、スロ
    ットル弁開度検出手段およびスロットル弁開速度検出手
    段と、該スロットル弁開度検出手段およびスロットル弁
    開速度検出手段でそれぞれ検出されたスロットル弁開度
    およびスロットル弁開速度がそれぞれ所定のしきい値を
    越えている場合に加速スリップ発生を予測する予測判定
    手段とで構成されていることを特徴とする請求項1〜5
    のいずれかに記載の車両用加速スリップ制御装置。
  7. 【請求項7】 前記駆動力低減手段が、全部または一部
    の気筒に対する燃料をカットする燃料カット手段で構成
    されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに
    記載の車両用加速スリップ制御装置。
  8. 【請求項8】 前記駆動力低減手段が、エンジンの点火
    時期を遅らせる点火遅角手段で構成されていることを特
    徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の車両用加速ス
    リップ制御装置。
  9. 【請求項9】 前記駆動力低減手段が、駆動車輪の制動
    を行なう制動手段で構成されていることを特徴とする請
    求項1〜8のいずれかに記載の車両用加速スリップ制御
    装置。
  10. 【請求項10】 前記駆動力低減手段が、メインスロッ
    トル弁より下流側に設けられたサブスロットル弁の開度
    を低減することにより駆動力を低減するサブスロットル
    弁開度制御手段で構成されていることを特徴とする請求
    項1〜9のいずれかに記載の車両用加速スリップ制御装
    置。
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