JPH0959783A - 燃料タンク用表面処理鋼板 - Google Patents

燃料タンク用表面処理鋼板

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JPH0959783A
JPH0959783A JP32071495A JP32071495A JPH0959783A JP H0959783 A JPH0959783 A JP H0959783A JP 32071495 A JP32071495 A JP 32071495A JP 32071495 A JP32071495 A JP 32071495A JP H0959783 A JPH0959783 A JP H0959783A
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JP
Japan
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plating
corrosion resistance
chromate
content
steel sheet
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Pending
Application number
JP32071495A
Other languages
English (en)
Inventor
Eiji Kajiyama
栄二 梶山
Hiroyuki Nagai
弘行 長井
Yoshihiro Kawanishi
義博 川西
Hiroyuki Kashiwagi
宏之 柏木
Shinichi Tsuchiya
伸一 土屋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Zn−X合金めっき+クロメートからなる燃料
タンク用表面処理鋼板を提供する。 【解決手段】 めっき皮膜全体のX含有量Ni:9〜18wt
%、Co:0.02〜3wt%、Mn:25〜45wt%、またはCr:8
〜20wt%、めっき付着量5〜40 g/m2 、金属Cr換算付着
量10〜200 mg/m2 のクロメート皮膜を備え、少なくとも
タンク内面側に相当する前記Zn−Niめっき皮膜が、表
面のクラックの密度1mm×1mmの視野中で1000〜150,00
0 個、かつクラック最大幅0.5 μm以下、或いはES
CA表面分析によるX/ (X+Zn) 原子百分比(X2)がX1
≠X2 (ただしX1:めっき全体の平均値) 、かつNi:5〜
25at%、Co:0.009 〜10at%、Mn:15〜65at%、または
Cr:5〜25at%。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料タンク用材
料、特にガソリン、ガソホールなどの燃料に対して高い
耐食性を示す、自動車や二輪車の燃料タンクの製造に適
した表面処理鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車や二輪車などの燃料タンク用材料
には、溶接性ばかりでなく、外面側は一般の耐食性 (以
下、外面耐食性という) が、内面側はガソリンなどの燃
料に対する耐燃料腐食性が要求される。燃料タンク用材
料として、従来はターンシート(10〜25%Sn-Pb合金めっ
き鋼板) が広く使用されてきた。しかし、めっき皮膜
中のPbが人体に有害である、アルコール含有燃料を使
用した場合にアルコール酸化物にめっき皮膜が溶解され
易い、めっき皮膜のピンホールが不可避であって、め
っき皮膜より電気的に卑なFeがこのピンホールから優先
的に腐食される結果、耐孔あき腐食性が不十分になる、
といった問題点があり、代替材料が求められてきた。
【0003】特に、近年は環境問題を配慮した排ガス規
制により、ガソホールと呼ばれるガソリン/アルコール
混合燃料 (約15%のメタノールを含有するM15、約85重
量%のメタノールを含有するM85などがある) を代表例
とするアルコール含有燃料の使用が一部の国々で推進さ
れている。しかし、従来のターンシートは上述のように
アルコール含有燃料により腐食され易いため、アルコー
ル含有燃料に対する耐燃料腐食性に優れた燃料タンク用
材料の開発が急務となっている。
【0004】この観点から、耐食性とコストを考慮し
て、Zn−Ni合金電気めっき鋼板を燃料タンクに適用する
ことが従来より検討されてきた。従来技術としては次の
公報を挙げることができる。
【0005】特開昭58−45396 号公報には、Ni含有量5
〜50wt%、厚さ 0.5〜20μmのZn−Ni合金めっきの上に
クロメート処理を施した燃料タンク用の表面処理鋼板が
示されている。
【0006】特開平5−106058号公報には、Ni含有量8
〜20wt%のZn−Ni合金めっきを10〜60 g/m2 の付着量で
設けた上にクロメート処理を施した燃料タンク用の表面
処理鋼板が示されている。
【0007】これらの表面処理鋼板は、外面耐食性は非
常に良好であるが、耐燃料腐食性はまだ十分とは言え
ず、特にアルコール含有燃料に塩水が混入した場合など
の非常に厳しい環境下では腐食が起こり易かった。ま
た、これを改善するため、クロメート皮膜またはめっき
皮膜を厚くすると、燃料タンク用材料として重要な性能
である溶接性が劣化するという問題があった。
【0008】この他、特開昭62−27587 号公報に開示さ
れているように、Zn−Ni合金めっきの上にNiめっきを重
ねた二層めっき鋼板などについても検討が行われてきた
が、製造工程が増え、コスト高になるという問題があっ
た。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ここに、本発明の目的
は、このようなZn−Ni合金めっき+クロメートの表面処
理鋼板の従来技術の問題点を解消すべく、アルコール含
有燃料を含む燃料に対する耐燃料腐食性を、溶接性を損
なわず、かつコストを実質的に増大させずに改善できる
技術を開発することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる課
題を解決すべく種々検討を重ねた結果、酸性浴を用いた
連続Zn−X (X=Ni、Co、Mn、Cr等、以下Xと省略))合
金電気めっき工程の最終段階で通電を停止し、めっき液
中に短時間の浸漬を行うと、耐燃料腐食性が著しく改善
されることに気付いた。その原因を究明した結果、この
酸性めっき液中での浸漬により、Zn−X合金めっき層に
クラックが発生し、こうして発生しためっき表面のクラ
ック密度およびクラックの最大幅が特定の範囲である時
に、耐燃料腐食性が向上することを見出した。
【0011】また、その後の研究において、Zn−X合金
電気めっき鋼板を酸性めっき液中に浸漬すると、めっき
皮膜の最表面においてX含有量がめっき皮膜全体の平均
値より高くなりあるいは低くなり、この表層のX濃化
(またはZn濃化) も耐燃料腐食性、特にアルコール含有
燃料に対する耐燃料腐食性の向上に寄与していることが
判明し、表層におけるかかるZn−X合金めっき層の存在
によっても耐燃料腐食性を改善できることを見出した。
以上の知見に基づき本発明者らは次の第1および第2の
発明を完成した。
【0012】第1発明 めっき皮膜全体のX含有量Ni:9〜18wt%、Co:0.02〜3
wt%、Mn:25〜45%wt%、またはCr:8〜20%wt%、片
面当たりのめっき付着量5〜40g/m2の両面Zn−X (X=
Ni、Co、Mn、またはCr) 合金電気めっき鋼板の少なくと
もタンク内面側に相当するめっき皮膜面上に、金属Cr換
算付着量で10〜200 mg/m2 のクロメート皮膜を形成した
表面処理鋼板からなり、少なくともタンク内面側に相当
する該めっき皮膜が表面にクラックを有し、このクラッ
クの密度がめっき皮膜表面の1mm×1mmの視野中でのク
ラックに囲まれた領域の個数で表して1000〜150,000 個
の範囲であり、かつこのクラックの最大幅が0.5 μm以
下であることを特徴とする、燃料タンク用表面処理鋼
板。
【0013】第2発明 めっき皮膜全体のX含有量Ni:9〜18wt%、Co:0.02〜3
wt%、Mn:25〜45wt%、またはCr:8〜20wt%、片面当
たりのめっき付着量5〜40g/m2の両面Zn−X (X=Ni、
Co、Mn、またはCr) 合金電気めっき鋼板の少なくともタ
ンク内面側に相当するめっき皮膜面上に、金属Cr換算付
着量で10〜200 mg/m2 のクロメート皮膜を形成した表面
処理鋼板からなり、少なくともタンク内面側に相当する
前記Zn−Xめっき皮膜のESCAによる表面分析で求め
たX/(X+Zn) 原子百分比X2がX1≠X2 (ただし、X1:め
っき皮膜全体の平均値) であって、Ni:5〜25at%、Co:
0.009 〜10at%、Mn:15〜65at%、またはCr:5〜25at
%であることを特徴とする、燃料タンク用表面処理鋼
板。
【0014】
【発明の実施の形態】上記の第1および第2のいずれの
発明においても、使用するめっき鋼板は、めっき皮膜全
体のX含有量がNi:9〜18wt%、Co:0.02〜3wt%、Mn:
25〜45wt%、またはCr:8〜20wt%、片面当たりのめっ
き付着量が5〜40 g/m2 の両面Zn−X(X=Ni、Co、M
n、またはCr) 合金電気めっき鋼板である。
【0015】めっき皮膜全体のX含有量とは、Zn−X合
金電気めっき直後のX含有量ではなく、第1発明ではめ
っき表面のクラック発生後の、第2発明ではめっき表層
のX濃化処理後のめっき皮膜全体のX含有量の平均値を
意味する。このX含有量は、例えば塩酸によるめっき皮
膜溶解液の分析によるZnおよびXの定量で求めることが
できる。
【0016】このめっき全体のX含有量がそれぞれにつ
いて上述の範囲より低すぎる場合、外面耐食性および内
面の耐燃料腐食性とも十分でなく、一方X含有量がそれ
それの上述の範囲より高すぎると加工性および外面耐食
性が不十分となる。Niの場合、その含有量は、好ましく
は10〜14wt%、より好ましくは11〜13wt%である。
【0017】また、めっき付着量 (片面当たりの量、以
下同じ) が5g/m2より少ないと、内面と外面のいずれも
耐食性が不十分であり、一方40 g/m2 より多いと、実現
される性能が飽和して不経済である上、溶接性が劣化す
る。めっき付着量は好ましくは7〜30g/m2、より好まし
くは10〜25g/m2である。
【0018】上記の第1発明によれば、少なくともタン
ク内面側に相当するZn−X合金めっき皮膜表面に前述の
ように1000〜150,000 個/mm2の範囲の密度でクラックを
発生させ、その上にクロメート処理を施すと、耐燃料腐
食性が飛躍的に向上する。その理由は必ずしも明らかで
はないが、このようなクラック中にクロメートが入り込
むことにより、クロメート皮膜が強固に固定されるアン
カー効果と、クラックにより耐食性に優れたクロメート
皮膜が覆う表面積が大きくなること、また非クラック型
のZn−X合金めっき鋼板ではプレス加工時にめっき皮膜
にクラックが発生し、下地の鋼板が露出することにより
耐食性が劣化するのに対し、めっき皮膜に予めクラック
を発生させ、そのクラックをクロメート皮膜で覆うこと
により、プレス加工時に新たに発生するクラックが少な
く、全体として耐食性が向上すること、などが考えられ
る。
【0019】本発明では、クラックの密度は、めっき表
面の1mm×1mmの視野中でのクラックに囲まれた領域の
個数で表す。このクラック密度の測定は、サンプルのめ
っき表面の倍率1000倍のSEM (走査式電子顕微鏡) 写
真をランダムに30枚撮影し、各写真についてランダムに
設定した0.1 mm×0.1 mmの視野中にあるクラックに囲ま
れた領域の個数 (クラック個数) を画像解析により計数
することにより行う。30枚の写真で求めたこのクラック
個数の平均値を算出し、100 倍した値をクラック密度と
する。「クラックに囲まれた領域」とは、図1に模式的
に示すように、SEM写真において見られる、クラック
により島状に区画された領域のことである。
【0020】第1発明によれば、このようにして求めた
クラック密度が1000個以上、150000個以下となるように
Zn−X合金めっき皮膜表面にクラックを発生させること
により、ガソリンやガソホールによる腐食に対する耐食
性、つまり耐燃料腐食性が飛躍的に改善される。このク
ラック密度が150000個より大きくなると、クラックが多
すぎ、めっきの被覆率が小さくなりすぎて耐燃料腐食性
が劣化する。また、このクラック密度が1000個より少な
いと、耐燃料腐食性の改善効果がほとんど得られなくな
る。
【0021】また、クラックの最大幅は0.5 μm以下と
する。クラックの最大幅は、上記の30枚のSEM写真の
0.1 mm×0.1 mmの視野中に存在するクラックの中で最大
のクラック幅を測定することにより求めた値である。こ
のクラック最大幅が0.5 μmを超えると、めっき皮膜の
環境遮断効果が阻害され、外面耐食性および耐燃料腐食
性がともに劣化する。好ましくは、クラック密度が1000
〜50000 個であり、クラックの最大幅は0.4μm 以下で
ある。
【0022】Zn−X合金めっき皮膜の表面に上記のクラ
ックを発生させる方法は特に制限されず、めっき処理後
に曲げ戻しや引張などの塑性加工を行うことによる機械
的な方法も可能であるが、酸またはアルカリ水溶液によ
りエッチングすることによる化学的処理の方がクラック
密度の制御やクラックの均一性の面で優れているので好
ましい。
【0023】Zn−X合金電気めっきを酸性浴(例、硫酸
塩浴)で行う場合には、この酸性のめっき液をエッチン
グにも使用することができる。即ち、酸性浴中で鋼板に
通電してZn−X合金めっきを施す電気めっき処理におい
て、先に説明したように、めっきの最終段階で通電を停
止し、鋼板を無通電状態でめっき液に浸漬することによ
りめっき表面をエッチングし、クラックを発生させるこ
とができる。これにより、エッチング用に用意した別の
タンクや酸またはアルカリ水溶液を使用せず、従来のめ
っき装置とめっき液をそのまま使用して、めっき後のエ
ッチングを行い、必要なクラックをめっき表面に発生さ
せることができ、コストを抑え、工程数を増大させずに
効率よく、第1発明の表面処理鋼板が製造される。もち
ろん、めっき液の浸漬処理は、めっき浴の後に付設した
別の槽で実施することもできる。
【0024】上記の第2発明によれば、少なくともタン
ク内面側に相当するZn−Xめっき皮膜のESCAによる
表面分析で求めたX/(X+Zn) 原子百分比X2がX1≠X2
(ただしX1:めっき皮膜全体のXの平均値) であり、Ni:
5〜25at%、Co:0.009 〜10at%、Mn:15〜65at%、ま
たはCr:5〜25at%となるようにめっき表層のX含有量
を、めっき全体のX含有量に比べて高めた後、あるいは
少なくした後、その上にクロメート処理を施すことによ
り、第1の発明と同様に、耐燃料腐食性が飛躍的に向上
する。その理由は必ずしも明らかではないが、めっき皮
膜の最表層に腐食されにくいXが濃化することで、ある
いはZnが濃化することで、耐食性が向上するのではない
かと考えられる。
【0025】ESCAでは表面から光電子の脱出深度ま
での厚み(通常は表面から数nmまでの厚み)の表層部
が分析される。この方法で求めたX/ (X+Zn) 原子百
分比X2 が、それぞれのXについて上述の範囲より低い
場合、耐燃料腐食性の改善効果が十分ではなく、一方そ
れより高すぎる場合、めっき皮膜中の脱Znが進み過ぎ、
めっき皮膜に発生したクラックが大きくなりすぎるた
め、耐燃料腐食性がかえって劣化する。好ましくは、X
2 の百分比は、Ni: 5 〜21at%、Co:0.01〜4at%、M
n:15〜55at%、Cr:5〜24at%である。
【0026】Zn−X合金めっき皮膜の表層部のX含有量
を上記のように高めるあるいは減少させる方法として
は、Znを優先的に溶出できる酸またはアルカリ水溶液に
よりめっき皮膜をエッチングする方法が可能である。こ
の場合も、第1発明に関して説明したように、酸性めっ
き液をエッチングに利用し、電気めっき処理の最終段階
で通電を停止して、生成しためっき鋼板をめっき液中に
浸漬することによりエッチングを行うことが有利であ
る。
【0027】以上の説明からわかるように、第1発明と
第2発明の表面処理鋼板は、その好適態様によれば、い
ずれもZn−X合金めっき後にエッチング処理を行う (好
ましくは酸性めっき液中で) ことにより製造でき、その
際のめっき付着量やめっき皮膜全体のX含有量は共通で
ある。そして、第1発明ではめっき表面のクラック密度
とクラック最大幅という因子 (因子とする) を規定す
ることにより、第2発明ではめっき最表面のX含有量
(X濃化あるいはZn濃化の程度) という因子 (因子と
する) を規定することにより、めっき内面側の耐燃料腐
食性を確保する。本発明においては、これらとの因
子の一方が上記規定を満たせばよく、両方の因子を同時
に満足する必要はない。
【0028】両面Zn−X合金電気めっき鋼板のタンク内
面側に相当するめっき皮膜は、好ましくは上記のように
酸性めっき液中に浸漬することにより、第1発明に規定
するようにクラックを発生させるか、または第2発明に
規定するようにめっき最表面のX含有量を高める。タン
ク外面側のめっき皮膜も同様に処理して、内面側と同様
にクラックを発生させるか、またはめっき最表面のX含
有量を濃化させることが好ましい。それにより、タンク
内面の耐燃料腐食性の向上に加えて、タンク外面の耐食
性も著しく向上する。また、実際問題として、酸性めっ
き液などへの浸漬によるエッチング処理をめっき鋼板の
片面のみに行うには、シールなどの工程が必要となり操
作が煩雑となるので、両面に等しくエッチングを行う方
が製造工程上からも有利である。
【0029】上記第1発明または第2発明に規定するZn
−X合金めっき皮膜を形成した後、少なくとも未塗装で
使用されるタンク内面側にはクロメート処理を施して、
めっき皮膜の上にクロメート皮膜を形成する。ほとんど
の燃料タンクでは、外面側は塗装されるため、高耐食性
のZn−X合金めっき皮膜があるだけで十分な場合が多
い。しかし、その上をクロメート皮膜で被覆すれば、外
面耐食性も飛躍的に向上するので、外面側にもクロメー
ト処理を施してもよい。
【0030】本発明において少なくともタンク内面側の
めっき面上に形成するクロメート皮膜は、金属Cr換算の
付着量が10〜200 mg/m2 となるように形成する。この付
着量が10 mg/m2未満では、タンク内面に必要な耐食性が
十分に発揮されず、一方200mg/m2 を越えるとシーム溶
接性などの溶接性が劣化する。タンク内面側のクロメー
ト皮膜の好ましい付着量は金属Cr換算で50〜180 mg/m2
である。
【0031】このクロメート皮膜は塗布型、電解型、反
応型の何れでもよい。吸湿性のあるCr6+がクロメート皮
膜中に多く含まれると、燃料中の水分がクロメート皮膜
の表面に吸着して固定されるため、その箇所が部分的に
腐食されることがある。従って、クロメート皮膜中のCr
6+の割合はできるだけ少ない方が好ましく、その意味で
はCr6+量を全Cr量の5%以下とすることが望ましい。
【0032】本発明の別の好適態様にあっては、クロメ
ート皮膜の耐食性をさらに高めるため、皮膜中にシリカ
をSiO2/Cr重量比が 1.0〜10.0となる量だけ含有させ
る。この重量比が1.0 より小さいと、クロメート皮膜の
耐食性の向上効果が不十分であり、10.0を超えると、ク
ロメート液の安定性が劣化して操業に悪影響を及ぼすこ
とがあり、皮膜の加工性も劣化することがある。好まし
くは、このSiO2/Cr重量比は 1.5〜9.5 である。
【0033】本発明において使用するシリカ種に関して
は、吸水性の少ない乾式法シリカ (気相シリカまたはヒ
ュームドシリカ) の方が、湿式法シリカ (コロイダルシ
リカまたはシリカゾル) よりも良好である。クロメート
皮膜がシリカを含有する場合も、その金属Cr換算の付着
量は上記と同様でよい。
【0034】前述したように、未塗装のままのタンク内
面側に比べて、塗装が施される外面側はクロメート皮膜
による耐食性向上の重要度が低いので、クロメート皮膜
の付着量を内面側より少なくしても、十分な耐食性を確
保できる。このようなクロメート皮膜の差厚化は、クロ
メート処理が煩雑になる場合があるものの、シーム溶接
性は著しく向上する。これは、シーム溶接では溶着面が
タンク内面−内面、電極側がタンク外面−外面となって
いるため、電極側が薄クロメート皮膜であると電極のク
ロメート付着による汚れが少なくなり、溶着面が厚クロ
メート皮膜であると電気抵抗が大きくなり、接合性が増
すためである。溶接性の向上にとって望ましいタンク外
面側のクロメート皮膜の付着量は、金属Cr換算で10〜10
0 mg/m2、特に10〜50 mg/m2の範囲である。
【0035】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。実施例中の%は、特に指定のない限りwt%である。
【0036】実施例1 表面処理鋼板サンプルの作成 板厚0.8 mmのJIS SPCE相当の冷延鋼板に、下記条件にて
硫酸塩浴によるZn−X合金電気めっきを両面に施し、こ
のめっき浴をそのまま利用して、生成しためっき鋼板を
無通電で酸性のめっき液中に浸漬することにより両面の
めっき皮膜のエッチングを行い、Zn−X合金めっき皮膜
表面にクラックを導入した。クラック密度とクラック最
大幅は、めっき液への浸漬時間を変化させることにより
調整した。また、低クラック密度でクラック最大幅の大
きなZn−X合金めっき皮膜が必要な場合には、エッチン
グ後にめっき鋼板の二軸引張りを実施した。エッチング
処理しためっき皮膜表面のクラック密度とクラック最大
幅は、上述したようにSEM写真から求め、まためっき
皮膜全体のX含有量 (めっき層X含有量) もすでに述べ
た方法により測定した。
【0037】 〔Zn−X合金電気めっき条件〕 めっき浴組成: X (硫酸塩) 0.07 〜1.1 mol/L Zn (ZnSO4) 0.4 〜0.8 mol/L Na (Na2SO4) 1 mol/L pH 1.5〜2.0 (硫酸にて調整) めっき条件: 浴温 45 〜50℃ 電流密度 50 〜100 A/dm2 液流速 0.06 〜1.40 m/s 両面ともエッチング処理してめっき皮膜表面にクラック
を発生させたZn−X合金めっき鋼板の両面に、下記組成
の塗布型クロメート液をロールコーターで塗布し、150
〜300 ℃で焼付けてクロメート皮膜を形成し、第1発明
にかかる表面処理鋼板を作製した。なお、ロール塗布の
場合には、片面づつクロメート皮膜の付着量を制御でき
るので、シーム溶接性試験のサンプル作製においては、
内面側と外面側とでクロメート皮膜の付着量が異なるサ
ンプルも作製した。シリカとしては、平均一次粒子径が
7nmの乾式法シリカ (商品名アエロジル200)を用いた。
一部の試験では平均一次粒子径が10nmの湿式法シリカ
(商品名スノーテックスO)も使用した。
【0038】〔クロメート処理液の組成〕 Cr3+ 10〜50 g/L Cr6+ 10〜50 g/L SiO2 0〜170 g/L こうして作製した表面処理鋼板のガソリンおよびアルコ
ール含有燃料に対する耐燃料腐食性、外面耐食性、およ
び溶接性を下記の方法で試験した。試験結果は図2〜図
9にグラフとしてまとめて示す。
【0039】試験法 〔耐燃料腐食性〕表面処理鋼板のブランクを下記条件で
円筒絞り成形してカップを作製し、このカップの中に下
記組成のガソリンまたはガソホールの各試験液を30mlづ
つ注入し、容器を密閉して180 日目の内面の最大侵食深
さ(mm)により耐燃料腐食性を評価した。
【0040】円筒絞り成形条件 ブランク径: 100 mm ポンチ径 : 50 mm ポンチ肩 : 5R ダイス径 : 51 mm ダイス肩 : 5R BH圧 : 10 KN 張出し高さ: 30 mm 面粗さ :#1200研磨 (注) アグレッシブメタノール<aggressive methanol>
は、無水メタノール95%と、0.1%NaCl + 0.08%Na2SO4 +
10%蟻酸を含む水溶液5%との混合液。
【0041】〔外面耐食性〕表面処理鋼板のブランク
を、張出し高さを25 mm に変更した以外は上記の耐燃料
腐食性試験と同じ条件下で円筒絞り成形した後、エッジ
部をシールして、外面に対してJIS Z2371 に従ったSS
T (塩水噴霧試験) を1000時間行った。外面耐食性はS
ST1000時間後の最大侵食深さにより評価した。
【0042】〔溶接性〕下記条件で連続シーム溶接試験
を100 m行った後、溶接部の断面ミクロ観察を行い、下
記基準で評価した。 シーム溶接条件 加圧力 : 300 kgf 通電時間: 3 cycles 休止時間: 2 cycles 電流 : 13000 A (本発明のZn−X合金電気めっき鋼板の場合) 14500 A (比較例のターンシートの場合) 速度 : 2.5 m/min溶接性評価基準 ○:溶着良好 △:ブローホール存在 ×:未溶着部あり 第2図〜第9図に示した試験の内容と条件は次の通りで
ある。
【0043】第2図 耐燃料腐食性に及ぼすめっき付着量の影響を示すグラフ
である。試験条件 めっき層X含有量:Ni:13 %、Co:0.3 %、Mn:34%、
Cr:13% 表面クラック密度:4300±500(個/1mm平方)、ただ
し、Niの場合は、3500個/1mm平方 最大クラック幅:0.1 μm クロメート付着量:65±5 mg/m2 クロメート中SiO2/Cr:2.0 ±0.1(乾式法SiO2) 。
【0044】第3図(a) 〜(d) 耐燃料腐食性に及ぼすめっき皮膜全体のX含有量 (めっ
き層X含有量) の影響を示すグラフである。試験条件 めっき付着量:20±2g/m2 表面クラック密度:4300±500(個/1mm平方)、ただ
し、Niの場合は、3500個/1mm平方 最大クラック幅:0.1 μm クロメート付着量:65±5 mg/m2 クロメート中SiO2/Cr:2.0 ±0.1(式法SiO2) 。
【0045】第4図 耐燃料腐食性に及ぼすめっき皮膜表面のクラック密度の
影響を示すグラフである。試験条件 めっき付着量:20±2 g/m2 めっき層X含有量:Ni:13 %、Co:0.3 %、Mn:34%、
Cr:13% 最大クラック幅:0.1 μm クロメート付着量:60±5 mg/m2 クロメート中SiO2/Cr:2.0 ±0.1(乾式法SiO2) 。
【0046】第5図 耐燃料腐食性に及ぼすクロメート皮膜付着量の影響を示
すグラフである。試験条件 めっき付着量:20±2 g/m2 めっき層X含有量:Ni:13 %、Co:0.3 %、Mn:34%、
Cr:13% クラック密度:4300±500(個/1mm平方)、ただし、Ni
の場合は、3500個/1mm平方 最大クラック幅:0.1 μm (×以外) クロメート中SiO2/Cr:2.0 ±0.1(乾式法SiO2) 。
【0047】第6図 耐燃料腐食性に及ぼすクロメート皮膜中のシリカ含有量
(SiO2/Cr重量比) の影響を示すグラフである。試験条件 めっき付着量:20±2 g/m2 めっき層Ni含有量:Ni:13 %、Co:0.3 %、Mn:34%、
Cr:13% クラック密度:4300±500(個/1mm平方)、ただし、Ni
の場合は、3500個/1mm平方 最大クラック幅:0.1 μm クロメート付着量:65±5 mg/m2 シリカ種:乾式法 (×は湿式法) 。
【0048】第7図 外面耐食性に及ぼすめっき付着量の影響を示すグラフで
ある。試験条件 めっき層X含有量:Ni:13 %、Co:0.3 %、Mn:34%、
Cr:13% クラック密度:4300±500(個/1mm平方)、ただし、Ni
の場合は、3500個/1mm平方 最大クラック幅:0.1 μm クロメート付着量:65±5 mg/m2 クロメート中SiO2/Cr:2.0 ±0.1(乾式法SiO2) 。
【0049】第8図(a) 〜(d) 外面耐食性に及ぼすめっき層のX含有量の影響を示すグ
ラフである。試験条件 めっき付着量:19 g/m2 表面クラック密度:4300±500(個/1mm平方)、ただ
し、Niの場合は、3500個/1mm平方 最大クラック幅:0.1 μm クロメート付着量:65±5 mg/m2 クロメート中SiO2/Cr:2.0 ±0.1(乾式法SiO2) 。
【0050】第9図(a) 、(b) シーム溶接性に及ぼす内面側と外面側のクロメート付着
量の影響を示すグラフである。試験条件 X=Ni、Co めっき付着量:19 g/m2 めっき層X含有量:Ni:13 %、Co:0.3 % 表面クラック密度:4300±500(個/1mm平方)、ただ
し、Niの場合は、3500個/1mm平方 最大クラック幅:0.1 μm クロメート中SiO2/Cr:2.0 ±0.1(乾式法SiO2) 。
【0051】図2〜図8から、Zn−X合金めっき皮膜の
付着量が5〜40 g/m2 、めっき全体のX含有量がそれぞ
れNi:9〜18%、Co:0.02〜3%、Mn:25〜45%、Cr:8
〜20%の範囲内であると、外面側の耐食性が良好となる
(最大腐食深さ<0.1 mm) こと、および内面側の耐燃料
腐食性は、上記のめっき付着量とめっき層X含有量に加
えて、めっき表面のクラック密度とクラック最大幅が本
発明の範囲内であり、めっき上にクロメート皮膜を金属
Cr換算で10 mg/m2以上有している場合に良好となること
がわかる。
【0052】また、図9からは、燃料タンク内面側のク
ロメート皮膜を厚膜にし、タンク外面側のクロメート皮
膜を100 mg/m2 以下、特に50 mg/m2以下にするとシーム
溶接性が良好となることがわかる。
【0053】実施例2 表面処理鋼板サンプルの作成 板厚0.8 mmのJIS SPCE相当の冷延鋼板に、実施例1と同
じ条件にて硫酸塩浴によるZn−X合金電気めっきを両面
に施し、このめっき浴をそのまま利用して、生成しため
っき鋼板を無通電で酸性のめっき液中に浸漬することに
より両面のめっき皮膜のエッチングを行い、Zn−X合金
めっき皮膜の最表層のX含有量をめっき全体のX含有量
より増大させた。このめっき最表層のX含有量は、めっ
き液への浸漬時間を変化させることにより調整した。エ
ッチング後のめっき最表層のX含有量 [X/ (X+Zn)
原子百分比として表示] をESCAにより測定した。
【0054】両面ともエッチング処理したZn−X合金め
っき鋼板の各めっき面上に、実施例1と同様にして塗布
型クロメート液の塗布と焼付けによりクロメート皮膜を
形成し、第2発明にかかる表面処理鋼板を作製した。使
用したシリカは実施例1で使用したのと同じ乾式法シリ
カであり、クロメート皮膜の付着量の基本は、片面 (タ
ンク内面側に相当) を120 mg/m2 、他面 (タンク外面側
に相当) を50 mg/m2と差厚化した。
【0055】こうして作製した表面処理鋼板のガソリン
およびアルコール含有燃料に対する耐燃料腐食性と外面
耐食性を、実施例1と同様の試験法により評価した。但
し、耐燃料腐食性の試験に用いた燃料の試験液は下記組
成のガソリン (図中▲) 、ガソホールM15 (図中●) お
よびガソホールM85 (図中○) の3種類であり、各試験
液を30mlづつ試験に使用した。
【0056】 試験結果を図10〜図19にグラフとしてまとめて示す。各
図に示した試験の内容は次の通りである。耐燃料腐食性
に及ぼすめっき付着量の影響を示すグラフである。
【0057】第10図(a) 〜(d) 試験条件 めっき層X含有量:Ni:12 %、Co:0.3 %、Mn:34%、
Cr:13% めっき最表面X/(X+Zn) :Ni:6 at %、Co:0.4 at
%、Mn:50at%、Cr:17.5at% クロメート付着量:125 ±5 mg/m2 クロメート中SiO2/Cr:2.0 ±0.1(乾式法SiO2) 。
【0058】第11図(a) 〜(d) 耐燃料腐食性に及ぼすめっき皮膜全体のX含有量 (めっ
き層X含有量) の影響を示すグラフである。試験条件 めっき付着量:20±2 g/m2 めっき最表面X/(X+Zn) :Ni:6 at %、Co:0.4 at
%、Mn:50at%、Cr:17.5at% クロメート付着量:125 ±5 mg/m クロメート中SiO/Cr:2.0 ±0.1(乾式法SiO2) 。
【0059】第12図(a) 〜(d) 耐燃料腐食性に及ぼすめっき最表面のX含有量 [X/(X
+Zn) 原子百分比] の影響を示すグラフである。試験条件 めっき付着量:20±2 g/m2 めっき層X含有量:Ni:12 %、Co:0.3 %、Mn:34%、
Cr:13% クロメート付着量:125 ±5 mg/m2 クロメート中SiO2/Cr:2.0 ±0.1(乾式法SiO2) 。
【0060】第13図(a) 〜(d) 耐燃料腐食性に及ぼすクロメート皮膜付着量の影響を示
すグラフである。試験条件 めっき付着量:20±2 g/m2 めっき層X含有量:Ni:12 %、Co:0.3 %、Mn:34%、
Cr:13% めっき最表面X/(X+Zn) :Ni:6 at %、Co:0.4 at
%、Mn:50at%、Cr:17.5at% クロメート中SiO2/Cr:2.0 ±0.1(乾式法SiO2) 。
【0061】第14図(a) 〜(d) 耐燃料腐食性に及ぼすクロメート皮膜のシリカ含有量
(SiO2/Cr重量比) の影響を示すグラフである。試験条件 めっき付着量:20±2 g/m2 めっき層X含有量:Ni:12 %、Co:0.3 %、Mn:34%、
Cr:13% めっき最表面X/(X+Zn) :Ni:6 at %、Co:0.4 at
%、Mn:50at%、Cr:17.5at% クロメート付着量:125 ±5 mg/m2
【0062】第15図 外面耐食性に及ぼすめっき付着量の影響を示すグラフで
ある。試験条件 めっき層X含有量:Ni:12 %、Co:0.3 %、Mn:34%、
Cr:13% めっき最表面X/(X+Zn) :Ni:6 at %、Co:0.4 at
%、Mn:50at%、Cr:17.5at% クロメート付着量:50±5mg/m2 クロメート中SiO2/Cr:2.0 ±0.1(乾式法SiO2) 。
【0063】第16図(a) 〜(d) 外面耐食性に及ぼすめっき皮膜全体のX含有量 (めっき
層X含有量) のグラフである。試験条件 めっき付着量:20±2 g/m2 めっき最表面X/(X+Zn) :Ni:6 at %、Co:0.4 at
%、Mn:50at%、Cr:17.5at% クロメート付着量:50±5mg/m2 クロメート中SiO2/Cr:2.0 ±0.1(乾式法SiO2) 。
【0064】第17図(a) 〜(d) 外面耐食性に及ぼすめっき最表面のX含有量 [X/ (X
+Zn) 原子百分比] の影響を示すグラフである。試験条件 めっき付着量:20±2 g/m2 めっき層X含有量:Ni:12 %、Co:0.3 %、Mn:34%、
Cr:13% クロメート付着量:50±5 mg/m2 クロメート中SiO2/Cr:2.0 ±0.1(乾式法SiO2) 。
【0065】第18図 外面耐食性に及ぼすクロメート皮膜付着量の影響を示す
グラフである。試験条件 めっき付着量:20±2 g/m2 めっき層X含有量:Ni:12 %、0.3 %、Mn:34%、Cr:
13% めっき最表面X/(X+Zn) :Ni:6 at %、Co:0.4 at
%、Mn:50at%、Cr:17.5at% クロメート中SiO2/Cr:2.0 ±0.1(乾式法SiO2) 。
【0066】第19図 外面耐食性に及ぼすクロメート皮膜のシリカ含有量 (Si
O2/Cr重量比) の影響を示すグラフである。試験条件 めっき付着量:20±2 g/m2 めっき層X含有量:12±0.3 % めっき最表面X/(X+Zn) :Ni:6 at %、Co:0.4 at
%、Mn:50at%、Cr:17.5at% クロメート付着量:50±5 mg/m2
【0067】図10〜図19から、Zn−X合金めっき皮膜の
付着量が5〜40 g/m2 、めっき全体のX含有量がそれぞ
れNi:9〜18%、Co:0.02〜3%、Mn:25〜45%、Cr:8
〜20%の範囲内であると、外面側の耐食性が良好となる
(最大腐食深さ<0.4 mm、好ましくは<0.2 mm) こと、
および内面側の耐燃料腐食性は、上記のめっき付着量と
めっき層X含有量に加えて、めっき最表面のX含有量が
X/(X+Zn) 比でNi:5〜25at%、Co:0.009 〜10at%、
Mn:15〜65at%、Cr:5〜25at%の範囲であり、めっき
上にクロメート皮膜を金属Cr換算で10 g/m2 以上有して
いる場合に良好となることがわかる。また、このような
めっき最表面のX含有量およびクロメート皮膜付着量
は、外面耐食性の向上効果もあることがわかる。
【0068】実施例3 本例では実施例2を繰り返したが、比較のためにめっき
終了後エッチングを行なわなかった場合をも示す。X1
X2の臨界性が明らかである。耐燃料腐食性が向上する理
由は必ずしも明らかではないが、めっき皮膜の最表面に
腐食されにくいNi (またはZn) が濃化することで、耐食
性が向上するのではないかと考える。
【0069】
【表1】
【0070】
【発明の効果】本発明の燃料タンク用表面処理鋼板は、
ガソリンのみならず、ガソホールなどのアルコール含有
燃料に対しても高い耐燃料腐食性を示し、従来のZn−X
合金電気めっき装置をそのまま使用して効率よく安価に
製造でき、かつ人体に有害なPbを含有しないため安全性
にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】SEM写真に現れるZn−X合金めっき皮膜表面
のクラックを示す模式図である。
【図2】耐燃料腐食性に及ぼすめっき付着量の影響を示
すグラフである。
【図3】図3(a) 〜(d) は、耐燃料腐食性に及ぼすめっ
き皮膜全体のX含有量 (めっき層X含有量) の影響を示
すグラフである。
【図4】耐燃料腐食性に及ぼすめっき皮膜表面のクラッ
ク密度の影響を示すグラフである。
【図5】耐燃料腐食性に及ぼすクロメート皮膜付着量の
影響を示すグラフである。
【図6】耐燃料腐食性に及ぼすクロメート皮膜中のシリ
カ含有量 (SiO2/Cr重量比) の影響を示すグラフであ
る。
【図7】外面耐食性に及ぼすめっき付着量の影響を示す
グラフである。
【図8】図8(a) 〜(d) は、外面耐食性に及ぼすめっき
層のX含有量の影響を示すグラフである。
【図9】図9(a) 、(b) は、それぞれZn−X( X=Ni、
Co) の場合のシーム溶接性に及ぼす内面側と外面側のク
ロメート付着量の影響を示すグラフである。
【図10】図10(a) 〜(d) は、耐燃料腐食性に及ぼすめ
っき付着量の影響を示すグラフである。
【図11】図11(a) 〜(d) は、耐燃料腐食性に及ぼすめ
っき皮膜全体のX含有量 (めっき層X含有量) の影響を
示すグラフである。
【図12】図12(a) 〜(d) は、耐燃料腐食性に及ぼすめ
っき最表層のX含有量 [X/(X+Zn) 原子百分比] の影
響を示すグラフである。
【図13】図13(a) 〜(d) は、耐燃料腐食性に及ぼすク
ロメート皮膜付着量の影響を示すグラフである。
【図14】図14(a) 〜(d) は、耐燃料腐食性に及ぼすク
ロメート皮膜のシリカ含有量 (SiO2/Cr重量比) の影響
を示すグラフである。
【図15】外面耐食性に及ぼすめっき付着量の影響を示
すグラフである。
【図16】図16(a) 〜(d) は、外面耐食性に及ぼすめっ
き皮膜全体のX含有量 (めっき層X含有量) の影響を示
すグラフである。
【図17】図17(a) 〜(d) は、外面耐食性に及ぼすめっ
き最表層のNi含有量 [X/(X+Zn) 原子百分比] の影響
を示すグラフである。
【図18】外面耐食性に及ぼすクロメート皮膜付着量の
影響を示すグラフである。
【図19】外面耐食性に及ぼすクロメート皮膜のシリカ
含有量 (SiO2/Cr重量比) の影響を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柏木 宏之 茨城県鹿嶋市大字光3番地 住友金属工業 株式会社鹿島製鉄所内 (72)発明者 土屋 伸一 茨城県鹿嶋市大字光3番地 住友金属工業 株式会社鹿島製鉄所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 めっき皮膜全体の合金元素X (X=Ni、
    Co、Mn、またはCr等) の含有量がそれぞれNi:9〜18wt
    %、Co:0.02〜3wt%、Mn:25〜45wt%、またはCr:8
    〜20wt%、片面当たりのめっき付着量が5〜40 g/m2
    両面Zn−X (X=Ni、Co、Mn、またはCr) 合金電気めっ
    き鋼板の少なくともタンク内面側に相当するめっき皮膜
    面上に、金属Cr換算付着量で10〜200 mg/m2 のクロメー
    ト皮膜を形成した表面処理鋼板からなり、少なくともタ
    ンク内面側に相当する該めっき皮膜が表面にクラックを
    有し、このクラックの密度がめっき皮膜表面の1mm×1
    mmの視野中でのクラックに囲まれた領域の個数で表して
    1000〜150,000 個の範囲であり、かつこのクラックの最
    大幅が0.5 μm以下であることを特徴とする、燃料タン
    ク用表面処理鋼板。
  2. 【請求項2】 めっき皮膜全体の合金元素X (X=Ni、
    Co、Mn、またはCr等) の含有量がそれぞれNi:9〜18wt
    %、Co:0.02〜3wt%、Mn:25〜45wt%、またはCr:8
    〜20wt%、片面当たりのめっき付着量が5〜40 g/m2
    両面Zn−X (X=Ni、Co、Mn、またはCr) 合金電気めっ
    き鋼板の少なくともタンク内面側に相当するめっき皮膜
    面上に、金属Cr換算付着量で10〜200 mg/m2 のクロメー
    ト皮膜を形成した表面処理鋼板からなり、少なくともタ
    ンク内面側に相当する該めっき皮膜のESCAによる表
    面分析で求めたX/ (X+Zn) 原子百分比(X2)がX1≠X2
    (ただしX1:めっき皮膜全体の平均値) であって、Ni:
    5〜25at%、Co:0.009〜10at%、Mn:15〜65at%、ま
    たはCr:5〜25at%であることを特徴とする、燃料タン
    ク用表面処理鋼板。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6387538B1 (en) 1998-12-01 2002-05-14 Pohang Iron & Steel Co., Ltd. Surface-treated steel sheet for fuel tanks and method of fabricating same
JP2011021279A (ja) * 2004-03-10 2011-02-03 Jfe Steel Corp 燃料タンク用鋼板およびその製造方法

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6387538B1 (en) 1998-12-01 2002-05-14 Pohang Iron & Steel Co., Ltd. Surface-treated steel sheet for fuel tanks and method of fabricating same
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