JPH08225991A - 自動車ボディー用アルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents

自動車ボディー用アルミニウム合金板およびその製造方法

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JPH08225991A
JPH08225991A JP3357995A JP3357995A JPH08225991A JP H08225991 A JPH08225991 A JP H08225991A JP 3357995 A JP3357995 A JP 3357995A JP 3357995 A JP3357995 A JP 3357995A JP H08225991 A JPH08225991 A JP H08225991A
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aluminum
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俊夫 谷
Motohiro Nanbae
元広 難波江
Masaaki Kurihara
正明 栗原
Naoki Nishiyama
直樹 西山
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JFE Steel Corp
Furukawa Electric Co Ltd
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Furukawa Electric Co Ltd
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、プレス成形性に優れ、化成処理液中
にアルミニウム合金成分が溶出せず、しかも塗装性、耐
食性に優れた自動車ボディー用アルミニウム合金板およ
びその製造方法を提供することを目的とする。 【構成】アルミニウムもしくはアルミニウム合金からな
る基板と、前記基板上に形成された厚さ150nmを超え
500nm以下のバリア型陽極酸化皮膜とを具備すること
を特徴としている。また、アルミニウムもしくはアルミ
ニウム合金からなる基板をpHが4.5〜9.5である
電解液中に浸漬して陽極酸化することにより、前記基板
上に厚さ50nmを超え500nm以下のバリア型陽極酸化
皮膜を形成することを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車ボディー用アル
ミニウムまたはアルミニウム合金板(以下、アルミニウ
ム合金板と省略する)およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車の燃費向上のためにボディ
ーの軽量化や高性能化が望まれており、そのために鉄鋼
材からアルミニウム材もしくはアルミニウム合金材への
代替が行われている。自動車ボディー材においても、最
近の高性能アルミニウム合金板の開発と相まって鋼板か
らアルミニウム合金板への代替が進み、鋼板とアルミニ
ウム合金板を併用するようになってきている。
【0003】一般に、自動車ボディーの製造において
は、プレス成形、部品接合、組み付けを順次行ってホワ
イトボディーを作製し、これに脱脂、化成処理を施し、
その後焼き付け塗装が行われる。自動車ボディー材とし
てアルミニウム合金板を用いる場合、アルミニウム合金
板は鋼板に比べてプレス成形性が非常に劣るために自動
車ボディーの製造において問題となる。
【0004】また、現状では、自動車ボディー材は鋼板
が主体でありアルミニウム合金板が一部であるので、そ
の製造工程では、鋼板とアルミニウム合金板が同じ処理
ラインで処理される。このため、化成処理工程におい
て、アルミニウム合金板からAlイオン等が化成処理液
中に溶出して鋼板の化成処理、特にリン酸亜鉛処理に悪
影響を与えるという問題がある。
【0005】この問題を解決するために、特開昭61−
96074号公報には、アルミニウム合金板にクロメー
ト処理を施すことが開示され、特開昭61−15769
3号公報および特開昭63−166964号公報には、
アルミニウム合金板にZnメッキ、Zn系合金メッキ、
Fe系合金メッキを施すことが開示されている。これに
より、化成処理時におけるAlイオン等の溶出の防止ま
たは塗装後の耐食性向上を図っている。
【0006】また、特開平4−13894号公報には、
アルカリ性水溶液中での交流電解により得られる多孔質
型の酸化皮膜を有するアルミニウム合金材が開示されて
いる。このアルミニウム合金材は、リン酸亜鉛等の処理
液中へのアルミニウムの溶出を防止する効果があり、加
工時における酸化皮膜のクラックや剥離が起こらないの
で、塗膜密着性および耐糸錆性も良好である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、クロメ
ート処理を施したアルミニウム合金板は、化成処理の際
のリン酸亜鉛液中へのAlイオンの溶出を防止するが、
新たにCrイオンが溶出するという問題がある。また、
クロメート処理を施したアルミニウム合金板は、プレス
成形性に劣るという欠点がある。
【0008】また、Zn系またはFe系メッキを施した
アルミニウム合金板は、化成処理の際のリン酸亜鉛液中
へのAlイオンの溶出を防止し、並びに鋼板のリン酸亜
鉛処理性を確保するが、クロメート処理材と同様にプレ
ス成形性に劣るという欠点がある。
【0009】また、多孔質型の酸化皮膜を有するアルミ
ニウム合金材においては、酸化皮膜が多孔質であり、し
かも封孔されていないので、処理液が孔内に侵入して酸
化皮膜と処理液が接する面積が大きくなる。このため、
アルミニウム合金板からのアルミニウムの溶出は防止で
きても、酸化皮膜からのアルミニウムの溶出を防止する
ことはできない。
【0010】このように、従来の自動車ボディー用アル
ミニウム合金板において、プレス成形性、アルミニウム
合金成分の耐溶出性、塗装性、および耐食性がすべて優
れているアルミニウム合金板は存在していない。
【0011】本発明はかかる点に鑑みてなされたもので
あり、プレス成形性に優れ、化成処理液中にアルミニウ
ム合金成分が溶出せず、しかも塗装性、耐食性に優れた
自動車ボディー用アルミニウム合金板を提供することを
目的とする。
【0012】また、本発明は、上記自動車ボディー用ア
ルミニウム合金板を効率よく得ることができる自動車ボ
ディー用アルミニウム合金板の製造方法を提供すること
を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、アルミニ
ウム合金板の表面にバリア型陽極酸化皮膜を形成して、
その潤滑性能を向上させることにより、アルミニウム合
金板では得られない成形能が達成されることを見出だし
本発明をするに至った。
【0014】すなわち、本発明の第1の発明は、アルミ
ニウムもしくはアルミニウム合金からなる基板と、前記
基板上に形成された厚さ150nmを超え500nm以下の
バリア型陽極酸化皮膜とを具備することを特徴とする自
動車ボディー用プレコートアルミニウム合金板を提供す
る。
【0015】また、本発明の第2の発明は、アルミニウ
ムもしくはアルミニウム合金からなる基板をpHが4.
5〜9.5である電解液中に浸漬して陽極酸化すること
により、前記基板上に厚さ150を超え500nm以下の
バリア型陽極酸化皮膜を形成することを特徴とする自動
車ボディー用プレコートアルミニウム合金板の製造方法
を提供する。
【0016】
【作用】アルミニウムまたはアルミニウム合金を電解液
中で陽極として電解したときに表面に陽極酸化皮膜が生
成することはよく知られており、この陽極酸化皮膜は、
主に耐食性皮膜や誘電体皮膜として利用されている。
【0017】一般に、陽極酸化皮膜には、酸性またはア
ルカリ性溶液中での電解により形成される多孔質型皮膜
と、中性領域の溶液中での電解により形成されるバリア
型陽極酸化皮膜とがある。多孔質型皮膜は、図1(A)
に示すように、アルミニウム基板10上に形成された通
常数nm程度ないしはそれ以下の厚さの層状の皮膜(バリ
ア層11)上に多数の細孔(ポア12)を有する皮膜1
3が形成された構造を有しており、バリア型陽極酸化皮
膜は、アルミニウム基板10上に単一の層状構造の皮膜
14が形成されてなるものである。
【0018】まず、2つの皮膜のプレス成形性について
説明する。多孔質型皮膜を表面に有するアルミニウム合
金板は、無処理のアルミニウム合金板よりもプレス成形
性が優れる。しかしながら、多孔質型皮膜は、前述のよ
うに皮膜内に多数の細孔を有するために、成形加工時に
細孔から亀裂が入りやすく、その結果単一の層状構造の
バリア型陽極酸化皮膜に比して皮膜の追従性が悪く成形
性能に劣ると考えられる。一方、バリア型陽極酸化皮膜
を表面に有するアルミニウム合金板は、厚さが薄くても
無処理アルミニウム合金板に比べ成形性能が高いことが
判った。
【0019】次に、この2つの皮膜の化成処理性ついて
説明する。多孔質型皮膜では、そのポア12底部の膜厚
が通常数nm以下で薄いためにの皮膜を溶解する速度が速
く、化成処理中にアルミニウム合金板からAlイオン等
の合金成分の溶出が始まってしまう。また、多孔質型皮
膜は、皮膜の表面積が大きいので化成処理液との接触面
積が大きく、皮膜溶解によるAl溶出量が多くなり、ア
ルミニウム合金板のリン酸亜鉛処理性等の化成処理性を
阻害する。
【0020】一方、バリア型陽極酸化皮膜は、化成処理
の際にアルミニウム合金板からAlイオン等の合金成分
が溶出することを防止する作用がある。バリア型陽極酸
化皮膜は、層状の単一の皮膜であり、しかもアルミニウ
ム合金板を均一に平坦に覆っているため、皮膜自体の液
中への溶出性が低い。このため、膜厚をある厚さ以上に
することにより、アルミニウム合金板からのAlイオン
等の合金成分の溶出を防止することができる。すなわ
ち、バリア型陽極酸化皮膜の膜厚を150nmを超えるよ
うにすることにより、アルミニウム合金板からのAlイ
オンの溶出を、さらに5000系や6000系のアルミ
ニウム合金の場合には、多量に含有するMgイオンの溶
出をも防止することができる。ただし、この場合にも皮
膜溶解による若干のAlイオンの溶出は免れないが、無
処理のアルミニウム合金板に比べれば問題ないレベルで
ある。なお、多孔質型皮膜において封孔処理を施すこと
により合金成分の溶出を防止することができるが、皮膜
が水和化されて成形性能が低下する上に、処理工程が増
加するので好ましくない。
【0021】次いで、2つの皮膜の塗装性について説明
する。塗装性という場合には、電着塗装性および塗装後
の鮮映性を考慮する必要がある。バリア型陽極酸化皮膜
は、元来不動態化皮膜で高耐食性を有するので、バリア
型陽極酸化皮膜を有するアルミニウム合金板は塗装後の
耐食性が向上する。特に、アルミニウム材において問題
とされる塗膜下糸錆腐蝕の発生に対しては、無処理のア
ルミニウム合金板に比べ著しく抑制される。バリア型陽
極酸化皮膜の膜厚を500nm以下にすることにより、無
処理アルミニウム合金板と同等以上の性能を維持するこ
とができ、しかも表面の均一性により電着塗装性および
塗装後の鮮映性が共に良好となる。一方、多孔質型皮膜
においては、封孔処理を実施することにより耐食性が向
上するが、処理工程が増加するので好ましくない。
【0022】上述した事項より、本発明ではバリア型陽
極酸化皮膜の膜厚を150nmを超え500nm以下に設定
する。これは、膜厚が150nm以下であると、自動車ボ
ディー用として充分なプレス成形性を維持できず、薄す
ぎて下地のアルミニウムを充分に覆うことができないた
めに化成処理液中への合金成分の溶出を防止することが
できず、膜厚が500nmを超えると電着塗装性および塗
装後の鮮映性を確保できないからである。したがって、
バリア型陽極酸化皮膜の厚さを150nmを超え500nm
以下に設定することにより、プレス成形性に優れ、化成
処理液中にアルミニウム合金成分が溶出せず、しかも塗
装性、耐食性に優れた自動車ボディー用アルミニウム合
金板を得ることができる。
【0023】バリア型陽極酸化皮膜は耐食性は良好であ
るが、長期間空気中に放置されると吸湿により変質する
恐れがある。この吸湿による皮膜の変質を防止するため
に、バリア型陽極酸化皮膜上に防錆油を塗布したり、防
錆紙を配置してもよい。しかしながら、自動車ボディー
材は塗装されるので、良好な化成処理性および塗膜密着
性を保持するために脱脂が容易であることが必要があ
る。このため、防錆油を塗布する場合には、その粘度が
2〜25 cStであるものを使用することが好ましい。こ
れは、粘度が2 cSt未満では流動性が高く、アルミニウ
ム合金板表面から流出し易くなり、防錆上および取扱上
から好ましくなく、粘度が25 cStを超えると脱脂が困
難となり、抵抗スポット溶接性が悪くなるからである。
また、防錆油の塗布量は、0.1〜3.0 g/m2 である
ことが好ましい。これは、塗布量が0.1 g/m2 未満で
は防錆機能が発揮されず、3.0 g/m2 を超えて塗布し
ても防錆機能は向上せず、経済性、取扱上および脱脂の
観点からも好ましくないからである。なお、防錆紙の場
合には、溶接時にアルミニウム合金板から剥離すれば良
く、このような脱脂の問題はない。
【0024】本発明の第2の発明において、アルミニウ
ム合金板上にバリア型陽極酸化皮膜を形成する場合、中
性領域の電解液中においてアルミニウム合金板を陽極と
して電解する。その電解方法や前処理方法について特に
制限されない。
【0025】ここで、中性領域の電解液とは、pHが
4.5〜9.5の範囲、さらに好ましくはpHが5.0
〜8.0の水溶液、非水溶液をいう。これは、この範囲
外のpHを有する電解液を使用すると、生成した陽極酸
化皮膜の再溶解による細孔(ポア)が発生し、後述する
多孔質型陽極酸化皮膜の抵抗スポット溶接上の問題が起
こるからである。
【0026】このような中性領域の電解液としては、例
えば、ホウ酸−ホウ酸ナトリウム系、ホウ酸−アンモニ
ア系、酒石酸アンモニウム、酒石酸−アンモニア系、酒
石酸−酒石酸ナトリウム系、およびリン酸系アンモニウ
ムの水溶液、酒石酸−エチルアルコール系の非水溶液、
並びに各種緩衝液を用いることができる。
【0027】
【実施例】以下、本発明の実施例を具体的に説明する。 実施例1 供試材用アルミニウム合金素板として、JIS A 5
182−O材(Al−4.0〜5.0Mg)からなり、
板厚1.0mmであるアルミニウム合金板を用い、下記表
1および表2に示す各種電解液においてアルミニウム合
金素板を陽極として直流電解酸化することにより、アル
ミニウム合金素板に下記表1および表2に示す種類およ
び厚さの陽極酸化皮膜を形成した。また、陽極酸化皮膜
を形成しない、エッチング処理を施したアルミニウム合
金素板と、圧延上がりのアルミニウム合金素板を比較と
して用いた。なお、圧延上がりのものを除いてアルミニ
ウム合金素板に前処理を施した。この前処理としては、
溶剤脱脂、エッチング、水洗、スマット除去、水洗を順
次行った。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】上記のようにして得られた供試材用アルミ
ニウム合金素板(本発明例No. 1〜9、比較例No. 10
〜16、従来例No. 17,18)について、プレス成形
性、化成処理性、および塗装性を調べた。その結果を下
記表3および表4に示す。
【0031】なお、各特性は次のようにして評価した。
プレス成形性は、供試材用アルミニウム合金素板を外径
95mmφに切り出し、その表面に1 g/m2 で洗浄防錆油
を塗布し、これをポンチ径50mmφ、ダイス内径52.
5mmφおよびしわ押さえ力3000 kgfの条件で円筒深
絞り加工を行い、破断するまでの絞り成形高さにより評
価した。
【0032】化成処理性は、供試材用アルミニウム合金
素板を通常の化成前処理(脱脂→水洗→表面調整)した
後に、43℃のリン酸亜鉛処理液PB-L3020(日本パ
ーカリジング社製、商品名)中に3分間浸漬し、これを
原子吸光で成分含有量の多いAlイオンおよびMgイオ
ンについて測定し、供試材の浸漬単位面積当りの溶出量
を算出して評価した。
【0033】塗装性は、供試材用アルミニウム合金素板
に塗料U-1000(日本ペイント社製、商品名)を用いて厚
さ20μmで電着塗装した後、さらに市販の塗料を用い
て厚さ30μmで中塗り、厚さ40μmで上塗りを行
い、総合塗膜としての塗装性を外観にて評価し、塗装む
らのないものを○、若干塗装むらが認められるものを
△、かなり塗装むらが目立つものを×とした。
【0034】また、供試材用アルミニウム合金素板を7
0mm×150mmの寸法に切り出し、上記の化成処理→電
着塗装→中塗り→上塗りを行い、塗膜上にクロスカット
を入れ、JISZ2371に準拠した方法により塗装後
の耐食性を調べた。すなわち、塗装後のサンプルに塩水
噴霧試験を24時間実施した後、40℃、75%RHの
湿潤雰囲気にて500時間放置するサイクル試験を連続
3サイクル行い、クロスカット部から発生した糸錆腐食
の最大長さを測定した。糸錆長さが1mm未満のものを
○、1〜5mmのものを△、5mmを超えるものを×とし
た。また、表3には上記評価を総合して総合評価を示し
た。
【0035】
【表3】
【0036】表3から明らかなように、本発明のアルミ
ニウム合金板(No. 1〜9)は、プレス成形性、化成処
理性、および塗装性がすべて優れたものであった。これ
に対して、本発明の範囲よりも薄いバリア型陽極酸化皮
膜を形成したもの(No. 10,11)は、化成処理時に
合金成分であるAlやMgの溶出量が多く、本発明の範
囲よりも厚いバリア型陽極酸化皮膜を形成したもの(N
o. 12)は、塗装後の外観が悪かった。本発明の範囲
外のpHを有する電解液を用いて形成した未封孔の多孔
質型の陽極酸化皮膜を形成したもの(No. 13,15)
は化成処理時のAlおよびMgの溶出量が多く、糸錆の
発生が認められた。また、本発明の範囲外のpHを有す
る電解液を用いて形成した封孔した多孔質型の陽極酸化
皮膜を形成したもの(No. 14,16)は未封孔のもの
に比べて化成処理性は向上しているが、塗装性が悪かっ
た。また、従来のエッチング処理および圧延上がりのも
の(No. 17,18)は、プレス成形性、化成処理性、
および塗装性すべてが悪かった。
【0037】なお、前処理として溶剤脱脂のみを行った
自然酸化皮膜が形成されたアルミニウム合金素板上へも
バリア型陽極酸化皮膜は充分形成されるので、前処理と
して必ずしも脱脂、エッチングを行う必要はない。 実施例2 実施例1におけるNo. 1のアルミニウム合金板(厚さ2
00nmのバリア型陽極酸化皮膜を形成したもの)につい
て、陽極酸化皮膜の経時変化とプレス成形性を評価し
た。すなわち、No. 1のアルミニウム合金板上に下記表
5に示すような種々の粘度および塗布量の防錆油を塗
布、または両面に防錆紙を配置し(No. 19〜26)、
これらを1ヶ月間空調のない室内に放置した後、実施例
1と同様にして円筒深絞り加工に供した。また、比較例
として、多孔質型陽極酸化皮膜を形成したアルミニウム
合金板(No. 15)および多孔質型陽極酸化皮膜を形成
し、封孔処理を施したアルミニウム合金板(No. 16)
も円筒深絞り加工に供した。
【0038】また、1ヶ月放置したこれらのアルミニウ
ム合金板を脱脂処理した後、水濡れ外観を観察すること
により脱脂性を評価した。なお、水濡れ外観は、濡れ面
積80%以上の場合を○、濡れ面積80%未満の場合を
×とした。脱脂処理は、脱脂液としてサーフクリーナー
SD250(日本ペイント株式会社製、商品名)を用
い、42℃×3分浸漬することにより行った。これらの
結果を下記表5に併記した。
【0039】
【表4】
【0040】表4から明らかなように、防錆処理をする
ことにより、アルミニウム合金板を長期間放置しておい
ても、その表面に形成した陽極酸化皮膜の経時変化が防
止されている。これにより、安定したプレス成形性が得
られることが分った。一方、未封孔の多孔質型陽極酸化
皮膜を1月放置すると白錆が発生した。また、封孔した
多孔質型陽極酸化皮膜を1月放置すると耐食性は維持さ
れるが、プレス成形性が低下した。
【0041】
【発明の効果】以上説明した如く本発明の自動車ボディ
ー用アルミニウム合金板は、アルミニウムもしくはアル
ミニウム合金からなる基板と、前記基板上に形成された
厚さ150nmを超え500nm以下のバリア型陽極酸化皮
膜とを具備するので、プレス成形性に優れ、化成処理液
中にアルミニウム合金成分が溶出せず、しかも塗装性、
耐食性に優れたものである。また、適切な防錆処理を施
すことにより、経時変化による皮膜の性能低下を防止す
ることができる。
【0042】また、本発明の自動車ボディー用アルミニ
ウム合金板の製造方法は、アルミニウムもしくはアルミ
ニウム合金からなる基板をpHが4.5〜9.5である
電解液中に浸漬して陽極酸化するので、取扱いが容易で
危険性が無く、しかも処理による液の持ち出しも少な
い。さらに、形成するバリア型陽極酸化皮膜は薄くてよ
いので、最大電解電圧を小さくすることができ、コイル
による連続処理が可能となり工業上大変有利なものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は多孔質型陽極酸化皮膜の構造を示す断
面図、(B)はバリア型陽極酸化皮膜の構造を示す断面
図。
【符号の説明】
10…アルミニウム基板、11…バリア層、12…ポ
ア、13…皮膜、14…層状構造の皮膜。
フロントページの続き (72)発明者 難波江 元広 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内 (72)発明者 栗原 正明 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内 (72)発明者 西山 直樹 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウムもしくはアルミニウム合金
    からなる基板と、前記基板上に形成された厚さ150nm
    を超え500nm以下のバリア型陽極酸化皮膜とを具備す
    ることを特徴とする自動車ボディー用アルミニウム合金
    板。
  2. 【請求項2】 アルミニウムもしくはアルミニウム合金
    からなる基板をpHが4.5〜9.5である電解液中に
    浸漬して陽極酸化することにより、前記基板上に厚さ1
    50nmを超え500nm以下のバリア型陽極酸化皮膜を形
    成することを特徴とする自動車ボディー用アルミニウム
    合金板の製造方法。
JP3357995A 1995-02-22 1995-02-22 自動車ボディー用アルミニウム合金板およびその製造方法 Pending JPH08225991A (ja)

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