JPH09324279A - 加工後耐食性に優れた表面処理鋼板 - Google Patents
加工後耐食性に優れた表面処理鋼板Info
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- JPH09324279A JPH09324279A JP14450496A JP14450496A JPH09324279A JP H09324279 A JPH09324279 A JP H09324279A JP 14450496 A JP14450496 A JP 14450496A JP 14450496 A JP14450496 A JP 14450496A JP H09324279 A JPH09324279 A JP H09324279A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 アルコール含有燃料に対する加工後の耐燃料
腐食性を、溶接性を損なわずに増大できる材料を開発す
る。 【解決手段】 Ni70wt%以上の第1層とZn−X合金( X
=Ni、Co、Mn、Crの1種または2種以上) の第2層との
合金電気めっき皮膜の上にクロメート皮膜を形成した表
面処理鋼板からなり、Zn−X合金めっき皮膜のクラック
の密度が1000〜150000個/mm2、クラックの最大幅0.5 μ
m以下のものが90%以上、クラックの深さがめっき厚み
の80%以上のものが80%以上である。
腐食性を、溶接性を損なわずに増大できる材料を開発す
る。 【解決手段】 Ni70wt%以上の第1層とZn−X合金( X
=Ni、Co、Mn、Crの1種または2種以上) の第2層との
合金電気めっき皮膜の上にクロメート皮膜を形成した表
面処理鋼板からなり、Zn−X合金めっき皮膜のクラック
の密度が1000〜150000個/mm2、クラックの最大幅0.5 μ
m以下のものが90%以上、クラックの深さがめっき厚み
の80%以上のものが80%以上である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加工後耐食性に優
れた表面処理鋼板、特にガソリン、ガソホールなどの燃
料に対して高い耐食性を示す、自動車や二輪車の燃料タ
ンク、さらにはストーブ、ボイラー等の灯油タンク、非
常に厳しい加工性と加工後の高耐食性が要求されるオイ
ルフィルター等の用途に適した表面処理鋼板に関する。
れた表面処理鋼板、特にガソリン、ガソホールなどの燃
料に対して高い耐食性を示す、自動車や二輪車の燃料タ
ンク、さらにはストーブ、ボイラー等の灯油タンク、非
常に厳しい加工性と加工後の高耐食性が要求されるオイ
ルフィルター等の用途に適した表面処理鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車や二輪車などの燃料タンク用材料
には、溶接性ばかりでなく、外面側は一般の耐食性( 以
下、外面耐食性という) が、内面側はガソリンなどの燃
料に対する耐燃料腐食性が要求される。これらを総称し
て耐食性、または加工後耐食性という。燃料タンク用材
料として、従来はターンシート(10〜25%Sn−Pb合金め
っき鋼板)が広く使用されてきた。しかし、めっき皮
膜中のPbが人体に有害である、アルコール含有燃料を
使用した場合にアルコール酸化物にめっき皮膜が溶解さ
れ易い、めっき皮膜のピンホールが不可避であって、
めっき皮膜より電気的に卑なFeがこのピンホールから優
先的に腐食される結果、耐孔あき腐食性が不十分にな
る、といった問題点があり、代替材料が求められてき
た。
には、溶接性ばかりでなく、外面側は一般の耐食性( 以
下、外面耐食性という) が、内面側はガソリンなどの燃
料に対する耐燃料腐食性が要求される。これらを総称し
て耐食性、または加工後耐食性という。燃料タンク用材
料として、従来はターンシート(10〜25%Sn−Pb合金め
っき鋼板)が広く使用されてきた。しかし、めっき皮
膜中のPbが人体に有害である、アルコール含有燃料を
使用した場合にアルコール酸化物にめっき皮膜が溶解さ
れ易い、めっき皮膜のピンホールが不可避であって、
めっき皮膜より電気的に卑なFeがこのピンホールから優
先的に腐食される結果、耐孔あき腐食性が不十分にな
る、といった問題点があり、代替材料が求められてき
た。
【0003】特に、近年は環境問題を配慮した排ガス規
制により、ガソホールと呼ばれるガソリン/アルコール
混合燃料(約15%のメタノールを含有するM15 、約85重
量%のメタノールを含有するM85 などがある) を代表例
とするアルコール含有燃料の使用が一部の国々で推進さ
れている。しかし、従来のターンシートは上述のような
アルコール含有燃料により腐食され易いため、アルコー
ル含有燃料に対する耐燃料腐食性に優れた燃料タンク用
材料の開発が急務となっている。
制により、ガソホールと呼ばれるガソリン/アルコール
混合燃料(約15%のメタノールを含有するM15 、約85重
量%のメタノールを含有するM85 などがある) を代表例
とするアルコール含有燃料の使用が一部の国々で推進さ
れている。しかし、従来のターンシートは上述のような
アルコール含有燃料により腐食され易いため、アルコー
ル含有燃料に対する耐燃料腐食性に優れた燃料タンク用
材料の開発が急務となっている。
【0004】この観点から、加工後の耐食性とコストを
考慮して、Zn−Ni合金電気めっき鋼板を燃料タンクに適
用することが従来より検討されてきた。従来技術として
は次の公報を挙げることができる。
考慮して、Zn−Ni合金電気めっき鋼板を燃料タンクに適
用することが従来より検討されてきた。従来技術として
は次の公報を挙げることができる。
【0005】特開昭58−45396 号公報には、Ni含有量5
〜50wt%、厚さ0.5 〜20μmのZn−Ni合金電気めっきの
上にクロメート処理を施した燃料タンク用の表面処理鋼
板が示されている。
〜50wt%、厚さ0.5 〜20μmのZn−Ni合金電気めっきの
上にクロメート処理を施した燃料タンク用の表面処理鋼
板が示されている。
【0006】特開平5−106058号公報には、Ni含有量8
〜20wt%のZn−Ni合金めっきを10〜60g/m2の付着量で設
けた上にクロメート処理を施した燃料タンク用の表面処
理鋼板が示されている。
〜20wt%のZn−Ni合金めっきを10〜60g/m2の付着量で設
けた上にクロメート処理を施した燃料タンク用の表面処
理鋼板が示されている。
【0007】これらの表面処理鋼板は、外面耐食性は非
常に良好であるが、耐燃料腐食性、特に加工後の耐燃料
腐食性はまだ十分とは言えず、例えばアルコール含有燃
料に塩水が混入した場合などの非常に厳しい環境下では
腐食が起こり易かった。また、これを改善するため、ク
ロメート皮膜またはめっき皮膜を厚くすると、燃料タン
ク用材料として重要な性能である溶接性が劣化するとい
う問題があった。
常に良好であるが、耐燃料腐食性、特に加工後の耐燃料
腐食性はまだ十分とは言えず、例えばアルコール含有燃
料に塩水が混入した場合などの非常に厳しい環境下では
腐食が起こり易かった。また、これを改善するため、ク
ロメート皮膜またはめっき皮膜を厚くすると、燃料タン
ク用材料として重要な性能である溶接性が劣化するとい
う問題があった。
【0008】序いでながら、めっき層にクラックを設け
る技術は特開平5−25679 号公報、および特開平4−33
7099号公報に開示されているが、これらはクラックを設
けた下地めっき層のうえにさらにめっき層を設けそのア
ンカー効果により上層めっき層の密着性を改善しようと
するものである。これは自動車の外板に用いたときの耐
衝撃密着性を改善しようとするものである。
る技術は特開平5−25679 号公報、および特開平4−33
7099号公報に開示されているが、これらはクラックを設
けた下地めっき層のうえにさらにめっき層を設けそのア
ンカー効果により上層めっき層の密着性を改善しようと
するものである。これは自動車の外板に用いたときの耐
衝撃密着性を改善しようとするものである。
【0009】さらに特開昭62−297490号公報にはNi合金
めっき層にクラックを設けることが開示されているが、
これにより表面に微細凹凸模様を形成し黒色化を実現す
るためのものである。
めっき層にクラックを設けることが開示されているが、
これにより表面に微細凹凸模様を形成し黒色化を実現す
るためのものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ここに、本発明の目的
は、このようなZn−Ni合金めっき+クロメートの表面処
理鋼板の従来技術の問題点を解消すべく、アルコール含
有燃料を含む燃料に対する加工後の耐燃料腐食性を、溶
接性を損なわずに改善できる技術を開発することであ
る。
は、このようなZn−Ni合金めっき+クロメートの表面処
理鋼板の従来技術の問題点を解消すべく、アルコール含
有燃料を含む燃料に対する加工後の耐燃料腐食性を、溶
接性を損なわずに改善できる技術を開発することであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる課
題を解決すべく種々検討を重ねた結果、酸性浴を用いた
連続Zn−X(X=Ni, Co, Mn, Crのうち1種又は2種以
上。以下Xという)合金電気めっき工程の最終段階で通
電を停止し、めっき液中に短時間の浸漬を行い、その上
にクロメート処理を行うと、加工後の耐食性、特に、耐
燃料腐食性が著しく改善されることに気が付いた。その
原因を究明した結果、この酸性めっき液中での浸漬によ
り、Zn−X合金めっき層にクラックが発生し、こうして
発生しためっき皮膜表面のクラック密度、クラックの最
大幅、クラックの深さが特定の範囲内にある時に、加工
後の耐燃料腐食性が著しく向上することを見出した。こ
れに加え、この鋼板の母材に予めプレめっきあるいはプ
レNi合金めっきを施しておくことにより、母材まで達し
てしまっていた、クラックをプレめっき上までで抑える
ことが可能になり、より一層の加工後の耐燃料腐食性が
向上することを見出し、本発明を完成した。
題を解決すべく種々検討を重ねた結果、酸性浴を用いた
連続Zn−X(X=Ni, Co, Mn, Crのうち1種又は2種以
上。以下Xという)合金電気めっき工程の最終段階で通
電を停止し、めっき液中に短時間の浸漬を行い、その上
にクロメート処理を行うと、加工後の耐食性、特に、耐
燃料腐食性が著しく改善されることに気が付いた。その
原因を究明した結果、この酸性めっき液中での浸漬によ
り、Zn−X合金めっき層にクラックが発生し、こうして
発生しためっき皮膜表面のクラック密度、クラックの最
大幅、クラックの深さが特定の範囲内にある時に、加工
後の耐燃料腐食性が著しく向上することを見出した。こ
れに加え、この鋼板の母材に予めプレめっきあるいはプ
レNi合金めっきを施しておくことにより、母材まで達し
てしまっていた、クラックをプレめっき上までで抑える
ことが可能になり、より一層の加工後の耐燃料腐食性が
向上することを見出し、本発明を完成した。
【0012】ここに、本発明は、めっき皮膜の第1層と
して、片面のめっき付着量が0.001〜5g/m2 の70wt%以
上のNiを含有するめっき層を有し、第2層として、合金
元素Xが、Ni:3〜18wt%、Co:0.02〜3wt%、Mn:25
〜45wt%、Cr:8〜20wt%から成る群から選んだ少なく
とも1種を含み、片面当たりのめっき付着量が5 〜50g/
m2であるZn−X合金めっき皮膜を有し、さらにこのZn−
X合金めっき皮膜のうえに金属Cr換算付着量で10〜200m
g/m2のクロメート皮膜を設けた表面処理鋼板からなり、
クロメート皮膜の下層のZn−X合金めっき皮膜がクラッ
クを有し、このクラックの密度がめっき表面の1mm ×1m
m の視野中でのクラックに囲まれた領域の個数で表して
1000〜150000個の範囲であり、かつこのクラックの最大
幅0.5 μm以下のものが90%以上存在するとともにこの
クラックの深さはめっき厚みの80%以上のものが80%以
上存在していることを特徴とする、加工後の耐食性に優
れた表面処理鋼板である。
して、片面のめっき付着量が0.001〜5g/m2 の70wt%以
上のNiを含有するめっき層を有し、第2層として、合金
元素Xが、Ni:3〜18wt%、Co:0.02〜3wt%、Mn:25
〜45wt%、Cr:8〜20wt%から成る群から選んだ少なく
とも1種を含み、片面当たりのめっき付着量が5 〜50g/
m2であるZn−X合金めっき皮膜を有し、さらにこのZn−
X合金めっき皮膜のうえに金属Cr換算付着量で10〜200m
g/m2のクロメート皮膜を設けた表面処理鋼板からなり、
クロメート皮膜の下層のZn−X合金めっき皮膜がクラッ
クを有し、このクラックの密度がめっき表面の1mm ×1m
m の視野中でのクラックに囲まれた領域の個数で表して
1000〜150000個の範囲であり、かつこのクラックの最大
幅0.5 μm以下のものが90%以上存在するとともにこの
クラックの深さはめっき厚みの80%以上のものが80%以
上存在していることを特徴とする、加工後の耐食性に優
れた表面処理鋼板である。
【0013】
【発明の実施の形態】添付図面の図1は、本発明にかか
る表面処理鋼板のめっき皮膜の断面構成を示す略式説明
図であり、図中、鋼板1の上にはNi系のプレメッキ皮膜
9を介してZn−X合金めっき皮膜2が、そしてその上に
はクロメート皮膜3が設けられており、めっき皮膜2に
はクラック4が設けられている。
る表面処理鋼板のめっき皮膜の断面構成を示す略式説明
図であり、図中、鋼板1の上にはNi系のプレメッキ皮膜
9を介してZn−X合金めっき皮膜2が、そしてその上に
はクロメート皮膜3が設けられており、めっき皮膜2に
はクラック4が設けられている。
【0014】本発明によれば、めっき皮膜の第1層(プ
レめっき)は、70wt%以上のNiを含有し、片面のめっき
付着量が0.001 〜5g/m2 である。このプレめっき皮膜を
設ける目的は、第2層のめっきに生成させるクラックが
母材まで達することなく、第1層(プレめっき)の直上
までで食い止め、本発明の主目的である加工後の耐食性
をより一層向上させることである。
レめっき)は、70wt%以上のNiを含有し、片面のめっき
付着量が0.001 〜5g/m2 である。このプレめっき皮膜を
設ける目的は、第2層のめっきに生成させるクラックが
母材まで達することなく、第1層(プレめっき)の直上
までで食い止め、本発明の主目的である加工後の耐食性
をより一層向上させることである。
【0015】NiはFeよりも貴な金属であるため、酸化さ
れにくく、微量の付着量のめっきでFeの表面の酸化を防
止する作用がある。従って、クラックを生じさせる第2
層のプレめっきとして使用することは有効である。この
プレめっきを施すことにより、第2層のめっき皮膜に生
成するクラックが直接母材にまで達することがなくな
り、母材周辺のFe素地はNiにより保護されるため、加工
後の耐食性が飛躍的に向上する。
れにくく、微量の付着量のめっきでFeの表面の酸化を防
止する作用がある。従って、クラックを生じさせる第2
層のプレめっきとして使用することは有効である。この
プレめっきを施すことにより、第2層のめっき皮膜に生
成するクラックが直接母材にまで達することがなくな
り、母材周辺のFe素地はNiにより保護されるため、加工
後の耐食性が飛躍的に向上する。
【0016】この第1層のめっきを施す手法としては、
電気めっきもしくは置換めっき( 無通電浸漬めっき) が
付着量の観点から好ましいが、Ni含有液もしくは固体(
ペースト状) を塗布する等の方法でも良い。組成が、Ni
の含有量を70wt%以上含有していれば、残りの30wt%の
組成は特に規定されない。例えば、Fe、CoといったFe族
の金属元素、Zn、Cr、Mn、Cu、Al等の遷移、非遷移の金
属元素でも構わないし、P、S等のNiとアモルファスを
形成し、電析もしくは置換析出をする元素でも良い。ま
た、C、H、O、N、P、S、その他の元素を有する有
機物、酸化物を含んでも良い。
電気めっきもしくは置換めっき( 無通電浸漬めっき) が
付着量の観点から好ましいが、Ni含有液もしくは固体(
ペースト状) を塗布する等の方法でも良い。組成が、Ni
の含有量を70wt%以上含有していれば、残りの30wt%の
組成は特に規定されない。例えば、Fe、CoといったFe族
の金属元素、Zn、Cr、Mn、Cu、Al等の遷移、非遷移の金
属元素でも構わないし、P、S等のNiとアモルファスを
形成し、電析もしくは置換析出をする元素でも良い。ま
た、C、H、O、N、P、S、その他の元素を有する有
機物、酸化物を含んでも良い。
【0017】また、プレめっきの効果を十分に生じせし
めるためには、第1層 (プレめっき) 中のNi含有率が70
wt%以上であり、第1層のめっき付着量が0.001 〜5 g/
m2以上であるようにする。Ni含有率が70wt%未満ではNi
の持つ優れた酸化抵抗性が得られにくい。付着量は片面
の第1層( プレめっき) の合計量として、0.001g/m2未
満では第2層の加工後耐食性向上効果が得られず、また
5g/m2超では硬くてもろいNi合金めっきの特性ゆえ、加
工性の低下が生じ、また、製造のコストも増加するため
好ましくない。好ましくは付着量は0.005 〜0.1g/m2 で
ある。
めるためには、第1層 (プレめっき) 中のNi含有率が70
wt%以上であり、第1層のめっき付着量が0.001 〜5 g/
m2以上であるようにする。Ni含有率が70wt%未満ではNi
の持つ優れた酸化抵抗性が得られにくい。付着量は片面
の第1層( プレめっき) の合計量として、0.001g/m2未
満では第2層の加工後耐食性向上効果が得られず、また
5g/m2超では硬くてもろいNi合金めっきの特性ゆえ、加
工性の低下が生じ、また、製造のコストも増加するため
好ましくない。好ましくは付着量は0.005 〜0.1g/m2 で
ある。
【0018】第2層は、Zn−X合金めっき皮膜から成
り、その合金組成は、Xが、Ni:3〜18wt%、Co:0.02
〜3wt%、Mn:25〜45wt%、Cr:8〜20wt%から成る群
から選んだ少なくとも1種を含む。ただし、Xが2種以
上の合金元素を包含する場合、好ましくは、2番目以降
の元素は、1番目の元素と同様に、Ni:3〜18wt%、C
o:0.02〜3wt%、Mn:25〜45wt%、Cr:8〜20wt%か
ら成る群から選んでもよく、あるいは2番目以降の元素
をNi、Co、Mn、Crの中から選んでその合計量を5%以下
に制限してもよい。
り、その合金組成は、Xが、Ni:3〜18wt%、Co:0.02
〜3wt%、Mn:25〜45wt%、Cr:8〜20wt%から成る群
から選んだ少なくとも1種を含む。ただし、Xが2種以
上の合金元素を包含する場合、好ましくは、2番目以降
の元素は、1番目の元素と同様に、Ni:3〜18wt%、C
o:0.02〜3wt%、Mn:25〜45wt%、Cr:8〜20wt%か
ら成る群から選んでもよく、あるいは2番目以降の元素
をNi、Co、Mn、Crの中から選んでその合計量を5%以下
に制限してもよい。
【0019】めっき皮膜のX含有量とは、Zn−X合金電
気めっき直後のX含有量ではなく、めっき皮膜のクラッ
ク発生後のX含有量の平均値を意味する。本明細書では
これを単にX含有量という。
気めっき直後のX含有量ではなく、めっき皮膜のクラッ
ク発生後のX含有量の平均値を意味する。本明細書では
これを単にX含有量という。
【0020】このめっき皮膜全体のX含有量は、Xが単
独で添加される場合、それぞれについて上述の範囲より
低すぎる場合、加工後の外面耐食性および耐燃料腐食性
ともに十分でなく、一方X含有量はXが2種以上添加さ
れる場合も含めて、それぞれ上述の範囲より高すぎると
加工性または外面耐食性が不十分となる。
独で添加される場合、それぞれについて上述の範囲より
低すぎる場合、加工後の外面耐食性および耐燃料腐食性
ともに十分でなく、一方X含有量はXが2種以上添加さ
れる場合も含めて、それぞれ上述の範囲より高すぎると
加工性または外面耐食性が不十分となる。
【0021】特に合計5%以下加えられる2番目以降の
元素は外面耐食性のさらなる改良のために添加され、そ
の合計量が5%を越えると加工性の劣化がわずかにみら
れる。Ni単独の場合、その含有量は、好ましくは3〜14
%または9〜18%、より好ましくは10〜14%、さらに好
ましくは11〜13%である。
元素は外面耐食性のさらなる改良のために添加され、そ
の合計量が5%を越えると加工性の劣化がわずかにみら
れる。Ni単独の場合、その含有量は、好ましくは3〜14
%または9〜18%、より好ましくは10〜14%、さらに好
ましくは11〜13%である。
【0022】また、めっき付着量 (片面当たりの量、以
下同じ) が5g/m2より少ないと、加工後の耐食性が不十
分であり、一方50g/m2より多いと、実現される性能が飽
和して不経済である上、溶接性が劣化する。めっき付着
量は好ましくは7〜30g/m2、より好ましくは10〜25g/m2
である。
下同じ) が5g/m2より少ないと、加工後の耐食性が不十
分であり、一方50g/m2より多いと、実現される性能が飽
和して不経済である上、溶接性が劣化する。めっき付着
量は好ましくは7〜30g/m2、より好ましくは10〜25g/m2
である。
【0023】本発明によれば、Zn−X合金めっき皮膜に
前述のように1000〜150,000 個/mm2 の範囲の密度でク
ラックを発生させ、その上にクロメート処理を施すと、
加工後の耐燃料腐食性が飛躍的に向上する。その理由は
必ずしも明らかではないが、このようなクラック中にク
ロメートが入り込むことにより、クロメート皮膜が強固
に固定されるアンカー効果と、クラックを耐食性に優れ
たクロメート皮膜が覆う表面積が大きくなること、また
非クラック型のZn−X合金めっき鋼板ではプレス加工時
にめっき皮膜にクラックが発生し、下地の鋼板が露出す
ることにより耐食性が劣化するのに対し、めっき皮膜に
予めクラックを発生させ、そのクラックをクロメート皮
膜で覆うことにより、プレス加工時に新たに発生するク
ラックが少なく、全体として耐食性が向上すること、な
どが考えられる。
前述のように1000〜150,000 個/mm2 の範囲の密度でク
ラックを発生させ、その上にクロメート処理を施すと、
加工後の耐燃料腐食性が飛躍的に向上する。その理由は
必ずしも明らかではないが、このようなクラック中にク
ロメートが入り込むことにより、クロメート皮膜が強固
に固定されるアンカー効果と、クラックを耐食性に優れ
たクロメート皮膜が覆う表面積が大きくなること、また
非クラック型のZn−X合金めっき鋼板ではプレス加工時
にめっき皮膜にクラックが発生し、下地の鋼板が露出す
ることにより耐食性が劣化するのに対し、めっき皮膜に
予めクラックを発生させ、そのクラックをクロメート皮
膜で覆うことにより、プレス加工時に新たに発生するク
ラックが少なく、全体として耐食性が向上すること、な
どが考えられる。
【0024】本発明では、クラックの密度は、めっき皮
膜表面の1mm×1mmの視野中でのクラックに囲まれた領
域の個数で表す。このクラック密度の測定は、サンプル
のめっき皮膜表面の倍率1000倍のSEM(走査式電子顕微
鏡) 写真をランダムに30枚撮影し、各写真についてラン
ダムに設定した0.1 mm×0.1 mmの視野中にあるクラック
に囲まれた領域の個数 (クラック個数) を画像解析によ
り計数することにより行う。30枚の写真で求めたこのク
ラック個数の平均値を算出し、100 倍した値をクラック
密度とする。「クラックに囲まれた領域」とは、図2に
模式的に示すように、SEM 写真において見られる、クラ
ック4により島状に区画された領域のことである。
膜表面の1mm×1mmの視野中でのクラックに囲まれた領
域の個数で表す。このクラック密度の測定は、サンプル
のめっき皮膜表面の倍率1000倍のSEM(走査式電子顕微
鏡) 写真をランダムに30枚撮影し、各写真についてラン
ダムに設定した0.1 mm×0.1 mmの視野中にあるクラック
に囲まれた領域の個数 (クラック個数) を画像解析によ
り計数することにより行う。30枚の写真で求めたこのク
ラック個数の平均値を算出し、100 倍した値をクラック
密度とする。「クラックに囲まれた領域」とは、図2に
模式的に示すように、SEM 写真において見られる、クラ
ック4により島状に区画された領域のことである。
【0025】本発明によれば、このようにして求めたク
ラック密度が1000個以上、150,000個以下となるようにZ
n−X合金めっき皮膜表面にクラックを発生させること
により、例えば、ガソリンやガソホールによる腐食に対
する耐食性、つまり加工後の耐燃料腐食性が飛躍的に改
善される。このクラック密度が150,000 個より大きくな
ると、クラックが多すぎ、めっきの被覆率が小さくなり
すぎて加工後の耐燃料腐食性が劣化する。また、このク
ラック密度が1000個より少ないと、加工後の耐燃料腐食
性の改善効果が劣化する。好ましくは、クラック密度が
1000〜50,000個である。
ラック密度が1000個以上、150,000個以下となるようにZ
n−X合金めっき皮膜表面にクラックを発生させること
により、例えば、ガソリンやガソホールによる腐食に対
する耐食性、つまり加工後の耐燃料腐食性が飛躍的に改
善される。このクラック密度が150,000 個より大きくな
ると、クラックが多すぎ、めっきの被覆率が小さくなり
すぎて加工後の耐燃料腐食性が劣化する。また、このク
ラック密度が1000個より少ないと、加工後の耐燃料腐食
性の改善効果が劣化する。好ましくは、クラック密度が
1000〜50,000個である。
【0026】また、クラックの最大幅は0.5 μm以下の
ものが90%以上存在することとする。クラックの最大幅
は、上記の30枚のSEM 写真の0.1 mm×0.1 mmの視野中に
存在するクラックの中で最大のクラック幅を測定するこ
とにより求めた値である。すなわち、各写真について1
個ずつの視野を選び各視野の最大幅をもってその領域の
最大幅とし、これが0.5 μm以下のものの割合を決定す
るのである。このクラック最大幅が0.5 μm以下のもの
が90%以上という範囲を外れると、めっき皮膜の環境遮
断効果が阻害され、加工後の耐食性および耐燃料腐食性
がともに劣化する。好ましくは、クラックの最大幅0.4
μm以下のものが90%以上存在することである。
ものが90%以上存在することとする。クラックの最大幅
は、上記の30枚のSEM 写真の0.1 mm×0.1 mmの視野中に
存在するクラックの中で最大のクラック幅を測定するこ
とにより求めた値である。すなわち、各写真について1
個ずつの視野を選び各視野の最大幅をもってその領域の
最大幅とし、これが0.5 μm以下のものの割合を決定す
るのである。このクラック最大幅が0.5 μm以下のもの
が90%以上という範囲を外れると、めっき皮膜の環境遮
断効果が阻害され、加工後の耐食性および耐燃料腐食性
がともに劣化する。好ましくは、クラックの最大幅0.4
μm以下のものが90%以上存在することである。
【0027】クラックの深さは、長さ1mmの範囲で断面
の倍率2000倍のSEM 写真を撮影し、この範囲のクラック
の深さを測定し、これとめっき厚みとを比較したもので
ある。めっき厚みの80%以上の深さのクラックが、この
視野のクラック全体の数の80%以上存在することとす
る。この範囲で加工後の外面耐食性および耐燃料腐食性
が優れている。クラックの深さがめっき厚みの80%未満
というように浅かったり、めっき厚みの80%以上のクラ
ックの割合が80%未満と少ないと、加工した際に、新た
にクラックが生じ、加工後の外面耐食性および耐燃料腐
食性が損なわれる。
の倍率2000倍のSEM 写真を撮影し、この範囲のクラック
の深さを測定し、これとめっき厚みとを比較したもので
ある。めっき厚みの80%以上の深さのクラックが、この
視野のクラック全体の数の80%以上存在することとす
る。この範囲で加工後の外面耐食性および耐燃料腐食性
が優れている。クラックの深さがめっき厚みの80%未満
というように浅かったり、めっき厚みの80%以上のクラ
ックの割合が80%未満と少ないと、加工した際に、新た
にクラックが生じ、加工後の外面耐食性および耐燃料腐
食性が損なわれる。
【0028】好ましくは、クラック密度が1000〜50,000
個であり、クラックの最大幅0.4 μm以下のものが、90
%以上存在し、クラックの深さもめっき厚みの90%以上
のものが、総クラック数の95%以上存在することであ
る。
個であり、クラックの最大幅0.4 μm以下のものが、90
%以上存在し、クラックの深さもめっき厚みの90%以上
のものが、総クラック数の95%以上存在することであ
る。
【0029】Zn−X合金めっき皮膜の表面に上記のクラ
ックを発生させる方法は特に制限されず、めっき処理後
に曲げ戻しや引張などの塑性加工を行うことによる機械
的な方法も可能であるが、酸またはアルカリ水溶液によ
りエッチングすることによる化学的処理の方がクラック
密度の制御やクラックの均一性の面で優れているので好
ましい。クラック密度等を上述のような範囲に制御する
には例えば、浸漬条件、特に時間を調整すればよい。
ックを発生させる方法は特に制限されず、めっき処理後
に曲げ戻しや引張などの塑性加工を行うことによる機械
的な方法も可能であるが、酸またはアルカリ水溶液によ
りエッチングすることによる化学的処理の方がクラック
密度の制御やクラックの均一性の面で優れているので好
ましい。クラック密度等を上述のような範囲に制御する
には例えば、浸漬条件、特に時間を調整すればよい。
【0030】Zn−X合金電気めっきを酸性浴 (例、硫酸
塩浴) で行う場合には、この酸性のめっき液をエッチン
グにも使用することができる。すなわち、酸性浴中で鋼
板に通電してZn−X合金めっきを施す電気めっき処理に
おいて、先に説明したように、めっきの最終段階で通電
を停止し、鋼板を無通電状態でめっき液に浸漬すること
によりめっき表面をエッチングし、クラックを発生させ
ることができる。これにより、エッチング用に用意した
別の処理槽や酸またはアルカリ水溶液を使用せず、従来
のめっき装置とめっき液をそのまま使用して、めっき後
のエッチングを行い、必要なクラックをめっき表面に発
生させることができ、コストを抑え、工程数を増大させ
ずに効率よく、本発明の表面処理鋼板が製造される。も
ちろん、めっき液の浸漬処理は、めっき浴とは別に付設
した浸漬槽で実施することもできる。
塩浴) で行う場合には、この酸性のめっき液をエッチン
グにも使用することができる。すなわち、酸性浴中で鋼
板に通電してZn−X合金めっきを施す電気めっき処理に
おいて、先に説明したように、めっきの最終段階で通電
を停止し、鋼板を無通電状態でめっき液に浸漬すること
によりめっき表面をエッチングし、クラックを発生させ
ることができる。これにより、エッチング用に用意した
別の処理槽や酸またはアルカリ水溶液を使用せず、従来
のめっき装置とめっき液をそのまま使用して、めっき後
のエッチングを行い、必要なクラックをめっき表面に発
生させることができ、コストを抑え、工程数を増大させ
ずに効率よく、本発明の表面処理鋼板が製造される。も
ちろん、めっき液の浸漬処理は、めっき浴とは別に付設
した浸漬槽で実施することもできる。
【0031】本発明にかかる表面処理めっき鋼板を例え
ば、燃料タンクの材料として使用する場合、タンク内面
側に相当するめっき皮膜は、好ましくは上記のように酸
性めっき液中に浸漬することにより本発明に規定するよ
うにクラックを発生させるが、タンク外面側のめっき皮
膜も同様に処理して、内面側と同様にクラックを発生さ
せることが好ましい。それにより、タンク内面の耐燃料
腐食性の向上に加えて、タンク外面の耐食性も著しく向
上する。また、実際問題として、酸性めっき液などへの
浸漬によるエッチング処理をめっき鋼板の片面のみに行
うには、シールなどの工程が必要となり操作が煩雑とな
るので、両面に等しくエッチングを行う方が工程上から
も有利である。
ば、燃料タンクの材料として使用する場合、タンク内面
側に相当するめっき皮膜は、好ましくは上記のように酸
性めっき液中に浸漬することにより本発明に規定するよ
うにクラックを発生させるが、タンク外面側のめっき皮
膜も同様に処理して、内面側と同様にクラックを発生さ
せることが好ましい。それにより、タンク内面の耐燃料
腐食性の向上に加えて、タンク外面の耐食性も著しく向
上する。また、実際問題として、酸性めっき液などへの
浸漬によるエッチング処理をめっき鋼板の片面のみに行
うには、シールなどの工程が必要となり操作が煩雑とな
るので、両面に等しくエッチングを行う方が工程上から
も有利である。
【0032】本発明においてこのような各めっき皮膜を
形成した後、少なくとも未塗装で使用される加工後の耐
食性が必要な面にはクロメート処理を施し、めっき皮膜
の上にクロメート皮膜を形成し、めっき皮膜のクラック
をクロメート皮膜で被覆する。塗装して用いる場合で
も、めっき皮膜のクラックをクロメート皮膜で被覆し、
その上を塗装皮膜で被覆すれば、外面耐食性も飛躍的に
向上するので、外面側にもクロメート処理を施してもよ
い。
形成した後、少なくとも未塗装で使用される加工後の耐
食性が必要な面にはクロメート処理を施し、めっき皮膜
の上にクロメート皮膜を形成し、めっき皮膜のクラック
をクロメート皮膜で被覆する。塗装して用いる場合で
も、めっき皮膜のクラックをクロメート皮膜で被覆し、
その上を塗装皮膜で被覆すれば、外面耐食性も飛躍的に
向上するので、外面側にもクロメート処理を施してもよ
い。
【0033】本発明におけるクロメート皮膜は、金属Cr
換算の付着量が10〜200mg/m2となるように形成する。こ
の付着量が10mg/m2 未満では、加工後の耐食性が十分に
発揮されず、一方200mg/m2を越えるとシーム溶接性など
の溶接性が劣化する。クロメート皮膜の好ましい付着量
は金属Cr換算で50〜180mg/m2である。
換算の付着量が10〜200mg/m2となるように形成する。こ
の付着量が10mg/m2 未満では、加工後の耐食性が十分に
発揮されず、一方200mg/m2を越えるとシーム溶接性など
の溶接性が劣化する。クロメート皮膜の好ましい付着量
は金属Cr換算で50〜180mg/m2である。
【0034】このクロメート皮膜は塗布型、電解型、反
応型の何れでもよい。吸湿性のあるCr6+がクロメート皮
膜中に多く含まれると、燃料中の水分がクロメート皮膜
の表面に吸着して固定されるため、その箇所が部分的に
腐食されることがある。従って、クロメート皮膜中にCr
6+の割合はできるだけ少ない方が好ましく、その意味で
はCr6+量を全Cr量の5%以下とすることが望ましい。
応型の何れでもよい。吸湿性のあるCr6+がクロメート皮
膜中に多く含まれると、燃料中の水分がクロメート皮膜
の表面に吸着して固定されるため、その箇所が部分的に
腐食されることがある。従って、クロメート皮膜中にCr
6+の割合はできるだけ少ない方が好ましく、その意味で
はCr6+量を全Cr量の5%以下とすることが望ましい。
【0035】本発明の別の好適態様にあっては、クロメ
ート皮膜の耐食性をさらに高めるため、皮膜中にシリカ
をSiO2/Cr 重量比で1.0 〜10.0となるように含有させ
る。この重量比が1.0 より小さいと、クロメート皮膜の
耐食性の向上効果が不十分であり、10.0を越えると、ク
ロメート液の安定性が劣化して操業に悪影響を及ぼすこ
とがあり、皮膜の加工性も劣化することがある。好まし
くは、このSiO2/Cr 重量比は1.5 〜9.5 である。
ート皮膜の耐食性をさらに高めるため、皮膜中にシリカ
をSiO2/Cr 重量比で1.0 〜10.0となるように含有させ
る。この重量比が1.0 より小さいと、クロメート皮膜の
耐食性の向上効果が不十分であり、10.0を越えると、ク
ロメート液の安定性が劣化して操業に悪影響を及ぼすこ
とがあり、皮膜の加工性も劣化することがある。好まし
くは、このSiO2/Cr 重量比は1.5 〜9.5 である。
【0036】本発明において使用するシリカ種に関して
は、吸水性の少ない乾式法シリカ (気相シリカまたはヒ
ュームドシリカ) の方が、湿式法シリカ (コロイダルシ
リカまたはシリカゾル) よりも良好である。クロメート
皮膜がシリカを含有する場合も、クロメート皮膜の金属
Cr換算の付着量は上記と同様でよい。
は、吸水性の少ない乾式法シリカ (気相シリカまたはヒ
ュームドシリカ) の方が、湿式法シリカ (コロイダルシ
リカまたはシリカゾル) よりも良好である。クロメート
皮膜がシリカを含有する場合も、クロメート皮膜の金属
Cr換算の付着量は上記と同様でよい。
【0037】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。
る。
【0038】表面処理鋼板サンプルの作成 板厚0.8 mmのJIS SPCE相当の冷延鋼板に、下記条件にて
第1層のめっきを両面に施した後、同じく下記条件にて
硫酸塩浴によるZn−X合金電気めっきを両面に施し、こ
のめっき浴をそのまま利用して、生成しためっき鋼板を
無通電で酸性のめっき液中に浸漬することにより両面の
めっき皮膜のエッチングを行い、Zn−X合金めっき皮膜
にクラックを導入した。クラック密度、クラック最大幅
およびクラック深さは、めっき液への浸漬時間を変化さ
せることにより調整した。また、低クラック密度でクラ
ック最大幅の大きなZn−X合金めっき皮膜が必要な場合
には、エッチング後にめっき鋼板の二軸引張りを実施し
た。エッチング処理しためっき表面のクラック密度、ク
ラックの最大幅、クラック深さは、前述したようにSEM
写真から求めた。
第1層のめっきを両面に施した後、同じく下記条件にて
硫酸塩浴によるZn−X合金電気めっきを両面に施し、こ
のめっき浴をそのまま利用して、生成しためっき鋼板を
無通電で酸性のめっき液中に浸漬することにより両面の
めっき皮膜のエッチングを行い、Zn−X合金めっき皮膜
にクラックを導入した。クラック密度、クラック最大幅
およびクラック深さは、めっき液への浸漬時間を変化さ
せることにより調整した。また、低クラック密度でクラ
ック最大幅の大きなZn−X合金めっき皮膜が必要な場合
には、エッチング後にめっき鋼板の二軸引張りを実施し
た。エッチング処理しためっき表面のクラック密度、ク
ラックの最大幅、クラック深さは、前述したようにSEM
写真から求めた。
【0039】 [プレめっき条件] 電気めっき :めっき浴組成:Ni 0.01 〜0.1 mol/L その他成分 0.0001 〜0.1 mol/L (Fe、Co、Zn) その他のイオン SO4 2-、NH4 + pH 4.5〜6.5(硫酸、アンモニアで調整) めっき条件 :浴温 30 〜40℃ 電流密度 2〜8 A/dm2 液流速 0.06 〜1.40 m/s 置換めっき :めっき浴組成:Ni 0.01 〜0.1 mol/L Cu 0.0001 〜0.01mol/L その他のイオン SO4 2-、NH4 + pH 4.5〜6.5(硫酸、アンモニアで調整) めっき条件 :浴温 30 〜40℃ 浸漬時間 5〜50 sec 液流速 0.06 〜1.40 m/s 塗布、乾燥 :めっき浴組成:Ni(en)3Cl2 0.01 〜0.1 mol/L (en:ethylenediamine) pH 4.5〜6.5(硫酸、アンモニアで調整) 乾燥温度 60 〜120 ℃ [Zn−X合金電気めっき条件] めっき浴組成:X (硫酸塩) 0.02〜1.1 mol/L Zn (ZnSO4) 0.4 〜0.8 mol/L Na (Na2SO4) 1 mol/L pH 1.5 〜2.0(硫酸にて調整) めっき条件 :浴温 45 〜50℃ 電流密度 50 〜100 A/dm2 液流速 0.06 〜1.40 m/s 両面ともエッチング処理してめっき皮膜表面にクラック
を発生させたZn−X合金めっき鋼板の両面に、下記組成
の塗布型クロメート液をロールコーターで塗布し、150
〜300 ℃で焼付けてクロメート皮膜を形成し、本発明の
表面処理鋼板のサンプルを作製した。
を発生させたZn−X合金めっき鋼板の両面に、下記組成
の塗布型クロメート液をロールコーターで塗布し、150
〜300 ℃で焼付けてクロメート皮膜を形成し、本発明の
表面処理鋼板のサンプルを作製した。
【0040】シリカとしては、平均一次粒子径が7nmの
乾式法シリカ (商品名アエロジル200)を用いた。一部の
試験では平均一次粒子径が10nmの湿式法シリカ (商品名
スノーテックスO) も使用した。
乾式法シリカ (商品名アエロジル200)を用いた。一部の
試験では平均一次粒子径が10nmの湿式法シリカ (商品名
スノーテックスO) も使用した。
【0041】[クロメート処理液の組成] Cr3+ : 50 g/L Cr6+ : 1 g/L SiO2 : 90 g/L こうして作製した表面処理鋼板のガソリンおよびアルコ
ール含有燃料に対する耐燃料腐食性、外面耐食性、およ
び溶接性を下記の方法で試験した。試験結果は表1、表
2にまとめて示す。
ール含有燃料に対する耐燃料腐食性、外面耐食性、およ
び溶接性を下記の方法で試験した。試験結果は表1、表
2にまとめて示す。
【0042】ガソリンおよびガソホールに対する加工後
の耐燃料腐食性に関しては、従来技術との比較を図3に
グラフで示す。図中、本発明例としては表1のNo.4を用
い、このときクラックを設けなかった比較例をクラック
なしとして示すが、クラックの有無によってほぼ3倍以
上の耐燃料腐食性の改善が見られる。
の耐燃料腐食性に関しては、従来技術との比較を図3に
グラフで示す。図中、本発明例としては表1のNo.4を用
い、このときクラックを設けなかった比較例をクラック
なしとして示すが、クラックの有無によってほぼ3倍以
上の耐燃料腐食性の改善が見られる。
【0043】なお、ターンシート(Sn/Pb:0.10、付着量
45g/m2) はポンチ肩から壁部の腐食が大きく、加工を受
けめっきが損傷を受けた部分は特に腐食が進み易かっ
た。
45g/m2) はポンチ肩から壁部の腐食が大きく、加工を受
けめっきが損傷を受けた部分は特に腐食が進み易かっ
た。
【0044】試験法 [耐燃料腐食性]表面処理鋼板のブランク (プレス打ち抜
き試験片) を下記条件で円筒絞り成型してカップを作製
し、このカップの中に下記組成のガソリン( ガソホー
ル)30 mlを封入し、容器を密閉して180 日目の内面の最
大侵食深さ(Pm)により耐燃料腐食性を次の基準にて評価
した。
き試験片) を下記条件で円筒絞り成型してカップを作製
し、このカップの中に下記組成のガソリン( ガソホー
ル)30 mlを封入し、容器を密閉して180 日目の内面の最
大侵食深さ(Pm)により耐燃料腐食性を次の基準にて評価
した。
【0045】 ◎:Pm <0.1 mm ○:0.1 mm≦Pm <0.2 mm △:0.2 mm≦Pm <0.5 mm ×:0.5 mm≦Pm 円筒絞り成形条件 ブランク径 : 100mm (直径) ボンチ径 : 50mm( 直径、肩r=5mm) ダイス径 : 51mm( 直径、肩r=5mm) ブランクホルダー圧 : 10KN 絞り高さ : 30mm 面粗さ : #1200 毎回研磨 潤滑剤なしで成形( 成形前に脱脂) 脱脂条件 2%リドソール浸漬( 液温度53℃) 3分間→純水浸漬(
常温)1.5分間→乾燥(165℃) 8分間→常温放置20分間→
乾燥(165℃)15 分間 (注) アグレッシブメタノール (aggressive methanol)
は、無水メタノール95%と、0.1 %NaCl+0.08%Na2SO4
+10%蟻酸を含む水溶液5%との混合液。
常温)1.5分間→乾燥(165℃) 8分間→常温放置20分間→
乾燥(165℃)15 分間 (注) アグレッシブメタノール (aggressive methanol)
は、無水メタノール95%と、0.1 %NaCl+0.08%Na2SO4
+10%蟻酸を含む水溶液5%との混合液。
【0046】[外面耐食性]表面処理鋼板のブランクを、
絞り高さを25mmに変更した以外は上記の耐燃料腐食性試
験と同じ条件下で円筒絞り成形した後、エッジ部をシー
ルして、外面に対してJIS Z2371 に従ったSST(塩水噴霧
試験) を2000時間行った。加工後の耐食性はSST 2000時
間後の最大侵食深さ(Pm)により評価した。
絞り高さを25mmに変更した以外は上記の耐燃料腐食性試
験と同じ条件下で円筒絞り成形した後、エッジ部をシー
ルして、外面に対してJIS Z2371 に従ったSST(塩水噴霧
試験) を2000時間行った。加工後の耐食性はSST 2000時
間後の最大侵食深さ(Pm)により評価した。
【0047】 ◎:Pm <0.1 mm ○:0.1 mm≦Pm <0.4 mm △:0.4 mm≦Pm <0.8 mm ×:0.8 mm≦Pm [溶接性]下記条件で連続シーム溶接試験を100 m行った
後、溶接部の断面ミクロ観察を行い、下記基準で評価し
た。
後、溶接部の断面ミクロ観察を行い、下記基準で評価し
た。
【0048】シーム溶接条件 加圧力 : 300 kgf 通電時間: 3 cycles 休止時間: 2 cycles 電流 : 13,000A 速度 : 2.5 m/min 溶接性評価基準 ○:溶着良好 ×:ブローホール存在
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【発明の効果】本発明にかかる表面処理鋼板は、燃料タ
ンクの製造に用いた場合には、ガソリンのみならず、ガ
ソホールなどのアルコール含有燃料にたいしても高い耐
燃料腐食性を示し、従来のZn−X合金電気めっき装置を
そのまま使用して効率よく安価に製造でき、かつ人体に
有害なPbを含有しないため安全性にも優れている。
ンクの製造に用いた場合には、ガソリンのみならず、ガ
ソホールなどのアルコール含有燃料にたいしても高い耐
燃料腐食性を示し、従来のZn−X合金電気めっき装置を
そのまま使用して効率よく安価に製造でき、かつ人体に
有害なPbを含有しないため安全性にも優れている。
【図1】本発明にかかる表面処理鋼板のめっき皮膜の断
面構成の模式的説明図である。
面構成の模式的説明図である。
【図2】めっき皮膜の表面クラックの模式図である。
【図3】本発明にかかる表面処理鋼板と従来の表面処理
鋼板との加工後の耐燃料腐食性に関する実施例の結果を
示すグラフである。
鋼板との加工後の耐燃料腐食性に関する実施例の結果を
示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 梶山 栄二 茨城県鹿嶋市大字光3番地 住友金属工業 株式会社鹿島製鉄所内 (72)発明者 川西 義博 茨城県鹿嶋市大字光3番地 住友金属工業 株式会社鹿島製鉄所内
Claims (1)
- 【請求項1】 めっき皮膜の第1層として、片面のめっ
き付着量が0.001 〜5g/m2 の70wt%以上のNiを含有する
めっき層を有し、第2層として、合金元素Xが、Ni:3
〜18wt%、Co:0.02〜3wt%、Mn:25〜45wt%、Cr:8
〜20wt%から成る群から選んだ少なくとも1種を含み、
片面当たりのめっき付着量が5 〜50g/m2であるZn−X合
金めっき皮膜を有し、さらにこのZn−X合金めっき皮膜
のうえに金属Cr換算付着量で10〜200mg/m2のクロメート
皮膜を設けた表面処理鋼板からなり、クロメート皮膜の
下層のZn−X合金めっき皮膜がクラックを有し、このク
ラックの密度がめっき表面の1mm ×1mm の視野中でのク
ラックに囲まれた領域の個数で表して1000〜150000個の
範囲であり、かつこのクラックの最大幅0.5 μm以下の
ものが90%以上存在するとともにこのクラックの深さは
めっき厚みの80%以上のものが80%以上存在しているこ
とを特徴とする、加工後の耐食性に優れた表面処理鋼
板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8144504A JP2985767B2 (ja) | 1996-06-06 | 1996-06-06 | 加工後耐食性に優れた表面処理鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8144504A JP2985767B2 (ja) | 1996-06-06 | 1996-06-06 | 加工後耐食性に優れた表面処理鋼板 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09324279A true JPH09324279A (ja) | 1997-12-16 |
JP2985767B2 JP2985767B2 (ja) | 1999-12-06 |
Family
ID=15363905
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8144504A Expired - Fee Related JP2985767B2 (ja) | 1996-06-06 | 1996-06-06 | 加工後耐食性に優れた表面処理鋼板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2985767B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010270353A (ja) * | 2009-05-19 | 2010-12-02 | Nippon Steel Corp | 光沢外観と耐食性に優れためっき鋼材および製造方法 |
WO2016125741A1 (ja) * | 2015-02-03 | 2016-08-11 | 新日鐵住金株式会社 | 燃料タンク用鋼板 |
KR20170098308A (ko) | 2015-02-03 | 2017-08-29 | 신닛테츠스미킨 카부시키카이샤 | 연료 탱크용 강판 |
US10837118B2 (en) | 2015-01-21 | 2020-11-17 | Nippon Steel Corporation | Surface treated steel sheet for fuel tank |
-
1996
- 1996-06-06 JP JP8144504A patent/JP2985767B2/ja not_active Expired - Fee Related
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WO2016125741A1 (ja) * | 2015-02-03 | 2016-08-11 | 新日鐵住金株式会社 | 燃料タンク用鋼板 |
JP6044748B1 (ja) * | 2015-02-03 | 2016-12-14 | 新日鐵住金株式会社 | 燃料タンク用鋼板 |
KR20170098308A (ko) | 2015-02-03 | 2017-08-29 | 신닛테츠스미킨 카부시키카이샤 | 연료 탱크용 강판 |
KR20170099998A (ko) | 2015-02-03 | 2017-09-01 | 신닛테츠스미킨 카부시키카이샤 | 연료 탱크용 강판 |
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