JPH0953186A - 耐クロム溶出性に優れた樹脂クロメ−ト組成物及び表面処理鋼板 - Google Patents

耐クロム溶出性に優れた樹脂クロメ−ト組成物及び表面処理鋼板

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JPH0953186A
JPH0953186A JP22969395A JP22969395A JPH0953186A JP H0953186 A JPH0953186 A JP H0953186A JP 22969395 A JP22969395 A JP 22969395A JP 22969395 A JP22969395 A JP 22969395A JP H0953186 A JPH0953186 A JP H0953186A
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steel sheet
chromium
resin chromate
resin
chromate
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JP22969395A
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Toshio Odajima
壽男 小田島
Tomozo Takahashi
智三 高橋
Kimitaka Hayashi
公隆 林
Kengo Yoshida
健吾 吉田
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Nippon Steel Corp
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定性に優れた樹脂クロメ−ト組成物および
耐クロム溶出性、耐蝕性、上塗り塗料密着性に優れた表
面処理鋼板を提供する。 【解決手段】 (a)水酸基含有単量体成分 5〜40重量% を含有する有機重合体が、水性媒体中に安定に分散した
有機重合体水性エマルジョンの不揮発分100部(以下
重量部)と、 (b)水溶性6価クロム化合物 2.5〜30部 とを混合し、かつ、 (c)(a)に含有する水酸基のグラム当量/(b)に含有する6価クロムの グラム当量の割合が、 0.2〜3.5 からなる樹脂クロメ−ト組成物、及び冷延鋼板あるいは
亜鉛または亜鉛系合金めっき鋼板の上に前記樹脂クロメ
−ト組成物の皮膜をクロム換算で、10〜300mg/
2 有することを特徴とする表面処理鋼板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属、例えば冷延
鋼板、亜鉛めっき鋼板、亜鉛系合金めっき鋼板、Ni,
Cu,Pb,Sn,Cd,Al,Ti等の金属めっき鋼
板あるいはこれら金属の合金めっき鋼板等の表面に塗
布、乾燥して樹脂クロメ−ト皮膜を形成する樹脂クロメ
−ト組成物並びに樹脂クロメ−ト皮膜を有する表面処理
鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】冷延鋼板、亜鉛めっき鋼板、Zn−Ni
系、Zn−Ni−Co系、Zn−Ni−Cr系、Zn−
Fe系、Zn−Co系、Zn−Cr系、Zn−Mn系等
の亜鉛系合金めっき鋼板あるいはNi,Cu,Pb,S
n,Cd,Al,Ti等の金属めっき鋼板あるいはこれ
ら金属の合金めっき鋼板の耐蝕性を改善するために、ク
ロメ−ト処理してクロメ−ト皮膜を形成することが一般
的に行われている。
【0003】このクロメ−ト処理は大別すると電解型ク
ロメ−ト、塗布型クロメ−トに分けることが出来る。
【0004】電解型クロメ−トとしては例えばクロム酸
を主成分とし、他に硫酸を添加したもの(特公昭39−
7461号公報)、りん酸を添加したもの(特公昭30
−3514号公報、特公昭35−8917号公報、特公
昭36−9559号公報、特公昭36−9560号公
報)、ほう酸を添加したもの(米国特許第273319
9号、同2780592号)、ハロゲン(Cl-
- )を添加したもの(特公昭39−14363号公
報)等、各種陰イオンを添加した浴を用いて、鋼板を陰
極電解処理することが行われてきた。
【0005】塗布型クロメ−トとしては、3価クロムを
主成分とする水溶性クロム化合物、無機コロイド化合物
および無機アニオンを含有する酸性水溶液を塗布するも
の(特開昭63−218279号公報)、Cr6+の一部
を3価に還元したクロム酸にコロイド状シリカを混合し
て処理するもの(特開昭63−243279号公報)、
特定のクロム酸と特定割合のコロイド化合物及び無機ア
ニオンを混合した液を処理するもの(特開昭63−17
8873号公報)、Cr6+/(Cr6++Cr3+)比を特
定化したクロム酸及び無機コロイド及び無機アニオンを
含む液で処理するもの、SiO2 及びPO4 3- を含み3
価/全クロムのモル比を規定したクロム酸水溶液を処理
するもの(特開平1−65272号公報)、特定量の6
価と3価のクロムイオンに対し特定量のケイフッ化物と
フッ化物の各ナトリウム塩を含有する液で処理するもの
(特開平1−56879号公報)、特定量の6価と3価
のクロムイオンに対して特定量のSiO2 を含有させた
水溶液で処理するもの(特開平1−56877号公報、
特開平1−56879号公報)、特定量の3価のクロム
イオンに対して特定量のケイフッ化アンモニウムとシラ
ンカップリング剤を含有した液で処理したもの(特開平
1−56878号公報)、クロムとシリカゾルを特定割
合含有し、Cr6+量とシリカゾル粒径を特定した液で処
理するもの(特開平2−104672号公報)、特定割
合のクロムイオン、燐酸、珪酸ゾルを含有し、かつ、全
クロムイオン中の6価クロムイオンを特定した液で処理
するもの(特開平2−85372号公報)、クロム酸、
無水コロイド化合物、シランカップリング剤を特定比で
配合した液で処理するもの(特開平3−146676号
公報)、3価/6価クロム比を特定の値とし、シリカゲ
ル、燐酸、亜鉛を含有させた液で処理するもの(特開平
3−68783号公報)等を挙げることができる。
【0006】また、塗布型クロメ−トの一種であるが、
有機樹脂を添加した塗布型クロメ−ト、いわゆる樹脂ク
ロメ−トとしては、特定したクロム、アモルファスシリ
カ、燐酸化合物、ポリアクリル酸で構成し、かつ、皮膜
最表層のC/Si比を特定する処理法(特開平2−16
3385号公報)、クロメ−ト液中にメチルメタクリレ
−ト等の共重合体のアクリル系エマルジョンを特定条件
で添加して処理する方法(特開平2−179883号公
報)、クロム酸、クロム酸還元生成物、アクリルエマル
ジョン、シリカゾルを特定条件で含有する液で塗布する
方法(特開平3−215683号公報)、クロム酸、ク
ロム酸還元生成物、アクリルエマルジョン、湿式タイプ
シリカゾルを特定条件で含有する液で処理する方法(特
開平3−215681号公報)、エチレン系不飽和カル
ボン酸成分、水酸基含有モノマ−成分、その他のエチレ
ン系不飽和化合物の共重合体からなる水性エマルジョン
と水溶性クロム化合物と無機化合物の水系コロイド及び
両性金属と反応して難水溶性塩を形成する無機物とを混
合してなる金属表面処理用組成物(特開平5−2306
66号公報)等を挙げることができる。
【0007】クロメ−ト皮膜のうち電解によって形成さ
れたクロメ−ト皮膜は、該皮膜形成後のCrの溶出は少
ないものの耐蝕性は充分とは言えず、また、加工時の皮
膜の耐疵付性は悪く、従って加工後の耐蝕性は極端に低
下する問題がある。
【0008】また、塗布型によって形成されたクロメ−
ト皮膜は、処理後そのままの状態で使用するとクロメ−
ト皮膜からクロムが溶出し易く、公害上支障をきたすた
め好ましくない。また、耐蝕性及び塗料密着性も必ずし
も充分では無く、加工時においても皮膜に疵がつきやす
く加工後の耐蝕性もかなり低下する問題がある。
【0009】また、樹脂クロメ−トの場合はクロム酸の
溶液中に各種樹脂が添加されるが、その際、6価のクロ
ム酸が3価に還元することにより生じた強力な酸化作
用、あるいは塩析作用によって短いもので瞬時に、長い
ものでも数時間で樹脂が凝集あるいはゲル化する。その
ため、皮膜が形成される前の樹脂クロメ−ト組成物の溶
液(以下、樹脂クロメ−ト浴という)は使用不能とな
り、又、形成された樹脂クロメ−ト皮膜も一定の成分の
皮膜が形成されにくい問題がある。
【0010】このように、クロム酸の溶液中で安定な樹
脂がこれまで存在しなかったことから、工業的に使用可
能な樹脂クロメ−トは不可能とまで言われてきた。
【0011】また、公知の樹脂クロメ−トでは、樹脂ク
ロメ−ト浴を調製後短時間のうちに鋼板に処理し皮膜を
形成させているが、この形成されたクロメ−ト皮膜は脱
脂浴や化成浴で一部溶出し易く公害上支障をきたすため
好ましくない。また、耐蝕性及び塗料密着性も必ずしも
充分ではない。
【0012】良好な樹脂クロメ−ト皮膜を得る場合、先
ず第一にクロム酸溶液の中で極めて安定で、しかも、鋼
板に塗布した場合、耐蝕性や塗料密着性等に優れた性能
を付与した樹脂を開発する必要があり、これまでに上記
条件をいずれも満足させる樹脂は皆無であった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第一の目的
は、上記従来の技術の欠点を解決し、クロメ−ト処理後
裸で使用してもクロムの溶出は認められず、しかも極め
て優れた裸耐蝕性を示し、有機物塗料と優れた密着性を
確保することができるとともにクロメ−ト皮膜を冷延鋼
板あるいは亜鉛または亜鉛系合金めっき鋼板等に形成す
ることができる樹脂クロメ−ト浴の安定性に優れた樹脂
クロメ−ト組成物を提供することである。
【0014】本発明の第二の目的は、冷延鋼板あるいは
亜鉛または亜鉛系合金めっき鋼板、Ni,Cu,Pb,
Sn,Cd,Al,Ti又はこれら金属の合金めっき鋼
板の上に上記樹脂クロメ−ト組成物の皮膜を特定量形成
せしめ、加工後の裸耐蝕性、塗料密着性、耐クロム溶出
性に優れた表面処理鋼板を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】上述した本発明の目的
は、 (a)水酸基含有単量体成分 5〜40重量% を含有する有機重合体が、水性媒体中に安定に分散した
有機重合体水性エマルジョンの不揮発分100部(以
下、単に部は重量部を示す)と、 (b)水溶性6価クロム化合物 2.5〜30部 とを混合し、かつ、 (c)(a)に含有する水酸基のグラム当量/(b)に含有する6価クロムの グラム当量の割合が、 0.2〜3.5 からなる樹脂クロメ−ト組成物により、そして該組成物
の皮膜を冷延鋼板あるいは亜鉛または亜鉛系合金めっき
鋼板の上にクロム換算で10〜300mg/m2有する
ように形成した表面処理鋼板により好適に達成される。
【0016】以下、本発明に係る樹脂クロメ−ト組成物
及び表面処理鋼板の詳細について説明する。
【0017】本発明の樹脂クロメ−ト組成物中の有機重
合体水性エマルジョンは水酸基含有単量体成分を必須成
分とする共重合体である。この有機重合体水性エマルジ
ョンに水溶性6価クロム化合物を配合し、樹脂クロメ−
トとして使用する場合、本発明による有機重合体水性エ
マルジョンにおける水酸基含有単量体成分の共重合割合
(該有機重合体を構成する全単量体の総重量を基準とす
る。以下同じ)が5〜40重量%である必要がある。5
重量%未満の場合には、各種鋼板上に樹脂クロメ−ト組
成物皮膜を形成せしめた場合、皮膜からのクロムは溶出
しやすくなり、耐クロム溶出性が低下する問題を生ず
る。又、40重量%を越える場合には、樹脂クロメ−ト
浴の安定性が低下し、容易にゲル化するとともに、皮膜
を形成せしめた場合、塗料密着性がやや低下する問題を
生じる。
【0018】水酸基含有単量体成分としては、(メタ)
アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸
ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキ
シブチル、アクリル酸2,2−ビス(ヒドロキシメチ
ル)エチル、(メタ)アクリル酸2,3−ジヒドロキシ
プロピル、(メタ)アクリル酸3−クロル−2−ヒドロ
キシプロピル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシエステ
ル類、アリルアルコール類、及びN−メチロールアクリ
ルアミド、N−ブトキシメチロール(メタ)アクリルア
ミド等のアルコールアミド類の還元性水酸基を含有する
単量体、及び、酸性液中で水酸基と同様な反応性を期待
できるグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシ
ジルエーテル、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレ
ート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリ
レート等のグリシジル基を有する単量体、アクロレイン
等のアルデヒド基を有する単量体が使用できるが、好ま
しくはアクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタアクリル
酸2−ヒドロキシエチルである。なお、(メタ)アクリ
ル酸〜は、メタアクリル酸〜及び/又はアクリル酸〜を
表しており、以下も同様である。
【0019】有機重合体の残余はエチレン系不飽和化合
物が望ましく、前述した水酸基含有単量体成分以外の
(メタ)アクリル酸アルキルエステル、エチレン系不飽
和カルボン酸、及びその他のビニル化合物等が挙げられ
る。
【0020】(メタ)アクリル酸アルキルエステルとし
ては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸
エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル
酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、
(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウ
リル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリ
ル酸セチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)ア
クリル酸フェニル等のアルキルエステルが使用できる。
【0021】エチレン系不飽和カルボン酸成分として
は、アクリル酸、メタアクリル酸、クロトン酸等のエチ
レン系不飽和モノカルボン酸、イタコン酸、マレイン
酸、フマ−ル酸等のエチレン系不飽和ジカルボン酸と、
それらのカルボン酸アルカリ金属塩、アンモニウム塩、
有機アミン塩が使用できる。
【0022】またその他のビニル化合物としては、特に
スチレン、α−メチルスチレン、ジメチルアミノスチレ
ン、ジメチルアミノスチレン(メタ)アクリルアミド、
ビニルトルエン、クロロスチレン等の芳香族ビニル化合
物、メタクリロイルオキシトリメチルアンモニウムクロ
ライド、2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプ
ロピルトリメチルアンモニウムクロライドのような(メ
タ)アクリル酸から誘導されるような第4級アンモニウ
ム塩、(メタ)アクリルジエチルアミノエステルのよう
な第3級アミノ基を有するアクリル酸エステル、及びそ
れらの第4級アンモニウム塩、(メタ)アクリルアミ
ド、ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルフォリ
ン等のアミノ基を有する単量体、(メタ)アクリル酸と
ジアミンから得られるアミドアミンから誘導される第4
級アンモニウム塩、(メタ)アクリル酸トリエチレング
リコ−ルエステル、(メタ)アクリル酸ジプロピレング
リコ−ルエステルのような(メタ)アクリル酸のポリエ
チレングリコ−ルやポリプロプレングリコ−ルのエステ
ル、スチレンスルホン酸やスルホプロピル(メタ)アク
リル酸エステル、スルホプロピル(メタ)イタコン酸エ
ステルのようなスルホン酸基を有する単量体、(メタ)
アクリル酸モノグリセライドのような(メタ)アクリル
酸の多価アルコールエステル、モノ(2−ヒドロキシエ
チルアクリレート)アシッドフォスフェートのような
(メタ)アクリル酸の燐酸塩、N−(3−スルホプロピ
ル)−N−メタクリロイルアミドプロピル−N,N−ジ
メチルアンモニウムベタイン、1−(3−スルホプロピ
ル)−2−ビニルピリジニウムベタインのようなベタイ
ン型の不飽和化合物、ビニルピリジン、及びその塩、ビ
ニルピロリドン、ブタジエン、ペンタジエン等の共役ジ
エン単量体、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル、塩化ビ
ニリデン等のハロゲン化ビニリデン、酢酸ビニル等のビ
ニルエステル、アクリロニトリル等であり、これらから
選ばれた1種又は2種以上を併用して使用される。
【0023】本発明における有機重合体水性エマルジョ
ンの製造方法は特に限定しないが、水性媒体中での乳化
重合による合成方法が望ましい。この場合、通常の乳化
重合においては低分子量界面活性剤や、より高分子量の
水溶性ポリマ−、水溶性オリゴマー等水溶性保護コロイ
ドの存在下で合成を行うことが一般的である。
【0024】しかし、このような低分子量界面活性剤を
用いて重合したエマルジョンでは、本発明に必須の構成
要件(b)である水溶性6価クロム化合物との混和安定
性が悪く、樹脂クロメート組成物の溶液がゲル化する等
の問題が生じる。また、水溶性保護コロイド下の乳化重
合では、前述した水溶性クロム化合物との反応性が充分
発揮されず、クロム溶出防止機能が不充分になったり、
耐蝕性が低下する問題が生じる。そこで本発明における
有機重合体水性エマルジョンの合成においては、上記の
様な低分子界面活性剤や水溶性保護コロイドを使用しな
いことが好ましい。
【0025】そこで本願発明の有機重合体水性エマルジ
ョンの合成において重合開始剤としては、通常の水溶性
フリーラジカル触媒(例えば過硫酸アンモニウム、過硫
酸カリウム等の酸化剤やアゾビス系触媒)が使用できる
が、上記酸化剤に還元剤(例えば酸性亜硫酸ソーダ、亜
硫酸ソーダ)をそれぞれ用いたレドックス系触媒が望ま
しい。この触媒の使用量は単量体総重量に対して0.2
〜3.0重量%であり、好ましくは0.3〜1.5重量
%である。水性媒体中での乳化重合による合成は、構成
成分である単量体を撹拌条件下で上記開始剤と同時に水
中に滴下する、通常の方法を用いればよい。この時、各
種単量体は予め全部を混和させておくことが望ましい
が、必要に応じて滴下する単量体組成を時間的に変化さ
せる連続多段重合や断続多段重合の方法を用いたり、性
質の異なる単量体を別々に滴下する重合方法を用いても
差し支えない。
【0026】次に、本発明の樹脂クロメ−ト組成物で、
有機重合体水性エマルジョンの不揮発分100部に対
し、本発明に必須の構成要件(b)である水溶性6価ク
ロム化合物が2.5〜30部である必要がある。水溶性
6価クロム化合物が2.5部未満になると耐蝕性が低下
すると共に、下地(冷延鋼板あるいは亜鉛または亜鉛系
合金めっき鋼板)との密着性が低下し、樹脂クロメ−ト
皮膜が剥離しやすくなる。また、30部を越えるとクロ
ム溶出が大きくなると共に、塗料密着性もやや低下する
問題を生ずる。
【0027】6価クロムの供給源である水溶性クロム化
合物としては、例えばクロム酸ナトリウム、クロム酸カ
リウム、クロム酸アンモニウム、クロム酸マグネシウ
ム、クロム酸カルシウム、クロム酸コバルト、クロム酸
亜鉛、クロム酸マンガン、クロム酸ニッケル、クロム酸
ストロンチウム等のクロム酸塩、重クロム酸ナトリウ
ム、重クロム酸カリウム、重クロム酸アンモニウム等の
重クロム酸塩、そして無水クロム酸等の公知のものが使
用できるが、好ましくは無水クロム酸である。
【0028】次に本発明の樹脂クロメ−ト組成物中の有
機重合体水性エマルジョン中の水酸基と水溶性6価クロ
ムとの割合に適正値があり、有機重合体水性エマルジョ
ン中の水酸基のグラム当量/水溶性6価クロムのグラム
当量は0.2〜3.5である必要がある。水酸基のグラ
ム当量/水溶性6価クロムのグラム当量が0.2未満で
は、樹脂クロメ−ト皮膜からのクロムの溶出が起きやす
くなり、また、3.5を越えると耐蝕性が低下すると共
に、樹脂クロメ−ト浴の安定性が低下する問題を生ず
る。
【0029】以上の結果から本発明では、 (a)水酸基含有単量体成分 5〜40重量% を含有する有機重合体が水性媒体中に安定に分散した有
機重合体水性エマルジョンの不揮発分100部と、 (b)水溶性6価クロム化合物 2.5〜30部 とを混合し、かつ、 (c)(a)に含有する水酸基のグラム当量/(b)に含有する6価クロムの グラム当量の割合が、 0.2〜3.5 からなる樹脂クロメ−ト組成物とする。
【0030】また、樹脂クロメ−ト浴の安定性の向上
や、表面処理鋼板の耐蝕性、耐疵付性等の性能を更に向
上させるため、本発明の樹脂クロメ−ト組成物の溶液に
燐酸、ポリリン酸、ケイふっ化物等の水溶性無機化合物
やSiO2 コロイド、TiO2コロイド等の無機化合物
の水系コロイドを添加しても差し支えない。
【0031】このようにして得られた本発明の樹脂クロ
メ−ト組成物を冷延鋼板あるいは亜鉛系合金めっき鋼板
の上に塗布し、次いで乾燥することにより目的とする表
面処理鋼板を得ることができる。樹脂クロメ−ト組成物
を塗布するにはロ−ルコ−ト、スプレ−塗装、刷毛塗
り、浸漬塗装、カ−テンフロ−等いずれの塗装方法を用
いてもよい。また、塗布された樹脂クロメ−ト組成物の
乾燥は水分の蒸発に加え、本発明の有機重合体水性エマ
ルジョンが溶融し、皮膜となるだけの熱量が与えられれ
ば、特に限定されるものではない。
【0032】塗布量はクロム換算で10〜300mg/
2 であるが、好ましくは20〜150mg/m2 であ
る。クロム換算で10mg/m2 未満の場合では、表面
処理鋼板の耐蝕性に問題を生じ、また、300mg/m
2 を越える場合では皮膜の均一形成性が悪く、表面外観
にむらが生じる。
【0033】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例の記載によってその範
囲を何ら限定されるものではない。
【0034】(1)有機重合体水性エマルジョンの合成 脱イオン水500部(重量部を示す。以下同じ)を反応
槽に入れて、液温度を60℃に上昇させる。これに表1
に示すA〜Dそれぞれの共重合割合の単量体混合物30
0部、及び過硫酸アンモニウム3部を脱イオン水97部
に溶解した液、及び酸性亜硫酸ソ−ダ3部を脱イオン水
97部に溶解した液を同時並行に2時間で終了するよう
に撹拌しながら滴下した後、引き続き60℃にて3時間
撹拌しながら重合反応を行って本発明の条件を満たす有
機重合体水性エマルジョンNo.A〜Dを合成した。
【0035】また、比較例として、本発明の条件を外れ
るエマルジョンNo.E,Fを表1に示す単量体共重合
割合にて同様に合成した。
【0036】
【表1】
【0037】(2)樹脂クロメ−ト組成物の調製 上記の有機重合体水性エマルジョンに表2に示す割合に
なるように水溶性6価クロム化合物を混合し、No.I
〜VIIまでの本発明の条件を満たす樹脂クロメ−ト組
成物を調製した。
【0038】また、比較例として、本発明の条件を外れ
る樹脂クロメ−ト組成物No.VIII〜XIIIを表
2に示す混合比にて同様に調製した。
【0039】
【表2】
【0040】(3)塗布及び乾燥 上述の方法にて作成した本発明の条件を満たす樹脂クロ
メ−ト組成物を、0.6mm厚さ亜鉛めっき鋼板(日本
テストパネル製)に、表3に示すクロム付着量となるよ
うにバ−コ−タ−にて塗布し、350℃雰囲気温度にて
15秒乾燥したものを実施例1〜10とし、性能を評価
した。
【0041】また、比較例として、本発明の条件を外れ
る樹脂クロメ−ト組成物VIII〜XIIIを用いた場
合(比較例1〜6)、本発明の条件から外れた皮膜中の
クロム量の場合(比較例7,8)についても同様に塗布
し、性能を評価した。
【0042】
【表3】
【0043】(4)性能評価 得られた表面処理鋼板(実施例1〜10、比較例1〜
8)を以下の性能について評価した。その結果を表4に
示す。
【0044】樹脂クロメ−ト浴の安定性 有機重合体水性エマルジョンと水溶性6価クロム化合物
とを混合した樹脂クロメ−ト組成物を、40℃の状態で
静置し、樹脂クロメ−ト浴のゲル化あるいは樹脂の凝集
状態により評価した。記号の意味は以下の通りである。 ◎:10日以上安定 ○:5日以上10日未満安定 △:1日以上5日未満安定 ×:1日未満
【0045】耐クロム溶出性 作成した表面処理鋼板を100℃の蒸留水に30分浸漬
し、液中に溶出した金属クロムを原子吸光分析し、浸漬
前の表面処理皮膜中の金属クロムに対する重量%により
評価した。記号の意味は以下の通りである。 ◎:クロム溶出 5%未満 ○:クロム溶出 5%以上15%未満 △:クロム溶出 15%以上30%未満 ×:クロム溶出 30%以上
【0046】耐蝕性 耐蝕性はJIS−Z−2371規格に準拠した塩水噴霧
試験により(塩水濃度5%、槽内温度35℃、噴霧圧力
20psi)1000時間後の発錆状況により評価し
た。記号の意味は以下の通りである。 ◎:赤錆発生率 1%未満 ○:赤錆発生率 1%以上10%未満 △:赤錆発生率 10%以上50%未満 ×:赤錆発生率 50%以上
【0047】上塗り塗料密着性 サンプル板にメラミンアルキド塗料(神東塗料製グリミ
ン#100)を30μ厚みに塗布し、120℃の雰囲気
温度にて30分間熱処理し、1mm碁盤目剥離試験にて
剥離した面積により評価した。記号の意味は以下の通り
である。 ◎:塗膜剥離なし ○:塗膜剥離 5%未満 △:塗膜剥離 5%以上20%未満 ×:塗膜剥離 20%以上
【0048】
【表4】
【0049】表4より実施例1〜10、即ち本発明の諸
条件を満たしている表面処理鋼板は、優れた樹脂クロメ
−ト浴の安定性、耐クロム溶出性、耐蝕性、上塗り塗料
密着性を備えていることが判る。これに対し比較例1〜
8では、樹脂クロメ−ト浴の安定性、耐クロム溶出性、
耐蝕性、上塗り塗料密着性すべてを満足させる結果が得
られなかった。
【0050】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の樹脂クロメ
−ト組成物は、樹脂クロメ−ト浴の安定性が良く、か
つ、冷延鋼板あるいは亜鉛または亜鉛系合金めっき鋼板
の上に耐クロム溶出性、耐蝕性、上塗り塗料密着性に優
れた皮膜を形成することができる。従って、耐クロム溶
出性に優れているので、表面処理鋼板をそのまま使用し
ても環境汚染等の問題を低減でき、また、上塗り塗料密
着性にも優れているので、塗装鋼板の下地用としても使
用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 公隆 兵庫県姫路市広畑区富士町1番地 新日本 製鐵株式会社広畑製鐵所内 (72)発明者 吉田 健吾 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)水酸基含有単量体成分 5〜40重量% を含有する有機重合体が、水性媒体中に安定に分散した
    有機重合体水性エマルジョンの不揮発分100部(以下
    重量部)と、 (b)水溶性6価クロム化合物 2.5〜30部 とを混合し、かつ、 (c)(a)に含有する水酸基のグラム当量/(b)に含有する6価クロムの グラム当量の割合が、 0.2〜3.5 からなる樹脂クロメ−ト組成物。
  2. 【請求項2】冷延鋼板あるいは亜鉛または亜鉛系合金め
    っき鋼板の上に請求項1記載の樹脂クロメ−ト組成物の
    皮膜をクロム換算で、10〜300mg/m2 有するこ
    とを特徴とする表面処理鋼板。
JP22969395A 1995-08-15 1995-08-15 耐クロム溶出性に優れた樹脂クロメ−ト組成物及び表面処理鋼板 Withdrawn JPH0953186A (ja)

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