JPH0952869A - アルカノールアミンの製造方法 - Google Patents

アルカノールアミンの製造方法

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JPH0952869A
JPH0952869A JP8105911A JP10591196A JPH0952869A JP H0952869 A JPH0952869 A JP H0952869A JP 8105911 A JP8105911 A JP 8105911A JP 10591196 A JP10591196 A JP 10591196A JP H0952869 A JPH0952869 A JP H0952869A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い反応圧をかけなくても反応温度の上昇を
抑えることができると共に、アンモニアとアルキレンオ
キシドとのモル比を需要に応じて自在に変化させること
ができ、かつ、反応熱を効率的に回収すると共に、アン
モニアの回収・循環使用にかかる費用を削減し、これに
より、所望するアルカノールアミンを安価に製造するこ
とができる方法を提供する。 【解決手段】 一般式(I) 【化7】 (式中、R1 、R2 、R3 およびR4 はそれぞれ独立し
て水素原子、メチル基、またはエチル基を表す)で表さ
れるアルキレンオキシドと液体アンモニアとを、連続流
通式反応器内で不均一系触媒の存在下で反応させる際
に、反応圧を上記反応器内部の最高温度における反応液
の蒸気圧以下に制御することにより、該液体アンモニア
の一部を気化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不均一系触媒の存
在下、アルキレンオキシドをアンモニアでアミノ化させ
ることによりアルカノールアミンを製造する方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、アルキレンオキシドをアンモニア
でアミノ化させることによりアルカノールアミンを製造
する方法としては、工業的には、例えば、触媒としての
水の存在下でエチレンオキシドとアンモニアとを反応さ
せることでエタノールアミン類を製造する方法が知られ
ている。この方法では、モノエタノールアミン以外に、
ジエタノールアミンやトリエタノールアミンが副生す
る。このため、需要に応じて、モノエタノールアミン、
ジエタノールアミン、およびトリエタノールアミンの生
成比を制御する必要がある。これらエタノールアミン類
の中でも、近年、とりわけトリエタノールアミンの需要
が減退しているので、トリエタノールアミンの生成を抑
制することが求められている。そのため、エチレンオキ
シドに対してアンモニアを大過剰に使用して反応を行
い、未反応のアンモニアを循環使用することで、モノエ
タノールアミンを効率的に製造する試みがなされてい
る。
【0003】ところが、この方法は、エチレンオキシド
に対してアンモニアを10倍量用いても、モノエタノール
アミンの選択率が60重量%程度であり(ウルマン エン
サイクロペディア オブ インダストリアル ケミスト
リー 第5版 第A10巻 4頁〜5頁)、ジエタノール
アミンやトリエタノールアミンを多く併産する場合にの
み適している。また、水を触媒として用いるため、この
水の回収にかかる費用が高いことから、該エタノールア
ミン類を安価に得ることができないという問題点を有し
ている。さらに、得られるアルカノールアミン水溶液の
腐食性が大きい等の問題点を有している。
【0004】そこで、触媒としての水を用いずにアルキ
レンオキシドとアンモニアとを反応させる方法が求めら
れている。ところが、反応系において水が存在しない場
合、アルキレンオキシドとアンモニアとはほとんど反応
しない。従って、このような反応には、触媒の存在が不
可欠である。
【0005】水以外の触媒を用いた製造方法としては、
例えば、スウェーデン王国特許第158167号に、有
機酸類、無機酸類、およびアンモニウム塩等の均一系の
触媒を用いてアルキレンオキシドとアンモニアとを反応
させることによって、アルカノールアミンを得る方法が
開示されている。
【0006】ところが、均一系の触媒を用いてアルカノ
ールアミンを得る場合、生成するアルカノールアミンと
触媒とを容易に分離することができないという問題点を
有している。また、上記均一系の触媒を用いた場合、モ
ノアルカノールアミンの収率は、何れも最高で60%程度
にすぎず、モノアルカノールアミンを効率よく得ること
ができるとは言い難い。さらに、上記触媒を用いた場合
のアルキレンオキシドとアンモニアとの反応性は充分で
はなく、従って、有機酸類、無機酸類、およびアンモニ
ウム塩等の化合物の該反応における触媒活性は充分では
ないという問題点を有している。
【0007】そこで、触媒活性を向上させると共に、モ
ノアルカノールアミンの収率を向上させるために、均一
系の酸触媒を固定化する試みがなされている。特公昭4
9−47728号公報には、このような触媒として、合
成樹脂にスルホン酸基を結合させたイオン交換樹脂を用
いて、反応混合物が生成する最高温度で、かつ、反応液
が液相状態を保持するように、少なくともアンモニアの
蒸気圧より高い圧力をかけながらアンモニアとアルキレ
ンオキシドとを反応させる方法が開示されている。上記
触媒を用いたアルカノールアミンの製造方法は、該触媒
が比較的、活性および選択性が良いことから、工業的に
実施されている。
【0008】ところが、通常市販されているイオン交換
樹脂の最高使用温度(耐熱温度)は、 120℃程度とかな
り低い(「イオン交換−理論と応用への手引き−」黒田
六朗・渋川雅美共訳、1981年丸善株式会社発行、34
頁)。そのため、例えば、エチレンオキシドに対するア
ンモニアのモル比を低くして反応させると、反応熱によ
って触媒層の温度が該触媒の耐熱温度を超えてしまう。
これにより、このような温度条件で長期間使用すると、
触媒が劣化するという問題を生じる。このことから、触
媒としてイオン交換樹脂を用いる場合、イオン交換樹脂
の劣化を防止するために、エチレンオキシド1モルに対
して、アンモニアを20モル〜25モル程度用いる必要があ
る。このため、イオン交換樹脂は、モノエタノールアミ
ンだけを製造する場合には適用できても、ジエタノール
アミンやトリエタノールアミンを製造する場合には適用
し難く、融通性に欠けるという問題点を有している。
【0009】そこで、耐熱性が劣るというイオン交換樹
脂の欠点を克服するため、熱安定性に優れる無機系触媒
が検討されている。このような無機系触媒として、一般
的によく用いられるシリカアルミナが活性を示すことか
ら、米国特許第4,438,281号には、このシリカ
アルミナを触媒として用いてアンモニアとエチレンオキ
シドとを反応させる方法が開示されている。また、「イ
ンダストリアル アンド エンジニアリングケミストリ
ー、プロダクトリサーチ アンド デベロップメント」
1986年、25巻、424 頁〜430 頁には、アンモニアとエチ
レンオキシドとを反応させる際の触媒として、イオン交
換樹脂と各種ゼオライト触媒等とが比較検討されてい
る。さらに、特開平2−225446号公報には、酸活
性化粘土触媒を用いてアンモニアとエチレンオキシドと
を反応させる方法が開示されている。また、特開平6−
49000号公報には、層状架橋体触媒を用いてアンモ
ニアとアルキレンオキシドとを反応させる方法が開示さ
れている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】触媒としてシリカアル
ミナ、ゼオライト触媒、または酸活性化粘土触媒を用い
てエタノールアミン類を生成すると、条件によっては、
モノエタノールアミンの収率が60重量%以上となる場合
もある。しかしながら、何れの触媒を用いた場合でもモ
ノアルカノールアミンを選択的に得ることができるとは
言い難い。しかも、何れの触媒を用いた場合でも、モノ
エタノールアミンの選択率を向上させるために、エチレ
ンオキシド1モルに対して、アンモニアを20モル〜30モ
ル以上添加して反応を行っている。従って、反応器や、
アンモニアを回収して循環使用するための装置を大きく
する必要があり、設備費が高くなるので、該エタノール
アミン類を安価に得ることができないという問題点を有
している。
【0011】一方、触媒として層状架橋体触媒を用いて
アンモニアとアルキレンオキシドとを反応させる場合に
は、アンモニアとアルキレンオキシドとのモル比が小さ
い場合、例えばアルキレンオキシド1モルに対するアン
モニアの添加量が5モル程度の場合でもモノアルカノー
ルアミンの収率が60重量%を越える性能を示す。そし
て、該反応は、反応混合物が生成する最高温度で、か
つ、反応液が液相状態を保持するように、少なくともア
ンモニアの蒸気圧より高い圧力をかけながら行われる。
ところが、アルキレンオキシドの濃度が高くなると、液
相状態を保つためには反応熱を除去しなければならない
が、外部から冷却すると反応熱を有効に回収することが
できないという問題点を有している。また、反応温度が
あまりに高くなると、生成するアルカノールアミンの着
色等の品質面の問題が生じる。このことからも、温度上
昇をある程度に押さえる必要がある。
【0012】このように、不均一系の触媒を用いてアン
モニアとアルキレンオキシドとを反応させる場合には、
何れの場合においても、その反応圧での沸点以下に反応
温度を保つことでアンモニアを液相状態に維持して反応
を行っている。そこで、反応熱を抑えるためには、アン
モニアとアルキレンオキシドとのモル比を大きくする必
要がある。しかし、アンモニアとアルキレンオキシドと
のモル比を大きく、即ち、アルキレンオキシドに対する
アンモニアの添加量を多くすると、反応器や、アンモニ
アを回収して循環使用するための装置等の設備費が大き
くなり、該アルカノールアミンを安価に得ることができ
ないという問題が生じる。一方、アンモニアとアルキレ
ンオキシドとのモル比を小さくすると、反応熱による温
度上昇のため、触媒の劣化を招いたり、生成するアルカ
ノールアミンの着色等の品質面の問題が生じる。また、
温度が上がりすぎると、液相状態を維持するためには、
高い圧力を無理にかける必要がある。さらに、このよう
に、アンモニアとアルキレンオキシドとのモル比を自在
に変えることができないため、所望するアルカノールア
ミンを効率良く得ることができないという問題点を有し
ている。
【0013】尚、触媒として水を用いる反応では、特公
昭52−2887号公報に開示されているように、反応
器内部に蒸発面と空間部とを設けてアンモニアを気化さ
せる方法が知られている。しかしながら、この方法は、
水という均一系の触媒を用いる場合に適用できる方法で
あって、不均一系の触媒を用いる反応には適用できない
形態である。
【0014】このため、高い反応圧をかけなくても反応
温度の上昇を抑えることができると共に、アンモニアと
アルキレンオキシドとのモル比を自在に変化させること
で、所望するアルカノールアミンを製造することができ
る方法が求められている。
【0015】即ち、本発明の目的は、高い反応圧をかけ
なくても反応温度の上昇を抑えることができると共に、
アンモニアとアルキレンオキシドとのモル比を需要に応
じて自在に変化させることができ、かつ、反応熱を効率
的に回収すると共に、アンモニアの回収・循環使用にか
かる費用を削減し、これにより、所望するアルカノール
アミンを安価に製造することができる方法を提供するこ
とにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは上記従来
の問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、従来、液
体アンモニアとアルキレンオキシドとを、不均一系触媒
の存在下で反応させる場合には、その反応圧での沸点以
下に反応温度を保ち、反応液を液体状態に維持すること
が必須であると考えられていたのに対して、反応温度、
反応圧、および原料モル比等を制御することで、反応熱
により液体アンモニアの一部が気化する反応条件に設定
し、該アンモニアの蒸発潜熱で除熱することによって、
反応温度の上昇を抑制することができると共に、反応熱
を効率的に回収することが可能であることを見いだし、
本発明を完成させるに至った。
【0017】即ち、本発明にかかるアルカノールアミン
の製造方法は、一般式(I)
【0018】
【化3】
【0019】(式中、R1 、R2 、R3 およびR4 はそ
れぞれ独立して水素原子、メチル基、またはエチル基を
表す)で表されるアルキレンオキシドと液体アンモニア
とを、連続流通式反応器内で不均一系触媒の存在下で反
応させることにより、一般式(II)
【0020】
【化4】
【0021】(式中、R1 、R2 、R3 およびR4 はそ
れぞれ独立して水素原子、メチル基、またはエチル基を
表し、mおよびnは(m+n)が1〜3となる0〜3の
整数を表す)で表されるアルカノールアミンを製造する
方法において、反応圧を上記反応器内部の最高温度にお
ける反応液の蒸気圧以下に制御することにより、該液体
アンモニアの一部を気化させることを特徴としている。
【0022】また、本発明にかかるアルカノールアミン
の製造方法は、上記アルキレンオキシド1モルに対する
液体アンモニアの添加量が1モル〜50モルの範囲内、反
応温度が20℃〜 300℃の範囲内、かつ、反応圧が2MPa
〜 30MPaの範囲内であることを特徴としている。
【0023】さらに、本発明にかかるアルカノールアミ
ンの製造方法は、反応器内部における液体アンモニアの
気化率が1重量%〜80重量%の範囲内であることを特徴
としている。
【0024】また、本発明にかかるアルカノールアミン
の製造方法は、反応を断熱的に行うことを特徴としてい
る。
【0025】さらに、本発明にかかるアルカノールアミ
ンの製造方法は、未反応のアンモニアを回収し、再利用
することを特徴としている。
【0026】上記の構成によれば、アンモニアとアルキ
レンオキシドとを反応させる際に、反応熱がアンモニア
の気化熱として反応系から奪われる。このため、原料中
のアルキレンオキシド濃度が比較的高い場合でも、反応
を断熱的に行うことができる。このように、本発明によ
れば、反応熱が、アンモニアの気化熱として使われて有
効に回収(除熱)されることから、反応器内部の温度上
昇を抑えることができる。
【0027】また、反応熱はアンモニアの気化熱として
使われて効率的に回収されるため、従来のように、反応
熱を抑えるためにアンモニアとアルキレンオキシドとの
モル比を大きくする必要がない。つまり、アルキレンオ
キシドに対するアンモニアのモル比を小さく(即ち、反
応液におけるアルキレンオキシドの濃度を高く)するこ
とができる。さらに、全てのアンモニアを液相状態に保
つ必要がないため、反応圧を低くすることができる。こ
れにより、反応器(連続流通式反応器)や、アンモニア
の回収および循環のための装置を小型化することができ
る。このことから、アルカノールアミン類を製造するた
めの設備費を低減させることができると共に、アンモニ
アとアルキレンオキシドとを効率良く反応させることが
できる。従って、アンモニアとアルキレンオキシドとの
反応におけるプロセス全体にかかる費用を低減させるこ
とができる。
【0028】また、反応器内部の温度上昇を抑えること
ができるので、イオン交換樹脂等の耐熱性に劣る触媒を
用いる場合でも、アルキレンオキシドの濃度を高くして
反応を行うことができる。このことから、本発明に係る
製造方法は、モノアルカノールアミンだけを製造する場
合にも、ジエタノールアミンやトリエタノールアミンを
製造する場合にも、適用することができる。また、イオ
ン交換樹脂の耐熱温度以下の温度で反応を行うことがで
きるので、イオン交換樹脂の劣化を抑制することができ
る。このことから、触媒の寿命を引き延ばすことができ
る。
【0029】さらに、本発明によれば、以上のように、
反応温度の上昇を抑え、反応圧を低減させることができ
ることから、アンモニアとアルキレンオキシドとのモル
比を需要に応じて自在に変化させることができる。この
ように、アンモニアとアルキレンオキシドとのモル比を
需要に応じて自在に変化させることにより、アンモニア
1分子に対するアルキレンオキシド分子の付加数が1,
2,3の3種の生成物(モノアルカノールアミン、ジア
ルカノールアミン、トリアルカノールアミン)の生成比
を自在に制御することができるので、所望するアルカノ
ールアミン類を生産性良く製造することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下に本発明の一実施の形態につ
いて詳しく説明する。前記一般式(II)で表されるアル
カノールアミン(以下、アルカノールアミン類と称す
る)の製造方法において、原料として用いられる前記一
般式(I)で表されるアルキレンオキシドは、式中、R
1 、R2 、R3 およびR4 で示される置換基が、それぞ
れ独立して水素原子、メチル基、またはエチル基で構成
される化合物である。このような化合物としては、特に
限定されるものではないが、具体的には、例えば、エチ
レンオキシド、プロピレンオキシド等が挙げられる。こ
れらアルキレンオキシドは、1種類のみを用いてもよ
く、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。これらア
ルキレンオキシドの中でも、エチレンオキシドが、工業
的に特に有用なエタノールアミン類を得ることができる
ので、好ましい。
【0031】また、不均一系触媒としては、特に限定さ
れるものではなく、例えば、陽イオン交換樹脂、酸活性
化粘土、シリカアルミナ、モレキュラーシーブス(商品
名;合成ゼオライト)、ゼオライト等の固体酸触媒;希
土類元素担持触媒;架橋型層状化合物触媒等、従来公知
の種々の不均一系触媒を使用することができる。さら
に、本発明によれば反応器(連続流通式反応器)内部の
温度上昇を抑えることができるので、従来、耐熱性に劣
るためにアンモニアとアルキレンオキシドとのモル比が
低い場合(反応液におけるアルキレンオキシドの濃度が
高い場合)には使用することができなかったイオン交換
樹脂も、本発明にかかる不均一系触媒として使用するこ
とができる。これら不均一系触媒の中でも、無機系触媒
が耐熱性に優れていることから好ましく、希土類元素を
耐熱性担体に担持した触媒が特に好ましい。
【0032】本発明にかかる前記一般式(II)で表され
るアルカノールアミン類は、式中、R1 、R2 、R3
よびR4 で示される置換基が、それぞれ独立して水素原
子、メチル基、またはエチル基で構成され、mあるいは
nで示されるアルカノール基を1〜3個有する化合物、
即ち、モノアルカノールアミンおよび/またはジアルカ
ノールアミンおよび/またはトリアルカノールアミンで
ある。即ち、前記一般式(I)で表されるアルキレンオ
キシドと、液体アンモニアとを上記不均一系触媒の存在
下で反応させることによって、該アルキレンオキシドに
対応するアルカノールアミン類を得ることができる。こ
のようなアルカノールアミン類としては、特に限定され
るものではないが、具体的には、例えば、モノエタノー
ルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミ
ン、プロパノールアミン類等が挙げられる。これら一般
式(II)で表されるアルカノールアミン類は、用いるア
ルキレンオキシド、触媒により、mで表されるアルカノ
ール基とnで示されるアルカノール基とを適宜選択する
ことができる。
【0033】本発明において用いられる反応器は、連続
流通式の反応器であれば特に限定されるものではなく、
従来公知の種々の反応器を用いることができる。また、
反応器への原料の供給方法並びに触媒の充填方法は、特
に限定されるものではないが、反応を行う前に、予め原
料を余熱する方法が好ましい。
【0034】本発明においては、アンモニアとアルキレ
ンオキシドとの反応によって発生する反応熱の回収(除
熱)を、液体アンモニアの一部を気化させることによっ
て行う。即ち、本発明においてアンモニアとアルキレン
オキシドとの反応は、反応熱(凡そ24Kcal/mol) による
温度上昇から予想される反応器内の最高温度に対して、
該最高温度での反応液の蒸気圧以下に反応圧を制御する
ことにより、気液混相状態で行われる。
【0035】アルキレンオキシドに対する液体アンモニ
アの添加量は、特に限定されるものではないが、アルキ
レンオキシド1モルに対して、アンモニア1モル〜50モ
ルの範囲内が好ましく、2モル〜40モルの範囲内がさら
に好ましい。アルキレンオキシドとアンモニアとのモル
比が小さすぎる(即ち、反応液におけるアルキレンオキ
シドの濃度が高い)と、発生する反応熱が大きすぎて充
分に除熱することができないため、好ましくない。一
方、アルキレンオキシドとアンモニアとのモル比が大き
すぎる(即ち、反応液におけるアルキレンオキシドの濃
度が低い)と、アンモニアの回収量が多くなりすぎる。
このため、反応器、並びに、アンモニアの回収および循
環使用のための装置を大きくする必要があり、設備費が
高くなる。この結果、該アルカノールアミン類を安価に
得ることができなくなるので、好ましくない。
【0036】反応温度は、特に限定されるものではない
が、20℃〜 300℃の範囲内が好ましく、30℃〜 250℃の
範囲内がさらに好ましく、30℃〜 200℃の範囲内が最も
好ましい。反応温度が20℃より低ければ、反応速度が小
さくなり、アルキレンオキシドを所望するアルカノール
アミン類に完全に転化するために要する触媒量が多くな
りすぎる。このため、反応器を大きくする必要があり、
設備費が高くなるので、該アルカノールアミン類を安価
に得ることができなくなり、好ましくない。一方、反応
温度が 300℃より高ければ、反応器内部の温度が上がり
すぎ、アンモニアの気化量が多くなりすぎるので、反応
液の液相部分が少なくなり、アンモニアとアルキレンオ
キシドとの反応が円滑に進行しなくなるので好ましくな
い。
【0037】反応圧は、2MPa 〜 30MPaの範囲が好まし
く、4MPa 〜 20MPaの範囲内がさらに好ましく、5MPa
〜 15MPaの範囲内が最も好ましい。反応圧が2MPa より
低ければ、アンモニアが気化する量が多すぎて、液相部
分が少なくなり、アンモニアとアルキレンオキシドとの
反応が円滑に進行しなくなるので好ましくない。一方、
反応圧が 30MPaより高ければ、反応液の沸点まで反応器
内部の温度が上昇せず、アンモニアが気化しなくなるの
で好ましくない。
【0038】上記アルキレンオキシドに対するアンモニ
アの添加量、反応温度、および反応圧の3つの条件のう
ち、2つの条件を決めることによって残りの条件は決ま
るが、上記3つの条件を全て満たすことで、さらに、反
応熱を効率的に回収(除熱)することができると共に、
アルキレンオキシドとアンモニアとの反応をより一層効
率よく行うことができる。
【0039】このように、本発明においては、アンモニ
アの気化により除熱を行っているので、反応器に冷却装
置を設ける必要がないか、設けてもその伝熱面積を小さ
くすることができる。このことから、反応に係る装置の
構成を簡素なものにすることができる。
【0040】尚、アルキレンオキシドの濃度を高くして
ジアルカノールアミンやトリアルカノールアミンを製造
する場合には、アンモニアの気化による除熱だけでは反
応温度が上がりすぎる場合がある。従って、このような
場合には、通常の反応器壁からの冷却による外部除熱方
式とアンモニアの気化による除熱方式を併用することが
できる。
【0041】また、アンモニアの回収方法は、特に限定
されるものではなく、従来公知の種々の方法を用いるこ
とができる。本発明においては、反応熱を用いてアンモ
ニアを気化させているので、反応熱を効率的に利用する
ことができる。このことから、未反応のアンモニアの回
収にかかる費用を削減することができる。
【0042】さらに、反応器の安定した運転状態を保
ち、かつ、反応熱を回収するために、反応器内部におけ
るアンモニアの気化率は、1重量%〜80重量%の範囲内
に保つことが好ましく、10重量%〜50重量%の範囲内に
保つことがさらに好ましい。アンモニアの気化率が1重
量%より少なければ、アンモニアの蒸発潜熱が少なくな
りすぎ、充分に反応熱を除熱することができない。この
ため、反応温度が上昇しすぎてしまうので、好ましくな
い。一方、アンモニアの気化率が80重量%より多けれ
ば、液相部分が少なくなり、アンモニアとアルキレンオ
キシドとの反応が円滑に進行しなくなるので、好ましく
ない。尚、本発明において、アンモニアの気化率とは、
アンモニアの蒸発潜熱、および、反応器の入口温度と出
口温度との差を基準にして算出した値を示す。
【0043】また、上述の条件下、LHSV(液時空間
速度)は、触媒の種類や使用量にもよるが、1hr-1〜 1
00hr-1の範囲内が好ましく、2hr-1〜50hr-1の範囲内が
さらに好ましい。LHSVが1hr-1より小さければ、ア
ンモニアとアルキレンオキシドとが触媒と接触する時間
が充分に長くなるので、アルキレンオキシドを所望する
アルカノールアミン類に効率よく転化させることはでき
るものの、アルキレンオキシドを完全に、所望するアル
カノールアミン類に転化するために要する触媒量が相対
的に多くなりすぎる。また、単位時間あたりのアルカノ
ールアミン類の生成量が少なくなる。このため、反応器
を大きくする必要があり、設備費が高くなり、該アルカ
ノールアミン類を安価に得ることができなくなるので好
ましくない。一方、LHSVが 100hr-1より大きけれ
ば、アンモニアとアルキレンオキシドとが触媒と接触す
る時間が短すぎて、アルキレンオキシドを所望するアル
カノールアミン類に充分に転化させることができなくな
るので好ましくない。
【0044】以上のように、本発明にかかる製造方法に
よれば、アンモニアとアルキレンオキシドとを反応させ
る際に、反応熱がアンモニアの気化熱として反応系から
奪われる。このため、原料中のアルキレンオキシド濃度
が比較的高い場合でも、反応を断熱的に行うことができ
る。このように、本発明によれば、反応熱が、アンモニ
アの気化熱として使われて有効に回収(除熱)されるこ
とから、反応器内部の温度上昇を抑えることができる。
【0045】また、反応熱はアンモニアの気化熱として
使われて効率的に回収されるため、従来のように、反応
熱を抑えるためにアンモニアとアルキレンオキシドとの
モル比を大きくする必要がない。つまり、アルキレンオ
キシドに対するアンモニアのモル比を小さく(即ち、反
応液におけるアルキレンオキシドの濃度を高く)するこ
とができる。さらに、全てのアンモニアを液相状態に保
つ必要がないため、反応圧を低くすることができる。こ
れにより、反応器(連続流通式反応器)や、アンモニア
の回収および循環のための装置を小型化することができ
る。このことから、アルカノールアミン類を製造するた
めの設備費を低減させることができると共に、アンモニ
アとアルキレンオキシドとを効率良く反応させることが
できる。従って、アンモニアとアルキレンオキシドとの
反応におけるプロセス全体にかかる費用を低減させるこ
とができる。
【0046】また、反応器内部の温度上昇を抑えること
ができるので、イオン交換樹脂等の耐熱性に劣る触媒を
用いる場合でも、アルキレンオキシドの濃度を高くして
反応を行うことができる。このことから、本発明に係る
製造方法は、モノアルカノールアミンだけを製造する場
合にも、ジエタノールアミンやトリエタノールアミンを
製造する場合にも、適用することができる。また、イオ
ン交換樹脂の耐熱温度以下の温度で反応を行うことがで
きるので、イオン交換樹脂の劣化を抑制することができ
る。このことから、触媒の寿命を長びかせることができ
る。
【0047】さらに、本発明によれば、以上のように、
反応温度の上昇を抑え、反応圧を低減させることができ
ることから、アンモニアとアルキレンオキシドとのモル
比を需要に応じて自在に変化させることができる。この
ように、アンモニアとアルキレンオキシドとのモル比を
需要に応じて自在に変化させることにより、アンモニア
1分子に対するアルキレンオキシド分子の付加数が1,
2,3の3種の生成物(モノアルカノールアミン、ジア
ルカノールアミン、トリアルカノールアミン)の生成比
を自在に制御することができるので、所望するアルカノ
ールアミン類を生産性良く製造することができる。
【0048】
【実施例】以下、実施例および比較例により、本発明を
さらに具体的に説明するが、本発明は、これにより何ら
限定されるものではない。
【0049】LHSV、アルカノールアミンとしてのエ
タノールアミン類の選択率、および、アンモニアの気化
率は次のように定義する。
【0050】
【数1】
【0051】尚、エチレンオキシドの転化率はほぼ 100
%であり、エタノールアミン類以外の生成物はほとんど
できていなかった。また、反応器内部で気化したアンモ
ニアの量は、アンモニアの蒸発潜熱、および、反応器の
入口温度と出口温度との差を基準にして算出した。
【0052】〔実施例1〕0.05 mol/ Lの硝酸ランタン
水溶液10Lにモンモリロナイト200 gを撹拌しながら添
加した。この混合液を、室温で1日間撹拌し、その後、
濾過した。次いで、濾過によって得られた固形物を、10
Lの純水で洗浄し、その後、100 ℃で1日間乾燥した。
さらに、この固形物を、500 ℃で5時間、所定の方法に
より、空気流通下で高温処理した。得られた固形物を、
所定の方法により0.1 mm〜0.2 mmの粒径に粉砕して、触
媒(以下、説明の便宜上、触媒Aと称する)とした。
【0053】次いで、内容積60cm3 の反応器(ステンレ
ススチール管製:内径10.7mm)に触媒Aを充填した。一
方、反応器の前(上流側)に管状の予熱部(内径6mm、
長さ20cm)を設け、予熱器としてオイルバスを用いて、
上記予熱部を加熱した。次に、上記予熱部に、高圧ポン
プを用いて、いわゆる上昇法で液体アンモニアとエチレ
ンオキシドとを一定速度で連続的に送り込むことで、ア
ンモニアとエチレンオキシドとを混合・加熱し、反応器
に供給した。このときのエチレンオキシドに対するアン
モニアのモル比を10とした。反応器は、保温のために加
熱器(ヒータ)でわずかに加熱し、放熱で失われる熱量
を供給することで、実質的な断熱状態とした。このとき
の反応器の入口温度を70℃とし、反応圧を 10MPaに制御
した。そして、エチレンオキシドとアンモニアとを連続
的に反応させた。このときのLHSVは、5hr-1であっ
た。また、反応器の出口温度は、150 ℃であった。次
に、得られた反応液を捕集し、この反応液を、ガスクロ
マトグラフィーを用いて分析し、生成物であるエタノー
ルアミン類の選択率を求めた。この結果、モノエタノー
ルアミンの選択率は77.5重量%であり、ジエタノールア
ミンの選択率は20.0重量%であり、トリエタノールアミ
ンの選択率は 2.5重量%であった。反応条件および反応
結果を表1に示す。
【0054】〔実施例2〕実施例1において、反応圧力
を 10MPaから9MPa に変更した以外は、実施例1と同様
の反応・操作を行った。反応条件および反応結果を表1
に示す。
【0055】〔比較例1〕実施例1において、アンモニ
アが気化しないように反応圧を 10MPaから 20MPaに変更
した以外は、実施例1と同様の反応・操作を行った。反
応条件および反応結果を表1に示す。
【0056】〔実施例3〕実施例1において、エチレン
オキシドに対するアンモニアのモル比を10から20に変更
し、反応器の入口温度を70℃から 100℃に変更した以外
は、実施例1と同様の反応・操作を行った。反応条件お
よび反応結果を表1に示す。
【0057】〔比較例2〕実施例3において、アンモニ
アが気化しないように反応圧を 10MPaから 16MPaに変更
した以外は、実施例3と同様の反応・操作を行った。反
応条件および反応結果を表1に示す。
【0058】〔実施例4〕実施例1において、エチレン
オキシドに対するアンモニアのモル比を10から8に変更
し、反応器の入口温度を70℃から50℃に変更した以外
は、実施例1と同様の反応・操作を行った。反応条件お
よび反応結果を表1に示す。
【0059】〔比較例3〕実施例4において、アンモニ
アが気化しないように反応圧を 10MPaから 25MPaに変更
した以外は、実施例4と同様の反応・操作を行った。反
応条件および反応結果を表1に示す。
【0060】〔実施例5〕実施例1において、触媒を触
媒Aから陽イオン交換樹脂(ダウケミカル社製:DOW
EX(登録商標)、50W−X8、20〜50メッシュ;以
下、説明の便宜上、触媒Bと称する)に変更し、かつ、
エチレンオキシドに対するアンモニアのモル比を10から
20に変更すると共に、反応器の入口温度を70℃から90℃
に変更した以外は、実施例1と同様の反応・操作を行っ
た。反応条件および反応結果を表1に示す。
【0061】〔比較例4〕実施例5において、アンモニ
アが気化しないように反応圧を 10MPaから 20MPa
に変更した以外は、実施例5と同様の反応・操作を行っ
た。反応条件および反応結果を表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】〔実施例6〕内径20mm、長さ1700mmの
ジャケット付き反応器(ステンレススチール製)に、触
媒層長が1500mmとなるように触媒Bを充填した。このと
き、触媒層の入口から200mm〜 600mmの部分には、触媒
Bを、不活性な石英砂で体積が1:1となるように希釈
して充填した。また、反応器の中心部には、温度測定用
に外径3mmの温度計の保護管を取り付け、反応器は、保
温のためにジャケットに熱媒を流して100 ℃に保った。
次に、高圧ポンプを用いて、いわゆる上昇法で液体アン
モニアとエチレンオキシドとを1時間当たりの合計量が
4kgとなるように一定速度で送り込むことで、アンモニ
アとエチレンオキシドとを混合・加熱し、反応器に供給
した。このときのエチレンオキシドに対するアンモニア
のモル比を10とし、反応器の入口温度を60℃とし、反応
圧を8MPa に制御した。そして、エチレンオキシドとア
ンモニアとを連続的に反応させた。このときのLHSV
は、17hr-1であった。また、反応器の外壁は100 ℃に保
たれているので、反応熱は反応器壁を通して除去され、
反応器内の最高温度は120 ℃であった。このときの触媒
層内部の温度の分布を図1に示す。次に、得られた反応
液を捕集し、この反応液を、実施例1と同様の方法を用
いて分析し、生成物であるエタノールアミンの選択率を
求めた。反応条件および反応結果を表2に示す。
【0064】〔比較例5〕実施例6において、アンモニ
アが気化しないように反応圧を8MPa から 30PMaに変更
した以外は、実施例6と同様の反応・操作を行った。こ
のときの触媒層内部の温度の分布を図2に示す。また、
反応条件および反応結果を表2に示す。
【0065】〔実施例7〕実施例6と同様の反応器に、
触媒層長が1500mmとなるように触媒Aを充填した。この
とき、触媒層の入口から 200mm〜 800mmの部分には、触
媒Aを、不活性な石英砂で体積が1:1となるように希
釈して充填した。また、反応器の中心部には、温度測定
用に外径3mmの温度計の保護管を取り付け、反応器は、
保温のためにジャケットに熱媒を流して120 ℃に保っ
た。次に、高圧ポンプを用いて、いわゆる上昇法で液体
アンモニアとエチレンオキシドとを1時間当たりの合計
量が4kgとなるように一定速度で送り込むことで、アン
モニアとエチレンオキシドとを混合・加熱し、反応器に
供給した。このときのエチレンオキシドに対するアンモ
ニアのモル比を5とし、反応器の入口温度を50℃とし、
反応圧を10MPa に制御した。そして、エチレンオキシド
とアンモニアとを連続的に反応させた。このときのLH
SVは、16hr-1であった。また、反応器の外壁は120 ℃
に保たれているので、反応熱は反応器壁を通して除去さ
れ、反応器内の最高温度は146 ℃であった。このときの
触媒層内部の温度の分布を図3に示す。次に、得られた
反応液を捕集し、この反応液を、実施例1と同様の方法
を用いて分析し、生成物であるエタノールアミンの選択
率を求めた。反応条件および反応結果を表2に示す。
【0066】〔比較例6〕実施例7において、アンモニ
アが気化しないように反応圧を 10MPaから 40PMaに変更
した以外は、実施例7と同様の反応・操作を行った。こ
のときの触媒層内部の温度の分布を図4に示す。また、
反応条件および反応結果を表2に示す。
【0067】〔実施例8〕0.05 mol/ Lの硝酸イットリ
ウム水溶液 500Lにモンモリロナイト10kgを撹拌しなが
ら添加した。この混合液を、室温で1日間撹拌し、その
後、濾過した。次いで、濾過によって得られた固形物
を、 500Lの純水で洗浄し、結晶性セルロース粉末5kg
を加えてニーダーで混練した後、押し出し成形機で直径
0.4mm、長さ1mm〜3mmに成型した。さらに、この固形
物を、100 ℃で1日間乾燥後、500 ℃で5時間、所定の
方法により、空気流通下で高温処理することにより、触
媒(以下、説明の便宜上、触媒Cと称する)とした。
【0068】次いで、この触媒Cを用いて、図5に示す
反応装置を用いて反応を行った。先ず、内容積7Lの反
応器1(鋼製:内径60mm)に触媒C6Lを充填した。一
方、反応器の前(上流側)に、外部に図示しない電気ヒ
ータを設置した管状の予熱器2(予熱部の内径20mm、長
さ1m、直径5mm)を設け、予熱部を電気ヒータで加熱
した。次に、上記予熱器2に、高圧ポンプ3・5を用い
て、いわゆる上昇法で液体アンモニアとエチレンオキシ
ドとを一定速度で連続的に送り込んだ。これにより、ア
ンモニア原料ボンベ10内のアンモニアと、エチレンオ
キシド原料タンク11内のエチレンオキシドとを混合・
加熱し、反応器1に供給した。このときのエチレンオキ
シドに対するアンモニアのモル比を8とした。反応器1
は、保温のために図示しない加熱器(電気ヒータ)でわ
ずかに加熱し、放熱で失われる熱量を供給することで、
実質的な断熱状態とした。このときの反応器1の入口温
度を45℃とし、反応圧を 10MPaに制御した。そして、エ
チレンオキシドとアンモニアとを連続的に反応させた。
このときのLHSVは、3.5hr -1であった。また、反応
器1の出口温度は155 ℃であった。反応器1を出た反応
液は、圧力制御弁6の制御により2MPa まで圧力を下
げ、アンモニア回収塔7へ導入した。ここで、未反応の
アンモニアは、反応で生成したエタノールアミン類と分
離し、アンモニア凝縮器9で凝縮させて回収アンモニア
タンク8に回収し、高圧ポンプ4によって反応器1へと
リサイクルすることによって再使用した。一方、生成物
であるエタノールアミン類は捕集した。このリサイクル
反応を 400時間継続し、反応活性が安定したことを確認
して、実施例1と同様の方法により、生成物であるエタ
ノールアミン類の選択率を求めた。この結果、モノエタ
ノールアミンの選択率は73.0重量%であり、ジエタノー
ルアミンの選択率は23.5重量%であり、トリエタノール
アミンの選択率は 3.5重量%であった。また、アンモニ
アのリサイクル使用による副生物の蓄積や、触媒Aによ
るエタノールアミン類の選択性の変化等は見受けられ
ず、安定した製造が可能であった。
【0069】
【表2】
【0070】上記実施例および比較例の結果から明らか
なように、実施例1〜5の反応器の出口温度、並びに、
実施例6および7の触媒層最高温度は、何れの条件に設
定した場合でも、対応する比較例の反応器の出口温度あ
るいは触媒層最高温度と比較して低く保たれていること
が判る。さらに、比較例1・3・5・6では、アンモニ
アとアルキレンオキシドとのモル比を低くして反応させ
ると、反応熱により、反応器の出口温度または触媒層最
高温度が著しく高くなっているのに対し、実施例1・2
・4・6〜8では、アンモニアとアルキレンオキシドと
のモル比を低くして反応させても、反応温度の上昇を抑
えることができることが判る。このことから、本発明の
製造方法を用いれば、需要に応じてアンモニアとアルキ
レンオキシドとのモル比を自在に変化させることが可能
となる。
【0071】さらに、比較例1〜4の反応器の出口温度
および比較例6の触媒層最高温度は、対応する実施例の
反応器の出口温度あるいは触媒層最高温度と比較して、
かなり高いことから、比較例1〜6で得られたエタノー
ルアミン類は、それぞれ実施例1〜7で得られたエタノ
ールアミン類に比べて、品質的に劣っていることがうか
がえる。
【0072】また、比較例4における反応器の出口温度
および比較例5における触媒層最高温度は、触媒Bの常
用耐熱温度である 120℃を大きく越えていることから、
触媒の寿命の点で問題がある。これまで、触媒Bをはじ
めとするイオン交換樹脂は、選択性や触媒活性に優れる
ことから、工業的に広く使用されているものの、アンモ
ニアとアルキレンオキシドとのモル比を20以下にして反
応させると、比較例4・5でみられるように、反応熱に
より、触媒の耐熱温度を大きく越えてしまい、この結
果、触媒が著しく劣化するという問題点を有していた。
ところが、本実施例の方法によれば、触媒の耐熱温度以
下の温度で反応させることができるため、触媒の寿命を
引き延ばすことができる。
【0073】以上のことから、本発明の方法によれば、
反応熱を有効に回収することで、反応温度の上昇を抑え
ることができる。さらに、アンモニアの気化を抑えるた
めに、高い反応圧力をかける必要がない。このため、ア
ンモニアの回収・循環のための装置にかかる費用を削減
し、経済的にアルカノールアミンを製造することができ
る。また、アンモニアとアルキレンオキシドとのモル比
を需要に応じて自在に変化させることができるので、所
望するアルカノールアミンを生産性良く得ることができ
る。
【0074】
【発明の効果】本発明は、以上のように、一般式(I)
【0075】
【化5】
【0076】(式中、R1 、R2 、R3 およびR4 はそ
れぞれ独立して水素原子、メチル基、またはエチル基を
表す)で表されるアルキレンオキシドと液体アンモニア
とを、連続流通式反応器内で不均一系触媒の存在下で反
応させることにより、一般式(II)
【0077】
【化6】
【0078】(式中、R1 、R2 、R3 およびR4 はそ
れぞれ独立して水素原子、メチル基、またはエチル基を
表し、mおよびnは(m+n)が1〜3となる0〜3の
整数を表す)で表されるアルカノールアミンを製造する
方法において、反応圧を上記反応器内部の最高温度にお
ける反応液の蒸気圧以下に制御することにより、該液体
アンモニアの一部を気化させる方法である。
【0079】また、本発明のアルカノールアミンの製造
方法は、以上のように、上記アルキレンオキシド1モル
に対する液体アンモニアの添加量が1モル〜50モルの範
囲内、反応温度が20℃〜 300℃の範囲内、かつ、反応圧
が2MPa 〜 30MPaの範囲内である方法である。
【0080】さらに、本発明のアルカノールアミンの製
造方法は、以上のように、反応器内部における液体アン
モニアの気化率が1重量%〜80重量%の範囲内である方
法である。
【0081】また、本発明のアルカノールアミンの製造
方法は、以上のように、反応を断熱的に行う方法であ
る。
【0082】さらに、本発明にかかるアルカノールアミ
ンの製造方法は、以上のように、未反応のアンモニアを
回収し、再利用する方法である。
【0083】本発明にかかる製造方法によれば、アンモ
ニアとアルキレンオキシドとを反応させる際に、反応熱
がアンモニアの気化熱として反応系から奪われる。この
ため、原料中のアルキレンオキシド濃度が比較的高い場
合でも、反応を断熱的に行うことができる。このよう
に、本発明によれば、反応熱が、アンモニアの気化熱と
して使われて有効に回収(除熱)されることから、反応
器内部の温度上昇を抑えることができる。
【0084】また、反応熱はアンモニアの気化熱として
使われて効率的に回収されるため、従来のように、反応
熱を抑えるためにアンモニアとアルキレンオキシドとの
モル比を大きくする必要がない。つまり、アルキレンオ
キシドに対するアンモニアのモル比を小さく(即ち、反
応液におけるアルキレンオキシドの濃度を高く)するこ
とができる。さらに、全てのアンモニアを液相状態に保
つ必要がないため、反応圧を低くすることができる。こ
れにより、反応器(連続流通式反応器)や、アンモニア
の回収および循環のための装置を小型化することができ
る。このことから、アルカノールアミン類を製造するた
めの設備費を低減させることができると共に、アンモニ
アとアルキレンオキシドとを効率良く反応させることが
できる。従って、アンモニアとアルキレンオキシドとの
反応におけるプロセス全体にかかる費用を低減させるこ
とができる。
【0085】また、反応器内部の温度上昇を抑えること
ができるので、イオン交換樹脂等の耐熱性に劣る触媒を
用いる場合でも、アルキレンオキシドの濃度を高くして
反応を行うことができる。このことから、本発明に係る
製造方法は、モノアルカノールアミンだけを製造する場
合にも、ジエタノールアミンやトリエタノールアミンを
製造する場合にも、適用することができる。また、イオ
ン交換樹脂の耐熱温度以下の温度で反応を行うことがで
きるので、イオン交換樹脂の劣化を抑制することができ
る。このことから、触媒の寿命を引き延ばすことができ
る。
【0086】さらに、本発明によれば、以上のように、
反応温度の上昇を抑え、反応圧を低減させることができ
ることから、アンモニアとアルキレンオキシドとのモル
比を需要に応じて自在に変化させることができる。この
ように、アンモニアとアルキレンオキシドとのモル比を
需要に応じて自在に変化させることにより、アンモニア
1分子に対するアルキレンオキシド分子の付加数が1,
2,3の3種の生成物(モノアルカノールアミン、ジア
ルカノールアミン、トリアルカノールアミン)の生成比
を自在に制御することができるので、所望するアルカノ
ールアミン類を生産性良く製造することができるという
効果を併せて奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例6における反応器の触媒層内部の温度の
分布を示すグラフである。
【図2】比較例5における反応器の触媒層内部の温度の
分布を示すグラフである。
【図3】実施例7における反応器の触媒層内部の温度の
分布を示すグラフである。
【図4】比較例6における反応器の触媒層内部の温度の
分布を示すグラフである。
【図5】本発明の製造方法を実施するための反応装置の
一例を概略的に示すブロック図である。
【符号の説明】
1 反応器 2 予熱器 3 高圧ポンプ 4 高圧ポンプ 5 高圧ポンプ 6 圧力制御弁 7 アンモニア回収塔 8 回収アンモニアタンク 9 アンモニア凝縮器 10 アンモニア原料ボンベ 11 エチレンオキシド原料タンク

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I) 【化1】 (式中、R1 、R2 、R3 およびR4 はそれぞれ独立し
    て水素原子、メチル基、またはエチル基を表す)で表さ
    れるアルキレンオキシドと液体アンモニアとを、連続流
    通式反応器内で不均一系触媒の存在下で反応させること
    により、一般式(II) 【化2】 (式中、R1 、R2 、R3 およびR4 はそれぞれ独立し
    て水素原子、メチル基、またはエチル基を表し、mおよ
    びnは(m+n)が1〜3となる0〜3の整数を表す)
    で表されるアルカノールアミンを製造する方法におい
    て、 反応圧を上記反応器内部の最高温度における反応液の蒸
    気圧以下に制御することにより、該液体アンモニアの一
    部を気化させることを特徴とするアルカノールアミンの
    製造方法。
  2. 【請求項2】上記アルキレンオキシド1モルに対する液
    体アンモニアの添加量が1モル〜50モルの範囲内、反応
    温度が20℃〜 300℃の範囲内、かつ、反応圧が2MPa 〜
    30MPaの範囲内であることを特徴とする請求項1記載の
    アルカノールアミンの製造方法。
  3. 【請求項3】反応器内部における液体アンモニアの気化
    率が1重量%〜80重量%の範囲内であることを特徴とす
    る請求項1または2記載のアルカノールアミンの製造方
    法。
  4. 【請求項4】反応を断熱的に行うことを特徴とする請求
    項1、2または3記載のアルカノールアミンの製造方
    法。
  5. 【請求項5】未反応のアンモニアを回収し、再利用する
    ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のア
    ルカノールアミンの製造方法。
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JP2003535838A (ja) * 2000-06-09 2003-12-02 ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト アルカノールアミンの製造方法
JP2014030820A (ja) * 2012-07-10 2014-02-20 Japan Organo Co Ltd 白金族金属担持触媒及び反応装置

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JP2003535838A (ja) * 2000-06-09 2003-12-02 ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト アルカノールアミンの製造方法
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