JP3421272B2 - ジアルカノールアミン製造用反応装置および製造方法 - Google Patents

ジアルカノールアミン製造用反応装置および製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】固体触媒を用いてアンモニア
およびモノアルカノールアミンとアルキレンオキシドを
反応させてジアルカノールアミンを製造する際に用いる
反応装置とその反応装置を用いてジアルカノールアミン
を選択的に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルキレンオキシドをアンモニアでアミ
ノ化してアルカノールアミン類を製造する方法として
は、工業的にはエチレンオキシドとアンモニア水(20
〜40重量%のアンモニア濃度)とを反応させてエタノ
ールアミン類を製造する方法が行われている。この方法
では、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ト
リエタノールアミンの3種が生ずるが、これらの中でト
リエタノールアミンの需要が減退しているので、トリエ
タノールアミンの生成を抑えることが求められている。
そのため、通常、アンモニアとエチレンオキシドとのモ
ル比を3〜5程度とアンモニア大過剰にして反応を行う
が、それでもトリエタノールアミンの選択率は10〜2
0重量%ないしそれ以上であリ、ジエタノールアミンの
選択率も40重量%以下である。
【0003】一方、水が存在しない系ではアルキレンオ
キシドとアンモニアとは、ほとんど反応しない。従っ
て、このような反応には、触媒の存在が不可欠であり、
例えば、有機酸類、無機酸類、アンモニウム塩などの均
一系の触媒が提案されている(スエーデン国特許第15
8167号)。均一系の触媒では触媒の分離に難点があ
り、また性能も十分ではなかった。
【0004】この均一系の酸触媒を固定化する試みとし
て、スルホン酸基を樹脂に固定したイオン交換樹脂が提
案された(特公昭49−47728号)。この触媒は比
較的活性および選択性がよく工業的に実施されている。
しかし、イオン交換樹脂では最高使用温度が低いという
問題がある。通常、市販されているイオン交換樹脂の使
用できる最高温度は120℃程度とかなり低く(「イオ
ン交換−理論と応用への手引き−」黒田六朗・渋川雅美
共訳、1981年丸善株式会社発行、34ページ参
照)、アンモニアとエチレンオキシドとのモル比を低く
して反応すると、反応熱のため触媒層の温度が耐熱温度
を超えてしまい、長期間このような温度条件で使用する
と触媒が劣化してしまうという問題がある。このため、
アンモニアとエチレンオキシドとのモル比を20〜25
程度以下にすることは困難である。そこで、耐熱性が低
いというイオン交換樹脂の欠点を克服するために、熱安
定性に優れる無機の触媒が検討されてきた。
【0005】米国特許第4438281号では、一般的
によく用いられるシリカアルミナが活性を示すことが開
示されている。
【0006】インダストリアル・アンド・エンジニアリ
ングケミストリー、プロダクトリサーチ・アンド・デベ
ロップメント、1986年、25巻、424〜430頁
には、イオン交換樹脂と、各種ゼオライト触媒などが比
較検討されているが、特にモノアルカノールアミンへの
選択性の面ではイオン交換樹脂に勝るものではなかっ
た。
【0007】また、特開平2−225446号公報で
は、酸活性化粘土触媒が開示されている。これらの触媒
でも、モノエタノールアミンの収率が60重量%以上も
の高いものもある。しかし、いずれもモノアルカノール
アミンへの選択率が十分ではないので、アンモニアとエ
チレンオキシドとのモル比を20〜30倍以上にして反
応を行っており、アンモニアを回収し循環使用するため
の設備費が大きくて実用上困難が多い。
【0008】これらの問題を解決するために、特開平7
−173114号公報では希土類元素を耐熱性担体に担
持した触媒を用いて、高活性で且つモノアルカノールア
ミンを高選択的に製造できる触媒が提案されている。し
かし、これらの触媒の目的はモノアルカノールアミンを
高選択的に製造することにあり、ジアルカノールアミン
を製造するにはまだ不十分である。
【0009】有効細孔径が0.45nmないし0.8nmで
あるマイクロポーラスマテリアルあるいは、これらのマ
イクロポーラスマテリアルをイオン交換および/または
表面処理した触媒を用いることによって、ジアルカノー
ルアミンの選択性の高い触媒を得ることができる。
【0010】これらの触媒を用いて、更にジアルカノー
ルアミンを高い選択率で得たい場合には生成したモノア
ルカノールアミンを分離した後一部を反応系にリサイク
ルすることでジアルカノールアミンの生成量を増大させ
ることができるが、具体的な反応装置や反応方法の開示
はなく実用上はまだ問題が残る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】触媒の存在しない系で
も、アルキレンオキシドとモノアルカノールアミンやジ
アルカノールアミンはかなりの反応速度で反応し、その
速度はほぼ同程度か、ジアルカノールアミンの反応速度
の方が大きく、ジアルカノールアミン生成の選択性はな
い。従って、アンモニアとアルキレンオキシドの反応に
よってジアルカノールアミンを得るためモノエタノール
アミンをリサイクルする際に、触媒層に到達する前にア
ルキレンオキシドとモノアルカノールアミンの反応によ
って、ジアルカノールアミンのみならずトリアルカノー
ルアミンが生成して、ジアルカノールアミンの選択性を
低下させてしまうと同時に不要なトリエタノールアミン
が増加するという問題があった。
【0012】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するた
め、鋭意検討の結果、アンモニアとモノアルカノールア
ミンを混合した後予熱した反応流体中にアルキレンオキ
シドを供給する構造を持つ反応装置を用いれば、トリエ
タノールアミンの副生を抑制できることを見いだし、本
発明を完成した。また、その供給口から、触媒層入口ま
での有効容積が、反応器内に充填された触媒層の体積の
0.5倍以下である反応器を用いれば、さらにトリエタ
ノールアミンの副生を抑制できる。
【0013】本発明の目的は、固体触媒を用いてアンモ
ニア、モノアルカノールアミンおよびアルキレンオキシ
ドとを反応させてジアルカノールアミンを製造するため
の反応装置であって、該反応装置がアンモニアとモノア
ルカノールアミンとを混合するための混合器と、前記混
合器からでる流体を所定温度に予熱するための予熱器
と、アルキレンオキシドを供給するための供給口を有
し、前記予熱器と反応器との間に設けられてなり、前記
予熱器で予熱された流体中に前記供給口からアルキレン
オキシドを供給して混合するためのアルキレンオキシド
混合器と、前記アルキレンオキシド混合器からでる予熱
されたアンモニア、モノアルカノールアミンおよびアル
キレンオキシドが導入される、固体触媒が充填された触
媒層を有する反応器とを含むことを特徴とするジアルカ
ノールアミンの製造用の反応装置によって、達成され
る。
【0014】また、本発明の目的は、固体触媒を用いて
アンモニア、モノアルカノールアミンおよびアルキレン
オキシドとを反応させてジアルカノールアミンを製造す
る際に、アンモニアとモノアルカノールアミンとを混合
し所定温度に予熱した流体中にアルキレンオキシドを供
給することを特徴とするジアルカノールアミンの製造方
法によって、達成される。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明は、固体触媒を用いてアン
モニア、モノアルカノールアミンおよびアルキレンオキ
シドとを反応させてジアルカノールアミンを製造する際
に、アンモニアとモノアルカノールアミンとを混合し所
定温度に予熱した流体中にアルキレンオキシドを供給す
る構造を持つことを特徴とするジアルカノールアミン製
造用反応装置に関する。ここで、かかる反応装置は、ア
ンモニアとモノアルカノールアミンとを混合するための
混合器と、前記混合器からでる流体を所定温度に予熱す
るための予熱器と、アルキレンオキシドを供給するため
の供給口を有し、前記予熱器と反応器との間に設けらて
なり、前記予熱器で予熱された流体中に前記供給口から
アルキレンオキシドを供給して混合するためのアルキレ
ンオキシド混合器と、前記アルキレンオキシド混合器か
らでる予熱されたアンモニア、モノアルカノールアミン
およびアルキレンオキシドが導入される、固体触媒が充
填された触媒層を有する反応器とを含んでいる。
【0016】アンモニアとモノアルカノールアミンとを
混合するための混合器の例として、アンモニアとモノア
ルカノールアミンが混合できれば特に限定されることは
なく、例えばアンモニアの配管に対しモノアルカノール
アミンの配管を、T字またはY字型などに結合する方法
が挙げられる。
【0017】混合器からでる流体を所定温度に予熱する
ための予熱器の例として、アンモニアとモノアルカノー
ルアミンとからなる混合流体を予熱できれば特に限定さ
れることはなく、例えば、熱交換器、特に予熱器が挙げ
られる。熱交換器としては、多管式熱交換器、二重管式
熱交換器、単管式熱交換器、プレート式熱交換器などを
挙げることができるが、なかでも熱交換効率の観点から
多管式またはプレート式が好ましい。
【0018】アルキレンオキシドを供給するための供給
口を有し、前記予熱器と反応器との間に設けらてなり、
前記予熱器で予熱された流体中に前記供給口からアルキ
レンオキシドを供給して混合するためのアルキレンオキ
シド混合器の例として、予熱流体とアルキレンオキシド
が混合できれば特に限定されることはないが、例えば予
熱流体の配管に対しアルキレンオキシドの配管を、T字
またはY字型などに結合する方法またはノズルを用いる
混合方法が挙げられる。混合効率の観点から、T字でノ
ズルを持つ構造の方法が好ましい。
【0019】アルキレンオキシド混合器からでる予熱さ
れたアンモニア、モノアルカノールアミンおよびアルキ
レンオキシドが導入される、固体触媒が充填された触媒
層を有する反応器の例として、反応が断熱反応であるこ
とから、断熱反応を行える反応器であれば特に限定され
ることはなく、固定床式反応器、多段式固定床反応器な
どを挙げることができる。これらの反応器のなかでも設
備費の観点から固定床式反応器が好ましい。
【0020】本発明の反応装置において、さらに、アル
キレンオキシドの供給口から、触媒層入口までの有効容
積が、反応器内に充填された触媒層の体積の0.5倍以
下、好ましくは0.2倍以下とすることが好ましい。こ
こで、有効容積とは、アンモニアとモノアルカノールア
ミンとの混合流体に供給されるアルキレンオキシドの供
給口から反応器に充填されている触媒層の入口までの容
積をいう。この容積の大きさに注目するのは、ジアルカ
ノールアミンが無触媒反応によりトリアルカノールアミ
ンに転換するからである。すなわち、この有効容積が大
きすぎるとトリアルカノールアミンが生成し、ジアルカ
ノールアミンの選択率が低下するからである。また、触
媒層の体積とは触媒だけではなく、触媒とその空隙を含
む見掛けの容積をいう。すなわち、ジアルカノールアミ
ンの選択率低下を押さえるためには、無触媒反応による
トリアルカノールアミンの生成を抑制する必要がある。
触媒層までの死容積を極力減少させることによって、無
触媒反応を抑えることができる。
【0021】また、本発明の反応装置において、さら
に、アルキレンオキシド混合器と反応器との間にスタテ
ィックミキサー(無撹拌型混合器)が設けられてなるこ
とが好ましい。かかるスタティックミキサーを設けるこ
とにより、流体の混合効率が向上するからである。
【0022】さらに、本発明の反応装置において、反応
器内において流体の上流側に通液性不活性材が充填され
てなることが好ましい。ここで、通液性不活性材の例と
して、反応原料と相互作用を起こさなければ特に限定は
されることなく、例えば、石英、α−アルミナ、ステン
レススチール、炭化珪素、シリカ製などの粒状物などの
成型物、破砕片、ウールを挙げることができる。かかる
通液性不活性材を設けることにより、効果的に流体を予
熱することができ、反応効率を容易に向上させることが
できる。
【0023】本発明の方法は、固体触媒を用いてアンモ
ニア、モノアルカノールアミンおよびアルキレンオキシ
ドとを反応させてジアルカノールアミンを製造する際
に、アンモニアとモノアルカノールアミンとを混合し所
定温度に予熱した流体中にアルキレンオキシドを供給す
ることを特徴とするジアルカノールアミンの製造方法に
関する。
【0024】本発明に用いられる固体触媒としては、ア
ルカノールアミン製造用の触媒であれば特に限定される
ことなく、使用することができる。このような触媒の例
として、例えば、従来公知のアルカノールアミン製造用
のイオン交換樹脂単体;ゼオライト単体;ランタン、セ
リウム、プラセオジウム、ネオジウム、サマリウム、ユ
ーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウ
ム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウ
ム、ルテリウム、スカンジウムまたはイットリウムなど
の希土類元素を含む化合物を比表面積が1〜500m2
/gの無機質の耐熱性担体、例えば、天然物(珪藻土、
軽石、粘土など)、単独酸化物、(シリカ、アルミナ、
チタニア、ジルコニアなど)、複合酸化物(シリカアル
ミナ、チタニアシリカ、ジルコニアシリカ、ペロブスカ
イトなど)、無機耐火物(炭化珪素、窒化珪素、グラフ
ァイトなど)または無機のイオン交換体(SAPO,M
eAPO、メタロシリケート、層状粘土化合物、イオン
交換樹脂、ゼオライトなど)に担持した触媒、または前
記希土類元素を含む化合物と前記耐熱性担体を成型した
ものなどを挙げることができる。これらの触媒のなかで
も、ジエタノールアミンの選択性の観点から希土類元素
でイオン交換されたゼオライトの成型物が好ましい。こ
こで、触媒費用の観点から希土類元素としては、ランタ
ン、イットリウム、セリウムなどが好ましい。
【0025】本発明に関わる原料のアルキレンオキシド
は、炭素数2〜4の下記構造式1で表される化合物:
【0026】
【化1】
【0027】(ただし、式中、R1,R2,R3およびR4
は各々独立して水素原子、メチル基又はエチル基を表
す。)であることが好ましく、エチレンオキシド、プロ
ピレンオキシドなどが例示される。
【0028】また、本発明に関わる原料のモノアルカノ
ールアミンは、下記構造式2で表される化合物:
【0029】
【化2】
【0030】(ただし、式中、R1,R2,R3およびR4
は構造式1と同じである)であることが好ましく、モノ
エタノールアミンなどが例示される。
【0031】モノアルカノールアミンは、従来のアルカ
ノールアミンの製造の際などで生成したモノアルカノー
ルアミンを蒸留などの従来公知の方法で分離した後、そ
の一部を原料として使用することが可能である。
【0032】これらの原料に対応してジアルカノールア
ミンが得られるが、下記構造式3で表されるジアルカノ
ールアミン:
【0033】
【化3】
【0034】(ただし、式中、R1,R2,R3およびR4
は構造式1と同じである)が好ましく、ジエタノールア
ミンなどが例示される。
【0035】本発明方法において、アルキレンオキシド
が供給された予熱流体が前記触媒に到達する時間を、触
媒層滞留時間の0.5倍以下にするとすることが好まし
い。ここで、触媒層の滞留時間は、(触媒層の体積)/
(原料流体の体積流量)で表される。
【0036】また、本発明方法において、さらに、触媒
層入口での流体温度を触媒層出口温度より50℃以上低
くすることが好ましい。この反応は断熱反応であること
から、触媒層の断面方向の温度は実質的に均一であると
仮定できる。触媒層入口の流体温度を触媒層出口温度よ
りも50℃、好ましくは60℃以下にすることにより、
無触媒反応領域でのトリアルカノールアミンの生成速度
を低下させ、トリアルカノールアミンの生成を抑制する
ことができる。ひいては、ジアルカノールアミンの選択
率の低下を防止することができる。すなわち、触媒層入
口温度を必要最小限度まで押さえることで、無触媒反応
領域での反応速度を低下させ、トリアルカノールアミン
の生成を押さえることができる。
【0037】さらに、本発明方法において、多段式反応
器を用いる場合に、2段目以降の触媒層入口での流体温
度を1段前の触媒層出口温度の50度以下まで冷却する
ことが好ましい。2段目以降の触媒層入口での流体温度
を1段前の触媒層出口温度の50度以下、好ましくは6
0℃以下にまで冷却することにより、無触媒反応領域で
のトリアルカノールアミンの生成速度を低下させ、トリ
アルカノールアミンの生成を抑制することができ、ジア
ルカノールアミンの選択率の低下を防止することができ
る。
【0038】さらに、反応器は単数、または複数設ける
ことができるが、目的とするジアルカノールアミン生産
化率の程度に応じて、反応器の数を選択することができ
る。
【0039】本発明の反応は液相状態で行わなければな
らないので、反応圧は反応器内の最高温度における反応
液の蒸気圧より高く保つ必要がある。反応器の後半で
は、アンモニアの一部を気化させその蒸発潜熱で温度上
昇を抑えることができる。この場合は、反応液の蒸気圧
より低くする。
【0040】反応は、触媒に対し、ダウンフロー(下向
流)、アッパーフロー(上向流)またはホリゾンタルフ
ロー(水平流)の方式でもよいが、通常、触媒の充填の
観点からアッパーフロー方式が好ましい。
【0041】ジアルカノールアミン類の製造は、通常、
5〜300℃、好ましくは20〜200℃の温度範囲で
実施することが好ましい。操作圧力は、通常、5〜20
MPa、好ましくは7〜15MPaである。
【0042】アンモニアとモノアルカノールアミンとの
モル比は、反応系内でモノアルカノールアミンが実質的
に消費されない量より多ければ特に限定はされないが、
通常、200:1〜1:2、好ましくは100:1〜
1:1、さらに好ましくは50:1〜2:1の範囲であ
る。
【0043】アルキレンオキシドとモノアルカノールア
ミンとのモル比は、通常、1:0.01〜1:20、好
ましくは1:0.05〜1:10、さらに好ましくは
1:0.1〜1:8の範囲である。アルキレンオキシド
が0.01未満の場合にはジエタノールアミンが増加せ
ず、一方、20を越える場合にはモノアルカノールアミ
ンのリサイクルが過大であり好ましくない。
【0044】また、上述の反応条件下、毎時空間速度
(LHSV)が0.1〜50の範囲が、生産性の観点か
ら好ましい。
【0045】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。実施例は、主に、アルキレンオキシドとしてエチ
レンオキシドを用い、ジエタノールアミンの製造する場
合について述べるが、これは説明の目的だけであって、
本発明を限定するものではない。
【0046】実施例 1 図1は反応装置の模式図を示す。図1に示された模式図
の装置を用いて液相反応を行った。アンモニアライン1
6とリサイクルされたモノアルカノールアミンライン1
7は混合器18で混合され、かかる混合物(流体)は予
熱器15で所定温度に昇温された後、アルキレンオキシ
ド混合器14において、アルキレンオキシドライン19
を経由したアルキレンオキシドと混合される。反応器入
口部13の容積を含む有効容積は、触媒(充填)層12
の容積の0.5倍以下にする。
【0047】具体的には、反応器11は外部に保温用の
ヒータを巻き、保温材で保温した内径20mm、長さ2
00mmのステンレス製管を用いた。反応器(触媒層)
入口部13には触媒保持を兼ねて10mm厚さ石英ウー
ルを敷き詰めた。予熱器15には外部に加熱用ヒータを
巻いた、内径10mm長さ100mmのステンレス製管
を用いた。予熱器の温度は予熱器の中間部分の流体温度
で制御した。
【0048】触媒層12には、ランタンでイオン交換さ
れたZSM−5ゼオライトを圧縮成型し、50〜100
メッシュに破砕したものを10cm3充填した。
【0049】アンモニア 18.8g/hr、モノエタ
ノールアミン 6.7g/hrの速度で高圧ポンプを用
いて予熱器へ反応流体を送り込み、70℃に加熱した。
そこへエチレンオキシドを 3.23g/hrで追加
し、反応器へ送り込んだ(LHSV=4.9hr-1)。
反応器入口温度は60℃であった。反応圧は反応器出口
の制御弁で10MPaに一定に制御した。反応器出口で
触媒層の温度は130℃になっていた。
【0050】反応器出口の生成物を分析し、エタノール
アミン類の組成分布を求めたところ、MEA65.8重
量%、ジエタノールアミン(DEA)32.2重量%、
トリエタノールアミン(TEA)2.0重量%であっ
た。リサイクルMEAを除いたDEAの選択率は90重
量%であった。性能評価上はDEAを製造する際に副生
するTEAを押さえながら、どれだけDEAを選択的に
製造できるかが重要である。その指標として、TEAと
DEAの生成比を用いる。本実施例では、TEA/DE
A=0.062であった。条件とTEA/DEA比率を
表1に示す。
【0051】比較例 1 図2は、反応装置の模式図を示す。図2に示された模式
図の装置を用いて反応を行った。図中の符号は図1と同
じである。
【0052】用いた反応器、予熱器は同じであるが、エ
チレンオキシドは予熱器の前で混合した。予熱器と合わ
せた容積は8cm3であった。
【0053】実施例1と同様の操作で反応を行い結果を
表1に示す。
【0054】比較例 2 比較例 1と同じ装置を用い、予熱器温度の設定温度を
90℃とし、原料の供給速度をそれぞれ2倍にした以外
は、同様の操作を行い、得られた結果を表1に示す。
【0055】予熱器内でも反応が進行し、反応器入口で
の温度は98℃にまで上昇していた。反応器出口温度は
140℃であった。
【0056】実施例 2 図3は本実施例の反応装置の模式図を示す。図3におい
て、符号310に10または20を加えた符号はそれぞ
れ符号310〜319と同じ部材又は部品を示す。図3
において、アンモニアライン316とモノアルカノール
アミンライン317は混合器318で混合され、予熱器
315で所定温度まで加熱された後、319から供給し
たエチレンオキシドと混合され反応器311に供給され
る。反応器出口流体を出口温度より50℃以上315の
熱交換器で冷却後、追加のエチレンオキシドを329か
ら供給して混合し、さらに2段目の反応器321へ供給
する。さらに、反応器出口流体を出口温度より50℃以
上316の熱交換器で冷却後、追加のエチレンオキシド
を339から供給して混合し、さらに3段目の反応器3
31へ供給する。
【0057】
【表1】
【0058】DEA:ジエタノールアミン TEA:トリエタノールアミン 表1から次のことがわかる。 (1)比較例1では、トリエタノールアミンが実施例1
より多く生成した。 (2)比較例2では、温度を上げため生産性は向上して
いるが、TEAがかなり生成していた。このことは、反
応器内の触媒層にいたる前に、無触媒でDEAがTEA
に転換する反応が起こっていてるためと推測される。
【0059】
【発明の効果】本発明の反応装置により、ジアルカノー
ルアミンからトアルカノールアミンへの反応を抑制で
き、ジアルカノールアミンの選択率の低下を減少させる
ことができる。
【0060】本発明の方法により、ジアルカノールアミ
ンからトリアルカノールアミンへの反応を抑制でき、簡
便な方法でかつ効率よくジアルカノールアミンを製造す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の反応装置の模式図である。
【図2】 比較例1の反応装置の模式図である。
【図3】 実施例2の反応装置の模式図である。
【付号の説明】
11、311…反応器 12、312…触媒層 13、313…反応器入口部 14、314…アルキレンオキシド混合器 15、315…予熱器 16、316…アンモニアライン 17、317…モノアルカノールアミンライン 18、318…混合器 19、319…アルキレンオキシドライン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C07C 215/08 C07C 215/08 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01J 8/00 C07C 215/00

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固体触媒を用いてアンモニア、モノアル
    カノールアミンおよびアルキレンオキシドとを反応させ
    てジアルカノールアミンを製造するための反応装置であ
    って、該反応装置がアンモニアとモノアルカノールアミ
    ンとを混合するための混合器と、 前記混合器からでる流体を所定温度に予熱するための予
    熱器と、 アルキレンオキシドを供給するための供給口を有し、前
    記予熱器と反応器との間に設けられてなり、前記予熱器
    で予熱された流体中に前記供給口からアルキレンオキシ
    ドを供給して混合するためのアルキレンオキシド混合器
    と、 前記アルキレンオキシド混合器からでる予熱されたアン
    モニア、モノアルカノールアミンおよびアルキレンオキ
    シドが導入される、固体触媒が充填された触媒層を有す
    る反応器とを含むことを特徴とするジアルカノールアミ
    ンの製造用の反応装置。
  2. 【請求項2】 アルキレンオキシドの供給口から、触媒
    層入口までの有効容積が、反応器内に充填された触媒層
    の体積の0.5倍以下である請求項1記載の反応装置。
  3. 【請求項3】 さらに、前記反応器内において流体の上
    流側に通液性不活性材が充填されてなる請求項1又は請
    求項2に記載の反応装置。
  4. 【請求項4】 固体触媒を用いてアンモニア、モノアル
    カノールアミンおよびアルキレンオキシドを反応させて
    ジアルカノールアミンを製造する際に、アンモニアとモ
    ノアルカノールアミンとを混合し所定温度に予熱した流
    体中にアルキレンオキシドを供給することを特徴とする
    ジアルカノールアミンの製造方法。
  5. 【請求項5】 アルキレンオキシドが供給された予熱流
    体が前記触媒に到達する時間を、触媒層滞留時間の0.
    5倍以下にする請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 触媒層入口での流体温度を触媒層出口温
    度より50度以上低くする請求項4又は請求項5に記載
    の方法。
  7. 【請求項7】 多段式反応器を用いる場合に、2段目以
    降の触媒層入口での流体温度を1段前の触媒層出口温度
    の50度以下まで冷却する請求項4〜6のいずれか1項
    に記載の方法。
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