JPH0952326A - 易裂性ラミネートフィルム及び易裂性袋 - Google Patents

易裂性ラミネートフィルム及び易裂性袋

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JPH0952326A
JPH0952326A JP20431995A JP20431995A JPH0952326A JP H0952326 A JPH0952326 A JP H0952326A JP 20431995 A JP20431995 A JP 20431995A JP 20431995 A JP20431995 A JP 20431995A JP H0952326 A JPH0952326 A JP H0952326A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた強度、酸素ガスバリヤ性、手でも裂け
る優れた引き裂き性等とを兼ね備えた易裂性ラミネート
フィルムを提供することを目的とする。 【解決の手段】 厚さ30μm以下で少なくとも1方の
面に塩化ビニリデン系樹脂層が形成された脂肪族ポリア
ミド系二軸延伸フィルム層、厚さ30μm以下で消光位
の角度(主軸の傾き)が30゜以内である脂肪族ポリア
ミド系二軸延伸フィルム層、及びシーラント層の少なく
とも3層よりなることを特徴とする易裂性ラミネートフ
ィルム、及び該易裂性ラミネートフィルムのシーラント
層同士を熱溶着させて製袋して成る易裂性袋。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸素ガスバリヤ
性、強靱性等に優れ、また、開封時に手で簡単に開封で
き、かつ保存時には充分な強度を持った食品、医療品、
及び薬品等の包装用フィルムに適する易裂性ラミネート
フィルム及び易裂性袋に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ポリアミド系二軸延伸フィル
ムは、包装用フィルムとして使用されており、中でも強
度と酸素ガスバリヤ性が要求される用途には、塩化ビニ
リデン系樹脂層が形成されたポリアミド系二軸延伸フィ
ルムが使用されていた。このようなフィルムは包装用フ
ィルムとして使用され、包装形態としては、製袋して使
用されることが多く、その際、該フィルムにポリオレフ
ィン系樹脂等のシーラント層を積層し、シーラント層同
士を熱接着することにより製袋して使用されている。し
かしながら、該袋は、袋を破いて中のものを取り出す際
に、易裂性が悪く、袋の端にノッチを入れても手で裂け
ない、又は裂けてもまっすぐに裂けない等の問題があっ
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実状に
鑑み、優れた強度、酸素ガスバリヤ性、手でも裂ける優
れた引き裂き性等とを兼ね備えた易裂性ラミネートフィ
ルムを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の請求項1に記載の発明は以下のような手段
を講ずるものである。厚さ30μm以下で少なくとも1
層に塩化ビニリデン系樹脂層が形成された脂肪族ポリア
ミド系二軸延伸フィルム層(X)、厚さ30μm以下で
消光位の角度(主軸の傾き)が30°以内である脂肪族
ポリアミド系二軸延伸フィルム層(Y)、及びシーラン
ト層(Z)の少なくとも3層よりなることを特徴とする
易裂性ラミネートフィルム。また、請求項3に記載の発
明は、上記易裂性ラミネートフィルムのシーラント層
(Z)同士を熱溶着させて製袋してなる易裂性袋に関す
る。
【0005】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
易裂性ラミネートフィルムは、少なくとも1層に塩化ビ
ニリデン系樹脂層が形成された脂肪族ポリアミド系二軸
延伸フィルム層(X)、消光位の角度(主軸の傾き)が
30°以内である脂肪族ポリアミド系二軸延伸フィルム
層(Y)、及びシーラント層(Z)の3層を少なくとも
含む構成である。それぞれの層について、以下に説明す
る。
【0006】本発明の易裂性ラミネートフィルムにおけ
る脂肪族ポリアミド系二軸延伸フィルム層(X)及び
(Y)の原料は、アミド結合を持つ鎖状のポリアミドで
あればよく、具体例としては、ナイロン6等のラクタム
重合体、ポリヘキサメチレンアジパミド等の脂肪族ジア
ミン類と脂肪族ジカルボン酸類とからなる脂肪族ポリア
ミド類、ωーアミノカルボン酸類の重合体及びεーカプ
ロラクタム、又はヘキサメチレンアジパミド等を主成分
とし、これらと共重合可能な他のポリアミド構成成分2
〜10モル%とからなる共重合体、等が挙げられる。
【0007】例えば、脂肪族ポリアミドがεーカプロラ
クタムを主成分とする共重合ポリアミドの場合には、脂
肪族ジアミン類と脂肪族ジカルボン酸類とのナイロン塩
が挙げられ、また、ヘキサメチレンアジパミドを主成分
とする共重合ポリアミドの場合には、共重合可能な化合
物としてはεーカプロラクタム等のラクタム類が挙げら
れる。
【0008】該ナイロン塩を構成する脂肪族ジアミン類
の具体例としては、エチレンジアミン、テトラメチレン
ジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジ
アミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミ
ン等が挙げられ、脂肪族ジカルボン酸類の具体例として
は、アジピン酸、セバシン酸、コルク酸、グルタール
酸、アゼライン酸、βーメチルアジピン酸、デカメチレ
ンジカルボン酸、ドデカメチレンジカルボン酸、ピメリ
ン酸等が挙げられる。
【0009】これらの脂肪族ポリアミドの中では、ナイ
ロン6と称されるεーカプロラクタムの単独重合体、ま
たはナイロン66と称されるポリヘキサメチレンアジパ
ミドが、安価に入手でき、かつ、二軸延伸操作を円滑に
遂行し得るので好ましい。また、耐屈曲性、滑り特性を
向上させる目的で5重量%以下の範囲内で、オレフィン
の単独重合体又は共重合体、及びオレフィン系樹脂の変
性物を含有させることもできる。オレフィンの単独重合
体又は共重合体、及びオレフィン系樹脂の変性物の具体
例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノ
マー樹脂、エチレンー酢酸ビニル共重合体、エチレンー
(メタ)アクリル酸、エチレンー(メタ)アクリル酸メ
チル、エチレンー(メタ)アクリル酸エチル、エチレン
ー(メタ)アクリル酸ブチル等が挙げられる。
【0010】脂肪族ポリアミドは吸湿性が大きく、吸湿
したものを使用すると原料を熱溶融し押出す際に、加水
分解が起こるためオリゴマーが発生しフイルム化を阻害
するので、事前に乾燥して水分含有率を0.1重量%以
下とするのが好ましい。また、これらには滑剤、帯電防
止剤、ブロッキング防止剤、安定剤、染料、顔料、無機
質微粒子等の他の各種添加剤を、フイルムの性質に影響
を与えない範囲で、添加することができる。
【0011】脂肪族ポリアミド系二軸延伸フィルム層
(X)または(Y)も、従来公知の一般的な方法により
製造することができる。まず、脂肪族ポリアミド重合体
を実質的に無定型で配向していない未延伸フイルムを製
造する。次に、この未延伸フイルムを、テンター式逐次
二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同
時二軸延伸等の従来公知の一般的な方法により、フイル
ムの流れ(縦軸)方向と、それに直角な(横軸)方向に
各々2.5〜5倍に二軸延伸する。
【0012】例えば、テンター式逐次二軸延伸方法の場
合には、未延伸フイルムを40〜60℃の温度範囲に加
熱し、ロール式縦延伸機によって縦方向に2.5〜5倍
に延伸し、続いてテンター式横延伸機によって80〜1
10℃の温度範囲内で横方向に2.5〜5倍に延伸する
ことにより製造することができる。また、テンター式同
時二軸延伸やチューブラー式同時二軸延伸方法の場合
は、例えば、60〜110℃の温度範囲において、縦横
同時に各軸方向に2.5〜5倍に延伸することにより製
造することができる。
【0013】上記方法により延伸されたフイルムは、そ
の後、熱処理をする。熱処理することにより寸法安定性
の優れた延伸フイルムを得ることができる。また、熱処
理温度としては、120℃を下限として脂肪族ポリアミ
ドの融点より5℃低い温度を上限とする範囲を選択する
ことにより、任意の熱収縮率を持った延伸フイルムも得
ることができる。熱処理操作により、充分に熱固定され
た二軸延伸フイルムは、常法により冷却し巻きとる。
【0014】脂肪族ポリアミド系二軸延伸フィルム層
(X)または(Y)の厚さは、30μm以下であること
が必要で、30μmを越える場合は、フィルム全体が非
常に厚くなり軟包装用途には適さなくなる。好ましくは
25μm以下、特に好ましくは10〜20μmである。
易裂性ラミネートフィルムの少なくとも1層に塩化ビニ
リデン系樹脂層を形成した脂肪族ポリアミド系二軸延伸
フィルム層(X)は、ガスバリヤ性を与えるために塩化
ビニリデン系樹脂をコーティングして使用する。ガスバ
リヤ性を向上するためには使用する脂肪族ポリアミドフ
ィルム層(X)の両面及び脂肪族ポリアミドフィルム層
(Y)にも塩化ビニリデン系樹脂層を形成して使用する
こともできる。
【0015】塩化ビニリデン系樹脂としては、塩化ビニ
リデン樹脂単体、または塩化ビニリデンと(メタ)アク
リル酸、(メタ)アクリル酸エステル、塩化ビニル、ア
クリロニトリル等との共重合体が挙げられる。共重合体
の場合は、塩化ビニリデン成分が70モル%以上であれ
ばよい。乳化分散液や溶液の調整については、従来より
公知の方法が使用できる。
【0016】また、コーティングの方法も従来より公知
の方法が採用できる。例えば、エアーナイフコーター、
キスロールコーター、メタリングバーコーター、グラビ
アコーター、リバースロールコーター、ディップコータ
ー等のコーティング装置が使用でき、コーティング後の
乾燥にはアーチドライヤー、ストレートバスドライヤ
ー、タワードライヤー、ドラムドライヤー等、またはフ
ィルム延伸に使用されるテンター等が使用できるが、こ
れらに限定されるものではない。
【0017】例えば、塩化ビニリデン系樹脂層を形成す
る方法の具体的な例としては、脂肪族ポリアミド系フィ
ルムの延伸前に塩化ビニリデン系樹脂の乳化分散溶液を
コーティングした後、二軸に延伸し熱処理してもよい
し、逐次二軸延伸の場合には縦延伸後にコーティングし
て横延伸工程に移送、熱処理後、コーティングフィルム
を得ることができる。また、二軸延伸フィルムに溶液状
態や乳化分散状態の塩化ビニリデン系樹脂をコーティン
グして乾燥固化してもよい。コーティング厚みはガスバ
リアー性とハンドリング性を確保する上で、乾燥後1〜
5μm以下が望ましいが、これに限定されるものではな
い。
【0018】次に、本発明における易裂性ラミネートフ
ィルムの脂肪族ポリアミド系二軸延伸フィルム層(Y)
は、消光位の角度(主軸の傾き)が30°以内である必
要がある。この主軸の傾きは、偏光顕微鏡により観察す
ることにより測定する。まず、直交ニコル状態とした偏
光顕微鏡の載物台に、フィルムの流れ方向を偏光子の振
動方向にあわせてフィルムを乗せ、載物台を回転させた
際の消光位の角度を読みとり、これを主軸の傾きとす
る。この消光位の角度は、フィルムの流れと直角な方向
(TD)に対して成す角度である。フィルムを乗せた載
物台を45゜まで回転させても消光位が現れない場合
は、載物台をもとの位置に戻し、逆の方向に回転させて
測定する。角度は絶対値で示し、載物台の回転方向が逆
であってもプラスで読みとるものとする。
【0019】偏光顕微鏡で測定した光学的な主軸の傾き
に関しては、例えば、「表面、32[1](199
4)、p28〜37」「高分子論文集、48[11]、
p671〜678」「高分子論文集、48[3]、p1
81〜184」等の文献が挙げられる。
【0020】一般に、二軸延伸フィルムは、光学的に異
方性であり、あらゆる方向から光を入れて測定した屈折
率の内、最大の屈折率をγ、最小の屈折率をαとする
と、これらは互いに直行しており、さらに3次元的に考
えて、この2つに直行する方向の屈折率はβと定義でき
る。これらのα、β、γは主屈折率と呼ばれ、二軸延伸
フィルムの場合にはその配向を決める尺度になる。この
3つの主屈折率は直行しているために、軸の長さがα、
β、γである屈折率楕円体で表すことができる。従っ
て、フィルムの延伸による配向の変化は屈折率楕円体の
形状の変化でわかることになる。この屈折率楕円体の中
心を通り、入射角と直角な面で屈折率楕円体を切ると、
その切り口が楕円になる。その長径、短径がその時の屈
折率n1、n2になり、その差が複屈折率である。一般
に市販の脂肪族ポリアミド樹脂の二軸延伸フィルムの場
合は、主屈折率α、β、γの内、βとγはフィルムの面
内にあり、γは全体の分子配向の方向と一致し、特にテ
ンター法で生産されたフィルムの場合フィルム中央部で
はフィルムの流れ方向と直角の方向(TD方向)にほぼ
重なり、フィルムの両端に向かってしだいにTD方向か
らずれてくる。また、αはフィルム面内に垂直にある。
【0021】分子配向の方向を測定するには、フィルム
面内の360゜全方向から屈折率を測定し、最大の屈折
率γを含む方向を決めればよい。この屈折率γを含む方
向とフィルムの流れに直角な方向との成す角度と本願発
明の主軸の傾きとは同じものである。しかし、この方法
は手間がかかってしまうため、一般的には偏光顕微鏡で
測定するのが簡便である。
【0022】一般に、分子配向の方向は、フィルムの強
度にも影響し、主屈折の方向に裂けやすい性質がある。
本発明では、この性質を利用し、裂けにくい積層二軸延
伸フィルムの場合でも、γ方向がTD方向に近い脂肪族
ポリアミド二軸延伸フィルムをラミネートすることで易
裂き性を出すことを目的としている。なぜ、脂肪族ポリ
アミド二軸延伸フィルムの配向が全体の積層フィルムの
中でも支配的になるのかは不明であるが、本願発明の構
成とすることにより易裂き性が向上する。
【0023】脂肪族ポリアミド系二軸延伸フィルム層
(Y)の消光位の角度(主軸の傾き)が30°以内であ
れば、得られたラミネートフィルムは易裂性が良好なも
のとなる。主軸の傾きが30°を超える場合は、ラミネ
ートフィルムを裂く際に、裂く方向が一定しなかった
り、裂けにくくなったりする。好ましくは20゜以内で
ある。
【0024】更に、主軸の傾きが30゜以内の脂肪族ポ
リアミド系二軸延伸フイルム層(Y)を使用することに
より、本発明の易裂性ラミネートフィルムを製袋して袋
にした場合に、シール部がカールしにくくなるという効
果もある。一般に、二軸延伸フィルムは幅方向において
主軸の傾きは異なっており、フィルムの端の部分より、
中央部分の方が主軸の傾きが小さい。その際、フィルム
の幅方向において主軸の傾きが30゜以内の部分のみを
スリットすることにより、本発明の易裂性ラミネートフ
ィルムとすることができる。
【0025】最後に、本発明の易裂性ラミネートフィル
ムのシーラント層(Z)は、熱融着できる樹脂であれば
よく、一般にポリオレフィン系樹脂、ポリエステル等が
挙げられる。具体的には、ポリプロピレン、低密度ポリ
エチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレンー酢酸
ビニル共重合体、エチレンー(メタ)アクリル酸共重合
体、エチレンー(メタ)アクリル酸エステル共重合体、
アイオノマー樹脂、エチレン・αーオレフィン共重合
体、アモルファスポリエステル等が、これらに限定され
るものではない。シーラント層の厚さは、15〜80μ
m程度が一般的に好適に使用できる。シーラント層が薄
い場合は接着強度が劣る傾向があり、一方厚い場合は難
包装用途に適さなくなる傾向がある。
【0026】本発明における易裂性ラミネートフィルム
は、少なくとも1層に塩化ビニリデン系樹脂層が形成さ
れた脂肪族ポリアミド系二軸延伸フィルム層(X)、消
光位の角度(主軸の傾き)が30゜以内である脂肪族ポ
リアミド系二軸延伸フィルム層(Y)、及びシーラント
層の少なくとも3層を積層することにより得られる。積
層方法としては、一般的な方法であるドライラミネート
及び押出ラミネート、これらの組合わせ等の方法が採用
されるが、これに限定されるものではない。積層する際
には、それぞれの(X)層及び(Y)層の片面又は両面
をコロナ処理して使用することが好ましい。
【0027】例えば、押出ラミネートの場合には、
(X)層と(Y)層に、それぞれアンカーコート剤を塗
布し、乾燥後、(X)と(Y)との間にポリエチレン系
樹脂等を溶融押出しながらロール間で冷却し圧力をかけ
て圧着することによりラミネートフィルムが得られる。
また、その後(X)の側に、更にアンカーコート剤を塗
布し、乾燥後、ポリエチレン等を溶融押出し、ロール間
で冷却しながら圧力をかけて圧着し、更に、シーラント
層(Z)のポリエチレン系樹脂等を溶融押出し、ロール
間で冷却しながら圧力をかけて圧着して、(Y)/ポリ
エチレン/(X)/(Z)の構成のラミネートフィルム
が得られる。
【0028】次に、ドライラミネートの場合には、
(Y)に接着剤を塗布し、乾燥後、(X)と張り合わ
せ、更に、(X)に接着剤を塗布し、乾燥後、(Z)と
張り合わせることで、(Y)/(X)/(Z)の構成の
ラミネートフィルムが得られる。ラミネート後のフィル
ムは、エージングすることで、接着強度を上げることが
できる。
【0029】本発明における易裂性ラミネートフィルム
は、シーラント層同士を内側にして、熱溶着させて製袋
する。袋のシール部の裂く部分に切り込み(ノッチ)を
いれて、裂け易くするのがよい。ノッチの形態は、一般
的に採用されている形であれば、特に制限はない。本発
明の易裂性袋には、易裂性ラミネートフィルムに、アル
ミ箔や紙等を積層させた積層フィルムを同様に製袋する
こともできる。
【0030】本発明の易裂性袋の内容物としては、内容
物が酸素による変質を嫌う食品、医薬品、薬品、香料等
を密封する容器、包装に使用することができる。
【0031】
【実施例】以下、本発明の内容および効果を実施例によ
り更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を越えな
い限り以下の例に限定されるものではない。なお、以下
の例において、フイルムの評価及び測定は、次の各方法
によって行ったものである。また、フイルムの層構成、
評価結果、及び測定結果を表1に示した。
【0032】〈引き裂きやすさ〉実施例及び比較例によ
り得られたフィルムをシーラント面同士をあわせて、四
方をヒートシールし袋状(サンプル)とした、シール部
に設けた1mmの深さのノッチから手で引き裂いた。右手
を手前でも左手を手前でも引っかかりがなく引き裂ける
ものを◎、右手前あるいは左手前のどちらかのみ引っか
かりがなく引き裂けるものを○、どちらも引っかかりが
あり引き裂きにくいものを×とした。この試験をフィル
ムの流れ方向(MD)、それと直角の方向(TD)に各
々評価して結果を表1に示した。
【0033】〈直線カット性〉引き裂きやすさの評価に
使用したと同様なサンプルの端のシール部に20mm間隔
で深さ1mmのノッチを入れ、これらのノッチに沿ってフ
ィルムを引き裂いた後、袋の切れ目の逆側端の幅を測定
し、元の間隔20mmとの偏差を求める。袋の表と裏の2
枚のフィルムの裂ける方向が異なる場合は××。方向が
同じでも、引き裂いた際の幅ともとの幅20mmとの差の
もとの幅20mmに対する割合が30%を超えた場合は
×、10〜30%の範囲を△、10%未満を○として評
価した。
【0034】〈カール性〉引き裂きやすさの評価に使用
したと同様なサンプル100袋を重ねた状態で、温度2
3℃、相対湿度50%の環境に1週間程度放置し、袋の
端のシール部を観察したとき、シール部の両端でカール
が発生しているかどうかを確認した。シール部端がどの
くらいカールしているのかについて、サンプル100袋
のカール部を含めた厚さの幅から、実質の100袋の厚
さを引いた差が10mm未満を○、10〜20mmを△、2
0mm以上を×として評価した。
【0035】〈酸素透過率(cc/m2・24h・at
m)〉モダンコントロール社製のOXYーTRAN10
0型酸素透過率測定装置を使用し、温度25℃、相対湿
度65%の条件下で測定した。 フィルムI:厚さ15μm、幅1020mmの二軸延伸ナ
イロン6フィルム(三菱化学(株)製、サントニールS
NR)、偏光顕微鏡で主軸の傾きを測定した結果、全幅
どこを測定しても25°以内であった。
【0036】フィルムII:厚さ15μm、幅1020mm
の二軸延伸ナイロン6フィルム(三菱化学(株)製、サ
ントニールSN)、偏光顕微鏡で主軸の傾きを測定した
結果、20〜40°であった。 フィルムIII:塩化ビニリデンコートした二軸延伸ナイ
ロン6フィルム(三菱化学(株)製、サントニールS
G、厚さ15+3μm、幅1020mm)、偏光顕微鏡で
主軸の傾きを測定した結果、全幅どこを測定しても25
°以内であった。 フィルムIV:塩化ビニリデンコートした二軸延伸ナイロ
ン6フィルム(三菱化学(株)製、サントニールSG、
厚さ15+3μm、幅1020mm)、偏光顕微鏡で主軸
の傾きを測定した結果、20〜40°であった。
【0037】実施例1 フィルムIIIの非コート面をコロナ処理して濡れ指数5
40μN/cmとした後、アンカーコート処理し、フィル
ムIとの間に、Tダイから溶融状態のポリエチレン(三
菱化学(株)社製、三菱ポリエチ)を15μmの厚さに
押出し、ロール間で冷却後、フィルムI/ポリエチレン
/フィルムIII構成のラミネートフィルムを巻き取っ
た。
【0038】この積層フィルムのフィルムIIIの外側を
アンカーコート処理後、Tダイから溶融状態のポリエチ
レン(三菱化学(株)社製、三菱ポリエチLD L32
0)を厚さ15μmで押出しロール間で冷却し、更にポ
リエチレン(三菱化学(株)社製、三菱ポリエチLL
FX35)を厚さ15μmで押出し、ロール間で冷却
後、巻きとり、40℃で2日間エージングして接着強度
を向上させ、フィルムI/ポリエチレン/フィルムIII
/ポリエチレン/LLDPEの構成のラミネートフィル
ムを得た。得られたラミネートフィルムの層構成や、前
記した方法による引き裂きやすさ、直線カット性、カー
ル性及び酸素透過率を評価及び測定し、表1に示した。
【0039】実施例2 実施例1において、フィルムIIIをフィルムIVに代えた
外は、同例と同様な方法でフィルムI/ポリエチレン/
フィルムIV/ポリエチレン/LLDPEの構成のラミネ
ートフィルムを得た。得られたラミネートフィルムの層
構成や、前記した方法による引き裂きやすさ、直線カッ
ト性、カール性及び酸素透過率を評価及び測定し、表1
に示した。
【0040】実施例3 実施例1において、フィルムIをフィルムIIに代えた外
は、同例と同様な方法でフィルムII/ポリエチレン/フ
ィルムIII/ポリエチレン/LLDPEの構成のラミネ
ートフィルムを得た。得られたラミネートフィルムの層
構成や、前記した方法による引き裂きやすさ、直線カッ
ト性、カール性及び酸素透過率を評価及び測定し、表1
に示した。
【0041】実施例4 フィルムIIIの非コート面をコロナ処理して濡れ指数5
40μN/cmとした後、このコロナ処理面にイソシアネ
ート系のアンカーコート剤(東洋モートン(株)製AD
ー900/ADーRTー10)を固形分として0.4g
/m2塗布し、溶剤を蒸発させた後、フィルムIと積層
し、更にフィルムIIIのコート面に前記と同じイソシア
ネート系のアンカーコート剤を固形分として0.4g/
2塗布し、溶剤を蒸発させた後、厚さ50μmの線状
低密度ポリエチレン(東京セロファン紙(株)製、TU
XーFC)と積層し、40℃で48時間エージングして
ラミネートフィルムを得た。得られたラミネートフィル
ムの層構成や、前記した方法による引き裂きやすさ、直
線カット性、カール性及び酸素透過率を評価及び測定
し、表1に示した。
【0042】実施例5 実施例1において、フィルムIをフィルムIIIに代えた
外は、同例と同様な方法でフィルムIII/ポリエチレン
/フィルムIII/ポリエチレン/LLDPEの構成のラ
ミネートフィルムを得た。得られたラミネートフィルム
の層構成や、前記した方法による引き裂きやすさ、直線
カット性、カール性及び酸素透過率を評価及び測定し、
表1に示した。
【0043】比較例1 実施例2において、フィルムIをフィルムIIに代えた外
は、同例と同様な方法でフィルムII/ポリエチレン/フ
ィルムIV/ポリエチレン/LLDPEの構成のラミネー
トフィルムを得た。得られたラミネートフィルムの層構
成や、前記した方法による引き裂きやすさ、直線カット
性、カール性及び酸素透過率を評価及び測定し、表1に
示した。
【0044】比較例2 実施例1において、フィルムIIIをフィルムIIに代えた
外は、同例と同様な方法でフィルムI/ポリエチレン/
フィルムII/ポリエチレン/LLDPEの構成のラミネ
ートフィルムを得た。得られたラミネートフィルムの層
構成や、前記した方法による引き裂きやすさ、直線カッ
ト性、カール性及び酸素透過率を評価及び測定し、表1
に示した。
【0045】比較例3 実施例5において、フィルムIIIをフィルムIVに代えた
外は、同例と同様な方法でフィルムIV/ポリエチレン/
フィルムIV/ポリエチレン/LLDPEの構成のラミネ
ートフィルムを得た。得られたラミネートフィルムの層
構成や、前記した方法による引き裂きやすさ、直線カッ
ト性、カール性及び酸素透過率を評価及び測定し、表1
に示した。
【0046】比較例4 フィルムIVのコート面にイソシアネート系のアンカーコ
ート剤(東洋モートン(株)製ADー900/ADーR
Tー10)を固形分として0.4g/m2塗布し、溶剤
を蒸発させた後、厚さ50μmの線状低密度ポリエチレ
ン(東京セロファン紙(株)製、TUXーFC)と積層
し、40℃で48時間エージングしてラミネートフィル
ムを得た。得られたラミネートフィルムの層構成や、前
記した方法による引き裂きやすさ、直線カット性、カー
ル性及び酸素透過率を評価及び測定し、表1に示した。
【0047】
【表1】
【0048】表1の略号は、次のとおりである。 I:フィルムI II:フィルムII III:フィルムIII IV:フィルムIV PE:ポリエチレン LL:線状低密度ポリエチレン MD:フィルムの流れ方向(MD) TD:フィルムの流れに直角な方向(TD)
【0049】
【発明の効果】本発明は、優れた強度、酸素ガスバリヤ
性、手でも裂ける優れた引き裂き性等を兼ね備えるとい
う特別に顕著な効果を奏するラミネートフィルム及び同
フィルムを製袋した易裂性袋に関するものであって、酸
素による内容物の変質を嫌う食品、医療品、薬品、香料
等を密封する容器、包装に好適である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 厚さ30μm以下で少なくとも1方の面
    に塩化ビニリデン系樹脂層が形成された脂肪族ポリアミ
    ド系二軸延伸フィルム層(X)、厚さ30μm以下で消
    光位の角度(主軸の傾き)が30°以内である脂肪族ポ
    リアミド系二軸延伸フィルム層(Y)、及びシーラント
    層(Z)の少なくとも3層よりなることを特徴とする易
    裂性ラミネートフィルム。
  2. 【請求項2】 脂肪族ポリアミド系二軸延伸フィルム層
    (Y)が二軸延伸ナイロン6フィルムであることを特徴
    とする請求項1記載の易裂性ラミネートフィルム。
  3. 【請求項3】 厚さ30μm以下で少なくとも1層に塩
    化ビニリデン系樹脂層が形成された脂肪族ポリアミド系
    二軸延伸フィルム層(X)、厚さ30μm以下で消光位
    の角度(主軸の傾き)が30°以内である脂肪族ポリア
    ミド系二軸延伸フィルム層(Y)、及びシーラント層
    (Z)の少なくとも3層よりなる易裂性ラミネートフィ
    ルムのシーラント層(Z)同士を熱溶着させて製袋して
    成る易裂性袋。
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JP5409383B2 (ja) * 2007-11-30 2014-02-05 ユニチカ株式会社 塩化ビニリデン系共重合体混合物がコーティングされたポリアミドフィルムおよびその製造方法
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