JP3379293B2 - 易裂性ラミネートフィルム及び易裂性袋 - Google Patents

易裂性ラミネートフィルム及び易裂性袋

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JP3379293B2 JP19751795A JP19751795A JP3379293B2 JP 3379293 B2 JP3379293 B2 JP 3379293B2 JP 19751795 A JP19751795 A JP 19751795A JP 19751795 A JP19751795 A JP 19751795A JP 3379293 B2 JP3379293 B2 JP 3379293B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸素ガスバリヤ
性、強靱性等に優れ、また、開封時に手で簡単に開封で
き、かつ保存時には充分な強度を持った医療品、及び薬
品等の包装用フィルムに適する易裂性ラミネートフィル
ム及び易裂性袋に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、酸素ガスバリヤ性及び耐屈曲
性が良好なフィルムとしてエチレン酢酸ビニル共重合体
けん化物及び脂肪族ポリアミドより構成された積層二軸
延伸フィルムが提案されている(特開昭52ー1158
80号公報、特開昭61ー273931号公報等参
照)。このようなフィルムは包装用フィルムとして使用
され、包装形態としては、製袋して使用されることが多
く、その際、該フィルムにポリオレフィン系樹脂等のシ
ーラント層を積層し、シーラント層同士を熱接着するこ
とにより製袋して使用されている。
【0003】しかしながら、該袋は、袋を破いて中のも
のを取り出す際に、易裂性が悪く、袋の端にノッチを入
れても手で裂けない、又は裂けてもまっすぐに裂けない
等の問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実状に
鑑み、優れた強度、酸素ガスバリヤ性、手でも裂ける優
れた引き裂き性等とを兼ね備えた易裂性ラミネートフィ
ルムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の請求項1に記載の発明は以下のような手段
を講ずるものである。厚さ30μm以下の下記の積層二
軸延伸フィルム層(X)、厚さ30μm以下で消光位の
角度(主軸の傾き)が30°以内である脂肪族ポリアミ
ド系二軸延伸フィルム層(Y)、及びシーラント層
(Z)の少なくとも3層よりなることを特徴とする易裂
性ラミネートフィルム。
【0006】記 エチレン含有量28〜44モル%、けん化度95%以上
のエチレン酢酸ビニル共重合体けん化物(A)よりなる
(a)層、脂肪族ポリアミド重合体(B)よりなる
(b)層、これら重合体(A)と重合体(B)との混合
物(C)よりなる(c)層のうち、少なくとも(a)層
を含む2種類以上の層構成である積層二軸延伸フィル
ム。
【0007】また、請求項3に記載の発明は、上記易裂
性ラミネートフィルムのシーラント層(Z)同士を熱溶
着させて製袋してなる易裂性袋に関する。以下、本発明
を詳細に説明する。本発明の易裂性ラミネートフィルム
は、積層二軸延伸フィルム層(X)、脂肪族ポリアミド
系二軸延伸フィルム層(Y)、及びシーラント層(Z)
の3層を少なくとも含む構成である。それぞれの層につ
いて、以下に説明する。
【0008】まず、積層二軸延伸フィルム層(X)の主
要な原料の1種は、エチレン酢酸ビニル共重合体けん化
物(A)である。このエチレン酢酸ビニル共重合体けん
化物(A)は、エチレン含有量28〜44モル%、けん
化度95%以上のエチレン酢酸ビニル共重合体けん化物
である。エチレンの含有量が28モル%より低い場合、
酸素ガスバリヤ性は向上するが、押出製膜する際に分
解、ゲル化しやすく、工業用途での使用は困難である。
一方、44モル%を超えると、酸素ガスバリヤ性が低下
し、目的のフィルムが得られなくなる。また、けん化度
が95%未満ではガスバリヤ性および耐湿性が低下する
ので好ましくない。
【0009】本発明のエチレン酢酸ビニル共重合体けん
化物(A)には、耐屈曲性を向上させる目的で5重量%
以下の範囲内で、重合体(A)以外のオレフィンの単独
重合体又は共重合体、及びオレフィン系樹脂の変性物を
含有させることもできる。オレフィンの単独重合体又は
共重合体、及びオレフィン系樹脂の変性物の具体例とし
ては、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー樹
脂、エチレンー酢酸ビニル共重合体、エチレンー(メ
タ)アクリル酸、エチレンー(メタ)アクリル酸メチ
ル、エチレンー(メタ)アクリル酸エチル等が挙げられ
る。
【0010】また、積層二軸延伸フィルム層(X)のも
う一つの原料は、脂肪族ポリアミド(B)である。この
重合体(B)としては、アミド結合を持つ鎖状のポリア
ミドであればよく、具体例としては、ナイロンー6等の
ラクタム重合体、ポリヘキサメチレンアジパミド等の脂
肪族ジアミン類と脂肪族ジカルボン酸類とからなる脂肪
族ポリアミド類、ωーアミノカルボン酸類の重合体及び
εーカプロラクタム、又はヘキサメチレンアジパミド等
を主成分とし、これらと共重合可能な他のポリアミド構
成成分2〜10モル%とからなる共重合体、等が挙げら
れる。
【0011】例えば、脂肪族ポリアミドがεーカプロラ
クタムを主成分とする共重合ポリアミドの場合には、脂
肪族ジアミン類と脂肪族ジカルボン酸類とのナイロン塩
が挙げられ、また、ヘキサメチレンアジパミドを主成分
とする共重合ポリアミドの場合には、共重合可能な化合
物としてはεーカプロラクタム等のラクタム類が挙げら
れる。
【0012】該ナイロン塩を構成する脂肪族ジアミン類
の具体例としては、エチレンジアミン、テトラメチレン
ジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジ
アミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミ
ン等が挙げられ、脂肪族ジカルボン酸類の具体例として
は、アジピン酸、セバシン酸、コルク酸、グルタール
酸、アゼライン酸、βーメチルアジピン酸、デカメチレ
ンジカルボン酸、ドデカメチレンジカルボン酸、ピメリ
ン酸等が挙げられる。これらの脂肪族ポリアミドの中で
は、ナイロンー6と称されるεーカプロラクタムの単独
重合体、またはナイロンー66と称されるポリヘキサメ
チレンアジパミドが、安価に入手でき、かつ、二軸延伸
操作を円滑に遂行し得るので好ましい。
【0013】前記の混合組成物は、上記重合体(A)と
重合体(B)との均質な混合物である。この混合組成物
は、バージン原料の重合体(A)と重合体(B)とを混
合したものであってもよいし、また、積層二軸延伸フイ
ルムを製造する際に生成する規格外フイルムや切断端材
(耳トリム)として発生するスクラップ混合物もしくは
該スクラップ混合物にバージン原料を加えて調整したも
のであってもよい。その組成(混合割合)には特に制限
はないが、重合体(A)と重合体(B)とを重量比で
7:3〜1:9の範囲内で選ぶのが好適である。また、
重合体(A)と重合体(B)とを混合する際に、必要に
応じて相溶化剤またはゲル化防止剤を添加してもよい。
相溶化剤またはゲル化防止剤としては、無水マレイン酸
等で変性されたポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重
合体、ポリプロピレン、はアイオノマー、またはエチレ
ン(メタ)アクリル酸共重合体等が使用されるがこれら
に限定されるものではない。
【0014】重合体(A)、重合体(B)及びこれら混
合物(C)は、いずれも吸湿性が大きく、吸湿したもの
を使用すると原料を熱溶融し押出す際に、加水分解が起
こるためオリゴマーが発生しフイルム化を阻害するの
で、事前に乾燥して水分含有率を0.1重量%以下とす
るのが好ましい。また、これらの原料ポリアミド、エチ
レン酢酸ビニル共重合体けん化物、および混合物には滑
剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、安定剤、染料、
顔料、無機質微粒子等の他の各種添加剤を、フイルムの
性質に影響を与えない範囲で、添加することができる。
【0015】積層二軸延伸フィルムは、少なくとも
(a)層を含む2種類以上の層構成である。層構成の具
体例は、(a)/(c)、(a)/(b)、(a)/
(b)/(c)、(b)/(a)/(c)、(b)/
(c)/(a)、(b)/(a)/(b)、(c)/
(a)/(c)、(b)/(c)/(a)/(b)、
(b)/(c)/(a)/(c)/(b)、(b)/
(a)/(c)/(a)/(b)、(c)/(b)/
(a)/(b)/(c)等が挙げられるが、これら例示
されたものに限定されるものではない。これらのうち、
製造時の簡便性を考慮すると3〜5層の層構成とするの
が好ましい。また、場合によっては、各層の間に接着性
樹脂を加えてもよい。
【0016】これらの積層二軸延伸フィルムは、優れた
性能の積層フイルムが得られる共押出法を採用するのが
よい。共押出法による製造法は、上記原料を各々別の押
出機により溶融し、フラットダイ、または環状ダイから
押出した後、急冷することによりフラット状、または環
状の未延伸積層フイルムとした後、二軸延伸される。二
軸延伸方法としては、従来公知の一般的な方法であるテ
ンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チュ
ーブラー式同時二軸延伸等が採用できる。延伸倍率とし
ては、フィルムの流れ(縦軸)方向と、それに直角な
(横軸)方向に各々2.5〜5倍に延伸する。
【0017】例えば、上記積層二軸延伸フィルムをテン
ター式逐次二軸延伸方法で製造する場合には、未延伸積
層フイルムを50〜110℃の温度範囲に加熱し、ロー
ル式縦延伸機によって縦方向に2.5〜5倍に延伸し、
続いてテンター式横延伸機によって60〜120℃の温
度範囲内で横方向に2.5〜5倍に延伸することにより
製造することができる。また、テンター式同時二軸延伸
やチューブラー式同時二軸延伸方法の場合は、例えば、
60〜110℃の温度範囲において、縦横同時に各軸方
向に2.5〜5倍に延伸することにより製造することが
できる。
【0018】上記方法により延伸されたフイルムは、そ
の後、熱処理をする。熱処理することにより寸法安定性
の優れた延伸フイルムを得ることができる。また、熱処
理温度としては、100℃を下限として重合体(B)の
融点より5℃低い温度を上限とする範囲を選択すること
により、任意の熱収縮率を持った延伸フイルムも得るこ
とができる。熱処理操作により、充分に熱固定された積
層二軸延伸フイルムは、常法により冷却し巻きとる。
【0019】積層二軸延伸フィルムの厚さは、30μm
以下であることが必要であり、30μmを越えると、得
られたラミネートフィルムが厚くなり軟包装用途を適さ
なくなり好ましくない。好ましくは、25μm以下であ
る。次に、本発明における易裂性ラミネートフィルムの
脂肪族ポリアミド系二軸延伸フィルム層(Y)は、消光
位の角度(主軸の傾き)が30°以内である必要があ
る。この消光位の各度は、偏光顕微鏡により観察するこ
とにより測定する。まず、直交ニコル状態とした偏光顕
微鏡の載物台に、フィルムの流れ方向を偏光子の振動方
向にあわせてフィルムを乗せ、載物台を回転させた際の
消光位の角度を読みとり、これを主軸の傾きとする。こ
の消光位の角度は、フィルムの流れと直角な方向(T
D)に対して成す角度である。フィルムを乗せた載物台
を45°まで回転させても消光位が現れない場合は、載
物台をもとの位置に戻し、逆の方向に回転させて測定す
る。角度は絶対値で示し、載物台の回転方向が逆であっ
てもプラスで読みとるものとする。
【0020】偏光顕微鏡で測定した光学的な主軸の傾き
に関しては、例えば、「表面、32[1](199
4)、p28〜37」「高分子論文集、48[11]、
p671〜678」「高分子論文集、48[3]、p1
81〜184」等の文献が挙げられる。
【0021】一般に、二軸延伸フィルムは、光学的に異
方性であり、あらゆる方向から光を入れて測定した屈折
率の内、最大の屈折率をγ、最小の屈折率をαとする
と、これらは互いに直行しており、さらに3次元的に考
えて、この2つに直行する方向の屈折率はβと定義でき
る。これらのα、β、γは主屈折率と呼ばれ、二軸延伸
フィルムの場合にはその配向を決める尺度になる。この
3つの主屈折率は直行しているために、軸の長さがα、
β、γである屈折率楕円体で表すことができる。従っ
て、フィルムの延伸による配向の変化は屈折率楕円体の
形状の変化でわかることになる。この屈折率楕円体の中
心を通り、入射角と直角な面で屈折率楕円体を切ると、
その切り口が楕円になる。その長径、短径がその時の屈
折率n1、n2になり、その差が複屈折率である。一般
に市販の脂肪族ポリアミド樹脂の二軸延伸フィルムの場
合は、主屈折率α、β、γの内、βとγはフィルムの面
内にあり、γは全体の分子配向の方向と一致し、特にテ
ンター法で生産されたフィルムの場合フィルム中央部で
はフィルムの流れ方向と直角の方向(TD方向)にほぼ
重なり、フィルムの両端に向かってしだいにTD方向か
らずれてくる。また、αはフィルム面内に垂直にある。
【0022】分子配向の方向を測定するには、フィルム
面内の360゜全方向から屈折率を測定し、最大の屈折
率γを含む方向を決めればよい。この屈折率γを含む方
向とフィルムの流れに直角な方向との成す角度と本願発
明の主軸の傾きとは同じものである。しかし、この方法
は手間がかかってしまうため、一般的には偏光顕微鏡で
測定するのが簡便である。
【0023】一般に、分子配向の方向は、フィルムの強
度にも影響し、主屈折の方向に裂けやすい性質がある。
本発明では、この性質を利用し、裂けにくい積層二軸延
伸フィルムの場合でも、γ方向がTD方向に近い脂肪族
ポリアミド二軸延伸フィルムをラミネートすることで易
裂き性を出すことを目的としている。なぜ、脂肪族ポリ
アミド二軸延伸フィルムの配向が全体の積層フィルムの
中でも支配的になるのかは不明であるが、本願発明の構
成とすることにより易裂き性が向上する。
【0024】脂肪族ポリアミド系二軸延伸フィルム層
(Y)の消光位の角度(主軸の傾き)が30°以内であ
れば、得られたラミネートフィルムは易裂性が良好なも
のとなる。主軸の傾きが30°を超える場合は、ラミネ
ートフィルムを裂く際に、裂く方向が一定しなかった
り、裂けにくくなったりする。好ましくは20°以内で
ある。
【0025】更に、主軸の傾きが30°以内の脂肪族ポ
リアミド系二軸延伸フイルム層(Y)を使用することに
より、本発明の易裂性ラミネートフィルムを製袋して袋
にした場合に、シール部がカールしにくくなるという効
果もある。一般に、二軸延伸フィルムは幅方向において
主軸の傾きは異なっており、フィルムの端の部分より、
中央部分の方が主軸の傾きが小さい。その際、フィルム
の幅方向において主軸の傾きが30゜以内の部分のみを
スリットすることにより、本発明の易裂性ラミネートフ
ィルムとすることができる。
【0026】本発明の易裂性ラミネートフィルムにおけ
る脂肪族ポリアミド系二軸延伸フィルム層(Y)の原料
は、前記脂肪族ポリアミド重合体(B)と同じ原料であ
り、水分含有率及び添加剤等についても、前記脂肪族ポ
リアミド重合体(B)と同様である。脂肪族ポリアミド
系二軸延伸フィルム層(Y)も、従来公知の一般的な方
法により製造することができる。まず、脂肪族ポリアミ
ド重合体を実質的に無定型で配向していない未延伸フイ
ルムを製造する。
【0027】次に、この未延伸フイルムを、テンター式
逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー
式同時二軸延伸等の従来公知の一般的な方法により、フ
イルムの流れ(縦軸)方向と、それに直角な(横軸)方
向に各々2.5〜5倍に二軸延伸する。例えば、テンタ
ー式逐次二軸延伸方法の場合には、未延伸フイルムを5
0〜80℃の温度範囲に加熱し、ロール式縦延伸機によ
って縦方向に2.5〜5倍に延伸し、続いてテンター式
横延伸機によって60〜120℃の温度範囲内で横方向
に2.5〜5倍に延伸することにより製造することがで
きる。また、テンター式同時二軸延伸やチューブラー式
同時二軸延伸方法の場合は、例えば、60〜110℃の
温度範囲において、縦横同時に各軸方向に2.5〜5倍
に延伸することにより製造することができる。
【0028】上記方法により延伸されたフイルムは、そ
の後、熱処理をする。熱処理することにより寸法安定性
の優れた延伸フイルムを得ることができる。また、熱処
理温度としては、110℃を下限として原料ポリアミド
の融点より5℃低い温度を上限とする範囲を選択するこ
とにより、任意の熱収縮率を持った延伸フイルムも得る
ことができる。熱処理操作により、充分に熱固定された
二軸延伸フイルムは、常法により冷却し巻きとる。
【0029】脂肪族ポリアミド系二軸延伸フィルム
(Y)の厚さは、30μm以下であることが必要で、3
0μmを越える場合は、フィルム全体が非常に厚くなり
軟包装用途には適さなくなる。好ましくは25μm以
下、特に好ましくは10〜20μmである。最後に、本
発明の易裂性ラミネートフィルムのシーラント層(Z)
は、熱融着できる樹脂であればよく、一般にポリオレフ
ィン系樹脂、ポリエステル等が挙げられる。具体的に
は、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密
度ポリエチレン、エチレンー酢酸ビニル共重合体、エチ
レンー(メタ)アクリル酸共重合体、エチレンー(メ
タ)アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー樹脂、
エチレン・αーオレフィン共重合体、アモルファスポリ
エステル等が、これらに限定されるものではない。
【0030】シーラント層の厚さは、15〜80μm程
度が一般的に好適に使用できる。シーラント層が薄い場
合は接着強度が劣る傾向があり、一方厚い場合は難包装
用途に適さなくなる傾向がある。本発明における易裂性
ラミネートフィルムは、積層二軸延伸フィルム層
(X)、脂肪族ポリアミド系二軸延伸フィルム層
(Y)、及びシーラント層の少なくとも3層を積層する
ことにより得られる。積層方法としては、一般的な方法
であるドライラミネート及び押出ラミネート、これらの
組合わせ等の方法が採用されるが、これに限定されるも
のではない。積層する際には、それぞれの(X)層及び
(Y)層の片面又は両面をコロナ処理して使用すること
が好ましい。
【0031】例えば、押出ラミネートの場合には、
(X)層と(Y)層に、それぞれアンカーコート剤を塗
布し、乾燥後、(X)と(Y)との間にポリエチレン系
樹脂等を溶融押出しながらロール間で冷却し圧力をかけ
て圧着することによりラミネートフィルムが得られる。
また、その後(X)の側に、更にアンカーコート剤を塗
布し、乾燥後、ポリエチレン等を溶融押出し、ロール間
で冷却しながら圧力をかけて圧着し、更に、シーラント
層(Z)のポリエチレン系樹脂等を溶融押出し、ロール
間で冷却しながら圧力をかけて圧着して、(Y)/ポリ
エチレン/(X)/(Z)の構成のラミネートフィルム
が得られる。
【0032】次に、ドライラミネートの場合には、
(Y)に接着剤を塗布し、乾燥後、(X)と張り合わ
せ、更に、(X)に接着剤を塗布し、乾燥後、(Z)と
張り合わせることで、(Y)/(X)/(Z)の構成の
ラミネートフィルムが得られる。ラミネート後のフィル
ムは、エージングすることで、接着強度を上げることが
できる。
【0033】本発明における易裂性ラミネートフィルム
は、シーラント層同士を内側にして、熱溶着させて製袋
する。袋のシール部の裂く部分に切り込み(ノッチ)を
いれて、裂け易くするのがよい。ノッチの形態は、一般
的に採用されている形であれば、特に制限はない。本発
明の易裂性袋には、易裂性ラミネートフィルムに、アル
ミ箔や紙等を積層させた積層フィルムを同様に製袋する
こともできる。本発明の易裂性袋の内容物としては、内
容物が酸素による変質を嫌う食品、医薬品、薬品、香料
等を密封する容器、包装に使用することができる。
【0034】
【実施例】以下、本発明の内容および効果を実施例によ
り更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を越えな
い限り以下の例に限定されるものではない。なお、以下
の例において、フイルムの評価及び測定は、次の各方法
によって行ったものである。また、フイルムの層構成、
評価結果、及び測定結果を表1に示した。
【0035】〈引き裂きやすさ〉実施例及び比較例によ
り得られたフィルムをシーラント面同士をあわせて、四
方をヒートシールし袋状(サンプル)とした、シール部
に設けた1mmの深さのノッチから手で引き裂いた。右手
を手前でも左手を手前でも引っかかりがなく引き裂ける
ものを◎、右手前あるいは左手前のどちらかのみ引っか
かりがなく引き裂けるものを○、どちらも引っかかりが
あり引き裂きにくいものを×とした。この試験をフィル
ムの流れ方向(MD)、それと直角の方向(TD)に各
々評価して結果を表1に示した。
【0036】〈直線カット性〉引き裂きやすさの評価に
使用したと同様なサンプルの端のシール部に20mm間隔
で深さ1mmのノッチを入れ、これらのノッチに沿ってフ
ィルムを引き裂いた後、袋の切れ目の逆側端の幅を測定
し、元の間隔20mmとの偏差を求める。袋の表と裏の2
枚のフィルムの裂ける方向が異なる場合は××。方向が
同じでも、引き裂いた際の幅ともとの幅20mmとの差の
もとの幅20mmに対する割合が30%を超えた場合は
×、10〜30%の範囲を△、10%未満を○として評
価した。
【0037】〈カール性〉引き裂きやすさの評価に使用
したと同様なサンプル100袋を重ねた状態で、温度2
3℃、相対湿度50%の環境に1週間程度放置し、袋の
端のシール部を観察したとき、シール部の両端でカール
が発生しているかどうかを確認した。シール部端がどの
くらいカールしているのかについて、サンプル100袋
のカール部を含めた厚さの幅から、実質の100袋の厚
さを引いた差が10mm未満を○、10〜20mmを△、2
0mm以上を×として評価した。
【0038】〈酸素透過率(cc/m2・24h・at
m)〉モダンコントロール社製のOXYーTRAN10
0型酸素透過率測定装置を使用し、温度25℃、相対湿
度65%の条件下で測定した。 フィルムI:厚さ15μm、幅1020mmの二軸延伸ナ
イロン6フィルム(三菱化学(株)製、サントニールS
NR)、偏光顕微鏡で主軸の傾きを測定した結果、全幅
どこを測定しても25°以内であった。 フィルムII:厚さ15μm、幅1020mmの二軸延伸ナ
イロン6フィルム(三菱化学(株)製、サントニールS
N)、偏光顕微鏡で主軸の傾きを測定した結果、20〜
40°であった。
【0039】フィルムIII:エチレン酢酸ビニル共重合
体けん化物(クラレ(株)製、エバールEPーF101
B)(重合体(A))と、ポリーεーカプロアミド(三
菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、ノバミッ
ド1022)(重合体(B))を、押出機2台を使用し
て別々に溶融させ、後者を2分割させた後、共押出Tダ
イ内で積層させて3層構造の積層フィルムとして押出
し、30℃のキャストロールに密着急冷し、中間層が約
45μmの重合体(A)、両外層が約45μmの重合体
(B)よりなる積層未延伸フィルムを得た。
【0040】得られた積層未延伸フィルムを70℃の条
件下でロール式延伸機にて縦方向に3倍に延伸し、つい
でこのフィルムの端部をテンタークリップで保持し、テ
ンターオーブン内で90℃の条件下で横方向に3倍に延
伸した後、200℃で6秒間の熱処理を行った。熱処理
を行った後のフィルムは、クリップで把持したフィルム
両耳部分を切りとりスクラップとし、製品フィルム部分
はワインダーに巻き取り、約5μmの重合体(B)の層
((b)層)、約5μmの重合体(A)の層((a)
層)、約5μmの重合体(B)の層((b)層)の順に
積層された層全体の厚さが、約15μmの積層二軸延伸
フィルムを得た。このフィルムの中央部を1020mmの
幅で取った。偏光顕微鏡で主軸の傾きを測定した結果、
0〜10°であった。
【0041】フィルムIV:フィルムIIIにおいて得られ
た積層二軸延伸フィルムの端に近い部分を1020mm幅
で取った。偏光顕微鏡で主軸の傾きを測定した結果、1
5〜35°であった。 フィルムV:ポリーεーカプロアミド(三菱エンジニア
リングプラスチックス(株)社製、ノバミッド102
2)を、押出機を使用して溶融させ、Tダイから押し出
して、30℃のキャストロールに密着急冷し、約360
μmの未延伸フィルムを得た。得られた未延伸フィルム
を60℃の条件下でロール式延伸機にて縦方向に3倍に
延伸し、ついでこのフィルムの端部をテンタークリップ
で保持し、テンターオーブン内で90℃の条件下で横方
向に3倍に延伸した後、200℃で6秒間の熱処理を行
った。
【0042】熱処理を行った後のフィルムは、クリップ
で把持したフィルム両耳部分を切りとりスクラップと
し、製品フィルム部分はワインダーに巻き取り、約40
μmのポリアミド二軸延伸フィルムを得た。このフィル
ムの中央部を1020mmの幅で取った。偏光顕微鏡で主
軸の傾きを測定した結果、0〜10°であった。
【0043】フィルムVI:エチレン酢酸ビニル共重合体
けん化物(クラレ(株)製、エバールEP−F101
B)(重合体(A))と、ポリーεーカプロアミド(三
菱化学(株)製、ノバミッド1022)(重合体
(B))を、押出機2台を使用して別々に溶融させ、後
者を2分割させた後、共押出Tダイ内で積層させて3層
構造の積層フィルムとして押出し、30℃のキャストロ
ールに密着急冷し、中間層が約120μmの重合体
(A)、両外層が約120μmの重合体(B)よりなる
積層未延伸フイルムを得た。
【0044】得られた積層未延伸フィルムを70℃の条
件下でロール式延伸機にて縦方向に3倍に延伸し、つい
でこのフィルムの端部をテンタークリップで保持し、テ
ンターオーブン内で90℃の条件下で横方向に3倍に延
伸した後、200℃で6秒間の熱処理を行った。熱処理
を行った後のフィルムは、クリップで把持したフィルム
両耳部分を切りとりスクラップとし、製品フイルム部分
はワインダーに巻き取り、約13μmの重合体(B)の
層((b)層)、約13μmの重合体(A)の層
((a)層)、約13μmの重合体(B)の層((b)
層)の順に積層された層全体の厚さが、約40μmの積
層二軸延伸フイルムを得た。このフィルムの中央部を1
020mmの幅で取った。偏光顕微鏡で主軸の傾きを測定
した結果、0〜10°であった。
【0045】実施例1 フィルムIIIの両面をコロナ処理して濡れ指数54dy
n/cmとした後、アンカーコート処理し、フィルムIと
の間に、Tダイから溶融状態のポリエチレン(三菱化学
(株)社製、三菱ポリエチ)を15μmの厚さに押出
し、ロール間で冷却後、フィルムI/ポリエチレン/フ
ィルムIII構成のラミネートフィルムを巻き取った。
【0046】この積層フィルムのフィルムIIIの外側を
アンカーコート処理後、Tダイから溶融状態のポリエチ
レン(三菱化学(株)社製、三菱ポリエチLD L32
0)を厚さ15μmで押出しロール間で冷却し、更にポ
リエチレン(三菱化学(株)社製、三菱ポリエチLL
FX35)を厚さ15μmで押出し、ロール間で冷却
後、巻きとり、40℃で2日間エージングして接着強度
を向上させ、フィルムI/ポリエチレン/フィルムIII
/ポリエチレン/LLDPEの構成のラミネートフィル
ムを得た。得られたラミネートフィルムの層構成や、前
記した方法による引き裂きやすさ、直線カット性、カー
ル性及び酸素透過率を評価及び測定し、表1に示した。
【0047】実施例2 実施例1において、フィルムIIIをフィルムIVに代えた
外は、同例と同様な方法でフィルムI/ポリエチレン/
フィルムIV/ポリエチレン/LLDPEの構成のラミネ
ートフィルムを得た。得られたラミネートフィルムの層
構成や、前記した方法による引き裂きやすさ、直線カッ
ト性、カール性及び酸素透過率を評価及び測定し、表1
に示した。
【0048】実施例3 フィルムIVの両面をコロナ処理して濡れ指数54dyn
/cmとした後、このコロナ処理面にイソシアネート系の
アンカーコート剤(東洋モートン(株)製ADー900
/ADーRTー10)を固形分として0.4g/m2
布し、溶剤を蒸発させた後、フィルムIと積層し、更に
フィルムIVの外側に前記と同じイソシアネート系のアン
カーコート剤を固形分として0.4g/m2塗布し、溶
剤を蒸発させた後、厚さ50μmの線状低密度ポリエチ
レン(東京セロファン紙(株)製、TUXーFC)と積
層し、40℃で48時間エージングしてラミネートフィ
ルムを得た。得られたラミネートフィルムの層構成や、
前記した方法による引き裂きやすさ、直線カット性、カ
ール性及び酸素透過率を評価及び測定し、表1に示し
た。
【0049】比較例1 実施例1において、フィルムIをフィルムIIに代えた外
は、同例と同様な方法でフィルムII/ポリエチレン/フ
ィルムIII/ポリエチレン/LLDPEの構成のラミネ
ートフィルムを得た。得られたラミネートフィルムの層
構成や、前記した方法による引き裂きやすさ、直線カッ
ト性、カール性及び酸素透過率を評価及び測定し、表1
に示した。
【0050】比較例2 実施例1において、フィルムIをフィルムVに代えた外
は、同例と同様な方法でフィルムV/ポリエチレン/フ
ィルムIII/ポリエチレン/LLDPEの構成のラミネ
ートフィルムを得た。得られたラミネートフィルムの層
構成や、前記した方法による引き裂きやすさ、直線カッ
ト性、カール性及び酸素透過率を評価及び測定し、表1
に示した。
【0051】比較例3 実施例1において、フィルムIVをフィルムIIに代えた外
は、同例と同様な方法でフィルムI/ポリエチレン/フ
ィルムII/ポリエチレン/LLDPEの構成のラミネー
トフィルムを得た。得られたラミネートフィルムの層構
成や、前記した方法による引き裂きやすさ、直線カット
性、カール性及び酸素透過率を評価及び測定し、表1に
示した。
【0052】比較例4 実施例1において、フィルムIIIをフィルムVIに代えた
外は、同例と同様な方法でフィルムI/ポリエチレン/
フィルムVI/ポリエチレン/LLDPEの構成のラミネ
ートフィルムを得た。得られたラミネートフィルムの層
構成や、前記した方法による引き裂きやすさ、直線カッ
ト性、カール性及び酸素透過率を評価及び測定し、表1
に示した。
【0053】比較例5 フィルムIIIの片面をコロナ処理して濡れ指数54dy
n/cmとした後、アンカーコート処理し、Tダイから溶
融状態のポリエチレン(三菱化学(株)社製、三菱ポリ
エチLD L320)を厚さ15μmで押出しロール間
で冷却し、更にポリエチレン(三菱化学(株)社製、三
菱ポリエチLL FX35)を厚さ15μmで押出し、
ロール間で冷却後、巻きとり、40℃で2日間エージン
グして接着強度を向上させ、フィルムIII/ポリエチレ
ン/LLDPEの構成のラミネートフィルムを得た。得
られたラミネートフィルムの層構成や、前記した方法に
よる引き裂きやすさ、直線カット性、カール性及び酸素
透過率を評価及び測定し、表1に示した。
【0054】
【表1】
【0055】表1の略号は、次のとおりである。 I:フィルムI II:フィルムII III:フィルムIII IV:フィルムIV V:フィルムV VI:フィルムVI PE:ポリエチレン LL:線状低密度ポリエチレン MD:フィルムの流れ方向(MD) TD:フィルムの流れに直角な方向(TD)
【0056】
【発明の効果】本発明は、優れた強度、酸素ガスバリヤ
性、手でも裂ける優れた引き裂き性等を兼ね備えるとい
う特別に顕著な効果を奏するラミネートフィルム及び同
フィルムを製袋した易裂性袋に関するものであって、酸
素による内容物の変質を嫌う食品、医療品、薬品、香料
等を密封する容器、包装に好適である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−281327(JP,A) 特開 平6−99491(JP,A) 特開 平8−332704(JP,A) 特開2002−127339(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 B29C 55/00 - 55/30 C08J 5/18

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 厚さ30μm以下の下記の積層二軸延伸
    フィルム層(X)、厚さ30μm以下で消光位の角度
    (主軸の傾き)が30°以内である脂肪族ポリアミド系
    二軸延伸フィルム層(Y)、及びシーラント層(Z)の
    少なくとも3層よりなり、(Y)、(X)、(Z)の順
    序で積層されていることを特徴とする易裂性ラミネート
    フィルム。 記 エチレン含有量28〜44モル%、けん化度95%以上
    のエチレン酢酸ビニル共重合体けん化物(A)よりなる
    (a)層、脂肪族ポリアミド重合体(B)よりなる
    (b)層、これら重合体(A)と重合体(B)との混合
    物(C)よりなる(c)層のうち、少なくとも(a)層
    を含む2種類以上の層構成である積層二軸延伸フィル
    ム。
  2. 【請求項2】 脂肪族ポリアミド系二軸延伸フィルム層
    (Y)が二軸延伸ナイロン6フィルムであることを特徴
    とする請求項1記載の易裂性ラミネートフィルム。
  3. 【請求項3】 厚さ30μm以下の下記の積層二軸延伸
    フィルム層(X)、厚さ30μm以下で消光位の角度
    (主軸の傾き)が30°以内である脂肪族ポリアミド系
    二軸延伸フィルム層(Y)、及びシーラント層(Z)の
    少なくとも3層よりなり、(Y)、(X)、(Z)の順
    序で積層されている易裂性ラミネートフィルムのシーラ
    ント層(Z)同士を熱溶着させて製袋して成る易裂性
    袋。 記 エチレン含有量28〜44モル%、けん化度95%以上
    のエチレン酢酸ビニル共重合体けん化物(A)よりなる
    (a)層、脂肪族ポリアミド重合体(B)よりなる
    (b)層、これら重合体(A)と重合体(B)との混合
    物(C)よりなる(c)層のうち、少なくとも(a)層
    を含む2種類以上の層構成である積層二軸延伸フィル
    ム。
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