JPH09507866A - 分散粉体を含有するスプレー可能な組成物およびその使用法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 ヒトの皮膚または毛髪への局所的使用に適する、安定なスプレー可能な組成物、ならびにその調製方法が提供される。この組成物は油中水型エマルジョンおよび種々の実質的に不溶性の分散された粉体を含む。この組成物はヒトの皮膚または毛髪に色を付ける、ヒトの皮膚を紫外線から保護する、またはヒトの皮膚または毛髪を皮膚科学的に活性な作用物質で治療するのに有用である。この組成物は油中水型エマルジョンのための独特の懸濁力、安定性、および分散性を有する。

Description

【発明の詳細な説明】 分散粉体を含有するスプレー可能な組成物およびその使用法 発明の分野 本発明は、ヒトの皮膚または毛髪への局所的使用に適したスプレー可能な組成 物に関する。特に、本発明は油中水型エマルジョン内に分散された１つまたは２ つ以上の実質的に不溶性の粉体を含有する、安定な、スプレー可能な組成物に関 する。本発明のスプレー可能な組成物は、優れた懸濁力、安定性、および分散性 を有し、医薬品や化粧品を含む種々の物質をヒトにデリバリー(deliver)するの に有用である。 本発明はまた、このような組成物の調製方法、並びに、ヒトの皮膚または毛髪 を着色する、紫外線からヒトの皮膚を保護する、皮膚科学的に活性な作用物質を 用いてヒトの皮膚または毛髪を治療または保護する、および薬理学的に活性な物 質を用いてヒトの皮膚または毛髪を治療または保護する場合における、上記組成 物の使用に関する。発明の背景 多くの化粧品および医薬品組成物は、流体基剤内に分散させた実質的に不溶性 の粉体を含有している。例えば、日焼け止めおよび着色用化粧品の組成物はしば しば、油中水型エマルジョン内に分散させた、二酸化チタンおよび酸化鉄等の不 溶性の無機酸化物を含有している。このような組成物は有意義な懸濁力を持たな ければならない。すなわち、これらの組成物は、広い温度範囲で、長時間、重大 な沈殿または分離を起こすことなく、分散粉体を懸濁させることが可能でなけれ ばならない。さらに、これら組成物は粉体を皮膚または毛髪表面に一貫した、再 現性のある様式でデリバリーしなければならない。これら組成物は物理的および 化学的に安定で、使用が容易で、美的に快いもので、かつ使用して剌激を与えな いものでなければならない。同様に、これらは水または汗による除去に対して耐 性でなければならない。化粧品化学者および処方者は長い間このような特性を有 する組成物を開発しようとしてきた。 懸濁力および安定性の両方が油中水型エマルジョン中で達成されると報告され ている１つの方法は、水膨潤性粘土の使用によるものである。Yoneyamaらの米国 特許第5,015,469号を参照されたい。Yoneyamaらの特許は、とりわけ、下記のも のを含む油相を含有する油中水型および油中多価アルコール型エマルジョンとし た組成物に向けられている。すなわち、ポリオキシアルキレン修飾有機ポリシロ キサン、水膨潤性粘土鉱物、第四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤およ びシリコーン油、水、および多価アルコール、そして場合により無機粉体または 顔料を含有する油相である。 上記のように皮膚または毛髪に化粧品組成物をデリバリーする非常に好ましい 方法は、微細に分散されたスプレーの形である。この形の製品デリバリーは、皮 膚または毛髪表面の製品被覆面積の改善、および届きにくいところへの容易な適 用を提供する。このようなスプレーは良好な分散性を有するといわれ、また非エ ーロゾルスプレーポンプを用いて好ましくデリバリーされる。このスプレーポン プは、加圧容器または特殊なエーロゾル化するガスの使用を必要としない。 このようなポンプによって駆動されるデリバリー系の、微細に分散させたスプ レーとしての製品をデリバリーする能力は、ポンプの出口における組成物の粘度 に決定的に依存する。組成物の粘度が減少すると、スプレーはより分散されるよ うになり、より望ましいデリバリーをもたらす。逆に、粘度が増大すると、スプ レーは分散されにくくなり、より筋状(stream-like)となる。これは化粧品の使 用にとって好ましくない。しかし、粉体含有組成物の処方者は、組成物の満足で きる懸濁力および安定性を達成するため、一般により高い粘度の使用に依存する 。これはデリバリーに関する問題を提示する。 さらに、先行技術において、安定な油中水型エマルジョンを非常に低い粘度で 調製することは一般に難しいことが周知である。たとえば、Yoneyamaら（米国特 許第5,015,469号）によって開示されている組成物は、約2500センチポイズの最 小粘度を有すると記述されており、開示された組成物の粘度は水膨潤性粘土鉱物 の重量パーセントが増大するにつれ増大する。 したがって、非エーロゾルスプレーポンプを用いる微細に分散されたスプレー として皮膚または毛髪に容易にデリバリーできる、安定な油中水型組成物（以後 「スプレー可能な組成物」と称する）であって、同時に高度の安定性および懸濁 力を有するものが明らかに必要とされている。発明の目的 それゆえ、本発明の目的は上記の特性を有する、油中水型エマルジョン中に分 散させた１つまたは２つ以上の実質的に不溶性の粉体を含有する、ヒトの皮膚ま たは毛髪への局所的使用に適した安定なスプレー可能な組成物を提供することで ある。また、本発明のさらなる目的は、このような組成物の調製方法を提供する ことである。また、本発明のさらに別な目的は、ヒトの皮膚および毛髪を着色す る、紫外線からヒトの皮膚を保護する、皮膚科学的に活性な作用物質を用いてヒ トの皮膚または毛髪を治療または保護する、および薬理学的に活性な物質を用い てヒトの皮膚または毛髪を治療または保護する場合における、上記組成物の使用 方法を提供することである。発明の概要 驚くべきことに、かつ予期せぬことに、油中水型エマルジョン中に分散させた １つまたは２つ以上の実質的に不溶性の粉体を含有し、かつ上記の特性を有する スプレー可能な組成物が、組成物中に有効量の電解質および油膨潤性の有機粘土 の両方を組み込むことによってもたらされることが見いだされた。さらに、この ような組成物は驚くべきことに、かつ予期せぬことに、剪断感受性で、組成物が 高剪断スプレー装置のオリフィスから押し出される時に組成物に課される剪断応 力は、粘度の劇的で即座の減少を引き起こし、組成物が高い懸濁力をもちつつ微 細に分散されたスプレーの形でポンプを出ることを可能とすることが見いだされ はPrecision Valve Inc.，Yonkers，NYより市販されている。他のこのような装 置も当業者には公知である。 本発明によれば、 （ａ）約20から約80パーセントの成分； （ｂ）約２から約12パーセントの、上記油成分中に分散させた油中水型乳化剤； （ｃ）約２から約20パーセントの、上記油成分中に分散させた有機粘土成分であ って、約５から約15パーセントの有機粘土、約75から約95パーセントの非極性キ ャリヤー、および約１から約10パーセントの極性膨潤剤を含むもの； （ｄ）約１から約12パーセントの、上記油成分中に分散させた実質的に不溶性の 粉体；および （ｅ）約５から約50パーセントの、上記油成分中に乳化されて油中水型エマルジ ョンを形成している水性成分であって、約0.01から約2.00パーセント好ましくは 約0.05から約0.75パーセントの電解質を含むものを含んでなる、ヒトの皮膚また は毛髪への局所的使用に適した安定なスプレー可能な組成物が提供される。これ らの組成物は、公知の油中水型エマルジョンを用いてはこれまで達成不可能であ った比類のない懸濁力、安定性および分散性を有する。 本発明はまた、このような組成物の調製方法に関するものであり、その方法は 以下の工程を含んでなる： （ａ）油中水型乳化剤を含む油成分を準備し； （ｂ）有機粘土、非極性キャリヤーおよび極性膨潤剤を含む有機粘土成分を上記 油成分と混合し； （ｃ）実質的に不溶性の粉体を上記油成分と混合し；そして （ｄ）水性成分を上記油成分とブレンドして油中水型エマルジョンを形成させる ことを含んでなり、上記各物質の量は得られる組成物が約20から約80パーセント の油成分、約２から約12パーセントの油中水型乳化剤、約0.1から約３パーセン トの有機粘土、約1.5から約19パーセントの非極性キャリヤー、約0.02から約２ パーセントの極性膨潤剤、約１から約12パーセントの実質的に不溶性の粉体、約 ５から約50パーセントの水性成分、および約0.01から約2.00パーセント好ましく は約0.05から約0.75パーセント、最も好ましくは約0.2から約0.75パーセントの 電解質を含むように調整されるものである。 本発明の組成物は、化学的に不活性で、長期間の広い温度範囲にわたる保存中 にも沈殿せず安定である。これらの組成物は美的に快く、皮膚または毛髪に使用 しても非刺激性で、水または汗による除去に耐性で、かつ使用すると良好な被覆 面積を提供する。これらの組成物は日焼け止め、着色剤、および薬理的に活性な 物質、とりわけ皮膚科学的に活性な物質のヒトおよび動物の皮膚または毛髪への デリバリーに特に有用である。発明の詳細な説明 上述のように、 （ａ）約20から約80パーセントの成分； （ｂ）約２から約12パーセントの、上記油成分中に分散させた油中水型乳化剤； （ｃ）約２から約20パーセントの、上記油成分中に分散させた有機粘土成分であ って、約５から約15パーセントの有機粘土、約75から約95パーセントの非極性キ ャリヤー、および約１から約10パーセントの極性膨潤剤を含むもの； （ｄ）約１から約12パーセントの、上記油成分中に分散させた実質的に不溶性の 粉体；および （ｅ）約５から約50パーセントの、上記油成分中に乳化されて油中水型エマルジ ョンを形成している水性成分であって、約0.01から約2.00パーセント、好ましく は約0.05から約0.75パーセント、そして最も好ましくは約0.2から約0.75パーセ ントの電解質を含むもの、を含んでなるヒトの皮膚または毛髪への局所的使用に 適した安定なスプレー可能な組成物を提供する。本明細書で使用する全てのパー セントは重量に基づくことに留意すべきである。 これらのスプレー可能な組成物は独特の懸濁力、安定性および分散性を有する 。例えば、デリバリーされるスプレーは、筋状を呈することがより少なく、より 霧状の微細に分散されたスプレーである。これらの組成物の特性は、長時間にわ たる保存においても粉体の分離または沈殿を起こさずに（安定性）、大量の粉体 を組成物中に懸濁する（懸濁力）ことを可能とする。さらに、これらの組成物は 、製品使用者が組成物を激しく振とうしたり攪拌したりする必要なしに、実質的 に不溶性の粉体の優れた分布を獲得することを可能とする。 本発明の組成物はまた、予期せぬことに、剪断感受性である。その結果、これ ら組成物は静置状態で高い粘度を有し、有意な量の物質を懸濁することができる 。対照的に、デリバリーされると、これら組成物はポンプまたはスプレー装置を 出る時に課せられる剪断力のために有意に低い粘度をもつ。このことは、ボトル 内での高い懸濁力とデリバリー後のより大きい分散性という驚くべき組合せを可 能とする。これらの特性は本発明の組成物のような油中水型エマルジョンにとっ て、特に油中水型エマルジョン形態の医薬品または化粧品のデリバリーにとって 非常に望ましい。 本発明の組成物の各成分を以下に詳細に述べる。 １．油成分 本明細書に記載の組成物は、約20から約80パーセント、好ましくは約30から約 60パーセントの油成分を含む。本発明の目的のための「油成分」という用語は、 実質的に水に不溶性の、製薬上または化粧品的に許容される任意の物質をさす。 本明細書に用いる「製薬上または化粧品的に許容される」という表現は、ヒトに 害を及ぼすことが知られていない物質を意味する。このような物質は、例えばCT FA International Dictionary of Cosmetic Ingredientsおよび米国薬局方また はこれに相当する情報源で見いだすことができる。この油成分は、本発明の組成 物中で、例えば皮膚軟化薬(emollients)および閉塞剤(occlusive agents)として 、皮膚および毛髪のコンディショニング剤として機能しうる。皮膚軟化薬は、皮 膚または毛髪の表面に留まって潤滑剤として作用することにより、皮膚および毛 髪の柔らかさ、滑らかさ、および柔軟性の維持を助ける。閉塞剤は、皮膚および 毛髪の表面からの蒸発による水分の喪失を最小限にすることにより、皮膚および 毛髪の水分を増加させる作用を有する。 適切な油成分は以下のものを含むがそれらだけに限定されない。すなわち、コ コナツ油等の天然油；鉱油および水素化ポリイソブテン等の炭化水素；オクチル ドデカノール等の脂肪アルコール；炭素数12〜15のアルキルベンゾエート等のエ ステル；プロピレングリコールジペラルゴネート(dipelargonate)等のジエステ ル；グリセリルトリオクタノエート等のトリエステル；ラノリン等のステロール 誘導体；蜜蝋等の動物蝋；カルナウバ等の植物蝋；オゾケライト等の鉱蝋；パラ フィン等の石油蝋；ポリエチレン等の合成蝋；およびこれらの混合物である。 適切な油成分はまた、シクロメチコーン等の揮発性シリコーン；ジメチコーン 等のポリマー性シリコーン；セチルジメチコーンおよびラウリルトリメチコーン 等のポリマー性シリコーンのアルキル化誘導体；ジメチコノール等のポリマー性 シリコーンのヒドロキシル化誘導体；およびそれらの混合物を含むが、これだけ に限定されないシリコーンであってもよい。 本発明の１つの好ましい態様において、油成分は炭化水素およびシリコーンの 混合物、特に炭化水素、揮発性シリコーン、およびポリマー性シリコーンのアル キル化誘導体の混合物を含み、最も好ましくは水素化ポリイソブテン、シクロメ チコーン、およびセチルジメチコーンの混合物を含む。揮発性シリコーン油は好 ましくは低分子量シリコーンである。代表的な揮発性シリコーン物質は、シクロ メチコーンおよび低分子量ジメチコーン、またはそれらの混合物を含む。揮発性 シリコーン油として特に好ましいのは、環の大きさが４から12のメチル化環状有 機ポリシロキサン、例えば４個のSi-[CH₃]₂-O基から形成される８員環化合物で あるオクタメチルシクロテトラシロキサン、および５個のSi-[CH₃]₂-O基にから 形成される10員環であるデカメチルシクロペンタシロキサンである。本発明の目 的のため、「シリコーン成分」および「油成分」という用語は、油成分が主とし て、または本質的にシリコーンからなる組成物に適用される場合、同意語と見な される。同様に、「シリコーン中水型エマルジョン」および「油中水型エマルジ ョン」という用語は、そのような組成物に適用される場合同意語と見なされる。 ２．油中水型乳化剤 本明細書に記述される組成物はさらに約２から約12パーセント、好ましくは約 ５から約10パーセントの油中水型乳化剤を含む。本発明の目的のため「油中水型 乳化剤」という用語は、親水性−親油性バランス(HLB)が６未満、好ましくは約 ２から約４である、化粧品的に許容される乳化剤をさす。（HLBの説明について は、M.G．DeNavarre，”The Chemistry and Manufacture of Cosmetics,”Vol． III，第２版，(Continental Press，Orlando，1975)中のL.M．Prince，pp．25-3 7参照）。このような乳化剤は、本発明の組成物の油成分と水性成分の間の界面 張力を減少させる働きをする。乳化剤はさらに洗剤(cleansing agents)、発砲剤 および懸濁剤としても作用しうる。そして、長期間にわたる水性成分の油成分中 での 分散を維持するのを助けることができる。 適切な油中水型乳化剤は以下のものを含むがそれらだけに限定されない。すな わち、ソルビタンラウレートおよびソルビタンパルミテート等のソルビタン誘導 体；ラウレス-4(laureth-4)等のアルコキシル化アルコール；ジメチコーンコポ リオール等の、ポリマー性シリコーンのヒドロキシル化誘導体；セチルジメチコ ーンコポリオール等の、ヒドロキシル化ポリマー性シリコーンのアルキル化誘導 体；ポリグリセリル-4イソステアレート等のグリセリルエステル；およびこれら の混合物、特にポリマー性シリコーンのヒドロキシル化誘導体、ヒドロキシル化 ポリマー性シリコーンのアルキル化誘導体およびグリセリルエステルの混合物、 特に好ましくはジメチコーンコポリオール、セチルジメチコーンコポリオールお よびポリグリセリル-4イソステアレートの混合物である。本発明の目的のため、 「シリコーン中水型乳化剤」および「油中水型乳化剤」という用語は、油成分が 主として、または本質的にシリコーンからなる組成物に適用される場合、同意語 とみなされる。 ３．有機粘土成分 本明細書に記述される組成物はさらに約２から約20パーセント、好ましくは約 ５から約15パーセントの有機粘土成分を含む。この有機粘土成分は、約５から約 15パーセントの有機粘土、約75から約95パーセントの非極性キャリヤー、および 約１から約10パーセントの極性膨潤剤を含む。本発明の目的のため、「有機粘土 」という用語は、化粧品的に許容される、水和ケイ酸アルミニウムの粘土と第四 級アンモニウム塩の反応生成物である任意の第四級アンモニウム錯体(complex) をさす。本明細書に使用する「極性膨潤剤」とは、油成分中における有機粘土の ３次元網状構造への膨張を容易にする、化粧品的に許容される任意の物質をさす 。本明細書に使用する「非極性キャリヤー」とは、有機粘土の油成分中への組み 込みを容易にする物質をさす。 先に記述したように、本発明の組成物は有意義な懸濁力を有する。すなわち、 これらの組成物は広い温度範囲にわたって、かつ長期間、重大な沈殿または分離 を起こさずに実質的に不溶性の粉体を懸濁することが可能である。決して理論に 限定されるのではないが、有機粘土が膨張して油成分内で３次元網状構造を形成 することにより組成物に懸濁力を与えるものと思われる。この網状構造は安定で ある一方、組成物を高い剪断に付す（例えば組成物をスプレー装置のノズルから 押し出すことによって）と、容易に破壊されうる。網状構造の破壊により、組成 物の粘度は有意に、そして即座に減少し、組成物はスプレー可能となる。したが って、本発明の目的のためには、有機粘土成分の本発明組成物の油成分への組み 込みに先立って、有機粘土が有機粘土成分内で極性膨潤剤によって３次元網状構 造の形成へ向けて活性化されることが非常に望ましい。 好ましい有機粘土は、ベントナイト粘土とクウォテルニウム(quaternium)アン モニウム塩、ヘクトライト粘土とクウォテルニウムアンモニウム塩、またはモン モリロン石粘土とクウォテルニウムアンモニウム塩の反応生成物である有機粘土 である。特に好ましいのは、ステアラルコニウム(stearalkonium)ヘクトライト 、クウォテルニウム-18ベントナイト、クウォテルニウム-18ヘクトライトおよび ベンザルコニウムベントナイトより成る群より選択される有機粘土である。こ 適切な極性膨潤剤は以下のものを含むがそれらだけに限定されない。すなわち 、エタノールおよびイソプロピルアルコール等の低級一価アルコール；プロピレ ンカーボネート等の極性エステル；水；等である。 適切な非極性キャリヤーは、以下のものを含むがそれらだけに限定されない。 すなわち、ひまし油およびラノリン油等の天然油；鉱油、石油蒸留物およびイソ ドデカン等の炭化水素；イソプロピルパルミテート、イソプロピルミリステート 、および炭素数12〜15のアルキルベンゾエート等のエステル；プロピレングリコ ールジカプリレート等のジエステル；シクロメチコーン等の揮発性シリコーン； ジメチコーン等のポリマー性シリコーン；等である。 有機粘土成分は、有機粘土、非極性キャリヤーおよび極性膨潤剤を、当業者に 入手可能なミル型、ホモジナイザー型、回転子-固定子型の任意のミキサーを用 いて混合することにより調製する。これらのミキサーは、ロールミル、ボールミ ル、およびコロイドミルを含むが、それだけに限定されない。または、商品名Be 、非極性キャリヤーおよび極性膨潤剤を含む市販の調製物を、本発明の有機粘土 成分として用いてもよい。 ４．実質的に不溶性の粉体 本明細書に記述される組成物はさらに約１から約12パーセント好ましくは約３ から約９パーセントの実質的に不溶性の粉体を含む。本明細書に用いる「実質的 に不溶性の粉体」という用語は、化粧品的に許容される、本発明の組成物の水性 成分にも油成分にも実質的に不溶性の微細に分割された任意の固体を含むことを 意味する。本発明の目的に適した粉体は、日焼け止め；着色剤；薬理的に活性な 、特に皮膚科学的に活性な物質；化粧品添加剤；等を含むが、これらだけに限定 されない。 本発明の好ましい態様の１つにおいて、実質的に不溶性の粉体は、日焼け止め である少なくとも１つの物質を含む。本明細書に使用する「日焼け止め」という 用語は、波長約280から約400nmの紫外線から、これを効果的に吸収することによ り、および／またはヒトの皮膚表面からこれを反射または散乱させることにより 、ヒトの皮膚を保護することのできる任意の物質をさす。 本発明の目的に適した日焼け止めは、下記のものを含むがそれらだけに限定さ れない無機日焼け止めを含む。すなわち、二酸化チタン等のチタン誘導体、特に 平均粒径が10から100ナノメートルである二酸化チタン、特に好ましくは平均粒 径が10から100ナノメートルで、かつ凝集を最小とする疎水性コーティング剤を 含有する二酸化チタン；酸化亜鉛等の亜鉛誘導体、特に平均粒径が10から100ナ ノメートルである酸化亜鉛；メラニンおよびメラニン誘導体等のポリマー性日焼 け止め；およびこれらの混合物である。平均粒径が10から100ナノメートルで、 かつラウリン酸アルミニウムを含む疎水性コーティング剤を含有する二酸化チタ ンは特に好ましく、Titanium Dioxide Micro LA-20(Grant Industries，Elmwood Park，NJ)の商品名で市販されている。 本発明の別の態様において、実質的に不溶性の粉体は、着色剤である少なくと も１つの物質を含む。適切な着色剤は、ブロンズ粉等の金属；酸化鉄等の金属酸 化物；雲母等のケイ酸塩；D&C Blue No．1 Aluminum LakeおよびD&C Red No．7 Barium Lake 等のレーキを含むが、これらだけに限定されない。 本発明のさらに別な態様において、実質的に不溶性の粉体は皮膚科学的に活性 な物質を含む。適切な皮膚科学的に活性な物質は、塩化水素酸アルミニウム(Alu minium chlorohydrate)等の制汗剤；硫黄等の抗アクネ剤；ピリチオン亜鉛(zinc pyrithione)等の抗ふけ剤；トルナフテート等の抗真菌剤；ヒドロコルチゾンお よびインドメタシン等の抗炎症剤；等を含むが、これらだけに限定されない。 本発明の別な態様において、粉体は組成物の物理的および／または美的特性を 変更することに役立つ１つまたは２つ以上の化粧品添加剤を含有する。このよう な物質は、窒化ホウ素等の粘着性を減少させるための添加剤；ナイロンおよびポ リエチレン等の増量剤；ポリスチレン等の皮膜形成剤；タルク等の吸収剤；等を 含むが、これらだけに限定されない。このような物質の特定の種類および量は組 成物の所望の物理的および美的特性によって変わるであろう。そして、それらは 当業者によって容易に決定される。 ５．水性成分 本明細書に記述される組成物はさらに約５から約50パーセント好ましくは約25 から約35パーセントの水性成分を含む。本発明の目的のため「水性成分」という 用語は、本質的に、または主として水から成る製薬上または化粧品的に許容され る任意の物質をさす。本発明の組成物の水性成分は、皮膚および毛髪表面の水分 を増加させ、そのような表面から時間がたつにつれ水分が失われるのを遅らせる のに役立つ。 この水性成分は場合により１つまたは２つ以上の水溶性皮膚軟化薬を含有する 。これらの軟化薬は以下のものを含むがそれらだけに限定されない。すなわち、 プロピレングリコールおよびブチレングリコール等の低分子量の脂肪族ジオール ；グリセリンおよびソルビトール等のポリオール；およびポリエチレングリコー ル200等のポリオキシエチレンポリマーである。使用される水溶性皮膚軟化薬の 特定の種類および量は、組成物の所望の美的特性により変わるであろう。そして 、それらは当業者によって容易に決定される。 本発明の組成物の水性成分はまた約0.01から約2.00パーセント、好ましくは約 0.05から約0.75パーセント、そして最も好ましくは約0.2から約0.75パーセント の電解質または電解質の組合せを含む。本発明の目的に適する電解質は、無機電 解質、有機電解質および高分子電解質を含むが、これらだけに限定されない。無 機電解質はアルカリ金属塩およびアルカリ土類塩、特に塩化ナトリウム、塩化カ ルシウム、塩化マグネシウム、および硫酸マグネシウムからなる群より選択され る電解質、好ましくは塩化ナトリウムを含むが、これらだけに限定されない。さ らに、本発明に用いる高分子電解質はヒアルロン酸およびヒアルロン酸ナトリウ ム、ポリマーJR（ポリクウォテルニウム-10）、カチオン性グアーガム、ならび にキサンタンガムを含むが、これらだけに限定されない。 本発明のもっとも好ましい態様においては、無機電解質および高分子電解質の 両方が同時に組成物中で種々のレベルで使用される。これらのレベルは、先に開 示したレベルの範囲内にある。例えば、塩化ナトリウムおよびヒアルロン酸ナト リウム；塩化カルシウムおよびヒアルロン酸ナトリウム；または塩化マグネシウ ムおよびヒアルロン酸カルシウムが種々のレベルで使用できる。ここで電解質の 合計重量は、約0.05から約0.75である。 本発明の組成物は、場合により、以下のものを含むがそれらだけに限定されな い、化粧品的に許容される物質を含有することができる。すなわち、水溶性着色 剤(FD&C Blue ♯1 等)；油溶性着色剤(D&C Green ♯6等);水溶性日焼け止め(Eus olex 232等);油溶性日焼け止め（オクチルメトキシシンナメート等）；粒状日焼 け止め（酸化亜鉛等）；抗菌剤（ベンザルコニウムクロライド等）；酸化防止剤 (BHT等);キレート化剤（EDTA二ナトリウム等）；エマルジョン安定剤（カルボマ ー等）；保存剤（メチルパラベン等）；香料(fragrances)（ピネン等）；風味剤 (flavoring agents)（ソルビトール等）；湿潤剤（グリセリン等）；防水剤(PVP /エイコセンコポリマー等);水溶性皮膜形成剤（ヒドロキシプロピルメチルセル ロース等）；油溶性皮膜形成剤（水素化C-9樹脂等）；カチオン性ポリマー（ポ リクウォテルニウム-10等）；アニオン性ポリマー（キサンタンガム等）；ビタ ミン（トコフェロール等）；などである。 本発明はまた、皮膚または毛髪への局所的使用に適した安定なスプレー可能な 組成物の調製方法に関するものであり、この方法は （ａ）油中水型乳化剤を含む油成分を準備し； （ｂ）有機粘土、非極性キャリヤーおよび極性膨潤剤を含む有機粘土成分を上記 油成分と混合し； （ｃ）実質的に不溶性の粉体を上記油成分と混合し；そして （ｄ）水性成分を上記油成分とブレンドして油中水型エマルジョンを形成させる ことを含んでなり、上記各物質の量は得られる組成物が約20から約80パーセント の油成分、約２から約12パーセントの油中水型乳化剤、約0.1から約３パーセン トの有機粘土、約1.5から約19パーセントの非極性キャリヤー、約0.02から約２ パーセントの極性膨潤剤、約１から約12パーセントの実質的に不溶性の粉体、約 ５から約50パーセントの水性成分、および約0.05から約0.75パーセントの電解質 を含むように調整されるものである。 本発明の組成物の調製方法は、決して上記の工程の順序に限定されないことが 理解されねばならない。また、ここに使用する「混合する」という用語は、当業 者に公知の懸濁法、溶解法、または分散法の任意のものを含むが、それらだけに 限定されないことも理解されねばならない。同様に「混合物」という用語は、そ のような方法によって調製された任意の懸濁液、溶液、または分散液を含むが、 それらだけに限定されない。さらに、本明細書で使用する「ブレンドする」およ び「乳化する」という用語は、当業者に公知の任意の高剪断混合方法をさすこと 断混合装置の使用を含むが、それだけに限定されない。以下の非制限的実施例は 、本発明の種々の態様を例証する。 実施例１：日焼け止め組成物 手順 相１の成分を約35℃で、BHTが溶解するまで混合した。相２および相３をそれ ぞれ混ぜ合わせ、滑らかなペーストが形成されるまでロールミル、ボールミルま たはコロイドミルで混練する。相５および相６をそれぞれ混ぜ合わせ、透明な溶 液が得られるまで混合する。相２〜６を相１に混合しながら連続的に加え、そし て得られたエマルジョンを滑らかになるまでブレンドした。 本質的に実施例１の手順にしたがって、実施例２および３を以下のように調製 した： 実施例２：抗真菌性組成物 実施例３：メーキャップ組成物 本発明はまた、紫外線への暴露による望ましくない影響から、または皮膚を損 なう煙もしくはその他の外的な因子からヒトの皮膚または毛髪を治療または保護 するための本発明の組成物の使用方法に関する。本発明はまた、着色剤を用いて ヒトの皮膚または毛髪を処理または保護する（例えば、毛髪に色を付ける、皮膚 に人工的な日焼けを与える、または皮膚に人工的な白さを与える）ための本発明 の組成物の使用に関する。これらの方法は、適切な組成物の有効量を皮膚または 毛髪に適用することから成る。 本発明を特定の態様の面から記述してきたが、当業者には多数の変形が可能と されていることが理解されよう。したがって、本発明は広く解釈されるべきで、 、添付の請求の範囲によってのみ限定されるものである。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．（ａ）約20から約80パーセントの成分； （ｂ）約２から約12パーセントの、上記油成分中に分散させた油中水型乳化 剤； （ｃ）約２から約20パーセントの、上記油成分中に分散させた有機粘土成分 であって、約５から約15パーセントの有機粘土、約75から約95パーセントの非極 性キャリヤー、および約１から約10パーセントの極性膨潤剤を含むもの； （ｄ）約１から約12パーセントの、上記油成分中に分散させた実質的に不溶 性の粉体；および （ｅ）約５から約50パーセントの、上記油成分中に乳化されて油中水型エマ ルジョンを形成している水性成分であって、約0.01から約2.00パーセントの電解 質を含むものを含んでなる、ヒトの皮膚または毛髪への局所的使用に適した安定 なスプレー可能な組成物。 ２．さらに防水剤を含む、請求項１に記載の組成物。 ３．油成分がシリコーンを含む、請求項１に記載の組成物。 ４．シリコーンが揮発性シリコーンである、請求項３に記載の組成物。 ５．有機粘土が水和ケイ酸アルミニウム粘土と第四級アンモニウム塩の反応生成 物である、請求項１に記載の組成物。 ６．有機粘土がクウォテルニウム(quaternium)-18ベントナイト、クウォテルニ ウム-18-ヘクトライト(hectorite)、ベンザルコニウムベントナイト、ステアラ ルコニウム(stearalkonium)ヘクトライト、およびステアラルコニウムベントナ イトまたはこれらの混合物からなる群より選択される、請求項５に記載の組成物 。 ７．極性膨潤剤が低級一価アルコール、極性エステル、および水またはこれらの 混合物からなる群より選択される、請求項１に記載の組成物。 ８．約0.05から約0.75パーセントの電解質を含む、請求項８に記載の組成物。 ９．約0.2から約0.75パーセントの電解質を含む、請求項１に記載の組成物。 １０．電解質が無機電解質である、請求項１に記載の組成物。 １１．電解質がアルカリ金属塩およびアルカリ土類塩からなる群より選択される 、請求項１０に記載の組成物。 １２．電解質が塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、および硫 酸マグネシウムからなる群より選択される、請求項１１に記載の組成物。 １３．電解質が塩化ナトリウムである、請求項１２に記載の組成物。 １４．電解質が高分子電解質である、請求項１に記載の組成物。 １５．電解質が無機電解質および高分子電解質の混合物である、請求項１に記載 の組成物。 １６．高分子電解質がヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリクウォテル ニウム(polyquaternium)-10、カチオン性グアーガム、およびキサンタンガムか らなる群より選択される、請求項１４または１５に記載の組成物。 １７．粉体が日焼け止めを含む、請求項１に記載の組成物。 １８．日焼け止めが二酸化チタンである、請求項１７に記載の組成物。 １９．二酸化チタンが10から100ナノメートルの平均粒径を有し、かつ疎水性コ ーティング剤を有する、請求項１８に記載の組成物。 ２０．粉体が着色剤を含む、請求項１に記載の組成物。 ２１．粉体が皮膚科学的に活性な物質を含む、請求項１に記載の組成物。 ２２．（ａ）油中水型乳化剤を含む油成分を準備し； （ｂ）有機粘土、非極性キャリヤーおよび極性膨潤剤を含む有機粘土成分 を上記油成分と混合し； （ｃ）実質的に不溶性の粉体を上記油成分と混合し；そして （ｄ）水性成分を上記油成分とブレンドして油中水型エマルジョンを形成 する工程を含んでなり、上記各物質の量は得られる組成物が約20から約80パーセ ントの油成分、約２から約12パーセントの油中水型乳化剤、約0.1から約３パー セントの有機粘土、約1.5から約19パーセントの非極性キャリヤー、約0.02から 約２パーセントの極性膨潤剤、約１から約12パーセントの実質的に不溶性の粉体 、約５から約50パーセントの水性成分、および約0.01から約2.00パーセントの電 解質を含むように調整されるものである、皮膚または毛髪への局所的使用に適す る低粘性組成物の調製方法。 ２３．（ａ）約30から約60パーセントのシリコーン成分； （ｂ）約５から約10パーセントの、上記シリコーン成分中に分散させたシ リコーン中水型乳化剤； （ｃ）約２から約20パーセントの、上記シリコーン成分中に分散させた有 機粘土成分であって、クウォテルニウム-18ベントナイト、ベンザルコニウムベ ントナイト、およびステアラルコニウムベントナイトからなる群より選択される 約５から約15パーセントの有機粘土、約75から約95パーセントの非極性キャリヤ ー、および約１から約10パーセントの極性膨潤剤を含むもの； （ｄ）約３から約９パーセントの、上記シリコーン成分中に分散させた二 酸化チタン；および （ｅ）約25から約35パーセントの、上記シリコーン成分中に乳化されてシ リコーン中水型エマルジョンを形成している水性成分であって、約0.01から約2. 00パーセントの電解質を含むものを含んでなる、ヒトの皮膚を紫外線から保護す るのに適したスプレー可能な組成物。 ２４．約0.05から約0.75パーセントの電解質を含む、請求項２３に記載の組成物 。 ２５．約0.2から約0.75パーセントの電解質を含む、請求項２４に記載の組成物 。 ２６．電解質が無機電解質および高分子電解質の混合物である、請求項２３に記 載の組成物。 ２７．電解質が塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、および塩化カルシウムから なる群より選択される、請求項２３に記載の組成物。 ２８．請求項２０または２３に記載の組成物を皮膚または毛髪に適用することを 含んでなる、ヒトの皮膚または毛髪に色を付ける方法。 ２９．請求項１、１７、１８または１９に記載の組成物を皮膚に適用することを 含んでなる、ヒトの皮膚を紫外線の影響から保護する方法。 ３０．請求項２０に記載の組成物を皮膚または毛髪にスプレーすることを含んで なる、ヒトの皮膚または毛髪を皮膚科学的に活性な作用物質で治療する方法。 ３１．シリコーン成分が揮発性シリコーンである、請求項２３に記載の組成物。 ３２．さらに防水剤を含んでなる、請求項２３に記載の組成物。