JP3621771B2 - 口紅用組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は口紅用組成物、特に二次付着性の改善に関する。
【0002】
【従来の技術】
口紅は極めてポピュラーな化粧品の一つであるが、口唇に塗布するという性質上、口唇に対し無刺激、無害であること、不快な味や匂いがないことなどが要求される。
ところで最近、口紅を口唇に塗布した後、該口紅がカップなど口唇に接触する部位に転写されてしまう、いわゆる二次付着性の改善が強く要望されている。
そこで、近年この二次付着性を改善した「耐うつり性の改善された化粧料組成物」として、特開平6−199630号公報に記載されたものが報告されている。この化粧料組成物は、揮発性溶媒と、シリコン樹脂と、ワックスと、粉末と、油分を含むことを特徴としている。そしてこのような化粧料組成物を用いたならば、二次付着性が改善されるというものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平6−199630号公報に記載された化粧用組成物においても塗布時の伸びや、なめらかな使用感、使用時の保水性の点で課題が残っている。
そして、口紅は口唇になめらかにつき、しかもこのなめらかな使用感が維持され、みずみずしく保たれること要求され、前記二次付着性の改善は、なめらかな使用感の維持と排反する要件であるため、その両者を合わせ持つ口紅用組成物の開発が望まれている。
本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的はなめらかな使用感と共に二次付着性の改善された口紅用組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために本発明者らが鋭意検討を行なった結果、撥水性ポリマーと共に特定の粒径を有する粉体を配合することにより、なめらかな使用感、二次付着性の両者が改善された口紅用組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本出願の請求項1記載の口紅用組成物は、揮発性油分と、前記揮発性油分に溶解する撥水性ポリマーと、前記揮発性油分が存在しない状態で、前記撥水性ポリマーに被覆され得る粉体と、前記揮発性油分と相溶性を有する非揮発性油分とを含み、前記粉体として少なくとも大径粒子と超微粒子が存在し、前記超微粒子の粒径は0.01〜0.1μmであり、前記超微粒子の粒径と前記大径粒子の粒径の比が1:20〜1:500であり、前記超微粒子がシリカであることを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の組成物は、前記揮発性油分を10〜50重量%、前記撥水性ポリマーを10〜35重量%、前記粉体を2〜20重量%、前記非揮発性油分を10〜40重量%含むことを特徴とする。請求項3記載の組成物は、前記超微粒子と前記大径粒子を1:19〜10:1の割合で配合することを特徴とする。請求項4記載の組成物は、揮発性油分が揮発性シリコン油であり、撥水性ポリマーがシリコン樹脂であることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態をさらに詳細に説明する。
本発明において好適に用いられる揮発性油分としては、デカメチルテトラシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサンなどの鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンなどの環状ポリシロキサン、シェルソル(シェル化学)、アイソパー(エッソ化学)等の軽質流動イソパラフィン等が挙げられる。
また、本発明において好適に用いられる撥水性ポリマーとしては、シリコン樹脂、シリコンゴム、フッ素変性シリコン樹脂、アルキル変性シリコン樹脂等が挙げられる。
【0008】
また、本発明において好適に用いられる粉体としては、通常化粧品に用いられる粉末ならばいずれも使用可能であり、例えばタルク、カオリン、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、バーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、ベントナイト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼石膏)、リン酸カルシウム、フッ素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、窒化ホウ素、二酸化チタン、酸化亜鉛などの無機粉末、ポリアミド樹脂粉末、ナイロン粉末、ポリエチレン粉末、ポリプロピレン粉末、ポリエステル粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、シリコン樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四弗化エチレン粉末、セルロース粉末などの有機粉末、各種顔料等が挙げられる。
【0009】
これらの粉末のうち、一部は粒径0.01〜0.1μmの超微粒子であることが好ましい。粒径0.01〜0.1μmの超微粒子としては、超微粒シリカ、超微粒二酸化チタン、超微粒硫酸バリウム、超微粒亜鉛華等が挙げられる。
これらの中でも透明性が高いものの方が口紅の有する色調を害することがないため好ましく、また前記揮発性油分として揮発性シリコン油、撥水性ポリマーとしてシリコン樹脂を用いた場合には、これらとの相性から特にシリカが好ましい。
また、これらの超微粒子と同時に大径粒子を配合することが好ましい。大径粒子とは、前記超微粒子の粒径と大径粒子の粒径の比が1:20〜1:500のものをいう。1:20以下では、べたつきを抑えることができず、1:500以上では、配合する粉体の影響が大きく、良好な使用感を得ることができない。
【0010】
また、本発明において好適に用いられる非揮発性油分としては、皮膚安全性の高いものであれば、使用可能である。例えば流動パラフィン、スクワラン、ヒマシ油、オリーブ油、ホホバ油、グリセリルジイソステアレート、トリメチロールプロパントリ2エチルイソステアレート、グリセロールトリ2エチルヘキサノエート、イソプロピルミリステート、セチル2エチルヘキサノエート、グリセリルトリイソステアレート、2ヘプチルウンデシルパルミテート、メチルポリシロキサン、ポリブテン、トリイソステアリン酸グリセリン、ジイソステアリルマレート、ラノリンなどが挙げられ、これらの中から1種又は2種以上が任意に選択される。
その他、棒状口紅を製造する場合には、保形剤としてセレシンワックス、カルナバワックス、ポリエチレンワックス、パラフィンワックスなどを5〜20重量%程度配合することが好適である。
【0011】
本発明において、組成物中における前記揮発性油分の好適な配合量は、10〜50重量%である。10重量%未満であると、相対的に他の成分が多くなり、口唇への塗布時ののびに欠ける場合がある。また、50重量%を越えると、相対的に他の成分が少なくなり、成型する場合、強度が十分得られない場合がある。
また、本発明において、組成物中における撥水性ポリマーの好適な配合量は、10〜35重量%、特に好ましくは15〜30重量%である。撥水性ポリマーの配合量が10重量%未満であると、二次付着性の改善が充分でない場合がある。一方、撥水性ポリマーの配合量が35重量%を越えると、べたつきを生じる場合がある。
【0012】
本発明において、組成物中における粉体の配合量は、2〜20重量%が好適である。粉体が1重量%未満の場合には、べたつきを抑える効果に乏しい場合があり、また20重量%を越える場合には使用感触が悪化する場合がある。特に超微粒子を1.0〜10重量%、さらに好ましくは1〜8重量%用いると、使用感触、二次付着性ともに好適である。
本発明において超微粒子と大径粒子の配合量は、1:19〜10:1であることが好ましい。超微粒子に対して大径粒子の配合量が多すぎると使用時のべたつきを生じる場合がある。一方、大径粒子の配合量が少なすぎると、塗布時ののびが悪く、塗布後の艶も得られない。
【0013】
本発明において、組成物中における非揮発性油分の好適な配合量は、10〜40重量%、特に好ましくは15〜30重量%である。非揮発性油分が10%未満の場合には、塗布・乾燥後の感触が悪く、しかも場合により固型を保持するのが困難なことがある。また、40重量%を越えるとべたつきを生じる場合がある。
【0014】
さらに、本発明にかかる口紅用組成物には、各種薬剤、例えば、ビタミンA、B1、B2、B6、B12、C、D、E、F、K、U及びその塩類又は誘導体、パントテン酸及びその塩類又は誘導体、ビオチン、ローヤルゼリー抽出液、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸及びその塩類又は誘導体、葉酸、γ−オリザノール等のビタミン類、
グリチルレチン酸ステアリル、l−メントール、カンフル、カンファー、カラミン、インドメタシン、サリチル酸メチル、アミノ安息香酸エチル、クロタミトン等の消炎剤、
ヒノキチオール、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸及びその塩類又は誘導体、アラントイン、アズレン、ε−アミノカプロン酸、トラネキサム酸及びその塩類又は誘導体等の抗炎症剤、
シスチン、システイン、メチオニン、セリン、ロイシン、トリプトファン、アミノ酸エキス等のアミノ酸類、
ハマメリス、黄連、シコン、西洋ノコギリソウ、ヒリハリ草、リリー、ヘチマ、ベニバナ、セイヨウトチノキ、ユーカリ油、マロニエ、β−カロチン、アロエエキス、ニンジンエキス、カンゾウエキス、オオバクエキス、カミツレエキス、ビワ抽出物、センブリエキス、セファランチン、当帰エキス、プラセンタエキス等の動植物抽出物及びエキス、
エストラジオール及びその塩類又は誘導体、エチニルエストラジオール等の卵胞ホルモン、コルチゾン及びその塩類又は誘導体、ヒドロコルチゾン及びその塩類又は誘導体、プレドニゾン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン等の副腎皮質ホルモン等のホルモン剤、
塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン等の抗ヒスタミン剤、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ハロカルバン、塩化クロルヘキシジン等の殺菌剤、
等を配合することができる。これらの薬剤の配合量は、各薬剤が機能するに十分な量配合されることが好ましく、特に限定されるものではないが、口紅用組成物への適切な配合量としては、口紅用組成物中0.001〜5重量%である。
【0015】
なお、本発明にかかる口紅用組成物には、通常口紅などの化粧品に配合される各種成分、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線遮蔽剤、防腐剤、保湿剤、染料などを配合することができる。
【0016】
本発明にかかる口紅用組成物は、前述した構成をとることにより、塗布前には製品形態として揮発性油分中に撥水性ポリマー、粉末、非揮発性油分などが分散しており、口唇への塗布時の伸びがよく、なめらかな使用感を得ることができる。
そして、口唇への塗布後には、前記揮発性油分が揮発し、撥水性ポリマー、粉体、非揮発性油分が口唇上に残存する。前記撥水性ポリマーは単独では一般にべたつきが著しいが、本発明においては超微粒シリカ等の超微粒子と大径粒子とが配合され、該粉体が撥水性ポリマーのべたつきを抑制するものと思われる。
また、超微粒子と大径粒子とを配合することにより、使用時の艶を演出することが可能である。
【0017】
【実施例】
以下、本発明の好適な実施例を説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、配合量等は特に指定がない限り、重量%で示す。まず、本発明者らは下記の組成の口紅を作成し、その使用感、二次付着性などを調べた。なお、以下の配合例においては、いずれも少量の界面活性剤を用いている。超微粒子と大径粒子の粒径比(以下、粒径比という)は、超微粒子の粒径/大径粒子の粒径で求めた。また、使用性の評価は以下の方法により行った。
【0018】
〔使用性の評価方法〕
各実施例について化粧専用パネルを用いて使用テストを行った。なお、評価基準は、以下に従って判定した。
◎:16〜20名が良好と判定
○:11〜15名が良好と判定
△:8〜10名が良好と判定
×:0〜5名が良好と判定
【0019】
【表1】
【0020】
なお、シリコン樹脂Aとしては、約3000の分子量を有し、かつ(CH3)3SiO1/2:SiO2単位=0.8:1からなる平均式(CH3)1.33SiO1.34で表されるシリコン樹脂を用いている(以下、シリコン樹脂Aという)。
以上の検討結果より明らかなように、粉末を全く配合しない場合には、二次付着性、べたつき感の改善が全くみられない。また、粒径の大きい粉末のみを配合したのでは、二次付着性の十分な改善を図ることができない。一方、超微粒シリカを配合すると、艶、べたつき感の点で改善が不十分である。
そこで、超微粒シリカとともに各種大径粒子を配合したところ、二次付着性、べたつき感、艶のすべての面で優れた組成物を得ることが可能であった。
【0021】
次に、本発明者らは各成分の有効配合量について検討を進めた。
撥水性ポリマー配合量
まず、本発明者らは撥水性ポリマーの配合量について検討を行なった。なお、本試験における超微粒子と大径粒子の粒径比は0.004である。
【表2】
上記検討結果より、二次付着性を改善する上では、撥水性ポリマーが10重量%以上、特に15重量%以上であることが好ましい。但し、撥水性ポリマーが35重量%を越えると、べたつき感が発生することがあり、特に好ましくは30重量%までである。
【0022】
粉体配合量
次に、本発明者らは粉体の配合量について検討を行った。まず、超微粒子の配合量について検討した。
【表3】
上記検討結果より、べたつき感を改善する上では、シリカの配合量が1.0重量%以上が好ましい。但し、シリカの配合量が10重量%を越えると、伸びなどの使用感触が悪くなり、艶も多少劣化する場合がある。従って、艶を維持しつつ、べたつきを抑えるためには、粉体の配合量は1.0〜10重量%、特に1.0〜8.0重量%であることが好ましい。
【0023】
さらに、超微粒子と大径粒子の配合比の検討を行った。なお、本試験における粒径比は0.004である。
【表4】
以上の結果より明らかなように、超微粒子と大径粒子の配合比が1:19〜10:1であれば、使用感、二次付着性の改善された組成物を得ることが可能である。
【0024】
油分とポリマーの比率
前記検討を行なう中で、本発明者らは非揮発性油分と撥水性ポリマーの比率が使用感、二次付着性に大きな影響を与えることを見出した。
すなわち、非揮発性油分が相対的に著しく少ない場合には、撥水性ポリマーの影響が強くでるため、べたつき、伸びの悪さなどを生じる場合があり、また撥水性ポリマーが相対的に著しく少ない場合には撥水性ポリマーの作用が非揮発性油分に阻害され、二次付着性などが悪化するものと思われる。
【表4】
上記検討結果より、樹脂と非揮発性油分の比が1/2を越えると、伸び、艶が悪くなり、しかも二次付着性、べたつき感などの改善もあまり認められない。また、樹脂と非揮発性油分の比が2/1未満であると、樹脂の特性を充分に発揮することができず、二次付着性の改善効果が不十分となることがある。
従って、樹脂と非揮発性油分の比は、1/2以上、2/1以下であることが好ましい。
【0025】
以下、本発明のより具体的な配合例について説明する。なお、いずれも二次付着性が低く、しかもべたつき感を生じることが少なかった。
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように本発明にかかる口紅用組成物によれば、撥水性ポリマーと共に、粉体を配合したので、二次付着性が低く、しかもべたつき感を生じることがない。
Claims (4)
- 揮発性油分と、
前記揮発性油分に溶解する撥水性ポリマーと、
前記揮発性油分が存在しない状態で、前記撥水性ポリマーに被覆され得る粉体と、
前記揮発性油分と相溶性を有する非揮発性油分と、
を含み、
前記粉体として少なくとも大径粒子と超微粒子が存在し、
前記超微粒子は粒径0.01〜0.1μmであり、
前記超微粒子の粒径と前記大径粒子の粒径の比が1:20〜1:500であり、
前記超微粒子がシリカであることを特徴とする口紅用組成物。 - 請求項1記載の組成物において、
揮発性油分を10〜50重量%、
撥水性ポリマーを10〜35重量%、
粉体を2〜20重量%、
非揮発性油分を10〜40重量%
を含むことを特徴とする口紅用組成物。 - 請求項1又は2記載の口紅用組成物において、超微粒子と大径粒子を1:19〜10:1の割合で配合することを特徴とする口紅用組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の口紅用組成物において、揮発性油分が揮発性シリコン油であり、撥水性ポリマーがシリコン樹脂であることを特徴とする口紅用組成物。
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