【発明の詳細な説明】
シリコン含有マトリックスを有する光調整装置関連出願の相互参照
本出願は、本出願と同じ譲渡人に譲渡された以下の米国特許に関連し、その内
容を本明細書の一部とする:ミラー(Miller)ら、米国特許出願第07/819,260号、
「紫外線重合性マトリックスおよび可変光学透過性を有するポリマー分散液晶装
置およびその調製方法」(1992年1月10日出願)。
発明の背景 発明の分野
本発明は、光調整装置(例えばポリマー分散液晶装置であって、以下「PDL
C装置」と呼ぶ)に関し、より詳しくは改良されたシリコン含有マトリックスに
基づく光調整装置に関する。関連技術の記載
種々のタイプの光調整装置が知られている。一つのタイプはPDLC装置と呼
ばれ、液晶滴をポリマーマトリックス全体に分散させた、電気反応性液晶層を含
む。液晶層は、液晶材料を重合性マトリックス前駆体と合わせて、混合物を重合
条件にさらすことによって調製される。重合は、液晶材料の相分離を引き起こし
、ポリマーマトリックス全体に分散した、分離または相互連結した液晶滴を形成
させる。
PDLC装置は、電界の不在下では、光が分散するために半透明であって、電
界を付与すると透明になる。逆モードのPDLCもまた知られている。これらの
装置は、電界の不在下では透明であって、電界の付与によって半透明になる。
種々のPDLC材料が知られている。それらには、エポキシ、ウレタン、およ
び光硬化性ビニルモノマー(例えばアクリレート類)それぞれの重合生成物が含
まれ、同様に多官能性チオールと多官能性アクリレートまたは多官能性アリルと
の反応生成物が含まれる。発明の概要
第1の様相において、本発明は、シロキサン結合(即ち、Si-O-Si結合)を含
むポリマーマトリックス中に分散した液晶を含む光学反応性フィルムを特徴とす
る。フィルムは、20℃における該フィルムの透過率と実質的に同じ-20℃におけ
る透過率、および20℃における値の2倍より少ない-20℃におけるV90を有する
。ここで用いるV90は、フィルムを半透明と透明状態とに切替えるために必要な
最大透過率までの幅の90%における切替電圧を指す。例えば、最小透過率が10%
かつ最大透過率が20%である場合、最大透過率までの幅の90%における切替電圧
は、19%の透過率を得るために必要な電圧である。
好ましい態様において、フィルムは1以上の多官能性シロキサン含有反応物の
重合生成物である。ここで用いる「官能性」基とは、重合反応に寄与する基であ
る。「多官能性」反応物は、2以上のそのような基を含むが、「単官能性」反応
物はただ一つのそのような基を含む。幾つかの好ましい態様において、シロキサ
ン含有反応物の官能基は、シリコン原子から離れた3以上の炭素原子である。
シロキサン類は、一般にそれらの構造単位を特徴とし、4つの一般に容認され
たタイプ(M、D、TおよびQ)がある。M単位は、一般式R3Si[O]を有する
。D単位は、一般式R2Si[O]2を有する。T単位は、一般式R1Si[O]3を有す
る。Q単位は、一般式Si[O]4を有する。本発明に従ったシロキサン含有反応物
は、好ましくは直鎖シロキサン類である。そのようなシロキサンは、MおよびD
構造単位の型である。
好ましいシロキサン含有反応物の例には、メルカプト官能性シロキサン類、ヒ
ドロシロキサン類、カルビノール官能性シロキサン類、エポキシ官能性シロキサ
ン類、アミノ官能性シロキサン類、イソシアナート官能性シロキサン類、および
エン官能性シロキサン類が挙げられる。「エン官能性」シロキサンは、官能基が
重合性の炭素-炭素二重結合であるものである。適当なエン官能性シロキサン類
の例には、アクリロイル官能性シロキサン類、メタクリロイル官能性シロキサン
類、アクリルアミド官能性シロキサン類、メタクリルアミド官能性シロキサン類
、アリル官能性シロキサン類、ビニル官能性シロキサン類、およびヘキセニル官
能
性シロキサン類が挙げられる。
好ましいメルカプト官能性シロキサン類の例には、ポリ(3-メルカプトプロピ
ルメチルシロキサン)、またはそれらのオリゴマーまたはコポリマー、および1,1
,3,3-テトラメチル-1,3-ビス(3-メルカプトプロピル)ジシロキサンが挙げられる
。
好ましいビニル官能性シロキサン類の例には、(a)一般式:[CH2=CH]xR3 -x
SiOSiR3-y[CH=CH2]y(式中、xとyとの和は2〜6であって、かつR
はフェニルまたは低級アルキル基(例えば5以下の炭素原子、メチル、エチル、
またはプロピル等を有する)である)を有する化合物、および(b)一般式:[[C
H2=CH]xR2-xSiO]y(式中、xは0より大きく、2以下であって、yは3〜
6であって、かつRはフェニルまたは低級アルキル基(例えば5以下の炭素原子
、メチル、エチル、またはプロピル等を有する)である)を有する環状化合物が
ある。上記の範囲内にある幾つかの異なるR基が提供されたどんなシロキサンに
含まれていてもよい。特定例には、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン;1,
3-ジビニル-1,3-ジフェニル-ジメチルジシロキサン;1,1,3,3-テトラビニルジメ
チルジシロキサン;および1,3,5,7-テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロ
キサンが挙げられる。
また、1以上の多官能性エン(例えばトリアリル-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H
,3H,5H)-トリオン)と1以上の多官能性ヒドロシロキサンとの重合生成物である
光学反応性フィルムも好ましい。ヒドロシロキサン類は、1以上のシロキサン結
合を有するシリコン水素化物のタイプである。シリコン水素化物は、言い換える
と、シリコン原子に直接結合した1以上の水素原子を有するシリコン含有化合物
である。
好ましいヒドロシロキサン類の1つ種類は、一般式:R3-xHxiO-[R2-yHy
SiO]n-SiR3-zHz(式中、xおよびzは、0〜3までの整数であって、yは0〜
2であって、nは0以上であって、かつRはフェニルまたは低級アルキル基(例
えば5以下の炭素原子、メチル、エチル、またはプロピル等を有する)である)
、およびそれらのコポリマーを有する。上記の範囲内にある幾つかの異なるR基
が提供されたどんなヒドロシロキサンに含まれていてもよい。例には、1,1,3,3-
テ
トラメチルジシロキサンおよび1,3-ジフェニル-1,3-ジメチルジシロキサンが挙
げられる。
好ましいヒドロシロキサン類の第2の種類は、一般式:[R2-xHxSiO]n(式
中、nは3〜6であって、xは0〜2であって、かつRはフェニルまたは低級アル
キル基(例えば5以下の炭素原子、メチル、エチル、またはプロピル等を有する
)である)を有する。上記の範囲内にある幾つかの異なるR基が提供されたどん
なヒドロシロキサンに含まれていてもよい。例には、1,3,5,7,9-ペンタメチルシ
クロペンタシロキサンおよび1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサンが挙
げられる。
また、1以上の多官能性シロキサン含有反応物と、1以上の多官能性チオール
との反応生成物である光学反応性フィルムも好ましい。適当な多官能性チオール
類の例には、一般式:Z[OCO(CH2)nSH]m(式中、Zはグリセロールまた
はペンタエリトリトールのタイプの3または4価アルコールのCH0-3基含有核
である多価有機部分であって、mは3または4であって、かつnは1〜5までの整
数である)を有するものが挙げられる。特定例には、トリメチロールプロパント
リス(3-メルカプトプロピオネート)およびペンタエリトリトールテトラ(3-メル
カプトプロピオネート)が挙げられる。
また、1以上の多官能性シロキサンと1以上の多官能性シリコン水素化物(上
記で定義したように、ヒドロシロキサンであっても、そうでなくてもよい)との
重合生成物である光学反応性フィルムもまた好ましい。好ましい多官能性シリコ
ン水素化物の1つのタイプは、一般式:R4-xSiHx(式中、xは2〜4までの整
数であって、かつRはフェニルまたは低級アルキル基(例えば5以下の炭素原子
、メチル、エチル、またはプロピル等を有する)である)を有する。上記の範囲
内にある幾つかの異なるR基が提供されたどんなシリコン水素化物に含まれてい
てもよい。例には、ジメチルシラン、ジフェニルシラン、およびメチルフェニル
シランが挙げられる。
多官能性シロキサン含有反応物に加えて、マトリックスは更に1以上の単官能
性反応物、1以上の多官能性非シロキサン含有反応物、またはそれらの組み合わ
せを含んでいてもよく、それらは互いに多官能性シロキサン含有反応物と反応し
て、最終的な重合マトリックスを形成する。好ましい単官能性反応物の例には、
単官能性アリル類、アクリレート類、メタクリレート類、アクリルアミド類、メ
タクリルアミド類、チオール類、ビニルシラン類、シリコン水素化物類、および
それらの組み合わせが挙げられる。好ましい多官能性反応物の例には、多官能性
アリル類、アクリレート類、メタクリレート類、アクリルアミド類、メタクリル
アミド類、ビニルシラン類、シリコン水素化物、チオール類およびそれらの組み
合わせが挙げられる。
フィルムは、好ましくは多官能性シロキサン含有反応物の紫外線または熱硬化
重合生成物である。最終重合フィルムにおいて、液晶は好ましくはマトリックス
中に分散した分離滴の形態である。液晶滴の大きさは(滴の直径を測定)、好ま
しくは拡散される光の波長の約0.1〜10倍の範囲である。例えば、550nmの波長を
有する可視光が拡散することが望ましいならば、滴径は、好ましくは約55〜5500
nmの範囲にある。
シロキサン結合(Si-O-Si)を最終フィルム中に加えることは、透過率およ
びV90値から明らかなように、フィルムの低温特性を良好に向上させる。好まし
くは、フィルムの-20℃における透過率は、フィルムの20℃における透過率の10
%以内である。
第2の様相において、本発明は上記の光学反応性フィルムおよびフィルムに電
界を付与する一組の電極を含む光調整装置を特徴とする。
第3の様相において、本発明は2以上のメルカプト官能性基を有する1以上の
メルカプト官能性シロキサン反応物の重合生成物を含むポリマーマトリックス中
に分散した液晶を含む光学反応性フィルムを特徴とする。好ましいメルカプト官
能性シロキサン類の例には、ポリ(3-メルカプトプロピルメチルシロキサン)、ま
たはそれらのオリゴマーまたはコポリマー、および1,1,3,3-テトラメチル-1,3-
ビス(3-メルカプトプロピル)ジシロキサンが挙げられる。好ましくは、フィルム
は、-20℃において、20℃におけるフィルムの透過率と実質的に同じ(例えば約1
0%以内)透過率、および20℃における値の2倍より少ないV90を有する。
第4の様相において、本発明は、1以上の多官能性エンと1以上の多官能性シ
リコン水素化物との重合生成物を含むポリマーマトリックス中に分散した液晶を
含む光学反応性フィルムを特徴とする。
好ましい多官能性エン類には、トリアリル-1,3,5-トリアジン-(2,4,6(1H,3H,5
H)-トリオン)が含まれる。好ましい多官能性シリコン水素化物の一種には、一般
式:(a)R3-xHxiO-[R2-yHySiO]n-SiR3-zHz(式中、xおよびzは、0〜
3の整数であって、yは0〜2であって、nは0以上であって、かつRはフェニル
または低級アルキル基(例えば5以下の炭素原子、メチル、エチル、またはプロ
ピル等を有する)である)、およびそれらのコポリマー、および(b)[R2-xHxS
iO]n(式中、nは3〜6であって、xは0〜2であって、かつRはフェニルまたは
低級アルキル基(例えば5以下の炭素原子、メチル、エチル、またはプロピル等
を有する)である)を有するヒドロシロキサン類が含まれる。上記の範囲内にあ
る幾つかの異なるR基が提供されたどんなヒドロシロキサンに含まれていてもよ
い。好ましいヒドロシロキサン類の例には、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン
、1,3-ジフェニル-1,3-ジメチルジシロキサン、1,3,5,7,9-ペンタメチルシクロ
ペンタシロキサン、および1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサンが挙げ
られる。また、一般式:R4-xSiHx(式中、xは2〜4までの整数であって、か
つRはフェニルまたは低級アルキル基(例えば5以下の炭素原子、メチル、エチ
ル、またはプロピル等を有する)である)を有するシリコン水素化物も好ましい
。同様に、上記の範囲内にある幾つかの異なるR基が提供されたどんなシリコン
水素化物に含まれていてもよい。例には、ジメチルシラン、ジフェニルシラン、
およびメチルフェニルシランが挙げられる。その他の好ましいシリコン水素化物
は、フェニルトリス(ジメチルシロキシ)シランである。
本発明の第4の様相の好ましい態様において、フィルムは、多官能性エンと多
官能性シリコン水素化物との紫外線または熱硬化重合生成物である。最終重合フ
ィルムにおいて、液晶はマトリックス全体に分散した分離滴の形態であることが
好ましい。液晶滴の滴径は(滴の直径で測定して)、好ましくは拡散させる光の
波長の約0.1〜10倍の範囲である。例えば、550nmの波長を有する可視光を拡散さ
せ
たいならば、滴径は、約55〜5500nmの範囲であることが好ましい。フィルムは、
-20℃において、好ましくは20℃におけるフィルムの透過率と実質的に同じ(例
えば約10%以内の)透過率、および20℃における値の2倍より少ないV90を有す
る。
多官能性シリコン水素化物および多官能性エンに加えて、マトリックスは更に
1以上の単官能性反応物、エンおよびシリコン水素化物とは異なる1以上の多官
能性反応物、またはそれらの組み合わせを含んでいてもよく、それらは多官能性
エンおよび多官能性シリコン水素化物と共に反応して、最終重合マトリックスを
形成する。好ましい単官能性反応物の例には、単官能性アリル類、アクリレート
類、メタクリレート類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、チオール類、
ビニルシラン類、シリコン水素化物およびそれらの組み合わせが含まれる。
第5の様相において、本発明は1以上の多官能性ビニルシランと1以上の多官
能性チオールとの重合生成物を含むポリマーマトリックス中に分散した液晶を含
む光学反応性フィルムを特徴とする。ここで用いる「ビニルシラン」は、シリコ
ン原子に直接結合した1以上のビニル基(CH2=CH-)を有するシリコン含有
化合物を指す。
好ましい態様において、チオール/ビニルシランの化学量比は、約0.5〜約3.0
の範囲であり、より好ましくは約1.0の比である。
好ましいビニルシラン類の例には、一般式:[CH2=CH]nSiR4-n(式中、n
は2〜4までの整数であって、かつRはフェニルまたは低級アルキル基(例えば
5以下の炭素原子、メチル、エチル、またはプロピル等を含む)である)を有す
るものが挙げられる。上記の範囲内にある幾つかの異なるR基が、提供されたど
んなビニルシラン中に含まれていてもよい。特定例には、トリビニルメチルシラ
ン、ジビニルジメチルシラン、ジビニルジフェニルシラン、およびテトラビニル
シランが含まれる。
好ましいビニルシラン類のその他の種類には、一般式:[CH2=CH]xR3-x
SiOSiR3-y[CH=CH2]y(式中、xとyとの和は2〜6であって、かつR
はフェニルまたは低級アルキル基(例えば5以下の炭素原子、メチル、エチル、
またはプロピル等を有する)である)を有するビニルシロキサン類(即ち、ビニ
ル官能性シロキサン類)が挙げられる。上記の範囲内にある幾つかの異なるR基
が提供されたどんなシロキサンに含まれていてもよい。特定例には、1,3-ジビニ
ルテトラメチルジシロキサン;1,3-ジビニル-1,3-ジフェニル-ジメチルジシロキ
サン;および1,1,3,3-テトラビニルジメチルジシロキサンが挙げられる。
好ましいビニルシラン類の第3の例には、一般式:[[CH2=CH]xR2-xSi
O]y(式中、xは0より大きく、2以下であって、yは3〜6であって、かつRは
フェニルまたは低級アルキル基(例えば5以下の炭素原子、メチル、エチル、ま
たはプロピル等を含む)である)を有する環状ビニルシロキサン類が挙げられる
。上記の範囲内にある幾つかの異なるR基が提供されたどんなシロキサンに含ま
れていてもよい。特定例には、1,3,5,7-テトラビニルテトラメチルシクロテトラ
シロキサンが挙げられる。
好ましいチオール類は、一般式:Z[OCO(CH2)nSH]m(式中、Zはグリ
セロールまたはペンタエリトリトールのタイプの3または4価アルコールのCH0-3
基含有核である多価有機部分であって、mは3または4であって、かつnは1
〜5までの整数である)を有する。特定例には、トリメチロールプロパントリス
(3-メルカプトプロピオネート)およびペンタエリトリトールテトラ(3-メルカプ
トプロピオネート)が挙げられる。メルカプト官能性シロキサン類であるチオー
ル類もまた好ましい。特定例には、ポリ(3-メルカプトプロピルメチルシロキサ
ン)、またはそれらのオリゴマーまたはコポリマー、および1,1,3,3-テトラメチ
ル-1,3-ビス(3-メルカプトプロピル)ジシロキサンが挙げられる。
多官能性ビニルシランおよび多官能性チオールに加えて、マトリックスは更に
1以上の単官能性反応物、チオールおよびビニルシランとは異なる1以上の多官
能性反応物、またはそれらの組み合わせを含んでいてもよく、それらは多官能性
ビニルシランおよび多官能性チオールと共に反応して、最終重合マトリックスを
形成する。好ましい単官能性反応物の例には、単官能性アリル類、アクリレート
類、メタクリレート類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、チオール類、
ビニルシラン類、シリコン水素化物、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
好ましい多官能性反応物の例には、多官能性アリル類、アクリレート類、メタク
リレート類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、シリコン水素化物、およ
びそれらの組み合わせが挙げられる。
本発明の第5の様相の好ましい態様において、フィルムは多官能性ビニルシラ
ンと多官能性チオールとの紫外線または熱硬化重合生成物である。最終重合フィ
ルムにおいて、液晶は好ましくはマトリックス全体に分散した分離滴の形態であ
る。液晶滴の滴径は、(滴の直径で測定して)拡散させる光の波長の約0.1〜10
倍の範囲である。例えば、550nmの波長を有する可視光を拡散させたい場合には
、滴径は約55〜5500nmの範囲であることが好ましい。フィルムは、-20℃におい
て、好ましくは20℃におけるフィルムの透過率と実質的に同じ(例えば約10%以
内)透過率、および20℃における値の2倍より少ないV90を有する。
第6の様相において、本発明は1以上の多官能性チオールと1以上の多官能性
ビニルシランとの重合生成物である光学反応性フィルムを含む光調整装置を特徴
とする。
本発明は(シロキサン結合を有するフィルムの場合に)好ましくは良好な低温
性能(透過率および切替電圧によって測定)を示す光学反応性フィルムを提供し
、従って、そのようなフィルムは自動車および建築物用の光調整窓において特に
有用である。本発明に従ったシリコン含有フィルムはまた、比較的低い誘電率を
示し、従って電圧が液晶滴により効果的に付与され、装置を透明および半透明状
態に切替え得る。
本発明に従った光学反応性フィルムはまた、選択的な視角で作製され得る。更
に、室温において混和性の反応混合物を形成する能力は、室温での処理を可能に
する。
本発明のその他の特徴および長所を、以下の好ましい態様についての説明、お
よび請求の範囲で明確にする。図面の簡単な説明
本発明は、以下の図面を参照することによって、より完全に理解され得るであ
ろう。
図1は本発明に従った光調整装置の部分的横断面の概略図である。好ましい態様の説明
図1は、光調整装置10であって、10は光学反応性フィルム12からなり、
フィルム12は多数の液晶滴14を有し、液晶滴14は拡散される光の波長の約
0.1〜10倍の範囲の直径を有し、ポリマーマトリックス16中に分散しており、
ポリマーマトリックス16は、官能基(即ち重合反応に関係する基)が好ましく
はシリコン原子から離れた3以上の炭素原子である1以上の多官能性シロキサン
含有反応物((a)シリコンに直接結合した官能基の場合に、ビニルシラン類およ
びシリコン水素化物、および(b)官能基(CH2=CH-)が1つのC原子を離した
アリルシラン類である場合を除く)の重合生成物である。得られるマトリックス
16は、シロキサン結合を含む。
好ましい多官能性シロキサン含有反応物については、上記の発明の概要で述べ
た。それらは、メルカプト官能性シロキサン類(例えば1以上の3-メルカプトプ
ロピルメチルシロキサン構成単位で、ポリ(3-メルカプトプロピルメチルシロキ
サン)等)、またはそれらのオリゴマーまたはコポリマー;環状物、例えば1,3,5
,7-テトラキス(3-メルカプトプロピル)テトラメチルテトラシロキサン;および1
,1,3,3-テトラメチル-1,3-ビス(3-メルカプトプロピルジシロキサン);ヒドロシ
ロキサン類(例えば1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン;1,3,5,7,9-ペンタメチ
ルシクロペンタシロキサン;フェニルトリス(ジメチルシロキシ)シラン;および
1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン);カルビノール官能性シロキサ
ン類(例えば1,3-ビス(4-ヒドロキシブチル)テトラメチルジシロキサンおよび1,
3-ビス(ヒドロキシプロピル)テトラメチルジシロキサン);エポキシ官能性シロ
キサン類(例えば1,3-ビス(グリシドオキシプロピル)テトラメチルジシロキサン
);アミノ官能性シロキサン類(例えば1,3-ビス(4-アミノブチル)テトラメチル
ジシロキサンおよび1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン);
イソシアナート官能性シロキサン類(例えば1,3-ビス(3-イソシアナートプロピ
ル)テトラメチルジシロキサン);およびエン官能性シロキサン類を含む。
エン官能性シロキサン類の例には、アクリロイル官能性シロキサン類(例えば
1,3-ビス[(p-アクリルオキシメチル)フェネチル]テトラメチルジシロキサン);
メタクリロイル官能性シロキサン類(例えば1,3-ビス(3-メタクリルオキシプロ
ピル)テトラメチルジシロキサン);アリル官能性シロキサン類(例えばアリル
ジメチルクロロシランの加水分解生成物);ビニル官能性シロキサン類(例えば
1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3-ジビニル-1,3-ジフェニル-ジメチ
ルジシロキサン、1,1,3,3-テトラビニルジメチルジシロキサン、および1,3,5,7-
テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン);およびヘキセニル官能性
シロキサン類(例えば1,3-ビス(6-ヘキシ-1-エニル)テトラメチルジシロキサン
であって、6-ヘキシ-1-エニルジメチルクロロシランの加水分解生成物)が挙げ
られる。
マトリックス16はまた、1以上の多官能性エン(例えばシロキサン含有エン
)と1以上の多官能性シリコン水素化物との重合生成物であってもよい。得られ
る生成物は、シロキサン結合を含んでいても、含んでいなくてもよい。好ましい
多官能性エン類および多官能性シリコン水素化物は、上記の発明の概要述べた構
造を有する。上記のヒドロシロキサン類に加えて、好ましい多官能性シリコン水
素化物の例には、ジメチルシラン、ジフェニルシラン、およびメチルフェニルシ
ランが挙げられる。好ましいエン類には、アリル類(例えばトリアリル-1,3,5-
トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン)、アクリレート類、メタクリレート類
、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルシラン類、およびそれらの組
み合わせが挙げられる。
マトリックス16はまた、1以上の(上記のような)多官能性シロキサン含有
反応物と1以上の多官能性チオールとの重合生成物であってもよい。好ましい多
官能性チオール類は、上記の発明の概要で述べた構造を有する。好ましいチオー
ル類の例には、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)お
よびペンタエリトリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)が挙げられ
る。
マトリックス16はまた、1以上の多官能性チオールと1以上の多官能性ビニ
ルシランとの重合生成物であってもよい。得られるマトリックスは、シロキサン
結合を含んでいても、含んでいなくてもよい。好ましい多官能性チオール類およ
び多官能性ビニルシラン類は、上記の発明の概要で述べた構造を有する。好まし
いチオール類の例には、トリメチロールプロパン、トリス(3-メルカプトプロピ
オネート)およびペンタエリトリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート
)が、ポリ(3-メルカプトプロピルメチルシロキサン)(またはそれらのオリゴマ
ーまたはコポリマー)および1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ビス(3-メルカプトプロ
ピル)ジシロキサン等のメルカプトシロキサン類と同様に挙げられ、メルカプト
シロキサン類は特に好ましい。好ましい多官能性ビニルシラン類の例には、トリ
ビニルメチルシラン、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3-ジビニル-1
,3-ジフェニル-ジメチルジシロキサン、ジビニルジメチルシラン、ジビニルジフ
ェニルシラン、1,1,3,3-テトラビニルジメチルジシロキサン、テトラビニルシラ
ン、および1,3,5,7-テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサンが挙げら
れる。
種々の単官能性および多官能性反応物を上記に記載のポリマー材料に加えて、
それらの物理的特性を有効に調整してもよい。例えば、そのような化合物を、液
晶材料の屈折率と関係するポリマーマトリックス材料の屈折率を調整するために
含めてもよい。一般に、ポリマーマトリックス(溶解した液晶を含む)の屈折率
は、液晶材料の通常の屈折率(n0)に合わせることが望ましい。
有用な単官能性および多官能性反応物には、エン類(例えばアクリレート類、
メタクリレート類、アリル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニル
シラン類、シリコン水素化物、またはそれらの組み合わせ)が挙げられる。
単官能性アクリレート類およびメタクリレート類の例には、非第3アルキルア
ルコール類であって、該分子が1〜14の炭素原子を有するアルコール類のアク
リレートおよびメタクリレートエステル類が挙げられる。この種類のモノマーに
含まれるものは、例えばイソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、
2-エチルヘキシルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、
n-ブチルアクリレート、およびヘキシルアクリレートである。
多官能性アクリレート類およびメタクリレート類の例には、1,6-ヘキサンジオ
ールジアクリレート、トリメチルプロパンアクリレート、およびプロピレングリ
コールジメタクリレートが挙げられる。
単および多官能性アリル類の例には、モノ、ジ、およびトリアリル化合物およ
び単または多官能性イソシアネートと反応したヒドロキシル基を含むアリル化合
物(例えばトリアリルイソシアヌレート)、トリメチロールプロパンジアリルエ
ーテル、アリルベンゼン、アリルシクロヘキサン、ジアリルジフェニルシラン、
およびアリル化ウレタンオリゴマー(例えばペンシルバニア州、トレボセ(Trevo
se)のモノマー-ポリマー・アンド・ダジャック・ラボラトリーズ社(Monomer-Pol
ymer & Dajac Laboratories,Inc.)より市販の9460)が挙げられる。
単官能性アクリルアミド類およびメタクリルアミド類の例には、N,N-ジメチル
アクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N-ドデシルメタクリルアミド、
およびN-エチルメタクリルアミドが挙げられる。
多官能性アクリルアミド類およびメタクリルアミド類の例には、1,6-ヘキサメ
チレンビスアクリルアミド、N,N'-オクタメチレンビスアクリルアミド、1,6-ヘ
キサメチレンビスメタクリルアミド、N,N-イソバレリリデンビスメタクリルアミ
ド、およびm-キシレンビスアクリルアミドが挙げられる。
単官能性シリコン水素化物の例には、トリメチルシランおよびジメチルフェニ
ルシランが挙げられる。
また、反応性オリゴマー、例えばアリルまたはポリウレタン類、ポリエステル
類、ポリオール類、ポリブタジエン類、またはエポキシ類の(メタ)アクリレート
化オリゴマーも本発明において有用である。適当なアクリレート化ポリブタジエ
ンの例は、サルトマー(SARTOMER)CD5000(サルトマー社より市販)である。有用
なアクリレート化ポリエステルは、サルトマー609(サルトマー社より市販)お
よび適当なアクリレート化ポリウレタンは、サルトマー9610(サルトマー社より
市販)である。その他の有用なアクリルオリゴマーには、ラドキュア・スペシャ
ルティーズ(Radcure Specialties)の「エベクリル(Ebecryl)」の商品名で市販の
ものが挙げられる。
その他の有用な反応物には、単官能性チオール類およびビニルシラン類(例え
ばイソオクチル-3-メルカプトプロピオネート、ビニルトリメチルシラン、ビニ
ルトリメトキシシラン、およびビニルトリス(ジメチルシロキシ)シラン)が挙げ
られる。
反応混合物に加えてもよいその他の材料には、チオール-エン化学物質に基づ
くUV重合性系であって、その中で多官能性アリルまたは多官能性アクリレート
またはメタクリレートが多官能性チオール類と反応するものが挙げられる。市販
の材料には、NOA65およびNOA68が挙げられ、共に光重合開始剤を含み、ニュージ
ャージー州、ニューブランスウィック(New Brunswick)のノーランド・プロダクツ
社(Norland Products,Inc.)より市販されている。
滴14を形成するために有用な液晶材料は、ネマチック、スメクチック、また
はコレステリックであってもよい。更に、それらは正または負の誘電異方性を有
していてもよい。特に好ましいのは(自動車または建築用の光調整装置である場
合に)、正の誘電異方性を有するネマチック液晶である。そのような液晶の内の
市販されているものの有用な例には、リクリスタル(LICRISTAL)E7、BL006、BL00
9、ML1005、ML1008、17151、17153、17315、17722(BL038の商品名でも市販)、
および17723(BL036の商品名でも市販)が挙げられ、全てはニューヨーク州、ホ
ートルン(Hawthorne)のEM産業より市販されている。また、これらの液晶材料
の混合物を用いてもよい。
本発明に従った光学反応性フィルムの形成は、相分離処理によって典型的に行
われる。相分離によって誘発される重合は、未硬化ポリマーマトリックス材料が
低分子量液晶材料に混和性であるときに有用であることがわかった。本発明のマ
トリックス形成反応物によって提供される一つの長所は、多くの場合、それらが
液晶と共に、室温において混和性の混合物を形成し、室温処理を可能にすること
である。マトリックス材料が重合して連続相を形成する場合に起こるマトリック
ス材料の分子量の増加の結果として、液晶材料のポリマーマトリックス材料への
溶解性が減少する場合に、液晶滴が形成する。液晶材料の溶解性が減少するにつ
れて、その相はポリマーマトリックス材料から分離して、滴を形成する。滴は、
ポリマーマトリックス材料が最終滴の形態に固定するまで滴径を増加する。重合
は、液晶材料の存在下で行われ、それによって、ポリマーマトリックス材料を分
子量、架橋濃度、液晶親和性、および/または粘着性に関して調整することが可
能になる。
未硬化ポリマーマトリックス材料の重合における液晶材料の相分離で、マトリ
ックス材料中に滴の分散体を形成することは、充填剤(例えば10m2/g(好まし
くは50〜400m2/g)以上のB.E.T.表面積を有する微細分離シリカ)を、重合性
マトリックス材料中に、液晶材料を加える前に加えることによって向上され得る
。疎水型であっても、親水型であってもよいフュームドまたは沈殿シリカを用い
てもよい。シリカの量は、液晶およびポリマーマトリックス材料の種類によって
変わる。一般にポリマーマトリックス材料の重量に対して約0.1〜5(好ましくは
0.5〜2)重量%のシリカが有効である。本発明において有用な市販の疎水性フュ
ームドシリカの例には、アエロシル(AEROSIL)R972(デグッサ社(Degussa Corp.)
より市販)がある。市販の親水性フュームドシリカの例には、CAB-O-SIL・M-5(
イリノイ州、タスコーラ(Tuscola)、CAB-O-SIL・ディビジョン(Division)、カボ
ット社(Cabot Corp.)より市販)がある。
本発明に従った多くの反応物/液晶の組み合わせが、室温において混和性の混
合物を形成するが、一方では、該組み合わせを僅かに加熱して、均一溶液を形成
し、早まった相分離を防ぐことも必要であるかもしれない。
マトリックス16は、低強度のUV線を用いて反応物を光開始重合することに
よって調製されることが好ましい。有用な光開始剤には、ベンゾインエーテル類
、置換ベンゾインエーテル類(例えばベンゾインメチルエーテルまたはベンゾイ
ンイソプロピルエーテル)、置換アセトフェノン類(例えば2,2-ジエトキシアセ
トフェノン、および2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン)、置換α-ケト
ール類(例えば2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン)、芳香族スルホニル
クロリド類(例えば2-ナフタレンスルホニルクロリド)、および光活性オキシム
類(例えば1-フェニル-1,1-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシム
)が挙げられる。一般に、光開始剤の量は、モノマー重量100部当たり、約0.01
部〜約10部である。
その他のラジカル重合開始系で用いてもよいものには、2,4-ビストリクロロ-
メチル-6-置換-s-トリアジン類、およびアミンを伴うベンゾフェノン(例えばベ
ンゾフェノンとp-(N,N-ジエチルアミノ)エチル安息香酸)が挙げられる。
異なるスペクトル反応を有する低強度UVランプは、市販されており、これを
用いてもよい。該ランプは、ランプの最大出力が開始剤の最大吸収に近いように
選択するほうがよい。好ましくは、各ランプバンクの強度が約0.25〜約10mW/c
m2(より好ましくは約0.5〜約5mW/cm2)であるような蛍光ランプを用いる。マ
トリックス反応物を照射する総放射線量は、約100〜1500mJ/cm2であることが好
ましい。特定の放射線強度および総エネルギー照射必要量は、液晶、開始剤、お
よびポリマーマトリックス材料によって変わる。
好ましくは、液晶材料およびポリマーマトリックス材料を、およそ等重量部で
供給することが好ましいが、液晶材料の重量部は、10〜90重量%、より好ましく
は25〜75重量%の間で変化し得る。
再び図1を参照すると、光学反応性フィルム12を自由に固定した状態で提供
してもよいが、多くの用途において、フィルム12を第1および第2支持体のそ
れぞれ18および20の組の間に挿入するようなサンドウィッチ様構造を提供す
ることが望ましい。フィルムの厚みは、好ましくは約5〜25μm、より好ましくは
約10〜25μm、および最も好ましくは約15〜21μmの範囲である。装置10を、1
つの支持体のみを伴うものとして提供してもよいと理解される。例えば該装置を
自動車のサンルーフまたは建築物用の窓に適用するような場合には、サンルーフ
または窓は第2の支持体に類似した機能を有する。
好ましくは、1以上の支持体18および20は、少なくとも部分的に透明であ
って、入射可視光を通過させる。支持体の1つ(好ましくは光が始めに衝突する
方)を、選択光透過特性を有するよう、例えば可視スペクトルのある種の色、紫
外線光、または赤外線光に対応する波長の光を選択的に透過させるように変性し
てもよい。支持体18および20に適した材料には、ガラス(強化したものであ
ってもよい)およびプラスチック類(例えばポリエステル(またはコポリエステ
ル)、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
エチレンナフタレート、ポリ(メチルメタクリレート)、およびポリカーボネー
ト等)が挙げられる。支持体にそれらの摩擦および引っ掻き耐性を強化するよう
な処理を行ってもよい。支持体は、典型的には約25〜50μmの厚みの可撓性、耐
久性構造であるが、それらは1μmから250μmより大きい範囲までの厚みであって
もよい。少なくとも1以上の支持体にガラスを用いる場合には、250μmを越える
厚みも有用であり得る。
更に図1を参照すると、液晶滴の配向における変化を引き起こして、光学反応
性フィルム12を半透明オフ状態と透明オン状態に切り替えるために、フィルム
12全体に電界を付与することが必要である(フィルム12を、フィルム全体に
磁界を付与すること、またはフィルムの温度をカプセル化液晶の透明点温度より
高く上げることによって切り替えてもよい)。従って、装置10は更に第1およ
び第2電極のそれぞれ22および24を含み、それらは支持体18および20と
光学反応性フィルム12との間に位置する。電極22および24は、それぞれ第
1および第2導線26および28に(例えばエンファー(Engfer)らの米国特許出
願第08/011,973号、「電気コネクター」、1993年2月1日出願(本願発明と同様
の譲渡人に譲渡された出願であって、この内容を本明細書の一部とする)に記載
されたコネクターを用いることによって)連結し、次に好ましくは交流型である
可変電源30(例えばゼロ交差電源)に電気的に接続する。好ましくは、交流電
界の周波数は40〜100Hzの範囲にあったほうがよい。電界は、装置の監視人が
明滅を知覚できない程に、十分迅速に交替するほうがよい。従って、フィルム1
2全体への電界の付与において、液晶滴の視角軸は整列する。液晶材料とポリマ
ーマトリックス材料との屈折率が近似しているならば、フィルム12は半透明オ
フ状態と透明オン状態に切り替わる。
電極22および24は様々な材料から形成され得、クロム、酸化インジウム、
酸化スズ、ステンレス鋼、酸化インジウムスズ、金、銀、銅、アルミニウム、チ
タン、スズ酸カドミウム、その他の遷移金属酸化物、およびそれらの混合物およ
びアロイが挙げられる。ある種の電極材料(例えば銀)の使用に伴い、薄い皮膜
誘電層で該材料を環境的に保護することも好ましい。そのような保護層の利用は
、熱、化学物質、水分および/または紫外線によって起こる分解に耐える電極の
能力を高め、このことは、ギルバート(Gilbert)らの米国特許出願第07/819,274
号、「改良された電極を組み入れた光調整装置」、1992年1月10日出願(本願発
明と同様の譲渡人に譲渡されたもの)に記載されており、この内容を本明細書の
一部とする。電極は、導線26および28からの電気入力を受け、それを伝導し
て、フィルム12全体に電界を付与し得るものでなくてはならない。好ましくは
電極22および24はフィルム12の反対側または表面に隣接して位置し、かつ
それを越えて、横に並行に延びる。
1以上の電極22および24が、少なくとも可視光に部分的に透明である伝導
性コーティングを含むが、選択的光透過特性(例えば色付きまたは紫外線または
赤外線フィルター)を提供する電極を用いてもよい。電極22および24は、均
等に透明である必要はない。1以上の電極は、1%以上、好ましくは10%以上、
およびより好ましくは50%以上の可視光透過を提供するのがよい。電極コーティ
ングは、0.001モー/平方より大きい伝導率を有するほうがよい。電極材料は、
第1および第2支持体18および20にコートしても、または別の方法で付与し
てもよい。
操作において、装置10のユーザーは、電界をフィルム12全体に、電源30
による電源を用いて付与し、それによって装置を光透過性にする。発明者は、シ
ロキサン結合をポリマーマトリックス中に(例えば多官能性シロキサン含有反応
物を通して)加えることによって、装置の低温透過率が良好に改良されることを
見出した。特に、-20℃におけるフィルムの透過率は、20℃におけるフィルムの
透過率と実質的に同じ(例えば10%以内)であって、-20℃における最大透過率
までの幅の90%における切替電圧(即ちV90)は、20℃における値の2倍よりも
少ない。
光調整装置を自由固定フィルムとして、1つの支持体と共に提供しても、また
は2つの支持体と共に提供しても、装置を自動車のサンルーフ、自動車の側面の
窓、または建築物用の窓等の表面に、例えば適当な接着剤(好ましくは接着剤は
光学的に透明)を用いて付与し得る。半透明オフ状態と透明オン状態に装置を切
り替えるときに(正の誘電異方性を有するネマチック液晶材料の場合)、装置は
好ましくは均一な外観を有する。
本発明は以下の実施例によって更に完全に理解されるものであるが、以下の実
施例は発明の範囲を制限するものではない。
実施例PDLC装置成分 ビニルシラン類
ジビニルジメチルシラン[D6206.5]、ニュージャージー州、ピスカタウェイ(Pi
scataway)のヒュルズアメリカ社(Huls America,Inc.)より市販
ジビニルジフェニルシラン[7982]、ペンシルバニア州、トレバー(Trevor)のモ
ノマー-ポリマー・アンド・ダジャック・ラボラトリーズ社(Monomer-Polymer &
Dajac Laboratories,Inc.)より市販
1,3-ジビニル-1,3-ジフェニル-1,3-ジメチルジシロキサン[D6206.9]、ヒュル
ズアメリカ社より市販
1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン[D6210]、ヒュルズアメリカ社より市
販
トリビニルメチルシラン[T4260]、ヒュルズアメリカ社より市販
テトラビニルシラン[T2150]、ヒュルズアメリカ社より市販
1,1,3,3-テトラビニルジメチルシロキサン[T2145]、ヒュルズアメリカ社より
市販
1,3,5,7-テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン[T2160]、ヒュル
ズアメリカ社より市販チオール類
ペンタエリトリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)[PETMP]、ワ
イオミング州、ミルウォーキーのアルドリッチ化学社(Aldrich Chemical)より市
販
トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)[TMPTMP]、アル
ドリッチ化学社より市販
ポリ(3-メルカプトプロピルメチルシロキサン)[PS927]、ヒュルズアメリカ社
より市販
1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ビス(3-メルカプトプロピル)ジシロキサン[T1995]
、ヒュルズアメリカ社より市販
変性PS927、チオールをPS927(10.01g)、ヘキサメチルジシロキサン(1.39g)、
脱色炭素(0.053g)および濃硫酸(0.018g)の混合物を大気条件下で一晩攪拌するこ
とによって変性させた。得られた反応混合物を0.45ミクロンのフィルターを通し
て濾過して脱色炭素を除去し、更に精製をすることなく用いた。液晶材料
E7、ネマチック液晶混合物。ニューヨーク州、ホートルンのEM産業より市
販
BL009、ネマチック液晶混合物。ニューヨーク州、ホートルンのEM産業より
市販
BL036、ネマチック液晶混合物。ニューヨーク州、ホートルンのEM産業より
市販光開始剤
ベンゾフェノン、アルドリッチ化学社より市販
イルガキュア(Irgacure)651、ベンジルジメチルケタール、イリノイ州、オー
ク・ブルック(Oak Brook)のチバ・ガイギー社(Ciba Geigy Corp.)より市販
KB-1、(ベンジルジメチルケタール、イルガキュア651と同等)、ペンシルバ
ニア州、ニュートン・スクエアーのサルトマー(Sartomer)社より市販熱開始剤
Vazo52、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、デラウエア州、ワイ
オミングのデュポン社より市販電極材料
酸化インジウムスズ(ITO)塗布ガラス、ITOコーティングを片面に150Ω/平
方で有する2mmの厚みのガラス、カリフォルニア州、サンタ・ローザ(Santa Rosa)
のOCLIより市販
0.05mm(2ミル)の厚みの二軸配向ポリ(エチレンテレフタレート)フィルムで
あって、片面に45nmの厚みでAl2O3を皮膜オーバーコートした10〜15nmの厚み
のAg電極を有するフィルム。先に記載したギルバートらの特許出願に記載のよ
うに調製した。装置の調製
PETベースの電極材料を利用するPDLC装置を、未重合モノマー/LCブ
レンドのパッドル(puddle)を、2つのPETフィルムの間に15.24cm(6インチ
)の幅で置き、それら電極のコート面を向かい合わせにして、精密ロールコータ
ー装置のニップローラーの組の間に、電極/未重合マトリックス/LC構造物を
引っ張ることによってコートした。ロールの間は、概して0.11〜0.14mm(4.5〜5.
5ミル)にセットし電極材料の厚みを適応させて、望ましいPDLCマトリックス
の厚みにした。ニップローラーから出た後、サンドウィッチ様構造物を、温度調
節チャンバー内にある蛍光低強度UVランプの2つの向かい合った列の間に通過
さ
せ、マトリックス材料を重合させた。UV照射の平均強度は、ユビラッド・モデ
ル(Uvirad Model)UR365-US1-CH3(バージニア州、スターリング(Sterling)のエ
レクトロニック・インスツルメンテーション・アンド・テクノロジー(Electronic
Instrumentation & Technology)より市販)を用いて測定した。
ITOコートガラス電極を利用するPDLC装置を、外辺部に0.025mmの厚みのス
ペーサーリングを有するITOコートガラススライド(名目上5cm×6cm)の電極コ
ート面上に、未硬化マトリックス/LCブレンドを置き、第2のガラス電極を第
1の電極上に電極コート面が未硬化モノマー/LCブレンドと接触するように配
置して、未重合ブレンドが2つの電極の間に均一に広がるように十分な圧力を付
与し、得られた構造物をホットプレート上、長波長紫外線ランプ(フィッシャー・
サイエンティフィック(Fisher Scientific))下で硬化することによって調製し
た。UV照射の平均強度は、365nmセンサーを装備したウシオ・ユニメーター(Ush
io UniMeter)UIT-101型で測定した。装置特性
PDLC装置は、視角外観、ヘイズ(ペルキン・エルマー・ラムダ(Perkin El
mer Lambda)9分光光度計を550nmの積分範囲にして用い、測定)、ガラス転移温
度範囲(示差走査型熱量計(DSC)により10℃/minで測定)によって特性を表した
。装置をケプコ(Kepco)125-IKVA-3T電源からの導線に、先に述べたエンファーら
の特許出願に記載と同様のコネクターによって接続した。対光眼調節フィルター
をかけた光の透過を、6°のコレクション・ハーフ角(collection half angle)に
おいて、ディン-オプティクス・オプティカル・モニター(Dyn-Optics Optical Mon
itor)590を用いて監視し、かつ電力、電流および電圧をバルハラ・サイエンティ
フィック(Valhalla Scientific)2300シリーズ・デジタル・パワー・アナライザーを
用いて監視しながら、装置への電圧を増加させることによって、PDLC装置性
能を評価した。約130ボルトAC(VAC)より大きい電圧には、ケプコBOP1000Mアン
プを、電源とPDLC装置との間に置いた。PDLCの誘電率を、20〜2000Hzま
での範囲の周波数および120VACを超えるインピーダンスおよびフェーズ角データ
を、並列抵抗器およびコンデンサーを有し、直列抵抗器からなる同等の回路モデ
ルに合
わせることにより、および/または20、60、および100Hzにおけるインピーダン
スを測定し、コンデンサーおよび直列および並列抵抗器の値を測定したインピー
ダンスから計算することによって算出した。実施例1
PDLC装置を、ジビニルジメチルシラン(0.0571g)、ペンタエリトリトール
テトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(0.1181g)、2重量%のイルガキュア65
1を含むペンタエリトリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(0.0198
g)、およびE7(0.1870g)からなる均一モノマー/LCブレンド数滴を、先に記
載したように電極表面に置いて、精密にコートし、硬化させることによって組み
立てた。得られた構造物を4分間、1.9〜2.0mW/cm2の強度で、25.2℃(77.4°
F)において硬化させた。PDLC装置は、1.07のチオール/エン化学量比を有
し、49重量%の液晶材料を含んだ。硬化PDLC装置の性能変数を表1に示す。実施例2
PDLC装置を、モノマー/LCブレンドが、ジビニルジフェニルシラン(0.1
242g)、2重量%のイルガキュア651を含むペンタエリトリトールテトラキス(3-メ
ルカプトプロピオネート)(0.1460g)、およびE7(0.1374g)からなることを除き
、実施例1と同様に調製した。チオール/エン化学量比は、1.07であって、組成
物は33.7重量%の液晶材料を含んだ。試料を4分間、2.0mW/cm2の強度で、室温
にて硬化させ、不均一の縞の外観を有する殆ど透明の装置0.015mm(0.6ミル)を得
た。硬化PDLC装置の性能変数を表1に示す。実施例3
PDLC装置を、モノマー/LCブレンドが、1,3-ジビニルテトラメチルジシ
ロキサン(0.409g)、0.5重量%のイルガキュア651を含むトリメチロールプロパン
トリス(3-メルカプトプロピオネート)(0.591g)、およびE7(1.004g)からなるこ
とを除き、実施例1と同様に調製した。チオール/エン化学量比は、1.00であっ
て、組成物は50.1重量%の液晶材料を含んだ。試料を0.17mW/cm2の強度で、室
温にて硬化させた。100VAC、60Hzの電力を加えたときに、PDLC装置は、-30
℃まで下げて比較的一定のオン状態透過率を維持した。硬化PDLC装置の性能
変数を表1に示す。実施例4
PDLC装置を、モノマー/LCブレンドが、1,3-ジビニルテトラメチルジシ
ロキサン(0.100g)、0.063重量%のイルガキュア651を含むポリ(3-メルカプトプ
ロピルメチルシロキサン)(0.412g)、およびE7(0.254g)からなることを除き、
実施例1と同様に調製した。チオール/エン化学量比は、2.85であって、組成物
は33.2重量%の液晶材料を含んだ。試料を3分間、2.0mW/cm2の強度で、26℃(
78°F)にて硬化させた。硬化PDLC装置の性能変数を表1に示す。実施例5
PDLC装置を、モノマー/LCブレンドが、1,3-ジビニルテトラメチルジシ
ロキサン(0.206g)、0.5重量%のイルガキュア651を含むトリメチロールプロパン
トリス(3-メルカプトプロピオネート)(0.296g)、およびE7(1.504g)からなるこ
とを除き、実施例1と同様に調製した。チオール/エン化学量比は、0.99であっ
て、組成物は75重量%の液晶材料を含んだ。試料を3分間、2.0mW/cm2の強度で
、26℃(78°F)にて硬化させて、0.015mm(0.6ミル)の厚みの装置を作製した。
硬化PDLC装置の性能変数を表1に示す。実施例6
PDLC装置を、モノマー/LCブレンドが、1,3-ジビニルテトラメチルジシ
ロキサン(0.091g)、0.6重量%のイルガキュア651を含む変性ポリ(3-メルカプト
プロピルメチルシロキサン)(0.157g)、およびBL036(0.252g)からなることを除き
、実施例1と同様に調製した。チオール/エン化学量比は、1.06であって、組成
物は50.4重量%の液晶材料を含んだ。試料を1.8mW/cm2の強度で、50〜51℃(1
22〜124°F)にて硬化させて、0.023mm(0.9ミル)の厚みの装置を作製した。100
VAC、60Hzの電力を加えたときに、PDLC装置は、-25℃まで下げて比較的一定
のオン状態透過率を維持した。硬化PDLC装置の性能変数を表1に示す。実施例7
PDLC装置を、モノマー/LCブレンドが、1,3-ジビニル-1,3-ジフェニル-
1,3-ジメチルジシロキサン(3.1156g)、8重量%のベンゾフェノンを含むペンタエ
リトリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(2.7867g)、およびE7(
5.8171g)からなることを除き、実施例1と同様に調製した。チオール/エン化学
量比は、1.01であって、組成物は49.6重量%の液晶材料を含んだ。試料を4分間
、2.0mW/cm2の強度で、23℃(74°F)にて硬化させて、不均一の外観を有す
る装置を作製した。100VAC、60Hzの電力を加えたときに、PDLC装置は、-30
℃まで下げて比較的一定のオン状態透過率を維持した。更に、電力を加えたPD
LC装置は、普通の入射角でフィルムを通して見たときに、普通の入射角から30
°より小さい角度のときよりも、より少ない反映透過率を有する。硬化PDLC
装置の性能変数を表1に示す。実施例8
PDLC装置を、モノマー/LCブレンドが、トリビニルメチルシラン(0.117
g)、0.5重量%のイルガキュア651を含むトリメチロールプロパントリス(3-メル
カプトプロピオネート)(0.383g)、およびBL009(0.503g)からなることを除き、実
施例1と同様に調製した。チオール/エン化学量比は、1.00であって、組成物は
50.1重量%の液晶材料を含んだ。試料を0.3mW/cm2の強度で、27℃(80°F)
にて硬化させて、0.020mm(0.8ミル)の厚みの装置を作製した。硬化PDLC装置
の性能変数を表1に示す。実施例9
PDLC装置を、モノマー/LCブレンドが、テトラビニルシラン(0.109g)、
0.5重量%のイルガキュア651を含むペンタエリトリトールテトラキス(3-メルカ
プトプロピオネート)(0.396g)、およびBL009(0.500g)からなることを除き、実施
例1と同様に調製した。チオール/エン化学量比は、0.98であって、組成物は49
.8重量%の液晶材料を含んだ。試料を2.0mW/cm2の強度で、48℃(118°F)に
て硬化させて、0.013mm(0.5ミル)の厚みの装置を作製した。硬化PDLC装置の
性能変数を表1に示す。実施例10
PDLC装置を、モノマー/LCブレンドが、1,1,3,3-テトラビニルジメチル
ジシロキサン(0.0532g)、ペンタエリトリトールテトラキス(3-メルカプトプロピ
オネート)(0.1051g)、2重量%のイルガキュア651を含むペンタエリトリトールテ
トラキス(3-メルカプトプロピオネート)(0.0206g)、およびE7(0.1790g)からな
ることを除き、実施例1と同様に調製した。チオール/エン化学量比は、0.98で
あって、組成物は50重量%の液晶材料を含んだ。試料を4分間、1.9〜2.0mW/cm2
の強度で、25℃(77.4°F)にて硬化させた。硬化PDLC装置の性能変数を
表1に示す。実施例11
PDLC装置を、1,3,5,7-テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン
(0.1758g)、0.5重量%のKB-1を含む1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ビス(3-メルカプ
トプロピル)ジシロキサン(0.2814g)およびBL036(0.4517g)からなる均一モノマー
/LCブレンド数滴を、外辺部に0.025mmの厚みのスペーサーリングを有するITO
コートガラススライド(名目上5cm×6cm)の電極コート面上に置き、第2のガラ
ス電極を第1のガラス電極上に電極コート面を未硬化モノマー/LCブレンドと
接触するように置き、未重合ブレンドが2つの電極の間に均一に広がるように十
分な圧力を付与し、得られた構造物を4分間、0.5mW/cm2の強度で、室温にお
いて硬化させることによって調製した。チオール/エン化学量比は、0.97であっ
て、組成物は49.7重量%の液晶材料を含んだ。硬化PDLC装置の性能変数を表
1に示す。実施例12
PDLC装置を、モノマー/LCブレンドが、KB-1(0.0058g)を1,3-ジビニル
テトラメチルジシロキサンからなる混合物1.2216gと合わせた追加のKB-1、0.008
1gからなる混合物、1.0426gに加えたもの(0.2996g)、1,3-ジビニル-1,3-ジフェ
ニル-1,3-ジメチルジシロキサン(0.1664g)、0.5重量%のKB-1を含むポリ(3-メル
カプトプロピルシロキサン)(0.6000g)およびBL036(0.3553g)からなることを除き
、実施例11と同様に調製した。チオール/エン化学量比は、1.00であって、組
成物は25重量%の液晶材料を含んだ。試料を1mW/cm2の強度で、22℃(72°F
)にて硬化させた。硬化PDLC装置の性能変数を表1に示す。実施例13
PDLC装置を、モノマー/LCブレンドが、1,3-ジビニルテトラメチルジシ
ロキサン(0.2520g)、1,3-ジビニル-1,3-ジフェニル-1,3-ジメチルジシロキサン(
0.1413g)、ポリ(3-メルカプトプロピルメチルシロキサン)(0.4984g)、KB-1(0.01
38g)、およびBL036(0.4467g)からなることを除き、実施例1と同様に調製した。
チオール/エン化学量比は、0.99であって、組成物は33重量%の液晶材料を含ん
だ。試料を0.6mW/cm2の強度で、26℃(79°F)にて硬化させた。PDLC装
置は、-32℃において120VAC、60Hzの電力を加えたときに、32.6%のオン状態透
過率を有した。硬化PDLC装置の性能変数を表1に示す。実施例14
PDLC装置を、モノマー/LCブレンドが、KB-1(0.0276g)を1,3-ジビニル
テトラメチルジシロキサンからなる混合物と合わせた追加のKB-1、0.0483gから
なる混合物、0.4612gに加えたもの(0.0995g)、4重量%のKB-1を含むトリメチロ
ールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)(0.0606g)、4重量%のKB-1を
含む1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ビス(3-メルカプトプロピル)ジシロキサン(0.09
75g)およびBL036(0.3827g)からなることを除き、実施例11と同様に調製した。
チオール/エン化学量比は、0.99であって、組成物は60重量%の液晶材料を含ん
だ。試料を1mW/cm2の強度で、35℃(95°F)にて硬化させた。硬化PDLC
装置の性能変数を表1に示す。実施例15
PDLC装置を、モノマー/LCブレンドが、1,3-ジビニルテトラメチルジシ
ロキサン(0.1031g)、グレース(GRACE)RCC-15C(0.3997g、アリル/チオール混合
物、ジョージア州、アトランタ、ダブリュー・アール・グレース社(W.R.GraceCo.)
より市販)、およびBL036(0.5092g)からなることを除き、実施例11と同様に調
製した。チオール/エン化学量比は、判らなかった。組成物は50.3重量%の液晶
材料を含んだ。PDLC装置は、120VAC、60Hzの電力を加えたときに、-20℃に
まで下げて比較的一定のオン状態透過率を維持した。硬化PDLC装置の性能変
数を表1に示す。実施例16
PDLC装置を、モノマー/LCブレンドが、1,3-ジビニルテトラメチルジシ
ロキサン(0.35g)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート
)(1.00g)、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(0.43g、アルドリッチ化学社よ
り市販)、KB-1(0.02g)、およびBL036(1.81g)からなる混合物2.43gと追加のKB-1
、0.02gとからなることを除き、実施例1と同様に調製した。チオール/エン化
学量比は、0.98であって、組成物は49.7重量%の液晶材料を含んだ。試料を2分
間、1.5mW/cm2の強度で、22℃(72°F)にて硬化させた。硬化PDLC装置
の性能変数を表1に示す。実施例17
PDLC装置を、モノマー/LCブレンドが、0.46gのBL036と、1,3-ジビニル
テトラメチルジシロキサン(2.80g)、1,3-ジビニル-1,3-ジフェニル-1,3-ジメチ
ルジシロキサン(1.56g)、KB-1(0.21g)、およびメチルヒドロキノン(0.00106g、
アルドリッチ化学社より市販)からなる混合物0.55gとからなることを除き、実施
例1と同様に調製した。チオール/エン化学量比は、1であって、組成物は46重
量%の液晶材料を含んだ。試料を4分間、1.5mW/cm2の強度で、22℃(72°F)
にて硬化させた。120VAC、60Hzの電力を加えたときに、PDLC装置は、-30℃
まで下げて比較的一定のオン状態透過率を維持した。硬化PDLC装置の性能変
数を表1に示す。実施例18
PDLC装置を、モノマー/LCブレンドが、ペンタエリトリトールテトラア
クリレート(0.1593g、サルトマー社より市販)、未登録量のイルガキュア651を含
む変性ポリ(3-メルカプトプロピルメチルシロキサン)(0.3321g)、1-デセン(0.00
46g、アルドリッチ社より市販)、およびBL036(0.5021g)からなることを除き、実
施例11と同様に調製した。チオール/エン化学量比は、1.03であって、組成物
は50.3重量%の液晶材料を含んだ。試料を1mW/cm2の強度で、38℃(100°F)
にて硬化させた。100VAC、60Hzの電力を加えたときに、PDLC装置は、-30℃
まで下げて比較的一定のオン状態透過率を維持した。硬化PDLC装置の性能変
数を表1に示す。実施例19
PDLC装置を、モノマー/LCブレンドが、トリアリル-1,3,5-トリアジン-
2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン(0.1775g、アルドリッチ化学社より市販)、未登録量
のイルガキュア651を含む変性ポリ(3-メルカプトプロピルシロキサン)(0.1775g)
、およびBL036(0.3276g)からなることを除き、実施例11と同様に調製した。チ
オール/エン化学量比は、1.00であって、組成物は50.5重量%の液晶材料を含ん
だ。試料を1mW/cm2の強度で、21℃(70°F)にて硬化させた。硬化PDLC
装置の性能変数を表1に示す。実施例20
PDLC装置を、モノマー/LCブレンドが、トリメチロールプロパントリメ
タクリレート(0.2305g、サルトマー社より市販)、未登録量のイルガキュア651を
含む変性ポリ(3-メルカプトプロピルメチルシロキサン)(0.3143g)、およびBL036
(0.5497g)からなることを除き、実施例11と同様に調製した。チオール/エン
化学量比は、1.01であって、組成物は50.2重量%の液晶材料を含んだ。試料を6m
W/cm2の強度で、49℃(120°F)にて硬化させた。硬化PDLC装置の性能変
数を表1に示す。実施例21
PDLC装置を、モノマー/LCブレンドが、トリアリル-1,3,5-トリアジン-
2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン(0.2804g、アルドリッチ社より市販)、ペンタメチル
シクロペンタシロキサン(0.2026g、ヒュルズ・アメリカ社より市販)、E7(0.48
40g)および光触媒シクロペンタジエニルトリメチルプラチナ(0.0013g、内部調製
)からなり、かつより小さい2.5cm×3cmのITOコートガラスを用いたことを除き、
実施例11と同様に調製した。水素化物/エン化学量比は、1.00であって、組成
物は50.1重量%の液晶材料を含んだ。試料を、約2時間、1mW/cm2の強度で、
室温にて硬化させた。硬化PDLC装置の性能変数を表1に示す。実施例22
PDLC装置を、モノマー/LCブレンドが、トリアリル-1,3,5-トリアジン-
2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン(0.1730g、アルドリッチ社より市販)、フェニルトリ
ス(ジメチルシロキシ)シラン(0.2026g、ヒュルズ・アメリカ社より市販)、E7(0
.3538g)および光触媒シクロペンタジエニルトリメチルプラチナ(0.0011g、スリ
ーエム(3M)社内にて内部調製)からなり、かつより小さい2.5cm×3cmのITOコート
ガラスを用いたことを除き、実施例11と同様に調製した。水素化物/エン化学
量比は、0.88であって、組成物は48.5重量%の液晶材料を含んだ。試料を、約2
時間、1mW/cm2の強度で、室温にて硬化させた。硬化PDLC装置の性能変数
を表1に示す。実施例23
PDLC装置を、モノマー/LCブレンドが、トリアリル-1,3,5-トリアジン-
2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン(0.2837g、アルドリッチ社より市販)、1,3,5,7-テト
ラメチルシクロテトラシロキサン(0.2O62g、ヒュルズ・アメリカ社より市販)、E
7(0.4908g)および光触媒シクロペンタジエニルトリメチルプラチナ(0.0014g、
スリーエム(3M)社内にて内部調製)からなり、かつより小さい2.5cm×3cmのITOコ
ートガラスを用いたことを除き、実施例11と同様に調製した。水素化物/エン
化学量比は、1.00であって、組成物は50.0重量%の液晶材料を含んだ。試料を、
約2時間、1mW/cm2の強度で、室温にて硬化させた。硬化PDLC装置の性能
変数を表1に示す。実施例24
PDLC装置を、モノマー/LCブレンドが、1,3-ジビニルテトラメチルジシ
ロキサン(0.6920g)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネー
ト)(1.0259g)、BL036(2.5313g)および熱開始剤Vazo52(0.0405g)からなり、かつ
試料を90〜95℃のホットプレート上に数分間置くことによって熱硬化させたこと
を除き、実施例11と同様に調製した。チオール/エン化学量比は、1.02であっ
て、組成物は59.0重量%の液晶材料を含んだ。硬化PDLC装置の性能変数を表
1に示す。実施例25
N100(0.2956g、イソシアネート、ペンシルバニア州、ピッツバーグのモベイ社
(Mobay Corporation)より入手)、1,3-ビス(4-ヒドロキシブチル)テトラメチルジ
シロキサン(0.4233g、ヒュルズ・アメリカ社より入手)、E7(0.2910g)、および
Fe(シクロペンタジエニル)(キシレニル)PF6(25重量%溶液を0.0248g、内部
調製した光触媒)からなるモノマー/LCブレンドを調製した。イソシアネート
/アルコール比は、1.02であって、組成物は約36.5重量%の液晶を含んだ。この
組成物約10mgをDSCパン上に置いた。DSC試料を75mW/cm2で照射し、5℃
/分で、25〜150℃にまで、セイコー・インスツルメンツ・フォト(Seiko Instrume
nts Photo)DSC中で加熱した。試料は硬化したが、透明なままであった。追加
のE7(0.248g)を加えて、組成物を液晶約51.5重量%にした。18.55mgをDSC
パン上に置き、上記のように照射および加熱した。47.2℃の発熱開始が検出され
た。DSC試料は白色不透明材料に硬化した。比較実施例1
PDLC装置を、モノマー/LCブレンドが、トリアリル-1,3,5-トリアジン-
2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン(0.2000g、アルドリッチ社より市販)、未登録量のイ
ルガキュア651を含むトリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネー
ト)(0.3105g)、およびBL036(0.5038g)からなること除き、実施例11と同様に調
製した。チオール/エン化学量比は、0.96であって、組成物は49.7重量%の液晶
材料を含んだ。試料を、1mW/cm2の強度で、49℃(120°F)にて硬化させた。硬
化PDLC装置の性能変数を表1に示す。比較実施例2
PDLC装置を、モノマー/LCブレンドが、トリメチロールプロパントリメ
タクリレート(0.2319g、サルトマー社より市販)、未登録量のイルガキュア651を
含むトリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)(0.2775g)、
およびBL036(0.5164g)からなること除き、実施例11と同様に調製した。チオー
ル/エン化学量比は、1.00であって、組成物は50.3重量%の液晶材料を含んだ。
試料を、6mW/cm2の強度で、38℃(100°F)にて硬化させた。硬化PDLC装置
の性能変数を表1に示す。比較実施例3
PDLC装置を、モノマー/LCブレンドが、ノーランド光学接着剤(Norland
Optical Adhesive)65(0.4988g、ニュージャージー州、ニュー・ブランスウィッ
ク(New Brunswick)のノーランド・プロダクツ社(Norland Products,Inc.)より市
販)およびE7(0.5051g)からなること除き、実施例1と同様に調製した。組成物
は50.3重量%の液晶材料を含んだ。試料を、2分間、2mW/cm2の強度で、23℃(7
4°F)にて硬化させた。硬化PDLC装置の性能変数を表1に示す。
混和性実施例1
幾つかのビニルシラン類(ヒュルズ・アメリカ社より市販)を、1.95重量%のイ
ルガキュア651を含むペンタエリトリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネ
ート)(PETMP)と合わせて、それらの室温における混和性を観察した。結果を表2
に示す。
液晶、ビニルシラン類および1.95重量%のイルガキュア651を含むペンタエリ
トリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(PETMP)を合わせて、それ
らの室温における混和性を観察した。結果を表3に示す。
その他の態様は、以下の請求の範囲内にある。
例えば、マトリックスを熱硬化してもよい。
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フロントページの続き
(72)発明者 ベスリー、ジョージ・エフ
アメリカ合衆国 55133―3427、ミネソタ
州、セント・ポール、ポスト・オフィス・
ボックス33427番(番地の表示なし)