JPH05297354A

JPH05297354A - 液晶表示膜及びその作成方法

Info

Publication number: JPH05297354A
Application number: JP10288492A
Authority: JP
Inventors: Satoshi Igarashi; 聡五十嵐; Kenji Nakatani; 健司中谷; Shunichi Matsumura; 俊一松村
Original assignee: Teijin Ltd
Current assignee: Teijin Ltd
Priority date: 1992-04-22
Filing date: 1992-04-22
Publication date: 1993-11-12

Abstract

(57)【要約】【目的】低電圧駆動が可能な液晶表示膜【構成】ＰＤＬＣ（ポリマー分散型液晶表示膜）のポ
リマーを形成するためのモノマーとして、下記式［但し、Ｒ¹＝Ｈ又はＣＨ₃；Ｒ²，Ｒ³＝Ｈ又はヘテ
ロ原子を含有していてもよい炭化水素基］で表わされる
化合物を用いることを特徴とする液晶表示膜。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、液晶表示膜に関し、さ
らに詳しくは、液晶滴形状で液晶相を分散させた透明硬
化樹脂からなる液晶膜を２つの電極層で挟んだ構造を持
ち、該電極への電圧の印加に応じて液晶層が透明、不透
明に変化しうる液晶表示膜に関する。

【０００２】

【従来の技術】液晶分子をマイクロカプセル化したの
ち、該カプセルを液晶滴として樹脂膜中に分散させた液
晶膜に於いて、その液晶滴による光の散乱による不透明
性と、電場印加による液晶滴内の液晶分子の配向による
透明性とを利用した液晶構成体は、既にファーガソンら
により提案され（米国特許明細書第４４３５０４７
号）、あるものは実用に供されている。しかしながら、
この方法に於いては、マイクロカプセル化する工程を含
むため生産工程上煩雑である。

【０００３】一方、ケント大学に於いては、特表昭６１
―５０２１２８号公報及び特表昭６３―５０１５１２号
公報において、熱硬化性樹脂と液晶分子の混合液からの
相分離によって液晶微小滴を熱硬化性樹脂透過性マトリ
ックス中に分散させて液晶層を作成することを提案して
いる。しかしながら該公報記載の方法においては、大面
積の例えば太陽光が直接照射される窓などに用いた、い
わゆる調光窓用途への応用などで満足のいく耐久性を有
する液晶構成体が得られていないのが実情である。

【０００４】さらに、従来の液晶構成体では、液晶を配
向させるために１００Ｖ程度の交流電圧を必要としてお
り消費電圧が高いという表示用途にとっては重大な欠点
がある。表示素子として用いるときにはその駆動回路の
設計上、また、表示画質向上のためにも低電圧で駆動で
きる液晶構成体が望まれている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、構造が容易
で、耐久性に優れ、かつ低電圧で駆動できる液晶表示膜
を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、高分子形成性
モノマー混合液、重合開始剤及び液晶、並びに必要に応
じ塗膜の厚みを均一に保つためのスペーサー、を少なく
とも含有する混合液を２枚の透明基板上の透明導電性層
間に挟持した後、紫外線等の活性光線照射及び／または
加熱によって高分子形成性モノマーを重合硬化させるこ
とにより液晶滴を相分離法で樹脂中に形成した、液晶滴
での光の散乱を利用して、透明導電性層間に電圧を印加
した時には透明状態を、電圧が印加されていない時には
不透明状態をとることのできる液晶表示膜に於いて、高
分子形成性モノマー混合液が親水性を示し、かつ重合効
果時に液晶を０．８〜５μｍ径の均一滴として相分離析
出させる効果がある重合性モノマーである事を特長とす
る液晶表示膜である。

【０００７】本発明の液晶膜の各組成分について説明す
る本発明で使用する液晶を相分離する効果を持ち、かつ
親水性を示す重合性モノマーとしては、（メタ）アクリ
ロイル基が窒素原子に直接結合したモノマーで、下記一
般式（Ｉ）

【０００８】

【化２】

【０００９】（式中、Ｒ¹は水素原子またはメチル基
を、Ｒ²，Ｒ³は水素原子または側鎖あるいは主鎖中に
Ｎ，Ｏ，Ｆ，Ｓｉ，Ｐ，Ｓ，Ｃｌ，Ｂｒ，Ｉを含んでも
よい、Ｒ ²とＲ³の総炭素原子数１〜２０の炭化水素基
を示す。またＲ²とＲ³は互いに結合していてもよ
い。）で示される（メタ）アクリロイル系モノマーであ
る。

【００１０】前記一般式（Ｉ）で表される（メタ）アク
リロイル系モノマーの具体例としては、

【００１１】

【化３】

【００１２】などが挙げられる。

【００１３】もちろんこれに限定されること無く又、樹
脂の屈折率を液晶とマッチングさせるためのフッ素系重
合性モノマーや、樹脂硬度を高めるための多官能性モノ
マー等を適量添加して、該高分子形成性モノマー混合液
としてもよい。

【００１４】前記高分子形成性モノマー混合液を活性光
線例えば紫外線を照射して硬化するための重合開始剤と
しては、例えばアセトフェノン系やベンゾイン系等の光
重合開始剤（メルク社製「ダロキュア１１７３」あるい
はチバガイギー社製「イルガキュア６５１」「イルガキ
ュア９０７」など）が挙げられる。また、加熱して硬化
するための重合開始剤としては、例えばパーオキシエス
テル系やパーオキシカーボネート系等の熱重合開始剤
（日本油脂社製「パーブチルＰＶ」「パーロイルＴＣ
Ｐ」など）が挙げられる。

【００１５】もちろんこれに限定される事なく又、増感
剤、連鎖移動剤、染料等を添加する事もできる。

【００１６】前記重合開始剤の使用量は、高分子成形性
モノマー混合液総量に対して、通常０．１〜５重量％程
度が望ましい。

【００１７】液晶表示膜は、樹脂中に分散した微小な液
晶相による光の散乱と液晶分子のランダムな配合によっ
て不透明状態を出現させるため、液晶滴の平均的大きさ
は可視光の波長より大きな０．８μｍ以上の平均直径を
有することが好ましい。ここで述べる液晶滴とは樹脂中
に孤立した液晶滴はもちろん、個数ないし数１０個の液
晶滴が互いにその一部で連結し、液晶相が連続したもの
も含む。また液晶分子のランダムさから不透明性を得る
ためには通常光屈折率と異常光屈折率の屈折率差が大き
いほど良い。更に低電圧での液晶配向を促すためには、
液晶の正の誘電率異方性が大きいほど良い。かかる点を
考慮して、液晶層を構成する液晶成分としては、正の誘
電異方性が高く、かつ通常光屈折率と異常光屈折率の屈
折率差が０．２以上のシアノビフェニル系の液晶成分が
好適に使用される。もちろん、これに限定されるもので
はなくフェニルシクロヘキサン系やピリミジン系等の液
晶も用途に応じて選択される。

【００１８】一般に樹脂と液晶を適当に混ぜて塗工した
液晶膜でも電圧印加の有無により何らかの光学的変化を
示すことができる。しかしながら、良好なＯＮ―ＯＦＦ
特性、すなわち電圧印加時の透過率が高く、例えば２０
Ｖ印加時に透過率が７０％以上を示し、また電圧無印加
時の透過率が小さく、例えば透過率が１０％以下を示す
ような液晶構成体を得るためには、液晶と樹脂の最適な
組み合わせが必要である。

【００１９】ここで述べる透過率は、Ｈｅ―Ｎｅレーザ
ーを光源としたときに該液晶表示膜面から３０ｍｍ後方
に固定した３ｍｍ径のフォトダイオードに入射した光量
を測定して得られる値である。

【００２０】本発明の（メタ）アクリロイル系樹脂中に
分散されるシアノビフェニル系液晶相としては、一般式
（II）

【００２１】

【化４】

【００２２】（式中、Ｙは炭素数１〜１２のアルキルま
たはアルコキシ基を示す。）で表されるシアノビフェニ
ル系液晶が最適である。これらの化合物は、２種以上を
組み合わせて使用しても良い。

【００２３】この液晶としては、例えばＥ―８液晶（メ
ルク社）を挙げることができる。

【００２４】本発明の液晶膜中のシアノビフェニル系液
晶相は、高分子モノマー混合液にシアノビフェニル系液
晶を、液晶成分が好ましくは５０重量％以上、７５重量
％以下になるように混合しこれを塗工液とすることで、
０．８μｍ以上の平均直径を有する液晶相として得るこ
とができる。

【００２５】液晶成分が５０重量％未満では、（メタ）
アクリロイル系モノマー中に溶解した液晶分子が該モノ
マーの硬化中に相分離することによって形成される液晶
滴の系が小さく、かつ密度も低く、そのため良好な不透
明性、すなわち遮光性が得られない欠点がある。

【００２６】一方、７５重量％を越えると、液晶成分が
溶解しきれずに、硬化前から液晶ドメインを形成し、硬
化によって樹脂中に含有しきれなくなった液晶成分が滲
み出すことになる。その結果微小液晶滴が形成されず光
散乱を十分に起こさなくなるため、遮光性低下、透明導
電性基板との接着性の低下、作業性の低下などの不都合
を生じる。

【００２７】このように、良好な遮光性、作業性および
耐久性を持った液晶膜を作成するためには、液晶成分を
５０重量％以上、７５重量％以下とすることが好まし
い。さらに好ましい遮光性を得るためには、液晶成分を
６０〜７５重量％とする。

【００２８】次に本発明の液晶表示膜について説明す
る。

【００２９】本発明の液晶表示膜の全体構造は、図１に
示すように、両側に相対配置される（透明な）基板１
０，１０上にそれぞれ設けられた（透明）導電性電極層
２０，２０で、液晶分子を分散させた（透明）樹脂から
なる液晶膜３０を挟んだものである。

【００３０】本発明の（透明）基板１０としては、透明
性に優れたポリエチレンテレフタレートフィルムの如き
ポリエステルフイルムが好適に用いられるが、ガラス板
や他の透明高分子フィルムを用いることも可能である。

【００３１】また、該基板１０上に設けられる（透明）
導電性電極層２０としては、スズなどの不純物を少量含
有しても良いインジウムによる酸化インジウム膜が好ま
しいが、酸化亜鉛、酸化チタンなどの金属酸化物膜；
金、白金などの金属の薄膜；金属薄膜を透明導電体膜で
挟んだ積層体を使用することもできる。

【００３２】前記電極層の一方を厚い膜厚の金属膜にす
ることによって反射率の高い不透明膜としても良いが、
この場合はそれの基板１０も透明なものでなくともよ
い。

【００３３】電極層は透明基板１０上に公知の物理的方
法、例えばスパッタリング法などを用いて５００Ω／□
以下の抵抗、好ましくは３００Ω／□以下の抵抗を有す
る透明導電性電極層２０として設けることができる。

【００３４】本発明の液晶表示膜は、透明導電性電極層
２０を、たとえばスパッタリングなどの公知の方法で透
明基板１０上に設け、高分子形成性モノマー混合液とシ
アノビフェニル系液晶との混合液（塗工液）を透明導電
性電極層２０上にバーコーターを用いて均一の厚みに塗
工したのち、別の透明導電性電極層２０付き透明基板１
０を透明導電性電極層２０が液晶層３０に接するように
重ね合わせて積層体を得、そののち例えば水銀ランプを
光源とする紫外線照射装置下で紫外線を該積層体に照射
して高分子モノマーを硬化して製造することができる。

【００３５】塗工液を均一の厚みに塗工するためには、
バーコーター法以外の印刷法なども用いられる。

【００３６】紫外線照射などの方法で硬化させた液晶膜
３０は、２〜３０μｍの厚みを有するが、透明導電性電
極層２０上に電圧を印加しない状態での液晶膜の不透明
さと、電圧を印加したときの透明性のかねあいで選択さ
れる。好ましくは、１０〜２０μｍの厚みが用いられ
る。

【００３７】このようにして得られる液晶表示膜は、製
造が容易で、優れたＯＮ―ＯＦＦ特性、すなわち２０Ｖ
印加時の透過率が７０％以上の透明性を示し、電圧無印
加時の透過率が１０％以下の値を示す、透明―不透明の
差が大きく、低電圧で駆動でき、表示素子として好適に
利用できる。

【００３８】

【実施例】以下実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明
する。

【００３９】

【実施例１】１２５μｍの厚さのポリエチレンテレフタ
レートフィルムを透明基板とし、この上に透明導電性層
としてスズを微量含んだ酸化インジウム膜を約２００オ
ングストロームの厚みでスパッタリング法で堆積した。

【００４０】シアノビフェニル系液晶としてはＥ―８
（メルク社）を使用し、（メタ）アクリロイル系高分子
形成性モノマーとして（株）興人製のＤＭＡＰＡＡ
（Ｎ，Ｎ―ジメチルアミノプロピルアクリルアミド）を
使用した。硬化剤としてはチバガイギー社製のイルガキ
ュアー９０７を４．７重量％添加混合した。その混合液
にスペーサーとして積水ファインケミカル（株）社製の
ミクロパール２１０（１０μｍ径）を０．３重量％加
え、更に液晶成分が６５重量％になるように混合したの
ちよく撹拌し、脱気して塗工液とした。

【００４１】次に、透明導電性層上に＃２０のバーコー
ターを用いて前記塗工液を塗工した。

【００４２】次に、別の透明導電性層付きポリエチレン
テレフタレートフィルムを透明導電性層が液晶塗工膜に
接するように重ね合わせた後、９５℃に温度コントロー
ル下、水銀ランプを光源とする紫外線照射装置を用いて
５ｍＷ／ｃｍ²の紫外光を約５分間照射した。紫外光に
より液晶塗工層は透明導電性層間で硬化し、約１０μｍ
の液晶膜を形成し液晶表示膜を形成した。

【００４３】得られた液晶表示膜の２つの電極間にＯＶ
から３０Ｖの電圧を印加し、その透過率をＨｅ―Ｎｅレ
ーザーを光源として該液晶表示膜面から３０ｍｍ後方に
固定した３ｍｍ径のフォトダイオードに到達する光量と
してグラフ化した。そして、ＯＶのときの透過率を遮光
性Ｔ₀として、電圧印加で最高に飽和したときの透過率
をＴ₁₀₀として、Ｔ₁₀₀の９０％の透過率に達するとき
の電圧を駆動電圧Ｖ₉₀として該液晶表示膜の特性とし
た。

【００４４】得られた液晶表示膜についてＴ₀＝１％，
Ｔ₁₀₀＝７７％，Ｖ₉₀＝１４Ｖという値が得られた。

【００４５】

【実施例２】実施例１で使用した高分子形成性モノマー
組成において、大阪有機化学工業製のビスコート８―Ｆ
（オクタフロロペンチルアクリレート）をＤＭＡＰＡＡ
／８―Ｆ＝９５／５となるように混合したものを使用し
た。その他、組成、作成条件、評価手段は同一とした。

【００４６】得られた液晶表示膜についてＴ₀＝１％，
Ｔ₁₀₀＝７８％，Ｖ₉₀＝１３Ｖという値が得られた。

【００４７】

【発明の効果】本発明は、容易に製造でき、かつ低電圧
で駆動できる液晶表示膜であり、液晶シャッター、調光
材または表示材などに広く利用することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の液晶表示膜の断面模式図である。

【符号の説明】

１０透明基板２０透明導電性電極層３０液晶フィルム

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】高分子形成性モノマー混合液、重合開始
剤及び液晶の３者を少くとも含有する混合液を２枚の透
明基板上の透明導電性層間に挟持した後、活性光線照射
及び／又は加熱によって高分子形成性モノマーを重合硬
化させることにより液晶滴を相分離法で樹脂中に形成し
た、液晶滴での光の散乱を利用して、透明導電性層間に
電圧を印加した時には透明状態を、電圧が印加されてい
ない時には不透明状態をとる事のできる液晶表示膜に於
いて、高分子形成性モノマー混合液が親水性を示し、か
つ重合時に液晶を０．８〜５μｍ径の均一滴として相分
離析出させる効果がある重合性モノマーである事を特長
とする液晶表示膜。
【請求項２】前記親水性を示し、かつ重合硬化時に液
晶を相分離析出させる効果を持つ重合性モノマーが下記
一般式（１）【化１】（式中、Ｒ¹は水素原子またはメチル基を、Ｒ²，Ｒ³
は水素原子または側鎖あるいは主鎖中にＮ，Ｏ，Ｆ，Ｓ
ｉ，Ｐ，Ｓ，Ｃｌ，Ｂｒ，Ｉを含んでもよい、Ｒ ²とＲ
³の総炭素原子数１〜２０の炭化水素基を示す。またＲ
²とＲ³は互いに結合していてもよい。）で示される
（メタ）アクリロイル系モノマーであることを特徴とす
る請求項１記載の液晶表示膜。