JPH0948968A - 発熱体組成物の発熱反応制御方法、発熱体組成物、発熱体、貼付剤、香料放散装置、殺虫剤放散装置又は殺菌剤放散装置 - Google Patents

発熱体組成物の発熱反応制御方法、発熱体組成物、発熱体、貼付剤、香料放散装置、殺虫剤放散装置又は殺菌剤放散装置

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JPH0948968A
JPH0948968A JP12098496A JP12098496A JPH0948968A JP H0948968 A JPH0948968 A JP H0948968A JP 12098496 A JP12098496 A JP 12098496A JP 12098496 A JP12098496 A JP 12098496A JP H0948968 A JPH0948968 A JP H0948968A
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Akio Usui
昭男 臼井
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 発熱体組成物の過剰な発熱反応を極力避けて
使用可能時間の長期化を図り、香料や殺虫剤の過剰な蒸
散を防止し、人体などの生体への使用時の安全性が高め
る発熱体組成物の発熱反応制御方法、発熱体組成物、発
熱体、貼付剤、香料放散装置、殺虫剤放散装置又は殺菌
剤放散装置を提供する。 【解決手段】 少なくとも一部が通気性を有する容器に
封入され、且つ空気の存在によって発熱する発熱体組成
物には、温度の昇降に依存して吸水能力が可逆的に変化
する吸水剤を配合し、この吸水剤は所定の発熱温度を超
えると吸着水分を放出して遊離水分量を増大することに
より発熱反応を鈍化させ、逆にその温度以下になると発
熱反応を活発化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水を発熱反応に利用す
る発熱体組成物の発熱反応制御方法、発熱体組成物、発
熱体、貼付剤、香料放散装置、殺虫剤放散装置又は殺菌
剤放散装置に関し、発熱体組成物の発熱反応を制御し
て、発熱温度を所定の温度範囲に制御し、例えば人体な
どの生体への適用時の安全性を高めたり、香料或いは殺
虫剤の蒸散速度を制御するようにした発熱体組成物の発
熱反応制御方法、発熱体組成物、発熱体、貼付剤、香料
放散装置、殺虫剤放散装置又は殺菌剤放散装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、金属粉、金属の塩化物及び水を必
須成分とする発熱体組成物と、空気中の酸素との反応熱
を熱源として利用する温罨法や採暖が採用されている。
身近な例としては、片面又は両面が通気性を有する偏平
な袋体に、金属粉、水、触媒、発熱助剤などからなる発
熱体組成物を封入した、いわゆる、使い捨て型かいろが
挙げられる。
【0003】この使い捨て型かいろの中には袋体の片面
に粘着層を積層させ、下着の上に貼ったり、直接皮膚に
貼ったりして使用できるようにしたものもあり、又、こ
の種のかいろが温罨法に利用される場合には、更に粘着
層に経皮吸収性薬剤、遠赤外線放射体、磁性体を分散さ
せたものもある。
【0004】この種の発熱体組成物を採暖や温罨法に利
用する場合、一方では十分な温熱効果や治療効果を得る
ために所定の温度、例えば標準的な人の体温よりも少し
高い37℃以上に発熱することが必要であり、他方では
43℃程度を超える温度が長時間にわたると、低温やけ
どの恐れが発生するから、低温火傷を防止するため、発
熱温度を例えば43℃以下程度に制御することが好まし
い。
【0005】この発熱体組成物の発熱温度を制御する方
法として、最初に試みられたのは、袋体の通気度を制御
し、反応に供される空気量(酸素量)を制御する方法で
あるが、この方法は、発熱反応による温度上昇に伴っ
て、袋体内の水蒸気発生量が増大し、この水蒸気が袋体
の通気孔内に付着し、これによって、通気度が変化する
結果、安定良く通気性を制御することが困難であった。
【0006】即ち、通気度が同じ袋体であっても、袋体
の種類、例えば袋体の材質や充填剤更に界面活性処理の
有無等によって、袋体の通気孔内への水蒸気の付着性に
差異が生じ、品質の安定した発熱体を得ることができな
かった。
【0007】次に、発熱体組成物の発熱温度を制御する
ために提案された方法は、袋体の透湿度を制御するもの
であり、通気度で発熱体組成物の発熱温度を制御するの
に比較して、一層厳格な温度制御が可能になり、一層安
全な発熱体が得られる。
【0008】例えば、温熱効果ないし治療効果と安全性
とを両立させるために、この通気性フィルムとしてはそ
の透湿度が、ASTM法(E−96−80D法)で特定
され、そのバラツキ幅は基準値(プラスマイナス)5〜
10%、最大でも基準値(プラスマイナス)20〜35
%程度とバラツキ幅を狭くしたものが用いられている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、片面又は両
面が通気性を有する偏平な袋体は片面又は両面が通気性
フィルムで形成されているが、この通気性フィルムは合
成樹脂製フィルムを延伸して形成したり、或いはこの延
伸した合成樹脂製フィルムに不織布等の通気性補強基材
を積層して得られる。
【0010】しかしながら、発熱体を製造するにあた
り、常に、前述のように、通気性フィルムにおける透湿
度のバラツキ幅を狭くすることは非常に困難であり、所
要の範囲のものを使用すると、通気性フィルムの生産時
の不良品が増大して高価なものとなったり、資源の無駄
にもつながる。
【0011】又、このように通気性フィルムとして、透
湿度を特定の範囲(いわゆる納品規格)に制限したもの
を入荷してもその全てがこの範囲のものとは限らず、中
には、通気性フィルムとしてこの規格外のものが納品さ
れ、その結果、袋体として、透湿度が規格外の通気性フ
ィルムで形成されたものが混入したり、或いは発熱体組
成物の組成がばらついたり、更に、外気の温度や湿度等
の環境が異なることがある。
【0012】その結果、最高発熱温度にばらつきが生
じ、所定温度以上の高温になって種々の弊害が発生す
る。
【0013】具体的には、例えば人体に適用する発熱体
や貼付剤の場合、低温火傷によって、水泡や紅斑等の症
状が生じるなどの弊害が生じるのであり、このため、現
実には、発熱体や貼付剤の使用に際して、例えば適用部
位を特定したり、同じ部位での繰り返し使用を避けた
り、発熱体や貼付剤をベルト等で押えた状態での使用を
避けたり、直接肌に貼付することを避けるように指示し
たり、熱すぎると感じたら直ちに使用を避けることを指
示したり、就寝中の使用を避けるように指示したりする
等、種々の注意書きがなされていることが不可欠になっ
ている。
【0014】又、発熱体の使用環境によって、特に気温
が高い時には、発熱反応の反応速度が高くなり過ぎて、
発熱温度が設計された最高発熱温度を超えることがあ
り、安全性を高める上で不利になるという問題がある。
【0015】そこで、本発明者は、発熱温度が設計され
た最高発熱温度を超えた場合、発熱反応を鈍化させて発
熱温度を降下させると共に、発熱体組成物の過剰な発熱
反応を極力避けて使用可能時間の長期化を図ることにつ
き鋭意検討を重ねて来た。
【0016】その結果、使い捨てカイロ等の発熱原理
は、金属粉が酸化される時の発熱を利用するものであ
り、この酸化反応、つまり発熱反応は、特に水分量が、
その速度に大きく影響することが判明した。
【0017】即ち、この酸化反応を促進するためには、
水分が多すぎても少なすぎても反応速度は著しく遅く、
適度な湿り気が有ることが重要である。この状態が必要
な水分と、空気(酸素)の供給のバランスがとれ酸化反
応、つまり発熱反応の速度が最大になるといわれてい
る。
【0018】水分が少過ぎると、空気は十分であるが反
応に必要な水分が不足し、一方、水分が多過ぎると、こ
の水分がバリヤー層となって金属粉への空気の供給量が
減少するため反応速度は遅くなるとの知見を得た。
【0019】そこで、本発明者は、発熱体組成物に用い
られる吸水剤として、所定の温度を超えると、吸着水分
を放出して遊離水分量を増大するものを用いると、この
遊離水分がバリヤー層となるので、空気の供給量が減少
して発熱温度が低下し、一方、発熱温度の低下に伴い、
逆に遊離水分を吸着してバリヤー層を喪失させて空気の
供給を良好にし、この結果、発熱温度が、所定値を維持
するか或いは所定の最高温度と最低温度の間を昇降する
ことを見い出し、本発明を完成するに至ったものであ
る。
【0020】即ち、本発明は、少なくとも一部が通気性
を有する容器、袋或いはシート状の袋に封入され、且つ
空気の存在によって発熱する発熱体組成物の発熱反応制
御方法において、この発熱体組成物中の遊離水分量の変
化によって、所定の発熱温度以上になると発熱反応を鈍
化させ、逆に所定の発熱温度以下になると発熱反応を活
発化させるものであり、発熱体組成物の過剰な発熱反応
を極力避けて使用可能時間の長期化を図ったり、香料や
殺虫剤更に殺菌剤の過剰な蒸散を防止したり、特に人体
などの生体に適用する場合、人体などの生体への使用時
の安全性が高められるようにした発熱体組成物の発熱反
応制御方法、発熱体組成物、発熱体、貼付剤、香料放散
装置、殺虫剤放散装置又は殺菌剤放散装置を提供するこ
とを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】まず、本発明に係る発熱
体組成物の発熱反応制御方法は、前記目的を達成するた
めに、少なくとも一部が通気性を有する容器、袋体或い
はシート状の袋体に封入され、且つ空気の存在によって
発熱する発熱体組成物の発熱反応制御方法において、こ
の発熱体組成物中の遊離水分量の変化によって、所定の
発熱温度以上になると発熱反応を鈍化させ、逆に所定の
発熱温度以下になると発熱反応を活発化させることを特
徴とするものである。
【0022】以下、本発明に係る発熱体組成物の発熱反
応制御方法について更に詳細に説明する。
【0023】本発明で用いられる容器は、発熱体組成物
が封入できる構造のものであれば形状が特に限定される
ものではなく、具体的には、例えば無機質材料(金属材
料を含む。)や有機質材料で形成された缶、瓶、中空置
物品或いは中空装飾品が挙げられるのであり、又、袋体
或いはシート状の袋体等も用いられるが、この容器、袋
体或いはシート状の袋体に封入された発熱体組成物と空
気とを連続的に接触させるために、少なくとも一部が通
気性を有することが必要である。
【0024】又、前記発熱体組成物は、空気の存在によ
って発熱する発熱体組成物であって、この発熱体組成物
には、当該発熱体組成物中の遊離水分量の変化によっ
て、所定の発熱温度以上になると発熱反応を鈍化させ、
逆に所定の発熱温度以下になると発熱反応を活発化させ
るものが挙げられる。
【0025】即ち、この発熱体組成物としては、後述す
る本発明の発熱体組成物が挙げられる。
【0026】本発明において、発熱反応を鈍化させると
は、所定の温度を超えた高温時において、吸水剤から吸
着水分を放出して遊離水分量を増大させ、その結果、こ
の遊離水分がバリヤー層となって金属粉と空気の接触を
減少し、反応速度を低下させたり、一時的或いは間欠的
に発熱反応を停止させることをいう。
【0027】又、本発明において、発熱反応を活発化さ
せるとは、所定の発熱温度以下になると、吸水剤が遊離
水分を再び吸着してバリヤー層を喪失させ、これによっ
て、金属粉と空気との接触を良好にする結果、反応速度
を促進して発熱温度を上昇させることをいう。
【0028】具体的には、所定の温度を超えた高温時に
おいて、吸水剤からの吸着水分を放出して遊離水分量を
増大させ、その結果、温度を所定領域、例えば人体の外
皮に直接適用する場合、43℃程度を超えると反応を鈍
化させて40℃程度に下げ、その温度を維持するように
しても良く、或いは高温時と低温時において、吸水剤か
ら吸着水分を放出させたり、吸水剤に遊離水分を吸着さ
せて、発熱体組成物中の遊離水分量の変化を図って温度
を適性領域、例えば人体に直接貼付して使用する場合に
は37〜43℃程度の範囲で昇降するようにしても良い
のである。
【0029】この場合において、使用中の温度が、一時
的或いは間欠的に、37℃未満になっても差し支えない
のである。
【0030】勿論、後述する香料放散装置、殺虫剤放散
装置或いは殺菌剤放散装置の場合において、高温とは、
例えば用いられる香料や殺虫剤の蒸気圧或いは昇華圧が
急激に上昇する分岐点近傍の温度、或いは合成樹脂製の
容器や袋体を用いる場合、その容器が軟化、変形する温
度以下の所定の温度を意味する。
【0031】つまり、本発明において、高温とは用途に
応じて、設定された所定の温度をいう。
【0032】そして、本発明においては、所定の発熱温
度以上になると吸水剤からの吸着水分の放出に基づき発
熱反応を鈍化させる一方、この発熱反応の鈍化による発
熱温度の降下に伴って所定の発熱温度以下になると前記
吸水剤に再び遊離水分が吸着されて再び発熱反応を活発
化させるように構成するのが望ましい。
【0033】前記吸水剤としては、温度の昇降に依存し
て吸水能力が可逆的に変化するものであり、所定の温度
を超えた高温時に、吸水剤からの吸着水分の放出に基づ
き発熱反応を鈍化させるものが挙げられる。
【0034】即ち、前記吸水剤としては、温度の昇降に
依存して吸水能力が可逆的に変化する吸水性ポリマーで
あれば特に限定されるものではない。
【0035】そして、本発明においては、この吸水性ポ
リマーのうち、特に、温度の昇降に依存して吸水能力が
敏感に且つ顕著に可逆的変化を行う吸水性ポリマーが望
ましく、この吸水性ポリマーとしては、具体的には、例
えば水溶性セルロースエーテル又はポリ−N−ビニルア
セトアミド或いはカルボキシメチルセルロース(以下、
単にCMCと略称する。)等から選ばれた少なくとも1種
が挙げられる。
【0036】具体的には、例えばセルローズをメトキシ
ル基でエーテル化したメチルセルロース(信越化学工業
株式会社製、商品名:メトローズSM15、メトローズ
SM25、メトローズSM400、メトローズSM40
00など)、セルローズをヒドロキシプロポキシル基で
エーテル化したヒドロキシプロピルメチルセルロース
(信越化学工業株式会社製、商品名:メトローズ60S
H−50、メトローズ60SH−4000、メトローズ
90SH−4000、メトローズ90SH−3000
0、メトローズ90SH−100000など)、セルロ
ーズをヒドロキシエトキシル基でエーテル化したヒドロ
キシエチルメチルセルロースなどの水溶性セルロースエ
ーテル(信越化学工業株式会社製、商品名:メトローズ
60SH−50、メトローズ60SH−4000、メト
ローズ90SH−4000、メトローズ90SH−30
000、メトローズ90SH−100000など)など
の水溶性セルロースエーテルの他、CMC等が挙げられ
るのであり、更に、これらを界面活性剤で処理したり、
これらにと界面活性剤を組み合せて親水性を向上しても
良いのである。
【0037】この場合、前記水溶性セルロースエーテル
としてはその1種類のみを用いても良いが、これに代え
て、2種類以上の水溶性セルロースエーテルを用いた
り、或いは1種類或いは2種類以上の水溶性セルロース
エーテルと他の吸水性ポリマーや保水剤を組み合わせて
も良く、これによって、使用時の温度領域を任意に設定
できるのである。
【0038】この水溶性セルロースエーテルの水溶液を
加熱すると、例えば所定温度(増粘開始温度)までは粘
度が低下するが、更にこの温度以上に加熱すると、吸着
水分を放出して粘度が高まってゲル化し(以下、この現
象を熱ゲル化現象と呼ぶ。)、この遊離水分がバリヤー
層となって発熱反応を減少させ、一方、このゲルを冷却
すると、水分を吸着して元の状態に戻るという性質を有
している。
【0039】つまり、水溶性セルロースエーテルは、加
熱され、発熱温度が所定の温度を超えると、周囲に吸着
水分を放出しながらゲルになり、一方、冷却すると、こ
のゲル状態から水分を吸着して元の状態に戻すという性
質を有している。別の観点からすれば、高温になると周
囲に吸着水分を放出し、一方、低温になると周囲の遊離
水分を吸着して金属粉と空気の接触を良好にするという
性質を備えているのである。
【0040】従って、この吸水剤を発熱体組成物に配合
することにより、発熱温度が増粘開始温度以上に上昇す
ると、吸水剤に吸着されている水分を周囲に放出して金
属粉周囲の遊離水分量を増加させ、換言すると、金属粉
はその周囲に遊離水分のバリヤー層が形成されて空気と
の接触が低下する結果、発熱反応が鈍化される。そし
て、発熱体組成物の発熱反応が鈍化されると、発熱体組
成物の温度上昇が停止した後、温度が降下しはじめ、こ
の温度低下に伴って、吸水剤が周囲の遊離水分を吸着し
て金属粉と空気の接触が良好になる。
【0041】水溶性セルロースエーテルの増粘開始温度
は、エーテル化剤の種類、置換率、セルロース分子量、
溶液として添加する場合にはその濃度、他の添加物を添
加した場合にはその添加剤の種類や添加量(濃度)等の
他、昇温速度や冷却速度の影響を受ける。従って、吸水
剤として水溶性セルロースエーテルを用いる場合には、
エーテル化剤の種類、置換率、セルロース分子量、溶液
の濃度、他の添加物の種類や添加量(濃度)などを適宜
選択したり、発熱体組成物の組成、使用量などを適宜選
択して昇温速度や冷却速度を制御することにより、最高
発熱温度を適宜、決定できるのである。
【0042】例えば、前記水溶性セルロースエーテル
(例えば、信越化学工業株式会社製、商品名:メトロー
ズSM4000)の2重量%水溶液では、添加物がない
場合、増粘開始温度は55℃であるが、塩化ナトリウム
(NaCl)、或いは炭酸ナトリウム(Na2CO3・1
0H2O)を5重量%添加した場合などには増粘開始温
度は40℃となり、人体に直接適用する場合には、メト
ローズSM4000は、安全温度(43℃程度)以下
で、吸着水分を放出して発熱反応を抑制する。
【0043】このメトローズSM4000の増粘開始温
度はAl2(SO43・18H2Oを5重量%添加した場
合にも45℃となり、この温度で、メトローズSM40
00は吸着水分を金属粉の周囲に放出して発熱反応を抑
制する。
【0044】又、例えば水溶性セルロースエーテル(例
えば、信越化学工業株式会社製、商品名:メトローズ6
0SHー4000)の2重量%水溶液では、添加物がな
い場合、増粘開始温度は75℃であるが、塩化ナトリウ
ム(NaCl)を5重量%添加した場合などには増粘開
始温度は70℃となり、炭酸ナトリウム(Na2CO3
10H2O)を5重量%添加した場合などには増粘開始
温度は45℃となり、これらの温度で、メトローズ60
SHー4000は吸着水分を周囲に放出して発熱反応を
抑制する。
【0045】更に、メトローズ60SH−4000の増
粘開始温度はAl2(SO43・18H2Oを5重量%添
加した場合にも50℃となり、この温度で、メトローズ
60SH−4000が吸着水分を放出し、金属粉周囲の
遊離水分量を増大させて発熱反応を抑制する。
【0046】特に、例えば水溶性セルロースエーテル
(例えば、信越化学工業株式会社製、商品名:メトロー
ズ90SHー4000)の2重量%水溶液では、添加物
がない場合、増粘開始温度は85℃であるが、塩化ナト
リウム(NaCl)を5重量%添加した場合などには増
粘開始温度は60℃となり、炭酸ナトリウム(Na2
3・10H2O)を5重量%添加した場合などには増粘
開始温度は60℃となり、これらの温度で、メトローズ
90SHー4000は吸着水分を放出し、金属粉周囲の
遊離水分量を増大させて発熱反応を抑制する。
【0047】更に、メトローズ90SH−4000の増
粘開始温度はAl2(SO43・18H2Oを5重量%添
加した場合にも65℃となり、この温度で、メトローズ
90SH−4000は吸着水分を放出し、金属粉周囲の
遊離水分量を増大させて発熱反応を抑制する。
【0048】前記吸水剤の増粘開始温度を調整する添加
物としては、前記の塩化ナトリウムや炭酸ナトリウム更
に硫酸アルミニウム等の無機物、エタノール等の低級ア
ルコール、ポリエチレングリコールやグリセリン等の多
価アルコール、後述する吸水性ポリマーなどの有機質保
水剤等をその例として挙げることができる。
【0049】なお、前記水溶性セルロースエーテルは特
殊な有機溶媒にも溶解し、一般的には単独溶剤より、例
えばメタノールと塩化メチレンとの混合溶剤などの混合
溶剤の方によく溶ける。これらの他には、メタノール
(あるいはエタノール)とクロロホルム、四塩化炭素、
ジクロロエタン、トリクロロエタン等の塩素系化合物と
の混合溶剤、メタノールとエチレンブロマイド混合溶
液、ジメチルホルムアミド、酢酸、ベンジルアルコー
ル、エチレンクロルヒドリン、ピリジン、蟻酸、酪酸、
アニリンなどに可溶である。
【0050】そして、これらに溶解しても、前記水溶性
セルロースエーテルは、所定の高温以上になると、吸着
水分を放出し、一方、温度を低下させると、遊離水分を
吸着するという性質は変わらないので、これらの有機溶
剤を併用することも妨げない。これらの有機溶剤に溶解
した場合、特に混合溶剤の場合には溶剤の混合割合によ
り粘度を変化させて、製造の容易化ないし高速化を図る
ことが可能である。
【0051】又、複数種類の水溶性セルロースエーテル
を併用する場合には、その配合比を適宜選択することに
より、増粘開始後の粘度上昇速度、最高発熱温度などを
制御することができる結果、最高発熱温度を所定温度以
下に制限したり、この所定温度以上になる時間を安全時
間内に制限したりすることができるのである。
【0052】所定の温度以上において、吸水剤から放出
された吸着水分は、未反応の金属粉の周辺に自由なまま
に溜まり、バリヤー層が形成されて発熱温度が低下する
のであり、一方、発熱温度が低下すると、金属粉周辺の
遊離水分を吸着して金属粉と空気の接触が良好になり、
再び発熱反応が促進される。
【0053】即ち、発熱温度が低下し、金属粉周辺の遊
離水分を吸着して金属粉と空気の接触が良好になると、
再び発熱反応が促進されるが(以下、再活性化とい
う。)、この発熱反応の反応速度は吸水剤に吸着される
単位時間当たりの水分量(以下、単位時間吸着量とい
う。)に依存する。単位時間吸着量が多い場合には、急
速に発熱反応が再活性化されるので、発熱温度は最初と
同じように上昇し、一方、単位時間吸着量が少ない場合
には、発熱反応の再活性化が緩慢になり、発熱温度は徐
々に上昇し、更に単位時間吸着量が少ない場合には、周
囲への放熱とのバランス関係によって発熱温度が一定に
保持されたり、降下したりする。
【0054】吸水剤に吸着される水分量に対して未反応
の金属粉の量が少ない場合には、発熱反応の再活性化は
未反応の鉄粉の量に依存する。
【0055】前記水溶性セルロースエーテルの場合、エ
ーテル化剤の種類、置換率、セルロース分子量などに依
存して単位時間吸着量が変化するので、これらエーテル
化剤の種類、置換率、セルロース分子量などを適宜選択
することにより任意の単位時間吸着量を有する吸水剤を
得ることができるのであり、従って、任意の再活性化を
実現することができるのである。
【0056】前記ポリ−N−ビニルアセトアミドにおい
ても、前記水溶性セルロースエーテルやCMCの場合と
同様に、温度の昇降に依存して吸水能力が敏感に且つ顕
著に可逆的変化をするのである。
【0057】前記ポリ−N−ビニルアセトアミドとして
は、N−ビニルアセトアミドをラジカル重合させて得ら
れるものであり、水に可溶性の直鎖構造のものと、水に
不溶性の架橋構造を有するものとがあり、この不溶性の
ポリ−N−ビニルアセトアミドには、その架橋密度の差
により、ゲル化剤として作用するミクロゲルが挙げられ
るのであり、具体的には、例えばN−ビニルアセトアミ
ド−アクリル酸ナトリウム共重合体(昭和電工株式会社
製 商品名GE−167)、N−ビニルアセトアミドホ
モポリマー(昭和電工株式会社製 商品名GE−19
1)又はN−ビニルアセトアミド架橋体(ミクロゲル)
(昭和電工株式会社製 商品名GX−205)などから
選ばれた1種又は2種以上の混合物が挙げられるのであ
り、更に、これらを界面活性剤で処理したり、これらに
と界面活性剤を組み合せて親水性を向上しても良いので
ある。
【0058】又、前記ポリ−N−ビニルアセトアミドの
場合においても、前記水溶性セルロースエーテルの場合
と同様に1種類以上を用いてもよく、更に、ポリ−N−
ビニルアセトアミドと水溶性セルロースエーテルの混合
物を用いてもよいのであり、加えて、これらと他の吸水
性ポリマーや保水剤を組み合わせても良く、これによっ
て、使用時の温度領域を任意に設定できる。
【0059】又、本発明において用いられる他の吸水性
ポリマーとしては以下のものが挙げられるが、この吸水
性ポリマーのうち、温度の昇降に依存して吸水能力が可
逆的に変化するものは吸水剤として単独で用いられる。
【0060】この吸水性ポリマーとしては有機質で保水
性を有する高分子材料であれば特に限定されるものでは
ないが、具体的には、例えば特公昭49−43395号
公報に開示されている澱粉−ポリアクリロニトリル共重
合体、特公昭51−39672号公報に開示されている
架橋ポリアルキレンオキシド、特公昭53−13495
号公報に開示されているビニルエステル−エチレン系不
飽和カルボン酸共重合体ケン化物、特公昭54−307
10号公報に開示されている逆相懸濁重合法によって得
られる自己架橋ポリアクリル酸塩、特開昭54−200
93号公報に開示されているポリビニルアルコール系重
合体と環状無水物との反応生成物、特開昭59−843
05号公報に開示されているポリアクリル酸塩架橋物、
ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルアルコール、ポリビ
ニルピロリドン、アラビアゴム、ヒドロキシエチルセル
ロース、メチルセルロース、アルギン酸ソーダ、ペクチ
ン、カルボキシビニルボリマー、アクリルスルホン酸系
高分子物質(例えば、日本触媒株式会社製、商品名:C
S−6HS)、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド等か
ら選ばれた1種又は2種以上の混合物等、前述の吸水性
ポリマー以外の吸水性の高分子材料が挙げられる。
【0061】この吸水性ポリマーとしては、市販のもの
を用いればよく、例えば三洋化成社製のサンウェットI
M−1000、サンウェットIM−300MS、サンウ
ェットIM−1000MPS、製鉄化学社製のアクアキ
ープ4S、アクアキープ4SH、住友化学社製のスミカ
ゲルNP−1020、スミカゲルNP−1040、スミ
カゲルSP−520、スミカゲルN−1040、クラレ
社製のKIゲル201−K、KIゲル201−F2、荒
川化学社製のアラソープ800、アラソープ800Fな
どがその例として挙げられる。
【0062】これら市販の吸水性ポリマーの中では、吸
水性が高く、加温しても粘着剤層のダレがなく、粘着剤
層の保形性が優れている、三洋化成社製のサンウェット
IM−300MS、サンウェットIM−1000MP
S、住友化学社製のスミカゲルNP−1020、スミカ
ゲルNP−1040、クラレ社製のKIゲル201−
K、KIゲル201−F2、荒川化学社製のアラソープ
800Fなどが特に好ましい。
【0063】前記保水剤としては、具体的には、例えば
パーライト、クリストバライト、バーミキュライト、シ
リカ系多孔質物質、ケイ酸カルシウム、シリカ粉又は木
粉等が挙げられる。
【0064】そして、本発明は、後述する発熱体や温熱
型の貼付剤、香料放散装置、殺虫剤放散装置又は殺菌剤
放散装置等、本発明の発熱体組成物を利用できる分野で
あれば特に限定されることなく適用可能である。
【0065】ところで、本発明を香料放散装置、殺虫剤
放散装置又は殺菌剤放散装置に適用する場合、香料が容
器、袋体或いはシート状の袋体に封入され、又は容器或
いは袋体の中に配合され、若しくは容器或いは袋体の外
に担持されていたり、殺虫剤又は殺菌剤が容器或いは袋
体に封入され、又は容器或いは袋体の中に配合され、若
しくは容器或いは袋体の外に担持されているものが、優
れた特性の香料放散装置、殺虫剤放散装置又は殺菌剤放
散装置が得られるので至極有益である。
【0066】即ち、本発明に係る発熱体組成物の発熱反
応制御方法においては、香料が容器或いは袋体に封入さ
れ、又は容器或いは袋体の中に配合され、若しくは容器
或いは袋体の外に担持させることができるのであり、こ
れにより、比較的低温においても発熱体組成物の発熱に
よって香料又はその担持体を加熱して十分に香料を放散
させることができるのであり、しかも、発熱体組成物の
発熱温度が所定値以上になると発熱体組成物の発熱反応
を鈍化させて、最高発熱温度を制限したり、所定の発熱
温度以上の発熱持続時間を制限したりして、香料が過剰
に放散されることを防止することができる。
【0067】ここで使用される香料とは、一般に香り
(匂い)を与える物質として用いられるものを言い、特
に環境用香料、誘引物質及び忌避物質が重視される。
【0068】この香料としては、天然香料、合成香料又
はこれらの中の2種以上を調合した混合香料が含まれ
る。又、天然香料の中には原料が植物界から得られる植
物性香料と動物界から得られる動物性香料とが含まれ
る。
【0069】植物性香料のうち、植物の各器官から得ら
れる揮発性の油は精油と呼ばれ、これが最も代表的な香
料である。
【0070】主な精油としては、アニス油、アビエス油
(針葉油)、アヨワン油、イランイラン油、イリス油
(オリス油)、オークモス、オコチャ油(ブラジリアン
サッサフラス油)オポパナックス油、オレンジ油、カシ
ア油、カナンガ油、キャラウェー油、クローブ油(丁子
油)、コリアンダー油、サッサフラス油、シトロネラ
油、ショウノウ油、シンナモン油、シンナモン葉油、ジ
ャスミン花精油、ジンジャグラス油、スペアミント油、
スターアニス油(大ウイキョウ油)、セダー油、ゼラニ
ウム油、チュベロース油(月下香油)、テレピン油、夏
ミカン油、ナツメグ油(ニクズク油)、ネロリ油、パチ
ュリー油、パルマローザ油、ヒバ油、ビャクダン油、フ
ェンネル油、プチグレン油、ベイ油、ベチパー油、ペッ
パー油(はっか油)、ペパーミント油、ベルガモット
油、芳ショウ葉油、ボアドロース油、ユーカリ油、ライ
ム油、ラベンダー油、リナエロ油、レモン油、レモング
ラス油ローズ油、ローズマリー油などが挙げられる。
【0071】動物性香料の主なものとしては、いわゆ
る、室内用芳香剤に使用されるじゃ(麝)香、霊びょう
(猫)香、竜ぜん(涎)香、海り(狸)香などの他、各
種昆虫または動物の性フェロモン、集合フェロモンなど
の誘引物質、各種昆虫または動物の警報フェロモンなど
の忌避物質をその例として挙げることができる。
【0072】なお、誘引物質としては、植物性香料であ
るアンゲリカ油、シトロネラ油、カラシ油などの精油や
クワ生葉、アカマツ樹皮、衰弱した樹木の心材、アカマ
ツ、ツガ、イネなどの植物をその例に加えることができ
る。
【0073】又、忌避物質としては、ローズゼラニウム
油、サンダルウッド油、ペッパー油(はっか油)などの
植物性香料をその例として挙げることができる。
【0074】合成香料の種類は非常に多く、しかも、そ
の数が次第に増えてきているが、室内用芳香剤に使用さ
れる代表的なものとしては、ゲラニオール、ネロール、
リナロール、それらのエステル、シトラールなどのテル
ペン系合成香料;ベンジルアルコール及びそのエステ
ル、フェネチルアルコール、ベンズアルデヒド、フェニ
ルアセトアルデヒド、シンナムアルデヒド、α−n−ペ
ンチルシンナムアルデヒド、α−n−ヘキルシンナムア
ルデヒド、シクラメンアルデヒド、リリアール(商品
名)、アニスアルデヒド(オーベピン)、ヘリオトロピ
ン(ピペロナール)、バニリン、サリチル酸メチル、サ
リチル酸イソベンチル、サリチル酸ベンジル、アントラ
ニル酸メチル、N−メチルアントラニル酸メチル、クマ
リン、ニトロベンゼン系ムスク、インダン系及びテトラ
リン系ムスク、ラズベリーケトンなどの芳香族系合成香
料;アルコール及びエステル、アルデヒド及びケトン、
アセタール及びケタール、ラクトン、大環状ケトン、大
環状ラクトン、シクロヘキサン系などの脂肪族系合成香
料の他、精油微量成分として、3−ヘキセノール(青葉
アルコール)、2,4−ノナジエナール(cis-キュウリ
アルデヒド,trans-薫葉アルデヒド)、2−ヘキセナー
ル(青葉アルデヒド)1−オクテン−3−オール(マツ
タケアルコール)などの脂肪族不飽和化合物;ラバンジ
ュロール、ラバンジュロールエステル類などのラベンダ
ー油特有成分;ローズオキシド、フラノイド型あるいは
ピラノイド型のリナロールオキシドなどのテルペン系オ
キシド類;cis-ジャスモン、ジャスモン酸メチル、イン
ドール、ジャスミンラクトン、ジヒドロジャスモン酸メ
チルなどのジャスミン花精油成分及び類似化合物;α−
ダマスコン、β−ダマスコン、β−ダマセノンなどのロ
ーズ油精油成分;α−イロン、β−イロン、γ−イロン
などのイリス油特有成分;α−サンタロール、β−サン
タロールなどのビャクダン(白檀)油特有成分;ヌート
カトンなどのグレープフルーツ油精油成分;メチルアト
ラレートなどのオークモス特有成分など、又、天然フレ
ーバー特有成分としてシクロテン、マルトール、ピラジ
ン類、アセチルピロール、フルフリルメルカプタン、2
−イソブチルチアゾールなどを例として挙げることがで
きる。
【0075】誘引物質として利用される合成香料(合成
誘引剤)としては、2−メチル−4−シクロヘキセンカ
ルボン酸tert- ブチル(Siglure) 、4(又は5)−クロ
ル−2−メチル−シクロヘキサンカルボン酸tert- ブチ
ル(Trimedlure)、メチルイソオイゲノール、ベトロール
酸、メチルオイゲノール、2−アリルオキシ−3−エト
キシベンズアルデヒド、4−(p−アセトキシフェニ
ル)−2−ブタノン(Cue-lure)、4−(p−ヒドロキシ
フェニル)−2−ブタノン(ラズベリーケトン)、アニ
シルアセトン、アンスラニル酸メチル、プロピオン酸フ
ェネチルと酪酸フェネチルとオイゲノールとゲラニオー
ルとの混合物、ゲラニオール、アネトール、ファルネソ
ール、ゲラニオールとアネトールとの混合物、アネトー
ルとオイゲノールとの混合物、α,β−ヨノン、γ−
(4−ペンテニル)−γ−ブチロラクトン、δ−ノニル
ラクトン、バニリン、マルトール、エチルマルトールな
どをその例として挙げることができる。
【0076】更に、忌避物質として利用される合成香料
(忌避剤)としては、シンナミックアルデヒド、γ−ノ
ニルラクトン、メントール、シトラール、シンナミック
アルコール、メチルオイゲノール、ゲラニオール、リナ
ロール、フェニルアセトアルデヒド、ベンズアルデヒ
ド、ギ酸ネリル、アネトールなどをその例として挙げる
ことができる。
【0077】本発明に係る発熱体組成物の発熱反応制御
方法において、香料を容器或いは袋体に封入する方法と
しては、香料を直接に発熱体組成物に配合したり、液
体、ゲルあるいは固体に担持させて発熱体組成物に配合
したり、発熱体組成物とは分離して容器或いは袋に直
接、あるいは液体、ゲルあるいは固体に担持させて封入
する方法とが挙げられる。
【0078】香料を液体に担持させたものは、液状タイ
プ芳香剤と呼ばれ、その液体の種類によって水ベースの
香料又は油ベースの香料と呼ばれる。液状タイプ芳香剤
には室温で揮散する香料が多用されるのであり、容器或
いは袋体の口の部分に挿入したフェルトや濾紙などの揮
散体に液を吸い上げ、揮散体と容器や袋体の口の開閉調
節とにより揮散速度を調節している。
【0079】香料をゲルに含ませたものは、ゲルタイプ
芳香剤と呼ばれ、大半は基材中の約80%以上を水が占
める水ゲルタイプのものであり、他にジベンジリデンソ
ルビトールを使用して油をゲル化させる油ゲルタイプの
芳香剤がある。
【0080】水ゲルタイプのものはパラ剤のような刺激
臭がなく、水がキャリアーとなって香料が一様、かつ、
同時に揮散し易くなるので、かなりデリケートな香りも
使用できる。
【0081】更に、他の吸水剤としては、カラギーナン
が最も一般的であるが、カラギーナン、ローカストビー
ンガム、塩化カリウム及びCMCの組合せ、銅カラギー
ナンとイオターカラギーナンとの組合せなどが基本的な
ものであり、香気の持続性とゲルの安定性を改良したも
のにカラギーナン、寒天、ローカストビーンガム、ポリ
ビニルアルコール、シドロキシブロピルセルロース、グ
アーガム、アラビアガムの組合せ、カラギーナンと界面
活性剤との組合せなどがある。又、油ゲルタイプの芳香
剤は高濃度に香料を含有させることができる。
【0082】ゲルタイプ芳香剤に望ましい香調として
は、ジャスミン、ローズ、モクセイ、ムゲット、ガーデ
ニア、スミレ、ラベンダー、ライラックなどの花香調と
果実・新鮮・柑橘系の調子を加味したもの、柑橘系でレ
モン中心のさわやかなもの、新鮮さを強調しない青草な
いしミント調の自然の清々しさを想起させるものなどが
考えられる。
【0083】香料を担持する固体としては、例えばセラ
ミックスなどの多孔質粉粒体、紙、織布、不織布など昇
華性のない物質を用いてもよいが、香料の放散性を高め
る上では、昇華性を有する物質(昇華性物質)を使用す
ることが推奨される。
【0084】この昇華性物質に香料を担持させたものは
昇華性芳香剤と呼ばれており、昇華性物質としてはパラ
ジクロルベンゼン(パラ剤)が多用されている。しか
し、このパラ剤には独特の刺激臭があり、この臭気をカ
バーするために多量の付香が必要になり、場合によって
は鼻に着くほど強力な香気が放散されるという問題があ
る。そこで、このような問題を解消し、快適性を高めら
れるようにするために、香料を担持する昇華性物質とし
て、無臭に近いアダマンタンや無臭のイソプロプルトリ
オキサンを用い、穏やかな香気を醸しだすことが推奨さ
れる。
【0085】本発明に係る発熱反応の制御方法におい
て、香料を容器中に配合する場合、容器を合成樹脂で形
成することができ、この場合には、例えばいわゆるプラ
スチックタイプ芳香剤と同様に、ガス透過性のよい熱可
塑性樹脂を選び、香料を可塑剤、安定剤、多孔質粉体に
ブレンドしてプラスチックに混合して、例えば射出成
型、ブロー成型など種々の成型方法によって任意の外観
形状に形成することができ、インテリア的装飾品に兼用
させることができる。
【0086】ただし、成型工程で熱がかかるため、低沸
点のすっきりした感じの香りの香料を配合することは困
難である。使用される熱可塑性樹脂としては、ポリエチ
レン、軟質塩化ビニルなどが選ばれることが多いが、香
料の持続性と安定性を改善するために塩素化ポリエチレ
ン、スチレン及びアクリルニトリルのコーポリマーが用
いられることがある。
【0087】香料を配合する容器としては、上記の合成
樹脂容器の他に固形パラフィンワックスを主剤とするも
のが考えられ、この場合、香料は主剤に溶解することに
より配合される。但し、パラフィンと親和性の悪いアル
コール系及び天然香料の一部分については固化を均一に
するために界面活性剤を使用することがある。この容器
も外観を種々に造形することができるので、インテリア
的装飾品として用いられることが多い。
【0088】香料を容器或いは袋体の外に担持させる方
法としては、容器或いは袋体の表面に香料を収着ないし
含浸させたり、容器或いは袋体の表面に香料を含むイン
キ、塗料などで塗装したり、容器或いは袋体の表面に香
料を含ませた紙を貼り付けたりするなど種々の方法が挙
げられるのであり、又、容器或いは袋体に封入した発熱
体組成物、即ち、発熱体と共に別の少なくとも一部分が
通気性を有する容器に収納したりすることも可能であ
る。
【0089】更に、本発明に係る発熱反応の制御方法に
おいては、殺虫剤又は殺菌剤を容器或いは袋体に封入
し、又は容器或いは袋体の中に配合し、若しくは容器或
いは袋体の外に担持させることができるのであり、これ
により、発熱体組成物を発熱させて殺虫剤又は殺菌剤も
しくはその担持体を加熱し、十分に殺虫剤又は殺菌剤を
放散させることができると共に、発熱体組成物の発熱温
度が所定値以上に上昇すると、発熱体組成物の発熱反応
を鈍化させて、最高発熱温度を制限したり、所定値以上
の高温の発熱持続時間を所定時間内に制限したりして、
過剰に殺虫剤又は殺菌剤が放散されることを防止でき
る。
【0090】本発明で用いられる殺虫剤としては、一般
に殺虫剤として使用されているものを使用すればよく、
特に、人畜に対する毒性が少なく、殺虫力が強く、特に
昆虫に対する即効性の優秀なものを用いることが好まし
い。
【0091】一般に、殺虫剤は、天然物系殺虫剤、有機
リン系殺虫剤、カルバメート系殺虫剤、有機塩素系殺虫
剤、殺ダニ剤、その他の殺虫剤に分類されており、天然
物系殺虫剤には、ピレトリン類、ロテノン類、アルカロ
イド及びネライストキシンが含まれる。
【0092】ピレトリン類としては、ピレトリン、ピレ
トリン、シネリン、シネリン、ジャスモリン、ジャスモ
リンの6成分を含んでいる天然ピレトリンの他に、アレ
スリン、フタルスリン、レスメトリン、フラメトリンな
どの合成ピレストロイドをその例として挙げることがで
き、ロテノン類としては、ロテノン、スマトロール、ト
キシカロール、マラコール、デグエリン、エリプトンな
どをその例として挙げることができる。又、アルカロイ
ドとしては、ニコチン、ノレニコチン、アナパシンなど
をその例として挙げることができる。
【0093】有機リン系殺虫剤は5価のリン原子を化合
物の中心に持っており、チオホスファート型、ジチオホ
スファートのトリエステル型、ホスホノチオアート型、
ホスホナートのジエステル型などがその主流を占めてい
るが、この他にホスホロジチオエート型も用いられる。
代表的な有機リン酸系殺虫剤としては、テップ、パラチ
オン、マラチオン、ダイアジノントリクロルフォン、フ
ェニトロチオン、ジメトエール、ジスルホトンなどの
他、アセフェート、クロルピリホス、サリチオン、ジク
ロルボス、ダイアジノン、トリクロルフォン、フェンチ
オン、フェントエート、メチダチオン、EPN、メチル
パラチオンなどを挙げることができる。
【0094】又、カルバメート系殺虫剤としては、MI
PC、MTMC、MPMC、カリバリール(NAC)、
BPMC、プロポキサー(PHC)などが代表的であ
り、有機塩素系殺虫剤としては、DDT、BHCなどが
有名であり、これらの他に、クロールデン、ヘプタクロ
ール、アルドリン、ディルドリン、エンドリンなどの塩
素環状ジエン系殺虫剤をその例として挙げることができ
る。
【0095】殺ダニ剤としては、2−s−ブチル−4、
6−ジニトロフェニル−3−メチルクロトネートなどの
ジニトロフェノール系のもの、クロロフェニル系のもの
の他に、2−(p−t−ブチルフェキシン)シクロヘキ
シルプロピニルサルファイト(BPPS)、〔2−(p
−t−ブチルフェノキシ)イソプロピルオキシ〕−1−
メチルエチル−2−クロロエチルサルファイト(PPP
S)などがその例として挙げられ、又、これらの他に水
酸化トリシクロヘキシルスズなどのスズ化合物用いられ
る。
【0096】その他の殺虫剤としては、ヒ酸鉛、ヒ酸石
灰、ヒ酸マンガンなどのヒ素剤、クロロピリン、臭化メ
チル、1,3−ジクロロプロパン(D−D)、二臭化エ
チレン(EDB)、ベーバム(N−メチルジチオカルバ
ミン酸ナトリウム)などの殺線虫剤などがある。
【0097】本発明に使用される殺菌剤としては、抗菌
性抗生物質、イネイモチ病に有効な抗生物質、その他の
抗カビ性抗生物質などの抗生物質;ボルドー、キノリン
銅、有機水銀剤、有機スズ剤、有機ヒ素化合物などの重
金属系殺菌剤;無機硫黄剤、ジオカルバメート系殺菌剤
等をその例として挙げることができる。
【0098】本発明において、殺虫剤又は殺菌剤を容器
或いは袋体に封入する方法としては、殺虫剤又は殺菌剤
そのものに揮発性ないし昇華性のある場合には、殺虫剤
又は殺菌剤を直接に発熱体組成物に配合したり、発熱体
組成物には配合はしないがこれと共に容器或いは袋体に
封入したりすることができる。又、殺虫剤又は殺菌剤そ
の物に揮発性がない場合には液状あるいはゲル状の揮発
性溶剤に含有させたり、揮発性物質に含有又は担持させ
たりした上で、発熱体組成物に配合したり、発熱体組成
物には配合はしないがこれと共に容器或いは袋体に封入
したりすることができる。
【0099】この液状あるいはゲル状の揮発性溶剤、揮
発性物質についての詳細な説明は、前記香料の液状ある
いはゲル状の揮発性溶剤、揮発性物質についての詳細な
説明と同様であるので、ここでは重複を避けるために省
略する。
【0100】本発明において、殺虫剤又は殺菌剤を容器
或いは袋体の中に配合する場合には、殺虫剤又は殺菌剤
は上述した香料と同様の方法で容器或いは袋体の中に配
合すればよい。即ち、ガス透過性のよい熱可塑性樹脂を
選び、香料を可塑剤、安定剤、多孔質粉体にブレンドし
てプラスチックに混合し、容器或いは袋体に成形した
り、主剤としての固形パラフィンワックスを主剤に香料
を溶解し、固化させたりすればよいのである。
【0101】本発明の発熱反応の制御方法において、殺
虫剤又は殺菌剤を容器或いは袋体の外に担持させる方法
としては、容器或いは袋体の表面に殺虫剤又は殺菌剤を
収着ないし含浸させたり、容器或いは袋体の表面を殺虫
剤又は殺菌剤を含むインキや塗料などで塗装したり、容
器或いは袋体の表面に殺虫剤又は殺菌剤を含ませた紙を
貼り付けたりするなど種々の方法が挙げられるのであ
り、又、容器或いは袋体に封入した発熱体組成物、即
ち、発熱体と共に少なくとも一部が通気性を有する別の
容器或いは袋体に収納したりすることも可能である。
【0102】次に、本発明に係る発熱体組成物は、前記
目的を達成するために、金属粉、金属の塩化物、水及び
発熱反応にる温度の昇降に依存して吸水能力が可逆的に
変化する吸水剤を必須成分とする発熱体組成物からな
り、この発熱体組成物中の遊離水分量によって、所定の
発熱温度以上になると発熱反応を鈍化させ、逆に所定の
発熱温度以下になると発熱反応を活性化させることを特
徴とするものである。
【0103】以下、本発明に係る発熱体組成物について
更に詳細に説明する。本発明に係る発熱体組成物として
は、水を必須成分とし、且つ空気との接触により発熱す
る発熱体組成物であって、且つこの発熱体組成物中には
温度の昇降に依存して吸水能力が可逆的に変化する吸水
剤が配合されているものであれば特に限定されるもので
はない。
【0104】即ち、本発明に係る発熱体組成物は、その
中に温度の昇降に依存して吸水能力が可逆的に変化する
吸水剤が配合されてなり、この発熱体組成物中の遊離水
分量によって、所定の発熱温度以上になると発熱反応を
鈍化させ、逆に所定の発熱温度以下になると発熱反応を
活性化させる点、に最も大きな特徴を有するものであ
る。
【0105】具体的には、例えば鉄粉等の金属粉、金属
の塩化物、水及び温度の昇降に依存して吸水能力が可逆
的に変化する吸水剤を必須成分とするものであり、更
に、必要に応じて、発熱反応を促進する活性炭やカーボ
ンブラック(以下、炭素成分と略称する。)等の発熱反
応助剤、トリポリリン酸ナトリウム等のpH調整剤、保
水剤或いは界面活性剤等から選ばれた少なくとも1種が
適宜量配合されても良いのである。
【0106】本発明で用いられる吸水剤としては温度の
昇降に依存して吸水能力が可逆的に変化する吸水性ポリ
マーであれば特に限定されるものではないが、具体的に
は、例えば本発明に係る発熱体組成物の発熱反応制御方
法で説明した吸水性ポリマーが挙げられるのであり、こ
こでは重複説明を避けるために省略する。
【0107】この吸水性ポリマーのうち特に温度の昇降
に依存して吸水能力が迅速に且つ顕著に可逆的に変化す
る吸水性ポリマーが望ましく、この吸水性ポリマーとし
ては、具体的には、例えば水溶性セルロースエーテルや
CMC更にポリ−N−ビニルアセトアミド等が挙げられ
る。
【0108】又、本発明においては、保水剤を用いても
良いが、この保水剤としては、具体的には、例えば本発
明に係る発熱体組成物の発熱反応制御方法で説明したも
のが挙げられるのであり、ここでは重複説明を避けるた
めに省略する。
【0109】本発明に係る発熱体組成物の具体的な配合
例としては、用途によって要求される温度が異なるので
一概にいえるものではないが、後述する通気性袋体の透
湿度や発熱体組成物の配合割合を変えることによって、
種々の所要温度が得られるものが望ましく、具体的は、
例えば鉄粉100重量部に対し、金属の塩化物1〜15
重量部、水15〜100重量部及び発熱反応による温度
の昇降に依存して吸水能力が可逆的に変化する吸水剤
0.05〜15重量部とすることが好ましい。
【0110】又、必要に応じて添加される他の成分とし
ては、鉄粉100重量部に対し、炭素成分等の発熱反応
助剤1〜20重量部、トリポリリン酸ナトリウム等のp
H調整剤0.1〜5重量部、保水剤1〜10重量部或い
は界面活性剤0.5〜5重量部から選ばれた少なくとも
1種が挙げられる。
【0111】金属の塩化物とは、ナトリウムやカリウム
等のアルカリ金属の塩化物、或いはカルシウムやマグネ
シウム等のアルカリ土金属の塩化物、更に遷移金属の塩
化物等が挙げられる。
【0112】前記吸水剤としては、温度の昇降に依存し
て吸水能力が可逆的に変化するものであれば、特に限定
されるものではないが、この吸水剤としては、具体的に
は、例えば本発明に係る発熱体組成物の発熱反応制御方
法で説明したものが挙げられるのであり、ここでは重複
説明を避けるために省略する。
【0113】本発明に係る発熱体は、前記目的を達成す
るために、上述の本発明に係る発熱体組成物を、少なく
とも片面が通気性を有する偏平な袋体に封入したことを
特徴とするものである。
【0114】以下、本発明に係る発熱体について更に詳
細に説明する。本発明で用いられる袋体は、本発明に係
る発熱体組成物を封入でき、且つ少なくとも片面が通気
性を有する偏平なものであれば特に限定されるものでは
ない。
【0115】そして、この袋体は、特に、人体などの生
体に適用する場合、生体の複雑な曲面に所要の広さにわ
たって接触でき、しかも、発熱体組成物から生体の表面
までの伝熱経路長をできるだけ短くするために、偏平な
袋体状に形成される。
【0116】又、この袋体は生体の動きや複雑な曲面に
できるだけ追従するために、柔軟な素材、例えば合成樹
脂製フィルム、織布又は不織布(紙類も含む。)等で偏
平な袋体状に形成されているものが望ましい。
【0117】即ち、本発明に係る発熱体は、少なくとも
片面が通気性を有するフィルムからなる偏平な袋体に、
発熱体組成物を投入あるいは挟入してから開放部をシー
ルすることにより密封したものであればよい。シールの
形式としては、側面シール形、2方シール形、三方シー
ル形、封筒形、中央合掌シール形などを採用すればよ
い。又、袋体のシール方法としてはヒートシールが多用
されるが、表裏両面のフィルムあるいはシートが互いに
ヒートシールできない素材で作られる場合には両面の樹
脂フィルムの間にホットメルト系接着剤などの接着剤、
或いは、ホットメルト系の接着フィルムを介在させて接
着、又は粘着剤による粘着等をさせることができる。
【0118】偏平な袋体の少なくとも片面に通気性を与
える方法としては、気密状の袋体に例えばパンチングな
どによって多数の微細孔を形成することが挙げられる
が、袋体の製造工程を簡単にするため、袋体の片面又は
両面に、延伸等によって得られた合成樹脂製の通気性フ
ィルム、織布、不織布(紙類も含む。、以下、同じ。)或
いはこれらの中の2種類以上の積層フィルムを用いるこ
とが好ましい(以下、通気性フィルムと略称する。)。
【0119】ここで使用される通気性フィルムの素材は
特に限定されるものではなく、従来から発熱体組成物を
封入する袋体の素材として使用されている公知のものを
用いればよく、例えば紙類、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポ
リ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ポリスチレン、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、天然ゴム、再生ゴム、合成ゴムなどが挙
げられる。
【0120】人体に適用する発熱体の場合、前記通気性
フィルムはその通気性が発熱体の発熱温度及び発熱時間
の制御に影響を与えており、従来は、特に発熱体の温度
制御を厳格に制御して、効果的な温熱効果を得ると同時
に低温火傷を防止して安全性を確保するために、透湿度
でフィルムの通気性を管理することが好ましい。
【0121】しかしながら、本発明においては、温度が
所定値以上になると、発熱反応を鈍化させて温度を下げ
ることができるので、この透湿度を厳格に設定する必要
が無く、具体的には、用途にもよるが、例えば透湿量が
ASTM法(E−96−80D法)で50〜5000g
/m2・24hr、好ましくは50〜2500g/m2
24hrの通気性フィルムを用いることができるのであ
り、空気中の酸素と発熱体組成物との反応による発熱
と、水分の蒸散による吸熱及び周囲への放熱とがバラン
スして良好な温度の発熱を得ることができる。
【0122】このように本発明においては、吸水剤が、
吸着水分の放出或いは金属粉周辺から遊離水分を吸着す
ることによって、発熱温度を制御するので、透湿度
(量)を厳格にコントロールする必要が無く、つまり通
気性フィルムとして、透湿度(量)の幅広いものが使用
可能なので、通気性フィルムのコストを廉価にできるの
である。
【0123】即ち、発熱体を製造するにあたり、この発
熱体を人体に適用する場合、本発明のように温度制御が
なされていないと、通気性フィルムの透湿量がASTM
法(E−96−80D法)で特定され、そのバラツキ幅
が基準値(プラスマイナス)5〜10%、最大でも基準
値(プラスマイナス)20〜35%程度と極めて厳格に
制御しなければならない。
【0124】このように通気性フィルムの透湿量を厳格
なものとすると、通気性フィルムの製造規格が厳格とな
って歩留りが悪くなる結果、製造コストが高くなるので
あり、又、製造規格を厳格にしても、常に、通気性フィ
ルムの透湿度が前記範囲に制御されたものが用いられて
いるとは限らず、中には、袋体として、透湿度が前記範
囲以外の通気性フィルムで形成されたものが混入した
り、或いは発熱体組成物の組成がばらついたり、更に、
外気の温度や湿度等の環境が異なることもある。
【0125】その結果、最高発熱温度にばらつきが生
じ、用途に応じて設定された所定の温度を超えることが
ある。
【0126】具体的には、例えば人体に適用する場合、
低温火傷が発生し、水泡や紅斑等が生じる虞れがある
が、本発明に係る発熱体においては、本発明に係る発熱
体組成物を用いて製造されており、この発熱体組成物に
は、温度の昇降に依存して吸水能力が可逆的に変化する
吸水剤を配合し、この吸水剤は、高温時に、吸着水分を
放出し、この遊離水分がバリヤー層として機能する結
果、金属粉と空気との接触を抑制することにより発熱反
応を鈍化させるものであるから、袋体として、透湿度が
前記範囲以外の通気性フィルムで形成されたものが混入
しても安全性が著しく高くなるうえ、過度の発熱を抑制
して発熱時間の長期化を図ることができるのである。
【0127】通気性フィルムの透湿量が、50g/m2
・24hr未満では発熱量が少なくなり、十分な温熱効
果が得られないので好ましくなく、一方、5000g/
2・24hrを超えると発熱温度が70℃を上回るこ
とがあり、又、70℃を超えたとき、発熱反応を鈍化さ
せて発熱温度を下げ、この温度低下により水分を吸収す
ると再度温度が上昇し、再び70℃を超える恐れがあ
り、繰り返し70℃を超えると、下着に貼り付けても低
温火傷が発生する危険があるので好ましくない。
【0128】従って、特に、通気性フィルムの透湿量が
50〜2500g/m2・24hrの範囲のものが望ま
しく、通気性フィルムの透湿量が、50g/m2・24
hr未満では発熱量が少なくなり、充分な温熱効果が得
られないので好ましくなく、一方、2500g/m2
24hrを超えると発熱温度が45℃を上回ることがあ
り、又、45℃を超えたとき、発熱反応を鈍化させて発
熱温度を下げ、この温度低下により水分を吸収すると再
度温度が上昇し、再び45℃を超える恐れがあり、繰り
返し45℃を超えると、直接外皮に貼付した場合には、
低温火傷が発生する危険があるので好ましくない。
【0129】ここで、ASTM法(E−96−80D
法)とは、カップ内径6.18cm、高さ1.5cmの
容器内に純水20mlを入れ、該容器の上面を通気性フ
ィルムで閉蓋してロウで固定した後、これを恒温(3
2.2℃)、恒湿(50%)の中に24時間放置してか
ら、容器内の水の減少量を測定し、この水の減少量、す
なわち、蒸散により放出された水の量を(g/m2・2
4hr)に換算して表示する方法である。
【0130】前記発熱体の袋体の片面のみを通気性フィ
ルムで構成する場合、他面には非通気性を有するフィル
ムやシートが用いられる。その素材としては、例えばポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステ
ル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタ
ン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン
化物、エチレン−酢酸ビニル共重合体、天然ゴム、再生
ゴム、合成ゴムなどが挙げられる。
【0131】又、この袋体の強度を増大させるために、
更に、織布又は不織布からなる通気性フィルムを用いる
ことができるのであり、この場合、この織布又は不織布
からなる通気性フィルムで袋体の少なくとも一面を構成
しても良く、又、他の通気性フィルムにこの織布又は不
織布からなる通気性フィルムを積層してもよい。
【0132】但し、この織布又は不織布からなる通気性
フィルムを用いた面が袋体の通気面となる場合には、温
熱効果ないし温刺激効果と安全性とを両立させるため
に、この通気面の透湿量はASTM法(E−96−80
D法)で50〜2500g/m2・24hrの範囲内に
するのが好ましい。
【0133】なお、この織布又は不織布からなる通気性
フィルムを構成する繊維としては、ナイロン、ビニロ
ン、ポリエステル、レーヨン、アセテート、アクリル、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどの
人工繊維、パルプ、綿、麻、絹、獣毛などの天然繊維か
ら選択された1種又は2種以上を混合したものが用いら
れる。
【0134】又、本発明の発熱体においては、袋内に遠
赤外線を放射するセラミックス(遠赤外線放射体)を封
入したり、袋の片面に遠赤外線放射体を配合したりする
という手法で袋に遠赤外線放射体を担持させて遠赤外線
による一層優れた温熱効果を発現させるのが望ましい。
【0135】本発明に係る貼付剤は、前記目的を達成す
るために、本発明の発熱体と、この発熱体における袋体
の片面に積層された粘着層からなることを特徴とするも
のである。
【0136】以下、本発明に係る貼付剤について更に詳
細に説明する。本発明で用いられる粘着層としては、人
体の外皮に直接貼着したり、下着や靴下などに貼着し
て、本発明の貼付剤を当該貼着箇所に保持できるもので
あれば特に限定されるものではない。
【0137】前記粘着層としては、粘着剤で形成された
層、或いは水分の有無に関係なく温熱湿布効果を発現す
る湿布剤で形成された層が挙げられる。
【0138】前記粘着剤としては粘着性を有する高分子
材料であれば特に限定されるものではなく、一般に貼付
剤の粘着剤として従来より多用されている各種のゴム系
粘着剤や各種のアクリル系粘着剤等を用いることができ
るのであり、更に、ホットメルト系粘着剤を用いること
ができる。
【0139】又、この粘着剤としては、2種以上の粘着
剤を混合して形成したものを用いても良いのである。
【0140】前記ホットメルト系粘着剤とは、ホットメ
ルト系高分子物質を含有する粘着剤のことであり、この
ホットメルト系高分子物質としては、A−B−A型ブロ
ック共重合体、飽和ポリエステル系高分子物質、アクリ
ル系高分子物質、ウレタン系高分子物質、ポリアミド系
高分子物質、ポリアミド系高分子物質、ポリオレフィン
系高分子物質、ポリオレフィン系共重合体、あるいは、
これらの変性体、もしくはこれらの中の2種類以上のも
のを混合したものがその例として挙げられる。
【0141】ここで、変性体とは、ホットメルト型高分
子の性質、例えば粘着性や安定性などを改善するため
に、ホットメルト型高分子物質の一部を他の成分に置き
換えたものをいう。
【0142】また、A−B−A型ブロック共重合体にお
いて、Aブロックはスチレン、メチルスチレン等のモノ
ビニル置換芳香族化合物で、非弾性重合ブロックであ
り、Bブロックはブタジエン、イソプレンなどの共役ジ
エンの弾性重合体ブロックであり、具体的には、例えば
スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、ス
チレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体等が挙
げられるのであり、又、これらを混合して用いてもよい
のである。
【0143】なお、A−B−A型ブロック共重合体の市
販品としてはシェル化学製のカリフレックスTR−11
01、カリフレックスTR−1107、カリフレックス
TR−1111など、フィリップペトロリアム製のソル
プレン418などがその例に挙げられる。
【0144】本発明において使用されるホットメルト系
粘着剤は、ホットメルト型高分子物質を含有するもので
あれば良い。
【0145】特に、前記粘着剤の特性として重要な粘着
力は、ホットメルト系高分子物質と例えば脂環族系石油
樹脂などの粘着性賦与剤とを配合することにより、容易
にコントロールできる。
【0146】この脂環族系石油樹脂は、環状骨格を持っ
た石油系樹脂であり、具体的には、ロジン、脱水素ロジ
ン、脱水素ロジンのグリセリンエステル類、ガムロジン
のグリセリンエステル類、水添ロジン、水添ロジンのメ
チルエステル類、水添ロジンのグリセリンエステル類、
水添ロジンのペンタエリトリットロジン類、重合ロジ
ン、重合ロジンのグリセリンエステル類、クマロンイン
デン樹脂、水添石油樹脂、無水マレイン酸変性ロジン、
ロジン誘導体、C5系石油樹脂等がその例として挙げら
れ、これらは単味で使用されたり、これらの中の2種以
上を組み合わせて使用されたりする。
【0147】なお、この脂環族系石油樹脂の市販品の例
としては、荒川化学製のアルコンP−100、アルコン
P−125など、日本ゼオン製のクイントン、エクソン
製のエスコレッツ3000などが挙げられる。
【0148】この粘着賦与剤を用いる場合には、更に軟
化剤を添加してホットメルト系高分子物質を溶解ないし
分散させて軟化し、適度の保形性、柔軟性及び粘着力を
発現させることが好ましい。
【0149】この軟化剤としては、例えばヤシ脂、ひま
し油、オリーブ油、ツバキ油、アーモンド油、パーシッ
ク油、落花生油、ゴマ油、大分油、ミンク油、綿実油、
トウモロコシ油、サフラワー油、オレイン酸、流動パラ
フィンなどが挙げられる。
【0150】具体的なホットメルト系粘着剤としては、
皮膚への密着性、粘着性、使用感、皮膚からの剥離性な
どを考慮することが好ましく、この観点から、ホットメ
ルト型高分子物質5〜40重量部、脂環族系石油樹脂5
〜55重量部、軟化剤5〜55重量部からなるものが推
奨され、特に、ホットメルト型高分子物質10〜30重
量部、脂環族系石油樹脂10〜50重量部、軟化剤10
〜45重量部からなるものが推奨される。
【0151】前記湿布剤としては水分の有無に関係なく
温熱湿布効果を発現するものであれば特に限定されるも
のではなく、具体的には、例えば公知のものが挙げられ
る。
【0152】本発明において、粘着層は袋体の片面の全
面にわたって形成したり、筋状、格子状、点状等、部分
的に形成しても良いのである。
【0153】又、粘着層としては架橋されている必要が
ないが、熱安定性、加温時の粘着力維持及び加温時の保
形性を高め、又、加温時のダレやべた付きを防止し、更
に、剥離時の糊残りを減少させて使用感を高めたり、加
えて、薬物の保持性を高めるという観点から、架橋され
ていることが好ましい。
【0154】粘着剤を架橋する方法は、特に限定され
ず、化学的架橋剤を添加して化学的に架橋させることも
できるが、例えば紫外線照射、電子線照射によって物理
的架橋する方法もある。
【0155】この紫外線や電子線の照射による物理的架
橋は、袋体に粘着層を担持させた後に行ってもよく、予
め担持体に形成された所定形状の粘着層を架橋し、これ
を袋体に、例えば転写などにより、担持させてもよい。
【0156】この物理的架橋は、具体的には例えば特公
昭62−39184号公報に記載された方法に準じて行
えばよく、紫外線の場合には通常、波長200〜680
nmの紫外線を5〜30分間照射すればよく、電子線の
場合には、通常1〜20Mrad で、0.01〜5秒間照
射すればよい。
【0157】本発明においては、前記粘着剤に、所望に
より、他の成分、例えば他の粘着剤、粘着賦与剤、老化
防止剤、充填剤、粘着調整剤、粘着改良剤、着色剤、消
泡剤、増加粘剤、防黴剤、抗菌剤、殺菌剤、消臭剤、脱
臭剤などを配合しても良いのである。
【0158】本発明で用いられる粘着層の厚さとして
は、本発明の貼付剤を当該貼着箇所に保持できる粘着力
が発現できるものであれば特に限定されるものではない
が、一般に、5〜3000μmの範囲、特に10〜10
00μmの範囲とするのが望ましく、粘着層の厚さが、
5μm未満では所要の粘着力が得られない場合があり、
一方、3000μmを超えると意味が無いだけでなく、
厚さが厚くなり過ぎて使用感が悪くなり、いずれの場合
も好ましくない。
【0159】又、本発明の貼付剤においては、粘着層若
しくは袋体と粘着層との間に経皮吸収性薬剤を担持させ
て、全身或いは局所の疾患治癒効果を発現させるのが望
ましい。
【0160】即ち、本発明に係る貼付剤は、全身的或い
は局所的な疾患治癒効果を期待して皮膚を通して薬剤を
持続的に生体内に供給する治療剤として利用する場合に
は、粘着層に経皮吸収性の薬剤を配合するという手法で
当該粘着層に経皮吸収性薬剤を袋体に担持させたり、袋
体と粘着層との間に薬剤貯蔵層を設けるという手法で袋
体と粘着層との間に経皮吸収性薬剤を担持させたりすれ
ばよい。
【0161】袋体と粘着層との間に薬剤貯蔵層を設ける
場合には放出制御膜を設けたり、薬剤貯蔵層中の拡散に
より薬効成分の放出が制御されるのであり、又、粘着層
に経皮吸収性の薬剤が配合される場合には、粘着層中の
薬剤の拡散により薬効成分の放出が制御される。
【0162】経皮吸収性薬剤は、経皮吸収性の薬剤であ
れば特に限定されるものではなく、具体的には、例えば
皮膚刺激剤、沈痛消炎剤、中枢神経作用剤(睡眠鎮静
剤、精神神経用剤など)、利尿剤、血圧降下剤、冠欠陥
拡張剤、抗ヒスタミン剤、不整脈用剤、強心剤、副腎皮
質ホルモン剤、局所麻酔剤などが挙げられるのであり、
これらの薬剤の1種又は2種以上を配合して用いられ
る。
【0163】この薬剤の使用量は薬効を期待できる範囲
であれば特に限定されるものではなく、薬理効果や経済
性を考慮して決定すればよく、更に、粘着層に配合する
場合にはこれらに加えて粘着力を考慮して粘着剤との配
合比が決定される。
【0164】具体的には、粘着剤(固形分)100重量
部に対し経皮吸収性薬剤0.01〜25重量部とすれば
よく、特に粘着剤100重量部に対し経皮吸収性薬剤
0.5〜15重量部とすることが好ましい。
【0165】経皮吸収性薬剤の配合割合が、0.01重
量部未満では薬効が乏しく好ましくないのであり、一
方、25重量部を超えると意味がないだけでなく、不経
済で有るから望ましくない。
【0166】又、本発明の貼付剤においては、発熱体組
成物、袋体又は粘着層の中うちの少なくとも1箇所及び
/又は袋体と粘着層との間に遠赤外線放射体を含有又は
担持させて、遠赤外線による一層優れた温熱効果を発現
できるのである。
【0167】具体的には、例えば袋体内に遠赤外線を放
射するセラミックス(遠赤外線放射体)を封入したり、
袋体の片面に、遠赤外線放射体を配合した塗料を塗工、
乾燥させたりするという手法で袋体に遠赤外線放射体を
担持させたり、袋体の片面とこの片面に形成される粘着
層との間に遠赤外線を放射するセラミックスを挟むこと
により袋体と粘着層との間に遠赤外線放射体を担持させ
たり、袋体の片面に形成される粘着層に遠赤外線を放射
するセラミックスを混入するという手法で粘着層に遠赤
外線放射体を担持させたりすることができる。
【0168】また、前記発熱体組成物と共に、あるいは
これに代えて遠赤外線を放射するセラミックスを用いる
ことができるのであり、このセラミックスは発熱体組成
物と共に袋体に封入したり、前記発熱体組成物と同様に
して担持体に担持させたりすることができるのであり、
更にこのセラミックスは粘着層に担持させることもでき
る。
【0169】この場合には、温熱効果により血行促進作
用を高めることができる結果、特に経皮吸収性薬剤を併
用すると、薬剤の経皮吸収性を高めて、全身治療効果や
局所治療効果を高めることができる。
【0170】更に、本発明の貼付剤においては、発熱体
組成物、袋体又は粘着層の中うちの少なくとも1箇所及
び/又は袋体と粘着層との間に磁性体を含有又は担持さ
せて、磁性体の磁性による磁気治療効果を得ることがで
きる。
【0171】本発明の香料放散装置は、上記の目的を達
成するために、上記本発明の発熱体組成物と、これを収
容する少なくとも一部分が通気性を有する容器或いは袋
体と、この容器或いは袋体の中に収容され、又は容器或
いは袋体に配合され、もしくは容器或いは袋体の外に担
持させた香料とからなるものである。
【0172】ここで用いられる、発熱体組成物、容器及
び香料は、本発明方法で用いる発熱体組成物、容器及び
香料と同様であるので、その詳細な説明は、重複説明を
避けるために省略する。
【0173】本発明の殺虫剤放散装置は、上記の目的を
達成するために、本発明の発熱体組成物と、これを収容
する少なくとも一部分が通気性を有する容器或いは袋体
と、該容器或いは袋体の中に収容され、又は容器或いは
袋体に配合され、もしくは容器或いは袋体の外に担持さ
せた殺虫剤とからなる。
【0174】ここで用いられる、発熱体組成物、容器及
び殺虫剤は、本発明方法で用いる発熱体組成物、容器及
び殺虫剤と同様であるので、その詳細な説明は、重複説
明を避けるために省略する。
【0175】本発明の殺菌剤放散装置は、上記の目的を
達成するために、本発明の発熱体組成物と、これを収容
する少なくとも一部分が通気性を有する容器或いは袋体
と、該容器或いは袋体の中に収容され、又は容器或いは
袋体に配合され、もしくは容器或いは袋体の外に担持さ
せた殺菌剤とからなる。
【0176】ここで用いられる、発熱体組成物、容器及
び殺菌剤は、本発明方法で用いる発熱体組成物、容器及
び殺菌剤と同様であるので、その詳細な説明は、重複説
明を避けるために省略する。
【0177】本発明の殺虫剤放散装置においては、誘引
物質が前記容器或いは袋体の中に収容され、又は容器或
いは袋体に配合され、もしくは容器或いは袋体の外に担
持させたものが含まれ、この場合には、駆除すべき昆虫
を放散されている殺虫剤中に誘引物質で誘引することが
できるので、駆除効果を高めることができる。
【0178】ところで、香料放散装置、殺虫剤放散装置
及び殺菌剤放散装置において、これを長時間にわたって
使用可能にする場合、容器や袋体を、例えば合成樹脂で
パイプ状に形成し、これを更に、缶等の容器内に螺旋状
に収納し、先端から徐々に空気が流入して徐々に発熱反
応が進行するようにしても良いのである。
【0179】
【作 用】本発明に係る発熱体組成物の温度制御方法
は、少なくとも一部が通気性を有する容器、袋体或いは
シート状の袋体に封入される発熱体組成物に、温度の昇
降に依存して吸水能力が可逆的に変化する吸水剤を配合
し、所定の温度を超えた高温時に、この吸水剤から吸着
水分を放出させ、この放出された水分が金属粉周辺に吸
着されてバリヤー層が形成される結果、金属粉と空気と
の接触が抑制されて発熱反応を鈍化させるのであるか
ら、通気度や透湿度更に発熱体組成物にばらつきがあっ
たり、外気が高温の時でも、発熱温度を所定の温度、例
えば人体に適用するものである場合、安全温度に制限し
たり、安全温度を超える時間を安全時間内に短縮したり
することができる作用を有する。
【0180】つまり、使い捨てカイロ等の発熱原理は、
金属粉が酸化される時の発熱を利用するものであり、こ
の酸化反応、つまり発熱反応は、特に水分量が、その速
度に大きく影響する。
【0181】即ち、この酸化反応を促進するためには、
水分が多すぎても少なすぎても反応は著しく遅く、適度
な湿り気が有ることが重要である。この状態が必要な水
分と、空気(酸素)の供給のバランスがとれ酸化反応、
つまり発熱反応の速度が最大になるといわれている。
【0182】水分が少過ぎると、空気は十分であるが反
応に必要な水分が不足し、一方、水分が多過ぎると、こ
の水分がバリヤー層となって空気の供給量が減少するた
め反応は遅くなる。
【0183】そこで、本発明は、発熱体組成物に用いら
れる吸水剤として、所定の温度を超えると、吸着水分を
放出して遊離水分量を増大するものを用いるものであ
り、この遊離水分がバリヤー層となるので、空気の供給
量が減少して発熱温度が低下し、一方、この吸水剤は、
発熱温度の低下に伴い、逆に遊離水分を吸着してバリヤ
ー層を喪失させて空気の供給を良好にし、この結果、発
熱温度が、所定値を維持するか或いは所定の最高温度と
最低温度の間を昇降する作用を有するのである。
【0184】又、本発明に係る発熱体組成物の温度制御
方法において、所定の温度を超えた高温になると、吸水
剤からの吸着水分の放出に基づき発熱反応が鈍化して発
熱温度が降下し、一方、この発熱温度の降下に伴い吸水
剤が周囲の水分を吸着して発熱反応を再び活性化させる
場合には、発熱反応が鈍化によって発熱温度の上昇が頭
打ちになり、この後、所定の温度まで降下した時に発熱
反応の再活性化より、発熱温度をその所定の温度から緩
慢に低下させたり、その所定の温度に維持したり、その
所定の温度から再び上昇させたりすることができる作用
を有する。
【0185】そして、発熱温度をその所定の温度から再
び上昇させる場合には、吸水剤からの水分の放出による
温度制限と、吸水剤の遊離水分の吸着による温度上昇と
を繰り返すこともできるのである。
【0186】更に、本発明に係る発熱体組成物の温度制
御方法においては、発熱体組成物に、更に高吸水性ポリ
マーからなる保水剤を配合し、保水剤に吸収させた水分
を徐々に分離させる場合には、長期間にわたって発熱体
組成物の最低発熱温度を一定以上に保持させることがで
きると共に、発熱反応の鈍化による降温と、発熱反応の
再活性化による昇温とを複数回繰り返すことができる作
用が得られる。
【0187】この吸水剤による温度制御方法は、吸水剤
が温度に依存して吸水能力が変化する性質を利用してい
るので、気温や通気度更に透湿度や発熱体組成物のばら
つきに関係なく制御される作用を有するのである。
【0188】本発明の温度制御方法においては、前記発
熱体組成物に、更に高吸水性ポリマーからなる保水剤を
配合し、この保水剤に吸収させた水分を徐々に遊離させ
る場合には、この保水剤から遊離された水分によって長
時間にわたって発熱体組成物の発熱反応の反応速度が所
定のレベル以上に維持されるので、吸水剤によってもた
らされる温度の昇降の繰り返し回数を増加させることが
できると共に、温度降下から温度上昇に切り替わる切替
え温度を高めることができる作用を有する。
【0189】本発明の発熱体組成物の温度制御方法にお
いては、吸水剤が水溶性セルロースエーテルからなる場
合には、エーテル化剤の種類、置換率、セルロース分子
量、発熱体組成物中の配合比ないし濃度、他の添加物の
添加量ないし濃度、発熱体組成物の使用量などを適宜選
定することにより、最高発熱温度、最低発熱温度、昇温
速度、降温速度、温度昇降周期、発熱温度差などの温度
特性を任意に、かつ、容易に設定することができる作用
を有する。
【0190】その結果、発熱体組成物の発熱反応によっ
て得られた温熱を利用する分野、例えば人体への温熱治
療剤や貼付剤等に好適に利用できる作用を有するのであ
る。
【0191】本発明に係る発熱体組成物は、金属粉、特
に鉄粉、金属の塩化物、水分及び温度の昇降に依存して
吸水能力が可逆的に変化する吸水剤とを配合しているの
で、気温や通気度更に透湿度や発熱体組成物のばらつき
とは関係なく、発熱反応が所定の温度以上になると吸水
剤から吸着水分が放出されて、発熱反応が確実に鈍化さ
れる。従って、前記本発明の発熱体組成物の温度制御方
法を、実施できる結果、発熱温度を所定温度、例えば人
体に適用する分野に用いる場合、安全温度に制限した
り、安全温度を上回る時間を安全時間内に制限したりす
ることができる作用を有する。
【0192】又、本発明の発熱体組成物においては、吸
水剤からの吸着水分の放出に基づく発熱反応の鈍化によ
る発熱温度の降下に伴い前記吸水剤が金属粉周囲の遊離
水分を吸着して発熱反応を再び活性化させることができ
るのであり、発熱温度が所定の温度を超えた後、発熱反
応を鈍化させて発熱温度の低下を図ったり、発熱温度が
所定の温度を超え、この温度を降下させてから安全な一
定の温度に維持したり、発熱温度を再び上昇させたりす
ることができるのであり、特に発熱温度を前記所定の温
度まで再上昇させる場合には、所定の温度範囲内で昇温
と降温とを繰り返すことができる。
【0193】更に、本発明の発熱体組成物において、更
に、高吸水性ポリマーからなる保水剤を配合し、保水剤
に吸収させた水分を徐々に遊離させる場合には、長時間
にわたって一定レベル以上の発熱反応を長時間にわたっ
て持続させることができる上、所定の温度範囲内で昇温
と降温との繰り返し回数を増大させることができると共
に、降温から昇温に切替わる温度を高めることができる
作用を有する。
【0194】本発明の発熱体組成物において、発熱温度
を安定させる発熱助剤を配合する場合には、発熱反応を
安定良く行わさせて、発熱温度の変化を円滑にすること
ができる作用を有する。
【0195】加えて、本発明の発熱体組成物において、
前記吸水剤が水溶性セルロースエーテルからなる場合に
は、エーテル化剤の種類、置換率、セルロース分子量、
発熱体組成物中での配合比ないし濃度、他の添加物の添
加量ないし濃度、発熱体組成物の使用量などを適宜選定
することにより、最高発熱温度、最低発熱温度、昇温速
度、降温速度、温度昇降周期、発熱温度差などの発熱特
性を任意に、かつ、容易に設定することができる作用を
有する。
【0196】本発明に係る発熱体は、少なくとも片面が
通気性を有する偏平な袋体に、本発明の発熱体組成物を
封入しているので、空気が袋体内に入り、金属粉、特に
鉄粉、金属の塩化物及び水と化学反応(酸化反応)を起
こして発熱し、この発熱によって、発熱体組成物の温度
が所定以上に上昇すると、周囲の気温や通気度更に透湿
度や発熱体組成物のばらつきとは関係なく、吸水剤から
吸着水分を放出し、金属粉の周囲に遊離水分のバリヤー
層が形成される結果、金属粉と空気との接触が悪くなっ
て発熱反応が鈍化されるのであり、これにより、発熱温
度が所定温度、例えば人体に適用する場合、安全温度以
上に上昇することが防止されたり、仮に安全温度を越え
ても発熱時間を安全時間内に制限し、安全性を著しく高
くする作用を有する。
【0197】又、この発熱反応の鈍化により吸水剤の温
度が低下してくると、降温時に、吸水剤が遊離水分を吸
着して、水分と空気(酸素)と鉄粉と金属の塩化物との
発熱反応が再び活性化される。これにより、発熱温度の
低下を鈍化させて所定の温度を維持したり、再び温度上
昇させたり、制限された最高発熱温度以下で昇温と降温
とを繰り返させたりすることができる作用を有する。
【0198】本発明の発熱体においては、発熱体組成物
中に遠赤外線放射体を含有させると、発熱に伴う遠赤外
線による一層優れた温熱効果を発現できる作用を有する
のである。
【0199】本発明に係る貼付剤は、前記本発明の発熱
体と、この発熱体における袋体の片面に積層された粘着
層とからなるので、直接人体などの生体の表面や下着や
靴下等に粘着させることができるのであり、人体に密着
して温熱効果、温刺激効果などを得ることができると共
に施用中の位置ずれを防止できる作用を有する。
【0200】ところで、本発明の貼付剤において何より
も重要なことは、発熱体の発熱温度が袋体の通気度や透
湿度更に発熱体組成物のばらつきなどに関係なく、又、
周囲の気温にも関係なく、安全温度以下に制限された
り、安全温度を超える時間が安全時間内に制限されたり
する結果、低温火傷の発生を確実に防止できる作用を有
するのである。
【0201】又、本発明の貼付剤において、特に発熱温
度を繰り返し昇降させる場合には、温度変化による一種
のマッサージ効果が得られる作用を有する。
【0202】更に、本発明の貼付剤において、袋体又は
粘着層もしくは袋体と粘着層との間に経皮吸収性薬剤を
担持させる場合には、高温による経皮吸収性薬剤の過剰
吸収を防止できるのであり、特に発熱体組成物に高吸水
性ポリマーからなる保水剤を配合して降温下限温度を所
定の温度以上に保持する場合には、低温による経皮吸収
性薬剤の吸収不足も防止できる作用を有する。
【0203】又更に、本発明の貼付剤において、発熱体
組成物、袋体、粘着剤のうちの少なくとも1つ及び/又
は袋と粘着層との間に遠赤外線放射体を担持させる場合
には、遠赤外線に起因する優れた温熱効果や血行促進効
果によって全身或いは局部の治癒作用を高めることがで
きるのであり、特に経皮吸収性薬剤を併用すると、薬剤
の経皮吸収性を高める作用を有する。
【0204】加えて、本発明の貼付剤において、磁性体
が袋体に担持される場合には、磁性体の磁性による磁気
治療効果を得ることが可能である。
【0205】本発明の香料放散装置によれば、用いられ
た香料の蒸散性を考慮して発熱温度が設定されるのであ
り、これに対応した発熱体組成物が用いられる。そし
て、発熱体組成物の発熱作用により香料ないしこれを担
持する液体、ゲル、固体が加熱され、香料の揮散が活発
になる。従って、冷所においても十分に香料を揮散させ
ることができるので、野外、げた箱や押入の中など電源
設備が無い所でも、悪臭の中和、マスキング、昆虫や動
物の誘引、昆虫や動物の忌避を図ることができる作用を
有する。
【0206】しかも、発熱体組成物の最高発熱温度を所
定値以下に制限したり、所定の温度以上の発熱が持続す
る時間を所定の短時間内に制限したりすることにより、
香料が過剰に放散されることを防止できる上、香料の過
剰放散による不快感や放散持続時間の短縮を防止できる
作用を有するのである。
【0207】本発明の殺虫剤放散装置によれば、用いら
れた殺虫剤の蒸散性を考慮して発熱温度が設定され、こ
れに対応した発熱体組成物が用いられる。そして、発熱
体組成物の発熱作用により殺虫剤を担持する液体、ゲ
ル、固体が加熱され、殺虫剤の揮散が活発になる。従っ
て、野外などの電源設備の無い所でも発熱体組成物の発
熱作用により殺虫剤を十分に揮散させることができるの
であり、又、冷所においても十分に殺虫剤を揮散させる
ことができる作用を有するのである。
【0208】しかも、発熱体組成物の最高発熱温度を所
定値以下に制限したり、所定の温度以上の発熱が持続す
る時間を所定の短時間内に制限したりすることにより、
殺虫剤が過剰に放散されることを防止できるのであり、
殺虫剤の過剰放散による不快感や放散持続時間の短縮を
防止できる作用を有するのである。
【0209】本発明の殺菌剤放散装置によれば、用いら
れた殺菌剤の蒸散性を考慮して発熱温度が設定され、こ
れに対応した発熱体組成物が用いられる。そして、発熱
体組成物の発熱作用により殺菌剤を担持する液体、ゲ
ル、固体が加熱され、殺菌剤の揮散が活発になる。従っ
て、野外などの電源設備の無い所でも発熱体組成物の発
熱作用により殺菌剤を十分に揮散させることができるの
であり、又、冷所においても十分に殺菌剤を揮散させる
ことができる作用を有するのである。
【0210】しかも、発熱体組成物の最高発熱温度を所
定値以下に制限したり、所定の温度以上の発熱が持続す
る時間を所定の短時間内に制限したりすることにより、
殺菌剤が過剰に放散されることを防止できるのであり、
殺菌剤の過剰放散による不快感や放散持続時間の短縮を
防止できる作用を有するのである。
【0211】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体
的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではな
い。
【0212】本発明の第1の実施例においては、まず、
鉄粉97重量部、カーボンブラック(三菱化学株式会社
製、商品名:MA100)3.5重量部、吸水剤(信越
化学工業株式会社製、商品名:メトローズSM−400
0)3重量部、吸水剤(日本触媒株式会社製、商品名:
CS−6HS)3重量部を配合し、混合してA剤を得
る。
【0213】一方、吸水剤(信越化学工業株式会社製、
商品名:メトローズSM−4000)12重量部、カー
ボン粉末(三菱化学株式会社製、商品名:MA100)
75重量部、食塩18.75重量部、水375重量部、
界面活性剤(花王石鹸株式会社製、商品名:EPパウダ
ー)3.75重量部、トリポリリン酸ソーダ(pH調整
剤)1.0重量部を配合し、混合してB剤を得る。
【0214】次に、図1に示すように、ポリエステル製
不織布からなり、縦130mm、横95mmの第2包材
(3)上に前記B剤(B)3.0gを転写した後、この
B剤(B)上に直ちに、前記A剤(A)4.44gを転
写することにより、合計7.44gの発熱体組成物
(2)を転写し、更にこの直後にポリアミド製不織布付
き多孔質フィルム(透湿度430g/m2・day)か
らなり、縦130mm、横95mmの第1包材(1)を
重ね、周縁部をヒートシールで封合して、本発明の発熱
体(H1)を得た。
【0215】次に、図2に示すように、35℃の温水
(W)上にステンレス板(P)を敷設し、このステンレ
ス板(P)上に第1ネル(N1)を敷いてからその上に
前記発熱体(H1)を置き、更に、この発熱体(H1)
上に第2〜第4の3枚のネル(N2〜N4)を敷いて、
第1ネル(N1)上にける表面温度を擬似皮膚温度と
し、発熱体(H1)と第1ネル(N1)の間の擬似皮膚
温度を測定したところ、図3の線aで示す温度変化が測
定された。なお、この時の雰囲気温度は22〜23℃で
ある
【0216】図3の線aに示すように、温度測定開始か
ら約4分程度で43℃に達した後、その約20分後に発
熱温度が44℃程度まで上昇したが、その後、徐々に温
度が下がり始めて約32分後に43℃、更にその約45
分後に40℃、更に又その36分後に39℃まで降温し
た後、逆に昇温し始めて41.7℃まで上昇した後、再
度緩慢な温度低下が認められた。そして、温度測定開始
から560分程度で35℃の擬似皮膚温度(線b)に近
付くことが認められる。
【0217】発熱温度が44℃程度で次第に鈍化してい
るのは、吸水剤が吸着水分を放出し、この放出水分が鉄
粉の周囲に吸着されてバリヤー層が形成される結果、鉄
粉と空気との接触が悪くなって発熱反応が鈍化したため
であり、この後、一旦降温した後に再び昇温が観察され
たのは、発熱体組成物(2)が降温して、吸水剤が鉄粉
周囲の遊離水分を吸収し、バリヤー層が喪失した結果、
発熱体組成物(2)の発熱反応が再び活性化されたため
であると解される。
【0218】更に、2度目の温度上昇が緩慢であり、
又、2度目の温度上昇のピークが1回目の温度上昇時に
比べて低いのは、既に、発熱体組成物(2)中の鉄粉が
一部反応しており、鉄粉の鮮度が低くなっているためで
あると解される。加えて、2度目の降温後に昇温が観ら
れないのは、発熱反応に関与する鉄粉が減少したり、2
回目の温度上昇前よりも更に発熱体組成物(2)中の水
分のバランスが変化したためであると解される。
【0219】このように、発熱温度が一時的に低温火傷
を負う恐れがある温度に達するが、発熱温度が44℃と
比較的低く、また43℃を超える時間が30分程度の短
時間である場合には、この発熱体(H1)を直接に人の
皮膚に接触させても低温火傷が発生する恐れが全くなく
なり、安全性が高くなる。
【0220】本発明の第2の実施例では、鉄粉97重量
部、カーボン粉末(三菱化学株式会社製、商品名:MA
100)1.5重量部、吸水剤(日本触媒株式会社製、
商品名:CS−6HS)3重量部を配合し、混合してA
剤を得た。
【0221】一方、吸水剤(信越化学工業株式会社製、
商品名:メトローズSM−4000)16.6重量部、
カーボン粉末(三菱化学株式会社製、商品名:MA10
0)100重量部、塩化ナトリウム33重量部を配合、
混合した後、更に水512重量部を加えてB剤を得た。
【0222】次に、図4に示すように、前記第1の実施
例と同様に、ポリエステル製不織布からなり、縦130
mm、横95mmの第2包材(3)上に前記B剤(B)
3.2gを転写した後、このB剤(B)上に直ちに、前
記A剤(A)6.2gを転写することにより、合計9.
4gの発熱体組成物(2)を転写し、更にこの直後にポ
リアミド製不織布付き多孔質フィルム(透湿度350g
/m2・day)からなり、縦130mm、横95mm
の第1包材(1)を重ね、周縁部をヒートシールで封合
して、本発明の発熱体(H1)を得た。
【0223】更に、この発熱体(H1)のポリエステル
製不織布側に、アクリル系粘着剤を塗工、乾燥して、厚
さ25μmの粘着層(4)を積層し、本発明の貼付剤
(H2)を得た。
【0224】次に、図2に示すように、35℃の温水
(W)上にステンレス板(P)を敷設し、このステンレ
ス板(P)上に第1ネル(N1)を敷いてからその上に
前記貼付剤(H2)を貼着し、更に、この貼付剤(H
2)上に第2〜第4の3枚のネル(N2〜N4)を敷い
て、第1ネル(N1)上にける表面温度を擬似皮膚温度
として測定したところ、図5の線cで示す温度変化が測
定された。
【0225】図5の線cに示すように、温度測定開始か
ら約7分程度で43℃に達し、その後、更に約12分後
に発熱温度が44℃程度まで上昇したが、その直後から
約6分後に43℃、更に約7分後に40℃というように
急激に発熱温度が低下している。そして、温度測定開始
後から約51分後に一旦36.5℃に下がった後、徐々
に昇温して約110分後には再び42.7℃に昇温し、
更に、徐々に温度が下がって40〜38℃の温度を46
0分間持続した。そして、温度測定開始後620分程度
で35℃の擬似皮膚温度(線b)に近付くことが認めら
れた。
【0226】この第2の実施例では、発熱温度が43℃
を超えた時点で、吸水剤が吸着水分を放出し、この放出
水分が鉄粉の周囲に吸着されてバリヤー層が形成される
結果、鉄粉と空気との接触が悪くなって発熱反応が鈍化
し、発熱温度が低下する。そして、発熱温度が36.5
℃になると、この吸水剤が鉄粉周囲の遊離水分を吸収
し、バリヤー層が喪失した結果、発熱体組成物(2)の
発熱反応が再び活性化されて第2の高温ピーク温度が第
1の高温ピーク温度の近くに達し、温度測定開始後約1
80分経過後に約38℃程度の発熱が得られている。
【0227】更に、1回目の降温によって36.5℃程
度まで低下しているにも拘わらず約180分経過後に約
38℃に達したのは、吸水剤の単位時間吸着量が緩慢な
昇温の間に次第に増大してきたためであると解される。
そして、温度上昇が2回で終わっているのは、発熱反応
に関与する鉄粉量が減少したり、1回目の降温時に遊離
する水分量が少なくなったり、2回目の昇温時に吸水剤
が放出した吸着水分量が少なくなったり、2回目の降温
時には吸水剤からの吸着水分の放出量が更に少なくなっ
たためであると解される。
【0228】この実施例に係る貼付剤(H2)も安全温
度を超える時間が10分程度であり、この貼付剤(H
2)を直接に人の皮膚に接触させて長時間放置しても低
温火傷を発生する恐れは全くなく、安全である。
【0229】本発明の第3実施例では、まず、鉄粉97
重量部、吸水剤(日本触媒株式会社製、商品名:CS−
6HS)3重量部を配合し、混合してA剤を得た。
【0230】一方、吸水剤(信越化学工業株式会社製、
商品名:メトローズSM−4000)20.8重量部、
活性炭(武田薬品株式会社製、商品名:武田C)150
重量部、塩化ナトリウム41.2重量部及び水515.
2重量部を配合し、混合してB剤を得た。
【0231】次に、図6に示すように、前記第1の実施
例と同様に、ポリエチレン製多孔質フィルム(透湿度3
50g/m2・day)からなり、縦130mm、横9
5mmの第1包材(1)上に前記A剤(A)5.1gを
転写した後、このA剤(A)上に直ちに、前記B剤
(B)2.45gを転写することにより、合計7.55
gの発熱体組成物(2)を転写し、更にこの直後にポリ
エチレン製多孔質フィルム(透湿度350g/m2・d
ay)からなり、縦130mm、横95mmの第2包材
(3)を重ね、周縁部をヒートシールで封合して、本発
明の発熱体を得た。
【0232】更に、この発熱体の片面に、アクリル系粘
着剤を塗工、乾燥して、厚さ25μmの粘着層(4)を
積層し、本発明の貼付剤(H3)を得た。
【0233】この貼付剤(H3)を人体表面に粘着させ
て温度変化を測定したところ、図7の線dに示すよう
に、温度測定開始から約22〜23分程度で40℃に達
し、その後、更に約12分後に発熱温度が40.8℃程
度まで上昇したが、その直後から徐々に降温して約12
分後に約40℃に低下し、つまり発熱温度の測定開始約
47分後に40℃に低下し、更に、徐々に昇温し、その
約37分後、つまり発熱温度の測定開始84分後に約4
1.2℃に上昇し、その12分後に40.4℃に徐々に
低下し、その後更に、図7に示すように、温度の昇降を
繰り返すことが認められ、この温度の昇降に基づく一種
のマッサージ効果や例えば経皮吸収性薬剤の吸収速度の
コントロールを行うことができる上、低温火傷の発生は
全く認められなかった。
【0234】尚、図7の線eは貼付剤を貼着しない状態
のパネラーの皮膚温度を示す。
【0235】図8は足の裏側全体を加温する第4実施例
に係る中敷状の足温用発熱体(H4)の断面模式図であ
り、図9はその第4実施例に係る足温用発熱体(H4)
の発熱温度特性図である。
【0236】この足温用発熱体(H4)は、吸水性を有
する基材1を繰り出しながら、この基材1上に、一層か
らなるペースト状発熱組成物2を中敷状にスクリーン印
刷し、次いで、このペースト状発熱組成物2の周囲の露
出面に接着剤を塗布し、この上に被覆材3をローラで案
内、積層し、これによって、基材1と被覆材3とを前記
ペースト状の発熱組成物2と前記接着剤でサンドして接
着して製造されたものである。
【0237】図8の断面模式図に示すように前記基材1
としては、非通気性及び非通水性を有する目付量30g
/m2の白色ポリエチレンフィルム(10重量%の炭酸
カルシウムを含有)1aと、目付量180g/m2の吸
水性のダンボール中芯1bとをラミネートしたものであ
って、その吸水量は105g/m2であり、この基材1
において、そのダンボール中芯1b上にペースト状の発
熱組成物2が直接接触するようにスクリーン印刷されて
いる。
【0238】又、前記被覆材3は、外層としてレーヨン
不織布(シンワ製、銘柄 NW−7160、目付量60
g/m2)3aと、多孔質フィルム(三井東圧社製、銘
柄エスポアール、透湿度4000g/m2・hr、厚さ
40μm)3bと、内層としてのレーヨン不織布(シン
ワ製、銘柄 NW−7180、目付量80g/m2)3c
とを、メルトブローによって形成した接着剤(NSC
製、銘柄:5Q543)を介して積層し、形成されたも
のであり、この接着剤の目付量は不織布3a・多孔質フ
ィルム3b間では5g/m2 、多孔質フィルム3b・レ
ーヨン不織布3c間では10g/m2 であり、この被覆
材3の透湿度は468g/m2 ・24hrのものであ
り、又、吸水量は54g/m2である。
【0239】前記ペースト状の発熱組成物2は、発熱物
質である鉄粉(同和鉄粉社製 DKP)65.14重量
%、吸水性ポリマーとして(クラレ社製 KIゲルF2)
0.12重量%、発熱反応による温度の昇降に依存して
吸水能力が可逆的に変化する吸水剤としてカルボキシメ
チルセルロース(CMC)(第一工業製薬社製 商品名セロ
ゲンEP)1.04重量%、活性炭(ノリット社製 SA
ーSUPER)4.06重量%、金属の塩化物として塩
化ナトリウム2.36重量%、界面活性剤(花王社製デ
モールEP)0.82重量%及びpH調整剤としてトリ
ポリリン酸ナトリウム0.15重量%を混合し、この配
合物に過剰の水を加えて、温度20℃での粘度が2,8
00,000cps程度になるように調製している。
【0240】この粘度とは、TOKIMEC INC.
製(VISCOMETER BH型粘度計)で、しかも
#7のローターを用い、回転数2rpmとし、ビーカー
内径(85φmm)のビーカーを用いて測定温度20℃で
測定した値である。
【0241】従って、このペースト状の発熱組成物2に
は過剰の水分が含まれており、この過剰水分が鉄粉と空
気との接触を妨げるバリアー層として機能し、その結
果、発熱反応が殆ど生じないことが認められた。
【0242】基材1上に前記ペースト状の発熱組成物2
を、厚さ800μmと960μmになるように、スクリ
ーン印刷すると、このペースト状の発熱組成物中の過剰
水分が、基材1における吸水性のダンボール中芯1bに
吸収されはじめ、又、被覆材3を被せた後には、この被
覆材3におけるレーヨン不織布3cに吸収され、やが
て、発熱組成物2の水分の配合率が設定された発熱温度
を生じるに最適の状態になる。
【0243】しかしながら、前記過剰水分が、基材1及
び被覆材3に吸収されて、所定の配合率に達するまでに
はそれ相当の時間がかかるのに対し、基材1上にペース
ト状の発熱組成物2をスクリーン印刷してから非通気性
袋に封入するまでの時間は極めて短く(一般に0.数秒
程度)、得られた足温用発熱体(H4)を非通気性袋に
封入するまでの間にペースト状の発熱組成物2の水分配
合率が所定の発熱温度を生じるに最適の配合率になるこ
とはない。
【0244】従って、この足温用発熱体を非通気性袋に
封入するまでにペースト状の発熱組成物2が発熱するこ
とはなく、発熱反応の生成物が凝固して種々の弊害、例
えば歩留りの低下、取扱いの困難性、製造装置のメンテ
ナンスの煩雑性、製造装置の稼働時間ないし作業者の就
業時間に対する制約、凝固物処理の困難性などの弊害が
生じるおそれもない。
【0245】ところで、この足温用発熱体(H4)が非
通気性袋に封入され、流通を経てユーザーの手に届くま
でには、ペースト状の発熱組成物2中の余剰水分が基材
1における吸水性のレーヨン不織布1bと被覆材3にお
ける吸水性のレーヨン不織布3cに吸収されて、所定の
発熱温度を得るに適した水分配合率になっているので、
非通気性袋が破られて空気に触れるまでに発熱組成物2
の品質が低下することがなく、発熱組成物2の品質を高
品質に保持できる上、非通気性袋を破ってこの足温用発
熱体(H4)を取り出すと直ちに発熱反応が開始され、
速やかに所定の発熱温度まで昇温する。
【0246】しかも、ペースト状の発熱組成物2は、流
動性が高いから、印刷やコーティング、この実施例では
スクリーン印刷という技術によって基材1上に積層でき
る結果、正確に且つ高速で所定の範囲に、しかも均一な
厚さに積層することができる。
【0247】前記足温用発熱体(H4)を非通気性袋に
封入し、これを10日間放置後、非通気性袋を破ってこ
の足温用発熱体(H4)を取り出し、次いで、これを、
雰囲気温度10℃で、しかもプレート温度20℃(20
℃の水を巡回させてプレート温度を一定にする。)上に
両面粘着性テープで張り付け、この足温用発熱体(H
4)の表面温度f、gと、足温用発熱体(H4)とプレ
ートの間の温度hを測定した。
【0248】その結果を図9の発熱温度特性図に示す。
図9において、符号fのものはペースト状の発熱組成物
2の厚さが800μmになるようにスクリーン印刷した
ものであり、又、符号gのものはペースト状の発熱組成
物2の厚さが960μmになるようにスクリーン印刷し
たものである。
【0249】図10は、前記の図8に示す実施例におい
て、発熱体組成物として以下のものを用い、しかも縦8
0mm、横50mmの長方形状とした以外は、前記の図
8に示す実施例と同様にして、得た発熱体の発熱温度特
性図である。
【0250】即ち、図10に示す実施例で用いた発熱体
組成物としてはペースト状に粘稠化された発熱組成物で
あり、このペースト状の発熱体組成物は、発熱物質であ
る鉄粉(同和鉄粉社製 DKP)65.14重量%、吸水
性ポリマーとして(クラレ社製KIゲルF2)0.12重
量%、発熱反応による温度の昇降に依存して吸水能力が
可逆的に変化する吸水剤としてカルボキシメチルセルロ
ース(CMC)(第一工業製薬社製 商品名セロゲンEP)
1.03重量%、活性炭(ノリット社製 SAーSUPE
R)4.06重量%、金属の塩化物として塩化ナトリウ
ム2.36重量%、界面活性剤(花王社製 デモールE
P)0.82重量%及びpH調整剤としてトリポリリン
酸ナトリウム0.15重量%を混合し、この配合物に過
剰の水を加えて、前述と同様の方法において、温度20
℃での粘度が1,320,000cps程度になるよう
に調製している。
【0251】基材1上に、図8に示す実施例と同様に、
前記ペースト状の発熱組成物を、厚さ600μm、70
0μm、850μm、950μm及び1100μmにな
るように、スクリーン印刷したものである。
【0252】図10において、符号jのものはペースト
状の発熱組成物2の厚さが600μmのものであり、符
号kのものはペースト状の発熱組成物2の厚さが700
μmのものであり、符号mのものはペースト状の発熱組
成物2の厚さが850μmのものであり、符号nのもの
はペースト状の発熱組成物2の厚さが950μmのもの
であり、符号oのものはペースト状の発熱組成物2の厚
さが1100μmのものである。
【0253】図11は、前記の図8に示す実施例におい
て、発熱体組成物として以下のものを用い、しかも縦8
0mm、横50mmの長方形状とした以外は、前記の図
8に示す実施例と同様にして、得た発熱体の発熱温度特
性図である。
【0254】即ち、図11に示す実施例で用いた発熱体
組成物としてはペースト状に粘稠化された発熱組成物で
あり、このペースト状の発熱体組成物は、発熱物質であ
る鉄粉(同和鉄粉社製 DKP)62.69重量%、発熱
反応による温度の昇降に依存して吸水能力が可逆的に変
化する吸水剤としてカルボキシメチルセルロース(CM
C)(第一工業製薬社製 商品名セロゲンEP)0.99重
量%、活性炭(ノリット社製 SAーSUPER)3.9
0重量%、金属の塩化物として塩化ナトリウム2.27
重量%、保水剤(オブライト)3.12重量%、界面活性
剤(花王社製 デモールEP)0.79重量%及びpH調
整剤としてトリポリリン酸ナトリウム0.15重量%を
混合し、この配合物に過剰の水を加えて、前述と同様の
方法において、温度20℃での粘度が2,430,00
0cps程度になるように調製している。
【0255】基材1上に、図8に示す実施例と同様に、
前記ペースト状の発熱組成物を、厚さ600μm、70
0μm、850μm、950μm及び1100μmにな
るように、スクリーン印刷したものである。
【0256】図11において、符号pのものはペースト
状の発熱組成物2の厚さが600μmのものであり、符
号qのものはペースト状の発熱組成物2の厚さが700
μmのものであり、符号rのものはペースト状の発熱組
成物2の厚さが850μmのものであり、符号sのもの
はペースト状の発熱組成物2の厚さが950μmのもの
であり、符号tのものはペースト状の発熱組成物2の厚
さが1100μmのものである。
【0257】図12は、前記の図8に示す実施例におい
て、発熱体組成物として以下のものを用い、しかも縦8
0mm、横50mmの長方形状とした以外は、前記の図
8に示す実施例と同様にして、得た発熱体の発熱温度特
性図である。
【0258】即ち、図12に示す実施例で用いた発熱体
組成物としてはペースト状に粘稠化された発熱組成物で
あり、このペースト状の発熱体組成物は、発熱物質であ
る鉄粉(同和鉄粉社製 DKP)65.08重量%、発熱
反応による温度の昇降に依存して吸水能力が可逆的に変
化する吸水剤としてカルボキシメチルセルロース(CM
C)(第一工業製薬社製 商品名セロゲンEP)1.03重
量%、活性炭(ノリット社製 SAーSUPER)4.0
5重量%、金属の塩化物として塩化ナトリウム2.36
重量%、界面活性剤(花王社製 デモールEP)0.82
重量%及びpH調整剤としてトリポリリン酸ナトリウム
0.15重量%を混合し、この配合物に過剰の水を加え
て、前述と同様の方法において、温度20℃での粘度が
1,130,000cps程度になるように調製してい
る。
【0259】基材1上に、図8に示す実施例と同様に、
前記ペースト状の発熱組成物を、厚さ600μm、70
0μm、850μm、950μm及び1100μmにな
るように、スクリーン印刷したものである。
【0260】図12において、符号uのものはペースト
状の発熱組成物2の厚さが600μmのものであり、符
号vのものはペースト状の発熱組成物2の厚さが700
μmのものであり、符号wのものはペースト状の発熱組
成物2の厚さが850μmのものであり、符号xのもの
はペースト状の発熱組成物2の厚さが950μmのもの
であり、符号yのものはペースト状の発熱組成物2の厚
さが1100μmのものである。
【0261】尚、図10〜図12に示す発熱温度特性図
は、前記各発熱体を非通気性袋に封入し、これを10日
間放置後、非通気性袋を破ってこの各発熱体を取り出
し、次いで、これを、雰囲気温度10℃で、しかもプレ
ート温度20℃(20℃の水を巡回させてプレート温度
を一定にする。)上に両面粘着性テープで張り付け、こ
の各発熱体の表面温度を測定したものである。
【0262】又、このようにペースト状の発熱体組成物
を用いると、図8に示す実施例の場合と同様の利点があ
るのである。
【0263】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明に係る発
熱体組成物の発熱反応制御方法は、要するに、発熱体組
成物中の遊離水分量の変化によって、所定の発熱温度以
上になると発熱反応を鈍化させ、逆に所定の発熱温度以
下になると発熱反応を活発化させるものである。
【0264】即ち、発熱体組成物中の遊離水分量の変化
によって、所定の温度より高温になると、吸水剤が吸着
水分を放出し、この放出水分が金属粉の周囲に吸着され
てバリヤー層が形成される結果、金属粉と空気との接触
が悪くなって発熱反応が鈍化するから、通気度や透湿度
更に発熱体組成物にばらつきがあったり、外気が高温の
時でも、発熱温度を所定の温度、例えば人体に適用する
ものである場合、低温火傷が発生しない安全温度に制限
したり、安全温度を超える時間を安全時間内に短縮、制
限して、人体などの生体への貼付使用時の安全性を確保
できるのである。
【0265】そして、本発明に係る発熱体組成物の温度
制御方法においては、所定の発熱温度以上になると吸水
剤からの吸着水分の放出に基づき発熱反応を鈍化させる
一方、この発熱反応の鈍化による発熱温度の降下に伴っ
て所定の発熱温度以下になると前記吸水剤に再び遊離水
分が吸着されて再び発熱反応を活発化させるように構成
すると、袋体などの容器の通気性や透湿性更に周囲の気
温と関係なく、使用時の異常な温度上昇を抑制し、例え
ば人体に適用する場合、発熱温度を低温火傷が発生する
恐れがない安全温度に制限したり、安全温度以上に上昇
する時間を低温火傷が発生する恐れがない程度の安全時
間内に制限したりすることができるのであり、従って、
人体などの生体の表面への直接貼付や就寝中の使用が安
全にできるようになる。
【0266】又、本発明の発熱体組成物の温度制御方法
において、吸水剤からの吸着水分の放出に基づく発熱反
応の鈍化による発熱温度の降下に伴い、前記吸水剤が金
属粉周辺の遊離水分を吸着することにより発熱反応を再
び活性化させる場合には、発熱温度が所定の温度を超え
た後、その温度を降下させて温熱効果が得られる所定の
温度(ほぼ一定の温度)に維持したり、更に発熱温度を
再び上昇させて発熱温度の昇降を繰り返させたりするこ
とができる。これにより、未反応の発熱体組成物を減少
させて廃棄物処理の安全性を高めることができると共
に、発熱体組成物の有効利用を図ることができる上、温
熱効果を高めることができる結果、特に、発熱温度の昇
降を繰り返させる場合には一種のマッサージ効果を得る
ことができる。
【0267】本発明の発熱体組成物の温度制御方法にお
いては、吸水剤が水溶性セルロースエーテル、カルボキ
シメチルセルロース又はポリ−N−ビニルアセトアミド
からなる場合には、エーテル化剤の種類、置換率、セル
ロース分子量、重合度、発熱体組成物中の配合比ないし
濃度、他の添加物の添加量ないし濃度、発熱体組成物の
使用量などを適宜選定することにより、最高発熱温度、
最低発熱温度、昇温速度、降温速度、温度昇降周期、発
熱温度差などの温度特性を任意に、かつ、容易に設定す
ることができる。
【0268】更に、発熱体組成物の発熱反応によって得
られた温熱を利用する分野、例えば人体への温熱治療剤
や貼付剤等に好適に利用できる上、過剰な発熱を避けて
長時間の使用を可能にできる効果を有するのである。
【0269】そして、本発明の発熱体組成物の温度制御
方法においては、長期間にわたって発熱体組成物の発熱
温度を一定以上に保持させることができると共に、発熱
反応の鈍化による降温と、発熱反応の再活性化による昇
温とを複数回繰り返させることができる。このような温
度変化を生じさせることにより、温度刺激に変化を与え
て一種のマッサージ効果が得られると共に、高温による
経皮吸収性薬剤の過剰吸収や、低温による経皮吸収性薬
剤の吸収不足を防止することができる。
【0270】本発明に係る発熱体組成物は、金属粉、特
に鉄粉、金属の塩化物、水及び温度の昇降に依存して吸
水能力が可逆的に変化する吸水剤とを必須成分とする発
熱体組成物からなり、この発熱体組成物中の遊離水分量
の変化によって、所定の発熱温度以上になると発熱反応
を鈍化させ、逆に所定の発熱温度以下になると発熱反応
を活発化させるので、袋体等の容器の通気性や透湿性、
更に発熱体組成物のばらつき並びに周囲の気温と関係な
く、発熱反応が過剰に進行して所定の温度以上になると
発熱体組成物中の吸水剤が吸着水分を放出して、発熱反
応が確実に鈍化される。これにより、これを、例えば人
体に適用する場合、発熱温度を低温火傷が発生する恐れ
がない安全温度に制限したり、安全温度以上に上昇する
時間を低温火傷が発生する恐れがない程度の安全時間内
に制限したりすることができる結果、人体などの生体の
表面への直接貼付や就寝中の使用が安全にできる上、一
層安全且つ優れた温熱効果が得られるのである。
【0271】又、本発明の発熱体組成物においては、所
定の温度まで発熱した時に発熱反応を鈍化させ、この発
熱反応の鈍化により発熱温度が所定の温度まで降下した
時には、前記吸水剤が金属粉周辺の遊離水分を吸着して
バリヤー層を喪失させることにより発熱反応を再び活性
化させることができる結果、発熱温度の低下を鈍化させ
たり、発熱温度を所定の温度に保持したり、所定の温度
範囲内で昇温と降温とを繰り返すことができるのであ
り、未反応の発熱体組成物を減少させて廃棄物処理の安
全性を高めることができると共に、発熱体組成物の有効
利用を図ることができる上、温熱効果を高めることがで
きるのであり、特に、発熱温度の昇降を繰り返させる場
合には一種のマッサージ効果を得ることができるのであ
る。
【0272】又、本発明の発熱体組成物においては、発
熱温度が所定値を超えると、吸水剤からの吸着水分の放
出に基づき発熱反応が鈍化し、一方、発熱温度の降下に
伴い、逆に、吸水剤が金属粉周辺の遊離水分を吸着する
ことにより発熱反応を再び活性化させる。従って、発熱
温度の低下を鈍化させたり、発熱温度を所定の温度に保
持したり、発熱温度を再び上昇させたりすることができ
るのであり、特に発熱温度を前記所定の温度まで再上昇
させる場合には、所定の温度範囲内で昇温と降温とを繰
り返すことができる。
【0273】更に、本発明の発熱体組成物において、更
に、特定の吸水剤を用いる場合には、一定レベル以上の
発熱反応を長時間にわたって持続させることができる
上、所定の温度範囲内で昇温と降温との繰り返し回数を
増大させることができると共に、降温から昇温に切替わ
る温度を高めることができるので、至極有益である。
【0274】本発明の発熱体組成物において、発熱温度
を安定させる発熱反応助剤を配合する場合には、発熱反
応を安定良く行わさせて、発熱温度の変化を円滑にする
ことができるので、至極有益である。
【0275】加えて、本発明の発熱体組成物において、
吸水剤が水溶性セルロースエーテル、カルボキシメチル
セルロース又はポリ−N−ビニルアセトアミドからなる
場合には、エーテル化剤の種類、置換率、セルロース分
子量、重合度、発熱体組成物中での配合比ないし濃度、
他の添加物の添加量ないし濃度、発熱体組成物の使用量
などを適宜選定することにより、最高発熱温度、最低発
熱温度、昇温速度、降温速度、温度昇降周期、発熱温度
差などの発熱特性を任意に、かつ、容易に設定すること
ができるので、至極有益である。
【0276】本発明に係る発熱体は、少なくとも片面が
通気性を有する偏平な袋体に、本発明に係る発熱体組成
物を封入したので、空気が袋体内に入り、金属粉、金属
の塩化物及び水と化学反応を起こして発熱し、この発熱
により吸水剤の温度が一定以上に上昇すると、吸水剤か
ら吸着水分を放出し、金属粉の周辺に放出水分に基づく
バリヤー層を形成して、発熱反応が鈍化されるのであ
り、これにより、通気性や透湿性更に発熱体組成物のば
らつき、周囲の気温などに関係なく、発熱温度が安全温
度以下に制限されたり、或いは、安全温度を超えた温度
の持続時間が安全時間内に制限され、人体などの生体の
表面への直接貼付や就寝中の使用が安全にできるように
なる。
【0277】又、この発熱反応の鈍化により吸水剤の温
度が低下してくると、降温時に、吸水剤が金属粉周辺の
遊離水分を吸着して水分と空気と金属の塩化物と鉄粉と
の発熱反応が再び活性化される。これにより、発熱温度
の低下を鈍化させたり、発熱温度を所定の温度に保持し
たり、所定の温度範囲内で昇温と降温とを繰り返すこと
ができる結果、未反応の発熱体組成物を減少させて廃棄
物処理の安全性を高めることができると共に、発熱体組
成物の有効利用を図ることができる上、温熱効果を高め
ることができるのであり、特に、発熱温度の昇降を繰り
返させる場合には一種のマッサージ効果を得ることがで
きる。
【0278】本発明の発熱体において、特定の吸水剤が
配合されている場合には、一定レベル以上の発熱反応を
長時間にわたって持続させることができる結果、所定の
温度範囲内で昇温と降温との繰り返し回数を増大させる
ことができる。
【0279】次に、本発明の貼付剤は、本発明の発熱体
における袋体の片面に粘着層が積層されているので、発
熱温度を低温火傷が発生する恐れがない安全温度に制限
したり、安全温度以上に上昇する時間を低温火傷が発生
する恐れがない程度の安全な短時間に制限したりするこ
とができる上、粘着層の粘着力によって人体などの生体
の表面への直接貼付や就寝中の使用が安全にできるよう
になると共に、使用用中の位置ずれを防止できるのであ
り、又、人体なとの生体の表面に密着して温熱効果、温
刺激効果などを一層高めることができる。
【0280】更に、本発明の貼付剤において、磁性体が
前記袋体に担持される場合には、磁性体の磁性による磁
気治療効果を得ることができる。
【0281】更に、本発明の貼付剤において、袋体又は
粘着層もしくは袋と粘着層との間に経皮吸収性薬剤を担
持させる場合には、長期間にわたって発熱体組成物の発
熱温度を一定以上に保持させることができると共に、発
熱反応の鈍化による降温と、発熱反応の再活性化による
昇温とを複数回繰り返させることができる。このような
温度変化を生じさせることにより、温度刺激に変化を与
えて一種のマッサージ効果が得られると共に、高温によ
る経皮吸収性薬剤の過剰吸収や、低温による経皮吸収性
薬剤の吸収不足を防止することができる。
【0282】又更に、本発明の貼付剤において、発熱体
組成物、袋体、粘着剤のうちの少なくとも1つ及び/又
は袋と粘着層との間に遠赤外線放射体を担持させる場合
には、遠赤外線に起因する優れた温熱効果や血行促進効
果によって全身或いは局部の治癒作用を高めることがで
きるのであり、特に経皮吸収性薬剤を併用すると、薬剤
の経皮吸収性を高め、全身治療効果や局所治療効果を高
めることができる。
【0283】更に、本発明の貼付剤において、遠赤外線
放射体が前記袋に担持される場合には、温熱効果により
血行などの全身作用を高めることができるのであり、特
に経皮吸収性薬剤を併用すると、薬剤の経皮吸収性を高
め、全身治療効果や局所治療効果を高めることができ
る。特に、これを人体に適用する場合、発熱体が37〜
43℃の範囲内で昇温と降温とを繰り返すようにした場
合には、一種のマッサージ効果が相乗的に作用して一層
優れた治療効果を高めることができる。
【0284】加えて、本発明の発熱体において、磁性体
が袋体に担持されている場合には、磁性体の磁性による
磁気治療効果を得ることが可能である。
【0285】本発明の香料放散装置によれば、上記本発
明の発熱体組成物と、これを収容する少なくとも一部分
が通気性を有する容器或いは袋体と、この容器或いは袋
体の中に収容され、又は容器或いは袋体に配合され、も
しくは容器或いは袋体の外に担持された香料とからなる
ので、冷所においても、発熱体組成物の発熱により十分
に香料を放散させることができる一方、発熱体組成物の
発熱温度を所定の温度以下に制限したり、所定の温度以
上での発熱の持続時間を所定の短時間内に制限したりす
ることにより、高温時の香料の過剰放散を防止して、過
剰に放散された香料によって不快感を感じたり、香料が
短時間で消耗したりすることを防止できる効果を有する
のである。
【0286】又、発熱体組成物の発熱によって香料を加
熱するので、電源装置などが不要になり、野外、げた箱
内、押入内などにも使用できるので至極有益である。
【0287】そして、本発明の香料放散装置において、
香料が環境用香料である場合には、生活の中の種々の悪
臭を香料で中和したり、マスキングしたりすることがで
きるので、生活の快適性を高めることができる。
【0288】又、本発明の香料放散装置において、香料
が誘引物質である場合には、昆虫や動物を選択的に誘き
寄せることができるので、昆虫や動物の捕獲、駆除など
に用いることができる。
【0289】更に、本発明の香料放散装置において、香
料が忌避物質である場合には、危険性や有害性を有す昆
虫や動物、あるいは近づけたくない昆虫や動物を選択的
に忌避させることができるので、生活の安全性ないし快
適性を一層高めることができる効果を有するのである。
【0290】本発明の殺虫剤放散装置は、上記本発明の
発熱体組成物と、これを収容する少なくとも一部分が通
気性を有する容器或いは袋体と、この容器或いは袋体の
中に収容され、又は容器或いは袋体に配合され、もしく
は容器或いは袋体の外に担持させた殺虫剤とからなるの
で、冷所においても発熱体組成物の発熱により十分に殺
虫剤を放散させることができる一方、発熱体組成物の発
熱温度を所定の温度以下に制限したり、所定の温度以上
での発熱持続時間を所定の短時間内に制限したりするこ
とにより、高温時に伴う殺虫剤の過剰放散を防止して、
過剰に放散された殺虫剤によって不快感を感じたり、殺
虫剤が短時間で消耗したりすることを防止できる効果を
有するのである。
【0291】又、発熱体組成物の発熱によって殺虫剤を
加熱するので、電源装置などが不要になり、野外、げた
箱内、押入内などにも使用できるようになる。
【0292】本発明の殺虫剤放散装置において、誘引物
質が容器或いは袋体の中に収容され、又は容器或いは袋
体に配合され、もしくは容器或いは袋体の外に担持され
た場合には、誘引物質で昆虫や動物を選択的に誘き寄せ
ることができるので、選択的な殺虫による駆除が効率良
く行えるようになる。
【0293】本発明の殺菌剤放散装置は、上記本発明の
発熱体組成物と、これを収容する少なくとも一部が通気
性を有する容器或いは袋体と、この容器或いは袋体の中
に収容され、又は容器或いは袋体に配合され、もしくは
容器或いは袋体の外に担持させた殺菌剤とからなるの
で、冷所においても発熱体組成物の発熱により十分に殺
菌剤を放散させることができる一方、発熱体組成物の発
熱温度を所定の温度以下に制限したり、所定の温度以上
での発熱の持続時間を所定の短時間内に制限したりする
ことにより、高温時に伴う殺菌剤の過剰放散を防止し
て、過剰に放散された殺菌剤によって不快感を感じた
り、殺菌剤が短時間で消耗したりすることを防止できる
効果を有するのである。
【0294】又、発熱体組成物の発熱によって殺菌剤を
加熱するので、電源装置などが不要になり、野外、げた
箱内、押入内などにも使用できるようになる。
【0295】本発明の殺菌剤放散装置において、誘引物
質が容器内に収容され、又は容器中に配合され、もしく
は容器外に担持された場合には、誘引物質で昆虫や動物
を選択的に誘き寄せることができるので、選択的な殺虫
による駆除が効率良く行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る発熱体の断面模式
図である。
【図2】本発明に係る発熱体の発熱温度測定の要領を示
す模式図である。
【図3】本発明の第1の実施例に係る発熱体の発熱温度
特性図である。
【図4】本発明の第2の実施例に係る発熱体の断面模式
図である。
【図5】本発明の第2の実施例に係る発熱体の発熱温度
特性図である。
【図6】本発明の第3の実施例に係る貼付剤の断面模式
図である。
【図7】本発明の第3の実施例に係る貼付剤の発熱温度
特性図である。
【図8】本発明の第4の実施例に係る発熱体の断面模式
図である。
【図9】本発明の第4の実施例に係る発熱体の発熱温度
特性図である。
【図10】本発明の第5の実施例に係る発熱体の発熱温
度特性図である。
【図11】本発明の第6の実施例に係る発熱体の発熱温
度特性図である。
【図12】本発明の第7の実施例に係る発熱体の発熱温
度特性図である。
【符号の説明】
1 第1包材 1a 白色ポリエチレンフィルム 1b ダンボール中芯 2 発熱体組成物 3 第2包材 3a レーヨン不織布 3b 多孔質フィルム 3c レーヨン不織布 4 粘着層 H1 発熱体 H2 貼付剤 H3 貼付剤 H4 発熱体 A A剤 B B剤
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61L 9/12 A61L 9/12 C09K 3/00 110 C09K 3/00 110Z // C11B 9/00 C11B 9/00 Z

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一部が通気性を有する容器、
    袋体或いはシート状の袋体に封入され、且つ空気の存在
    によって発熱する発熱体組成物の発熱反応制御方法にお
    いて、この発熱体組成物中の遊離水分量の変化によっ
    て、所定の発熱温度以上になると発熱反応を鈍化させ、
    逆に所定の発熱温度以下になると発熱反応を活発化させ
    ることを特徴とする発熱体組成物の発熱反応制御方法。
  2. 【請求項2】 所定の発熱温度以上になると吸水剤から
    の吸着水分の放出に基づき発熱反応を鈍化させる一方、
    この発熱反応の鈍化による発熱温度の降下に伴って所定
    の発熱温度以下になると前記吸水剤に再び遊離水分が吸
    着されて再び発熱反応を活発化させる請求項1に記載の
    発熱体組成物の発熱反応制御方法。
  3. 【請求項3】 吸水剤が吸水性ポリマーである請求項2
    に記載の発熱体組成物の発熱反応制御方法。
  4. 【請求項4】 香料が容器、袋体或いはシート状の袋体
    に封入され、又は容器或いは袋体の中に配合され、若し
    くは容器或いは袋体の外に担持されている請求項1ない
    し3のいずれか1項に記載の発熱体組成物の発熱反応制
    御方法。
  5. 【請求項5】 殺虫剤又は殺菌剤が容器或いは袋体に封
    入され、又は容器或いは袋体の中に配合され、若しくは
    容器或いは袋体の外に担持されている請求項1ないし3
    のいずれか1項に記載の発熱体組成物の発熱反応制御方
    法。
  6. 【請求項6】 金属粉、金属の塩化物、水及び発熱反応
    にる温度の昇降に依存して吸水能力が可逆的に変化する
    吸水剤を必須成分とする発熱体組成物からなり、この発
    熱体組成物中の遊離水分量の変化によって、所定の発熱
    温度以上になると発熱反応を鈍化させ、逆に所定の発熱
    温度以下になると発熱反応を活発化させることを特徴と
    する発熱体組成物。
  7. 【請求項7】 発熱反応助剤及び/又はpH調整剤が配
    合されている請求項6に記載の発熱体組成物。
  8. 【請求項8】 吸水剤が吸水性ポリマーである請求項6
    又は7に記載の発熱体組成物。
  9. 【請求項9】 発熱反応にる温度の昇降に依存して吸水
    能力が可逆的に変化する吸水剤が水溶性セルロースエー
    テル、カルボキシメチルセルロース又はポリ−N−ビニ
    ルアセトアミドから選ばれた少なくとも1種である請求
    項8に記載の発熱体組成物。
  10. 【請求項10】 請求項6ないし9のいずれか1項に記
    載の発熱体組成物を、少なくとも片面が通気性を有する
    偏平な袋体に封入したことを特徴とする発熱体。
  11. 【請求項11】 発熱体組成物中に遠赤外線放射体が含
    有させている請求項10に記載の発熱体。
  12. 【請求項12】請求項10又は11に記載の発熱体と、
    この発熱体における袋体の片面に積層された粘着層から
    なることを特徴とする貼付剤。
  13. 【請求項13】 粘着層若しくは袋体と粘着層との間に
    経皮吸収性薬剤が担持されている請求項12に記載の貼
    付剤。
  14. 【請求項14】 発熱体組成物、袋体又は粘着層の中う
    ちの少なくとも1箇所及び/又は袋体と粘着層との間に
    遠赤外線放射体を含有又は担持させている請求項12又
    は13に記載の貼付剤。
  15. 【請求項15】 発熱体組成物、袋体又は粘着剤の中う
    ちの少なくとも1箇所及び/又は袋体と粘着層との間に
    磁性体を含有又は担持させている請求項12ないし14
    のいずれか1項に記載の貼付剤。
  16. 【請求項16】 請求項6ないし9のいずれか1項に記
    載の発熱体組成物と、これを収容する少なくとも一部が
    通気性を有する容器或いは袋体と、この容器或いは袋体
    の内部に収容され、又は容器或いは袋体の中に配合さ
    れ、もしくは容器の外に担持させた香料とからなる香料
    放散装置。
  17. 【請求項17】 香料が環境用香料、誘引物質又は忌避
    物質である請求項17に記載の香料放散装置。
  18. 【請求項18】 請求項6ないし9のいずれか1項に記
    載の発熱体組成物と、これを収容する少なくとも一部が
    通気性を有する容器或いは袋体と、この容器或いは袋体
    の内部に収容され、又は容器或いは袋体の中に配合さ
    れ、もしくは容器或いは袋体の外に担持させた殺虫剤と
    からなる殺虫剤放散装置。
  19. 【請求項19】 誘請求項6ないし9のいずれか1項に
    記載の発熱体組成物と、これを収容する少なくとも一部
    が通気性を有する容器或いは袋体と、この容器或いは袋
    体の内部に収容され、又は容器或いは袋体の中に配合さ
    れ、もしくは容器或いは袋体の外に担持させた殺菌剤と
    からなる殺菌剤放散装置。
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