JPH0948818A - 耐熱変形性の熱可塑性共重合体の製造方法 - Google Patents
耐熱変形性の熱可塑性共重合体の製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 共重合したメタクリル酸および/またはアク
リル酸を無水物へ転換させ、光学部品にも適するより着
色の少ない無色透明な熱可塑性共重合体の製造方法を提
供する。 【解決手段】 メタクリル酸および/またはアクリル酸
単位を含むビニル単量体単位からなる共重合体(以下、
原共重合体と称する)を熱処理して6員環酸無水物単位
を含有する耐熱変形性の共重合体を製造するに際し、原
共重合体に次亜リン酸塩 0.001〜0.5重量%を存在させ
ることを特徴とする耐熱変形性の熱可塑性共重合体の製
造方法。
リル酸を無水物へ転換させ、光学部品にも適するより着
色の少ない無色透明な熱可塑性共重合体の製造方法を提
供する。 【解決手段】 メタクリル酸および/またはアクリル酸
単位を含むビニル単量体単位からなる共重合体(以下、
原共重合体と称する)を熱処理して6員環酸無水物単位
を含有する耐熱変形性の共重合体を製造するに際し、原
共重合体に次亜リン酸塩 0.001〜0.5重量%を存在させ
ることを特徴とする耐熱変形性の熱可塑性共重合体の製
造方法。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱変形性の優れ
た熱可塑性共重合体の製造方法に関するものであり、共
重合された分子内のカルボン酸の一部を酸無水物構造に
変える方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】熱可塑性共重合体、特にポリメタクリル
酸メチルやポリスチレン或いはメタクリル酸メチル−ス
チレン共重合体などは、その透明性、機械的性質、成形
加工性など優れた特性から自動車部品、電気関係部品、
工業部品、雑貨等の広い分野で使用されている。しかし
ながら、近年これらの材料の用途が広がるにつれて更に
耐熱変形温度が高く、透明性、機械的性質の良い樹脂材
料の要求が強くなってきている。これらの要求をみたす
ため多くの検討がなされてきた。例えば、耐熱変形性の
優れた材料としてはメタクリル酸とメタクリル酸メチル
および/またはスチレンとの共重合によって製造できる
ことは既に知られている。しかしながら、一般的にはメ
タクリル酸が共重合された樹脂は吸水性が高くなるため
吸水による耐熱性の低下がみられるとともに成形加工中
に脱水により揮発性物質が発生して成形品の表面にスプ
ラッシュ(銀条すじ)が発生し、満足に使用できないこ
とが知られている。その改良法として例えば特開昭49−
85184 号公報には、共重合したエチレン系不飽和カルボ
ン酸基の、ある量をカルボン酸無水物基に転化すること
つまり閉環させることによって成形品の表面にスプラッ
シュの発生なしに耐熱変形性の優れた熱可塑性共重合体
を製造できることが記載されている。このようにして得
られる重合体は溶媒によるクレージングに対する抵抗性
や共重合体の水に対する抵抗性がすぐれる利点も知られ
ている。この方法はカルボン酸基の充分な量を無水物基
に転化するためには共重合体を通気した押出機へ繰返し
通すことが必要であって工業プロセスとしては生産性が
悪いという問題点があり、実用上使用しにくい方法とな
っている。また、特開昭58−217501号公報には、耐熱性
及び熱安定性に優れたメタクリル酸単位を主体とする新
規共重合体が開示されている。その実施例によればこの
製造方法はメタクリル酸メチルおよび/またはスチレン
とメタクリル酸を連続塊状重合で共重合し、共重合体お
よび未反応物を高温真空室へ供給して未反応物の除去及
び6員環酸無水物の生成を行うことが記載されている。
しかし、この方法で6員環酸無水物の生成を行うには高
温真空室での共重合体樹脂の滞留時間を長くとる必要が
あり、生成ポリマーの着色などの問題がでてくる。そこ
で本発明者らは、先に特開昭61−254608号公報のごと
く、塩基性化合物を共有させることにより短時間で閉環
し、6員環酸無水物を含む耐熱変形性の優れたしかも着
色の少い熱可塑性共重合体の製造方法を提案した。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】特開昭61−254608号公
報に提案の技術によって、得られる重合体の着色は大い
に改良されたが、通常のメタアクリル系樹脂と対比する
と未だ多少着色が見られる。最近、メタクリル系樹脂に
よるレンズ、導光体や透光性フィルターのごとき光学部
品を含む光電製品が光源の出力アップや、自動車内での
使用のごとき高温環境での使用が多くなったことから、
光学的特性を維持したまま、耐熱変形性のメタアクリル
系樹脂が要望されて来た。そこで本発明は、共重合した
メタクリル酸および/またはアクリル酸を無水物へ転換
させ、光学部品にも適するより着色の少ない無色透明な
熱可塑性共重合体の製造方法を提供する。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明はメタクリル酸お
よび/またはアクリル酸単位を含むビニル単量体単位か
らなる共重合体(以下、原共重合体と称する)を熱処理
して6員環酸無水物単位を含有する耐熱変形性の共重合
体を製造するに際し、原共重合体に次亜リン酸塩 0.001
〜0.5重量%を存在させることを特徴とする耐熱変形性
の熱可塑性共重合体の製造方法である。 【0005】 【発明の実施の形態】本発明の製造に用いる原共重合体
はメタクリル酸および/あるいはアクリル酸と、これと
共重合可能なビニル単量体との共重合体である。共重合
体中のメタクリル酸および/あるいはアクリル酸単位の
含有量は5〜50重量%、好ましくは5〜40重量%で
ある。これが5重量%より少ない共重合量であれば耐熱
性の付与効果が小さく、閉環による吸水性の改良(低
下)効果も小さくなる。またこれが50重量%より量が
多ければ未閉環のカルボン酸が残りやすく吸水による大
幅な耐熱性低下や成形加工中に成形品の表面に揮発性物
質によるスプラッシュが発生し易くなり好ましくない。 【0006】メタクリル酸およびアクリル酸以外のビニ
ル単量体としては、一般に汎用熱可塑性樹脂の単量体と
して用いられるものが適用できる。オレフィン類、塩化
ビニル、アクリロニトリル、芳香族ビニル化合物、不飽
和カルボン酸アルキルエステルなどがある。なかでも不
飽和カルボン酸アルキルエステル、芳香族ビニル化合物
から選ばれた1種又は2種以上が望ましい。不飽和カル
ボン酸アルキルエステルとしては、メタクリル酸エステ
ル、アクリル酸エステルであり、具体的には、メタクリ
ル酸メチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t
−ブチル、メタクリル酸n−ボルニル、メタクリル酸イ
ソボルニル、メタクリル酸フェンチル、メタクリル酸シ
クロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベ
ンジル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、アクリル酸
メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等があげ
られる。芳香族ビニル化合物としてはスチレン、α−メ
チルスチレン等があげられる。 【0007】本発明の製造に用いる原共重合体は、前述
の単量体を公知の懸濁重合、塊状重合、乳化重合、溶液
重合等の重合方法で製造できるが、不純物がより少ない
点で懸濁重合、塊状重合が特に好ましい。 【0008】本発明に用いられる次亜リン酸塩として
は、次亜リン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩
であり、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸ナトリウム、
次亜リン酸カルシウムなどをあげることができる。 【0009】次亜リン酸塩の使用形態は固体、水溶液の
いずれであっても良い。その添加方法は、原共重合体に
混合機を用いて混合してもよいし、閉環造粒時に水溶液
としてポンプを使用して液添してもよい。 【0010】その量は原共重合体に対して、0.001 〜0.
5重量%であり、好ましくは 0.005〜0.3重量%であ
る。0.0001重量%未満だと生成する熱可塑性共重合体が
着色し易く、0.5重量%を越えると温水による白化を起
こし易く好ましくない。 【0011】本発明において、メタクリル酸および/ま
たはアクリル酸単位を熱処理して6員環酸無水物単位と
する閉環を促進するもの(閉環促進剤と称する)として
塩基性化合物を併用することが望ましい。閉環促進剤に
適した塩基性化合物としては、無機塩基化合物及び有機
塩基化合物があげられる。無機塩基化合物としては、水
酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等の
アルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグ
ネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物などをあげるこ
とができる。なかでも水酸化カリウム、水酸化ナトリウ
ムなどのアルカリ金属水酸化物が望ましい。有機塩基化
合物としてはトリエチルアミン、ジエチルアミン、エチ
ルアミンなどのアミン類、2−フェニルメチルイミダゾ
ール、グアニジン、1,8−ジアザビシクロ−〔5,
4,0〕−ウデセン−7などのイミン類、水酸化トリメ
チルフェニルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジル
アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウムなどの
水酸化第四アンモニウム塩、p−トルエンスルホニウム
酸ナトリウムなどのスルホニウム塩基、ナトリウムメチ
ラート、カリウムメチラート、ナトリウムエチラート、
カリウムエチラートなどのアルカリ金属誘導体アルコキ
シドなどをあげることができる。なかでもナトリウムメ
チラートが好ましい。 【0012】これら閉環促進剤は、形態として固体、水
溶液、有機溶剤溶液のいずれであっても良い。その添加
方法は単量体の重合時に単量体に一部あるいは全量添加
しあってもよいし、原共重合体に混合機を用いて混合し
て添加してもよい。 【0013】その添加量は原共重合体に対して 0.001〜
0.1重量%であり、好ましくは0.01〜0.5重量%であ
る。添加量が少なければメタクリル酸および/あるいは
アクリル酸の閉環促進効果が小さく、また多量に添加し
ても添加量に見合って閉環は促進されず、ゲルが発生し
やすくなり好ましくない。 【0014】本発明の方法における熱処理を実施する方
法については、公知の方法が用いられる。揮発成分除去
のための真空機能を有する加熱炉、押出機等が適し、好
適には原共重合体を転化点よりも高い温度で運転される
脱気押出機へ供給することによって行われる。熱処理の
温度は150〜350℃、好ましくは220〜320℃
の範囲から選ばれる。この温度より低いときには酸無水
物構造への閉環が不充分となり、この温度より高いとき
には着色が著しくなって透明樹脂としての価値を損なう
ことになり、いずれも好ましくない。熱処理操作によっ
て原料共重合体中のメタクリル酸および/またはアクリ
ル酸単位の70重量%以上、好ましくは80重量%以上
が6員環酸無水物構造に転換される。その結果、熱処理
後の共重合体は3〜50重量%、好ましくは5〜30重
量%の6員環酸無水物構造を有しているものとなる。 【0015】本発明のごとき閉環促進剤を用いることに
より、メタクリル酸エステル及びアクリル酸エステルを
単量体として用いた原共重合体の場合には、共重合され
たメタクリル酸および/あるいはアクリル酸量に対して
6員環酸無水物量が100重量%を超えることがある。 【0016】 【発明の効果】本発明の方法により得られる共重合体
は、6員環酸無水物への転換つまり閉環率が極めて高い
にも係わらず得られる熱可塑性共重合体の着色が極めて
少ない。また、原共重合体中のメタクリル酸および/ま
たはアクリル酸単位の含量が高い場合にも、得られる共
重合体中に残存する未閉環のメタクリル酸および/また
はアクリル酸単位の含量は10重量%以下、好ましくは
5重量%以下の極めて少量に減ずることができる。従っ
て酸無水物構造への転換が不充分な場合に生ずる成形加
工時における成形品表面のスプラッシュの発生が無く、
溶媒によるクレージングに対する抵抗性や、耐水性にお
いて優れている。 【0017】 【実施例】実施例における分析、物性の測定方法は次の
通りである。 ・6員環酸無水物の定量方法;特開昭49−85184 号公報
の記載に基づき赤外分光光度計の測定で行い、酸無水物
構造特有の1805cm-1の吸収を用いて定量した。 ・閉環率(%);生成した酸無水物重量(g) /仕込みメ
タクリル酸量(g) ×100 ・メルトフローインデックス(MI);ASTM D−
1238に準拠し230℃3.8kg荷重で測定した。 ・熱変形温度(HDT);ASTM D−648 に準拠し
18.6kg f/cm2 にて測定した。 ・成形品外観;得られた共重合体を、260℃で射出成
形で150mm×150mm×3mmの試料平板を作製し、ス
プラッシュの有無を肉眼で観察した。 ・色目;上記の試料平板を用い、日立製作所(製)自記
分光光度計にて、光路長150mmでのイエローインデッ
クス(YI)を測定し評価した。 ・熱水白化度;50mm×50mm×3mmの試料平板を沸騰
水中に1時間浸漬し取出し冷却後、日本精密光学株式会
社(製)ヘイズメーターSEP-HS-30Dにてヘイズを測定し
評価した。 【0018】実施例1 攪拌機の備わった5Lオートクレーブに2.2Lの水と2.
4gのヒドロキシセルロースを仕込み溶解した後に、1
60gのメタクリル酸(MAA)と1440gのメタクリル
酸メチル(MMA)と6.4gのラウリルメルカプタン、
5.6gのラウロイルパーオキサイドを加え、この混合物
を攪拌し80℃に加熱し重合を行った。1時間40分後
温度を98℃に上げ、更に1時間重合を行い、反応を完
結させた。その後、重合物を冷却、遠心分離、水洗して
80℃で乾燥を行い原共重合体ビーズを得た。このビー
ズを分析したところ、メタクリル酸メチル90重量%と
メタクリル酸10重量%であった。この原共重合体ビー
ズに、該ビーズ100部に、次亜リン酸ナトリウム 0.01部を
ヘンシエルミキサーで混合し、40mm脱気押出機(田辺
プラスチック機械製VS40-28 型 L/D=28)を用い
てスクリュー回転数50rpm 、樹脂温度290℃で閉環
造粒を行った。得られた共重合体を評価した。結果を表
2に示す。 【0019】実施例2 実施例1において、表1に示す単量体組成とした以外は
実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。 【0020】実施例3〜5 実施例1において、表1に示す単量体組成、次亜リン酸
ナトリウム の量、水酸化ナトリウムの量及び押出機の樹脂温
度とした以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に
示す。 【0021】比較例1 実施例1における次亜リン酸ナトリウム を添加しない以外は
実施例1と同様に行った。 評価結果を表2に示す。 【0022】比較例2 実施例3における次亜リン酸ナトリウム を添加しない以外は
実施例1と同様に行った。 評価結果を表2に示す。 【0023】比較例3 実施例3における次亜リン酸ナトリウム を1重量%とした以
外は実施例1と同様に行った。 評価結果を表2に
示す。 【0024】比較例4 実施例3における次亜リン酸ナトリウム に代えて、ペンタエ
リスリトールジフォスファイト(ウルトラノックス626 ボルグワ
ーナー社製)を0.01重量%とした以外は実施例3と
同様に行った。 評価結果を表2に示す。 【0025】 【表1】【0026】 【表2】
た熱可塑性共重合体の製造方法に関するものであり、共
重合された分子内のカルボン酸の一部を酸無水物構造に
変える方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】熱可塑性共重合体、特にポリメタクリル
酸メチルやポリスチレン或いはメタクリル酸メチル−ス
チレン共重合体などは、その透明性、機械的性質、成形
加工性など優れた特性から自動車部品、電気関係部品、
工業部品、雑貨等の広い分野で使用されている。しかし
ながら、近年これらの材料の用途が広がるにつれて更に
耐熱変形温度が高く、透明性、機械的性質の良い樹脂材
料の要求が強くなってきている。これらの要求をみたす
ため多くの検討がなされてきた。例えば、耐熱変形性の
優れた材料としてはメタクリル酸とメタクリル酸メチル
および/またはスチレンとの共重合によって製造できる
ことは既に知られている。しかしながら、一般的にはメ
タクリル酸が共重合された樹脂は吸水性が高くなるため
吸水による耐熱性の低下がみられるとともに成形加工中
に脱水により揮発性物質が発生して成形品の表面にスプ
ラッシュ(銀条すじ)が発生し、満足に使用できないこ
とが知られている。その改良法として例えば特開昭49−
85184 号公報には、共重合したエチレン系不飽和カルボ
ン酸基の、ある量をカルボン酸無水物基に転化すること
つまり閉環させることによって成形品の表面にスプラッ
シュの発生なしに耐熱変形性の優れた熱可塑性共重合体
を製造できることが記載されている。このようにして得
られる重合体は溶媒によるクレージングに対する抵抗性
や共重合体の水に対する抵抗性がすぐれる利点も知られ
ている。この方法はカルボン酸基の充分な量を無水物基
に転化するためには共重合体を通気した押出機へ繰返し
通すことが必要であって工業プロセスとしては生産性が
悪いという問題点があり、実用上使用しにくい方法とな
っている。また、特開昭58−217501号公報には、耐熱性
及び熱安定性に優れたメタクリル酸単位を主体とする新
規共重合体が開示されている。その実施例によればこの
製造方法はメタクリル酸メチルおよび/またはスチレン
とメタクリル酸を連続塊状重合で共重合し、共重合体お
よび未反応物を高温真空室へ供給して未反応物の除去及
び6員環酸無水物の生成を行うことが記載されている。
しかし、この方法で6員環酸無水物の生成を行うには高
温真空室での共重合体樹脂の滞留時間を長くとる必要が
あり、生成ポリマーの着色などの問題がでてくる。そこ
で本発明者らは、先に特開昭61−254608号公報のごと
く、塩基性化合物を共有させることにより短時間で閉環
し、6員環酸無水物を含む耐熱変形性の優れたしかも着
色の少い熱可塑性共重合体の製造方法を提案した。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】特開昭61−254608号公
報に提案の技術によって、得られる重合体の着色は大い
に改良されたが、通常のメタアクリル系樹脂と対比する
と未だ多少着色が見られる。最近、メタクリル系樹脂に
よるレンズ、導光体や透光性フィルターのごとき光学部
品を含む光電製品が光源の出力アップや、自動車内での
使用のごとき高温環境での使用が多くなったことから、
光学的特性を維持したまま、耐熱変形性のメタアクリル
系樹脂が要望されて来た。そこで本発明は、共重合した
メタクリル酸および/またはアクリル酸を無水物へ転換
させ、光学部品にも適するより着色の少ない無色透明な
熱可塑性共重合体の製造方法を提供する。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明はメタクリル酸お
よび/またはアクリル酸単位を含むビニル単量体単位か
らなる共重合体(以下、原共重合体と称する)を熱処理
して6員環酸無水物単位を含有する耐熱変形性の共重合
体を製造するに際し、原共重合体に次亜リン酸塩 0.001
〜0.5重量%を存在させることを特徴とする耐熱変形性
の熱可塑性共重合体の製造方法である。 【0005】 【発明の実施の形態】本発明の製造に用いる原共重合体
はメタクリル酸および/あるいはアクリル酸と、これと
共重合可能なビニル単量体との共重合体である。共重合
体中のメタクリル酸および/あるいはアクリル酸単位の
含有量は5〜50重量%、好ましくは5〜40重量%で
ある。これが5重量%より少ない共重合量であれば耐熱
性の付与効果が小さく、閉環による吸水性の改良(低
下)効果も小さくなる。またこれが50重量%より量が
多ければ未閉環のカルボン酸が残りやすく吸水による大
幅な耐熱性低下や成形加工中に成形品の表面に揮発性物
質によるスプラッシュが発生し易くなり好ましくない。 【0006】メタクリル酸およびアクリル酸以外のビニ
ル単量体としては、一般に汎用熱可塑性樹脂の単量体と
して用いられるものが適用できる。オレフィン類、塩化
ビニル、アクリロニトリル、芳香族ビニル化合物、不飽
和カルボン酸アルキルエステルなどがある。なかでも不
飽和カルボン酸アルキルエステル、芳香族ビニル化合物
から選ばれた1種又は2種以上が望ましい。不飽和カル
ボン酸アルキルエステルとしては、メタクリル酸エステ
ル、アクリル酸エステルであり、具体的には、メタクリ
ル酸メチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t
−ブチル、メタクリル酸n−ボルニル、メタクリル酸イ
ソボルニル、メタクリル酸フェンチル、メタクリル酸シ
クロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベ
ンジル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、アクリル酸
メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等があげ
られる。芳香族ビニル化合物としてはスチレン、α−メ
チルスチレン等があげられる。 【0007】本発明の製造に用いる原共重合体は、前述
の単量体を公知の懸濁重合、塊状重合、乳化重合、溶液
重合等の重合方法で製造できるが、不純物がより少ない
点で懸濁重合、塊状重合が特に好ましい。 【0008】本発明に用いられる次亜リン酸塩として
は、次亜リン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩
であり、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸ナトリウム、
次亜リン酸カルシウムなどをあげることができる。 【0009】次亜リン酸塩の使用形態は固体、水溶液の
いずれであっても良い。その添加方法は、原共重合体に
混合機を用いて混合してもよいし、閉環造粒時に水溶液
としてポンプを使用して液添してもよい。 【0010】その量は原共重合体に対して、0.001 〜0.
5重量%であり、好ましくは 0.005〜0.3重量%であ
る。0.0001重量%未満だと生成する熱可塑性共重合体が
着色し易く、0.5重量%を越えると温水による白化を起
こし易く好ましくない。 【0011】本発明において、メタクリル酸および/ま
たはアクリル酸単位を熱処理して6員環酸無水物単位と
する閉環を促進するもの(閉環促進剤と称する)として
塩基性化合物を併用することが望ましい。閉環促進剤に
適した塩基性化合物としては、無機塩基化合物及び有機
塩基化合物があげられる。無機塩基化合物としては、水
酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等の
アルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグ
ネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物などをあげるこ
とができる。なかでも水酸化カリウム、水酸化ナトリウ
ムなどのアルカリ金属水酸化物が望ましい。有機塩基化
合物としてはトリエチルアミン、ジエチルアミン、エチ
ルアミンなどのアミン類、2−フェニルメチルイミダゾ
ール、グアニジン、1,8−ジアザビシクロ−〔5,
4,0〕−ウデセン−7などのイミン類、水酸化トリメ
チルフェニルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジル
アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウムなどの
水酸化第四アンモニウム塩、p−トルエンスルホニウム
酸ナトリウムなどのスルホニウム塩基、ナトリウムメチ
ラート、カリウムメチラート、ナトリウムエチラート、
カリウムエチラートなどのアルカリ金属誘導体アルコキ
シドなどをあげることができる。なかでもナトリウムメ
チラートが好ましい。 【0012】これら閉環促進剤は、形態として固体、水
溶液、有機溶剤溶液のいずれであっても良い。その添加
方法は単量体の重合時に単量体に一部あるいは全量添加
しあってもよいし、原共重合体に混合機を用いて混合し
て添加してもよい。 【0013】その添加量は原共重合体に対して 0.001〜
0.1重量%であり、好ましくは0.01〜0.5重量%であ
る。添加量が少なければメタクリル酸および/あるいは
アクリル酸の閉環促進効果が小さく、また多量に添加し
ても添加量に見合って閉環は促進されず、ゲルが発生し
やすくなり好ましくない。 【0014】本発明の方法における熱処理を実施する方
法については、公知の方法が用いられる。揮発成分除去
のための真空機能を有する加熱炉、押出機等が適し、好
適には原共重合体を転化点よりも高い温度で運転される
脱気押出機へ供給することによって行われる。熱処理の
温度は150〜350℃、好ましくは220〜320℃
の範囲から選ばれる。この温度より低いときには酸無水
物構造への閉環が不充分となり、この温度より高いとき
には着色が著しくなって透明樹脂としての価値を損なう
ことになり、いずれも好ましくない。熱処理操作によっ
て原料共重合体中のメタクリル酸および/またはアクリ
ル酸単位の70重量%以上、好ましくは80重量%以上
が6員環酸無水物構造に転換される。その結果、熱処理
後の共重合体は3〜50重量%、好ましくは5〜30重
量%の6員環酸無水物構造を有しているものとなる。 【0015】本発明のごとき閉環促進剤を用いることに
より、メタクリル酸エステル及びアクリル酸エステルを
単量体として用いた原共重合体の場合には、共重合され
たメタクリル酸および/あるいはアクリル酸量に対して
6員環酸無水物量が100重量%を超えることがある。 【0016】 【発明の効果】本発明の方法により得られる共重合体
は、6員環酸無水物への転換つまり閉環率が極めて高い
にも係わらず得られる熱可塑性共重合体の着色が極めて
少ない。また、原共重合体中のメタクリル酸および/ま
たはアクリル酸単位の含量が高い場合にも、得られる共
重合体中に残存する未閉環のメタクリル酸および/また
はアクリル酸単位の含量は10重量%以下、好ましくは
5重量%以下の極めて少量に減ずることができる。従っ
て酸無水物構造への転換が不充分な場合に生ずる成形加
工時における成形品表面のスプラッシュの発生が無く、
溶媒によるクレージングに対する抵抗性や、耐水性にお
いて優れている。 【0017】 【実施例】実施例における分析、物性の測定方法は次の
通りである。 ・6員環酸無水物の定量方法;特開昭49−85184 号公報
の記載に基づき赤外分光光度計の測定で行い、酸無水物
構造特有の1805cm-1の吸収を用いて定量した。 ・閉環率(%);生成した酸無水物重量(g) /仕込みメ
タクリル酸量(g) ×100 ・メルトフローインデックス(MI);ASTM D−
1238に準拠し230℃3.8kg荷重で測定した。 ・熱変形温度(HDT);ASTM D−648 に準拠し
18.6kg f/cm2 にて測定した。 ・成形品外観;得られた共重合体を、260℃で射出成
形で150mm×150mm×3mmの試料平板を作製し、ス
プラッシュの有無を肉眼で観察した。 ・色目;上記の試料平板を用い、日立製作所(製)自記
分光光度計にて、光路長150mmでのイエローインデッ
クス(YI)を測定し評価した。 ・熱水白化度;50mm×50mm×3mmの試料平板を沸騰
水中に1時間浸漬し取出し冷却後、日本精密光学株式会
社(製)ヘイズメーターSEP-HS-30Dにてヘイズを測定し
評価した。 【0018】実施例1 攪拌機の備わった5Lオートクレーブに2.2Lの水と2.
4gのヒドロキシセルロースを仕込み溶解した後に、1
60gのメタクリル酸(MAA)と1440gのメタクリル
酸メチル(MMA)と6.4gのラウリルメルカプタン、
5.6gのラウロイルパーオキサイドを加え、この混合物
を攪拌し80℃に加熱し重合を行った。1時間40分後
温度を98℃に上げ、更に1時間重合を行い、反応を完
結させた。その後、重合物を冷却、遠心分離、水洗して
80℃で乾燥を行い原共重合体ビーズを得た。このビー
ズを分析したところ、メタクリル酸メチル90重量%と
メタクリル酸10重量%であった。この原共重合体ビー
ズに、該ビーズ100部に、次亜リン酸ナトリウム 0.01部を
ヘンシエルミキサーで混合し、40mm脱気押出機(田辺
プラスチック機械製VS40-28 型 L/D=28)を用い
てスクリュー回転数50rpm 、樹脂温度290℃で閉環
造粒を行った。得られた共重合体を評価した。結果を表
2に示す。 【0019】実施例2 実施例1において、表1に示す単量体組成とした以外は
実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。 【0020】実施例3〜5 実施例1において、表1に示す単量体組成、次亜リン酸
ナトリウム の量、水酸化ナトリウムの量及び押出機の樹脂温
度とした以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に
示す。 【0021】比較例1 実施例1における次亜リン酸ナトリウム を添加しない以外は
実施例1と同様に行った。 評価結果を表2に示す。 【0022】比較例2 実施例3における次亜リン酸ナトリウム を添加しない以外は
実施例1と同様に行った。 評価結果を表2に示す。 【0023】比較例3 実施例3における次亜リン酸ナトリウム を1重量%とした以
外は実施例1と同様に行った。 評価結果を表2に
示す。 【0024】比較例4 実施例3における次亜リン酸ナトリウム に代えて、ペンタエ
リスリトールジフォスファイト(ウルトラノックス626 ボルグワ
ーナー社製)を0.01重量%とした以外は実施例3と
同様に行った。 評価結果を表2に示す。 【0025】 【表1】【0026】 【表2】
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】メタクリル酸および/またはアクリル酸単
位を含むビニル単量体単位からなる共重合体(以下、原
共重合体と称する)を熱処理して6員環酸無水物単位を
含有する耐熱変形性の共重合体を製造するに際し、原共
重合体に次亜リン酸塩 0.001〜0.5重量%を存在させる
ことを特徴とする耐熱変形性の熱可塑性共重合体の製造
方法。 【請求項2】原共重合体を熱処理して6員環酸無水物単
位を含有する耐熱変形性の共重合体を製造するに際し、
原共重合体に次亜リン酸塩 0.001〜0.5重量%および塩
基性化合物から選ばれる少くとも1種の閉環促進剤 0.0
01〜0.1重量%、を存在させることを特徴とする耐熱
変形性の熱可塑性共重合体の製造方法。 【請求項3】原共重合体中のメタクリル酸および/また
はアクリル酸単位の含有量が5〜50重量%であること
を特徴とする〔請求項1〕または〔請求項2〕記載の耐
熱変形性の熱可塑性共重合体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20213095A JPH0948818A (ja) | 1995-08-08 | 1995-08-08 | 耐熱変形性の熱可塑性共重合体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20213095A JPH0948818A (ja) | 1995-08-08 | 1995-08-08 | 耐熱変形性の熱可塑性共重合体の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0948818A true JPH0948818A (ja) | 1997-02-18 |
Family
ID=16452469
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20213095A Pending JPH0948818A (ja) | 1995-08-08 | 1995-08-08 | 耐熱変形性の熱可塑性共重合体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0948818A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7348387B2 (en) | 2002-03-26 | 2008-03-25 | Toray Industries, Inc. | Thermoplastic polymer, process for producing the same, and molded article |
WO2008143245A1 (ja) * | 2007-05-21 | 2008-11-27 | Toray Industries, Inc. | 熱可塑性共重合体の製造方法および熱可塑性共重合体 |
EP3604432A1 (en) | 2018-07-30 | 2020-02-05 | Sumitomo Chemical Company, Limited | Polymer composition |
-
1995
- 1995-08-08 JP JP20213095A patent/JPH0948818A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7348387B2 (en) | 2002-03-26 | 2008-03-25 | Toray Industries, Inc. | Thermoplastic polymer, process for producing the same, and molded article |
WO2008143245A1 (ja) * | 2007-05-21 | 2008-11-27 | Toray Industries, Inc. | 熱可塑性共重合体の製造方法および熱可塑性共重合体 |
EP3604432A1 (en) | 2018-07-30 | 2020-02-05 | Sumitomo Chemical Company, Limited | Polymer composition |
JP2020019832A (ja) * | 2018-07-30 | 2020-02-06 | 住友化学株式会社 | 重合体組成物 |
KR20200013594A (ko) | 2018-07-30 | 2020-02-07 | 스미또모 가가꾸 가부시끼가이샤 | 중합체 조성물 |
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