JPH0942810A - 吸収冷凍機の診断方法 - Google Patents

吸収冷凍機の診断方法

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Publication number
JPH0942810A
JPH0942810A JP7218223A JP21822395A JPH0942810A JP H0942810 A JPH0942810 A JP H0942810A JP 7218223 A JP7218223 A JP 7218223A JP 21822395 A JP21822395 A JP 21822395A JP H0942810 A JPH0942810 A JP H0942810A
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JP
Japan
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refrigerant
temperature
absorption
absorption liquid
evaporator
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Application number
JP7218223A
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English (en)
Inventor
Katsuhiko Shibata
克彦 柴田
Atsushi Takahashi
惇 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Takasago Thermal Engineering Co Ltd
Original Assignee
Takasago Thermal Engineering Co Ltd
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Publication date
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Priority to JP7218223A priority Critical patent/JPH0942810A/ja
Publication of JPH0942810A publication Critical patent/JPH0942810A/ja
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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A30/00Adapting or protecting infrastructure or their operation
    • Y02A30/27Relating to heating, ventilation or air conditioning [HVAC] technologies
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02BCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO BUILDINGS, e.g. HOUSING, HOUSE APPLIANCES OR RELATED END-USER APPLICATIONS
    • Y02B30/00Energy efficient heating, ventilation or air conditioning [HVAC]
    • Y02B30/62Absorption based systems

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  • Sorption Type Refrigeration Machines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 吸収冷凍機の異常を早期に検出し、故障や運
転停止に至る前に異常発生箇所と異常原因を究明し、故
障の未然防止をはかる。 【解決手段】 吸収冷凍機の冷凍サイクルにおける濃度
の高くなった吸収液bの温度、吸収液bの濃度、再生器
10の加熱温度、再生器10の圧力、冷媒aの飽和温
度、蒸発器1の冷媒aの温度、蒸発器1の圧力などの運
転状態値を監視し、それら運転状態値が予め設定された
しきい値から外れた場合に、吸収液bの過冷却による結
晶、吸収液bの濃縮による結晶、冷媒aへの吸収液bの
混入といった異常を診断する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空調設備などに用
いられる吸収冷凍機の異常を早期に検出し、異常箇所と
原因を冷凍機が故障に到る前に事前に診断する方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】吸収冷凍機は、騒音や振動が小さく、地
球温暖化係数も小さいことから公害に与える影響も少な
いといった利点があり、近年、急速に需要が増大してい
る。しかし、圧縮系の冷凍機に比べて歴史が浅く、経年
劣化のメカニズムや長期に渡って、安定かつ高効率を維
持する運転管理に関する経験的知識が十分とは言えな
い。このため、吸収冷凍機は、運転中の異常や故障が発
生しやすい。そこで従来、吸収冷凍機について、次のよ
うな方法で保守点検を行っている。
【0003】[1]日常の保守管理として行う方法。 吸収冷凍機の長寿命のために、日常保守管理の定期点検
やポンプ類の整備、吸収液のろ過などの定期整備を行う
方法である。吸収冷凍機は、真空状態で運転しているこ
と、及び内部に使用している吸収液が腐食性のある臭化
リチウム水溶液であること等から真空の保持、腐食抑制
剤の管理などを徹底していても長期間使用による内部腐
食や錆など不純物の詰まり等により性能的、機械的に劣
化して行くからである。保守管理は、年間運転時間など
から機器メーカーが取り決めた間隔で実施する場合が多
く、安全を見込んだ短めの間隔となっている。
【0004】[2]冷凍機本体に装備されているマイコ
ンを用いて故障を検出する方法。 LSIの普及に伴い、吸収冷凍機本体もいわゆるマイコ
ン内蔵型の機種が開発されている。そこで従来は、冷凍
機本体の運転制御に使用する各部位の温度等を過去の一
定期間記憶し、記憶されたデータを別置きのパソコン等
に伝送し表示するようにしている。そして、点検作業員
は、その表示を見て、トリップ等の保護回路作動による
故障時に記憶されたデータを再現することで、故障前の
運転状態を把握し、診断に役立てている。
【0005】[3]コンピュータ等を利用して故障を調
べる方法。 吸収冷凍機に故障が発生した時、故障原因と対策をコン
ピュータにより解明する。この方法は、過去の故障事例
とその原因、対策に関する知識をコンピュータに予め入
力しておき、利用者は、現在起きた故障をコンピュータ
に入力することで、コンピュータによる診断結果(故障
原因と対策)を得る。また、コンピュータにデータが入
力されているため、診断に個人差がでにくい。また、こ
の方法は故障発生後の早期復旧をはかることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、以上のような
従来の方法は次のような解決課題を有している。
【0007】[1]日常の保守管理を定期的に行う方法
は、冷凍機の実際の使用環境や負荷によっては、過剰点
検による保全費用の損失、次回点検までの間に起こる故
障による運転の損失が生じる。従って、保守管理の間隔
と損失をバランスさせるのが困難である。また、保守点
検には豊富な知識と経験が必要とされるため、点検作業
員の技術レベルに依存してしまう。
【0008】[2]冷凍機の機器本体に装備されたマイ
コンの診断は、安定した運転制御の維持と、停止時間を
短くすることを目的としているため、機器自身の保護回
路による故障が発生する。また、この方法も、故障時の
診断は点検作業員に委ねられており、先の[1]の方法
と同様の課題がある。
【0009】[3]コンピュータを利用した方法は、故
障の発生を事後的に保全するものであるため、故障前の
異常現象を検出することができず、故障の予防には効果
を発揮しない。
【0010】そして、以上に説明した従来の方法は何れ
も故障後の早期復旧を目的としたものであり、異常の早
期検出と冷凍機の故障の保全には十分には寄与しない。
【0011】本発明の目的は、吸収冷凍機の異常を早期
に検出し、故障や運転停止に至る前に異常発生箇所と異
常原因を究明し、故障の未然防止をはかることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、蒸発器
において周囲より気化熱を奪って蒸発した冷媒を吸収器
に送って吸収液で吸収させ、吸収器において冷媒を吸収
して濃度の薄くなった吸収液を再生器に送って加熱する
ことにより冷媒を蒸発させ、濃度の高くなった吸収液は
再生器に送られる濃度の薄くなった吸収液と熱交換させ
た後に再び吸収器に戻し、蒸発した冷媒は凝縮器に送っ
て凝縮させ、凝縮器において凝縮した冷媒を蒸発器に送
る吸収冷凍機において、濃度の高くなった吸収液の温度
が、濃度の薄くなった吸収液と熱交換した後において、
次式(1)で示される過冷却結晶温度Tc以下となった
ときに吸収液が過冷却による結晶を生じると診断する方
法が提供される。
【0013】 Tc = −2189.3+65.77X−0.4839X2 ・・・(1) ここに、X:濃度の高くなった吸収液の濃度[wt%]
【0014】また、本発明によれば、以上のような吸収
冷凍機において、濃度の薄くなった吸収液を再生器にて
加熱する温度が、次式(2)で示される濃縮結晶温度T
h以上となったときに吸収液が濃縮による結晶を生じる
と診断する方法が提供される。
【0015】 Th = 762638/[−756.9+{572897.61+1525276(6.3768−logP1)}0.5 ] ・・・(2) ここに、P1:再生器の圧力[kPa]
【0016】また、本発明によれば、以上のような吸収
冷凍機において、次式(3)で示される温度差ΔTeが
0より大きくなったときに蒸発器において冷媒に吸収液
が混入していると診断する方法が提供される。
【0017】 ΔTe = Tec−Tem ・・・(3) ここに、Tec:冷媒の飽和温度[℃] = 208191/[(−1596.49+{2548780+416382(7.05
−logP2)}0.5] Tem:蒸発器の冷媒の温度[℃] P2 :蒸発器の圧力[kPa]
【0018】このように本発明の診断方法は、吸収冷凍
機の冷凍サイクルにおける濃度の高くなった吸収液の温
度、吸収液の濃度、再生器の加熱温度、再生器の圧力、
冷媒の飽和温度、蒸発器の冷媒の温度、蒸発器の圧力な
どの運転状態値を監視し、それらの運転状態値が計算で
求める所定の制限値を超えた場合に、吸収液の過冷却に
よる結晶、吸収液の濃縮による結晶、冷媒への吸収液の
混入といった異常を診断する。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
をもとにして説明する。図1は、本発明の実施の形態を
適用するための吸収冷凍機のシステムフロー図である。
なお、図1には単効用式の吸収冷凍機を示したが、原理
的には、二重効用式も同様であり、本発明方法を二重効
用式に提供することも可能である。吸収冷凍機において
は、蒸発器1から凝縮器2に圧力差に打ち勝って冷媒a
を運ぶために、圧縮機でなく吸収液bによる冷媒aの吸
収作用を用いている。吸収冷凍機において利用される冷
媒aと吸収液bの組合わせには種々あるが、空調用では
臭化リチウム(LiBr)水溶液を吸収液bとし、水を
冷媒aとするものがもっぱら使用されている。
【0020】蒸発器1は高い真空度に保たれており、こ
の蒸発器1においてチューブ3内を流れる冷水より気化
熱を奪って蒸発した冷媒aの蒸気は通路4を通って吸収
器5に導入される。
【0021】吸収器5では、上方に配置されたノズル6
から吸収液bが噴霧されており、蒸気となって導入され
た冷媒aは、吸収器5内において吸収液bと接触して吸
収される。このとき発生する吸収熱で吸収液bの温度が
上昇すると吸収能力が低下するので、チューブ7内に冷
却水を流し、絶えず吸収熱を取り除いている。
【0022】吸収器5において冷媒aを吸収したことに
より濃度の薄くなった吸収液bはポンプ8の稼働により
通路9を通って再生器10に送られる。再生器10では
チューブ11に加熱蒸気が供給されており、濃度の薄く
なった吸収液bはその加熱によって沸騰を起こし、吸収
した冷媒aを蒸発させて分離し、吸収液bは濃度の高い
状態になる。
【0023】こうして濃度の高くなった吸収液bは通路
12を通って、再び吸収器5に戻り、吸収器5の上方に
配置されたノズル6から噴霧されて、冷媒aを吸収す
る。また、通路12を戻る途中、熱交換器13において
通路9を通る濃度の薄くなった吸収液bとの間で熱交換
が行われる。
【0024】一方、再生器10内での加熱により分離さ
れた冷媒aの蒸気は凝縮器2に送られる。そして、チュ
ーブ14に供給された冷却水で熱を奪われて凝縮され
る。こうして、凝縮器2において凝縮・液化した冷媒a
は、絞りの作用をする細い管15を通って圧力が下が
り、再び蒸発器1に入る。なお、凝縮器2内のチューブ
14に供給される冷却水は、一般には、吸収器5のチュ
ーブ7から直列に通水されるようになっている。
【0025】以上のように構成された吸収冷凍機におけ
る異常現象を早期に検出するために、本発明では、吸収
冷凍機の冷凍サイクルにおける濃度の高くなった吸収液
bの温度、再生器10の加熱温度、再生器の圧力10、
冷媒aの飽和温度、蒸発器1の冷媒aの温度、蒸発器1
の圧力などの運転状態値を監視する。そして、それらの
運転状態値が計算で求める所定の制限値を超えた場合
に、吸収液bの過冷却による結晶、吸収液bの濃縮によ
る結晶、冷媒aへの吸収液bの混入といった異常の発生
を予測するものである。
【0026】(1)吸収液bの過冷却による結晶 吸収液bに用いられるLiBr水溶液は、冷凍サイクル
の結晶ラインを境に結晶を起こす。結晶の原因は、吸収
液bの温度の急激な下降(過冷却結晶)と吸収液bの濃
度の上昇(濃縮結晶)に大別される。過冷却結晶は、再
生器10において濃度の高くなった吸収液bが通路12
を通って吸収器5へ戻る途中において、熱交換器13で
冷却されることによって、例えば通路12の途中などに
おいて発生する。そして、過冷却結晶が生じた場合は、
吸収器5への吸収液bの循環量が少なくなる。このた
め、吸収器5の圧力が低下して蒸発器1での冷媒aの蒸
発が進行し、蒸発器1のチューブ3内を流れる冷水が凍
結し、チューブ3が破裂に至る危険性が生じる。このよ
うに、過冷却結晶は冷凍サイクルの能力低下、運動不能
といった影響を及ぼす。
【0027】ここで、以上のような過冷却結晶は、例え
ば通路12を流れる濃度の高くなった吸収液bの流量を
計測する事によっても診断できる。しかし、流量を計測
する方法は、異常の事前検出と冷凍機の故障の保全には
十分に寄与することができない。これに対して、本発明
では、「現在の運転が継続された場合、過冷却結晶が起
こるか否かを診断する」ことにより、異常を事前に診断
する。
【0028】図2は、単効用吸収冷凍機の冷凍サイクル
において吸収液bが過冷却結晶および濃縮結晶が起こる
状態をデューリング線図で示したものである。再生器1
0を出る時点において、濃度の高くなった吸収液bは状
態点20にある。そして、状態点20にあった濃度の高
くなった吸収液bは通路12を流れる間に熱交換器13
で濃度の薄くなった吸収液bとの間で熱交換し、温度が
下げられて吸収器5の上方のノズル6から噴霧される。
熱交換器13での熱交換した後の濃度の高くなった吸収
液bは状態点21にある。なお、状態点20から状態点
21へ変化する間、吸収液bの濃度は一定で、温度と圧
力が低下する。
【0029】こうして状態点21へ移動した濃度の高く
なった吸収液bは、その後、吸収器5内において冷媒a
を吸収して濃度の薄くなった吸収液bとなる。この時点
で、濃度の薄くなった吸収液bは状態点22になる。な
お、状態点21から状態点22へ変化する間、圧力は一
定で濃度が低下する。そして、吸収器5を出た濃度の薄
くなった吸収液bは、濃度一定のまま通路9を通って再
生器10に送られ、その途中で、熱交換器13において
通路12を通る濃度の高くなった吸収液bと熱交換し、
熱交換後、状態点23になる。
【0030】こうして再生器10に送られた濃度の薄く
なった吸収液bは、再生器10にて加熱されて吸収した
冷媒aを蒸発分離し、再び濃度の高くなった吸収液bと
なる。この時、濃度の高くなった吸収液bは状態点20
になる。
【0031】以上のような冷凍サイクルにおいて、通
常、状態点21は過冷却結晶温度Tcより高い温度の位
置にあるが、熱交換器13での熱交換によって濃度の高
くなった吸収液bに過剰な温度低下が生じた場合は、状
態点21は結晶ライン24よりも下側の状態点21’に
移動し、この時、過冷却結晶が発生する。
【0032】この過冷却結晶が発生するか否かは、具体
的には、図2中において状態点20と状態点21を結ぶ
線分の延長線(状態点21と状態点21’を結ぶ線分)
と結晶ライン24との交点の温度である過冷却結晶温度
Tcと、熱交換器13の出口において測定される濃度の
高くなった吸収液bの温度とを比較することによって診
断できる。ここで、過冷却結晶温度Tcは、濃度の高く
なった吸収液bの濃度をX[wt%]として、次式
(1)で示される。
【0033】 Tc = −2189.3+65.77X−0.4839X2 ・・・(1)
【0034】よって、熱交換器13で冷却された後にお
ける濃度の高くなった吸収液bの温度と上記式(1)に
よって求められる過冷却結晶温度Tcとを比較すること
により、吸収液bの温度が過冷却結晶温度Tcよりも高
いときは吸収液bは過冷却による結晶を生ずることがな
く、他方、吸収液bの温度が過冷却結晶温度Tc以下と
なったときは吸収液bは過冷却による結晶を生ずる心配
がある、と診断することが可能である。
【0035】(2)吸収液bの濃度の上昇による結晶 一方、吸収液bの濃度の上昇による結晶(濃縮結晶)
は、再生器10における加熱温度が高すぎた場合に発生
する。濃縮結晶を生じると、再生器10への吸収液流入
量が少なくなり、全体的に(濃度の高くなった吸収液b
および濃度の薄くなった吸収液bの両方を含む)吸収液
bの温度および濃度が上昇する。これにより、吸収器5
での冷媒aの吸収量が増加して蒸発器1の蒸発が過剰に
進行し、蒸発器1の冷水用のチューブ3が凍結、破裂に
至る危険性がある。また、再生器10の加熱温度が上昇
すると、吸収冷凍機缶体の腐食抑制剤の成分が破壊さ
れ、抑制効果が悪くなる。このため、腐食が進行して缶
体に穴が開いてしまい、不凝縮ガスの流入、冷凍能力の
低下といった結果を招く。従って、濃縮結晶も、先に説
明した過冷却結晶と同様に、冷凍能力の低下、運動不能
といった影響を及ぼす。そこで、本発明では、「現在の
運転が継続された場合、濃縮結晶が起こるか否かを診断
する」ことにより、異常を事前に診断する。
【0036】先に示した図2の冷凍サイクルにおいて、
通常、状態点20は濃縮結晶温度Thより低い温度であ
るが、再生器10で加熱、濃縮されて濃度の高くなった
吸収液bに過剰な温度上昇が生じた場合は、状態点20
は結晶ライン25よりも右側の状態点20’に移動し、
この時、濃縮結晶が発生する。
【0037】この濃縮結晶が発生するか否かは、具体的
には、図2中において状態点20と状態点23を結ぶ線
分の延長線(状態点20と状態点20’を結ぶ線分)と
結晶ライン25との交点の温度である濃縮結晶温度Th
と、再生器10での加熱温度とを比較することによって
診断できる。ここで、濃縮結晶温度Thは、再生器10
の圧力P1を一定として、その圧力P1から結晶ライン2
5との交点での温度を計算したものであり、濃縮結晶温
度Thは次式(2)で示される。
【0038】 Th =762638/[−756.9+{572897.61+1525276(6.3768−logP1)}0.5] ・・・(2)
【0039】よって、濃度の薄くなった吸収液bを再生
器10にて加熱する温度と上記式(2)によって求めら
れる濃縮結晶温度Thとを比較することにより、再生器
10の加熱温度が濃縮結晶温度Thよりも低いときは吸
収液bは濃縮による結晶を生ずることがなく、他方、再
生器10の加熱温度が濃縮結晶温度Th以上となったと
きは吸収液bは濃縮による結晶を生ずる心配がある、と
診断することが可能である。
【0040】(3)冷媒aへの吸収液bの混入 また、以上のような冷凍サイクルにおいて、冷媒aへ吸
収液bが混入した場合は、冷媒aの沸点上昇により蒸発
器1におけるチューブ3内を流れる冷水と冷媒aとの熱
交換量が減少し、冷凍能力が低下する。
【0041】ここで、図3は、単効用吸収冷凍機の冷凍
サイクルにおいて吸収液bが混入した場合に冷媒aに与
える影響をデューリング線図で示したものである。再生
器10で吸収液bと蒸発分離した冷媒aは圧力一定で状
態点30から状態点31へ変化しながら凝縮器2に入
る。凝縮器2では、冷媒aは凝縮しながら飽和蒸気圧線
32上を状態点31から状態点33へと変化し、蒸発器
1に入る。蒸発器1は、吸収器5とほぼ等しい圧力で高
い真空度に保たれているため、冷媒aは蒸発器1にて圧
力一定で蒸発し、状態点34へと変化する。こうして蒸
発した冷媒aは次に吸収器5に入り、吸収器5の上方よ
り散布される吸収液bに吸収され、状態点30へ変化す
る。
【0042】以上のような冷凍サイクルにおいて、通常
は蒸発器1には冷媒aは水のみが存在しており、その場
合は蒸発器1の圧力P2[kPa]は、例えばアントワ
ンの式から次式のように算出される。
【0043】 logP2 = 7.07406−1657.46/{227.02+θ} ここに、θ:冷媒aの温度[℃]
【0044】しかし、冷媒aに吸収液bが混入した場合
は、同じ容積における冷媒aのモル分率は低下する。そ
して、この冷媒aのモル分率の低下に比例して冷媒aの
飽和蒸気圧線32も下がり(ラウルの法則)、飽和蒸気
圧線32は、図3中、点線32’に変化することにな
る。その結果、冷媒aの飽和温度は、状態点33上の状
態点33の温度Tec[℃]から、図3中において状態
点33と状態点34を結ぶ線分と点線32’との交点と
して示される状態点33’における温度Tem[℃]に
変化することとなる。従って、冷媒aに吸収液bが混入
すると次式(3)で示される温度差ΔTeが0より大き
くなることから、その混入による冷凍能力の低下が診断
できる。
【0045】 ΔTe=Tec−Tem [℃] …(3) ここに、Tec:冷媒aの飽和温度[℃] =208191/[(−1596.49+{2548780+416382(7.05−
logP2)}0.5] Tem:蒸発器1の冷媒aの温度[℃] P2:蒸発器1の圧力[kPa]
【0046】(4)診断ルール 図4は、以上に説明したように、過冷却結晶温度Tc、
濃縮結晶温度Th、および温度差ΔTeから、吸収冷凍
機の異常箇所・原因を診断するためのルールの一例を示
したフロー図である。図4中、左側の異常現象とは、吸
収冷凍機の冷凍サイクルにおいて計測された種々の状態
値をそれぞれのしきい値と比較して、その結果を示した
ものである。図4中の左側の異常現象から右側の異常箇
所・原因への矢印は、異常現象が複数発生した場合、ど
のような異常が生じているか、また異常箇所、異常原因
は何かを診断するためのフローを示している。
【0047】例えば、図2に示した冷凍サイクルにおけ
る状態点21(21’)の温度が過冷却結晶温度Tcを
下回り、かつ、チューブ7内を流れる冷却水の入口温度
が通常よりも低い場合は、「冷却水温度が低下したこと
による過冷却結晶の可能性がある」と診断される。この
ように、図4に示したルールに従って、故障に至る前に
異常を診断することが可能である。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、従来技術では予防でき
なかった吸収液の結晶や冷媒の溶液混入による能力低下
といった故障や運転停止を未然に防止することができ、
安定した吸収冷凍機の運転を継続することができるよう
になる。なお、本発明によって診断される冷凍サイクル
の変化は、吸収冷凍機の他に直炊き吸収冷温水発生機に
も応用できる。また、冷凍サイクルの変化は吸収冷凍機
の種々の異常が生じた場合、その変化として現れるた
め、冷凍サイクルを監視することで、吸収冷凍機の不調
を精度良く監視できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を適用するための吸収冷凍
機のシステムフロー図である。
【図2】冷凍サイクルの変化による結晶点を示したグラ
フ図である。
【図3】冷媒への吸収液の混入による冷凍サイクルの変
化を示したグラフ図である。
【図4】冷凍サイクルの能力の変化に現れる異常現象か
ら異常箇所、原因を診断するルールを示すフロー図であ
る。
【符号の説明】
a 冷媒 b 吸収液 1 蒸発器 2 凝縮器 5 吸収器 10 再生器 13 熱交換器

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蒸発器において周囲より気化熱を奪って
    蒸発した冷媒を吸収器に送って吸収液で吸収させ、吸収
    器において冷媒を吸収して濃度の薄くなった吸収液を再
    生器に送って加熱することにより冷媒を蒸発させ、濃度
    の高くなった吸収液は再生器に送られる濃度の薄くなっ
    た吸収液と熱交換させた後に再び吸収器に戻し、蒸発し
    た冷媒は凝縮器に送って凝縮させ、凝縮器において凝縮
    した冷媒を蒸発器に送る吸収冷凍機において、 前記濃度の高くなった吸収液の温度が、濃度の薄くなっ
    た吸収液と熱交換した後において、次式(1)で示され
    る過冷却結晶温度Tc以下となったときに吸収液が過冷
    却による結晶を生じると診断する方法。 Tc = −2189.3+65.77X−0.4839X2 ・・・(1) ここに、X:濃度の高くなった吸収液の濃度[wt%]
  2. 【請求項2】 蒸発器において周囲より気化熱を奪って
    蒸発した冷媒を吸収器に送って吸収液で吸収させ、吸収
    器において冷媒を吸収して濃度の薄くなった吸収液を再
    生器に送って加熱することにより冷媒を蒸発させ、濃度
    の高くなった吸収液は再生器に送られる濃度の薄くなっ
    た吸収液と熱交換させた後に再び吸収器に戻し、蒸発し
    た冷媒は凝縮器に送って凝縮させ、凝縮器において凝縮
    した冷媒を蒸発器に送る吸収冷凍機において、 前記濃度の薄くなった吸収液を再生器にて加熱する温度
    が、次式(2)で示される濃縮結晶温度Th以上となっ
    たときに吸収液が濃縮による結晶を生じると診断する方
    法。 Th =762638/[−756.9+{572897.61+1525276(6.3768−logP1)}0.5] ・・・(2) ここに、P1:再生器の圧力[kPa]
  3. 【請求項3】 蒸発器において周囲より気化熱を奪って
    蒸発した冷媒を吸収器に送って吸収液で吸収させ、吸収
    器において冷媒を吸収して濃度の薄くなった吸収液を再
    生器に送って加熱することにより冷媒を蒸発させ、濃度
    の高くなった吸収液は再生器に送られる濃度の薄くなっ
    た吸収液と熱交換させた後に再び吸収器に戻し、蒸発し
    た冷媒は凝縮器に送って凝縮させ、凝縮器において凝縮
    した冷媒を蒸発器に送る吸収冷凍機において、 次式(3)で示される温度差ΔTeが0より大きくなっ
    たときに蒸発器において冷媒に吸収液が混入していると
    診断する方法。 ΔTe = Tec−Tem ・・・(3) ここに、Tec:冷媒の飽和温度[℃] =208191/[(−1596.49+{2548780+416382(7.05−
    logP2)}0.5] Tem:蒸発器の冷媒の温度[℃] P2 :蒸発器の圧力[kPa]
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007183034A (ja) * 2006-01-06 2007-07-19 Tokyo Gas Co Ltd 吸収冷温水機及びその制御方法
WO2009092281A1 (zh) * 2008-01-08 2009-07-30 Qingquan Su 低温余热提升能量品位的吸收式热泵系统及方法

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