JPH0936486A - 半導体発光素子の製造方法 - Google Patents

半導体発光素子の製造方法

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JPH0936486A
JPH0936486A JP18119795A JP18119795A JPH0936486A JP H0936486 A JPH0936486 A JP H0936486A JP 18119795 A JP18119795 A JP 18119795A JP 18119795 A JP18119795 A JP 18119795A JP H0936486 A JPH0936486 A JP H0936486A
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浩 和田
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健 上條
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GIJUTSU KENKYU KUMIAI SHINJOHO
GIJUTSU KENKYU KUMIAI SHINJOHO SHIYORI KAIHATSU KIKO
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 製造歩留りが良く、ダブルヘテロ構造の結晶
層の成長に高度な成長技術を必要としない半導体発光素
子の製造方法。 【構成】 初期のInP半導体基板10にInGaAs
エッチストップ層12およびInP/InGaAsPの
DH結晶層20を順次に成長させる。DH結晶層の最上
部のInGaAsキャップ層28にガラス支持基板30
を、接着剤32としてワックスを用いて、固定した後、
この半導体基板とエッチストップ層を順次に除去する。
然る後、DH結晶層のInP第1クラッド層22の露出
面にSi基板50の表面を密着させてから熱処理を行な
って両面を接合させる。その後、DH結晶層を利用して
レーザ素子を作る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、半導体発光素子、特
に通信システム、光情報処理システム等に用いて好適な
半導体発光素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の半導体発光素子の製造方
法として、特開昭6−90061号(特願平4−240
565号)公報に開示されている方法がある。この公報
によれば、例えばInP基板のような半導体基板上に、
良好なダブルヘテロ(DH)構造例えばInP/InG
aAsPの結晶層を成長させた後、このDH構造の結晶
層(これを、以下単に、DH結晶層とかDH構造とかい
う。)を、この半導体基板とは材料が異なる、すなわち
異種の半導体基板、例えばSi基板上に直接接合させる
ことにより、この異種半導体基板上に作り込まれている
電気回路と、InP/InGaAs等からなる良好な発
光素子とを集積化することが可能であると提言されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この公報開示
の方法によれば、基板上にDH結晶層を成長させた後、
この結晶層の表面と異種半導体基板とを直接密着させ、
然る後、熱処理により、この密着面でDH結晶層と異種
半導体基板とを接合させている。その後、異種半導体基
板を劈開可能な厚さまで研磨し、続いて半導体基板をエ
ッチング除去して薄膜化を行ない、然る後、DH結晶層
を用いてレーザ素子を作っている。
【0004】この従来方法によると、DH結晶層成長の
ための半導体基板および最終的にDH結晶層と接合され
て半導体発光素子を形成するための異種半導体基板の両
基板の熱膨張係数の相違に起因して、上述の熱処理によ
ってDH結晶層や両基板に歪みが発生してしまう。従っ
て、熱処理後に機械的な研磨や化学エッチングなどで薄
膜化処理を行なうと、両基板が割れたり、またDH結晶
層が剥離したりすることがあるため、従来方法は製造歩
留りが悪くなるおそれがあった。
【0005】また、異種半導体基板との接合面を形成す
るDH結晶層の表面は、このDH結晶層を成長させた半
導体基板の表面からは遠い面でもあるので、ゴミの付着
や、結晶の突起状成長のために、平坦面とならない場合
があり、従って、この従来方法では、DH結晶層の表面
を平坦面とするために非常に高度な結晶成長技術で行な
う必要があった。
【0006】そこで、従来より、非常に高度な結晶成長
技術を特に必要とせず、しかも、製造歩留りがよい半導
体発光素子の製造方法が望まれていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明の製造方法によ
れば、次のようなステップで半導体発光素子を製造する
ことを特徴とする。
【0008】(a)先ず、半導体基板上にエッチストッ
プ層とダブルヘテロ構造の結晶層(DH結晶層)とを順
次に成長させる。
【0009】(b)次に、このDH結晶層の表面を接着
剤を用いて支持基板に固定する。
【0010】(c)次に、上述の半導体基板およびエッ
チストップ層を化学エッチングにより除去する。この除
去により、DH結晶層の、支持基板とは反対側の表面が
露出する。
【0011】(d)次に、上述のDH結晶層の露出した
表面を洗浄する。
【0012】(e)一方、上述の半導体基板とは格子定
数の異なった異種半導体基板の表面を洗浄する。
【0013】(f)次に、上述のDH結晶層の露出した
表面とこの異種半導体基板の表面とを直接密着させて固
定する。
【0014】(g)次に、先の接着剤を除去して異種半
導体基板とDH結晶層とが密着固定している構造体を得
る。
【0015】(h)次に、この構造体を熱処理して前述
のDH結晶層と異種半導体基板とを接合させる。
【0016】(i)その後、この構造体のDH結晶層を
用いて発光素子を作る。
【0017】また、この発明の実施に当たり、好ましく
は、前述の(c)工程の半導体基板に対する化学エッチ
ングを2段階に分けて順次に行なうのが良い。
【0018】また、この発明の好適実施例によれば、半
導体基板をInP基板とし、エッチストップ層をInG
aAs層とし、ダブルへテロ構造をInP/InGaA
sP構造とし、異種半導体基板をSi基板またはGaA
s基板とするのが良い。
【0019】さらに、この発明の好適実施例によれば、
半導体基板をGaAs基板とし、エッチストップ層をA
lGaAs層とし、ダブルへテロ構造をGaAs/Al
GaAs構造とし、異種半導体基板をGaAs基板とす
ることも出来る。
【0020】
【作用】このように、この発明の製造方法によれば、D
H結晶層の、これを成長させた半導体基板とは反対側の
表面に支持基板を設けた後、この半導体基板を除去して
薄膜化を行ない、然る後、半導体基板の除去により現れ
た、DH結晶層の、支持基板とは反対側の露出面に、異
種半導体基板を直接密着して固定し、その後、熱処理を
行なってDH結晶層と異種半導体基板とをその密着面で
接合させる構成となっている。
【0021】従って、この発明では、接合のための熱処
理を行なう前の適当な段階で機械的研磨や化学エッチン
グによる薄膜化処理を行なうので、基板やDH結晶層に
熱歪みが生じていない状態で薄膜処理を行なえる。よっ
て、この発明によれば、従来のような熱歪みに起因し
た、基板やDH結晶層の割れや剥れが発生するおそれが
なく、その結果、製造歩留りが確実に向上する。
【0022】さらに、この発明では、DH結晶層と異種
半導体基板との接合を、DH結晶層を成長させた半導体
基板側の、DH結晶層の表面(結晶成長の下面でもあ
る。)で行なっている。ところで、半導体基板にDH結
晶層を成長させた場合、結晶がこの半導体基板側から順
次に成長するに従って、結晶成長の上面にはゴミの付着
や突起状成長が増大してくることは従来からも知られて
いる。従って、この発明の場合には、半導体基板側の結
晶成長面すなわちDH結晶層の下面を使用している。こ
の下面側の結晶層の領域では、このゴミの付着や突起状
成長がないか、または、これらがあったとしても、実質
的に支障とならない程度にしか生じておらず、従って、
この結晶成長面は実質的に平坦面であるといえる。よっ
て、この発明によれば、このDH結晶層の、異種半導体
基板との接合面を平坦面とするために、従来とは異な
り、非常に高度な結晶成長技術を必要としなくて済む。
【0023】また、半導体基板に対する化学エッチング
を2段階で行なう場合には、半導体基板が厚い場合にそ
のエッチング過程でエッチング深さが不均一となってし
まうのを防止出来る。すなわち、この半導体基板をエッ
チング除去して露出した面を平坦面とすることが出来、
後工程での異種半導体基板とDH結晶層との接合を良好
に行なわしめることが出来、製造歩留りの向上を図るこ
とが出来る。
【0024】
【実施例】以下、図を参照して、この発明の好適な実施
例を説明する。尚、図はこの発明を理解出来る程度に、
形状、大きさおよび配置関係を概略的に示してあるにす
ぎない。また、断面を表す部分に付すべき斜線等を一部
分省略して示してある。
【0025】また、以下説明する実施例では、発光素子
として代表的なInP/InGaAsPのダブルヘテロ
構造のレーザ素子を作り込む場合につき説明する。
【0026】図1は、この発明の半導体発光素子の製造
方法の説明に供するの製造の流れ図である。図2〜図5
は、この発明の実施例の説明に供する製造工程図であ
り、特に、図2は初期半導体基板上にダブルヘテロ(D
H)構造を形成する方法の説明図で、得られた構造体を
断面で示してある。図3は、初期半導体基板とDH構造
とを備えた構造体を支持基板(支持体ともいう。)に接
着した後、この初期半導体基板を除去するまでの工程を
示してある。図4は、支持体を接着させたDH構造を異
種半導体基板に一旦固定させた後、支持体を除去し、そ
の後、加熱(アニール)処理を行なってDH構造と異種
半導体基板とを接合させる工程を示している。図5は、
最終的にDH構造を利用して発光素子としてレーザ素子
を作る工程を示している。
【0027】この発明では、先ず、初期の半導体基板と
して、例えば厚みが約350μmの第一導電型InP基
板を用意する。以下の実施例では、第一導電型をp導電
型とし、第二導電型をn導電型として説明するが、その
逆の組み合わせであっても良い。尚、以下の説明におい
て、特に必要がある場合を除き、導電型の説明は省略す
る。
【0028】この発明では、このInP基板10上にエ
ッチストップ層12とダブルヘテロ(DH)構造の結晶
層20とを順次に成長させる(図1のステップS1,図
2)。尚、このダブルヘテロ(DH)構造の結晶層を、
以下単にDH構造とかDH結晶層20という。この実施
例では、先ず、エッチストップ層12としてp型InG
aAs層を従来周知の方法で成長させる。次に、このD
H構造20をp型InGaAs層12上に周知の方法で
成長させる。この実施例では、第1クラッド層としての
p型InP層22、活性層としてのInGaAsP層2
4、第2クラッド層としてのn型InP層26およびキ
ャップ層(保護層ともいう。)としてのn型InGaA
s層28を順次に成長させる。このエッチストップ層1
2およびDH結晶層20の各層の全てが、基板10の格
子定数と出来るだけ整合した、すなわち基板の格子定数
に実質的に整合した格子定数となるような条件で成長さ
せる。一般に、DH結晶層を成長させるべき基板10の
格子定数をaとし、格子定数aとエッチストップ層12
およびDH結晶層20の各層の格子定数との差を△aと
したとき、△a/aが10-4より小さければ、DH構造
20は基板10と格子定数が整合していると見做し得
る。
【0029】次に、この発明によれば、DH結晶層20
を支持基板30に接着剤32を用いて固定する(図1の
ステップS2)。この実施例では、支持基板(支持体)
30は、表面が平坦面であって弾力性があれば良く、基
板10およびDH結晶層20等を備える構造体がそれ自
体たとえば3μm程度と薄くて指先でつかめない等、直
接取扱出来ないので、これを補強しおよび取扱容易に支
持するための補助手段として機能するものである。ま
た、この支持体は、柔らかい方がDH結晶層にコンタク
トし易くて良い。この支持体30として、好ましくは、
Matsunami Glass社製のカバーガラス(商品名)(厚み
0.13−0.17mm)を用いる。
【0030】接着剤は一時的にDH結晶層と支持体とを
貼りつけ固定出来、途中で行なわれる選択エッチングに
耐え、さらには最終的には接着剤を容易に剥がせるもの
であることが必要であり、また、場合によっては、支持
体の面が凹凸面であるときは、この凹凸を埋め込んで接
着剤で平坦面として強固に接着出来るものであることが
必要である。そのため、接着剤として、この実施例で
は、ワックスを用い、好ましくは、日化精工製のプロテ
クトワックスK.P.W.−C(商品名)(軟化点は1
00℃近辺である)を用いるのが良い。
【0031】そこで、先ず、この実施例では、平坦な表
面を有するホットプレート34上にカバーガラス30を
載せ、ホットプレート34を120−130℃の範囲内
の適当な温度に温め、このカバーガラス30の上側にワ
ックス32を押し付けて溶かす(図3の(A))。尚、
図3および図4において、ワックス32のみに斜線を施
してこのワックス32を強調して示してある。
【0032】次に、DH結晶層20の、基板10から一
番離れている側の成長面、すなわちキャップ層28の上
面を、このワックス32を介して、カバーガラス30に
貼りつけて、基板10、エッチストップ層12およびD
H結晶層20からなる構造体を支持基板30に固定する
(図3の(B))。
【0033】次に、ホットプレートから支持基板30が
固定された構造体を取り上げ、半導体基板10およびエ
ッチストップ層12を化学エッチングによって順次に除
去する(図1のステップS3)。そのため、先ず、この
実施例では、図3の(B)に示すカバーガラス30に固
定したDH構造を備える構造体を、このカバーガラスご
と、第一エッチャントに漬ける。この場合、好ましくは
このエッチャントをBr−CH3 OHエッチャントとす
るのが良い。このエッチャントで、InP基板10の厚
みが100μm程度となるまで、第一段階の化学エッチ
ングを行なう(図3の(C))。尚、図中、基板残部を
10aで示す。
【0034】続いて、第二エッチャントを用いて残存す
る基板10の部分(基板残部)10aを除去する(図3
の(D))。この第二エッチャントとして、好ましく
は、HClとする。この第二エッチャントは、下側に存
在しているエッチストップ層12の材料であるInGa
Asをエッチングしない選択エッチャントとする。この
ような選択エッチャントを用いることにより、基板に対
するエッチングを、下側のエッチストップ層12が現れ
たときに、自動的に停止させることが出来る。
【0035】また、特に、HClエッチャントはエッチ
ング中に表面を荒らすため、第二エッチングする前に、
基板の厚みをある程度までをBr−CH3 OHエッチャ
ントでエッチングしておくのが良い。このようなBr−
CH3 OHエッチャントとHClエッチャントによる2
段階化学エッチングにより、エッチングを均一に進め
て、基板10の一部分を残存させることなく基板10を
除去出来る。
【0036】次に、エッチストップ層12を化学エッチ
ングで除去する。この場合は、下側の第1クラッド層2
2としてのInGaAs層をエッチングしない、選択エ
ッチャントを用いる。この実施例では、好ましくは、H
2 SO4 :H22 :H2 O=3:1:1混合溶液を選
択エッチャントとするのがよい。このエッチストップ層
12をエッチング除去して第1クラッド層22の表面を
露出させる(図3の(E))。
【0037】次に、この露出した第1クラッド層22の
表面を洗浄する(図1のステップS4)。この洗浄は水
洗で充分に行なう。この洗浄面が後述する異種半導体基
板との接合面となる。ところで、この第1クラッド層2
2の洗浄面の平坦性は、基板10に最初に成長させたエ
ッチストップ層12であるInGaAs層の表面の平坦
性に依存する。結晶成長においては、ゴミの付着や突起
状成長は、一般に成長層の厚みが厚くなるほどすなわち
成長時間が長くなるほど、また、成長層の層数が多くな
るほど、多くなることが判明している。図2に示した構
造体で説明すると、InGaAs層(エッチストップ
層)12の表面よりは、InGaAs層(キャップ層)
28の表面での方が、ゴミや突起が多く、表面の平坦性
は失われる場合が多い。従って、この最終成長層の表面
を接合面として利用するより、第1層20と第2層22
との界面を接合面として利用した方が、ゴミや突起の影
響が少なくより平坦である。従って、この界面を形成す
る第2成長層22の基板10側の成長面を接合面として
利用する限り、従来、平坦面を形成するために求められ
ていた、結晶成長に対する高度な技術的要請を、この発
明では排除出来、従って、製造歩留りの向上が図れる。
【0038】次に、初期に使用した半導体基板10とは
格子定数が異なる異種半導体基板を用意する。この異種
半導体基板としてこの実施例では、初期の半導体基板の
材料であるInPとは異なる材料のSiまたはGaAs
基板を用いるが、ここではSi基板を例に挙げて説明す
る。先ず、このSi基板50は、通常、表面研磨された
基板であるため、その表面を洗浄する(図1のステップ
S5)。このため、このSi基板50を、先ず、H2
4 :H22 溶液で処理した後、約5分間水洗し、そ
の後、表面に形成される自然酸化膜を除去するため、緩
衝フッ酸処理を約30秒行なう。然る後、水洗を2分以
上行なう。その後、このように洗浄したSi基板50
と、支持基板30がワックス32で固定されているDH
結晶層20とをスピン乾燥により乾燥させ、その直後
に、Si基板の洗浄済面とDH結晶層20の第1クラッ
ド層22の洗浄面とをを対向させる(図4の(A))。
【0039】そして、速やかに両対向面を室温で、何ら
接着剤等を用いることなく、直接密着させて、密着構造
体を得る(図1のステップS6,図4の(B))。この
とき、たとえば、ピンセットのような適当な押圧具を用
いて、両者を両側からその全面にわたって軽く押し付け
るようにして確実に密着するようにするのが良い。
【0040】尚、このようなSi基板とDH構造との密
着工程は、それぞれの洗浄面が汚染しないうちに行なう
のが良い。そのため、Si基板とDH結晶層の露出面の
洗浄を並行して行なって、洗浄後は時間をおかずに直ち
に密着させるのが良い。
【0041】次に、支持基板30を接着する時に用いた
接着剤であるワックス32を除去する。そのため、この
ワックス32を溶かす溶剤、例えばこの実施例ではトリ
クロレンやソルファンTM等といったワックス溶剤60
に、ワックスで支持基板30が固定されている密着構造
体を漬け、溶剤を加熱する(図4の(C))。この処理
により、ワックス32が溶剤に溶け、これと共に支持基
板すなわちここではカバーガラス32がDH結晶層20
から剥離する。これを溶剤から取り出すと、図4の
(D)に示すようなSi基板50とDH結晶層20とか
らなる密着構造体を得る。
【0042】次に、この密着構造体をアニール炉に入れ
て熱処理して、DH結晶層20と異種半導体基板である
Si基板50とを接合させる(図1のステップS7)。
この場合の接合とは、意図的に接着剤等を用いずに、D
H結晶層20とSi基板50とを一体に結びつけること
を意味している。このアニールは、この密着構造体の上
に約30−300g/cm2 の範囲内の適当な重りを載
せて負荷をかけた状態で、水素雰囲気中で行なう。アニ
ール温度の昇降は、長い時間をかけてゆっくりアニール
するように、望ましくは例えば、昇温レートを200℃
/時間とし、および降温レートを200℃/時間とする
のが良い。また、昇温後のアニールの最高温度を約40
0℃とし、この温度で30分程度保持させた後、降温さ
せるのが好適である。このように、ゆっくりした温度上
昇と温度低下により、DH結晶層20やSi基板に熱歪
みが生じないし、また、熱歪みが生じたとしても、実質
的に何らの障害がない程度の歪みにすぎない。
【0043】次に、このDH結晶層20を利用して発光
素子であるレーザ素子を作りあげる(図1のステップS
8)。このレーザ発振を得るためのレーザ構造の作成例
を図5を参照して説明する。尚、図5において、電極の
みに斜線を施して電極を強調して示してある。ここで
は、DH結晶層20のキャップ層28上に例えば2−2
0μm程度の第2導電型の電極70を蒸着により形成す
る(図5の(A))。続いて、この電極70をエッチン
グマスクとして利用して、キャップ層28の表面から活
性層24までをメサエッチングして、第1クラッド層2
2の活性層24と接している表面を露出させる(図5の
(B))。次に、電極70、キャップ層28、第2クラ
ッド層26、活性層24からなるメサ構造の周りの、第
1クラッド層22の表面上に第1導電型の電極72を設
けてレーザ構造体を得る(図5の(C))。
【0044】次に、異種半導体基板であるSi基板50
を研磨して、Si基板が劈開容易となるようにする(図
1のステップS9)。このSi基板50の初期の厚みは
最終厚を50μm程度に出来るように。例えば300μ
m程度とする。この研磨は、好ましくは、Al23
の研磨材を用いて研磨し、適当な共振器長となるように
劈開して発光素子すなわちここではレーザ素子が完成す
る。
【0045】上述した実施例では、DH結晶層を成長さ
せるべき初期の半導体基板としてInP基板を用い、I
nP/InGaAsPのダブルヘテロ構造の結晶層を成
長させ、異種半導体基板としてSi基板を用いる例につ
き説明したが、この実施例に何ら限定されるものではな
く、例えば、初期基板としてInP基板を用い、InP
/InGaAsPのダブルヘテロ構造の結晶層を成長さ
せ、異種半導体基板としてGaAs基板を用いてもよ
く、また、初期基板としてGaAs基板を用い、GaA
s/AlGaAsのダブルヘテロ構造の結晶層を成長さ
せ、異種半導体基板としてSi基板を用いても、前述し
た実施例と同様にして製造出来る。
【0046】
【発明の効果】上述した説明からも明らかなように、こ
の発明の半導体発光素子の製造方法によれば、DH結晶
層の、これを成長させた半導体基板とは反対側の表面に
支持基板を設けた後、この半導体基板を除去して薄膜化
を行ない、然る後、半導体基板の除去により現れた、D
H結晶層の、支持基板とは反対側の露出面に、異種半導
体基板を直接密着して固定し、その後、熱処理を行なっ
てDH結晶層と異種半導体基板とをその密着面で接合さ
せている。
【0047】従って、この発明では、接合のための熱処
理を行なう前の適当な段階で機械的研磨や化学エッチン
グによる薄膜化処理を行なうので、基板やDH結晶層に
熱歪みが生じていない状態で薄膜処理を行なえる。よっ
て、この発明によれば、従来のような熱歪みに起因し
た、基板やDH結晶層の割れや剥れが発生するおそれが
なく、その結果、製造歩留りが確実に向上する。
【0048】さらに、この発明では、DH結晶層と異種
半導体基板との接合を、DH結晶層を成長させた半導体
基板側の、DH結晶層の表面(結晶成長の下面でもあ
る。)で行なっている。この下面側の結晶層の領域で
は、このゴミの付着や突起状成長がないか、または、こ
れらがあったとしても、実質的に支障とならない程度に
しか生じておらず、従って、この結晶成長面は実質的に
平坦面であるので、このDH結晶層の、異種半導体基板
との接合面を平坦面とするために、従来とは異なり、非
常に高度な結晶成長技術を必要としなくて済む。
【0049】また、半導体基板に対する化学エッチング
を2段階で行なう場合には、半導体基板が厚い場合にそ
のエッチング過程でエッチング深さが不均一となってし
まうのを防止出来る。すなわち、この半導体基板をエッ
チング除去して露出した面を平坦面とすることが出来、
後工程での異種半導体基板とDH結晶層との接合を良好
に行なわしめることが出来、製造歩留りの向上を図るこ
とが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の半導体発光素子の製造方法の説明に
供する流れ図である。
【図2】この発明の方法の説明に供する、DH構造の成
長層の断面図である。
【図3】(A)〜(E)は、初期半導体基板とDH構造
とを備えた構造体を支持基板に接着した後、この初期半
導体基板を除去するまでの工程を説明するための工程図
である。
【図4】(A)〜(D)は、支持基板を付けたDH構造
を異種半導体基板に一旦固定させた後、支持基板を除去
し、その後、加熱(アニール)処理を行なってDH構造
と異種半導体基板とを接合させる工程を説明するための
工程図である。
【図5】(A)〜(C)は、最終的にDH構造を利用し
て発光素子としてレーザ素子を作る工程を説明するため
の工程図である。
【符号の説明】
10:InP基板 12:エッチストップ層 20:DH結晶層 22:第1クラッド層 24:活性層 26:第2クラッド層 28:キャップ層 30:支持基板 32:接着剤 34:ホットプレート 50:Si基板 60:溶剤 70,72:電極

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)半導体基板上にエッチストップ層
    とダブルヘテロ構造の結晶層とを順次に成長させる工程
    と、 (b)該結晶層の表面を接着剤を用いて支持基板に固定
    する工程と、 (c)前記半導体基板およびエッチストップ層を化学エ
    ッチングにより除去する工程と、 (d)前記結晶層の露出した表面を洗浄する工程と、 (e)前記半導体基板とは格子定数の異なった異種半導
    体基板の表面を洗浄する工程と、 (f)前記結晶層の露出した表面と前記異種半導体基板
    の表面とを直接密着させて固定する工程と、 (g)前記接着剤を除去して前記異種半導体基板に前記
    結晶層が密着固定している構造体を得る工程と、 (h)該構造体を熱処理して前記結晶層と前記異種半導
    体基板とを接合させる工程と、 (i)その後、該構造体の前記結晶層を用いて発光素子
    を作る工程とを含むことを特徴とする半導体発光素子の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の半導体発光素子の製造
    方法において、前記(c)工程の半導体基板に対する化
    学エッチングを2段階に分けて順次に行なうことを特徴
    とする半導体発光素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の半導体発光素子の製造
    方法において、 前記半導体基板をInP基板とし、エッチストップ層を
    InGaAs層とし、前記ダブルへテロ構造をInP/
    InGaAsP構造とし、前記異種半導体基板をSi基
    板またはGaAs基板としたことを特徴とする半導体発
    光素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の半導体発光素子の製造
    方法において、 前記半導体基板をGaAs基板とし、エッチストップ層
    をAlGaAs層とし、前記ダブルへテロ構造をGaA
    s/AlGaAs構造とし、前記異種半導体基板をGa
    As基板としたことを特徴とする半導体発光素子の製造
    方法。
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