JPH0933894A - 高分子分散型液晶表示装置の駆動法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】電極を有する一対の基板間に少なくとも１種類
の２周波数駆動液晶材料を含む２種類以上の液晶材料
が、高分子層中に分散された構造を有し、１種類の液晶
材料のしきい値と、他の種類の液晶材料のしきい値とが
異なり、２周波数駆動液晶材料の交差周波数より低い周
波数および高い周波数の駆動電圧を印加する高分子分散
型液晶表示装置の駆動法。 【効果】幅広い周波数範囲で色調を制御することが可能
な高分子分散型液晶表示装置の駆動法を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は液晶表示装置に関し、特
に高分子分散型液晶表示装置の駆動方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】液晶の旋光特性を利用したツイスト（Ｔ
Ｎ）型や、スーパーツイスト（ＳＴＮ）型の液晶表示装
置は、一対の基板の内側にそれぞれ電極と配向膜を順次
形成し、対向した基板をシール剤で貼り合わせ、液晶を
封入する工程により製造される。そして表示装置として
使用するために偏光板を使用する。しかしこれらの表示
装置は偏光板を使用するため、透過光量の点で制限を受
け、明るさが低下するという欠点を有している。これに
対し、偏光板を用いない液晶表示装置として、高分子材
料中に液晶が分散されてなる表示装置（高分子分散型液
晶表示装置）が、特表昭５８−５０１６３１号公報に、
そして高分子分散型液晶表示装置のカラー化として、異
なる色の２色性染料を含む液晶材料と高分子材料からな
る複合体を積層または混合することで複数の発色が可能
であるとＳＩＤ９０ＤＩＧＥＳＴ、ｐ２１７（１９９
０）に述べられている。また、２周波数駆動液晶材料を
複数用いてこれらの液晶材料を独立に駆動し、多色表示
する方法が特開平０６−０１１６８６号公報に述べられ
ている。

【０００３】２周波数駆動液晶材料は、交差周波数とい
われる、その液晶材料に特有の周波数において、液晶分
子の長軸方向の誘電率ε‖と短軸方向の誘電率ε⊥の関
係がε‖＝ε⊥となり、交差周波数より低い周波数では
ε‖＞ε⊥であり、交差周波数より高い周波数ではε‖
＜ε⊥となる液晶材料である。

【０００４】特開平０６−０１１６８６号公報では、２
周波数駆動液晶材料と、周波数にかかわらずε‖＞ε⊥
の関係を持つ通常の液晶材料もしくは交差周波数の異な
る他の種類の２周波数駆動液晶材料を混合し、１種類の
２周波数駆動液晶材料の交差周波数付近の駆動電圧を印
加することによって、その２周波数駆動液晶材料に力を
及ぼすことなく、他の液晶材料のみを独立に駆動し、多
色表示を実行している。しかし、この方法では駆動電圧
の周波数は２周波数駆動液晶材料の交差周波数付近に限
定され、また複数の２周波数駆動液晶材料を用いる場合
は、各々の液晶材料の交差周波数が異なることが必要で
あった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の目的
は、２周波数駆動液晶の交差周波数付近に限定して駆動
する必要がなく、また交差周波数の異なる複数の２周波
数駆動液晶を使用する必要がない、色調制御が可能な高
分子分散型液晶表示装置の駆動方法を提供することにあ
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成させるた
めに、本発明は電極を有する一対の基板間に、２周波数
駆動液晶材料を含む２種類以上の液晶材料が高分子材料
中に分散された構造の高分子分散型液晶表示装置におい
て、この液晶材料のうち少なくとも１種類の液晶材料が
有する電気−光学特性のしきい値は、他の液晶材料が有
するしきい値と異なり、この高分子分散型液晶表示装置
に、２周波数駆動液晶材料の交差周波数より低い周波数
または高い周波数の電圧を印加することを特徴としてい
る。

【０００７】

【作用】本発明における高分子分散型液晶表示装置は、
電極を有する２枚の基板間に、２周波数駆動液晶材料を
含む、複数の液晶材料が高分子材料中に分散または連続
層をなした液晶表示装置であり、２周波数駆動液晶材料
と、他の種類の液晶材料で、電気−光学特性すなわちし
きい値特性が異なる液晶材料を用いている。２周波数駆
動液晶材料のしきい値付近で、２周波数駆動液晶材料の
交差周波数のより低周波数の電圧を印加、もしくは高周
波数の電圧を印加し、他の種類の液晶材料のしきい値付
近で、２周波数駆動液晶材料の交差周波数より低周波数
の電圧を印加、もしくは高周波数の電圧を印加し、駆動
を行うことにより、交差周波数付近での駆動の必要が無
くなり、幅広い周波数領域で各々の液晶材料を独立に、
また同時に駆動することができ、種々の色調を自由に制
御できる。

【０００８】

【実施例】以下、本発明による実施例を図を用いて説明
する。図１は本発明の実施例を示す高分子分散型の液晶
表示装置の構成を表す断面図である。第１の透明電極１
３を有する第１のガラス基板１１と、第２の透明電極１
４を有する第２のガラス基板１２との間に、高分子材料
１７と第１の液晶材料１５と第２の液晶材料１６からな
る高分子−液晶複合層を狭持しており、第１の透明電極
１３と第２の透明電極１４には、駆動電圧が印加され
る。

【０００９】第１の液晶材料１５は２周波数駆動液晶材
料で、液晶分子の長軸方向の誘電率をε‖、短軸方向の
誘電率をε⊥とすると以下のような性質を持つ。

【００１０】ε‖＞ε⊥ ｆ＜ｆ０ ε‖＜ε⊥ ｆ＞ｆ０ （ここでｆ０は交差周波数、ｆは駆動時の周波数）

【００１１】第２の液晶材料１６は２周波数駆動液晶材
料ではなく、駆動周波数に関係なく、ε‖＞ε⊥の関係
を持つ。

【００１２】また第１の液晶材料１５のしきい値電圧と
第２の液晶材料１６のしきい値電圧には、第１の液晶材
料１５のしきい値電圧＜第２の液晶材料１６のしきい値
電圧、の関係がある。

【００１３】２周波数駆動液晶である第１の液晶材料１
５が有する交差周波数より低周波数を印加した時の、第
１の液晶材料１５と第２の液晶材料１６の電気−光学特
性（横軸に電圧、縦軸に透過率を示す。）を図２に示
す。また交差周波数より高い周波数を印加した時の第１
の液晶材料１５と第２の液晶材料１６の電気−光学特性
を図３に示す。

【００１４】図２における交差周波数より低い低周波数
領域においては、駆動電圧を増加していくと、第１の液
晶材料１５のしきい値電圧２１付近で第１の液晶材料１
５の光学特性曲線２２が立ち上がり、さらに印加電圧を
増加させると、第２の液晶材料１６のしきい値電圧２３
付近で第２の液晶材料１６の光学特性曲線２４が立ち上
がる。

【００１５】図３における交差周波数より高い高周波数
領域においては、駆動電圧を増加させても、第１の液晶
材料１５はε‖＜ε⊥のため光学特性曲線３１は立ち上
がらず、さらに駆動電圧を増加させると第２の液晶材料
１６のしきい値電圧３２付近で第２の液晶材料１６の光
学特性曲線３３が立ち上がる。

【００１６】従って、図２の低周波数領域で０Ｖから第
２の液晶材料１６のしきい値電圧２３に至る前までの間
の電圧で駆動すれば、第２の液晶材料１６の光学特性曲
線２４がＯＦＦの状態を保ちながら第１の液晶材料１５
の光学特性曲線２２をＯＦＦからＯＮまで連続的に制御
でき、同じく低周波数領域で第１の液晶材料１５のしき
い値電圧２１以上の電圧で駆動すれば、第１の液晶材料
１５の光学特性曲線２２がＯＮの状態を保ちながら第２
の液晶材料１６の光学特性曲線２４をＯＦＦからＯＮま
で連続的に制御できる。

【００１７】また図３の高周波数領域では第１の液晶材
料１５の光学特性曲線３１は電圧に依存しないので、第
２の液晶材料１６のしきい値電圧３２付近で駆動すれ
ば、第１の液晶材料１５の光学特性曲線３１がＯＦＦの
状態を保ちながら第２の液晶材料１６の光学特性曲線３
３をＯＦＦからＯＮまで連続的に制御できる。

【００１８】以下、具体例を示す。第１の液晶材料１５
として、交差周波数が１ｋＨｚの２周波数駆動液晶（チ
ッソ石油化学社製ＮＲ−１３ＸＸ）を用い、螺旋ピッチ
を１．０μｍに調整し、これに黄色の２色性色素（感光
色素研究所製Ｇ−２３２）１％を溶かし、更に紫外線硬
化樹脂（アクリレートオリゴマー）を１：１の割合で混
合した。第２の液晶材料１６として、誘電異方性が周波
数に関係なく、常に誘電率がε‖＞ε⊥の関係を持つ液
晶（チッソ石油化学社製ＺＬＩ−４７９２）を用い、螺
旋ピッチを１．５μｍに調整し、これに青色の２色性色
素（感光色素研究所製ＧＸ−８７４）１％を溶かし、更
に紫外線硬化樹脂（アクリレートオリゴマー）を１：１
の割合で混合した。この２種の液晶材料を混合し、ガラ
ス基板１２の上に塗布し、紫外線を１分間照射し硬化さ
せた。その後、ガラス基板１１を重ね合わせた。

【００１９】これにより得られた液晶表示装置は、電圧
無印加時で緑色を示した。この液晶表示装置に１００Ｈ
ｚ（低周波数領域）の交流電圧を印加すると、電圧の上
昇とともに緑色が青色に変化し、更に電圧を上昇すると
青色が無色に変化した。また１０ｋＨｚ（高周波数領
域）の交流電圧を印加すると、一定の電圧まで緑色は変
化せず、それ以上電圧を上昇すると、緑色が黄色へと変
化した。

【００２０】以上本実施例では、交差周波数より高周波
数領域および低周波数領域の周波数で駆動することによ
り、３種類の状態で液晶表示装置の光学特性のＯＦＦ−
ＯＮを連続的に制御できるから、第１の液晶材料１５と
第２の液晶材料１６にそれぞれ異なった２色性色素を溶
解することにより、３種類の色調を自由に制御でき、無
色の状態を含め４色の表示を可能にした。しかも色調の
変化を連続的に制御することができた。

【００２１】本実施例では、黄色および青色の２色性色
素を用いたが、他の色の色素を用いいれば、本実施例以
外の色を表現できる。また本実施例では、２種類の液晶
材料を使用した例を述べたが、しきい値の異なる液晶材
料を追加し、３種類以上の液晶材料を用いれば、さらな
る色調を持つ液晶表示装置が実現できる。

【００２２】

【発明の効果】本発明は２周波数駆動液晶材料の交差周
波数より低い周波数および高い周波数の駆動電圧を印加
することにより、多色表示を可能にし、しかも色調の変
化を連続的に制御することができる。また、交差周波数
で駆動する必要が無いため、幅広い周波数の駆動電圧を
使用することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す液晶表示装置の構成図で
ある。

【図２】本発明の実施例に用いる液晶材料の、低周波数
領域での電気−光学特性を示すグラフである。

【図３】本発明の実施例に用いる液晶材料の、高周波数
領域での電気−光学特性を示すグラフである。

【符号の説明】

１１ 第１のガラス基板 １２ 第２のガラス基板 １３ 第１の透明電極 １４ 第２の透明電極 １５ 第１の液晶材料 １６ 第２の液晶材料 17 高分子材料 ２１ 低周波数領域での第１の液晶材料のしきい値電
圧 ２２ 低周波数領域での第１の液晶材料の光学特性曲
線 ２３ 低周波数領域での第２の液晶材料のしきい値電
圧 ２４ 低周波数領域での第２の液晶材料の光学特性曲
線 ３１ 高周波数領域での第１の液晶材料の光学特性曲
線 ３２ 高周波数領域での第２の液晶材料のしきい値電
圧 ３３ 高周波数領域での第２の液晶材料の光学特性曲
線

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電極を有する一対の基板間に、２周波数
   駆動液晶材料を含む２種類以上の液晶材料が高分子材料
   中に分散された高分子分散型液晶表示装置の駆動方法で
   あって、前記液晶材料のうち少なくとも１種類の液晶材
   料が有する電気−光学特性のしきい値は、他の液晶材料
   が有する電気−光学特性のしきい値と異なり、前記２周
   波数駆動液晶材料の交差周波数より低い周波数または高
   い周波数の電圧を前記液晶材料に印加することを特徴と
   する高分子分散型液晶表示装置の駆動法。