JP2002148600A - 高分子分散型液晶素子及びその製造方法 - Google Patents

高分子分散型液晶素子及びその製造方法

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JP2002148600A
JP2002148600A JP2000346027A JP2000346027A JP2002148600A JP 2002148600 A JP2002148600 A JP 2002148600A JP 2000346027 A JP2000346027 A JP 2000346027A JP 2000346027 A JP2000346027 A JP 2000346027A JP 2002148600 A JP2002148600 A JP 2002148600A
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polymer
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Toshihiko Takeda
俊彦 武田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 二周波駆動液晶を高分子化合物層中に分散し
た高分子・液晶複合体層を有する液晶素子において、表
示ムラの防止、高速応答性、透明状態緩和の抑制を図
る。 【解決手段】 高分子化合物の前駆体と、二周波駆動液
晶と、該液晶に対する垂直配向能を有するシランカップ
リング剤との混合物をセル内に注入し、電場を印加せず
に上記高分子化合物の前駆体を重合させて、高分子・液
晶複合体層を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表示素子、光シャ
ッター素子等に用いられる液晶素子に関し、特に、メモ
リー性を備えた高分子分散型液晶素子と、その製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、偏光板やバックライトを必要とし
ない高分子分散型液晶素子が、低消費電力型の表示素子
として注目を集めている。このような状況の中で、メモ
リー性を有する二つの表示状態間(透明状態と光散乱状
態)を電気的にスイッチング可能な高分子分散型液晶素
子が報告されている。例えば、特開平5−61023号
公報、特開平8−240819号公報及び特開平9−1
20058号公報には、二周波駆動液晶(誘電異方性が
正負両方の値を示す液晶)を用いて、メモリー性を有す
る高分子分散型液晶素子を実現する方法が開示されてい
る。
【0003】特開平5−61023号公報に開示されて
いる高分子分散型液晶素子は、二周波駆動液晶と高分子
化合物の前駆体(以下、「高分子前駆体」と記す)との
混合物を電極間に注入した後、液晶分子が基板に対して
垂直方向に向くように電場を印加した状態で、上記高分
子前駆体を室温近傍で重合させることにより製造する。
このように作製した高分子分散型液晶素子は、電極間に
印加する電圧の周波数を変化させることにより、メモリ
ー性を有する二状態(透明状態と光散乱状態)間を遷移
させることが可能である。
【0004】また、特開平8−240819号公報や特
開平9−120058号公報に開示されている高分子分
散型液晶素子は、二周波駆動液晶と高分子前駆体との混
合物を電極間に注入した後、上記高分子前駆体を室温近
傍で重合させることにより製造する。このように作製し
た高分子分散型液晶素子も、電極間に印加する電圧の周
波数を変化させることによりメモリー性を有する二状態
(透明状態と光散乱状態)間を遷移させることが可能で
ある。
【0005】一方、特開平9−90329号公報には、
界面活性剤またはシランカップリング剤を添加すること
により、駆動特性の改善(駆動電圧の低減)を図った高
分子分散型液晶素子の製造方法が開示されている。具体
的には、液晶と高分子材料と界面活性剤またはシランカ
ップリング剤からなる混合溶液を調製し、この溶液を一
方の基板上に塗布し、所定の処理(例えば、加熱処理)
を施してフィルムを形成し、このフィルム上にもう一方
の基板を配置して素子を得ることができる。該素子を構
成する高分子は、上記した従来技術とは異なり、高分子
前駆体を基板上で重合して形成したものではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の高分子分散型液晶素子には、以下に示す問題点
があった。
【0007】(問題点1)上記特開平5−61023号
公報に開示されている素子は、液晶と高分子前駆体との
混合物を電極間に注入した後、電極間に電場を印加しな
がら高分子前駆体の重合を行う。この電場印加の意図
は、液晶分子を電極面に対して垂直に配向させた状態で
高分子前駆体を重合させるためである。しかしながら、
上記混合物に対する電場印加は、前記混合物中の液晶に
電界誘起型の巨視的な流動を発生させる場合がある。特
に、印加電場強度を大きくして液晶分子の垂直配向度を
向上させようとすると、上記流動現象は発生しやすくな
る。このような流動により、液晶分子が電極面に対して
垂直に配向していない領域が形成され、この状態で高分
子前駆体の重合を行うと、得られた素子に表示ムラが発
生する場合があった。
【0008】(問題点2)上記特開平8−240819
号公報及び特開平9−120058号公報に開示されて
いる素子は、所望の表示状態(透明状態或いは光散乱状
態)を形成するための電圧印加を解除すると、表示状態
が緩和するという問題があった。特に、透明状態形成用
の電圧印加を解除すると、電圧印加中に示していた光透
過率よりも低下するという問題があった。
【0009】(問題点3)上記特開平8−240819
号公報に開示されている素子は、応答速度が遅いという
問題点があった。例えば、透明状態から光散乱状態に遷
移させるために、光散乱状態形成用の電圧を数秒間印加
する必要がある。一方、特開平5−61023号公報及
び特開平9−120058号公報に開示されている素子
に関しては、素子の応答速度が明記されておらず、応答
速度が不明であった。
【0010】(問題点4)上記特開平9−90329号
公報に開示されている素子は、メモリー性がないという
問題点があった。即ち、電極間に印加した電圧を解除す
ると、該電圧印加時に素子が示していた状態を維持でき
ないという問題点があった。
【0011】本発明の課題は、上記従来技術の問題点
(表示状態の緩和、応答速度及び表示ムラ)を解決し、
応答速度が速く、良好なメモリー性を備え、表示ムラの
ない液晶素子を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の第一は、一対の
基板と、該基板間に挟持された高分子化合物層中に正負
両方の誘電率異方性の値を示す二周波駆動液晶を分散し
てなる高分子・液晶複合体層と、該高分子・液晶複合体
層に電圧を印加するための電極とを備えた高分子分散型
液晶素子であって、上記高分子・液晶複合体層が、上記
液晶に対する垂直配向能を有する低分子化合物を含有す
ることを特徴とする高分子分散型液晶素子である。
【0013】上記本発明の高分子分散型液晶素子は、以
下の構成を好ましい態様として含むものである。上記低
分子化合物がシランカップリング剤である。上記シラン
カップリング剤がオクタデシルトリエトキシシランであ
る。上記高分子・液晶複合体層中の上記低分子化合物濃
度が30重量%未満である。上記高分子化合物が、単官
能性モノマーと多官能性モノマーからなる。上記高分子
化合物が、末端が水酸基である側鎖を有する高分子の直
鎖同士を架橋してなる構造を有する。上記高分子化合物
における、上記末端が水酸基である側鎖の長さと、上記
多官能性モノマー残基の長さの比が、 0.25<(水酸基を有する側鎖の長さ/多官能性モノ
マー残基の長さ)<2 の関係を満たす。
【0014】また、本発明の第二は、一対の基板と、該
基板間に挟持された高分子化合物層中に正負両方の誘電
率異方性の値を示す二周波駆動液晶を分散してなる高分
子・液晶複合体層と、該高分子・液晶複合体層に電圧を
印加するための電極とを備えた高分子分散型液晶素子の
製造方法であって、上記電極を備えた一対の基板間に、
上記高分子化合物の前駆体と液晶と該液晶に対する垂直
配向能を有する低分子化合物との混合物を充填し、上記
高分子化合物の前駆体を重合させることによって、高分
子・液晶複合体層を形成することを特徴とする高分子分
散型液晶素子の製造方法である。
【0015】上記本発明の製造方法においては、上記重
合が光重合であること、該重合時に加熱処理を施すこ
と、該加熱処理における温度が、液晶の等方相転移温度
以上であること、を好ましい態様として含むものであ
る。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の特徴は、高分子・液晶複
合体層中に、液晶に対して垂直配向能を有する低分子化
合物(以下、「垂直配向化合物」と記す)を含有せしめ
たことにある。本発明においては、高分子化合物の前駆
体(高分子前駆体)と液晶との混合物に該垂直配向化合
物を添加して、該前駆体を重合させることにより、電場
を印加することなく、良好に液晶が分散した高分子・液
晶複合体層を得、同時に、良好なメモリー性も発現させ
ることができる。
【0017】本発明で用いうる垂直配向化合物は、本発
明で用いる二周波駆動液晶に対して垂直配向させる機能
を有する低分子化合物である。即ち、該垂直配向化合物
により表面処理された基板間に液晶を挟持した場合に
は、該液晶は垂直配向を示す。本発明では、このような
性質を有する低分子化合物であれば用いることができ、
その種類に制限はないが、好ましくは、シランカップリ
ング剤が挙げられ、例えば、炭素原子数10〜22のア
ルキル基、フッ素化されていても良いアルキル基を有す
るトリアルコキシランまたはトリハロシラン等のシラン
カップリング剤を挙げることができる。より具体的に
は、デシルトリメトキシシラン、デシルトリクロロシラ
ン、ドデシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリク
ロロシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタ
デシルトリクロロシラン、エイコシルトリクロロシラ
ン、ドコシルトリクロロシラン、トリデカフルオロオク
チルトリクロロシラン、トリデカフルオロオクチルトリ
メトキシシラン等が挙げられる。さらには、レシチン、
ステアリン酸、CTAB(ヘキサデシルトリメチルアン
モニウムブロマイド)、オクタデシルアミンハイドロク
ロライド、一塩基性カルボン酸クロム錯体(例:ミスチ
リン酸クロム錯体)なども挙げることができる。
【0018】本発明にかかる垂直配向化合物の、高分子
・液晶複合体層中における濃度は、液晶素子に所望の特
性を発現させることができれば特に制限はないが、好ま
しくは30重量%未満、より好ましくは20重量%未満
であり、望ましくは10重量%未満である。
【0019】本発明において用いられる二周波駆動液晶
は、印加電圧の周波数に応じて正負両方の誘電異方性を
示す液晶であり、例えば、チッソ社製の二周波駆動液晶
混合物「DF01XX」が好ましく用いられるが、該液
晶は印加電圧の周波数が5kHz以下であれば誘電異方
性は正の値を、10kHz以上であれば負を示す。
【0020】本発明では、二周波駆動液晶として2種類
以上の低分子液晶化合物からなる混合物も好ましく用い
られ、このような低分子液晶化合物としては、2,3−
ジシアノ−4−ペンチルオキシフェニル−4−(トラン
ス−4−エチルシクロヘキシル)ベンゾアート、2,3
−ジシアノ−4−エトキシフェニル−4−(トランス−
4−ペンチルシクロヘキシル)ベンゾアート、2,3−
ジシアノ−4−エトキシフェニル−4−(トランス−4
−ブチルシクロヘキシル)ベンゾアート、4−シアノフ
ェニル−4’−ペンチル−4−ビフェニルカルボキシラ
ート等を挙げることができる。
【0021】本発明で用いられる高分子前駆体として
は、好ましくは光重合性であり、好ましくは1種以上の
単官能性モノマーと1種以上の多官能性モノマーとの混
合物が挙げられる。
【0022】上記単官能性モノマーとしては、例えば、
2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロ
キシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロ
ピル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メ
タ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレ
ート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラ
ヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アクリル酸4
−ヒドロキシブチル等を挙げることができる。
【0023】また、多官能性モノマーは上記単官能性モ
ノマーと結合可能な官能基を備えた材料であり、2官能
性モノマーとしては、ビスフェノールAEO変性ジアク
リレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、ト
リプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリス
リトールジアクリレートモノステアレート、ポリエチレ
ングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコー
ルジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレ
ート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、日本
化薬社製「Kayarad R167、HX220、H
X620、R684」等を挙げることができる。
【0024】さらに3官能性或いはそれ以上の多官能性
モノマーとしては、トリメチロールプロパントリアクリ
レート、トリメチロールプロパントリエトキシアクリレ
ート、変性グリセリントリアクリレート、ペンタエリス
リトールトリアクリレート、変性トリメチロールプロパ
ントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアク
リレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレー
ト、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペ
ンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス(2−
ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(メタ)アクリレ
ート、ジペンタエリスリトールカプロラクタム変性アク
リレート(日本化薬社製「DPCA−20、30、6
0、120」)等を挙げることができる。
【0025】本発明では、上記高分子前駆体を重合して
得られる高分子化合物が側鎖末端に水酸基を有している
ことが好ましく、このような高分子化合物としては、例
えば、前記2−ヒドロキシエチルメタクリレートと1,
6−ヘキサンジオールジアクリレートとの混合物を重合
させることにより得ることができる。
【0026】さらに本発明にかかる高分子化合物は、上
記水酸基を有する側鎖の長さと多官能性モノマー残基の
長さの比が下記の関係にあることが好ましい。 0.25<(水酸基を有する側鎖の長さ/多官能性モノ
マー残基の長さ)<2 上記した単官能性モノマーと多官能性モノマーからなる
高分子前駆体中における単官能性モノマーの濃度は40
重量%以上、好ましくは50重量%〜90重量%であ
る。
【0027】図1に、本発明の液晶素子の基本構成の断
面模式図を示す。図中、1a、1bは透明基板、2a、
2bは電極、3は高分子・液晶複合体層、4はスペーサ
ーである。
【0028】本発明の液晶素子の製造方法においては、
透明基板1a、1bにそれぞれ電極2a、2bを形成
し、必要に応じてスペーサー4を用いて基板間ギャップ
を均一に保持し、両基板を貼り合わせて空セルを形成
し、該空セル内に高分子前駆体と液晶と垂直配向化合物
の混合物を注入した後、該高分子前駆体を重合し、高分
子・液晶複合体層3を形成する。
【0029】上記混合物中における液晶の濃度は好まし
くは30重量%〜90重量%、より好ましくは40重量
%〜80重量%である。本発明においては、該混合物中
に重合開始剤を添加しても良く、例えば、高分子前駆体
を紫外線照射により光重合させる場合には、光重合開始
剤を用いることができる。光重合開始剤としては、例え
ば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チ
バ・ガイギー社製「イルガキュア184」)、ベンジル
ジメチルケタール(同社製「イルガキュア651」)等
を挙げることができる。また、光開始剤の添加濃度は、
高分子前駆体と液晶と垂直配向化合物の混合物総重量に
対して0.1〜5重量%であることが好ましい。
【0030】本発明にかかる高分子前駆体は、好ましく
は光重合により重合して、高分子・液晶複合体層を形成
するが、この時、必要に応じて加熱処理を施しても良
く、その場合には、加熱温度は用いる液晶の等方相転移
温度より高く設定することが好ましい。
【0031】本発明の液晶素子は、印加する電界の周波
数を適宜選択することによって、メモリー性を有する透
明状態或いは光散乱状態に液晶を移行させることによっ
て表示を行うことができるが、液晶の良好な配向性を得
る上で、高分子・液晶複合体層3に接する基板界面、即
ち図1においては電極2a、2bの高分子・液晶複合体
層3に接する表面に、配向処理が施されていることが好
ましい。該配向処理としては、用いる液晶の性質によっ
て適宜選択され、水平配向処理や垂直配向処理が用いら
れる。垂直配向処理としては、セチルトリメチルアンモ
ニウムブロマイド、オクタデシルエトキシシラン等を用
い、気相吸着、浸漬、スピンコート等の方法により基板
表面に配向処理を施すことができる。水平配向処理とし
ては、ポリイミド、ポリビニルアルコール等からなる薄
膜を電極上に設け、該薄膜をラビングすることにより形
成することができる。また、必要がなければ配向処理を
施さなくてもかまわない。
【0032】また、本発明の液晶素子の他の部材として
は、特に限定されず、従来の液晶素子の構成部材を用い
ることができる。例えば、基板1a、1bとしては、通
常ガラス等透明基板が用いられ、電極2a、2bはIT
O等透明導電材で形成される。
【0033】本発明の液晶素子においては、高分子・液
晶複合体層に第1の周波数の電圧を印加した場合に、該
複合体層は第1の状態を発現し、第2の周波数の電圧を
印加した場合には、第2の状態を発現する。本発明で
は、上記第1の状態が透明状態であり、第2の状態が光
散乱状態(不透明状態)である。よって、第1の周波数
は、液晶が正の誘電異方性を示す領域にあり、第2の周
波数は液晶が負の誘電異方性を示す領域にある。
【0034】本発明の液晶素子は、上記第1の状態、第
2の状態がそれぞれ第1の周波数の電圧印加、第2の周
波数の電圧印加を解除した後もほぼ維持される、メモリ
ー性を備えている。即ち、前記した従来の技術で問題点
として挙げられた、表示状態の緩和が抑制される。その
理由としては、電界印加解除後の液晶分子の配向緩和
が、高分子・液晶複合体層に含まれる垂直配向化合物の
存在によって抑制されるためであると推測される。
【0035】また、本発明の液晶素子は、高分子前駆体
の重合時に電場を印加していないため、該重合時に液晶
の巨視的な流動が起きておらず、よって、素子全面にお
いて均一な高分子・液晶複合体層が形成され、上記流動
に起因する表示ムラの発生が防止される。
【0036】以上説明したように、本発明の液晶素子
は、垂直配向化合物(例えばシランカップリング剤)を
含有していることを特徴とするが、前述した従来技術
(特開平9−90239号)におけるシランカップリン
グ剤を含有する液晶素子とは、構成上明らかに異なるも
のである。具体的には、液晶と高分子化合物との界面に
おけるシランカップリング剤の分布状態が異なる。
【0037】上記従来技術の素子における液晶と高分子
化合物との界面に存在するシランカップリング剤は、液
晶滴と高分子化合物との界面を被覆するように分布して
いる。そのため、該界面において、液晶が高分子化合物
に接触している割合が極めて小さくなるので、液晶と高
分子化合物との相互作用(アンカリング)が極端に弱く
なっている。その結果、素子の駆動電圧が低減してい
る。
【0038】アンカリングが弱まれば、表示メモリー
性、特に透明状態の表示メモリー性が損なわれる。本発
明の液晶素子においては、表示メモリー性が優れている
ことから、液晶と高分子化合物との界面に存在する垂直
配向化合物は、比較的疎に分布し、垂直配向化合物がア
ンカリングを弱めるようには分布していないものと考え
られる。
【0039】アンカリングが弱まることで、透明状態の
メモリー性が損なわれる理由を説明する。先ず、素子へ
の電圧印加により、該素子を透明状態とする。ここで、
電圧印加を解除しなければ該透明状態は維持される。こ
の時、液晶は配向状態にあり、電圧印加を解除すると、
液晶の垂直配向状態は崩壊しようとする。アンカリング
が弱いと、この液晶の垂直配向状態の崩壊を抑制できな
い。即ち、透明状態をメモリーできない。
【0040】表示状態をメモリーさせるアンカリングの
実体の詳細は不明であるが、少なくとも本発明の液晶素
子において使用している高分子化合物に含まれる水酸基
が重要な働きをしているものと推測される。従って、垂
直配向化合物は、この水酸基のアンカリング機能を損な
わないように分布していると言える。
【0041】尚、前記従来の技術の液晶素子は、シラン
カップリング剤の有無に関わらず、表示にメモリー性が
無く、また、用いられている高分子化合物は、液晶と高
分子前駆体の混合物において該前駆体を重合したもので
はない。よって、本発明の液晶素子で用いられている高
分子化合物とは構成上異なるものである。
【0042】本発明の液晶素子は、上記した2状態(透
明状態、光散乱状態)を利用して、光シャッター素子と
することが可能である。また、そのまま透過型の液晶素
子として用いる一方、一方の基板の裏面に光反射板或い
は着色板を設ければ、反射型の液晶素子として利用する
こともできる。
【0043】
【実施例】(実施例1)アクリル酸4−ヒドロキシブチ
ルを50重量部と日本化薬社製「Kayarad R1
67」を40重量部と1,6−ヘキサンジオールジアク
リレートを10重量部からなる高分子前駆体30重量部
と、二周波駆動液晶(チッソ社製「DF01XX」、等
方相転移温度=106.5℃)70重量部と、シランカ
ップリング剤(オクタデシルトリエトキシシラン)3重
量部と、光重合開始剤(チバ・ガイギー社製「イルガキ
ュア184」)1重量部とを混合した。該混合物は液状
であり、以下、混合溶液1と呼ぶ。
【0044】上記混合溶液1を、表面温度が110℃に
維持されているホットプレート状においたセルの中空部
に注入した。該セルは、2枚のガラス基板上にそれぞれ
ITO電極を形成し、その表面にセチルトリメチルアン
モニウムブロマイドによる垂直配向処理を施し、7μm
のスペーサーを介して対向配置させてなる。
【0045】上記ホットプレート温度を110℃に維持
した状態で、上記セルに強度1mW/cm2の紫外線を
10分間照射した。これにより、高分子前駆体が重合
し、セル内に高分子・液晶複合体層が形成された。紫外
線照射を停止した後、ホットプレートの加熱も停止し
た。その後、液晶セルをホットプレート上に設置した状
態で、セル温度が27℃になるまで冷却した。得られた
液晶素子は、光散乱による白濁を呈していた。空セルの
状態での光透過率を100%として、この光散乱状態に
おける液晶素子の光透過率は19%であった。
【0046】得られた本例の液晶素子の温度を27℃に
保ち、液晶素子の電極間に±80V、1kHzの矩形波
電圧を100msec印加した。電圧印加中、液晶素子
は透明状態(光透過率=95%)を示し、該電圧印加後
も透明状態(光透過率=89%)を維持していた。即
ち、透明状態の緩和は透過率で6%程度であった。
【0047】次に、本例の液晶素子に±80V、100
kHzの矩形波電圧を100msec印加した。電圧印
加中、液晶素子は光散乱状態(光透過率=10%)を示
し、電圧印加後も光散乱状態(光透過率=20%)を維
持していた。即ち、光散乱状態の緩和は透過率で10%
程度であった。
【0048】さらに、本例の液晶素子に、上記±80
V、1kHzの矩形波と±80V、100kHzの矩形
波とを100msec交互に液晶素子に印加することに
より、メモリー性を有する透明状態(印加電圧解除後の
光透過率=89%)と光散乱状態(印加電圧解除後の光
透過率=20%)を交互に形成することができた。この
様子を図2に示す。
【0049】(比較例1)アクリル酸4−ヒドロキシブ
チルを50重量部と日本化薬社製「Kayarad R
167」を40重量部と1,6−ヘキサンジオールジア
クリレートを1重量部からなる高分子前駆体30重量部
と、二周波駆動液晶(チッソ社製「DF01XX」)7
0重量部と、光重合開始剤(チバ・ガイギー社製「イル
ガキュア184」)1重量部とを混合して混合溶液2を
調製した。
【0050】上記混合溶液2を混合溶液1の代わりに用
いる以外は実施例1と同様にして液晶素子を作製した。
冷却完了直後の液晶素子は光散乱による白濁を呈し、空
セルの状態での光透過率を100%として、この光散乱
状態における液晶素子の光透過率は19%であった。
【0051】得られた本例の液晶素子の温度を27℃に
保ち、液晶素子の電極間に±80V、1kHzの矩形波
電圧を100msec印加した。電圧印加中、液晶素子
は透明状態(光透過率=95%)を示し、該電圧印加後
も透明状態(光透過率=85%)を維持していた。
【0052】次に、本例の液晶素子に±80V、100
kHzの矩形波電圧を100msec印加した。電圧印
加中、液晶素子は光散乱状態(光透過率=10%)を示
し、電圧印加後も光散乱状態(光透過率=19%)を維
持していた。
【0053】さらに、本例の液晶素子に、上記±80
V、1kHzの矩形波と±80V、100kHzの矩形
波とを100msec交互に液晶素子に印加することに
より、メモリー性を有する透明状態(印加電圧解除後の
光透過率=85%)と光散乱状態(印加電圧解除後の光
透過率=19%)を交互に形成することができた。即
ち、本例の液晶素子における透明状態及び光散乱状態の
緩和はそれぞれ透過率変化で10%と9%であり、透明
状態の緩和が実施例1の透明状態の緩和に比べて大きか
った。
【0054】(実施例2)2枚のガラス基板のそれぞれ
にITO電極を設け、ポリイミド膜を設けてラビング処
理を施した後、5μmのスペーサーを介して対向配置し
て構成したセルを用いた以外は、実施例1と同様にして
液晶素子を作製した。
【0055】冷却完了直後の液晶素子は、光散乱による
白濁を呈し、空セルの状態での光透過率を100%とし
て、この光散乱状態における液晶素子の光透過率は20
%であった。
【0056】得られた本例の液晶素子の温度を27℃に
保ち、液晶素子の電極間に±80V、1kHzの矩形波
電圧を100msec印加した。電圧印加中、液晶素子
は透明状態(光透過率=96%)を示し、該電圧印加後
も透明状態(光透過率=90%)を維持していた。即
ち、透明状態の緩和は透過率変化で6%程度であった。
【0057】次に、本例の液晶素子に±80V、100
kHzの矩形波電圧を100msec印加した。電圧印
加中、液晶素子は光散乱状態(光透過率=14%)を示
し、電圧印加後も光散乱状態(光透過率=21%)を維
持していた。即ち、光散乱状態の緩和は透過率変化で7
%程度であった。
【0058】さらに、本例の液晶素子に、上記±80
V、1kHzの矩形波と±80V、100kHzの矩形
波とを100msec交互に液晶素子に印加することに
より、メモリー性を有する透明状態(印加電圧解除後の
光透過率=90%)と光散乱状態(印加電圧解除後の光
透過率=21%)を交互に形成することができた。
【0059】(比較例2)混合溶液1の代わりに比較例
1で用いた混合溶液2を用いた以外は実施例2と同様に
して液晶素子を作製した。冷却完了直後の液晶素子は光
散乱による白濁を呈し、空セルの状態での光透過率を1
00%として、この光散乱状態における液晶素子の光透
過率は20%であった。
【0060】得られた本例の液晶素子の温度を27℃に
保ち、液晶素子の電極間に±80V、1kHzの矩形波
電圧を100msec印加した。電圧印加中、液晶素子
は透明状態(光透過率=96%)を示し、該電圧印加後
も透明状態(光透過率=86%)を維持していた。
【0061】次に、本例の液晶素子に±80V、100
kHzの矩形波電圧を100msec印加した。電圧印
加中、液晶素子は光散乱状態(光透過率=14%)を示
し、電圧印加後も光散乱状態(光透過率=20%)を維
持していた。
【0062】さらに、本例の液晶素子に、上記±80
V、1kHzの矩形波と±80V、100kHzの矩形
波とを100msec交互に液晶素子に印加することに
より、メモリー性を有する透明状態(印加電圧解除後の
光透過率=86%)と光散乱状態(印加電圧解除後の光
透過率=20%)を交互に形成することができた。即
ち、本例の液晶素子における透明状態及び光散乱状態の
緩和はそれぞれ透過率変化で10%と6%であり、透明
状態の緩和が実施例2の透明状態の緩和に比べて大きか
った。
【0063】(実施例3)2枚のガラス基板のそれぞれ
にITO電極を設け、配向処理を施さずに5μmのスペ
ーサーを介して対向配置して構成したセルを用いた以外
は、実施例1と同様にして液晶素子を作製した。
【0064】冷却完了直後の液晶素子は、光散乱による
白濁を呈し、空セルの状態での光透過率を100%とし
て、この光散乱状態における液晶素子の光透過率は19
%であった。
【0065】得られた本例の液晶素子の温度を27℃に
保ち、液晶素子の電極間に±80V、1kHzの矩形波
電圧を100msec印加した。電圧印加中、液晶素子
は透明状態(光透過率=96%)を示し、該電圧印加後
も透明状態(光透過率=91%)を維持していた。即
ち、透明状態の緩和は透過率変化で5%程度であった。
【0066】次に、本例の液晶素子に±80V、100
kHzの矩形波電圧を100msec印加した。電圧印
加中、液晶素子は光散乱状態(光透過率=14%)を示
し、電圧印加後も光散乱状態(光透過率=20%)を維
持していた。即ち、光散乱状態の緩和は透過率変化で6
%程度であった。
【0067】さらに、本例の液晶素子に、上記±80
V、1kHzの矩形波と±80V、100kHzの矩形
波とを100msec交互に液晶素子に印加することに
より、メモリー性を有する透明状態(印加電圧解除後の
光透過率=91%)と光散乱状態(印加電圧解除後の光
透過率=20%)を交互に形成することができた。
【0068】(比較例3)混合溶液1の代わりに比較例
1で用いた混合溶液2を用いた以外は実施例3と同様に
して液晶素子を作製した。冷却完了直後の液晶素子は光
散乱による白濁を呈し、空セルの状態での光透過率を1
00%として、この光散乱状態における液晶素子の光透
過率は19%であった。
【0069】得られた本例の液晶素子の温度を27℃に
保ち、液晶素子の電極間に±80V、1kHzの矩形波
電圧を100msec印加した。電圧印加中、液晶素子
は透明状態(光透過率=96%)を示し、該電圧印加後
も透明状態(光透過率=85%)を維持していた。
【0070】次に、本例の液晶素子に±80V、100
kHzの矩形波電圧を100msec印加した。電圧印
加中、液晶素子は光散乱状態(光透過率=14%)を示
し、電圧印加後も光散乱状態(光透過率=19%)を維
持していた。
【0071】さらに、本例の液晶素子に、上記±80
V、1kHzの矩形波と±80V、100kHzの矩形
波とを100msec交互に液晶素子に印加することに
より、メモリー性を有する透明状態(印加電圧解除後の
光透過率=85%)と光散乱状態(印加電圧解除後の光
透過率=19%)を交互に形成することができた。即
ち、本例の液晶素子における透明状態及び光散乱状態の
緩和はそれぞれ透過率変化で11%と5%であり、透明
状態の緩和が実施例2の透明状態の緩和に比べて大きか
った。
【0072】(実施例4)実施例1の液晶素子の一方の
表面(裏面)に黒色の光吸収層を設けた。
【0073】本液晶素子に±80V、1kHzの矩形波
電圧を印加し、表面より観察したところ、光吸収層の色
である黒色が観察された。また、電圧印加を解除した後
も黒色を呈していた。
【0074】次に、本例の液晶素子に±80V、100
kHzの矩形波電圧を印加したところ、液晶素子は光散
乱状態、即ち白色を呈していた。また、電圧印加を解除
した後も白色を維持していた。
【0075】さらに、上記±80V、1kHzの矩形波
と±80V、100kHzの矩形波とを100msec
交互に液晶素子に印加することにより、メモリー性を有
する黒色と白色とを交互に形成することができた。
【0076】(実施例5)アクリル酸4−ヒドロキシブ
チルを50重量部と1,6−ヘキサンジオールジアクリ
レートを5重量部からなる高分子前駆体50重量部と、
二周波駆動液晶(チッソ社製「DF01XX」)50重
量部と、シランカップリング剤(オクタデシルトリエト
キシシラン)3重量部と、光重合開始剤(チバ・ガイギ
ー社製「イルガキュア184」)1重量部とを混合し、
混合溶液3を調製した。
【0077】混合溶液1の代わりに上記混合溶液3を用
いる以外は実施例1と同様にして液晶素子を作製した。
冷却完了直後の液晶素子は、光散乱による白濁を呈し、
空セルの状態での光透過率を100%として、この光散
乱状態における液晶素子の光透過率は19%であった。
【0078】得られた本例の液晶素子の温度を27℃に
保ち、液晶素子の電極間に±80V、1kHzの矩形波
電圧を100msec印加した。電圧印加中、液晶素子
は透明状態(光透過率=95%)を示し、該電圧印加後
も透明状態(光透過率=88%)を維持していた。即
ち、透明状態の緩和は透過率変化で7%程度であった。
【0079】次に、本例の液晶素子に±80V、100
kHzの矩形波電圧を100msec印加した。電圧印
加中、液晶素子は光散乱状態(光透過率=10%)を示
し、電圧印加後も光散乱状態(光透過率=22%)を維
持していた。
【0080】さらに、本例の液晶素子に、上記±80
V、1kHzの矩形波と±80V、100kHzの矩形
波とを100msec交互に液晶素子に印加することに
より、メモリー性を有する透明状態(印加電圧解除後の
光透過率=88%)と光散乱状態(印加電圧解除後の光
透過率=22%)を交互に形成することができた。
【0081】(比較例4)アクリル酸4−ヒドロキシブ
チルを50重量部と1,6−ヘキサンジオールジアクリ
レートを5重量部からなる高分子前駆体50重量部と、
二周波駆動液晶(チッソ社製「DF01XX」)50重
量部と、光重合開始剤(チバ・ガイギー社製「イルガキ
ュア184」)1重量部とを混合し、混合溶液4を調製
した。
【0082】混合溶液3の代わりに上記混合溶液4を用
いる以外は実施例5と同様にして液晶素子を作製した。
冷却完了直後の液晶素子は、光散乱による白濁を呈し、
空セルの状態での光透過率を100%として、この光散
乱状態における液晶素子の光透過率は19%であった。
【0083】得られた本例の液晶素子の温度を27℃に
保ち、液晶素子の電極間に±80V、1kHzの矩形波
電圧を100msec印加した。電圧印加中、液晶素子
は透明状態(光透過率=95%)を示し、該電圧印加後
も透明状態(光透過率=80%)を維持していた。
【0084】次に、本例の液晶素子に±80V、100
kHzの矩形波電圧を100msec印加した。電圧印
加中、液晶素子は光散乱状態(光透過率=10%)を示
し、電圧印加後も光散乱状態(光透過率=21%)を維
持していた。
【0085】さらに、本例の液晶素子に、上記±80
V、1kHzの矩形波と±80V、100kHzの矩形
波とを100msec交互に液晶素子に印加することに
より、メモリー性を有する透明状態(印加電圧解除後の
光透過率=80%)と光散乱状態(印加電圧解除後の光
透過率=21%)を交互に形成することができた。即
ち、本例の液晶素子における透明状態及び光散乱状態の
緩和はそれぞれ透過率変化で15%と11%であり、透
明状態の緩和が実施例5の透明状態の緩和に比べて大き
かった。
【0086】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
表示ムラが無く、高速応答性でメモリー性を有し、特
に、透明状態の緩和が抑制された液晶素子を煩雑な製造
工程を経ることなく提供することができ、表示素子や光
シャッター素子として好ましく適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶素子の基本構成を示す断面模式図
である。
【図2】本発明の実施例において、液晶素子に周波数の
異なる矩形波を交互に印加した場合の透過率変化を示す
図である。
【符号の説明】
1a、1b 基板 2a、2b 電極 3 高分子・液晶複合体層 4 スペーサー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H089 HA04 JA04 JA05 KA08 QA12 QA14 QA16 4J002 AA051 BG041 BG051 BG071 DA117 EF057 EH126 EN117 EN137 EX027 EX037 FD206 GP03 4J011 AA05 AC04 PA47 PB40 PC02 QA03 QA12 QA13 QA17 QA23 QA24 QA25 SA54 SA58 SA61 UA01 VA01 WA01

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の基板と、該基板間に挟持された高
    分子化合物層中に正負両方の誘電率異方性の値を示す二
    周波駆動液晶を分散してなる高分子・液晶複合体層と、
    該高分子・液晶複合体層に電圧を印加するための電極と
    を備えた高分子分散型液晶素子であって、上記高分子・
    液晶複合体層が、上記液晶に対する垂直配向能を有する
    低分子化合物を含有することを特徴とする高分子分散型
    液晶素子。
  2. 【請求項2】 上記低分子化合物がシランカップリング
    剤である請求項1に記載の高分子分散型液晶素子。
  3. 【請求項3】 上記シランカップリング剤がオクタデシ
    ルトリエトキシシランである請求項2に記載の高分子分
    散型液晶素子。
  4. 【請求項4】 上記高分子・液晶複合体層中の上記低分
    子化合物濃度が30重量%未満である請求項1〜3のい
    ずれかに記載の高分子分散型液晶素子。
  5. 【請求項5】 上記高分子化合物が、単官能性モノマー
    と多官能性モノマーからなる請求項1〜4のいずれかに
    記載の高分子分散型液晶素子。
  6. 【請求項6】 上記高分子化合物が、末端が水酸基であ
    る側鎖を有する高分子の直鎖同士を架橋してなる構造を
    有する請求項5に記載の高分子分散型液晶素子。
  7. 【請求項7】 上記高分子化合物における、上記末端が
    水酸基である側鎖の長さと、上記多官能性モノマー残基
    の長さの比が、下記の関係を満たす請求項6に記載の高
    分子分散型液晶素子。 0.25<(水酸基を有する側鎖の長さ/多官能性モノ
    マー残基の長さ)<2
  8. 【請求項8】 一対の基板と、該基板間に挟持された高
    分子化合物層中に正負両方の誘電率異方性の値を示す二
    周波駆動液晶を分散してなる高分子・液晶複合体層と、
    該高分子・液晶複合体層に電圧を印加するための電極と
    を備えた高分子分散型液晶素子の製造方法であって、上
    記電極を備えた一対の基板間に、上記高分子化合物の前
    駆体と液晶と該液晶に対する垂直配向能を有する低分子
    化合物との混合物を充填し、上記高分子化合物の前駆体
    を重合させることによって、高分子・液晶複合体層を形
    成することを特徴とする高分子分散型液晶素子の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 上記重合が光重合である請求項8に記載
    の高分子分散型液晶素子の製造方法。
  10. 【請求項10】 上記重合時に加熱処理を施す請求項9
    に記載の高分子分散型液晶素子の製造方法。
  11. 【請求項11】 上記加熱処理における温度が、液晶の
    等方相転移温度以上である請求項10に記載の高分子分
    散型液晶素子の製造方法。
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