JPH0973075A

JPH0973075A - 液晶表示素子の製造方法および液晶表示素子の製造装置

Info

Publication number: JPH0973075A
Application number: JP22799895A
Authority: JP
Inventors: Junji Nakajima; 潤二中島; Kazuo Inoue; 一生井上
Original assignee: Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Current assignee: Panasonic Holdings Corp
Priority date: 1995-09-05
Filing date: 1995-09-05
Publication date: 1997-03-18

Abstract

(57)【要約】【課題】ムラや気泡が発生することなく、高分子分散
型液晶表示素子を迅速かつ再現良く製造できる。【解決手段】少なくとも一方が透光性を有した一対の
基板１，２の対向面に透明電極３，４を形成し、一対の
基板１，２のいずれか一方に排出口１１を設けた状態で
シール材７，８を塗布し、一対の基板１，２のうち少な
くとも一方の対向面にスペーサ９を固着配置し、一対の
基板１，２の一方に液晶材料と光重合性樹脂材料の組成
物１０を滴下し、一対の基板１，２を重ね合わせ、組成
物１０が一対の基板１，２間全体に拡散するように基板
１，２を押圧した状態で透光性を有した基板２に光を照
射して組成物１０の液晶と樹脂を相分離し、排出口１１
から排出された余分な組成物を除去し、排出口１１を封
止するものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、ディスプレイ，
光シャッター，プロジェクションテレビ等に利用される
液晶表示素子の製造方法および液晶表示素子の製造装置
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、液晶表示素子の中でも、配向処理
を要さないため製造が容易なこと、偏光板を要さないた
め明るい表示が可能なことを利点とする高分子・液晶複
合体を使った高分子分散型液晶素子が、ディスプレイと
して着目されてきている。一般に、高分子分散型液晶素
子とは、液晶を高分子材料組成物からなるマトリックス
中に分散保持された液晶高分子複合体を、一対の電極付
基板間に挟み込んだものであり、液晶の常光屈折率と高
分子マトリックスの屈折率がほぼ一致するように構成さ
れたものである。

【０００３】すなわち、電圧無印加の状態で液晶は、前
記高分子マトリックスとの界面付近で、界面に対して略
平行に配向している。この状態で基板に垂直な光が入射
すると、高分子マトリックスの屈折率と液晶の屈折率と
が異なった状態となるため、界面にて光が散乱する。基
板間に電圧を印加すると、正の誘電異方性を有すネマテ
ィック液晶の場合、液晶分子が電極面に対して略垂直に
整列し、入射光に対し、高分子マトリックスの屈折率と
液晶の常光屈折率とがほぼ一致するため、光が散乱され
ることなく透過する状態となる。この性質を利用して、
光シャッター機能が可能となっている。

【０００４】従来、液晶表示素子の製造方法には、一般
的に以下に示す方法がある。一対の電極面を対向させた
電極付基板に、スペーサを介し、基板の隙間を一定と
し、注入口部１か所を設けて、基板周辺にスペーサを含
ませたシール材を形成し、加圧し、均一セル厚とし、シ
ール材を硬化させる。このようにして得られた一対のガ
ラス基板よりなる空セルの隙間に、液晶材料を注入する
のであるが、その方法として下記の例が挙げられる。

【０００５】まず、真空ポンプを用いて、真空チェンバ
内で空セルを十分に減圧し、注入口を液晶材料に浸す。
その後、真空チェンバ内を大気圧に戻し、気圧差により
液晶材料を充填し、注入口を樹脂で封口するという真空
注入法がある。また、別の方法としては、空セル作りの
際、注入口と反対側（対辺側）に排出口を設けて空セル
とする。そして、この空セルに対し、注入口側に液晶材
料を浸し、毛細管現象を利用して空セル内に液晶材料を
充填し、注入口と排出口を樹脂で封口するという毛細管
現象を利用する方法がある。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来から行わ
れている製造方法（真空注入法、毛細管現象を利用する
方法）には、幾つかの問題が存在する。まず、真空注入
法の場合、高分子分散型液晶表示素子の製造では揮発性
材料であるモノマーを使用するため、空セルを高真空と
することによって組成物も同時に減圧状態にさらされ、
モノマーが揮発してしまうことがあり、製造が困難とな
る。

【０００７】また、毛細管現象を利用する製造方法で
は、基板の形状や濡れ性等の影響を受け、ムラとなり易
く、回り込み等で気泡として残る部分が発生したり、完
全に表示部全体に再現良く注入することが困難で、注入
に時間がかかることが挙げられる。したがって、この発
明は、ムラや気泡が発生することなく、高分子分散型液
晶表示素子を迅速かつ再現良く製造できる液晶表示素子
の製造方法および液晶表示素子の製造装置を提供するこ
とを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】請求項１の液晶表示素子
の製造方法は、少なくとも一方が透光性を有した一対の
基板のうち少なくとも一方の対向面にスペーサを固着配
置する工程と、一対の基板の一方に液晶材料と光重合性
樹脂材料の組成物を滴下する工程と、一対の基板をシー
ル部を設けずに重ね合わせる工程と、組成物が一対の基
板間全体に拡散するように基板を押圧した状態で透光性
を有した基板側から光を照射して組成物の液晶と樹脂を
相分離させる工程とを含むものである。

【０００９】請求項１の液晶表示素子の製造方法による
と、少なくとも一方が透光性を有した一対の基板の一方
に、液晶材料と光重合性樹脂材料の組成物を滴下して重
ね合わせ、透光性を有した基板側から光を照射すること
により、液晶表示素子が得られ、常圧下で、かつ基板の
形状や濡れ性の影響を受けずに製造できる。また、シー
ル部がなく、製造工程を削減できる。

【００１０】請求項２の液晶表示素子の製造方法は、少
なくとも一方が透光性を有した一対の基板のいずれか一
方に排出口を設けた状態でシール材を塗布する工程と、
一対の基板のうち少なくとも一方の対向面にスペーサを
固着配置する工程と、一対の基板の一方に液晶材料と光
重合性樹脂材料の組成物を滴下する工程と、一対の基板
を重ね合わせる工程と、組成物が一対の基板間全体に拡
散するように基板を押圧した状態で透光性を有した基板
側から光を照射して組成物の液晶と樹脂を相分離させる
工程とを含むものである。

【００１１】請求項３の液晶表示素子の製造方法は、請
求項２において、シール材が光重合性樹脂材料からなる
ことを特徴とするものである。請求項４の液晶表示素子
の製造方法は、請求項２または３において、一対の基板
の対向面の周辺に排出口を設けた状態でシール材を塗布
し、シール材に形成した排出口と反対側において一対の
基板の一方に組成物を滴下することを特徴とするもので
ある。

【００１２】請求項５の液晶表示素子の製造方法は、請
求項２または３において、矩形の一対の基板の対向面の
各周辺にシール材を塗布し、各辺のシール材にそれぞれ
排出口を設け、一対の基板の一方の略中央に組成物を滴
下することを特徴とするものである。請求項２〜５の液
晶表示素子の製造方法によると、少なくとも一方が透光
性を有した一対の基板の一方に、液晶材料と光重合性樹
脂材料の組成物を滴下し、シール材を塗布して重ね合わ
せ、透光性を有した基板側から光を照射することによ
り、液晶表示素子が得られ、常圧下で、かつ基板の形状
や濡れ性の影響を受けずに製造できる。

【００１３】請求項３の液晶表示素子の製造方法による
と、シール材が光重合性樹脂材料からなるので、光照射
により、組成物を硬化する際に、シール材も同時に硬化
することができ、工程数を削減できる。請求項６の液晶
表示素子の製造方法は、請求項２，３，４または５にお
いて、シール材が２重に施されていることを特徴とする
ものである。

【００１４】請求項６の液晶表示素子の製造方法による
と、シール材を２重に施すことで、一対の基板の位置ず
れを小さくすることができる。請求項７の液晶表示素子
の製造方法は、少なくとも一方が透光性を有した一対の
基板のうち少なくとも一方の対向面にスペーサを固着配
置する工程と、一対の基板の一方に液晶材料と光重合性
樹脂材料の組成物を滴下する工程と、位置調整手段によ
り一対の基板を位置調整しながら重ね合わせる工程と、
組成物が一対の基板間全体に拡散するように基板を押圧
した状態で透光性を有した基板側から光を照射して組成
物の液晶と樹脂を相分離させる工程とを含むものであ
る。

【００１５】請求項７の液晶表示素子の製造方法による
と、少なくとも一方が透光性を有した一対の基板の一方
に、液晶材料と光重合性樹脂材料の組成物を滴下し、位
置調整手段により一対の基板を位置調整しながら重ね合
わせ、透光性を有した基板側から光を照射することによ
り、液晶表示素子が得られ、常圧下で、かつ基板の形状
や濡れ性の影響を受けずに製造できる。

【００１６】請求項８の液晶表示素子の製造方法は、請
求項１，２，３，４，５，６または７において、基板の
押圧工程で基板を加熱し、初期温度に戻した後光照射を
行うことを特徴とするものである。請求項８の液晶表示
素子の製造方法によると、基板を押圧する際に加熱する
ことで、気泡を抜くことができ、気泡のない液晶表示素
子を得ることができる。

【００１７】請求項９の液晶表示素子の製造方法は、請
求項１，２，３，４，５，６，７または８において、基
板に照射される光が、１０００ｎｍ以上の波長光と３３
０ｎｍ以下の波長光が、照射光量の１％以下の量である
ことを特徴とするものである。請求項９の液晶表示素子
の製造方法によると、透光性を有した基板側から、１０
００ｎｍ以上の波長光と３３０ｎｍ以下の波長光が、照
射光量の１％以下の量である光を照射することにより、
液晶表示素子が得られ、常圧下で、かつ基板の形状や濡
れ性の影響を受けずに製造できる。

【００１８】請求項１０の液晶表示素子の製造装置は、
少なくとも一方が透光性を有した一対の基板のいずれか
一方に排出口を設けた状態でシール材を塗布し、一対の
基板のうち少なくとも一方の対向面にスペーサを固着配
置し、一対の基板の一方に液晶材料と光重合性樹脂材料
の組成物を滴下し、一対の基板を重ね合わせてなるパネ
ルに、透光性基板側から光を照射して液晶表示素子を製
造する製造装置であって、パネルを緩衝材を介して固定
するパネル固定治具と、パネルの透光性基板上に設置し
た光拡散媒体と、この光拡散媒体を介してパネルを押圧
する光透過性フィルムと、この光透過性フィルムならび
に光拡散媒体を介して透光性基板側から光を照射するラ
ンプとを備えたものである。

【００１９】請求項１１の液晶表示素子の製造装置は、
請求項１０において、パネルの透光性基板上に光拡散媒
体を設置せず、かつ光透過性フィルムに代えて光拡散フ
ィルムを使用したものである。請求項１０，１１の液晶
表示素子の製造装置によると、少なくとも一方が透光性
を有した一対の基板の一方に、液晶材料と光重合性樹脂
材料の組成物を滴下し、シール材を塗布して重ね合わ
せ、透光性を有した基板側から光を照射することによ
り、液晶表示素子が得られ、常圧下で、かつ基板の形状
や濡れ性の影響を受けずに製造できる。

【００２０】請求項１２の液晶表示素子の製造装置は、
光拡散処理を施した対向面にそれぞれ基板を吸着固定す
る吸着部を有しかつ少なくとも一方を昇降可能とした上
下一対の恒温槽と、この恒温槽に接続され恒温槽内に流
体を循環させることにより基板温度を一定に保つ循環ポ
ンプと、下側の恒温槽に吸着された基板上に液晶材料と
光重合性樹脂材料の組成物を滴下するノズルと、恒温槽
の外面側に設けたランプと、恒温槽の外面側に設けられ
一対の基板の重ね合わせ位置を調整する位置調整手段と
を備えたものである。

【００２１】請求項１２の液晶表示素子の製造装置によ
ると、恒温槽で吸着された一対の基板のうち下側の恒温
槽に吸着された基板上にノズルより組成物を滴下し、恒
温槽を移動し位置調整手段にて重ね合わせ位置を調整し
ながら一対の基板を重ね合わせ、さらに光照射すること
により、液晶表示素子が得られ、常圧下で、かつ基板の
形状や濡れ性の影響を受けずに製造できる。

【００２２】

【発明の実施の形態】

第１の実施の形態この発明の第１の実施の形態について、図１ないし図３
に基づいて説明する。図１は、液晶表示素子の製造工程
途中の概略断面図である。図において、１，２は一対の
基板であり、少なくとも基板２は透光性材料にて形成さ
れている。また、両基板１，２の対向面には、透明電極
３，４が形成されており、各透明電極３，４上には絶縁
膜５，６が形成されている。

【００２３】そして、基板２の対向面の周辺にシール材
７，８を塗布する。シール材８には排出口１１を形成し
ておく。また、基板１の対向面にスペーサ９を固着配置
する。さらに、排出口１１と反対側において基板１に液
晶材料と光重合性樹脂材料の組成物１０を滴下し、排出
口１１と反対側において一対の基板１，２を重ね合わせ
る。

【００２４】このように構成したパネルＰを、図２およ
び図３に示す液晶表示素子の製造装置にセットし、光を
照射する。図において、２０はパネルＰを固定するパネ
ル固定治具、２１はランプ、２２はパネル固定治具２０
とランプ２１の間に設けた天版、２３は光透過性フィル
ムシートである。パネル固定治具２０と光透過性フィル
ムシート２３にて、パネルＰの基板１，２間に所定の隙
間が生じるように挟み込んで押圧する。

【００２５】パネル固定治具２０には、緩衝材２４が設
けられており、この緩衝材２４にパネルＰを設置し、さ
らにパネルＰの基板２上に光拡散媒体２５を設置する。
また、天版２２にはランプ２１の光をパネルＰに透過す
るための開口２８が形成されており、その開口２８に熱
線吸収フィルター２６ならびに紫外線カットフィルター
２７が設置されている。

【００２６】ランプ２１の光は、熱線吸収フィルター２
６にて赤外線をカットされ、さらに紫外線カットフィル
ター２７にて紫外線をカットされ、光透過性フィルムシ
ート２３および光拡散媒体２５を通ってパネルＰに照射
される。そして、押圧を解除し、パネルＰの排出口１１
から排出された余分な組成物１０を拭き取り、排出口１
１を紫外線硬化性樹脂等で封止する。このようにして、
液晶表示素子が得られる。

【００２７】このように構成された液晶表示素子の製造
方法および液晶表示素子の製造装置によると、基板１に
組成物１０を滴下し、シール材７，８を塗布して重ね合
わせ、光照射した後余分な組成物を除去することによ
り、液晶表示素子が得られ、常圧下で、かつ基板の形状
や濡れ性の影響を受けずに製造できる。したがって、ム
ラなく、回り込み等による気泡の発生を回避し、短時間
で、均一な高分子分散型液晶表示素子を迅速に再現良く
製造することができる。また、押圧解除後でも、気泡が
混入することもなく、均一なセル厚の液晶表示素子が得
られる。

【００２８】第２の実施の形態この発明の第２の実施の形態について、図４に基づいて
説明する。図４は、液晶表示素子の製造工程途中の概略
断面図である。図において、４１，４２は矩形に形成さ
れた一対の基板であり、少なくとも基板４２は透光性材
料にて形成されている。また、両基板４１，４２の対向
面には、透明電極４３，４４が形成されており、各透明
電極４３，４４上には絶縁膜４５，４６が形成されてい
る。各基板４１，４２の対向面の周辺部にシール材３
９，４０を塗布し、周囲の各辺のシール材３９，４０に
それぞれ排出口３７，３８を形成する。また、基板４１
の対向面にスペーサ４７を固着配置する。さらに、基板
４１の略中央に液晶材料と光重合性樹脂材料の組成物４
８を滴下し、一対の基板４１，４２を重ね合わせる。

【００２９】このように構成されたパネルＰ′を、図２
および図３に示した液晶表示素子の製造装置にセットし
て、光照射を行い液晶表示素子を得る。このように構成
された液晶表示素子の製造方法および液晶表示素子の製
造装置においても、第１の実施の形態と同様の効果が得
られる。なお、シール材を塗布せずに、ガラス基板４
１，４２を重ね合わせてもよい。この場合、スペーサ４
７を固着配置してあるので、ガラス基板４１，４２間に
は所定の隙間が形成され、光照射により組成物４８を硬
化させ、かつ押圧によりはみ出した組成物４８を除去す
ることで液晶表示素子が得られる。組成物４８を滴下す
る位置は、ガラス基板４１の略中央が好ましく、またガ
ラス基板４１，４２の形状は矩形に限らない。

【００３０】第３の実施の形態この発明の第３の実施の形態について、図５に基づいて
説明する。図において、５０，５１は上下に配置した昇
降可能な恒温槽であり、恒温槽５０，５１には基板６
０，６１を真空吸着できるように基板四つ角部に相当す
る部分に真空ポンプと連動した吸着口５２，５３が設け
られている。恒温槽５０，５１の基板６０，６１と接す
る面は、光拡散処理が施されており、また恒温槽５０，
５１に外部から流体を循環ポンプで取り込み排出を繰り
返すように循環させることによって、基板６０，６１の
温度を制御できる機能がある。恒温槽５０，５１に、上
下の基板６０，６１を吸着させ、基板６０，６１が所定
の温度となるように恒温槽５０，５１を制御する。ま
た、基板６０，６１は、それぞれ透光性を有し、かつ対
向面に透明電極が形成されており、一方の対向面にはス
ペーサが固着配置してある。

【００３１】そして、基板６０に対し、組成物を所望過
剰に滴下ノズル５４より滴下し、位置調整手段５５を使
って位置を調整しながら恒温槽５１を下降し、精度良く
基板６０，６１を重ね合わせ、かつ基板６０，６１間に
所定の隙間がでるように押圧する。その状態で、恒温槽
５０，５１を介して上下方向から実施の形態１と同様の
処理（熱線吸収フィルター，紫外線カットフィルター介
在）を施したランプ５７，５８の光を照射する。その
後、基板６０，６１の吸着を解除し、恒温槽５１を上昇
させ、液晶表示素子を取り出す。

【００３２】このように構成された液晶表示素子の製造
方法および液晶表示素子の製造装置によると、恒温槽５
０，５１で吸着された一対の基板６０，６１のうち基板
６０に滴下ノズル５４より組成物を滴下し、恒温槽５１
を下降して一対の基板６０，６１を重ね合わせ、さらに
光照射することにより、液晶表示素子が得られ、常圧下
で、かつ基板の形状や濡れ性の影響を受けずに製造でき
る。したがって、ムラなく、回り込み等による気泡の発
生を回避し、短時間で、均一な高分子分散型液晶表示素
子を迅速に再現良く製造することができる。また、押圧
解除後でも、気泡が混入することもなく、均一なセル厚
の液晶表示素子が得られる。

【００３３】

【実施例】この発明の実施例について説明する。なお、
各実施例の特性評価は、以下のように行う。得られた液
晶表示素子に垂直な方向の光変調性能について、大塚電
子製ＬＣＤ−5000を用い、測定周波数３０Ｈｚ，受光角
2.8 ゜，３０℃の条件で電気光学特性を測定した。

【００３４】測定結果は、電圧無印加（もしくは無印
加）状態の光遮蔽能力を最大限出している状態での光透
過率をＴ₀（％）、電圧変化によって最大限光が透過す
る光透過率をＴ_max（％）、Ｔ₀を０％でＴ_maxを100
％とした上で、光透過率が１０％となる時の３０Hz交流
信号の印加電圧をＶ₁₀（Ｖ_rms）、同様に光透過率が９
０％となる印加電圧をＶ₉₀（Ｖ_rms）、ＣＲ（コントラ
スト）＝Ｔ_max／Ｔ₀ならびにＶ₉₀／Ｖ₁₀である。

【００３５】また、電圧保持特性（電圧保持率）ＨＲの
評価は、パネルの上下電極間に、図６に示すように、Ｖ
₀=５Ｖ，６０μｓのパルスを３０Hz周期で加え、パルス
とパルスの間は電極間をオープンにして、電極間電圧を
モニタした。パネルの電極間電圧は時間とともに変化
し、電圧保持率ＨＲは、電圧変化が全く起こらない場合
（矩形部の面積）と、電極間電圧波形の面積（斜線部）
の比で表される。なお、測定温度は６０℃とした。

【００３６】実施例１この実施例は、第１の実施の形態に対応するものであっ
て、図１ないし図３を用いて説明する。基板１，２とな
るガラス基板の各対向面に、ＩＴＯ（Indium Tin Oxid
e）からなる透明電極３，４を所望のパターンに形成す
る。絶縁膜５，６は、日本合成ゴム製AL5417樹脂を塗布
し、８０℃，１分間加熱後、190 ℃，３０分間放置して
形成する。

【００３７】ガラス基板２の周辺部に、排出口１１を形
成してシール材７，８を塗布する。シール材７，８とし
ては、エポキシエステル3002Ｍ（共栄社油脂化学工業
（株）製）９８wt％と、ダロキュア1173（メルク社製）
２wt％よりなる２０℃における粘度が約30000cpsのもの
に、約0.3wt ％スペーサ１０μｍの真し球Ｂ−１０μ
（触媒化成工業（株）製）を含ませたものを使用する。

【００３８】ガラス基板１にスペーサ９を固着配置す
る。スペーサ９として、固着スペーサ真し球ＡＢ−４−
１０μ（触媒化成工業（株）製）を散布し、140 ℃，２
時間放置し、固着させる。これによって、滴下組成物に
よってスペーサ９が流されてしまうのを防げる。スペー
サ９のあるガラス基板１側の排出口１１の反対側に、所
要量過剰の組成物１０を滴下する。組成物１０は、液晶
材料と光重合性樹脂材料の混合物であって、液晶材料と
してはＴＬ213 〔N-I point =87.7 ℃, ｎ_e=1.766，ｎ
_o=1.527〕（メルク・ジャパン（株）製）77.08wt ％を
使用する。また、光重合性樹脂材料としては、モノマー
材料として2-エチルヘキシルアクリレート（ナカライテ
スク（株）製）21.5wt％、オリゴマー材料としてビスコ
ート＃3700（大阪有機化学工業（株）製）1.30wt％、光
硬化開始剤としてダロキュア1173（メルク社製）0.07wt
％、ルシリンＴＰＯ（BASF社製）0.05wt％からなるもの
を使用する。

【００３９】続いて、透明電極３，４が対向するよう
に、両ガラス基板１，２を重ね合わせてパネルＰとし、
図２，図３に示す液晶表示素子の製造装置のパネル固定
治具２０に緩衝材２４を介して固定する。そして、パネ
ルＰの光照射側のガラス基板２上にオパール型拡散板DF
O-150S-1（シグマ光機（株）製）からなる光拡散媒体２
５をエチレングリコールを介して重ね合わせる。さら
に、パネルＰのガラス基板１，２間に所定の隙間が生じ
るように、パネル載置面を２５℃の均一な温度に保った
パネル固定治具２０と、光透過性フィルムシート２３と
で挟み、押圧する。

【００４０】ガラス基板１，２間に所定の隙間がでてい
る条件下で３０秒間放置後、押圧状態のまま、超高圧水
銀ランプCHM-3000（（株）オーク製作所製）２１を用い
て、パネルＰのガラス基板２に光を照射する。ランプ２
１とパネルＰとの間には、ガラス製熱線吸収フィルター
HAF-50S-30H （シグマ光機（株）製）２６を２枚設置
し、赤外線（0.8 μｍ波長以上）の透過率が約０％とな
るようにし、次にその熱線吸収フィルター２６とパネル
Ｐとの間に、ガラス製紫外線カットフィルターＵＶ−３
５（東芝（株）製）２７を設置し、350 ｎｍ未満の波長
光を透過させないようにして、パネルＰに360 ｎｍ付近
の紫外線強度が１３mW/cm²となる光を３分間照射する。

【００４１】続いて、押圧を解除し、パネルＰの排出口
１１から排出された余分な組成物材料をふき取り、排出
口１１を紫外線硬化性樹脂等で封止する。こうして得ら
れた液晶表示素子の特性評価を、表１の実施例１の欄に
示す。この実施例によると、ガラス基板１，２間の隙間
ムラや気泡混入等の問題もなく、均一な高表示品位を有
する液晶表示素子を得ることができる。また、シール材
７，８を光重合性樹脂材料にて形成することにより、光
を照射して組成物１０を硬化する際に、シール材７，８
も同時に硬化することができ、工程数を削減できる。さ
らに、表１より、保持率ＨＲは96.8％であり、たいへん
優れていることがわかる。

【００４２】なお、紫外線強度は実施例に示されている
強度のみに限定されるものではなく、３mW/cm²〜160mW/
cm²であれば、本発明の特徴を有するものが得られるこ
とが確認できた。また、ガラス基板２に照射される光
は、1000ｎｍ以上の波長光と330 ｎｍ以下の波長光が、
照射光量の１％以下の量となるように処理を施せばよ
い。また、素子のセル厚も１０μｍに限定されるもので
はない。また、基板温度を実施例では２５℃としたが、
この値に限定されるものではない。しかし、基板温度を
一定に制御せずに製造すると、製造再現性が悪く、同一
の素子を得るのが困難となる。

【００４３】比較例１実施例１に対する比較例を示す。すなわち、実施例１の
ガラス基板１，２に対し、絶縁膜５，６を施す処理をし
なかったものを使用し、同様の作製を行った。こうして
得られた液晶表示素子の特性評価を表１の比較例１の欄
に示す。表１より、保持率ＨＲは86.6％となり、実施例
１の保持率ＨＲ96.8％に比べ悪くなることがわかる。

【００４４】比較例２実施例１に対する他の比較例を示す。すなわち、実施例
１の350 ｎｍ紫外線カットフィルター２７を使用せず
に、光照射を行って作製した。こうして得られた液晶表
示素子の特性評価を表１の比較例２の欄に示す。電気光
学特性は緩やかな特性を示し、保持率ＨＲも92.7％と若
干悪くなることがわかる。

【００４５】実施例２第１の実施の形態に対応する他の実施例を示す。すなわ
ち、この実施例は、実施例１に対し、シール材７，８に
熱硬化性樹脂であるストラクトボンドXN-21-S 〔三井東
圧化学（株）製〕を使用した。まず、実施例１と同様
に、絶縁膜５，６を施したガラス基板１，２を用意し、
ガラス基板２の周辺部にストラクトボンドXN-21-S に、
約0.3wt%スペーサである真し球Ｂ−10.0μ〔触媒化成工
業（株）製〕を含ませたものをシール材７，８のように
組成物排出口が形成されるように塗布形成し、その塗布
形成された基板２を９０℃，２０分間加熱放置する。そ
の２０分加熱終了までに、固着スペーサ９を実施例１と
同様に固着させた基板１を用意しておき、後は実施例１
と同様に作製する。光照射を終えた後、表示素子を恒温
槽にて150 ℃，２時間放置後、恒温槽から取り出し、液
晶表示素子が完成する。こうして得られた液晶表示素子
の特性評価を表１の実施例２の欄に示す。表１より、保
持率ＨＲが96.4％であり、たいへん優れていることがわ
かる。

【００４６】

【表１】

【００４７】実施例３第２の実施の形態に対応する実施例を示す。すなわち、
この実施例は、図４に示すように、各ガラス基板４１，
４２が矩形であり、ガラス基板４１，４２の対向面の周
辺部に塗布したシール材３９，４０も長方形をなす。そ
して、各辺のシール材３９，４０の中央部に、組成物排
出口３７，３８を形成し、かつガラス基板４１，４２の
四つ角部においてもシール材に組成物排出口（図示せ
ず）を形成する。また、組成物４８は、ガラス基板４１
の中央部に滴下する。なお、これ以外は、実施例１と同
様の作製方法を行う。こうして得られた液晶表示素子の
特性評価を表２の実施例３の欄に示す。

【００４８】この実施例によると、実施例１の液晶表示
素子よりも気泡が残り難く、均一な液晶表示素子を再現
良く製造でき、歩留まりも向上する。また、表２より、
保持率ＨＲが97.0％であり、たいへん優れていることが
わかる。実施例４第２の実施の形態に対応する他の実施例を示す。

【００４９】この実施例は、実施例３における各辺のシ
ール材３９，４０の形成部より、１mm程内側にもシール
材（図示せず）を形成し、２重のシールとしたものであ
る。それ以外は、実施例３と同様の方法で作製を行っ
た。こうして得られた液晶表示素子の特性評価を表２の
実施例４の欄に示す。この実施例によると、ガラス基板
４１，４２の重ね合わせ時の位置ずれがほとんどなく、
再現良く製造できる。また、表２より、保持率ＨＲが9
5.9％であり、たいへん優れていることがわかる。な
お、この２重のシール構造を実施例１に適用してもよ
い。

【００５０】実施例５第２の実施の形態に対応するさらに他の実施例を示す。
この実施例は、実施例３において、光照射側基板上に光
拡散媒体を設置せず、光透過性フィルムシートに代えて
光拡散フィルムシートを用いたことを特徴とするもので
ある。それ以外は、実施例３と同様の方法で作製を行
う。こうして得られた液晶表示素子の特性評価を表２の
実施例５の欄に示す。

【００５１】この実施例によると、パネルＰ′を液晶表
示素子の製造装置にセットする際に、光拡散媒体を施す
手間が省ける。また、表２より、保持率ＨＲが95.2％で
あり、たいへん優れていることがわかる。なお、この構
成を実施例１に適用してもよい。実施例６第３の実施の形態に対応する実施例を示す。

【００５２】図５において、恒温槽５０，５１は、基板
６０，６１と接する面が光拡散処理を施された石英，ガ
ラス，樹脂等からなり、本実施例では石英製恒温槽を使
用する。恒温槽５０，５１は、少なくとも上側の恒温槽
５１が昇降可能となっている。また、恒温槽５０，５１
内に循環ポンプで循環させる流体として、例えば水を使
用する。恒温槽５０，５１には以上の実施例と同様の絶
縁膜形成処理およびスペーサ固着を施した基板６０，６
１を吸着させ、水の循環によって基板６０，６１が２５
℃となるように恒温槽５０，５１を制御する。また、基
板６０に対し、以上に示した実施例と同組成物を所望過
剰に滴下ノズル５４より滴下する。

【００５３】また、位置調整手段５５には、ＣＣＤや拡
大鏡等を使用するが、本実施例ではＣＣＤを使用する。
ＣＣＤ５５としては、例えば、WV-CD52 （松下電器産業
（株）製）のＣＣＤシステムを使い、基板重ね合わせ位
置をＴＶモニター５６にてモニターしながら、恒温槽５
１を下降し、精度良く基板６０，６１を重ね合わせ、か
つ基板６０，６１の隙間が所定の値となるように押圧
し、その状態で、恒温槽５０，５１を介して上下方向か
ら実施例１と同様の処理（フィルター介在）を施した光
を照射する。その後、基板６０，６１の吸着を解除し、
恒温槽５１を上昇させ、液晶表示素子を取り出す。こう
して得られた液晶表示素子の特性評価を表２の実施例６
の欄に示す。

【００５４】この実施例によると、液晶表示素子にはシ
ール部がなく、製造工程を削減でき、かつムラや気泡の
ない均一な液晶表示素子を歩留まり良く製造することが
できる。また、表２より、保持率ＨＲが97.1％であり、
たいへん優れていることがわかる。

【００５５】

【表２】

【００５６】実施例７実施例６において、押圧に際し、重ね合わせた基板６
０，６１を４０℃に加熱しながらゆっくりと押圧を行
い、気泡が抜けた時点で２５℃（初期温度）に温度を降
下し、光照射を行うことを特徴とするものである。これ
によって、気泡のない液晶表示素子を実施例６よりさら
に歩留まり良く作製再現できた。なお、特性評価には変
わりがなかった。この構成を実施例１，３に適用しても
よい。

【００５７】実施例８実施例６において、組成物の滴下時と基板重ね合わせ時
の基板温度を１５℃に制御し、組成物が拡散し難いよう
にし、基板押圧の開始時より２５℃に温度を上昇させ、
２５℃で一定となった後、光照射した。これによって、
実施例７よりもさらに気泡のない均一な液晶表示素子を
歩留まり良く作製再現できた。

【００５８】なお、各実施例で使用した組成物に限定さ
れるものではなく、組成物を以下のように変えても同様
の結果を得ることができる。モノマーとして2-エチルヘキシルアクリレート（ナ
カライテスク（株）製）3.0wt%、2-ヒドロキシエチルア
クリレート（ナカライテスク（株）製）9.0wt%、ネオペ
ンチルグリコールジアクリレートであるKAYARAD MANDA
（日本化薬（株）製）2.48wt% 、オリゴマーとしてＥＯ
変性ビスフェノールＡジアクリレートであるKAYARAD R-
551 （日本化薬（株）製）5.36wt% 、光硬化開始剤とし
てベンジルジメチルケタールであるイルガキュア651
（日本チバガイギー（株）製）0.16wt% からなる光重合
性材料と、液晶材料として塩素系液晶ＴＬ205 〔 N-I p
oint=87 ℃, ｎ_e=1.744, ｎ_o=1.527〕（メルク・ジャ
パン（株）製）80.0wt% を混合して組成物とした。

【００５９】プレポリマー材料として2-エチルヘキ
シルアクリレート（ナカライテスク（株）製）17.55wt
%、アクリル酸4-ヒドロキシブチルであるアクリエステ
ル４ＨＢＡ（三菱レイヨン（株）製）0.44wt% 、メタク
リル酸2-サクシノロイルオキシエチルであるアクリエス
テルＳＡ（三菱レイヨン（株）製）0.20wt% 、KAYARADT
PGDA （日本化薬（株）製）1.11wt% 、光硬化開始剤と
して2-ヒドロキシー2-メチル-1- フェニルプロパン-1-
オンであるダロキュア−1173（メルク社製）0.2wt%から
なる光重合性材料と、液晶材料としてＴＬ205 〔 N-I p
oint=87 ℃, ｎ_e=1.744, ｎ_o=1.527〕（メルク・ジャ
パン（株）製）80.5wt% を混合して組成物とした。

【００６０】において、プレポリマー成分を同じ
くし、プレポリマー中の成分割合も同じくし、液晶材料
のみをＴＬ205 からＴＬ213 とし、液晶割合を７７wt%
とした場合も、同傾向を示し、さらに特性が良くなっ
た。モノマー材料として2-エチルヘキシルアクリレート
（ナカライテスク（株）製）21.5wt% 、オリゴマー材料
としてビスコート＃3700（大阪有機化学工業（株）製）
1.3wt%、光硬化開始剤としてイルガキュア1700（日本チ
バガイギー（株）製）0.1wt%、液晶材料としてＴＬ213
を使用した。この場合、実施例よりもさらに駆動電圧を
下げることができた。

【００６１】シール材に関しても、各実施例に示すもの
に限定されるものではなく、エポキシエステル300A（共
栄社油脂化学工業（株）製）に２wt% ダロキュア1173
（メルク社製）を含ませた２０℃粘度約１０万cps のも
のや、M-1200（東亞合成化学工業（株）製）に２wt% ダ
ロキュア1173（メルク社製）を含ませた２０℃粘度約１
４万cps のものや、アロニックスUV-3033 （東亞合成化
学工業（株）製）の２０℃粘度約25000cpsのものを使用
しても、同様の結果を得ることができた。しかし、粘度
が20℃において20000cpsに満たないシール材は重ね合わ
せ時の基板位置ずれが起き易く、作製再現性を落とす結
果となることもわかった。これより、シール材は２０℃
において粘度20000cps以上のものを使用すれば、表記の
材料に限定されず、再現良く、所望の位置で基板貼り合
わせができるものと考えられる。

【００６２】ＵＶランプに関しても、各実施例に示すも
のに限定されるものではなく、超高圧水銀ランプIML-30
00（（株）オーク製作所製）のものを使用すると、Ｖ₉₀
／Ｖ ₁₀がより一層小さくなり、急峻な素子が得られた。
また、ウシオ電機（株）製ランプUVL-6000-Oを使用して
も、実施例と同様の結果を得ることができた。なお、各
実施例において、液晶表示素子の周辺を高分子樹脂で封
口してもよい。素子内には紫外線が照射されないように
マスクをし、ＵＶ樹脂をパネル周辺に施し、組成物を封
口する。例えば、ロックタイト352A（日本ロックタイト
（株）製）をＵＶ（ 350nm）５５mW/cm²，９０秒照射に
より硬化させる。その結果、電気光学特性はほとんど変
わらなかったが、素子の寿命が延びることがわかった。

【００６３】

【発明の効果】請求項１の液晶表示素子の製造方法によ
ると、少なくとも一方が透光性を有した一対の基板の一
方に、液晶材料と光重合性樹脂材料の組成物を滴下して
重ね合わせ、透光性を有した基板側から光を照射するこ
とにより、液晶表示素子が得られ、常圧下で、かつ基板
の形状や濡れ性の影響を受けずに製造できる。したがっ
て、ムラなく、回り込み等による気泡の発生を回避で
き、短時間で、均一な高分子分散型液晶表示素子を迅速
に再現良く製造することができる。また、押圧解除後で
も、均一セル厚を保ち、気泡が混入することもなく、均
一なセル厚の液晶表示素子が得られる。さらに、シール
部がなく、製造工程を削減できる。

【００６４】請求項２〜５の液晶表示素子の製造方法に
よると、少なくとも一方が透光性を有した一対の基板の
一方に、液晶材料と光重合性樹脂材料の組成物を滴下
し、シール材を塗布して重ね合わせ、透光性を有した基
板側から光を照射することにより、液晶表示素子が得ら
れ、常圧下で、かつ基板の形状や濡れ性の影響を受けず
に製造できる。したがって、ムラなく、回り込み等によ
る気泡の発生を回避でき、短時間で、均一な高分子分散
型液晶表示素子を迅速に再現良く製造することができ
る。また、押圧解除後でも、均一セル厚を保ち、気泡が
混入することもなく、均一なセル厚の液晶表示素子が得
られる。

【００６５】請求項３の液晶表示素子の製造方法による
と、シール材が光重合性樹脂材料からなるので、光照射
により、組成物を硬化する際に、シール材も同時に硬化
することができ、工程数を削減できる。請求項６の液晶
表示素子の製造方法によると、シール材を２重に施すこ
とで、一対の基板の位置ずれを小さくすることができ
る。

【００６６】請求項７の液晶表示素子の製造方法による
と、少なくとも一方が透光性を有した一対の基板の一方
に、液晶材料と光重合性樹脂材料の組成物を滴下し、位
置調整手段により一対の基板を位置調整しながら重ね合
わせ、透光性を有した基板側から光を照射することによ
り、液晶表示素子が得られ、常圧下で、かつ基板の形状
や濡れ性の影響を受けずに製造できる。したがって、ム
ラなく、回り込み等による気泡の発生を回避でき、短時
間で、均一な高分子分散型液晶表示素子を迅速に再現良
く製造することができる。また、押圧解除後でも、均一
セル厚を保ち、気泡が混入することもなく、均一なセル
厚の液晶表示素子が得られる。

【００６７】請求項８の液晶表示素子の製造方法による
と、基板を押圧する際に加熱することで、気泡を抜くこ
とができ、気泡のない液晶表示素子を得ることができ
る。請求項９の液晶表示素子の製造方法によると、透光
性を有した基板側から、１０００ｎｍ以上の波長光と３
３０ｎｍ以下の波長光が、照射光量の１％以下の量であ
る光を照射することにより、液晶表示素子が得られ、常
圧下で、かつ基板の形状や濡れ性の影響を受けずに製造
できる。したがって、ムラなく、回り込み等による気泡
の発生を回避でき、短時間で、均一な高分子分散型液晶
表示素子を迅速に再現良く製造することができる。

【００６８】請求項１０，１１の液晶表示素子の製造装
置によると、少なくとも一方が透光性を有した一対の基
板の一方に、液晶材料と光重合性樹脂材料の組成物を滴
下し、シール材を塗布して重ね合わせ、透光性を有した
基板側から光を照射することにより、液晶表示素子が得
られ、常圧下で、かつ基板の形状や濡れ性の影響を受け
ずに製造できる。したがって、ムラなく、回り込み等に
よる気泡の発生を回避でき、短時間で、均一な高分子分
散型液晶表示素子を迅速に再現良く製造することができ
る。また、押圧解除後でも、均一セル厚を保ち、気泡が
混入することもなく、均一なセル厚の液晶表示素子が得
られる。

【００６９】請求項１２の液晶表示素子の製造装置によ
ると、恒温槽で吸着された一対の基板のうち下側の恒温
槽に吸着された基板上にノズルより組成物を滴下し、恒
温槽を移動し位置調整手段にて重ね合わせ位置を調整し
ながら一対の基板を重ね合わせ、さらに光照射すること
により、液晶表示素子が得られ、常圧下で、かつ基板の
形状や濡れ性の影響を受けずに製造できる。したがっ
て、ムラなく、回り込み等による気泡の発生を回避で
き、短時間で、均一な高分子分散型液晶表示素子を迅速
に再現良く製造することができる。また、押圧解除後で
も、均一セル厚を保ち、気泡が混入することもなく、均
一なセル厚の液晶表示素子が得られる。

【００７０】この結果、本発明の液晶表示素子を表示素
子として用いる場合、薄膜トランジスタ（ＴＦＴ）との
組み合わせによりアクティブマトリクス駆動させること
により、高い表示性能が得られる。また、本発明の液晶
表示素子を投写光学系と組み合わせることにより、優れ
た表示性能の投写型ディスプレイが実現できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の第１の実施の形態における液晶表示
素子の製造工程の概略断面図である。

【図２】この発明の第１の実施の形態における液晶表示
素子の製造装置の概略斜視図である。

【図３】この発明の第１の実施の形態における液晶表示
素子の製造装置の部分拡大斜視図である。

【図４】この発明の第２の実施の形態における液晶表示
素子の製造工程の概略断面図である。

【図５】この発明の第３の実施の形態における液晶表示
素子の製造装置の概略斜視図である。

【図６】液晶表示素子の特性評価用電圧保持率測定波形
図である。

【符号の説明】

１，２，４１，４２，６０，６１基板７，８，３９，４０シール材１０，４８組成物１１，３７，３８排出口Ｐ，Ｐ′ パネル２０パネル固定治具２１，５７，５８ランプ２３光透過性フィルムシート２４緩衝材２５光拡散媒体５０，５１恒温槽５４ノズル５５ＣＣＤ（位置調整手段）

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】少なくとも一方が透光性を有した一対の
基板のうち少なくとも一方の対向面にスペーサを固着配
置する工程と、前記一対の基板の一方に液晶材料と光重
合性樹脂材料の組成物を滴下する工程と、前記一対の基
板をシール部を設けずに重ね合わせる工程と、前記組成
物が前記一対の基板間全体に拡散するように前記基板を
押圧した状態で前記透光性を有した基板側から光を照射
して前記組成物の液晶と樹脂を相分離させる工程とを含
む液晶表示素子の製造方法。
【請求項２】少なくとも一方が透光性を有した一対の
基板のいずれか一方に排出口を設けた状態でシール材を
塗布する工程と、前記一対の基板のうち少なくとも一方
の対向面にスペーサを固着配置する工程と、前記一対の
基板の一方に液晶材料と光重合性樹脂材料の組成物を滴
下する工程と、前記一対の基板を重ね合わせる工程と、
前記組成物が前記一対の基板間全体に拡散するように前
記基板を押圧した状態で前記透光性を有した基板側から
光を照射して前記組成物の液晶と樹脂を相分離させる工
程とを含む液晶表示素子の製造方法。
【請求項３】シール材が光重合性樹脂材料からなるこ
とを特徴とする請求項２記載の液晶表示素子の製造方
法。
【請求項４】一対の基板の対向面の周辺に排出口を設
けた状態でシール材を塗布し、前記シール材に形成した
排出口と反対側において前記一対の基板の一方に組成物
を滴下することを特徴とする請求項２または３記載の液
晶表示素子の製造方法。
【請求項５】矩形の一対の基板の対向面の各周辺にシ
ール材を塗布し、各辺のシール材にそれぞれ排出口を設
け、前記一対の基板の一方の略中央に組成物を滴下する
ことを特徴とする請求項２または３記載の液晶表示素子
の製造方法。
【請求項６】シール材が２重に施されていることを特
徴とする請求項２，３，４または５記載の液晶表示素子
の製造方法。
【請求項７】少なくとも一方が透光性を有した一対の
基板のうち少なくとも一方の対向面にスペーサを固着配
置する工程と、前記一対の基板の一方に液晶材料と光重
合性樹脂材料の組成物を滴下する工程と、位置調整手段
により前記一対の基板を位置調整しながら重ね合わせる
工程と、前記組成物が前記一対の基板間全体に拡散する
ように前記基板を押圧した状態で前記透光性を有した基
板側から光を照射して前記組成物の液晶と樹脂を相分離
させる工程とを含む液晶表示素子の製造方法。
【請求項８】基板の押圧工程で基板を加熱し、初期温
度に戻した後光照射を行うことを特徴とする請求項１，
２，３，４，５，６または７記載の液晶表示素子の製造
方法。
【請求項９】基板に照射される光が、１０００ｎｍ以
上の波長光と３３０ｎｍ以下の波長光が、照射光量の１
％以下の量であることを特徴とする請求項１，２，３，
４，５，６，７または８記載の液晶表示素子の製造方
法。
【請求項１０】少なくとも一方が透光性を有した一対
の基板のいずれか一方に排出口を設けた状態でシール材
を塗布し、前記一対の基板のうち少なくとも一方の対向
面にスペーサを固着配置し、前記一対の基板の一方に液
晶材料と光重合性樹脂材料の組成物を滴下し、前記一対
の基板を重ね合わせてなるパネルに、透光性基板側から
光を照射して液晶表示素子を製造する製造装置であっ
て、前記パネルを緩衝材を介して固定するパネル固定治具
と、前記パネルの透光性基板上に設置した光拡散媒体
と、この光拡散媒体を介して前記パネルを押圧する光透
過性フィルムと、この光透過性フィルムならびに前記光
拡散媒体を介して前記透光性基板側から光を照射するラ
ンプとを備えた液晶表示素子の製造装置。
【請求項１１】パネルの透光性基板上に光拡散媒体を
設置せず、かつ光透過性フィルムに代えて光拡散フィル
ムを使用した請求項１０記載の液晶表示素子の製造装
置。
【請求項１２】光拡散処理を施した対向面にそれぞれ
基板を吸着固定する吸着部を有しかつ少なくとも一方を
昇降可能とした上下一対の恒温槽と、この恒温槽に接続
され恒温槽内に流体を循環させることにより前記基板温
度を一定に保つ循環ポンプと、前記下側の恒温槽に吸着
された基板上に液晶材料と光重合性樹脂材料の組成物を
滴下するノズルと、前記恒温槽の外面側に設けたランプ
と、前記恒温槽の外面側に設けられ前記一対の基板の重
ね合わせ位置を調整する位置調整手段とを備えた液晶表
示素子の製造装置。