JPH0961797A - 液晶光学素子及びその製造方法 - Google Patents

液晶光学素子及びその製造方法

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JPH0961797A
JPH0961797A JP21755095A JP21755095A JPH0961797A JP H0961797 A JPH0961797 A JP H0961797A JP 21755095 A JP21755095 A JP 21755095A JP 21755095 A JP21755095 A JP 21755095A JP H0961797 A JPH0961797 A JP H0961797A
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light
trans
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polymer
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JP21755095A
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English (en)
Inventor
Masao Yamamoto
雅夫 山本
Tsuyoshi Kamimura
強 上村
Kenji Nakao
健次 中尾
Atsumasa Naitou
温勝 内藤
Satoru Shinsenji
哲 秦泉寺
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高分子分散型液晶を用いてなる液晶光学素子
において、電界応答性を改善し、特にTNレベルの応答
速度を実現できるようにする。 【解決手段】 透明電極層16を有する上下一対の透明
基板11,12をスペーサ兼シール樹脂15を介して貼
り合わせて作製した空セルに、予め粘度低下剤17が添
加混合されたネマチック液晶材料13と光硬化性あるい
は熱硬化性の未硬化の高分子材料とを混合し加熱撹拌し
て得られた溶解物を注入して,封止し、次に、光あるい
は熱により前記未硬化の高分子材料を重合させて、いわ
ゆる、ネマチック液晶材料13が硬化高分子材料14中
に分散保持された高分子分散型液晶を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はネマチック液晶材料
が高分子重合体からなるマトリクス中に分散保持された
高分子分散型液晶を用いた液晶光学素子及びその製造方
法に関し、特に、電界応答性に優れた液晶光学素子及び
その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、液晶分子の屈折率と同じ屈折率を
有する高分子に、ネマチック液晶を分散保持させた高分
子分散型液晶を、その主面に透明電極を形成した上下一
対の透明基板間に挟み込み、この高分子分散型液晶を電
界下に存在させるか否かにより、前記液晶の屈折率を変
化させて、素子を散乱状態と透過状態に切り換える液晶
光学素子が多くの研究されている(特開昭60−252
687号公報)。
【0003】図5はこの高分子分散型液晶を用いた液晶
光学素子の表示原理を模式的に示した図で、図5(a)
が散乱状態(電圧無印加状態)を、図5(b)が透過状
態(電圧印加状態)を示している。図において、20
a,20bは透明基板、21は透明電極層、22は入射
光、23は散乱光、24は液晶、25は高分子相、26
は透過光、27は高分子分散型液晶である。
【0004】図5(a)に示すように、電圧無印加状態
では、液晶24の分子軸がランダムな方向を向くため液
晶領域の屈折率が周囲の高分子相25の屈折率と異な
り、液晶光学素子(透明基板20a)に入った入射光2
2は、高分子分散型液晶27において散乱し、液晶光学
素子(透明基板20b)から散乱光23として出射する
こととなり、散乱状態が得られる。一方、図5(b)に
示すように、透明基板20a,20bの対向する透明電
極層21間に電圧を印加すると、液晶24の分子軸が電
界方向に配列するため、液晶光学素子の透明基板20a
に垂直に入射した光に対しては、高分子分散型液晶27
の液晶24領域の屈折率が周囲の高分子相25の屈折率
とほぼ一致することにより、光の散乱が生じず、液晶光
学素子(透明基板20b)から透過光26として出射す
ることとなり、その結果、透過状態が得られる。
【0005】このような高分子分散型液晶を用いた液晶
光学素子では、光の散乱を利用するため、偏光板を使用
する必要がなく、従来のツイステッドネマチック(T
N)型の液晶光学素子のような,直線偏光を得るために
偏光板を使用しなければならない液晶光学素子に比べ
て、明るく、かつ視野角の広い表示を得ることができ
る。また、従来のTN型等の液晶光学素子では、配向処
理や上下基板間隔を正確に制御する必要があり、大面積
の表示に関しては、表示むらが出易いという課題を有し
ているが、高分子分散型液晶を用いた液晶光学素子は、
配向処理が不要で基板間隔の制御も厳密に行う必要がな
いため、大面積の液晶光学素子を容易に作製できるとい
う利点も有する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】高分子分散型液晶を用
いた液晶光学素子では、前記のように、偏光板を用いな
いため、従来のTN型等の液晶光学素子に比して、明る
く、かつ広視野角の表示を実現できるという利点を有し
ているが、反面、電界応答性が悪いという欠点を有して
いる。この電界応答性が悪いということの主な原因は、
高散乱化を実現するためには液晶材料の選択に制約が生
ずるという点である。即ち、高分子分散型液晶を用いた
液晶光学素子では、高い散乱状態を得るためには、液晶
相の屈折率と高分子相の屈折率との差をできるだけ大き
くする必要があり、液晶材料としてシアノ系の液晶材料
等の高い屈折率異方性を有する液晶材料を用いなければ
ならず、かかるシアノ系の液晶材料等の高い屈折率異方
性を有する液晶材料は一般にその粘度が高いため、これ
を用いて作成された液晶光学素子では十分な電界応答性
を得ることができない。また、シアノ系の液晶材料は一
般に熱や光に対してその特性が変化しやすく、かかる液
晶材料を用いた液晶光学素子では素子の信頼性の点にお
いても課題が残る。近年、このような課題に対して、比
較的低粘度で,かつ熱や光に対する信頼性に優れたクロ
ル系の液晶材料の応用について検討がなされ、液晶光学
素子の応答速度や信頼性が改善されたという報告がなさ
れているが、未だ液晶材料の粘度が高く、TNレベルで
の応答速度を実現するには到っていないのが現状であ
る。
【0007】本発明の目的は、高分子分散型液晶を用い
てなる液晶光学素子において、電界応答性に優れた,特
にTNレベルでの応答速度を実現することができる液晶
光学素子及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
【問題点を解決するための手段】本発明にかかる液晶光
学素子は、ネマチック液晶材料が高分子重合体からなる
マトリクス中に分散保持された高分子分散型液晶を、一
対の透明電極付き透明基板の対向する電極形成面間に挟
み込んでなる液晶光学素子において、前記高分子分散型
液晶として、前記ネマチック液晶材料にこれの粘度を低
下させる粘度低下剤を混合してなる液晶組成物を前記高
分子重合体から成るマトリクス中に分散保持させたもの
を用いたことを特徴とするものである。
【0009】前記構成においては、前記液晶組成物が2
0℃で45cP(センチポアズ)以下の粘度を有するも
のであるのが好ましい。また前記構成においては、前記
粘度低下剤が前記構造式(化1)で表わされるトランス
−スチルベン誘導体であり、かつ、前記液晶組成物が前
記トランス−スチルベン誘導体がシス体に異性化する波
長領域の光を吸収する物質を含むものであるか、あるい
は、前記2枚の透明電極付き透明基板のいずれか一方ま
たは双方の内側または外側面に前記トランス−スチルベ
ン誘導体がシス体に異性化する波長領域の光を吸収また
は遮蔽し、他の波長の光を透過させるフィルター手段が
配設されているのが好ましい。
【0010】ここで前記構造式(1)で表されるトラン
ス−スチルベン誘導体は、下記の反応式(化2)に示す
ように、紫外線(100nm〜380nm)により、シ
ス−トランス異性化が起こるものであり、一般にトラン
ス体にある状態でこれが添加された組成物の粘度を低下
させることができるものである。
【0011】
【化2】
【0012】また前記構成においては、前記構造式(化
1)で表わされる前記トランス−スチルベン誘導体の置
換基Xがフッ素(F)であることが好ましい。次に、本
発明にかかる第1の液晶光学素子の製造方法は、主面に
電極が形成された透明基板を2枚用意し、これら2枚の
透明基板を互いの前記主面が所定間隙を空けて対向する
よう配置した状態で、前記間隙にネマチック液晶材料,
前記構造式(化1)で表わされるトランス−スチルベン
誘導体,光照射により重合・硬化するモノマー及び/ま
たはオリゴマーを主成分とする光重合性組成物,及び前
記トランス−スチルベン誘導体がシス体に異性化する波
長領域の光を吸収する物質を混合してなる混合物を存在
せしめ、この後、前記2枚の透明基板の外側から前記混
合物に光を照射して前記光重合性組成物を重合・硬化さ
せ,前記間隙に高分子分散型液晶を形成するものであ
る。
【0013】また本発明にかかる液晶光学素子の製造方
法は、主面に電極が形成された透明基板を2枚用意し、
当該2枚の透明基板の前記主面に後述するトランス−ス
チルベン誘導体がシス体に異性化する波長領域の光を吸
収し、他の波長の光を透過させる機能を有する高分子膜
を形成した後、これら2枚の透明基板を互いの前記主面
が所定間隙を空けて対向するよう配置した状態で、前記
間隙にネマチック液晶材料,前記構造式(化1)で表わ
されるトランス−スチルベン誘導体,及び光照射により
重合・硬化するモノマー及び/またはオリゴマーを主成
分とする光重合性組成物を混合してなる混合物を存在せ
しめ、この後、前記2枚の透明基板の外側から前記混合
物に光を照射して前記光重合性組成物を重合・硬化さ
せ,前記間隙に高分子分散型液晶を形成するものであ
る。
【0014】また、本発明にかかる液晶光学素子の製造
方法は、主面に電極が形成された透明基板を2枚用意
し、これら2枚の透明基板を互いの前記主面が所定間隙
を空けて対向するよう配置した状態で、前記間隙にネマ
チック液晶材料,前記構造式(1)で表わされるトラン
ス−スチルベン誘導体,及び光照射により重合・硬化す
るモノマー及び/またはオリゴマーを主成分とする光重
合性組成物を混合してなる混合物を存在せしめ、この
後、前記2枚の透明基板のそれぞれの外側面に前記のト
ランス−スチルベン誘導体がシス体に異性化する波長領
域の光を遮蔽し、他の波長の光を透過させるフィルター
材を配置し、この状態で前記2枚の透明基板の外側から
前記混合物に光を照射して前記光重合性組成物を重合・
硬化させ,前記間隙に高分子分散型液晶を形成するもの
である。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の液晶光学素子において
は、ネマチック液晶材料が高分子重合体からなるマトリ
クス中に分散保持された高分子分散型液晶を、一対の透
明電極付き透明基板の対向する電極形成面間に挟み込ん
でなる液晶光学素子において、前記高分子分散型液晶と
して、前記ネマチック液晶材料にこれの粘度を低下させ
る粘度低下剤を混合してなる液晶組成物を前記高分子重
合体から成るマトリクス中に分散保持させたものを用い
たことにより、高分子分散型液晶における液晶材料(液
晶組成物)の粘度が低下し、素子の電界応答性を向上さ
せることができる。
【0016】また本発明においては、前記構成の好まし
い例として、前記液晶組成物が20℃で45cP(セン
チポアズ)以下の粘度を有するものであると、高分子分
散型液晶における液晶材料(液晶組成物)の粘度が極め
て小さくなることにより、素子の電界応答性をTNレべ
ルと同等のレべルまで向上させることができる。
【0017】また本発明においては、前記構成の好まし
い例として、前記粘度低下剤が前記構造式(化1)で表
わされるトランス−スチルベン誘導体であり、かつ、前
記液晶組成物が前記トランス−スチルベン誘導体がシス
体に異性化する波長領域の光を吸収する物質を含むもの
であるか、あるいは、前記2枚の透明電極付き透明基板
のいずれか一方または双方の内側または外側面に前記ト
ランス−スチルベン誘導体がシス体に異性化する波長領
域の光を吸収または遮蔽し、他の波長の光を透過させる
手段が配設されていると、前記トランス−スチルベン誘
導体の屈折率異方性(Δn:0.20〜0.35)が大
きいことから、高い散乱性が得られて、明るく,視野角
の広い表示を得ることができ、しかも、その動作時にお
いてバックライト等により前記液晶組成物に光が照射さ
れても、前記の特定波長光を吸収する物質または特定波
長光を吸収または遮蔽するフィルター手段により、前記
トランス−スチルベン誘導体にはこれをシス体に異性化
する波長領域の光が照射されず,これがシス体に異性化
しないので、前記トランス−スチルベン誘導体が添加さ
れ,その粘度が低下している高分子分散型液晶中の液晶
材料(液晶組成物)は、かかる粘度が低下した状態が安
定に保持されることとなり、素子の改善された電界応答
性が長期に渡って維持されることとなる。
【0018】また本発明においては、前記構成の好まし
い例として、前記構造式(化1)で表わされる前記トラ
ンス−スチルベン誘導体の置換基Xがフッ素(F)であ
ると、光照射に対してより安定なものとなり、素子の信
頼性が向上する。
【0019】次に、本発明の液晶光学素子の製造方法に
おいては、主面に電極が形成された透明基板を2枚用意
し、これら2枚の透明基板を互いの前記主面が所定間隙
を空けて対向するよう配置した状態で、前記間隙にネマ
チック液晶材料,前記構造式(化1)で表わされるトラ
ンス−スチルベン誘導体,光照射により重合・硬化する
モノマー及び/またはオリゴマーを主成分とする光重合
性組成物,及び前記トランス−スチルベン誘導体がシス
体に異性化する波長領域の光を吸収する物質を混合して
なる混合物を存在せしめ、この後、前記2枚の透明基板
の外側から前記混合物に光を照射して前記光重合性組成
物を重合・硬化させ,前記間隙に高分子分散型液晶を形
成するようにしたから、前記光重合性組成物の重合・硬
化時に前記トランス−スチルベン誘導体にこれをシス体
に異性化する波長領域の光が照射されず、前記トランス
−スチルベン誘導体をトランス体のままで、液晶材料
(液晶組成物)中に存在させることができる。従って、
液晶材料(液晶組成物)の粘度を確実に低下させること
ができ、前記の電界応答性が確実に向上した液晶光学素
子を再現性よく製造することができる。また、高分子分
散型液晶の液晶材料(液晶組成物)中に前記トランス−
スチルベン誘導体がシス体に異性化する波長領域の光を
吸収する物質を存在させるので、前記の改善された電界
応答性が長期に渡って維持される液晶光学素子を合理的
に製造することができる。
【0020】また、本発明の液晶光学素子の製造方法に
おいては、主面に電極が形成された透明基板を2枚用意
し、当該2枚の透明基板の前記主面に後述するトランス
−スチルベン誘導体がシス体に異性化する波長領域の光
を吸収し、他の波長の光を透過させる機能を有する高分
子膜を形成した後、これら2枚の透明基板を互いの前記
主面が所定間隙を空けて対向するよう配置した状態で、
前記間隙にネマチック液晶材料,前記構造式(化1)で
表わされるトランス−スチルベン誘導体,及び光照射に
より重合・硬化するモノマー及び/またはオリゴマーを
主成分とする光重合性組成物を混合してなる混合物を存
在せしめ、この後、前記2枚の透明基板の外側から前記
混合物に光を照射して前記光重合性組成物を重合・硬化
させ,前記間隙に高分子分散型液晶を形成するようにし
たから、前記光重合性組成物の重合・硬化時に前記トラ
ンス−スチルベン誘導体にこれをシス体に異性化する波
長領域の光が照射されず、前記トランス−スチルベン誘
導体をトランス体のままで、液晶材料(液晶組成物)中
に存在させることができる。従って、液晶材料(液晶組
成物)の粘度を確実に低下させることができ、前記の電
界応答性が確実に向上した液晶光学素子を再現性よく製
造することができる。また、高分子分散型液晶の液晶材
料(液晶組成物)中に前記トランス−スチルベン誘導体
がシス体に異性化する波長領域の光を吸収する物質を存
在させるので、前記の改善された電界応答性が長期に渡
って維持される液晶光学素子を合理的に製造することが
できる。
【0021】また、本発明の液晶光学素子の製造方法に
おいては、主面に電極が形成された透明基板を2枚用意
し、これら2枚の透明基板を互いの前記主面が所定間隙
を空けて対向するよう配置した状態で、前記間隙にネマ
チック液晶材料,前記構造式(化1)で表わされるトラ
ンス−スチルベン誘導体,及び光照射により重合・硬化
するモノマー及び/またはオリゴマーを主成分とする光
重合性組成物を混合してなる混合物を存在せしめ、この
後、前記2枚の透明基板のそれぞれの外側面に前記のト
ランス−スチルベン誘導体がシス体に異性化する波長領
域の光を遮蔽し、他の波長の光を透過させるフィルター
材を配置し、この状態で前記2枚の透明基板の外側から
前記混合物に光を照射して前記光重合性組成物を重合・
硬化させ,前記間隙に高分子分散型液晶を形成するよう
にしたから、前記光重合性組成物の重合・硬化時に前記
トランス−スチルベン誘導体にこれをシス体に異性化す
る波長領域の光が照射されず、前記トランス−スチルベ
ン誘導体をトランス体のままで、液晶材料(液晶組成
物)中に存在させることができる。従って、液晶材料
(液晶組成物)の粘度を確実に低下させることができ、
前記の電界応答性が確実に向上した液晶光学素子を再現
性よく製造することができる。
【0022】
【実施例】図1は本発明の液晶光学素子の一具体例の構
成を示す断面図であり、図において、11はその主面に
インジウム・錫酸化物からなる透明電極層16が形成さ
れた上側の透明基板、12はその主面にインジウム・錫
酸化物からなる透明電極層16が形成された下側の透明
基板、13は粘度低下剤17が添加されたネマチック液
晶材料、14は高分子材料、15はスペーサ兼シール樹
脂である。
【0023】かかる液晶光学素子は以下に記すようにし
て製造した。すなわち、インジウム・錫酸化物よりなる
透明電極層16を形成した上下一対の透明基板11、1
2を用意し、互いの電極形成面をスペーサ兼シール樹脂
15を介して貼り合わせ、空セルを完成した。その後、
ネマチック液晶材料13と紫外線硬化性あるいは熱硬化
型性の未硬化の高分子材料とを混合し、加熱、撹拌して
得られた溶解物を空セルの開口部よりセル内部に注入し
た。ここで、ネマチック液晶材料13には予め粘度低下
剤17を所要量添加混合した。そして、注入後、注入口
を封止し、光あるいは熱により前記未硬化の高分子材料
を重合させ、いわゆる、ネマチック液晶材料13が高分
子材料14中に分散保持された高分子分散型液晶を形成
して、液晶光学素子を完成させた。ここで、ネマチック
液晶材料13としては、高い屈折率異方性を有するもの
が、高い散乱状態を得る上で好ましく、これの具体例と
してはシアノフェニルヘキサン系,シアノビフェニルケ
系等の液晶材料を挙げることができる。また、粘度低下
剤17としては、ネマチック液晶材料13中に存在し
て、ネマチック液晶材料13の粘度を低下させる物質で
あればよく、特に限定されるものではないが、散乱状態
への影響を考慮した場合、高い屈折率異方性を有するも
のが好ましく、これの具体例としては前記構造式(化
1)で表されるトランス−スチルベン誘導体を挙げるこ
とができる。
【0024】粘度低下剤の添加量は、液晶材料の種類,
粘度等によっても異なるが、一般に液晶材料100重量
部に対して1〜30重量部、好ましくは5〜10重量部
である。
【0025】また、本発明では前記構造式(化1)で表
されるトランス−スチルベン誘導体を粘度低下剤として
使用する場合、高分子分散型液晶を構成する未硬化の高
分子材料を光によって重合する時は、これがシス体に異
性化しないように、これを異性化する波長領域の光を吸
収する紫外線吸収剤等の材料を液晶中に予め混合させた
り,異性化する波長領域の光を遮断する手段を素子中に
配設する,あるいは素子の外部に配置する等の工夫を施
すようにした。
【0026】以下、具体的実施例を説明する。 (実施例1)図2はこの発明の一実施例による液晶光学
素子の製造工程における主要工程を示す斜視図であり、
図において、31、32はその主面にインジウム・錫酸
化物よりなる透明電極を形成したガラス基板、33はス
ペーサ兼シール樹脂、34は開口部、35は粘度低下
剤、36は紫外光、37は光重合性組成物,及び液晶材
料を主成分とする高分子分散型液晶形成用材料である。
【0027】本実施例1による液晶光学素子は以下に記
す工程により製造した。まず、一方のガラス基板(例え
ば下側基板32)の電極形成面の反対側の主面の周縁部
に直径13μmのガラス繊維を分散した酸無水物硬化型
エポキシ樹脂からなるスペーサ兼シール樹脂33を一部
に未形成部分を残して0.2mm幅で印刷形成し、この
後、上側基板31の電極形成面の反対側の主面と,下側
基板32の電極形成面の反対側の主面とを貼り合せ、1
40℃で4時間加熱して,前記スペーサ兼シール樹脂3
3を硬化させることにより空セルを完成した。
【0028】次に、粘度が49cP(20℃)の液晶材
料TL−213(メルク(株)製,商品名)8.200
gに、予め合成,光学分割しておいた粘度低下剤として
のトランス−p,p’−ジメチルジフルオロスチルベン
を0.8200g加え、100℃で十分に撹拌し、トラ
ンス−p,p’−ジメチルジフルオロスチルベンが10
重量%混合した液晶材料を調整した。ここで、液晶材料
の粘度は44cP(20℃)まで低下していた。また、
このトランス−p,p’−ジメチルジフルオロスチルベ
ンは280〜320nmの光が照射されることによりそ
の一部がシス化するものであることが分かった。このよ
うにして得た液晶材料8.200gに、高分子形成モノ
マーとして、2−エチルヘキシルアクリレートを0.9
54g、オリゴマーとしてポリウレタンアクリレートを
0.808g、光重合開始剤としてダロキュア1173
(チバガイキ(株)製,商品名)を0.038gをそれ
ぞれ加え、できあがった高分子分散型液晶形成用材料3
7を25℃で十分撹拌した後、これを25℃で前記の空
セルにその開口部34から注入し、開口部34を封止し
た。次に、前記高分子分散型液晶形成用材料37に25
℃で365nmの紫外光36(24.5mW/cm2
を100秒間照射して、前記モノマー及びオリゴマーを
高分子化させ、高分子分散型液晶を具備する液晶光学素
子を完成させた。そして、こうして完成した液晶光学素
子の電界応答性(応答速度)を大塚電子(株)製LCD
−5000により測定した。下記の表1がその結果であ
る。かかる大塚電子(株)製のLCD−5000による
測定条件は、測定温度30℃、測定周波数30Hz,受
光角2.8゜にした。また、応答速度は、素子の最大透
過率が10%から90%に変化するのに要する時間(τ
r ),と最大透過率が90%から10%に変化するのに
要する時間(τd )との総和である。なお、表1にはト
ランス−p,p’−ジメチルジフルオロスチルベンを高
分子分散型液晶形成用材料中に添加することなく,他は
同様にして作製した液晶光学素子(比較例1)の電界応
答性(応答速度)も示した。
【0029】
【表1】
【0030】表1から明らかなように、粘度低下剤であ
るトランス−p,p’−ジメチルジフルオロスチルベン
によりその粘度が低下した液晶材料により高分子分散型
液晶を形成してなる本実施例の液晶光学素子は、液晶材
料にトランス−p,p’−ジメチルジフルオロスチルベ
ンを添加しなかった比較例1の液晶光学素子に比べて応
答速度が短縮し、電界応答性が大きく改善されていた。
【0031】(実施例2〜16)前記実施例1のトラン
ス−p,p’−ジメチルジフルオロスチルベンを、下記
の表2に示す,前記の構造式(1)で表される,各種の
トランス−スチルベン誘導帯体に変え、他は前記実施例
1と同様にして液晶光学素子を作製し、これらの電界応
答性(応答速度)を前記実施例1と同様にして測定し
た。下記の表3はその測定結果である。
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】表2,3から明らかなように、これら各種
のトランス−スチルベン誘導帯体を液晶材料の粘度低下
剤として利用したものは、前記比較例1の液晶光学素子
に比して、電界応答性が改善されたものであった。
【0035】(実施例17)粘度49cP(20℃)の
液晶材料TL−213(メルク(株)製,商品名)8.
200gに、トランス−p,p’−ジメチルジフルオロ
スチルベン0.6150gと紫外線吸収剤としての2−
(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−ベンゾ
トリアゾール0.2050gを加え、130℃で十分に
撹拌し、トランス−p,p’−ジメチルジフルオロスチ
ルベンが7.5重量%混合した液晶材料を調整した。次
に、この液晶材料8.200gに高分子形成モノマーと
して2−エチルヘキシルアクリレートを0.954g、
オリゴマーとしてポリウレタンアクリレートを0.80
8g、光重合開始剤としてダロキュア1173(チバガ
イキ(株)製)を0.038gをそれぞれ加え、できあ
がった高分子分散型液晶形成用材料を25℃で十分撹拌
した後、これを25℃で前記実施例1の空セルと同様の
空セルにその開口部から注入し、開口部を封止した。そ
して、この後、25℃で、高圧水銀灯を用いて前記モノ
マー及びオリゴマーを高分子化させ、高分子分散型液晶
を具備する液晶光学素子を完成させた。そして、こうし
て完成した液晶光学素子の電界応答性(応答速度)を大
塚電子(株)製LCD−5000により測定した。下記
の表4がその結果である。。
【0036】
【表4】
【0037】なお、表4には紫外線吸収剤(2−(2’
−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリア
ゾール)を利用することなく、他は同様にして作製した
液晶光学素子(比較例2)の電界応答性(応答速度)も
示した。
【0038】表4から明らかなように、液晶材料中に紫
外線吸収剤を添加しない場合、高分子分散型液晶形成用
材料のモノマー及びオリゴマーの重合反応において、粘
度低下剤であるトランス−p,p’−ジメチルジフルオ
ロスチルベンのシス体への異性化が起こり、液晶材料の
粘度が上昇するため、電界応答性の改善効果が充分に得
られないことがわかった。なお、前記モノマー及びオリ
ゴマーの重合反応において、液晶材料の粘度は48.5
cP(20℃)まで上昇していた。
【0039】(実施例18)粘度49cP(20℃)の
液晶材料TL−213(メルク(株)製,商品名)8.
200gに、にトランス−p,p’−ジメチルジフルオ
ロスチルベンを0.8200gを加え、100℃で十分
に撹拌し、トランス−p,p’−ジメチルジフルオロス
チルベンが10重量%混合した液晶材料を調整した。こ
の液晶材料8.200gに、高分子形成モノマーとし
て、2−エチルヘキシルアクリレートを0.954g、
オリゴマーとしてポリウレタンアクリレートを0.80
8g、光重合開始剤としてダロキュア1173(チバガ
イキ(株)製,商品名)を0.038gをそれぞれ加
え、できあがった高分子分散型液晶形成用材料を25℃
で十分撹拌した後、これを25℃で前記実施例1の空セ
ルと同様の空セルにその開口部から注入し、開口部を封
止した。そして、この後、紫外線カットフィルターUV
37(東芝硝子(株)製,商品名)をセルの両基板表面
に接触させた状態で配置し、25℃で、高圧水銀灯を用
いて前記高分子分散型液晶形成用材料のモノマー及びオ
リゴマーの重合を行って、高分子分散型液晶を形成し、
液晶光学素子を完成させた。図3は前記紫外線カットフ
ィルターUV37の光吸収スペクトルを示したものであ
るが、この図に示すように、この紫外線カットフィルタ
ーUV37は粘度低下剤であるトランス−p,p’−ジ
メチルジフルオロスチルベンがシス体に異性化する領域
(280〜320nm)の光を遮断できることがわか
る。そして、このようにして完成させた液晶光学素子の
電界応答性(応答速度)を大塚電子(株)製LCD−5
000により測定した。下記の表5がその結果である。
【0040】
【表5】
【0041】なお、表5には紫外線カットフィルターを
利用することなく、他は同様にして作製した液晶光学素
子(比較例3)の電界応答性(応答速度)も示した。表
5から明らかなように、紫外線カットフィルターを利用
しない場合、高分子分散型液晶形成用材料のモノマー及
びオリゴマーの重合反応において、液晶材料中の粘度低
下剤であるトランス−p,p’−ジメチルジフルオロス
チルベンのシス体への異性化が起こり、液晶材料の粘度
が上昇するため、電界応答性の改善効果が充分に得られ
ないことがわかった。なお、前記モノマー及びオリゴマ
ーの重合反応時、液晶材料の粘度は48cP(20℃)
まで上昇していた。
【0042】(実施例19)上側及び下側基板となる2
枚のガラス基板の電極形成面にポリイミドSE4110
(日産化学(株)製,商品名)と紫外線吸収剤である2
−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−ベン
ゾトリアゾールとを混合してなる塗膜を設け、これを乾
燥させた後、2枚のガラス基板を用いて実施例1と同様
にして空セルを形成した。ここで2−(2’−ヒドロキ
シ−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾールの濃
度はポリイミドSE4110に対し5重量%にした。ま
た、ポリイミド(SE4110)塗膜の形成(乾燥)
は、50℃、1時間の条件で行った。そして、この空セ
ルに実施例1と同様の高分子分散型液晶形成用材料を注
入して、封止し、25℃で、高圧水銀灯を用いて前記高
分子分散型液晶形成用材料のモノマー及びオリゴマーの
重合を行って、高分子分散型液晶を形成し、液晶光学素
子を完成させた。そして、このようにして完成させた液
晶光学素子の電界応答性(応答速度)を大塚電子(株)
製LCD−5000により測定した。下記の表6がその
結果である。
【0043】
【表6】
【0044】なお、表6にはガラス基板の電極形成面に
紫外線吸収剤を混合することなくポリイミド膜を形成
し、その他は同様にして作製した液晶光学素子(比較例
4)の電界応答性(応答速度)も示した。
【0045】表6から明らかなように、ガラス基板の電
極形成面に紫外線吸収剤を混合することなくポリイミド
膜を形成したものにおいては、高分子分散型液晶形成用
材料のモノマー及びオリゴマーの重合反応において、液
晶材料中の粘度低下剤であるトランス−p,p’−ジメ
チルジフルオロスチルベンのシス体への異性化が起こ
り、液晶材料の粘度が上昇するため、電界応答性の改善
効果が充分に得られないことがわかった。なお、前記モ
ノマー及びオリゴマーの重合反応時、液晶材料の粘度は
48cP(20℃)まで上昇していた。
【0046】(実施例20)上側及び下側基板となる2
枚のガラス基板の電極形成面に2ヒドロキシエチルアク
リレートを主成分とする高分子膜を設け、これを乾燥さ
せた後、これら2枚のガラス基板を用いて実施例1と同
様にして空セルを形成した。図4は2ヒドロキシエチル
アクリレートの光吸収スペクトルを示したものである
が、この図に示すように、2ヒドロキシエチルアクリレ
ートは約350nm以下の波長の光を吸収するもので、
トランス−p,p’−ジメチルジフルオロスチルベンを
異性化する波長(280〜320nm)に光を吸収し得
る。2ヒドロキシエチルアクリレートを主成分とする高
分子膜の形成は、2ヒドロキシエチルアクリレートモノ
マーに光重合開始剤ダロキュア4265(チバガイキ
(株)製,商品名)を加えた溶液を基板上に塗布して塗
膜を形成した後、これに紫外線を照射することにより行
った。そして、この空セルに実施例1と同様の高分子分
散型液晶形成用材料を注入して、封止し、25℃で、高
圧水銀灯を用いて前記高分子分散型液晶形成用材料のモ
ノマー及びオリゴマーの重合を行って、高分子分散型液
晶を形成し、液晶光学素子を完成させた。そして、この
ようにして完成させた液晶光学素子の電界応答性(応答
速度)を大塚電子(株)製LCD−5000により測定
した。下記の表7がその結果である。
【0047】
【表7】
【0048】なお、表7にはガラス基板の電極形成面に
高分子膜を設けることなく、その他は同様にして作製し
た液晶光学素子(比較例5)の電界応答性(応答速度)
も示した。
【0049】表7から明らかなように、ガラス基板の電
極形成面に2ヒドロキシエチルアクリレートを主成分と
する高分子膜を設けることなく作製された素子において
は、高分子分散型液晶形成用材料のモノマー及びオリゴ
マーの重合反応において、液晶材料中の粘度低下剤であ
るトランス−p,p’−ジメチルジフルオロスチルベン
のシス体への異性化が起こり、液晶材料の粘度が上昇す
るため、電界応答性の改善効果が充分に得られないこと
がわかった。なお、前記モノマー及びオリゴマーの重合
反応時、液晶材料の粘度は48cP(20℃)まで上昇
していた。
【0050】尚、前記実施例では、高分子分散型液晶形
成用材料におけるモノマーとして2−エチルヘキシルア
クリレートを用いたが、本発明はこれに限定されるもの
ではなく、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ネオペ
ンチルグリコールドアクリレート、ヘキサンジオールジ
アクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、
トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレ
ングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパン
トリアクリレートなど一般に市販されているアクリル系
モノマー、アクリル系以外の他の市販されている高分子
形成用のモノマーを使用することも可能である。
【0051】また、前記実施例では高分子分散型液晶形
成用材料におけるオリゴマーとして、ポリウレタンアク
リレートを用いたが、本発明はこれに限定されるもので
はなく、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレ
ート等の使用も可能である。
【0052】また、前記実施例では光重合開始剤として
ダロキュア1173(チバガイキ(株)製,商品名)を
用いたが、本発明では、光重合開始剤は、添加する粘度
低下剤の異性化が起こる光の波長以外の波長の光によっ
て重合開始を起こさせるものであればよく、市販されて
いる光重合開始剤からかかる特性のものを選択して使用
することができる。
【0053】また、前記実施例では高分子分散型液晶の
高分子材料として光硬化性樹脂を用いたが、本発明は高
分子分散型液晶の高分子材料が熱硬化性樹脂や熱可塑性
樹脂である場合にも適用できること言うまでもない。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ネマチック液晶材料にこれの粘度を低下させる粘度低下
剤を添加した液晶組成物を高分子材料に分散して高分子
分散型液晶を形成し、かかる高分子分散型液晶により液
晶光学素子を構成するようにしたので、明るく、かつ広
視野角の表示を行え、しかも、電界応答性が改善された
液晶光学素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶光学素子の一具体例の構成を示す
断面図である。
【図2】本発明の一実施例による液晶光学素子の製造工
程における主要工程を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施例18による液晶光学素子の製造
に使用した紫外線カットフィルターの光吸収スペクトル
を示した図である。
【図4】本発明の実施例20による液晶光学素子のガラ
ス基板の電極形成面に形成した高分子膜中の2ヒドロキ
シエチルアクリレートの光吸収スペクトルを示した図で
ある。
【図5】高分子分散型液晶を用いた液晶光学素子の表示
原理を模式的に示した図で、図5(a)が散乱状態(電
圧無印加状態)を示した図、図5(b)が透過状態(電
圧印加状態)を示した図である。
【符号の説明】
11 上側の透明基板 12 下側の透明基板 13 液晶 14 高分子材料 15 スペーサ兼シール樹脂 16 透明電極層 17 粘度低下剤 20a,20b 透明基板 21 透明電極層 22 入射光 23 散乱光 24 液晶 25 高分子相 26 透過光 27 高分子分散型液晶 31 ガラス基板 32 ガラス基板 33 スペーサ兼シール樹脂 34 開口部 35 粘度低下剤 36 紫外光 37 高分子分散型液晶形成用材料
フロントページの続き (72)発明者 内藤 温勝 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 秦泉寺 哲 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ネマチック液晶材料が高分子重合体から
    なるマトリクス中に分散保持された高分子分散型液晶
    を、一対の透明電極付き透明基板の対向する電極形成面
    間に挟み込んでなる液晶光学素子において、 前記高分子分散型液晶として、前記ネマチック液晶材料
    にこれの粘度を低下させる粘度低下剤を混合してなる液
    晶組成物を前記高分子重合体から成るマトリクス中に分
    散保持させたものを用いたことを特徴とする液晶光学素
    子。
  2. 【請求項2】 前記液晶組成物が20℃で45cP(セ
    ンチポアズ)以下の粘度を有するものである請求項1に
    記載の液晶光学素子。
  3. 【請求項3】 前記粘度低下剤が下記の構造式(化1)
    で表わされるトランス−スチルベン誘導体であり、前記
    液晶組成物が前記トランス−スチルベン誘導体がシス体
    に異性化する波長領域の光を吸収する物質を含むもので
    ある請求項1に記載の液晶光学素子。 【化1】
  4. 【請求項4】 前記粘度低下剤が前記構造式(化1)で
    表わされるトランス−スチルベン誘導体であり、前記2
    枚の透明電極付き透明基板のいずれか一方または双方の
    内側または外側面に前記トランス−スチルベン誘導体が
    シス体に異性化する波長領域の光を吸収または遮蔽し、
    他の波長の光を透過させるフィルター手段が配設されて
    いることを特徴とする液晶光学素子。
  5. 【請求項5】 前記構造式(化1)で表わされる前記ト
    ランス−スチルベン誘導体の置換基Xがフッ素(F)で
    ある請求項3または4にに記載の液晶光学素子。
  6. 【請求項6】 主面に電極が形成された透明基板を2枚
    用意し、これら2枚の透明基板を互いの前記主面が所定
    間隙を空けて対向するよう配置した状態で、前記間隙に
    ネマチック液晶材料,前記の構造式(化1)で表わされ
    るトランス−スチルベン誘導体,光照射により重合・硬
    化するモノマー及び/またはオリゴマーを主成分とする
    光重合性組成物,及び前記トランス−スチルベン誘導体
    がシス体に異性化する波長領域の光を吸収する物質を混
    合してなる混合物を存在せしめ、この後、前記2枚の透
    明基板の外側から前記混合物に光を照射して前記光重合
    性組成物を重合・硬化させ,前記間隙に高分子分散型液
    晶を形成する液晶光学素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 主面に電極が形成された透明基板を2枚
    用意し、当該2枚の透明基板の前記主面に後述するトラ
    ンス−スチルベン誘導体がシス体に異性化する波長領域
    の光を吸収し、他の波長の光を透過させる機能を有する
    高分子膜を形成した後、これら2枚の透明基板を互いの
    前記主面が所定間隙を空けて対向するよう配置した状態
    で、前記間隙にネマチック液晶材料,前記構造式(化
    1)で表わされるトランス−スチルベン誘導体,及び光
    照射により重合・硬化するモノマー及び/またはオリゴ
    マーを主成分とする光重合性組成物を混合してなる混合
    物を存在せしめ、この後、前記2枚の透明基板の外側か
    ら前記混合物に光を照射して前記光重合性組成物を重合
    ・硬化させ,前記間隙に高分子分散型液晶を形成する液
    晶光学素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 主面に電極が形成された透明基板を2枚
    用意し、これら2枚の透明基板を互いの前記主面が所定
    間隙を空けて対向するよう配置した状態で、前記間隙に
    ネマチック液晶材料,前記構造式(化1)で表わされる
    トランス−スチルベン誘導体,及び光照射により重合・
    硬化するモノマー及び/またはオリゴマーを主成分とす
    る光重合性組成物を混合してなる混合物を存在せしめ、
    この後、前記2枚の透明基板のそれぞれの外側面に前記
    トランス−スチルベン誘導体がシス体に異性化する波長
    領域の光を遮蔽し、他の波長の光を透過させるフィルタ
    ー材を配置し、この状態で前記2枚の透明基板の外側か
    ら前記混合物に光を照射して前記光重合性組成物を重合
    ・硬化させ,前記間隙に高分子分散型液晶を形成する液
    晶光学素子の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014025024A (ja) * 2012-07-30 2014-02-06 Agc Seimi Chemical Co Ltd 液晶化合物および光異性化抑制剤を含有する液晶組成物
CN115322523A (zh) * 2022-08-23 2022-11-11 成都飞机工业(集团)有限责任公司 含两亲性液晶嵌段共聚物的环氧树脂组合物及其制备方法

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