JP3118351B2 - スーパーツイスティッドネマティック液晶表示素子及びその製造方法 - Google Patents

スーパーツイスティッドネマティック液晶表示素子及びその製造方法

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JP3118351B2
JP3118351B2 JP05261356A JP26135693A JP3118351B2 JP 3118351 B2 JP3118351 B2 JP 3118351B2 JP 05261356 A JP05261356 A JP 05261356A JP 26135693 A JP26135693 A JP 26135693A JP 3118351 B2 JP3118351 B2 JP 3118351B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばパソコン等の平
面ディスプレイ装置、液晶テレビ、および携帯用ディス
プレー(含フィルム基板)等に利用することができ、対
向する2つの基板の間に高分子からなる壁にて包囲され
た液晶領域を有する表示媒体が挟持されたSTN(スー
パーツイスティッドネマティック)液晶表示素子及びそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子には種々の表示モードのも
のがある。例えば、電気光学効果を利用する液晶表示素
子には、ネマティック液晶分子を用いたTN(ツィステ
ィドネマティック)モードや、STN(スーパーツィス
ティドネマチィック)モードのものが実用化されてい
る。更に、明るい表示を目指したSTN素子として偏光
板が一枚である反射型液晶素子が提案されている(特開
平4−97121号、特開平4−289818号)。
【0003】一方、偏光板を必要とせず、液晶の光散乱
を利用する液晶表示素子には、動的散乱(DS)モード
や相転移(PC)モードを利用したものがある。
【0004】近年、偏光板を必要とせず、しかも配向処
理を不要とする液晶表示素子として、液晶の複屈折率を
利用し、透明または白濁状態を電気的にコントロールす
る方式のものがある。この液晶表示素子は、基本的に、
液晶分子の常光屈折率と液晶を支持するポリマーなどの
支持媒体の屈折率とを一致させ、電圧を印加して液晶の
配向が揃うときに透明状態となし、電圧を印加しないと
きには、液晶分子の配向の乱れにて光散乱が起こる状態
となすことにより、表示するものである。この方式の液
晶表示素子としては、光硬化性又は熱硬化性の樹脂と液
晶とを混合したものを使用し、樹脂のみを析出して硬化
させ、硬化した樹脂の間に滴状をした液晶滴を形成させ
ることにより製造することが提案されている(特表昭6
1−502128号)。
【0005】ところで、上記とは異なる非散乱型であ
り、偏光板を用いて視角特性を改善するようにした液晶
表示素子として、液晶と光硬化性樹脂との混合物を相分
離させて、液晶と高分子材料の複合材料を作製すること
により製造するものが提案されている(特開平5−27
242号)。この提案に係る液晶表示装置は、生成した
高分子体により液晶ドメインの配向状態がランダム状態
になり、電圧印加時に個々の液晶ドメインで液晶分子の
立ち上がる方向が異なるために、各方向から見た見かけ
上の屈折率が等しくなるために中間調状態での視角特性
が改善されるものである。
【0006】また、同様の液晶表示素子として、本願出
願人により以下のものが提案されている(特開平4−2
86487号)。この液晶表示素子は、液晶および光硬
化性樹脂などの混合物に対して光照射して光重合させる
時に、ホトマスクなどの光制御手段を使用して、液晶ド
メインを絵素領域内で全方位的な配向状態、つまり放射
状となるように形成してあり、電圧制御により液晶分子
をあたかも傘が開いたり閉じたりするように動作させる
ように構成されている。この液晶表示素子による場合に
は、視角特性を著しく改善できる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、通常使
用されているSTN液晶表示素子においては、外力によ
り液晶層の厚み、いわゆるセル厚が変化する。このた
め、例えばペン入力がなされる液晶表示素子の場合に
は、ペン入力により表示ムラが局部的に発生するという
問題があった。
【0008】また、視角特性を改善して広視野角化され
た液晶表示素子においては、電気光学特性が急峻でない
のでデューティ比を十分に取れず、それ故に高価な薄膜
トランジスタ(TFT)を使用する必要があり、コスト
が高くなるという難点があった。
【0009】本発明は、このような従来技術の課題を解
決すべくなされたものであり、外力によるセル厚の変化
が少ないスーパーツイスティッドネマティック液晶表示
素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のスーパーツイス
ティッドネマティック液晶表示素子は、少なくとも一方
が透明である一対の電極基板と、該一対の電極基板間に
挟持された液晶層を含む表示媒体と、該一対の電極基板
にそれぞれ形成された電極の交差する部分で複数の絵素
が構成されてなるスーパーツイスティッドネマティック
液晶表示素子において、前記表示媒体は、高分子壁と、
該高分子壁により実質的に部分的または全体的に囲まれ
てなる液晶領域とからなり、該液晶領域は、前記複数の
絵素の配列状態に対応して規則的に配置されているとと
もに、該高分子壁は、前記一対の電極基板の両方に密着
しており、基板の配向状態を高分子中に記憶している
で、そのことにより上記目的が達成される。
【0011】このスーパーツイスティッドネマティック
液晶表示素子においては、前記高分子壁は、実質的に前
記複数の絵素外に形成されている構成とすることができ
る。また、前記絵素は、液晶領域を少なくとも一つ有し
ている構成とすることができる。
【0012】また、上記スーパーツイスティッドネマテ
ィック液晶表示素子においては、前記液晶領域は、複数
の絵素にわたって形成されている構成とすることができ
。また、前記高分子壁は、液晶性高分子が含まれる材
料により形成されている構成とすることができる。
【0013】また、上記スーパーツイスティッドネマテ
ィック液晶表示素子においては、前記液晶領域に含まれ
る液晶のツイスト角が220゜以上290゜以下である
構成とすることができる。
【0014】本発明のスーパーツイスティッドネマティ
ック液晶表示素子の製造方法は、少なくとも一方が透明
である一対の電極基板と、該一対の電極基板間に挾持さ
れた液晶層を含む表示媒体と、該一対の電極基板にそれ
ぞれ形成された電極の交差する部分で複数の絵素が構成
されてなるスーパーツイスティッドネマティック液晶表
示素子の製造方法であって、少なくとも液晶材料と光重
合性材料と光重合開始剤を含む混合物を、該一対の電極
基板の間に注入する工程と、該混合物に規則的な照度分
布を有する光を照射することにより、前記表示媒体に、
高分子壁と、該高分子壁により実質的に囲まれるととも
に前記複数の絵素の配列状態に対応して規則的に配置さ
れてなる液晶領域とを形成する工程と、を含むので、そ
のことにより上記目的が達成される。
【0015】この製造方法においては、前記規則的な照
度分布は、光強度調整手段により形成してもよい。ま
た、前記光強度調整手段は、ホトマスクにより形成して
もよく、前記光強度調整手段は、前記液晶表示素子に内
蔵してもよい。また、前記光重合性材料には、光硬化性
液晶化合物が含まれてもよい。また、前記混合物を注入
する工程は、該混合物の均一化温度以上でもよい。さら
に、前記混合物に光を照射する工程は、該混合物の均一
化温度以上であるとともに、該工程の後、前記液晶材料
がネマティック相の状態となるように冷却する工程と、
その後該混合物に再度光を照射する工程とを含んでもよ
い。また、前記混合物に再度光を照射する工程後に、さ
らに該混合物の均一化温度以上に加熱する工程と、その
後該液晶材料がネマティック相の状態となるように再度
冷却する工程とを含んでもよい。
【0016】
【作用】本発明にあっては、液晶材料と光重合性材料と
の混合物を一対の電極基板間に注入し、該混合物の液晶
領域形成部分を弱照度領域とした光を混合物に照射す
る。
【0017】これにより、まず強照度領域にある光重合
性材料(光硬化性液晶化合物と重合性化合物)に含まれ
る成分が反応して高分子壁用の核が形成され、その後、
強照度領域での高分子の濃度が低下するために高分子の
濃度勾配が形成され、その濃度勾配に沿って弱照度領域
内にある未反応の高分子が強照度領域に集まっていって
重合し、一対の電極基板に密着する状態で高分子壁が形
成される。また、高分子壁の形成がなされない部分には
液晶領域が形成される。
【0018】したがって、一対の電極基板と高分子壁と
が密着しているので、電極基板に外力が加わってもセル
厚が変化しにくい。
【0019】
【実施例】以下、本発明について実施例に基づいて具体
的に説明する。
【0020】(実施例1)図1は、本発明にかかるスー
パーツイスティッドネマティック液晶表示素子(以下、
単に液晶表示素子という。)を示す断面図である。この
液晶表示素子は透過型であり、電極を有する基板2、6
間に表示媒体10が挟持されたセル1を備え、セル1を
構成する上側の基板6の外側には偏光板14が形成され
ている。下側の基板2は、ガラス等からなる絶縁性のベ
ース用基板3の表示媒体10側にストライプ状をした下
部電極4および配向膜5が基板3側からこの順に形成さ
れている。一方、上側の基板6は、ガラス等からなる絶
縁性のベース用基板7の表示媒体10側にストライプ状
をした上部電極8および配向膜9が基板7側からこの順
に形成されている。
【0021】かかる両基板2、6で挟まれた表示媒体1
0は、滴状をした液晶領域11が高分子壁12で包囲さ
れた構造となっている。液晶領域11の配向状態はST
N配向となっており、一方の高分子壁12は両側の基板
2、6と密着または接着している。
【0022】このように構成された液晶表示素子の製造
方法を以下に説明する。まず、分子中に重合性官能基を
有する光硬化性液晶化合物A(Δε<0)を合成する。
【0023】
【化1】
【0024】その合成は次のように行う。すなわち、
4’−ハイドロオキシ−2、3−ジフロロビフェニルを
過剰の1、10−ジブロモデカンで炭酸カルシュウムの
存在下でエステル化を行う。続いて、カラムクロマトグ
ラフィーを用いて精製した後、その精製物を当モルのテ
トラメチレンアンモニュウム−ハイドロオキシペンタハ
イドレートに混合し、アクリル酸でエステル化する。こ
れにより、光硬化性液晶化合物Aを得る。
【0025】かかる準備が終了すると、基板2、6を以
下のように作製する。例えば、1.1mm厚の基板3、
7上にITO(酸化インジュウムおよび酸化スズの混合
物)を使用して、厚み500オングストロームのストラ
イプ状をした下部電極4、上部電極8を形成し、この基
板3、7上にポリイミド(サンエバー150:日産化学
社製)をスピンコートで塗布して配向膜5、9を得、配
向膜5、9に対して一方向にナイロン布を用いてラビン
グ処理を行った。これにより、基板2、6が作製され
る。なお、上記下部電極4および上部電極8は共に、1
mm当りに8本、かつ、隣合うもの同士の間隔を25μ
mとした。
【0026】次に、上記ラビング処理を行った2枚の基
板2、6を配向処理方向が互いに240゜になるように
貼り合わせる。このとき、9μmのスペーサーによりセ
ル厚を保たせることによりセル1を構成した。
【0027】次に、作製したセル1の上に、図2に示す
ホトマスク20を、その遮光部20aが絵素部分を遮光
するように配置する。20bは、透光部である。これと
前後して、セル1中に以下の混合物を注入する。その混
合物は、0.10gのR−684(日本化薬社製)と、
0.05gのスチレンと、0.10gのイソボルニルア
クリレート(以上の3種類の材料は重合性化合物であ
る。)と、0.75gの前記光硬化性液晶化合物Aと、
4gの液晶材料4427{S−811(メルク社製)に
よりツイスト角を240゜にした混合物}と、0.02
5gの光重合開始剤Irugacure651とを、均
一化温度54℃で均一に混合したものである。この混合
物の注入は、毛管注入により行った。上記重合性化合物
と上記光硬化性液晶化合物Aとが光重合性材料である。
【0028】次に、平行光線を得られる高圧水銀ランプ
下10mW/cm2のところに、混合物の注入されたセ
ル1をセットし、セル1の温度を60℃に保持した状態
で、ホトマスク側から90秒間、光(紫外線光)を照射
した。この状態において、紫外線光はセル1に対して空
間的に規則性を有したパターンとして照射される。
【0029】次に、25℃(液晶はネマティック状態)
にセル1を冷却し、さらに3分間連続で紫外線を照射し
樹脂を硬化させた。その後、セル1を一旦100℃に加
熱し、8時間かけて25℃に徐冷した。この過程で、液
晶分子は、基板の配向力に沿ってより配向するようにな
り表示品位が向上する。
【0030】次に、図9に示すように作製したセル1に
偏光板14を貼り合わせる。このとき、偏光板14の偏
光方向は、ラビング方向に対してそれぞれ45゜に、か
つ、互いに、105゜になるように方向を合わせた。こ
れにより、位相差板のないイエローモードの透過型ST
N液晶表示素子が作製される。
【0031】図3は、作製したセル1を偏光顕微鏡で観
察したときの表示媒体10の構造を示す。図示のよう
に、ホトマスク通りの液晶領域11が形成され、かつ、
液晶領域11が後述する比較例1で示す従来のSTN液
晶表示素子と同等の構造となっていた。さらに、光重合
性材料(樹脂)、つまり光硬化性液晶化合物および重合
性化合物と、光重合開始剤とが重合しているため高分子
壁12には、液晶性高分子が含まれている。なお比較例
1の液晶表示素子は、実施例1中で作成したセルを用
い、液晶材料(実施例1で使用した液晶材料とカイラル
剤との混合物)だけをセル中に注入してセルを作製し、
この作製したセルに実施例1と同様に偏光板を貼り合わ
せたSTN液晶表示素子である。
【0032】表1は、作製した実施例1に係るセル1の
電気光学特性を示す。この表には、比較例1と比較例2
とのセルの電気光学特性を併せて示している。
【0033】
【表1】
【0034】表1から理解されるように、本発明の実施
例1は、従来使用されていた比較例1と電気光学特性的
に遜色が無い。なお、測定は、高分子壁12を含んだ状
態で行っているためコントラストが低下しているが、ブ
ラックマスクで高分子壁12を隠した場合にはほぼ同等
のコントラストが得られた。さらに、ペンでセル1を押
した場合には、ほとんど色変化がみられなかった。
【0035】さらに、高分子壁12と基板2、6との密
着性を調べるために、高分子壁12および液晶領域11
のみが存在する20mm□(一辺が20mmの正方形)
を切り出し、片方の基板を引っ張ったところ容易にはが
れなかった。一方、比較例1では、高分子壁が存在しな
いためにセルから20mm□を切り出し中に基板がはが
れてしまった。
【0036】上述した表1には、比較例2が合わせて記
載されている。この比較例2は、実施例1と同様にセル
を作成し、実施例1と同様の混合物をセルに注入後、ホ
トマスクをセルに被せずに、実施例1と同様にUV照射
を行って得られた液晶表示素子である。かかる比較例2
の液晶表示素子の場合には、コントラストが低下してい
る。その理由は、かかる液晶表示素子を偏光顕微鏡で観
察したところ、絵素内に高分子壁が入り込んでいるた
め、コントラストを低下させているものと思われる。
【0037】したがって、かかる構成の液晶表示素子に
おいては、高分子壁12が両側の基板2、6と密着また
は接着しているので、特開平4−323616号に記載
されているように、予め一方の基板上に高分子壁を作製
してから両基板を貼り合わせ、その状態の基板間に液晶
材料を注入して表示媒体を作製する方法における高分子
壁と異なる。また、高分子壁12が両側の基板2、6と
密着または接着しているので、外力に対するセル厚の変
動が抑えられ、ペン入力を行ったときに見られる色変化
などを防止することができ、さらに、液晶表示素子が落
下した時などの耐衝撃性が著しく向上する。そして、さ
らに、高分子壁12内に基板上の配向影響力と同様の効
果を有する、前記液晶性高分子が固定されている場合、
配向規制力が基板表面からの水平方向と高分子壁12か
らの垂直方向から影響するため配向状態が非常に安定化
する。さらに、高分子壁12の大部分を絵素外に故意に
作製することにより、高分子壁12をランダムに作製し
た場合に比べて高分子材料によるコントラストの低下を
防止することができる。また、液晶領域11と基板とが
接している界面に高分子の薄膜が形成されることがある
が、この場合も基板上の配向規制力が高分子を通して液
晶分子に伝えられるため均一な配向が得られ、かつ、液
晶領域11を三次元的に包み込むため外力にさらに強く
なる。
【0038】なお、高分子壁12は、ほぼ等方的に作製
することもできるので、二枚の偏光板を直交するように
設定したモードを用いると、絵素外に存在する高分子壁
をブラックマスクとして使用することもできる。さら
に、該モードに絵素毎にパターン化された位相差板を設
置することによりハイコントラストの液晶表示モードを
作製することができる。
【0039】上記実施例では透過型の液晶表示素子に適
用しているが、本発明はこれに限らず、反射型STN液
晶表示素子にも適用することができる。図4は、反射型
として使用した場合の一例を示しており、特開平4−2
89818号、同4−97121号に示されたような一
枚偏光板方式の場合について示している。なお、この図
において、セル1と偏光板14との間に位相差板13が
設けられている。また、基板2は、ベース用基板3の表
示媒体10側に突起17が形成され、この突起17を覆
って平滑化膜16が基板3のほぼ全面に形成され、この
平滑化膜16の上に反射金属膜からなるストライプ状を
した下部電極15が形成された構成としてある。
【0040】(実施例2)図5は、本実施例2にかかる
液晶表示素子を示す断面図である。この液晶表示素子
は、図1の液晶表示素子に加えて、一方の基板2上に絵
素領域に対応する部分に反射領域を有する反射板20を
有し、他方の基板6にカラーフィルタ18と保護膜19
とを有する構成となっている。なお、この実施例におけ
る基板2、6は、ITO膜が付いた、全体で400μm
厚のアクリル系プラスチック基板を使用している。
【0041】かかる構成の液晶表示素子は、以下のよう
して作製される。上述した構成の各基板2、6を作製
し、実施例1と同様の配向操作を行う。
【0042】次に、実施例1と同様にして5.8μmの
スペーサーを用い基板2、6を貼り合わせ、セル中に以
下の混合物を注入する。その混合物は、0.10gのR
−684(日本化液薬薬)と、0.01gのスチレン
と、0.14gのイソボルニルアクリレート(以上の3
種類が重合性化合物である。)と、0.75gの光硬化
性液晶化合物Aと、4gの液晶材料4427{S−81
1(メルク社製)によりツイスト角を240゜にした混
合物}と、0.025gの光重合開始剤Lucirin
TPO(BASF社製:図6にハッチングにて示すよう
に400nm付近に光の吸収極大を持つ。)とを混合し
たものである。また、上記混合物の注入は、真空注入に
より、例えば100Pa、30℃で注入開始直後ただち
に基板と注入皿との温度を60℃に上げることにより行
った。上記重合性化合物および上記光硬化性液晶化合物
Aが光重合性材料に相当する。
【0043】次に、セルの温度を80℃にし、反射板2
0側から実施例1と同様の紫外線照射強度で3分間連続
的に紫外線光を照射し、その後セルを25℃に冷却し、
更に紫外線光をさらに7分間照射した。その後、一旦セ
ルを100℃に加熱し、8時間で25℃まで徐冷を行っ
た。これにより作製されたセル1のリタデーション(Δ
1・d1=650nm)であった。なお、ITO膜が付
いたアクリル系プラスチックからなる基板3、7は、図
7に示す吸収曲線を有し、350nm以下の光を実質的
にカットしている。
【0044】次に、作製したセル1に、図8に示すよう
な方向関係で一枚の偏光板14と光学位相補償機能を有
する位相差板(Δn2・d2=350nm)13を貼り合
わせた。これにより反射型一枚偏光板方式のSTN液晶
表示素子が作製される。なお、図8については、後述す
る。
【0045】このようにして作製された液晶表示素子
は、実施例1と同様の効果を有すると共に、反射板20
に光の通る領域が実施例1のホトマスクに対応するよう
に設けてあり、セルの外側にホトマスクを設置しなくて
もセル内にホトマスクを持っている構造になっている。
この方式では、液晶層とホトマスクが実施例1の場合に
比べて基板の厚みだけ近づくためホトマスクによる光の
回析による絵素内への高分子の形成を防げ、工程の大幅
な簡略化が達成できる。
【0046】表2は、作製した実施例2に係る液晶表示
素子の電気光学特性を示す。この表には、実施例3、実
施例4、比較例3および比較例4の電気光学特性を合わ
せて示している。なお、表示特性の測定は、液晶表示素
子の法線方向から30゜だけ傾けた方向から入射した光
に対する前記法線方向の白色の反射率で測定した。
【0047】
【表2】
【0048】上記実施例3、4および比較例3、4の各
々は以下のものである。実施例3は、実施例2の基板を
用い、スペーサーの径を9μmから4.6μmに代えて
セル厚を変化させ、リタデーションを変化させた反射型
セルの場合である。実施例4、比較例3および比較例4
は、同様にしてスペーサーの径が7.0μm、4.0μ
m、8.0μmのものを使用した場合である。ただし、
液晶のツイスト角は、240゜になるようにS−811
で調整した。
【0049】この表から理解されるように、比較例3、
4に比べて実施例2、3、4の場合には、コントラスト
が向上したものとなる。
【0050】なお、上述した実施例1、2、3及び4に
代表される本発明の液晶表示素子の場合には、電気光学
特性が急峻であるので、デューティ比を十分にとること
が可能となってTFTを使用する必要がなくなり、よっ
てコストの低廉化を図ることが可能となる。更に、セル
中に高分子壁を持つため、ペン入力等の外力に対して、
セル厚変化が少なく表示ムラが出にくい。
【0051】以下に本発明の特徴および変形例について
説明する。
【0052】(作製方法)本発明においては、基板上の
配向規制力を生かし、かつ、実質的に絵素外に高分子壁
を作製することが好ましい。このようにするには、液晶
材料と光重合性材料(つまり、光硬化性液晶化合物およ
び重合性化合物)と光重合開始剤との混合物を配向処理
した基板間に注入し、その後、実質的に絵素部分に紫外
線が照射されないように紫外線を部分的に照射するのが
よい。但し、光重合開始剤については省略することがで
きる。
【0053】かかる紫外線照射により、紫外線の照射さ
れた領域で高分子材料が重合形成され、液晶材料が紫外
線非照射領域に押し出され、結局、照射領域に高分子、
非照射領域に液晶領域が形成される。このとき、基板の
配向規制力を生かすために、光重合性材料の一部または
全部に、液晶性を有する光硬化性樹脂材料を用いること
により、液晶−光重合性材料の混合物の液晶性を損なう
ことなく光重合を行うことができる。
【0054】また、本発明において、より均一な配向状
態が得られるようにするには、混合物の均一化温度以上
でセル中に混合物を注入し、UV照射強度に故意に規則
的な強弱をつけ、規則的に光重合を起こさせるようにし
たり、さらに、液晶性を持たせるためネマチック、スメ
クチック相にセル温度を低下させて光重合を起こさせる
ようにしたりするのがよい。このとき、より結晶性の優
れたスメクティック相を用いると、液晶中に入り込んだ
光硬化性樹脂などを液晶外に排除することができ好まし
い。
【0055】(照射UVの照度ムラのつけ方)本発明で
は、UV照射分布の付け方が重要であり、上述したホト
マスクや、その他のマイクロレンズ、干渉板などの光強
度調整手段を用いて規則的なUV照度の分布を付けるの
が好ましい。
【0056】ホトマスクを使用する場合、ホトマスクの
位置はセルの内外どちらでもよく、UV光に規則的にむ
らを作製できればよい。セルの外側に設ける場合、セル
からホトマスクを離すと、良好なUV照射分布が得られ
ないため、ホトマスクはできるだけ液晶−光重合性材料
の混合物の近くに設けるのが好ましい。一方、セルの内
側に紫外光をカットする実質的なホトマスクを設ける場
合には、液晶と光重合性材料の混合物にホトマスクが接
した状態になり、特に好ましい。セルの内側に設ける具
体例としては以下の方式を採用できる。その方式として
は、反射型液晶表示素子において反射板の絵素に対する
部分だけ反射機能を残し、絵素外部を透過領域とする方
式や、反射型透過型に拘らず、一方の基板上に可視光は
透過するが紫外光がカットされるような膜、具体的には
カラーフィルター、有機高分子膜などを照射領域を残し
て規則的に形成する方式が該当する。
【0057】本願発明者らの検討結果によれば、絵素内
に液晶領域と高分子壁との界面が極端に少なくなるよう
に、絵素の大きさにより大きい弱照度領域(後述する)
を出せるものがよく、絵素以外の部分のみUV光が照射
されるようなホトマスクなどの光強度調整手段を使用す
るのが好ましい。その理由は、ホトマスクの遮光部にて
遮断される光領域などの照度の低い領域(弱照度領域)
が絵素の大きさの30%未満となるようにすると、生成
する液晶領域も絵素の大きさの30%未満となり、その
結果として絵素内に液晶領域と高分子壁との界面が多く
存在し、散乱によるコントラストの低下が大きくなるか
らである。
【0058】上記弱照度領域の形状は、絵素の大きさの
30%以上を覆い、UV強度を局部的に低下させるもの
であればよく、本発明では、特に限定しないが、円形、
方形、台形、長方形、六角形、ひし形、文字形、曲線お
よび直線によって区切られた図形、及び、これら図形の
一部カットしたもの、もしくは、これら図形を組み合わ
せた図形、もしくは、これらの小形図形の集合体等であ
る。本発明の実施に際し、これら図形から1種類以上選
択して使用すればよく、好ましくは、液晶ドロップレッ
トの均一性を上げるためには、できるだけ形状を1種に
限定し揃えるのが好ましい。
【0059】本発明においては、液晶領域を水平方向に
規則的に配列すなわち絵素に合わせて配列することが重
要であり、弱照度領域の配置が問題となる。弱照度領域
の配置としては、絵素のピッチに合わせるのがよく、1
絵素内に1箇所弱照度領域を配置するのが好ましい。弱
照度領域は、数絵素にわたって配置してもよく列ごとに
弱照度領域を配置したり、数絵素の組みごと全体に弱照
度領域を配置してもよい。また、弱照度領域は、それぞ
れの領域が独立である必要はなく、末端部でつながって
いても差し支えなく、最もUV光を効果的にカットする
領域が上記形状、配列をもっているものであればよい。
さらに、絵素が大きい場合、絵素の中に高分子壁を故意
に作成してもよい、この場合、コントラストの低下は見
られるが、外圧に対する支持力が確保される。
【0060】また、用いるUV光源としては、できるだ
け平行光線であることが望ましい。光線の平行度が損な
われると、非照射領域に紫外光が入り込み絵素領域内で
高分子材料が硬化するためにコントラストが低下する。
【0061】(表示のざらつき)高分子壁と液晶領域と
の界面での屈折率の違いにより、従来の高分子散型液晶
素子では、上記界面での散乱現象が起こっていた。非散
乱型(大きな液晶領域を有し、偏光板により液晶分子の
配向状態を読み取る素子)の高分子に取り囲まれた液晶
素子についても同様の現象が起こっていた。この現象に
より表示にざらつきが起こり問題となっていた。しか
し、本発明では、高分子材料中も硬化前後で一部液晶状
態と同様の配向状態にあり、液晶材料と光重合性材料と
がほとんど同程度の屈折率を有するため上記ざらつきが
減少する。
【0062】(光硬化性液晶化合物)本発明において
は、配向された基板間で、液晶材料と光重合性材料との
均一混合物から光重合性化合物を液晶状態で硬化させ、
液晶と高分子材料を相分離させるので、基板の配向状態
を、高分子中に記憶した配向状態で高分子壁を形成する
ことができる。このことにより液晶分子は、基板平面だ
けでなく高分子壁の表面からも配向規制力を受けること
になり、液晶分子の配向が安定すると同時に、高分子壁
付近の液晶分子の配向の均一性も確保することができ
る。従来の事前に高分子壁を作製する方法(特表昭61
−502128号など)では、高分子壁付近に配向の乱
れが生じ表示の均一性が保てなかった。
【0063】本発明で使用される光硬化性液晶化合物は
分子内に重合性の官能基を有するものであり、その液晶
性化合物とは、下記化学式2で示される化合物などであ
る。
【0064】
【化2】 A−B−LC 又は、 A−B−LC2−B−A 化学式1中のAとは、重合性官能基を示し、CH2=C
H−,CH2=CH−COO−,
【0065】
【化3】
【0066】CH2−CH−,−N=C=Oなどの不飽
和結合、又はエポキシ基などの歪みを持ったヘテロ環構
造を持った官能基を示す。また、Bは、重合性官能基と
液晶性化合物を結ぶ連結基であり、具体的にはアルキル
鎖(−(CH2n−)、エステル結合(−COO−)、
エーテル結合(−O−)、ポリエチレングリコール鎖
(−CH2CH2O−)、及びこれらの結合基を組み合わ
せた結合基である。LC1は、液晶性化合物を示し、下
化学式4で示される化合物又はコレステロール環及びそ
の誘導体などである。
【0067】
【化4】D−E−G 上記化学式中のGは、液晶の誘電率異方性などを発現さ
せる極性基であり、−CN,−OCH3,−F,Cl,
−OCF3,−OCCl3等の官能基を有するベンゼン
環、シクロヘキサン環、パラジフェニル環、フェニルシ
クロヘキサン環、ターフェニル環、ジフェニルシクロヘ
キサン環等である。EはD、Gを単結合により連結する
官能基であり、
【0068】
【化5】
【0069】等である。Dは、化学式2中のBと結合す
る官能基であり、且つ、液晶分子の誘電率異方性、屈折
率異方性の大きさを左右する部分であり、具体的には、
パラフェニル環、1,10−ジフェニル環、1,4−シ
クロヘキサン環、1,10−フェニルシクロヘキサン環
等である。また、LC2とは、パラフェニル環、1,1
0−ジフェニル環、1,4−シクロヘキサン環、1,1
0−フェニルシクロヘキサン環等の剛直な分子を含み、
これらの分子単独又は、これらの分子が単結合される
【0070】
【化6】
【0071】などの連結基で複数の上記分子が結合して
いる分子などが使用できる。
【0072】本発明の液晶表示素子に使用される液晶材
料が誘電率の異方性が正の場合、上記化学式中のGの極
性基の位置としては、誘電率の異方性Δεが負となるよ
うな位置におかれ、具体的には、G中に含まれるベンゼ
ン環の2置換体、3置換体、2、3置換体などを含む構
造である。また、本発明の素子中で液晶材料として使用
される液晶材料が誘電率の異方性が負の場合、上記化学
式Gの極性基の位置としては、誘電率の異方性Δεが正
となるような位置におかれ、具体的には、G中に含まれ
るベンゼン環の4置換体、3、4、5置換体、3、4置
換体などを含む構造である。これらの極性基の置換体の
置換基は、同一分子内に複数ある場合には同一である必
要はない。さらに、誘電率の異方性Δεが正、負いずれ
の場合においても、単独の分子で使用する必要はなく、
複数の液晶性重合材料を含んでもよく、少なくとも一種
類の上記化合物が含まれればよい。
【0073】(重合性化合物)光により硬化する重合性
化合物としては、例えば、C3以上の長鎖アルキル基ま
たはベンゼン環を有するアクリル酸及びアクリル酸エス
テル、さらに具体的には、アクリル酸イソブチル、アク
リル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸イ
ソアミル、n−ブチルメタクリレート、n−ラウリルメ
タクリレート、トリデシルメタクリレート、2−エチル
ヘキシルアクリレート、n−ステアリルメタアクリレー
ト、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリ
レート、2−フェノキシエチルメタクリレート、イソボ
ルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレートなど
を使用できる。さらに、ポリマーの物理的強度を高める
ために2官能以上の多官能性樹脂、例えばR−684
(日本化薬製)、ビスフェノールAジメタクリレート、
ビスフェノールAジアクリレート、1、4−ブタンジオ
ールジメタクリレート、1、6−ヘキサンジオールジメ
タクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレ
ート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テト
ラメチロールメタンテトラアクリレート、ネオペンチル
ジアクリレート、さらにより好ましくは、ハロゲン化と
くに塩素化、及びフッ素化した樹脂、例えば、2.2.
3.4.4.4−ヘキサフロロブチルメタクリレート、
2.2.3.4.4.4−ヘキサクロロブチルメタクリ
レート、2.2.3.3−テトラフロロプロピルメタク
リレート、2.2.3.3−テトラフロロプロピルメタ
クリレート、パーフロロオクチルエチルメタクリレー
ト、パークロロオクチルエチルメタクリレート、パーフ
ロロオクチルエチルアクリレート、パークロロオクチル
エチルアクリレートを使用できる。
【0074】(液晶材料)液晶材料については、常温付
近で液晶状態を示す有機物混合体であって、ネマチック
液晶(2周波駆動用液晶、Δε<0の液晶を含む)もし
くは、コレステリック液晶の添加されたネマチック液晶
が特性上好ましい。更に好ましくは、加工時に光重合反
応を伴うため耐化学反応性に優れた液晶が好ましい。具
体的には、化合物中、フッ素原子などの官能基を有する
液晶であり、例えばZLI−4801−000、ZLI
−4801−001、ZLI−4792、ZLI−44
27(総てメルク社製)などである。これらの液晶材料
と分子内に重合性官能基を有する液晶性化合物を選択す
るにあたり、それぞれの液晶性を発現する部分が類似し
ていることが、相溶性の観点から好ましい。特に、化学
的環境が特異なF、Cl系液晶材料については、重合性
官能基を有する光硬化性液晶化合物についてもF、Cl
系液晶材料であることが好ましい。
【0075】液晶材料の屈折率は、|((neまたは
o)−np)|<0.1(npは、ポリマーの屈折率)
であることが好ましい。上記範囲外では、屈折率のミス
マッチングがおこり表示にざらつきが多くなる。より好
ましくは、npがneとnoとの間の値である。この範囲
に入っていると液晶分子が電圧により駆動した場合でも
高分子壁の屈折率と液晶領域の屈折率との差が少なくな
り、液晶領域と高分子壁との界面で起こる散乱現象が極
端に少なくなる。特に、noと一致した場合、電圧ON
時の黒レベルが向上し、特に好ましい。
【0076】(材料の混合比)光重合性材料の添加量
は、液晶材料と光重合開始剤と光重合性材料との混合物
が液晶状態を取れるように添加する必要がある。材料に
より液晶性を発現できる量が異なり、本発明では特に限
定しないが、光重合性材料中、光硬化性液晶化合物の添
加量が30重量%以上90重量%以下であることが好ま
しい。このような範囲に限定するのは、30%未満で
は、混合物が液晶状態を取る温度域が減少し、STNの
配向を基板間で十分に行うことができない。一方、90
%を超えると、光重合性材料の硬化後の弾性率が低いた
め十分なセルの支持力が得られないからである。
【0077】液晶材料と光重合性材料とを混合する重量
比は、液晶材料:光重合性材料が50:50〜97:3
が好ましく、さらに好ましくは、70:30〜90:1
0である。このような範囲に限定するのは、液晶材料が
50%未満であると、高分子壁の効果が高まりセルの駆
動電圧が著しく上昇し、さらに、基板の配向規制力に沿
って配向している液晶領域が減少し実用性を失う。一
方、液晶材料が97%を超えると、高分子壁が十分に形
成されず、また、物理的強度が低下し安定した性能が得
られないからである。
【0078】(リタデーション:d・Δn)本発明のセ
ルは、液晶領域が通常のSTN液晶表示素子と同様な配
向状態をとっているために最適なリタデーション、位相
差板のリタデーションは通常のSTN液晶表示素子と同
様である。
【0079】反射型の場合、セル厚d1、液晶のΔn1
値の積d1・Δn1は、コントラスト、着色の問題から5
00nm〜800nmであることが好ましい。しかし、
セル単独では、着色した表示しかできないものを光学位
相補償機能を有する基板を図8に示すように設置するこ
とにより白黒表示に変換することができる。このために
は、光学位相補償機能を有する基板の屈折率異方性Δn
2と厚みd2の積d2・Δn2の値が非常に重要であり、1
50nm〜380nmであることが好ましく、また、
(d1・Δn1−d2・Δn2)=450nm〜550nm
であることが好ましい。
【0080】さらに、光学位相補償機能を有する基板の
光学軸と液晶の基板上での配向方向が重要であり、図8
に示す上電極基板(図4の上側の基板7に相当する)の
液晶の配向方向(ラビング方向)nと光学位相補償機能
を有する位相差板(図4の13に相当する)の光学軸o
との間の角度βと液晶のねじれ角θ(=240゜)とが
β=(θ−180)/2±10゜を満足するように設定
することが好ましい。また、上電極基板の液晶の配向方
向nと偏光板の偏光軸mとのなす角度αが30±10゜
の範囲に設定するのが好ましい。また、上記ねじれ角θ
は、上電極基板の近傍の液晶の配向方向nと反射機能を
有する基板の近傍の液晶の配向方向l(エル)との間の
角度であり、220゜〜290゜の範囲が好ましい。こ
の角度範囲は、後述する透過型の場合においても同様に
適用される。
【0081】図9は、セルの両側に偏光板が設けられた
透過型の場合において、好ましい液晶の配向方向などを
示している。この図9において、tは下部基板の近傍に
おける液晶の配向方向、uは上部基板の近傍における液
晶の配向方向、vは上部偏光板の偏光方向、wは下部偏
光板の偏光方向をそれぞれ示す。なお、図9の角度関係
は透過型の一例を示しており、図示例に限られない。
【0082】(光重合開始剤)光重合開始剤は、添加し
てもしなくともよいが、上記光重合性材料の重合をスム
ーズに進行させるためには、添加するのが好ましい。そ
の光重合開始剤(または触媒)としては、Irugac
ure184、651、907、Darocure11
73、1116、2959などが使用できる。その混合
比としては、液晶材料と光重合性材料の全体量に対して
0.3%以上5%以下が好ましい。このような範囲に限
定するのは、0.3%未満では光重合反応が十分に起こ
らず、一方5%を超えると液晶と高分子の相分離速度が
速すぎて制御が困難となり、液晶領域が小さくなり駆動
電圧が高くなるからである。
【0083】プラスチック基板を使用する場合は、紫外
線が基板に吸収されて重合が起こりにくくなるため、可
視光領域が光吸収領域であり、可視光領域で重合可能な
光重合開始剤を使用することが好ましい。具体的には、
Lucrin TPO(BASF社製)、KYACUR
E DETX−S(日本化薬社製)、CGI369(チ
バガイギー社製)などである。
【0084】(駆動法)本発明で使用できる駆動法は、
単純マトリックス駆動、TFT、MIMなどのアクティ
ブ駆動などが該当し、特に限定しない。但し、STN液
晶表示素子の特性上、単純マトリックス駆動であること
が好ましい。
【0085】(基板材料)基板材料としては、透明固体
であるガラス、高分子フィルムなど、非透明固体として
は、反射型を狙った金属薄膜つき基板、Si基板などが
利用できる。
【0086】プラスチック基板としては、可視光に吸収
を持たない材料が好ましく、PET、アクリル系ポリマ
ー、スチレン、ポリカーボネートなどが使用できる。
【0087】
【発明の効果】以上詳述したように本発明による場合に
は、表示媒体を構成する高分子壁が両基板に密着してい
るので、外圧に対するセル厚の変化を抑制することが可
能となり、また、ペン入力などにも保護フィルム無しで
使用することができるので、保護フィルムの厚みにより
生じる、表示とペン位置とに視差が生じるのを防止する
ことが可能となる。さらに、フィルム基板を用いてセル
を作製した場合には、軽量であり、外部変形によっても
表示変化が生じにくく、割れにくいSTN液晶表示素子
を提供することができ、その特性を生かすことにより携
帯用情報端末装置などの液晶表示素子として使用するこ
とができる。
【0088】また、電気光学特性が急峻であるので、デ
ューティ比を十分にとることが可能となってTFTを使
用する必要がなくなり、コストの低廉化を図ることが可
能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に係る液晶表示素子を示す断面図であ
る。
【図2】実施例1で使用したホトマスクを示す平面図で
ある。
【図3】実施例1で作製された液晶領域−高分子壁の配
置図である。
【図4】本発明を反射型に適用した液晶表示素子を示す
断面図である。
【図5】実施例2に係る液晶表示素子、つまりセルフア
ライメント(セル内にホトマスクを持つ)方式の液晶表
示素子を示す断面図である。
【図6】実施例2で使用した光開始剤の吸収曲線を示す
グラフである。
【図7】実施例2で使用したプラスチック基板の吸収曲
線を示すグラフである。
【図8】反射型の液晶表示素子における光軸(液晶の配
向、偏光板、位相差板)の配置図である。
【図9】透過型の液晶表示素子における光軸(液晶の配
向、偏光板、位相差板)の配置図である。
【符号の説明】
1 セル 2 電極基板 3 ベース用基板 4 下部電極 5 配向膜 6 電極基板 7 ベース用基板 8 上部電極 9 配向膜 10 表示媒体 11 高分子壁 12 液晶領域 13 位相差板 14 偏光板 15 下部電極 16 平滑化膜 17 突起 20 ホトマスク 20a 遮光部 20b 透光部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神崎 修一 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−188383(JP,A) 特開 平3−20718(JP,A) 特開 平3−96920(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1339 500 G02F 1/133 500 G02F 1/1334

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一方が透明である一対の電極
    基板と、該一対の電極基板間に挟持された液晶層を含む
    表示媒体と、該一対の電極基板にそれぞれ形成された電
    極の交差する部分で複数の絵素が構成されてなるスーパ
    ーツイスティッドネマティック液晶表示素子において、 前記表示媒体は、高分子壁と、該高分子壁により実質的
    に部分的または全体的に囲まれてなる液晶領域とからな
    り、該液晶領域は、前記複数の絵素の配列状態に対応し
    て規則的に配置されているとともに、該高分子壁は、前
    記一対の電極基板の両方に密着しており、基板の配向状
    態を高分子中に記憶しているスーパーツイスティッドネ
    マティック液晶表示素子。
  2. 【請求項2】 前記高分子壁は、実質的に前記複数の絵
    素外に形成されている請求項1に記載のスーパーツイス
    ティッドネマティック液晶表示素子。
  3. 【請求項3】 前記絵素は、液晶領域を少なくとも一つ
    有している請求項1に記載のスーパーツイスティッドネ
    マティック液晶表示素子。
  4. 【請求項4】 前記液晶領域は、複数の絵素にわたって
    形成されている請求項1に記載のスーパーツイスティッ
    ドネマティック液晶表示素子。
  5. 【請求項5】 前記高分子壁は、液晶性高分子が含まれ
    る材料により形成されている請求項1ないし4に記載の
    スーパーツイスティッドネマティック液晶表示素子。
  6. 【請求項6】 前記液晶領域に含まれる液晶のツイスト
    角が220゜以上290゜以下である請求項1ないし5
    に記載のスーパーツイスティッドネマティック液晶表示
    素子。
  7. 【請求項7】 少なくとも一方が透明である一対の電極
    基板と、該一対の電極基板間に挾持された液晶層を含む
    表示媒体と、該一対の電極基板にそれぞれ形成された電
    極の交差する部分で複数の絵素が構成されてなるスーパ
    ーツイスティッドネマティック液晶表示素子の製造方法
    であって、 少なくとも液晶材料と光重合性材料と光重合開始剤を含
    む混合物を、該一対の電極基板の間に注入する工程と、 該混合物に規則的な照度分布を有する光を照射すること
    により、前記表示媒体に、高分子壁と、該高分子壁によ
    り実質的に囲まれるとともに前記複数の絵素の配列状態
    に対応して規則的に配置されてなる液晶領域とを形成す
    る工程と、 を含むスーパーツイスティッドネマティック液晶表示素
    子の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記規則的な照度分布は、光強度調整手
    段により形成されている請求項7に記載のスーパーツイ
    スティッドネマティック液晶表示素子の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記光強度調整手段は、ホトマスクであ
    る請求項8に記載のスーパーツイスティッドネマティッ
    ク液晶表示素子の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記光強度調整手段は、前記液晶表示
    素子に内蔵されている請求項8に記載のスーパーツイス
    ティッドネマティック液晶表示素子の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記光重合性材料には、光硬化性液晶
    化合物が含まれる請求項7に記載のスーパーツイスティ
    ッドネマティック液晶表示素子の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記混合物を注入する工程は、該混合
    物の均一化温度以上である請求項7に記載のスーパーツ
    イスティッドネマティック液晶表示素子の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記混合物に光を照射する工程は、該
    混合物の均一化温度以上であるとともに、該工程の後、
    前記液晶材料がネマティック相の状態となるように冷却
    する工程と、その後該混合物に再度光を照射する工程
    と、を含む請求項7に記載のスーパーツイスティッドネ
    マティック液晶表示素子の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記混合物に再度光を照射する工程後
    に、さらに該混合物の均一化温度以上に加熱する工程
    と、その後該液晶材料がネマティック相の状態となるよ
    うに再度冷却する工程と、を含む請求項13に記載のス
    ーパーツイスティッドネマティック液晶表示素子の製造
    方法。
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