JP2950736B2 - 液晶表示素子及びこれを用いた液晶ディスプレイ並びにその製造方法及び駆動方法 - Google Patents

液晶表示素子及びこれを用いた液晶ディスプレイ並びにその製造方法及び駆動方法

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JP2950736B2
JP2950736B2 JP24607294A JP24607294A JP2950736B2 JP 2950736 B2 JP2950736 B2 JP 2950736B2 JP 24607294 A JP24607294 A JP 24607294A JP 24607294 A JP24607294 A JP 24607294A JP 2950736 B2 JP2950736 B2 JP 2950736B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液晶表示素子に関する。
さらに詳しくは投射型ディスプレイ、直視型ディスプレ
イ等に用いられる液晶表示素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高分子分散型の液晶表示素子では高分子
中に液晶材料が分散されており、この高分子と液晶の複
合材料が2枚の基板間に封入されている。多くの場合、
液晶はドロップレットと呼ばれる球に近い形状をしてお
り、これが高分子中に分散している構造になっている
(例えばフラットパネルディスプレイ1991 219
頁〜224頁)。
【0003】2枚の基板の内側には透明電極が形成され
ており、高分子と液晶の複合材料に電界を印加すること
ができる。電界を印加しない状態では、高分子界面付近
の液晶分子は界面の形状に従って並び、ドロップレット
の中央部分では全体の弾性変形のエネルギーが最小にな
るように配列する。従来の高分子分散型液晶表示素子で
は高分子界面付近の液晶分子の並び方は、液晶材料と高
分子材料によって決定され、高分子界面に対して水平ま
たは垂直のどちらかの配向を示すとされてきた(例えば
Paul Drzaic の論文 Mol.Cryst.Liq.Cryst. 1988 Vol.
154 pp 289-306)。
【0004】この液晶表示素子に十分大きな電圧を印加
すると液晶分子は基板に対してほぼ垂直に立ち、このと
き液晶の屈折率と高分子の屈折率がほぼ一致するため
に、光学的にはほぼ均一な媒体となって光は透過する。
電圧を切ると液晶分子は壁面形状に従って並び、パネル
内の全体的な分子の配向方位はランダムになる。このと
き液晶とポリマー間の屈折率の不連続性によって光は散
乱され、パネルは白濁する。このとき光はほとんど透過
しない。
【0005】この高分子分散型液晶表示素子は、薄膜ト
ランジスタ(TFT)を形成した基板と組合せてアクテ
ィブマトリクス方式の表示素子として用いられる場合が
ある。またこの高分子分散型液晶を用いたアクティブマ
トリクス方式の表示素子を投射光学系に組み込み、投射
型ディスプレイとして用いられることがある。この場
合、前記した電圧無印加時の白濁状態が光を透過しない
ため黒表示、電圧印加時の光の透過する状態が白表示と
なる。この液晶表示素子を3枚用い、それぞれ赤、緑、
青の3色の光を変調することでカラー表示も可能であ
る。
【0006】一般に高分子と液晶材料が接する界面での
液晶分子の配列は弾性エネルギーのバランスによって決
定される。高分子界面に対して液晶分子が並ぶ角度によ
ってエネルギーが変化し、このエネルギーが最小になる
角度に液晶分子は配向する。ツイストネマチック液晶素
子のように高分子界面をラビング配向処理を行なう場
合、ラビング方向に対して非対称性を有するため、液晶
分子が界面に対して並ぶ角度は連続的に変化する。しか
し高分子分散型液晶の場合にはラビング処理のような非
対称性を発生させるような処理を行なっていないため、
若干複雑になる。ただしこの垂直あるいは水平に配向す
ると表現した場合にも、厳密に垂直または水平に並ぶも
のではなく、概ね垂直、概ね水平に配向している程度で
ある。これは界面付近の液晶もドロップレットの形状、
周囲の液晶の配向状態などの影響を受けるためである。
【0007】この弾性エネルギーは温度によって変化す
ることが知られているが、通常の高分子と液晶の組み合
わせでは水平と垂直のエネルギー差が大きいために、水
平配向から垂直配向に転移することは一般的ではない。
ここで高分子界面での液晶分子の配向規制力(通称アン
カリング強度)を調整し、水平配向と垂直配向のエネル
ギー差を小さくすることで、温度変化によって垂直配向
から水平配向に転移させることが可能となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ツイストネマチック型
の液晶素子では温度によって垂直配向から水平配向に転
移する現象が報告されている(日本学術振興会第142
委員会特別研究会 予稿集 1994.5.26 p6
〜11)。しかし高分子分散型液晶素子ではこれまで配
向転移の現象は報告されていなかった。
【0009】我々はこのたび高分子分散型液晶素子にお
いて温度変化によって水平配向から垂直配向に転移する
現象を発見し、さらにこの転移温度付近で駆動電圧が極
小値を持つことを見いだしたものである。この場合、高
温側で水平配向、低温側で垂直配向、転移温度は35℃
であったが、この温度は高分子中のフッ素系モノマーの
含有量を調整することでコントロール可能であることが
わかった。これは以下のように考えられる。高温側では
水平配向が安定であり、低温側では垂直配向が安定であ
る。しかし転移温度では水平配向と垂直配向のエネルギ
ーは等価であり、エネルギー的には垂直でも水平でもど
ちらの配向状態を取り得る条件にある。このとき高分子
界面付近での液晶分子の配向方位を規制するアンカリン
グ強度は非常に弱いと考えられる。すなわち高温では水
平に配向させる規制力が比較的強いが、温度低下に伴い
配向規制力が徐々に小さくなり、この転移温度で極小値
を持ち、さらに温度低下させることで垂直に配向させる
規制力が増加する。この配向規制力が小さくなった温度
領域では駆動電圧が小さくなる。よってこの水平配向か
ら垂直配向に転移させる温度を使用温度範囲にすること
で、その温度付近での駆動電圧を低下させることができ
る。
【0010】また高分子分散型液晶素子では駆動電圧は
セル厚にほぼ比例し、散乱強度はセル厚にほぼ比例す
る。よって駆動電圧を低下させることは、セル厚を従来
よりも厚くできることを意味する。これは同一駆動電圧
での散乱強度を増加させることを意味する。
【0011】従来の高分子分散型液晶表示素子では応答
電圧が高く、応答電圧を下げるためには散乱性を犠牲に
する必要があるという問題があった。上述したように使
用するポリマー材料に添加剤を加えることにより、転移
温度を調節し、転移温度を使用温度範囲内にすることで
使用温度付近で駆動電圧を最小化することができること
が分かった。その性質を利用して低駆動電圧化を実現す
ることで散乱強度の増加を図り、良好な液晶表示素子の
表示を実現することができることを見出だし、本発明を
するに至ったものである。
【0012】本発明の目的は、低電圧での駆動が可能と
なる、若しくは、散乱強度の高い高分子分散型液晶表示
素子及びこれを用いた液晶ディスプレイ並びにその製造
方法及び駆動方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の第一の発明による高分子分散型液晶表示素
子は、高分子分散型液晶中の液晶材料の分子のうち高分
子材料界面近傍のものが、その温度変化によって高分子
界面に対して略水平に並ぶ傾向から高分子界面に対して
略垂直に並ぶ傾向に変化する特性を有しており、高分子
材料界面近傍の液晶分子が高分子界面に対して略水平に
並ぶ傾向から高分子界面に対して略垂直に並ぶ傾向に転
移する転移温度を液晶表示素子の使用温度範囲内に調整
してあることを特徴とする。
【0014】また前記構成において、液晶表示素子の使
用温度範囲を20℃〜80℃とすることが好ましい。ま
た前記構成において、液晶は概ね球状構造をして高分子
材料中に分散されており、前記球状構造の平均直径が
1.2μm以上であることが好ましい。また前記構成に
おいて、フッ素系置換基を有する材料を高分子材料中に
含有することが好ましい。
【0015】更に、本発明の第二の発明による高分子分
散型液晶表示素子の製造方法は、上記転移温度を、高分
子材料に添加される添加剤の添加量を調整することによ
り、液晶表示素子の使用温度範囲内に調整することを特
徴としている。添加される添加剤としては、フッ素系置
換基を有する添加剤を用いることができる。更に、本発
明の第三及び第四の発明による液晶ディスプレイ及び液
晶表示素子の駆動方法は、液晶表示素子の温度を検出
し、検出した温度に応じて駆動電圧を調整することを特
徴としている。
【0016】
【作用】本発明の液晶表示素子は、液晶材料の分子のう
ち高分子界面近傍のものは、その温度変化によって前記
高分子界面に対して略水平に並ぶ傾向から前記高分子界
面に対して略垂直に並ぶ傾向に変化する特性を有するの
で、上述したように、転移温度を使用温度範囲内にする
ことができ、低駆動電圧化を実現し、若しくは、散乱強
度の増加が図れ、良好な表示を実現することができる。
【0017】また液晶表示素子において、高分子界面に
対して略水平に並ぶ傾向から高分子界面に対して略垂直
に並ぶ傾向に転移する温度が前記液晶表示素子の使用温
度範囲にあるので、より低駆動電圧化を実現し、若しく
は、散乱強度の増加が図れ、良好な表示を実現すること
ができる。
【0018】また液晶表示素子において、液晶は概ね球
状構造をして高分子材料中に分散されており、前記球状
構造の平均直径が1.2μm以上であるので、低駆動電
圧化を実現することができるとともに良好な表示を実現
することができる。
【0019】また液晶表示素子において、フッ素系置換
基を有する材料を高分子材料中に含有するので、転移温
度を使用温度範囲内に調節でき、使用温度付近で駆動電
圧を最小化することができる。その結果、低駆動電圧化
を実現することで散乱強度の増加を図り、良好な液晶表
示素子の表示を実現することができる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の液晶表示素子の実施例を図面
に基づいて説明する。図1は本発明の液晶表示素子の一
実施例を示す構成図である。実際にはTFTトランジス
タが基板表面に形成されたアクティブマトリクス基板を
用いたが、ここでは省略してある。
【0021】図1に示すように本実施例の高分子分散型
液晶表示素子では、それぞれ透明電極12を形成した2
枚の基板11間に高分子13と液晶14の複合材料が狭
持されている。そして高分子中に液晶がほぼ球形状で分
散されている。
【0022】この液晶表示素子を形成するためには、ま
ず重合性モノマー(2エチルヘキシルアクリレート)8
9%とオリゴマー(ビスコート828 大阪有機化学工
業製)9%と重合開始材(ベンジルメチルケタール 日
本化薬製)1%、を混合し、界面規制力コントロールの
ためにフッ素系重合性モノマー(ライトアクリレートF
A108 共栄社油脂化学工業(株)製)1%添加し
た。この混合物20%に液晶材料TL205(メルク
製)80%を混合した組成物を形成する。
【0023】透明電極が形成されたガラス基板を、基板
間に13ミクロンのガラスビーズをばらまいた後に張り
合わせ、基板間に13ミクロンの隙間を形成しておく。
この隙間に前記組成物を室温で毛細管現象を用いて注入
した。このセルに紫外線を照射し、重合性モノマーを重
合させる。このとき液晶が析出し、直径1〜2μmの球
状のドロップレットが形成される。しかし液晶の分率が
80%と高いために完全な球ではなく、変形した球状に
なり、部分的には隣接する球同士が結合し連続体構造に
なっている部分も存在する。
【0024】本実施例の高分子と液晶の組合せでは、温
度変化によって高分子界面付近での液晶分子の配向が変
化する。35℃以上の温度では界面付近の液晶分子の配
向は高分子界面に平行に並ぶ特性を示す。35℃以下の
温度では液晶分子は高分子界面に垂直に並ぶ特性にな
る。なお35℃付近では液晶分子が高分子界面に水平に
並ぶ場合と垂直に並ぶ場合が混在する状態になる。
【0025】図2は顕微鏡で観察可能なサイズのドロッ
プレットを形成し観察したモデル実験での観察例であ
る。この実験ではドロップレットの直径は12μm、パ
ネル内の厚みも10μmの場合である。このときパネル
内にはセル厚方向に若干つぶされた形の1層のドロップ
レットが形成されている。セル厚方向に複数のドロップ
レットが存在する場合には、光が散乱されるために液晶
の配向方向を観察することは不可能である。このためこ
のような特殊な条件下での観察を行なった。
【0026】図2(a)は35℃以上の温度におけるク
ロスニコル下での偏光顕微鏡観察図である。多くのドロ
ップレットは、液晶の複屈折性によって色づいてみえ
る。一部のドロップレットでは黒く見えているが、これ
はドロップレットの分子の方向と偏光板の方向が概ね一
致しているためである。このときドロップレット内の液
晶分子の方向が概ね基板に平行に並んでおり、基板面内
では任意方向を向いていることを示している。これは液
晶分子が高分子界面に水平に並んでいることを示唆す
る。セル厚方向につぶされ変形したドロップレットでか
つ高分子界面に水平に並ぶ場合、ドロップレットの形状
の効果により全体の分子の平均方向が基板に平行に並ぶ
ことは弾性力学的に当然である。この特殊な形状の場
合、分子配向は図3(a)のようになっていると考えら
れ、通常の条件の直径1〜2μmのドロップレットの場
合は図4(a)のように液晶分子は配向していると考え
られる。この図4(a)の構造は一般にバイポーラー構
造と呼ばれる2極を有する配向形態である。この2極を
もつ軸方向は3次元的にランダムである。
【0027】図2(b)は35℃における前記12μm
直径の特殊な形状の場合での偏光顕微鏡観察による配向
を説明する説明図である。高分子壁付近まで黒くみえて
いる。これはほとんどの分子が基板に垂直に配向してい
ることを示している。この場合基板に水平な高分子壁付
近の液晶分子は高分子界面に垂直に並び、基板に垂直な
高分子壁付近の液晶分子は高分子界面に水平に並んでい
る。これは高分子壁面に対して液晶分子が水平、垂直ど
ちらに並ぶエネルギーもほぼ等価であることを示してい
る。このような特殊な偏平形状のドロップレットで水平
配向と垂直配向とがエネルギー的に等価である場合、弾
性エネルギーを考慮すれば、液晶の配向はドロップレッ
トの形状で決まり、ほとんど全ての分子が基板に垂直に
並ぶ。この状態を示した概念図が図3(b)である。こ
の結果を基に通常の直径1〜2μmの場合を推測すると
図4(b)のようになる。このとき、液晶の分子配向の
変形が最も少なくなる形である。
【0028】図2(c)は35℃以下での偏光顕微鏡観
察を示す図である。全体的には黒く見えており、多くの
分子は基板に対し垂直に立っているが、基板に垂直な高
分子壁近傍は光が抜けてきている。このことは基板に垂
直な高分子壁付近の液晶分子は高分子壁に垂直に、すな
わち基板に平行に並んでいることを示している。このこ
とは高分子界面の液晶分子が全ての状態の高分子壁面に
対してほぼ垂直に並ぶ傾向を示している。35℃以下の
温度で温度低下を続けると基板に垂直な高分子壁近傍の
光抜けは徐々に増加の傾向を見せることを確認した。こ
れは温度低下に伴い高分子壁に対して液晶分子が垂直に
並ぶ傾向すなわちアンカリング強度が強くなっているこ
とを示している。このような特殊な偏平ドロップレット
の場合、図3(c)のように高分子壁面に垂直に分子が
配向している。これを基に通常の直径1〜2μmの場
合、図4(c)のように並ぶ。この分子が全て球の中心
を向いている状態を一般にラジアル配向と呼ばれてい
る。
【0029】以上のようにこの高分子分散型液晶表示素
子では35℃を境に高分子界面付近の液晶分子が水平配
向から垂直配向に変化する挙動が見られ、高温側で高分
子界面に水平に、低温側で高分子界面に垂直に並ぶ傾向
が見られた。
【0030】このとき駆動電圧がこの配向変化に対応し
て変化することを見いだした。図5が駆動電圧の温度依
存を示すグラフである。60℃では比較的高い応答電圧
であったものが、温度低下に伴い駆動電圧は徐々に低下
し、35℃で極小値を持つ。更に温度低下を続けると駆
動電圧は増加を始め、その後は単調に増加する。
【0031】通常の配向変化を生じない高分子分散型液
晶表示素子ではこのように駆動電圧が極小値を持つよう
な挙動は示さず、弾性常数、誘電率、粘性などの温度変
化に伴い単調に変化するのみである。この極小値を持つ
駆動電圧の温度依存は前記配向変化によるものである。
一般に駆動電圧はアンカリング強度に依存することが知
られている。アンカリング強度とは高分子界面の液晶分
子が界面で拘束される強さを示したものであり、この場
合高分子界面と液晶分子との相互作用によって決まる。
アンカリングが強い場合、高分子界面付近の液晶分子は
高分子界面に強固に固定されており、駆動電圧は高くな
る。
【0032】前記したように温度変化に伴い水平配向か
ら垂直配向に変化する場合、その転移温度35℃では垂
直配向と水平配向がほぼ同じエネルギーであるため界面
近傍での分子は水平でも垂直にでも並ぶことができ、こ
のことはアンカリングが非常に弱いと考えられる。すな
わち高温側から徐々に温度を下げる過程において、アン
カリング強度が徐々に低下し、35℃でアンカリング強
度が最小になり、さらに低温では垂直配向性が強くなる
ため、アンカリング強度は再び強くなる。
【0033】以上述べた本実施例の高分子分散型液晶表
示素子では高温側で水平配向から低温で垂直配向に変化
する特性を示すために、その転移温度付近において駆動
電圧が小さくすることができる。
【0034】一般に高分子分散型液晶表示素子の場合、
駆動電圧はセル厚にほぼ比例し、散乱強度はほぼセル厚
に比例する。ここで使用したTFTトランジスタの最大
駆動電圧が6Vである。同一電圧6Vでの駆動を考える
と、本発明によって駆動電圧が従来よりも低下させるこ
とができたことはセル厚を厚くできることを意味し、ひ
いては散乱強度を増加、表示品位の向上を意味する。
【0035】標準使用温度が35℃付近である場合に、
本実施例のように駆動電圧が極小値を示す温度が35℃
であると効果的である。本実施例の高分子分散型液晶表
示素子は、TFTを用いたアクティブマトリクス方式の
基板を用い、強力なメタルハライドランプを用いた投射
光学系と組み合わせて投射型ディスプレイとして応用が
できる。この場合使用時のパネル温度は室温よりも高く
なり約35℃であった。この使用温度で最も低い電圧で
最良の特性が得られる。このときパネル温度を検出しそ
れに対応した電圧を駆動回路に供給する電圧制御回路を
内臓させた。またパネルの使用温度範囲を本実施例の場
合20〜80℃とした。この温度領域では比較的良好な
表示品位が維持できた。
【0036】フッ素系重合性モノマー(ライトアクリレ
ート FA108 共栄社油脂化学工業(株)製)の濃
度を3%、6%、12%添加したした以外は上記と同様
にして液晶表示素子を作製し、配向が変化する温度を調
べた。その結果、配向変化温度はそれぞれ37℃。40
℃。50℃と変化した。
【0037】以上のように駆動電圧が極小値を示す温
度、すなわち高分子界面付近の液晶の配向が変化する温
度は、フッ素系重合性モノマーの含有率を変化させるこ
とで変えることができる。
【0038】また駆動電圧が極小値を示す特性は温度ヒ
ステリシスを持ち、ドロップレットの直径が大きいほど
温度ヒステリシスが小さい傾向がある。温度ヒステリシ
スの幅が3%以下になるためには粒径が1.2μm以上
でなければならない。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の特許請求
の範囲に記載された液晶表示素子を用いることで、使用
温度領域での駆動電圧を低下させることができ、良好な
表示品質の液晶表示素子を実現できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係わる液晶表示素子を示す断
面図である。
【図2】本発明の一実施例に係わる液晶表示素子のモデ
ル実験において温度を変えて顕微鏡観察した液晶の配向
を示す説明図である。(a)は35℃以上の温度での
図、(b)は35℃の温度での図、(c)は35℃以下
の温度での説明図である。
【図3】本発明の一実施例に係わる液晶表示素子のモデ
ル実験において温度を変えて観察した液晶の配向状態を
示す概念図である。(a)は35℃以上の温度での図、
(b)は35℃の温度での図、(c)は35℃以下の温
度での概念図である。
【図4】本発明の一実施例に係わる液晶表示素子におい
て温度を変えて観察した配向状態を示す概念図である。
(a)は35℃以上の温度での図、(b)は35℃の温
度での図、(c)は35℃以下の温度での概念図であ
る。
【図5】本発明の一実施例に係わる液晶表示素子の駆動
電圧と温度の関係を示した特性図である。
【符号の説明】 11 基板 12 透明電極 13 高分子 14 液晶ドロップレット 21 クロスニコル下での偏光顕微鏡観察での光透過
部 22 クロスニコル下での偏光顕微鏡観察での光非透
過部 23 基板に垂直な高分子壁 31 基板 32 液晶ドロップレット 33 液晶分子の配向方向 41 液晶ドロップレット 42 液晶分子の配向方向
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02F 1/137 G02F 1/13

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の基板間に高分子材料と液晶材料の
    複合体が封入された高分子分散型液晶表示素子であっ
    て、 前記液晶材料の分子のうち前記高分子材料界面近傍のも
    のは、その温度変化によって前記高分子界面に対して略
    水平に並ぶ傾向から前記高分子界面に対して略垂直に並
    ぶ傾向に変化する特性を有し高分子界面に対して略水平に並ぶ傾向から高分子界面に
    対して略垂直に並ぶ傾向に転移する転移温度が前記液晶
    表示素子の使用温度範囲内に調整されていることを 特徴
    とする液晶表示素子。
  2. 【請求項2】 前記使用温度範囲が20℃から80℃で
    あることを特徴とした請求項1記載の液晶表示素子。
  3. 【請求項3】 液晶概ね球状形状をして高分子材料中
    に分散しており、前記球状構造の平均直径は1.2μm
    以上である請求項1記載の液晶表示素子。
  4. 【請求項4】 フッ素系置換基を有する材料を高分子材
    料中に含有する請求項1記載の液晶表示素子。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3又は4記載の液晶表示
    素子を用いた液晶ディスプレイ。
  6. 【請求項6】 一対の基板間に高分子材料と液晶材料の
    複合体が封入された高分子分散型液晶表示素子の製造方
    法であって、 前記液晶材料の分子のうち前記高分子材料界面近傍のも
    のは、その温度変化によって前記高分子界面に対して略
    水平に並ぶ傾向から前記高分子界面に対して略垂直に並
    ぶ傾向に変化する特性を有し、 高分子界面に対して略水平に並ぶ傾向から高分子界面に
    対して略垂直に並ぶ傾向に転移する転移温度を、前記高
    分子材料に添加される添加剤の添加量を調整することに
    より、前記液晶表示素子の使用温度範囲内に調整するこ
    とを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記添加剤がフッ素系置換基を有する材
    料であることを特徴とする請求項6記載の液晶表示素子
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 一対の基板間に高分子材料と液晶材料の
    複合体が封入された高 分子分散型液晶表示素子を用いた
    液晶ディスプレイであって、 前記液晶材料の分子のうち前記高分子材料界面近傍のも
    のは、その温度変化によって前記高分子界面に対して略
    水平に並ぶ傾向から前記高分子界面に対して略垂直に並
    ぶ傾向に変化する特性を有し、 液晶表示素子の温度を検出する手段と、 前記検出した温度に対応して駆動電圧を調整する電圧制
    御回路を具備することを特徴とした液晶ディスプレイ。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の液晶ディスプレイであっ
    て、 前記液晶表示素子は、液晶材料の分子のうち前記高分子
    材料界面近傍のものが前記高分子界面に対して略水平に
    並ぶ傾向から高分子界面に対して略垂直に並ぶ傾向に転
    移する転移温度を前記液晶表示素子の使用温度範囲内に
    調整した液晶表示素子であることを特徴とする液晶ディ
    スプレイ。
  10. 【請求項10】 一対の基板間に高分子材料と液晶材料
    の複合体が封入された高分子分散型液晶表示素子の駆動
    方法であって、 前記液晶材料の分子のうち前記高分子材料界面近傍のも
    のは、その温度変化によって前記高分子界面に対して略
    水平に並ぶ傾向から前記高分子界面に対して略垂直に並
    ぶ傾向に変化する特性を有し、 前記液晶表示素子の温度を検出する工程と、 検出した温度に応じて調整された駆動電圧を液晶表示素
    子に印加する工程とを有することを特徴とする高分子分
    散型液晶表示素子の駆動方法。
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