JP2001033767A - 液晶表示素子およびその製造方法 - Google Patents

液晶表示素子およびその製造方法

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JP2001033767A
JP2001033767A JP21043499A JP21043499A JP2001033767A JP 2001033767 A JP2001033767 A JP 2001033767A JP 21043499 A JP21043499 A JP 21043499A JP 21043499 A JP21043499 A JP 21043499A JP 2001033767 A JP2001033767 A JP 2001033767A
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liquid crystal
polymer
crystal display
pixel
ultraviolet
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JP21043499A
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Shinya Kosako
慎也 古佐小
Masao Yamamoto
雅夫 山本
Kenji Nakao
健次 中尾
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 駆動電圧が上昇することなく、ヒステリシス
を低く抑えられ、コントラストが高く、表示品質の優れ
た高分子分散型液晶表示素子を提供する。 【解決手段】 高分子中に液晶滴を分散させてなる高分
子・液晶複合体が、一対の基板間に挟持され、1つの画
素内において少なくとも2種類の透過率−印加電圧特性
の異なる領域を有する液晶表示素子の製造方法であっ
て、パネル外部にあるマスクを通してレーザー光を照射
することにより、相分離を行うことを特徴とする液晶表
示素子の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高分子分散型液晶
を用いた散乱型の液晶表示素子およびその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子は、薄型、小型、低電圧駆
動、低消費電力という特徴を生かし、腕時計、電卓等の
表示から、ナビゲーションシステム、ノート型パソコ
ン、液晶モニター、データプロジェクター、プロジェク
ション液晶テレビなどあらゆるところで広く利用されて
いる。このような液晶表示素子の表示モードの中で、従
来より広く用いられているのがTN(Twisted
Nematic)方式であり、対向する2枚の基板の間
に上下で液晶分子が90度ねじれた構造の液晶素子を2
枚の偏光板により挟持したものである。また、TN方式
の時分割駆動特性を改善したSTN(Super Tw
isted Nematic)方式の液晶表示素子も日
本語ワードプロセッサーなどに使われている。さらに、
最近では液晶分子の自発分極によって液晶分子の配列状
態を変化させ、その配列状態の変化に伴う電気光学効果
を表示に利用する強誘電性液晶を利用した情報機器も実
用化されている。
【0003】しかし、これらの液晶表示素子は少なくと
も1枚の偏光板を必要とするため、暗い、配向処理が必
要、セル厚制御が容易でないという課題があった。
【0004】一方、このような液晶表示素子に対して、
偏光板が不要で、電界により液晶分子の配列を制御し
て、白濁状態または透明状態を作り出す方式が提案され
ている。この方式は、液晶材料と透明高分子の複合体が
2枚の基板間に挟持されており、液晶分子が正の誘電率
異方性を有する場合、液晶分子の常光屈折率と透明高分
子の屈折率を一致させておくと、電圧を印加して液晶分
子の長軸を電界に平行になるように配列させて透明高分
子の屈折率と一致すると界面の光散乱がないため透明状
態になり、一方電圧が無印加のときには、液晶分子は種
々の方向に配向しているため透明高分子との界面で屈折
率が一致しないため光散乱が起こり白濁不透明状態にな
ることを利用しているものである。
【0005】この方式の代表的な例は、NCAP(Ne
matic Curvilinear Aligned
Phase)と呼ばれる、ネマチック液晶をポリビニ
ルアルコールなどでマイクロカプセル化したものである
(粉体と工業、VOL.22、NO.8(199
0))。
【0006】また、このほかに、PDLC(Polym
er Dispersed Liquid Cryst
al)といわれる方式があり、液晶微小滴を高分子マト
リクス中に分散させる方法である(フラットパネルディ
スプレイ’91、日経BP社、p219)。
【0007】また、PNLC(Polymer Net
work Liquid Crystal)といわれる
ものもあり、樹脂が液晶の連続相の中に3次元ネットワ
ーク状に広がる構造を有するものである(電気情報通信
学会技術研究報告、EID89−89、p1)。
【0008】これらの液晶材料と透明高分子の複合体
は、総称して高分子分散型液晶と呼ばれている。
【0009】従来、これらの液晶材料と高分子の複合体
の製造方法は、アクリル系またはエポキシ系紫外線硬化
樹脂などの未硬化樹脂モノマーと液晶材料を溶解させた
混合組成物を2枚の基板間に注入し、これに、紫外線を
照射すると、樹脂モノマーが重合して液晶材料と樹脂が
相分離する。その結果、高分子中に液晶材料が分散した
構造、または液晶中に高分子がネットワーク状に広がる
構造のものが得られる(フラットパネルディスプレイ’
91、日経BP社、p219、電気情報通信学会技術研
究報告、EID89−89、p1など)。
【0010】さて、高分子分散型液晶を作製し、電気光
学特性(印加電圧に対する透過率の変化)を測定する
と、図5に示されるように、電圧上昇過程と電圧下降過
程で同一の特性を示さず、印加電圧−透過率曲線にヒス
テリシス(光学ヒステリシス、電圧ヒステリシス)が観
測される(液晶討論会講演予稿集、p312(199
1)、SID93 Digest、575(1992)
など)。
【0011】ここで、電圧ヒステリシスの大きさHは、
所定透過率での電圧上昇過程と電圧下降過程の電圧差
(電圧ヒステリシス幅と呼ぶ)を、電圧下降過程の電圧
で割ったものとして定義される。Hは透過率Tの関数で
あり、Vup(T)を透過率Tでの電圧上昇時の電圧、
Vdown(T)を透過率Tでの電圧下降時の電圧とす
ると、H(T)(%)は、 (Vup(T)−Vdown(T))/Vdown
(T)×100 で定義される。
【0012】また、この電圧ヒステリシスは、印加電圧
−透過率曲線の傾き(急峻性)が変化しても変化しな
い。ある特定のパネルの代表値としての電圧ヒステリシ
ス値は、H(T)の最大値で示される。
【0013】さて、この電圧ヒステリシスとは別に、透
過率次元でヒステリシスを扱うために、光学ヒステリシ
ス(見かけのヒステリシス)H(V)(%)を導入す
る。
【0014】ここで、光学ヒステリシスの大きさHは、
同一印加電圧での電圧上昇過程と電圧下降過程の透過率
差のパネルの最大輝度に対する割合として定義される。
Hは印加電圧Vの関数であり、Tup(V)を印加電圧
Vでの電圧上昇時の透過率、Tdown(V)を印加電
圧Vでの電圧下降時の透過率とすると、H(V)(%)
は、 (Tdown(V)−Tup(V))/(T100−T
0)×100 で定義される。ここで、T100は最大透過率、T0は
無印加時の透過率を表す。
【0015】また、パネルの代表値としての光学ヒステ
リシス値は、H(V)の最大値で示される。
【0016】通常の高分子分散型液晶では、光学ヒステ
リシス値は2%以上と大きい。
【0017】このヒステリシス現象は、高分子分散型液
晶を映像表示装置に応用した際、残像として観測され、
表示装置の表示品質、特に諧調表示を著しく損なうもの
である。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、最大透過率
の10%を与える駆動電圧V10のみを低減させること
によりγ値(急峻度。V90/V10)を最適値に調整
し、駆動電圧が上昇することなく、ヒステリシスを低く
抑えられ、コントラストが高く、表示品質の優れた高分
子分散型液晶表示素子を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は、高分子分散型
液晶表示素子において、1つの画素内に少なくとも2種
類の液晶滴粒径の異なる領域を形成することにより、駆
動電圧が上昇すること無く、印加電圧−透過率曲線にお
ける最もヒステリシスが大きい電圧領域の急峻度のみを
選択的に下げ、光学ヒステリシスを低減させることによ
り上記課題を解決したものである。
【0020】特に、前記液晶表示素子を実現するにあた
って、平行度の高い紫外線レーザーを使用することによ
り、出力の大きい紫外線を容易に得られ、容易に製造で
きるものである。
【0021】請求項1記載の液晶表示素子の製造方法
は、高分子中に液晶滴を分散させてなる高分子・液晶複
合体が、一対の基板間に挟持され、1つの画素内におい
て少なくとも2種類の透過率−印加電圧特性の異なる領
域を有する液晶表示素子の製造方法であって、パネル外
部にあるマスクを通してレーザー光を照射することによ
り、相分離を行うことを特徴とする液晶表示素子の製造
方法。
【0022】マスクを使用して1つの画素内に少なくと
も2種類の液晶滴粒径の異なる領域を形成するために
は、十分な平行度と十分な紫外線強度が必要である。こ
の光源としては、アルゴン・レーザーやヘリウム・カド
ミウム・レーザーが適している。
【0023】請求項2記載の液晶表示素子の製造方法
は、高分子中に液晶滴を分散させてなる高分子・液晶複
合体が、一対の基板間に挟持され、1つの画素内におい
て少なくとも2種類の透過率−印加電圧特性の異なる領
域を有する液晶表示素子の製造方法であって、画素ピッ
チと同じピッチで照射強度を変化させたレーザー光を照
射することにより、相分離を行うことを特徴とする。
【0024】アルゴン・レーザーやヘリウム・カドミウ
ム・レーザーを紫外線光源として用いれば、十分な平行
度が得られるので、マスクの代わりに画素ピッチと同じ
ピッチで照射強度を変化させたレーザーでも十分に領域
分割をすることができる。
【0025】請求項3記載の液晶表示素子の製造方法
は、高分子中に液晶滴を分散させてなる高分子・液晶複
合体が、一対の基板間に挟持され、1つの画素内におい
て少なくとも2種類の透過率−印加電圧特性の異なる領
域を有する液晶表示素子の製造方法であって、外部に配
置したマスクのピッチが画素ピッチの2倍のマスクを通
して紫外線を照射することにより、相分離を行うことを
特徴とする。
【0026】マスクの形状を工夫することにより、画素
ピッチの2倍のマスクで1つの画素内に少なくとも2種
類の液晶滴粒径の異なる領域を形成することができる。
これにより、紫外線光源の平行度を落とすことができ、
その代わりに紫外線強度を確保することができ、光学ヒ
ステリシスの小さい高分子分散型液晶ライトバルブを得
ることができる。
【0027】請求項4記載の液晶表示素子の製造方法
は、高分子中に液晶滴を分散させてなる高分子・液晶複
合体が、一対の基板間に挟持され、1つの画素内におい
て少なくとも2種類の透過率−印加電圧特性の異なる領
域を有する液晶表示素子の製造方法であって、紫外線照
射側の基板の厚みdが0.5mm以下であり、かつパネ
ル外部にあるマスクを通して紫外線を照射することによ
り、相分離を行うことを特徴とする。
【0028】請求項5記載の液晶表示素子の製造方法
は、高分子中に液晶滴を分散させてなる高分子・液晶複
合体が、一対の基板間に挟持され、1つの画素内におい
て少なくとも2種類の透過率−印加電圧特性の異なる領
域を有する液晶表示素子の製造方法であって、紫外線照
射側の基板の厚みをd、紫外線光源の強度が半減する角
度をθ、マスクピッチをpとするとき、(数3)を満た
す条件で相分離を行うことを特徴とする。
【0029】
【数3】
【0030】請求項6記載の液晶表示素子の製造方法
は、請求項4に記載の液晶表示素子の製造方法であっ
て、紫外線光源の強度が半減する角度θが5度以上であ
り、かつ紫外線照射側の基板の厚みdが0.5mm以下
であることを特徴とする。
【0031】高分子分散型液晶を使用したディスプレイ
を仮定する場合、直視方式で大きいサイズのものはピク
セル数が横640個で縦480個、対角距離が50cm
(いわゆる20インチ型)のものである。横方向のピク
セルはさらに、R(赤)、G(緑)およびB(青)の各
画素に分かれるため、最小のピッチは横方向で、約0.
21mmとなる。
【0032】紫外線光源の強度が半減する角度θは、照
射強度とトレード・オフの関係にあり、十分な照射強度
を得るためには最低でも5度以上にしなくてはならな
い。このピッチと半値幅5度からdを(前記数3)で計
算すると、d<0.6mmとなり、これ以上では、1つ
の画素内に2種類の液晶滴粒径の異なる領域を形成する
ことができるが、マスク像がほけてしまい、急峻度γが
十分に大きくならないので光学ヒステリシスを十分に低
減させることができない。好ましくは、紫外線照射側の
基板の厚みdが0.5mm以下である。
【0033】請求項7記載の液晶表示素子の製造方法
は、高分子中に液晶滴を分散させてなる高分子・液晶複
合体が、一対の基板間に挟持され、1つの画素内におい
て少なくとも2種類の透過率−印加電圧特性の異なる領
域を有する液晶表示素子の製造方法であって、第1の紫
外線を照射して相分離を行う第1の紫外線照射工程と、
パネル外部にあるマスクを通して第2の紫外線を照射す
る第2の紫外線照射工程と、を有することを特徴とす
る。
【0034】この発明は、1つの画素内に少なくとも2
種類の液晶滴粒径の異なる領域を形成する代わりに、1
つの画素内の粒径は同じで少なくとも2種類の透過率−
印加電圧特性の異なる領域を形成する方法である。この
発明は、第2の紫外線照射工程により液晶−高分子界面
の濡れ性(アンカリング力、界面規制力ど考えても同
様)を上昇させるものであり、効果は粒径分割と同様で
光学ヒステリシスを十分に低減させることができる。
【0035】請求項8記載の液晶表示素子の製造方法
は、請求項7に記載の液晶表示素子の製造方法であっ
て、紫外線照射側の基板の厚みをd、第2の紫外線光源
の強度が半減する角度をθ、マスクピッチをpとすると
き、(数4)を満たす条件で第2の紫外線照射を行うこ
とを特徴とする。
【0036】
【数4】
【0037】本発明は、請求項4〜6記載の発明と全く
同じ原理である。
【0038】請求項9記載の液晶表示素子の製造方法
は、請求項8に記載の液晶表示素子の製造方法であっ
て、第2の紫外線光源の強度が半減する角度θが5度以
上であり、かつ第2の紫外線照射側の基板の厚みdが
0.5mm以下であることを特徴とする。
【0039】本発明も、請求項4〜6記載の発明と全く
同じ原理である。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、本発
明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の一
実施例による高分子分散型液晶表示素子の断面図であ
る。図1は1つの画素の断面図を示しており、1つの画
素内に少なくとも2種類の液晶滴粒径の異なる領域を形
成している。図1では、液晶相が独立相(液晶滴)とし
て高分子マトリクス(高分子相)中に分散したタイプの
ものであるが、液晶材料や重合条件により、電気情報通
信学会技術研究報告、EID89−89、p1のように
液晶相および高分子相が連続相を形成する場合もある。
【0041】以下の説明では、主として液晶相が独立相
として高分子マトリクス中に分散したタイプのものにつ
いて述べるが、本発明では液晶相および高分子相が連続
相を形成するポリマーネットワーク構造にも適用でき
る。
【0042】(実施例1)図9は、本発明の一実施例に
よる液晶表示素子の製造方法を示したものである。
【0043】電極が複数の画素電極からなり、各画素電
極に印加する電圧を制御するアクティブ素子を設けたア
クティブマトリクス基板92を中性洗剤に30分浸した
後、流水で20分洗浄し、110℃で1時間乾燥した。
また、対向基板としてインジウム・錫酸化膜からなる透
明電極付き透明ガラス基板91をアルカリ洗剤に30分
浸した後、同様に流水で20分洗浄し、110℃で1時
間乾燥した。
【0044】その後、両基板に紫外線を10分照射し、
有機汚染物を分解した。
【0045】次に、それらの基板の上に、絶縁膜JAL
S−214(日本合成ゴム(株)社製)をスピンナー塗
布し、180℃、30分間硬化させた。
【0046】これらの基板を12μm径のプラスティッ
ク製のスペーサ(ミクロパール:積水ファイン(株))
を介して熱硬化型のシール材(ストラクトボンド:三井
東圧化学(株))により液晶注入口を設けて貼り合わ
せ、150℃で2時間加熱してシール材を完全硬化させ
て空セルを得た。
【0047】なお、図9では、透明電極、絶縁膜、アク
ティブ素子、スペーサ、シール材は省略している。
【0048】次に、液晶材料としてTL−213(メル
ク社製)8.50gと重合性モノマーとして2−エチル
ヘキシルアクリレート(東京化成製)を0.80g、オ
リゴマーとしてポリウレタンアクリレートを0.60
g、光重合開始剤としてダロキュア1173(チバガイ
ギ(株))を0.05gそれぞれ加え、できあがった液
晶材料と高分子モノマーの混合組成物を、25℃で十分
撹拌し均一な混合溶液を調製した。
【0049】この均一混合溶液を25℃で前記空セルの
空隙部95に封口部から真空注入し、その後、紫外線硬
化型封口樹脂であるロックタイト(日本ロックタイト
(株))により封口した。
【0050】次に、前記液晶セルに、図9のように、ラ
イン幅25μm−スペース幅25μmの金属クロム94
からなるストライプマスク93(石英基板)を介して、
アルゴン・レーザーを基板全面に均一に照射し、前記ス
トライプマスク93の開口部の重合性モノマーを光重合
開始剤との反応により重合、相分離させた。
【0051】次に、前記ストライプマスク93を取り外
し、50mW/cm2の高圧水銀灯による紫外線を25
℃で60秒照射し、金属クロム94の直下の重合性モノ
マーを光重合開始剤との反応により重合、相分離させ
た。なお、紫外線照射の際、液晶の分解を防ぐため、紫
外線カットフィルターUV−35(東芝硝子(株))を
通過させた。また、このとき、特に平行化した紫外線光
源は使用していない。
【0052】このようにして、図1のような1つの画素
において、高分子マトリクス15中に粒径の異なる液晶
滴16が分散された高分子分散型液晶が得られた。
【0053】なお、図1では、アクティブ素子、スペー
サ、シール材は省略している。
【0054】こうして完成した高分子分散型液晶表示素
子を分解し、イソプロピルアルコールで液晶材料を洗浄
除去し、高分子分散型液晶の相分離構造を光学顕微鏡で
観察したところ、この液晶滴16は完全な球形ではな
く、歪んだ形状になっていた。
【0055】また、隣接する液晶滴と連続的につながっ
ているものも観察された。光学顕微鏡での観察結果か
ら、その領域での平均粒径Rを求めた。
【0056】本実施例の高分子分散型液晶では、小さい
方の液晶滴は平均0.9μm、大きい方の液晶滴は平均
1.1μmであった。
【0057】次に、このように作製した高分子分散型液
晶のコントラスト特性を調べた。
【0058】高分子分散型液晶の散乱特性(コントラス
ト特性)を定量化する指標として、散乱ゲインGを用い
た。
【0059】高分子分散型液晶のコントラストは散乱ゲ
インGの逆数に比例する。
【0060】散乱ゲインGは、高分子分散型液晶の光照
射面での照度をE、高分子分散型液晶の光照射側とは反
対側の面での輝度をB、円周率をπとして、次式で定義
される。
【0061】G=πB/E 散乱ゲインGは、高分子分散型液晶セルの基板面に平行
に光を照射し、高分子分散型液晶セルの基板面上に配置
した照度計(ミノルタ製T−1M)で照度Eを測定し
た。また、高分子分散型液晶の光照射側とは反対側の面
での輝度Bを輝度計(TOPCON製BM−8)で測定
した。高分子分散型液晶が完全な散乱体である場合は、
散乱ゲインGは0.5となる。
【0062】上記散乱ゲインGについては、「液晶ビデ
オプロジェクタ技術」(佐々木 正、1990、10.
29、p139)に解説されている。
【0063】本実験では散乱ゲインGは0.95であ
り、通常の作製法による値とほぼ同等の値が得られた。
【0064】散乱ゲインGは、セルの厚み、液晶相の平
均粒径(液晶滴の直径)または液晶相の平均厚み(ネッ
トワーク構造のとき)Rに大きく依存する。
【0065】また、しきい値電圧もセルの厚み、液晶相
の平均粒径または液晶相の平均厚みRに大きく依存す
る。
【0066】本実施例では、高分子分散型液晶の液晶相
の平均粒径または液晶相の平均厚みRを紫外線強度の差
により、1つの画素内に2種類の異なる領域を形成させ
たものであり、画素領域中、レーザー照射部では紫外線
強度が大きく、Rが小さくなり(高しきい値電圧)、レ
ーザー非照射部では紫外線強度が小さく、Rが大きく
(低しきい値電圧)なる。
【0067】図3は、本実施例で作製した高分子分散型
液晶セルの印加電圧による透過率変化を輝度計で測定し
たものである。測定温度30℃、受光角0.2゜で、3
0Hzの矩形波を印加して測定した。
【0068】図3の2曲線は各々、印加電圧を0Vから
30Vに増加させたときの透過率特性、および印加電圧
を30Vから0Vに減少させたときの透過率特性を示
す。両者の曲線は全く同一にはならず、ヒステリシスが
観測された。最も光学ヒステリシスの大きいところを最
大光学ヒステリシスと呼ぶことにすると、本実施例で作
製した高分子分散型液晶セルの最大光学ヒステリシスは
0.9%であった。また、このときの急峻度、すなわち
γは、V10=3.0V、V90=6.0Vであり、γ
=V90/V10=2.0であった。
【0069】(比較例1)図12に比較例1による液晶
表示素子の断面図を示す。
【0070】実施例1と同様な方法で空セルを作製し、
実施例1と同様に液晶材料としてTL−213(メルク
社製)8.50gと重合性モノマーとして2−エチルヘ
キシルアクリレート(東京化成製)を0.80g、オリ
ゴマーとしてポリウレタンアクリレートを0.60g、
光重合開始剤としてダロキュア1173(チバガイギ
(株))を0.05gそれぞれ加え、できあがった液晶
材料と高分子モノマーの混合組成物を、25℃で十分撹
拌し均一な混合溶液を調製した。
【0071】この均一混合溶液を25℃で前記空セルの
空隙部95に封口部から真空注入し、その後、紫外線硬
化型封口樹脂であるロックタイト(日本ロックタイト
(株))により封口した。
【0072】次に、前記液晶セルに、200mW/cm
2の高圧水銀灯による紫外線を25℃で60秒照射し、
重合性モノマーを光重合開始剤との反応により重合、相
分離させた。なお、紫外線照射の際、液晶の分解を防ぐ
ため、紫外線カットフィルターUV−35(東芝硝子
(株))を通過させた。
【0073】この高分子分散型液晶表示素子の印加電圧
による透過率変化を、実施例1と同様に輝度計で測定し
たところ、図4に見られるように、γ=1.7であり、
最大光学ヒステリシスは1.6%であった。また、この
ときのV90は約6.2Vであり、実施例1とほぼ同じ
であった。また、液晶滴は平均0.9μmであった。
【0074】実施例1(図3)と比較例1(図4)を比
較すると、印加電圧−透過率曲線の急峻性に差があるこ
とが分かる。光学ヒステリシスの大きさは、印加電圧−
透過率曲線のヒステリシスが出現しやすい電圧(低電圧
領域)における急峻度(V90/V10)と負の相関が
あり、実施例1のように、2種類の印加電圧−透過率が
1画素中に混在して作用する様にすると、印加電圧−透
過率曲線の傾きがなだらかになり、光学ヒステリシスが
小さくなる。
【0075】図6は、印加電圧−透過率曲線の急峻度γ
(V90/V10)と光学ヒステリシスの関係を調べた
ものである。セルは、表面エネルギーの大きい絶縁膜A
L1051(日本合成ゴム(株)社製)にフッソ系界面
活性剤FC−430(3M社製)を0〜5wt%添加し
て作製した。
【0076】図6を見ると、光学ヒステリシスの大きさ
は、急峻度(V90/V10)と負の相関があり、急峻
度が大きいほど光学ヒステリシスが小さくできることが
分かる。光学ヒステリシス<1%を実現するためには、
γ≧2.0が必要である。しかし、絶縁膜の表面エネル
ギーを変化させるこの方式では、V10がほぼ固定でV
90が大きくなり、駆動電圧が上昇してしまうという欠
点がある。
【0077】これに対し、V90が一定で、V10を下
げてγ≧2.0を実現するのが実施例1の方式である。
【0078】図2に実施例1による光学ヒステリシスの
低下原理を示した。1画素の中に粒径すなわち駆動電圧
の異なる2種類の領域が存在し、それらの印加電圧−透
過率曲線を各々、a(粒径小)およびb(粒径大)と
し、各々のγは2.0より小さく、光学ヒステリシス
(各々、△Taおよび△Tb)も1.6%程度の大きい
値をとるとする。ところが、画素全体として透過率を曲
線cとすると、曲線cの低電圧部では曲線bの効果で、
また曲線cの高電圧部では曲線aの効果が現れ、曲線c
は全体として、曲線aと曲線bにちょうど挟まれたよう
な位置関係になる。
【0079】また、ここで、注目すべきことは、曲線c
のV90は曲線aのV90とほぼ同様になるため、この
方式ではγを大きくしても駆動電圧が上昇しないことで
ある。
【0080】このように、実施例1の発明によれば、V
90を大きくしないで急峻度を大きくでき、γ≧2.0
を実現できることになる。
【0081】また、図2において、γを大きくするため
には、1つの画素中の2つの領域の粒径の比(=駆動電
圧比=粒径の大きい方のV90/粒径の小さい方のV9
0)を、ちいさくすればするほど、言い替えるならば曲
線aと曲線bを離せば離すほど良いが、離しすぎても光
学ヒステリシス低減効果は飽和してしまう。また、駆動
電圧比が0.6より小さい領域では、曲線c(画素全体
としての印加電圧−透過率曲線)に変曲点が現れてくる
のでこの電圧比領域は適さない。
【0082】また、逆に駆動電圧比0.9より大きい
と、曲線aと曲線bが接近してしまい、曲線cは1画素
の中に粒径の異なる2種類の領域が存在しない場合とほ
ぼ同じになり、γ増大効果が見られなかった。効果があ
るのは、駆動電圧比が0.6以上であり、0.9以下の
時である。また、好ましくは、駆動電圧比が0.7以上
であり、0.85以下の時であった。
【0083】(実施例2)図10に本実施例による液晶
表示素子の製造方法を示す。
【0084】実施例1と同様な方法で空セルを作製し、
実施例1と同様に液晶材料としてTL−213(メルク
社製)8.50gと重合性モノマーとして2−エチルヘ
キシルアクリレート(東京化成製)を0.80g、オリ
ゴマーとしてポリウレタンアクリレートを0.60g、
光重合開始剤としてダロキュア1173(チバガイギ
(株))を0.05gそれぞれ加え、できあがった液晶
材料と高分子モノマーの混合組成物を、25℃で十分撹
拌し均一な混合溶液を調製した。
【0085】この均一混合溶液を25℃で前記空セルの
空隙部103に封口部から真空注入し、その後、紫外線
硬化型封口樹脂であるロックタイト(日本ロックタイト
(株))により封口した。
【0086】次に、前記液晶セルに、図10のように、
ピッチ50μm、パルス幅25μmのアルゴン・レーザ
ーを基板に均一に照射し、重合性モノマーを光重合開始
剤との反応により重合、相分離させた。
【0087】次に、50mW/cm2の高圧水銀灯によ
る紫外線を25℃で60秒照射し、未反応の重合性モノ
マーを光重合開始剤との反応により完全に重合、相分離
させた。なお、紫外線照射の際、液晶の分解を防ぐた
め、実施例1と同様に紫外線カットフィルターUV−3
5(東芝硝子(株))を通過させた。また、このとき、
特に平行化した紫外線光源は使用していない。
【0088】このようにして、実施例1と同様に図1の
ような1つの画素において、高分子マトリクス15中に
粒径の異なる液晶滴16が分散された高分子分散型液晶
が得られた。
【0089】この高分子分散型液晶表示素子の印加電圧
による透過率変化を、実施例1と同様に輝度計で測定し
たところ、γ=2.0であり、最大光学ヒステリシスは
0.9%であった。また、このときのV90は約6.0
Vであり、実施例1とほぼ同じであった。
【0090】(実施例3)図11に本実施例による液晶
表示素子の製造方法を示す。
【0091】実施例1と同様な方法で空セルを作製し、
実施例1と同様に液晶材料としてTL−213(メルク
社製)8.50gと重合性モノマーとして2−エチルヘ
キシルアクリレート(東京化成製)を0.80g、オリ
ゴマーとしてポリウレタンアクリレートを0.60g、
光重合開始剤としてダロキュア1173(チバガイギ
(株))を0.05gそれぞれ加え、できあがった液晶
材料と高分子モノマーの混合組成物を、25℃で十分撹
拌し均一な混合溶液を調製した。
【0092】この均一混合溶液を25℃で前記空セルの
空隙部103に封口部から真空注入し、その後、紫外線
硬化型封口樹脂であるロックタイト(日本ロックタイト
(株))により封口した。
【0093】次に、前記液晶セルに、図11のように、
画素ピッチ50μmの2倍のピッチ、すなわち、ライン
幅50μm−スペース幅50μmの金属クロム114か
らなるストライプマスク113(石英基板)を介して、
アルゴン・レーザーを基板全面に均一に照射し、前記ス
トライプマスク113の開口部の重合性モノマーを光重
合開始剤との反応により重合、相分離させた。
【0094】次に、前記ストライプマスク113を取り
外し、50mW/cm2の高圧水銀灯による紫外線を2
5℃で60秒照射し、金属クロム114の直下の重合性
モノマーを光重合開始剤との反応により重合、相分離さ
せた。なお、紫外線照射の際、液晶の分解を防ぐため、
紫外線カットフィルターUV−35(東芝硝子(株))
を通過させた。また、このとき、特に平行化した紫外線
光源は使用していない。
【0095】このようにして、実施例1と同様に図1の
ような1つの画素において、高分子マトリクス15中に
粒径の異なる液晶滴16が分散された高分子分散型液晶
が得られた。
【0096】この高分子分散型液晶表示素子の印加電圧
による透過率変化を、実施例1と同様に輝度計で測定し
たところ、γ=2.0であり、最大光学ヒステリシスは
0.9%であった。また、このときのV90は約6.0
Vであり、実施例1とほぼ同じであった。
【0097】(実施例4)図8に本実施例による液晶表
示素子の製造方法を示す。
【0098】対角7.5cm(3型)、ガラス基板厚
1.1mm、320×240ドットのプロジェクター用
アクティブマトリクス基板を中性洗剤に30分浸した
後、流水で20分洗浄し、110℃で1時間乾燥した。
また、対向基板として基板厚0.5mm、インジウム・
錫酸化膜からなる透明電極付き透明ガラス基板をアルカ
リ洗剤に30分浸した後、同様に流水で20分洗浄し、
110℃で1時間乾燥した。
【0099】その後、両基板に紫外線を10分照射し、
有機汚染物を分解した。
【0100】次に、それらの基板の上に、絶縁膜JAL
S−214(日本合成ゴム(株)社製)をスピンナー塗
布し、180℃、30分間硬化させた。
【0101】これらの基板を12μm径のプラスティッ
ク製のスペーサ(ミクロパール:積水ファイン(株))
を介して熱硬化型のシール材(ストラクトボンド:三井
東圧化学(株))により液晶注入口を設けて貼り合わ
せ、150℃で2時間加熱してシール材を完全硬化させ
て空セルを得た。
【0102】次に、実施例1と同様に液晶材料としてT
L−213(メルク社製)8.50gと重合性モノマー
として2−エチルヘキシルアクリレート(東京化成製)
を0.80g、オリゴマーとしてポリウレタンアクリレ
ートを0.60g、光重合開始剤としてダロキュア11
73(チバガイギ(株))を0.05gそれぞれ加え、
できあがった液晶材料と高分子モノマーの混合組成物
を、25℃で十分撹拌し均一な混合溶液を調製した。
【0103】この均一混合溶液を25℃で前記空セルの
空隙部に封口部から真空注入し、その後、紫外線硬化型
封口樹脂であるロックタイト(日本ロックタイト
(株))により封口した。
【0104】次に、前記液晶セルに、図8のように、画
素ピッチ190μmと同じピッチ、すなわち、ライン幅
95μm−スペース幅95μmの金属クロム85a、8
5bからなるストライプマスク84(石英基板)を介し
て、200mW/cm2の高圧水銀灯による平行化紫外
線(半値幅5度)を25℃で60秒照射し、重合性モノ
マーを光重合開始剤との反応により重合、相分離させ
た。なお、紫外線照射の際、液晶の分解を防ぐため、紫
外線カットフィルターUV−35(東芝硝子(株))を
通過させた。
【0105】このようにして、実施例1と同様1つの画
素において、高分子マトリクス中に粒径の異なる液晶滴
が分散された高分子分散型液晶が得られた。ただし、液
晶滴の分布の境界は図1ほど明確ではなく、液晶滴が小
さい領域と大きい領域の間に中間的な粒径の領域が見ら
れた。
【0106】この高分子分散型液晶表示素子の印加電圧
による透過率変化を、実施例1と同様に輝度計で測定し
たところ、γ=1.95であり、最大光学ヒステリシス
は1.0%であった。また、このときのV90は約6.
0Vであり、実施例1とほぼ同じであった。
【0107】(比較例2)対向基板として基板厚0.7
mmにした以外は実施例4と全く同様な方法で、高分子
分散型液晶表示素子を作製した。
【0108】このようにして得られた高分子分散型液晶
の粒径を観察すると、1つの画素においては、粒径の差
は見られず、均一な径(約1.0μm)の液晶滴が分散
された高分子分散型液晶になっていた。
【0109】この高分子分散型液晶表示素子の印加電圧
による透過率変化を、実施例1と同様に輝度計で測定し
たところ、γ=1.7であり、最大光学ヒステリシスは
1.6%であった。また、このときのV90は約5.5
Vであった。
【0110】(実施例4)実施例4による液晶表示素子
の製造方法を、図8を用いて詳細に説明する。
【0111】図8の上に示したのは、平行化した高圧水
銀灯の光源の強度分布曲線である。
【0112】図8の下は、厚みdの対向ガラス基板81
とアクティブマトリクス基板82とに挟持された間隙8
3に、液晶材料−重合性モノマーからなる均一混合溶液
を充填したものに、画素ピッチpと同じピッチ、すなわ
ち、ライン幅p/2−スペース幅p/2μmの金属クロ
ム85a、85bからなるストライプマスク84(石英
基板)を接した図である(画素構造は省略してある)。
【0113】これに、強度分布曲線における半値幅θの
略平行化した高圧水銀灯の紫外線を照射すると、液晶材
料−重合性モノマーからなる均一混合溶液を充填した間
隙83に到達する紫外線は強度の点から、図8のよう
に、強度が強い領域(開口部の下)、中間の強度の領域
(金属クロムのエッジの下)および強度が弱い領域(金
属クロムの下)に分けられる。
【0114】高分子分散型液晶表示素子の液晶滴の粒径
は、紫外線の強度が大きいほど小さいので、上記のそれ
ぞれの領域に対して、粒径小、中および大の液晶滴が形
成される。本発明においては、光学ヒステリシスを低減
するため、1つの画素内において少なくとも2種類の透
過率−印加電圧特性の異なる領域を形成させるため、少
なくとも2種類の液晶滴の粒径(大および小)を1つの
画素内に作製しなくてはならない。しかし、対向基板の
厚みdを大きくし、中間的な紫外線強度の領域(幅=2
d・tanθ)が広くなり、ついにはマスクのライン幅
(またはスペース幅)=p/2以上になると、必要な2
種類の液晶滴の粒径(大および小)の領域は消失し、ほ
ぼ1種類の粒径のみとなってしまう。
【0115】さて、R、G、B3板式プロジェクターの
ライトバルブとして使用する実用上最大の液晶パネルサ
イズは対角3インチ(=7.5cm)、また、映像用と
して使用される液晶パネルの実用上最小のドット数は、
横320ドット、縦240ドットと考えると、実用上最
大の画素ピッチは、横60(mm)/320=0.19
(mm)、すなわち190μmである。
【0116】一方、略平行として十分な強度の紫外線を
出力できる紫外線照射装置(オーク製作所)の強度分布
の半値幅は最小θ=5(度)である。この値より広がり
角度を小さくすると、平行度は良くなるが、100〜2
00mW/cm2のような強度の大きい紫外線を得るこ
とは困難である。
【0117】1つの画素内において少なくとも2種類の
粒径の液晶滴が作製可能な最大のdは、2d・tanθ
=p/2の式に、θの限界である5度、pの限界である
190μmを代入すると得られ、d=540μmとな
る。すなわち、実施例4のd=0.5mmの対向基板で
は、1つの画素内において少なくとも2種類の粒径の液
晶滴が作製可能であるが、比較例2のd=0.7mmの
対向基板では、困難である。
【0118】(実施例5)実施例4と同様に、対角7.
5cm(3型)、ガラス基板厚1.1mm、320×2
40ドットのプロジェクター用アクティブマトリクス基
板を中性洗剤に30分浸した後、流水で20分洗浄し、
110℃で1時間乾燥した。また、対向基板として基板
厚0.5mm、インジウム・錫酸化膜からなる透明電極
付き透明ガラス基板をアルカリ洗剤に30分浸した後、
同様に流水で20分洗浄し、110℃で1時間乾燥し
た。
【0119】その後、両基板に紫外線を10分照射し、
有機汚染物を分解した。
【0120】次に、実施例4と同様に、それらの基板の
上に、絶縁膜JALS−214(日本合成ゴム(株)社
製)をスピンナー塗布し、180℃、30分間硬化させ
た。
【0121】これらの基板を12μm径のプラスティッ
ク製のスペーサ(ミクロパール:積水ファイン(株))
を介して熱硬化型のシール材(ストラクトボンド:三井
東圧化学(株))により液晶注入口を設けて貼り合わ
せ、150℃で2時間加熱してシール材を完全硬化させ
て空セルを得た。
【0122】次に、実施例1と同様に液晶材料としてT
L−213(メルク社製)8.50gと重合性モノマー
として2−エチルヘキシルアクリレート(東京化成製)
を0.80g、オリゴマーとしてポリウレタンアクリレ
ートを0.60g、光重合開始剤としてダロキュア11
73(チバガイギ(株))を0.05gそれぞれ加え、
できあがった液晶材料と高分子モノマーの混合組成物
を、25℃で十分撹拌し均一な混合溶液を調製した。
【0123】この均一混合溶液を25℃で前記空セルの
空隙部に封口部から真空注入し、その後、紫外線硬化型
封口樹脂であるロックタイト(日本ロックタイト
(株))により封口した。
【0124】次に、前記液晶セルに、200mW/cm
2の高圧水銀灯による第1の紫外線を25℃で60秒照
射し、重合性モノマーを光重合開始剤との反応により重
合、相分離させた。なお、紫外線照射の際、液晶の分解
を防ぐため、紫外線カットフィルターUV−35(東芝
硝子(株))を通過させた。
【0125】次に、前記液晶セルに、画素ピッチ190
μmと同じピッチ、すなわち、ライン幅95μm−スペ
ース幅95μmの金属クロムからなるストライプマスク
(石英基板)を介して、200mW/cm2の高圧水銀
灯による略平行化した第2の紫外線(半値幅5度)を2
5℃で200秒照射した。
【0126】このようにして完成したセルは、高分子マ
トリクス中に粒径が揃った液晶滴が分散された高分子分
散型液晶が得られたが、第2の紫外線の照射された量に
より1つの画素内において2種類の透過率−印加電圧特
性の異なる領域を有した。
【0127】この高分子分散型液晶表示素子の印加電圧
による透過率変化を、実施例1と同様に輝度計で測定し
たところ、γ=2.0であり、最大光学ヒステリシスは
0.9%であった。また、このときのV90は約6.0
Vであり、実施例1とほぼ同じであった。
【0128】本実施例は、完成した高分子分散型液晶表
示素子の液晶材料の紫外線照射での微量な分解による液
晶−高分子界面の濡れ性変化(低電圧化)を利用したも
のである。しかし、第2の紫外線を500秒以上照射す
ると、液晶分解によるセル内電流の増加、黄変など、特
性の劣化が見られた。
【0129】マスクピッチ、対向基板の厚みd、紫外線
光源の半値幅θの関係は、実施例4と全く同様である。
【0130】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、最適の電
気光学特性を示す領域に、粒径の異なるか濡れ性が異な
る駆動電圧の低い領域を付加すれば良く、駆動電圧が上
昇することなく、光学ヒステリシスを低く抑えられ、コ
ントラストが高く、表示品質の優れた高分子分散型液晶
表示素子が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1による液晶表示素子の断面図
【図2】本発明の実施例1による液晶表示素子の動作原
理を示す図
【図3】本発明の実施例1による液晶表示素子の印加電
圧−透過率特性図
【図4】比較例1による液晶表示素子の印加電圧−透過
率特性図
【図5】光学ヒステリシスの説明図
【図6】光学ヒステリシス−急峻度特性図
【図7】本発明の実施例4による液晶表示素子の1画素
の断面図
【図8】本発明の実施例4によるマスクピッチ、対向基
板厚、光源広がりの関係を示す図
【図9】本発明の実施例1による液晶表示素子の製造方
法を示す図
【図10】本発明の実施例2による液晶表示素子の製造
方法を示す図
【図11】本発明の実施例3による液晶表示素子の製造
方法を示す図
【図12】比較例1による液晶表示素子の断面図
【符号の説明】
11 ガラス基板 12 ガラス基板 13a,13b 透明電極 14a,14b 絶縁膜 15 高分子マトリクス 16 液晶滴 71 ガラス基板 72 ガラス基板 73a,73b 透明電極 74a,74b 絶縁膜 76 石英基板 77 金属クロム 81 ガラス基板 82 ガラス基板 83 空隙部 84 石英基板 85a,85b 金属クロム 91 ガラス基板 92 ガラス基板 93 石英基板 94 金属クロム 95 空隙部 101 ガラス基板 102 ガラス基板 103 空隙部 111 ガラス基板 112 ガラス基板 113 石英基板 114 金属クロム 115 空隙部 121 ガラス基板 122 ガラス基板 123a,123b 透明電極 124a,124b 絶縁膜 126 高分子マトリクス 127 液晶滴
フロントページの続き (72)発明者 中尾 健次 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 2H088 FA10 FA16 FA18 FA22 GA02 GA10 GA17 HA02 HA06 HA08 JA04 KA01 KA29 KA30 MA02 MA11 MA16 2H089 HA04 JA04 KA08 LA06 LA19 NA24 QA15 RA04 RA18 SA18 TA02 TA07 TA09

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子中に液晶滴を分散させてなる高分
    子・液晶複合体が、一対の基板間に挟持され、1つの画
    素内において少なくとも2種類の透過率−印加電圧特性
    の異なる領域を有する液晶表示素子の製造方法であっ
    て、 パネル外部にあるマスクを通してレーザー光を照射する
    ことにより、相分離を行うことを特徴とする液晶表示素
    子の製造方法。
  2. 【請求項2】 高分子中に液晶滴を分散させてなる高分
    子・液晶複合体が、一対の基板間に挟持され、1つの画
    素内において少なくとも2種類の透過率−印加電圧特性
    の異なる領域を有する液晶表示素子の製造方法であっ
    て、 画素ピッチと同じピッチで照射強度を変化させたレーザ
    ー光を照射することにより、相分離を行うことを特徴と
    する液晶表示素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 高分子中に液晶滴を分散させてなる高分
    子・液晶複合体が、一対の基板間に挟持され、1つの画
    素内において少なくとも2種類の透過率−印加電圧特性
    の異なる領域を有する液晶表示素子の製造方法であっ
    て、 外部に配置したマスクのピッチが画素ピッチの2倍のマ
    スクを通して紫外線を照射することにより、相分離を行
    うことを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 高分子中に液晶滴を分散させてなる高分
    子・液晶複合体が、一対の基板間に挟持され、1つの画
    素内において少なくとも2種類の透過率−印加電圧特性
    の異なる領域を有する液晶表示素子の製造方法であっ
    て、 紫外線照射側の基板の厚みdが0.5mm以下であり、
    かつパネル外部にあるマスクを通して紫外線を照射する
    ことにより、相分離を行うことを特徴とする液晶表示素
    子の製造方法。
  5. 【請求項5】 高分子中に液晶滴を分散させてなる高分
    子・液晶複合体が、一対の基板間に挟持され、1つの画
    素内において少なくとも2種類の透過率−印加電圧特性
    の異なる領域を有する液晶表示素子の製造方法であっ
    て、 紫外線照射側の基板の厚みをd、紫外線光源の強度が半
    減する角度をθ、マスクピッチをpとするとき、(数
    1)を満たす条件で相分離を行うことを特徴とする液晶
    表示素子の製造方法。 【数1】
  6. 【請求項6】 紫外線光源の強度が半減する角度θが1
    度以上であり、かつ紫外線照射側の基板の厚みdが0.
    5mm以下であることを特徴とする請求項5に記載の液
    晶表示素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 高分子中に液晶滴を分散させてなる高分
    子・液晶複合体が、一対の基板間に挟持され、1つの画
    素内において少なくとも2種類の透過率−印加電圧特性
    の異なる領域を有する液晶表示素子の製造方法であっ
    て、 第1の紫外線を照射して相分離を行う第1の紫外線照射
    工程と、パネル外部にあるマスクを通して第2の紫外線
    を照射する第2の紫外線照射工程と、を有することを特
    徴とする液晶表示素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 紫外線照射側の基板の厚みをd、第2の
    紫外線光源の強度が半減する角度をθ、マスクピッチを
    pとするとき、(数2)を満たす条件で第2の紫外線照
    射を行うことを特徴とする請求項7に記載の液晶表示素
    子の製造方法。 【数2】
  9. 【請求項9】 第2の紫外線光源の強度が半減する角度
    θが1度以上であり、かつ第2の紫外線照射側の基板の
    厚みdが0.5mm以下であることを特徴とする請求項
    8に記載の液晶表示素子の製造方法。
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