JP2796912B2 - 液晶電気光学装置 - Google Patents

液晶電気光学装置

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JP2796912B2 JP4286727A JP28672792A JP2796912B2 JP 2796912 B2 JP2796912 B2 JP 2796912B2 JP 4286727 A JP4286727 A JP 4286727A JP 28672792 A JP28672792 A JP 28672792A JP 2796912 B2 JP2796912 B2 JP 2796912B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高分子樹脂の中に液晶材
料を分散させた液晶樹脂複合体または液晶材料中に樹脂
を散在させた液晶樹脂複合体を有する分散型の液晶電気
光学装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の液晶電気光学装置はネマチック液
晶等を使用したTN型やSTN型のものが広く知られ、
実用化されている。また、最近では強誘電性液晶を使用
したものも知られている。これらの液晶電気光学装置
は、基本的には基板上に電極及びリードを有する第1の
基板と基板上に電極とリードを有する第2の基板によっ
て、液晶組成物を挟持しており、前記基板上の電極によ
って、液晶組成物に電界を加え、液晶材料自身の誘電率
の異方性によって、または強誘電性液晶の場合は自発分
極によって、液晶分子の状態を変化させ、その結果液晶
分子の状態の変化に伴う電気光学効果を利用するもので
ある。
【0003】TN、STN型の液晶電気光学装置におい
て、液晶分子は、液晶層の両基板接触面では配向処理の
ために行われるラビングによって規制力に従って、ラビ
ング方向に並ぶ。上下基板においては、このラビング方
向が90゜または200゜〜290゜に位置するように
ずらせてある。液晶層の中間付近では、90゜〜290
゜に位置する上下の分子の間をエネルギーが一番小さく
なるように螺旋状に液晶分子が並ぶことになる。この
時、STN型の場合は必要に応じて液晶材料にカイラル
物質を混合している。
【0004】これらの液晶電気光学装置はいずれも偏光
板を有しかつ液晶分子を液晶電気光学装置内で一定の方
向に規則正しく配向させる必要があった。この配向処理
は、配向膜(通常は有機膜)を綿やベルベットの布で一
定方向に擦るというもので、この処理がなければ、一定
方向に液晶分子は配列せず、液晶の電気光学効果を利用
することはできない。そのため、装置の構造は、一対の
基板によって液晶材料を保持する容器を構成して、その
容器内に液晶を注入し、液晶を配向させてその光学的な
効果を利用していた。
【0005】一方、これらの偏光板や配向処理等を必要
とせず、画面の明るく、かつ表示の際のコントラストの
よい分散型液晶電気光学装置が知られている。この分散
型液晶とは透光性の固相ポリマーが液晶材料を粒状また
は海面状に保持して調光層を構成しているものである。
この液晶装置の作製方法としては、カプセル化された液
晶材料をポリマー中に分散させ、そのポリマーをフィル
ムあるいは基板上に薄膜として形成されたものが知られ
ている。ここで、カプセル化材料としてはアラビアゴ
ム、ポリビニルアルコール、ゼラチン等が用いられてい
る。またはこれとは逆に液晶材料中に固相ポリマーを散
在させ液晶材料を均一にランダム配向させた構成を有し
ているものもある。
【0006】例えば、ポリビニルアルコールでカプセル
化された液晶分子は、それらが薄膜中で正の誘電異方性
を有するものであるならば電界の存在下でその液晶分子
が液晶分子の長軸を電界に平行になるように配列させ液
晶の屈折率と等しい場合には透明性が発現する。一方電
界がない場合には、液晶は特定の方向に配列せず様々な
方向を向いているので、液晶の屈折率がポリマーの屈折
率との差が大きいために光は散乱され光の透過を妨げ、
白濁状態になる。このような透明性と白濁状態との差を
利用して、各種情報を提供するものである。 分散型液
晶としてはこのようなカプセル化されたもの以外にも液
晶材料がエポキシ樹脂内に分散されたものや、液晶と光
硬化型の樹脂とを混合し、樹脂硬化の為の光を照射し
て、液晶と樹脂との相分離を利用したもの、3次元につ
ながったポリマーの中に液晶を含侵させたものなどが知
られている。本発明においてはこれらを総称して分散型
液晶と呼ぶ。
【0007】これらの分散型液晶電気光学装置は、従来
のTN、STN等の電気光学装置に比して偏光板を使用
しないために液晶電気光学装置の光の透過率は格段に高
い。具体的には偏光板一枚の透過率は約50%であり、
それを組み合わせて使うアクティブマトリクスの場合1
%程度の光しか透過しない、STN系では20%程度で
あり、そのためこれらの場合は後部照明の照度を高め画
面を明るくする努力をしている。一方、分散型液晶電気
光学装置の場合50%以上の光が透過する。これは一重
に分散型液晶装置が偏光板を必要としないことによる、
優位性である。
【0008】前述のように分散型液晶は透明状態と白濁
状態との間で使用し、液晶電気光学装置を透過する光の
量が多いので、通常は透過型の液晶電気光学装置として
研究開発がなされている。特に、透過型の中でも、投影
型の液晶電気光学装置として開発されている。この投影
型の液晶電気光学装置とは液晶電気光学装置パネルを光
源から発せられる光の光路上に配置させ、パネルに通過
してきた光を一定の角度を有したスリットを通して壁面
上に投影するものである。このパネルの液晶は印加電圧
に応答しない閾値以下の低電界領域では様々な方向に向
いており、白濁状態となっている。
【0009】この時に入射してきた光はパネル通過後に
散乱され、入射してきた光の光路を大きく広げることに
なる。そしてその次に配置されたスリットで散乱された
光をカットしてしまうために壁面上にはほとんど光が達
せずに黒状態が得られる。一方、電界印加時で液晶が応
答し電界方向に対して液晶分子が平行に配列するときに
は入射してきた光は散乱することなく直進し、壁面上に
は高輝度の明状態が得られる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】分散型液晶電気光学装
置の多くは、その透明支持体として光硬化性樹脂を使用
しており、硬化源としてしばしば紫外光を用いている。
一般に樹脂成分であるモノマーとオリゴマーを硬化させ
るためには、その硬化反応の出発物質としての活性基つ
まりラジカルが必要であり、このラジカルを発生させる
ために反応開始剤が用いられる。
【0011】反応開始剤はその構造内に例えばベンゾイ
ル基のようにラジカル化すると活性な置換基を有してい
る。これらはエネルギーを吸収することにより開裂して
ラジカルを発生させる。その吸収域、吸収ピークは、紫
外域である短波長側(240〜400nm)にある。
【0012】ラジカル発生のためには開裂に必要なだけ
の充分なエネルギーが必要で、高強度、あるいは長時間
の紫外光照射を行う必要がある。しかし、通常用いられ
ている基板材料であるソーダガラスなどは、反応開始剤
の吸収光をガラス自体が吸収してしまうため、実際には
反応開始剤は開裂に必要な光を十分に得られず、樹脂硬
化に必要な充分な量のラジカルが発生しない。その結
果、樹脂が充分に硬化しないことがしばしば起こり得
た。
【0013】樹脂の硬化が充分に起こらないと未反応の
モノマー、オリゴマー等未硬化樹脂成分や未反応の反応
開始剤が残り、これらは装置内で不純物となり、後の光
照射でラジカルが発生するなど装置の低抵抗化が起こ
る。この抵抗低下が起こると、電圧保持率が低下し、装
置動作時にチラツキ、トーン変化等画像形成に悪影響を
与え、長期間の光信頼性が低下する。
【0014】また、分散型液晶電気光学装置は従来のよ
うな偏光板が使用されていない分、明るいという利点が
あるが、これは同時に、入射してくる光に対して大変無
防備であることをも示している。よって、装置内には波
長域の広い光が、つまりは液晶を劣化させるような光も
入射してくる。液晶分子はその構造内に不飽和結合を含
んでいるため、これらの結合が紫外光を吸収して分解し
やすい。これを液晶の光劣化という。実使用時に液晶セ
ルに入射してくる光により液晶材料が劣化すると光学特
性に寄与するはずの液晶量が減り、特に電界無印加時の
散乱特性を損なってしまう。また分解した液晶は装置内
でイオン等の不純物として存在するので、装置の低抵抗
化の原因となる。よって、装置動作時には、液晶が分解
するような高強度、または長時間の紫外光照射は望まし
くない。
【問題を解決するための手段】本発明では前述の如き問
題を解決するものであり、不純物による装置の抵抗低下
が少なく、また長期間の光照射によってチラツキやトー
ン変化の少ない時分割駆動の可能な電圧保持率の高い分
散型液晶電気光学装置の提供を可能にした。
【0015】
【問題を解決するための手段】 本発明では前述の如き問
題を解決するものであり、不純物による装置の抵抗低下
が少なく、また長期間の光照射によってチラツキやトー
ン変化の少ない時分割駆動の可能な電圧保持率の高い分
散型液晶電気光学装置の提供を可能にした。
【0016】本願明細書で開示する発明の1つは、 液晶
材料と透明支持体を有する分散型の調光層を第1の基板
と第2の基板との間に持つ分散型液晶電気光学装置であ
って、 前記第1の基板は300nm以上可視光以下の波
長の光を8%以上透過し、 前記透明支持体は、前記第1
の基板を透過した紫外光により開裂してラジカルを生じ
る反応開始剤を用いて硬化された樹脂でなり、 前記第2
の基板は可視光を透過し紫外光を吸収又は遮断し、 前記
分散型液晶電気光学装置の動作時は前記第2の基板側か
ら光が照射されることを特徴とする液晶電気光学装置。
【0017】また、上記構成において、前記第2の基板
はソーダガラスであることを特徴とする。
【0018】本願明細書で開示する発明の他の一つは、
液晶材料と透明支持体を有する分散型の調光層を第1の
基板と第2の基板との間に持つ分散型液晶電気光学装置
であって、 前記第1の基板は300nm以上可視光以下
の波長の光を8%以上透過し、 前記透明支持体は、前記
第1の基板を透過した紫外光により開裂してラジカルを
生じる反応開始剤を用いて硬化された樹脂でなり、 前記
第2の基板は可視光を透過し紫外光を吸収又は遮断する
部分を有し、 前記分散型液晶電気光学装置の動作時は前
記第2の基板側から光が照射されることを特徴とする液
晶電気光学装置。
【0019】上記本願構成により、不純物による装置の
抵抗低下が少なく、また長期間の光照射によってチラツ
キやトーン変化の少ない時分割駆動の可能な電圧保持率
の高い分散型液晶電気光学装置を得ることができる。
【0020】
【作用】本発明では図1に示すように、調光層硬化過程
に必要な条件を、調光層を挟持する第1の基板(1)側
に、また装置動作時に必要な条件を、調光層を挟持する
第2の基板(2)側に持たせることを特徴としている。
【0021】調光層硬化過程では、片側からの光照射を
行うと、調光層内部の液滴の大きさが均一でなく動作時
にヒステリシスを生じることが問題となるので、両面か
らの光照射のほうが望ましいとされていた。しかし、そ
れは未硬化の調光層内に入射してくる樹脂硬化のための
入射紫外光の強度が弱いため、調光層は紫外光の入射側
から形成され、その形成された調光層分が入射紫外光強
度をさらに弱めることによって、厚さ方向での紫外光強
度変化が生じ、形成される液滴の大きさが変化するので
ある。しかしながら、片側からの光照射でも、未硬化の
調光層内に入射してくる紫外光強度が充分に強く、厚さ
方向に存在する反応開始剤が一斉に励起されるならば、
調光層が同時に硬化することになり、液滴の大きさも全
液晶セルに渡って均一となる。
【0022】よって、樹脂硬化のための照射光には反応
開始剤の吸収域である240から400nmの光が含ま
れて、その光は樹脂硬化のための光入射側である第1の
基板と調光層の間で吸収遮断されないことが望ましい。
特に本発明者らが鋭意検討した結果、300nm以上の
波長の光が8%以上透過して、紫外線硬化樹脂の硬化に
利用できれば、実際に硬化反応に必要な光の波長の透過
率にかかわらず、本発明の効果を期待できることを見い
だした。
【0023】このような機能を持つ第1の基盤として
は、例えば、石英ガラス、高ケイ酸ガラス、ホウケイ酸
ガラスのようなガラス類、PETのような高分子材料が
ある。また、基板上のITO等の透明導電膜厚を、20
0から500Åにするなど薄くして、また抵抗は犠牲に
なるが、ITO中の酸素含有量を多くして基板および基
板上の透明電極での合計した光の透過率を上げる方法も
ある。さらに、基板自体の厚さを薄くするなどしても、
紫外光吸収量は抑えられ、この方法では同時に、装置の
軽量化もできることになる。
【0024】通常の構成の液晶電気光学装置の動作過程
では、プロジェクションなど時として紫外光を含むかな
り高強度の光照射が行われる。また長期にわたる光照射
は光学装置の必要条件であり、当然光照射に対する長期
の信頼性が必要となる。しかし、このような光が装置に
吸収遮断されることなく照射され続けると、液晶分子の
光劣化が起きてしまう。
【0025】よって、本発明の液晶電気光学装置の装置
動作時には、光入射側である第2の基板側に、可視光以
下の波長の光が調光層に入射しないような光吸収層を設
けることにより、液晶劣化に関する光を吸収遮断するこ
とが得策となる。また、図1では紫外光吸収層(4)を
装置外側の基板上に設けたが、これは高強度光特に紫外
光が調光層に入射する前に吸収遮断されればよく、装置
内外問わず入射光路上のどこかに形成されていれば良
い。
【0026】光吸収層とは、望ましくは400nm以下
の光を吸収遮断する層であり、市販の紫外線カットフィ
ルターを用いる方法、アクリル等の高分子層を形成する
方法、レゾルミンや塩化エルビウム等の色素を分散塗布
する方法、サリチル酸誘導体、2−ヒドロキシベンゾフ
ェノン誘導体、安息香酸誘導体、ケイ皮酸誘導体、クマ
リン誘導体等の紫外線吸収剤の皮膜を形成する方法等、
既知の方法を使うことができ、この層は紫外光を吸収し
可視光を透過するものならば1層以上の層を積層して形
成されていても構わない。
【0027】また、第2の基板の材料をソーダガラス等
の短波長側の紫外光を吸収する材料としたり、基板材料
あるいは透明電極の厚みを厚くすることや、透明電極中
の酸素量を変化させて、第2の基板付近での合計の光の
透過量を減らすことにより、上記の事柄を達成しても同
様の効果が期待できる。
【0028】このような装置構造により、樹脂の完全硬
化を行い、長期間の光照射によっても液晶材料の劣化の
程度が少ない信頼性の高い分散型液晶電気光学装置を提
供できた。
【0029】また、図1では透明導電膜(3)のみ基板
上に設けた液晶電気光学装置の概略図を示したが、一方
の基板上に透明導電膜を形成すると同時に、金属と絶縁
膜と金属層を積層したM−I−M型の非線形素子を形成
することができたり、薄膜トランジスタを形成すること
もできる。通常、分散型液晶の電界印加時の透過光強度
特性の急峻性は、良くなく、多数の電極を有した高デュ
ーティーのマトリクス駆動を分散型液晶に直接行うこと
は難しい。従って、非線形素子や薄膜トランジスタを設
けて駆動を助けてやる方がよい。その結果液晶側の急峻
性が不足するところを補うことが出来る。つまりマトリ
クス駆動をしながら各画素を独立に散乱状態と透過状態
を作り出すことが出来る。
【0030】本発明の液晶電気光学装置において、使用
する液晶材料として、ネマチック、スメクチック、コレ
ステリック等の一般によく使用される液晶を使用でき
る。
【0031】また、前述の説明においては、液晶支持体
を樹脂と表現しているが、これは全ての波長の光に対し
て透明である必要はなく、液晶電気光学装置が使用する
波長の光に対して少なくとも50%以上の透過率を持つ
材料であれば、当然使用することができる。くわえて、
本明細書中あるいは図1において、分散している液晶材
料を液滴と表現したりその形状を単純に円形状に記載し
ているが、これは説明を簡単にするための一例に過ぎず
実際には他の形状を取っている場合もあり得る。以下に
実施例を示し、本発明を説明する。
【0032】
【実施例】
『実施例1』図1のように、ホウケイ酸ガラスを使用し
た第1の基板(1)上に公知の蒸着法やスパッタ法に
て、透光性の導電膜であるインジウムと錫の酸化物
(3)(IndiumeーTinーOxyde:IT
O)を500から2000Åの厚さに形成した。この時
のシート抵抗は20から200Ω/cm2 であった。こ
れを通常のフォトリソグラフィ技術によりパターニング
し、第1の基板(1)とした。次にホウケイ酸ガラスを
使用した同様の構成を持つ第2の透光性の電極を有する
第2の基板を使用し、第1の基板と基板間隔5〜50μ
m、望ましくは7〜20μm、でスペーサを間に挟んで
貼合わせた。ホウケイ酸ガラス1.1mmの313nm
の透過率は45%程度であった。
【0033】使用した液晶としては、屈折率が1.51
8、Δnが0.2240のシアノビフェニル系ネマチッ
ク液晶、光硬化性樹脂として、屈折率が1.517のウ
レタン系オリゴマーとアクリル系モノマーの混合系を用
い、反応開始剤として従来よく用いられているイルガキ
ュア184(チバガイギー製)を光硬化性樹脂に対して
1〜10wt%、望ましくは1〜3wt%添加し、これら混
合物を前記液晶基板間に注入した。この時の光硬化性樹
脂のウレタン系オリゴマーとアクリル系モノマーの混合
割合は本実施例ではオリゴマー:モノマーの重量比は2
0:80の割合で混合し、液晶と光硬化性樹脂の混合比
は重量比で60:40であり、この光硬化樹脂を硬化さ
せるのに必要な波長は313nmであった。
【0034】次に液晶樹脂混合系を30.5℃に保ちな
がら前述の第1の基板と第2の基板により形成された液
晶セルに注入し、約10から30mW/cm2 のUV照
射強度で約30〜300秒間紫外光照射し、液晶と樹脂
の相分離を起こさせながら樹脂を硬化させ、液晶電気光
学装置を作製した。この装置の調光層の厚さは約10μ
mであった。
【0035】この液晶電気光学装置の電圧保持率は20
V電圧印加時に85から90%程度であり、チラツキや
トーン変化は起こらなかった。また本装置の光学特性は
図2の実線に示すように通常の液晶駆動電圧である15
〜25Vにおいて充分な透過特性が得られ、電界無印加
時の散乱特性も10%程度を示し、満足すべき光学特性
が得られた。
【0036】次に信頼性の加速試験のためこの装置を第
2の基板側から、赤道直下の擬似太陽光(AM1.5、
100mW/cm2 )を当てて500時間経過後に、再
度同様の液晶電気光学装置の特性を測定すると、照射前
には85から90%あった電圧保持率は60から70%
となりチラツキやトーン変化が起こった。光照射後の光
学特性を図2の20に示す。このように特に散乱特性が
10から30%付近へと悪化していたりと、長期間にわ
たる光信頼性は残念ながら得られなかった。
【0037】『実施例2』実施例1と同様な第1の基板
と第2の基板を用い、更に第2の基板側に紫外光カット
フィルターを付加した。使用した各材料、作製条件も比
較例1と同じであり、この装置の調光層の厚さは約10
μmであった。
【0038】この液晶電気光学装置の電圧保持率は20
V電圧印加時に85から90%、光学特性は図2の10
に示すように通常の液晶駆動電圧である15〜25Vに
おいて充分な透過特性が得られ、電界無印加時の散乱特
性も10%程度を示すなど実施例1と同値であり、チラ
ツキやトーン変化のない表示が可能であった。また実施
例1と同様に赤道直下の擬似太陽光を第2の基板側から
500時間照射したところ、電圧保持率,光学特性とも
に劣化は起こらなかった。
【0039】『比較例』本比較例では、両方のガラス基
板材料として、300nm以上の波長範囲で透過率が8
%以上とはならないソーダガラスを使用した例を以下に
示す。図1のように、ソーダガラスを使用した第1の基
板(1)上に公知の蒸着法やスパッタ法にて、透光性の
導電膜であるインジウムと錫の酸化物(3)(Indi
umeーTinーOxyde:ITO)を500から2
000Åの厚さに形成した。この時のシート抵抗は20
から200Ω/cm2 であった。これを通常のフォトリ
ソグラフィ技術によりパターニングし、第1の基板
(1)とした。次にソーダガラスを使用した同様の構成
を持つ第2の透光性の電極を有する第2の基板を使用
し、第1の基板と基板間隔約10μm、でスペーサを間
に挟んで貼合わせた。ソーダガラス1.1mm厚の30
0nmの透過率はほぼ0に近く、硬化反応に使用される
波長313nmの透過率は20%程度であった。
【0040】その他使用した液晶材料、光硬化性樹脂、
反応開始剤は実施例1と同じ物を用い、混合比、および
作製温度やUV光照射強度等、作製条件も同じにした。
【0041】この液晶電気光学装置の電圧保持率は20
V電圧印加時に60%程度であり、チラツキやトーン変
化が起こった。また本装置の光学特性は図3の実線に示
すように通常の液晶駆動電圧である15〜25Vにおい
て充分な散乱特性が得られず、電界無印加時の散乱特性
は25%程度を示したため光学特性の面からも満足する
ものは得られなかった。
【0042】以上に示した実施例において、使用した液
晶としては、P型シアノビフェニル系ネマチック液晶で
あるが、他にN型ネマチック液晶でも、強誘電液晶、非
強誘電液晶でもよく、高分子液晶でも可能である。また
それらに色素を含有していてもよい。液晶支持体として
は、光硬化性樹脂をはじめ、240から400nmの短
波長光でラジカルが発生する反応開始剤により硬化のき
っかけが与えられうるものならばよく、光増感剤、連鎖
移動剤、架橋剤等が添加されていてもかまわない。
【0043】また、調光層は液晶が樹脂壁で区分されて
いるドロップレット形状であっても樹脂が3次元網目状
に形成しているものであっても前記の液晶光学装置を形
成することが可能である。
【0044】
【発明の効果】本発明のように樹脂硬化時の紫外光入射
面と、装置動作時の光入射面とを分けることにより、各
相反する光の入射条件をそれぞれ充分に満足させること
ができた。つまり、樹脂硬化のための紫外光照射面を第
1の基板とし、樹脂硬化に必要な紫外光を吸収遮断しな
い材料を用いて、硬化に必要な充分な紫外光が入射する
ことにより、樹脂を完全硬化して装置の電圧保持率の向
上を行い、反対側の第2の基板を装置動作時の光入照射
面とし、紫外光を吸収遮断する層を設けることで、液晶
の劣化を防ぐことができた。このような装置作製時と動
作時の光の入射面を別にして、そのそれぞれに前述のよ
うな特性をもたせた構造により、電圧保持率が高くチラ
ツキやトーン変化のない、長期間にわたり光信頼性の高
い分散型液晶電気光学装置を作製することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶電気光学装置の構成を示す。
【図2】本発明の液晶電気光学装置の駆動電圧と透過率
との関係を示す。
【図3】比較例の液晶電気光学装置の駆動電圧と透過率
との関係を示す。
【符号の説明】
1・・・硬化時の紫外光照射側基板 2・・・駆動時の光照射側基板 3・・・透明導電膜 4・・・紫外光吸収層 5・・・液晶材料 6・・・透明樹脂
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−188105(JP,A) 実開 昭62−116226(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02F 1/1333 G02F 1/1333 500

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液晶材料透明支持体有する分散型の
    調光層を第1の基板と第2の基板との間に持つ分散型液
    晶電気光学装置であって 記第1の基板は300nm以上可視光以下の波長の光
    を8%以上透過し、前記透明支持体は、前記第1の基板を透過した紫外光に
    より開裂してラジカルを生じる反応開始剤を用いて硬化
    された樹脂でなり、 前記第2の基板は可視光を透過し紫外光を吸収又は遮断
    し、前記分散型液晶電気光学装置の動作時は 前記第2の基板
    側から光が射されることを特徴とする液晶電気光学装
    置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の液晶電気光学装置であ
    って、前記第2の基板はソーダガラスであることを特徴
    とする液晶電気光学装置。
  3. 【請求項3】液晶材料透明支持体有する分散型の調
    光層を第1の基板と第2の基板との間に持つ分散型液晶
    電気光学装置であって 記第1の基板は300nm以上可視光以下の波長の光
    を8%以上透過し、前記透明支持体は、前記第1の基板を透過した紫外光に
    より開裂してラジカルを生じる反応開始剤を用いて硬化
    された樹脂でなり、 前記第2の基板は可視光を透過し紫外光を吸収又は遮断
    する部分を有し、前記分散型液晶電気光学装置の動作時は 前記第2の基板
    側から光が射されることを特徴とする液晶電気光学装
    置。
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