JP2862588B2 - 液晶樹脂複合体の製造方法及びそれを用いた液晶光学素子 - Google Patents

液晶樹脂複合体の製造方法及びそれを用いた液晶光学素子

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は液晶と樹脂の硬化物との相分離を固定する液
晶樹脂複合体の製造に用いられる溶解物、液晶樹脂複合
体とその製造法、及び液晶樹脂複合体を用いた透過散乱
型の液晶光学素子に関するものである。
[従来の技術] 近年、液晶を多孔体に含浸させたり、液晶をマイクロ
カプセル中に封入して、液晶が樹脂マトリクス中に分散
保持された液晶樹脂複合体を用いて液晶光学素子とし、
電界印加の有無により液晶の屈折率を変化させ、樹脂マ
トリクスの屈折率との関係を調節することにより、透過
と散乱とを制御する液晶光学素子が注目されてきてい
る。
具体的には、J.L.Fergasonらがポリビニルアルコール
を使ってマイクロカプセル化したネマチック液晶により
(特表昭58−501631号)、またK.N.Pearlmanらは種々の
ラテックス取り込み液晶により(特開昭60−252687
号)、またJ.W.Doaneらは、エポキシ樹脂中に液晶を分
散硬化させる方法(特表昭61−502128号)で作成してい
る。
[発明の解決しようとする課題] 液晶樹脂複合体を液晶光学素子として用いる場合、液
晶が樹脂マトリクス中に分散保持される構造が、用いら
れる用途に応じて必要となる。しかしながら、従来の液
晶樹脂複合体の製造法では、自由に系の構造を制御する
ことが困難であり、光学素子として充分な機能を発揮し
えないといった問題点を有していた。
[課題を解決するための手段] 本発明は、前述の課題を解決すべくなされたものであ
り、液晶に未硬化の光硬化性樹脂が溶解した溶解物を光
硬化することにより、液晶と樹脂の硬化物との相分離を
固定して、液晶が樹脂マトリクス中に分散保持された液
晶樹脂複合体を製造する液晶樹脂複合体の製造法におい
て、溶解物における液晶の体積分率CLCが溶解物の相図
上の臨界点における液晶の体積分率Ccritと式(1)の
関係を有し、及び、溶解物を光硬化させる温度To(℃)
が、溶解物が均一溶解状態から白濁を生じる温度Ts
(℃)と式(2)の関係を有することを特徴とする液晶
樹脂複合体の製造法 Ccrit−0.05<CLC<Ccrit+0.20 (1) Ts<To<Ts+25(℃) (2) 、及び、その製造法において、液晶が正の誘電異方性を
有するネマチック液晶であり、液晶の常光屈折率(n0
と得られる樹脂マトリクスの屈折率が一致するように選
ばれた光硬化性樹脂を使用することを特徴とする液晶樹
脂複合体の製造法、及び、それらの製造法において、光
硬化性樹脂のモノマーとオリゴマーとの比を15:85〜90:
10の範囲内で調整して溶解物とすることを特徴とする液
晶樹脂複合体の製造法、及び、それらの製造法で得られ
た液晶樹脂複合体を一対の電極付基板間に挟持したこと
を特徴とする液晶表示素子を提供する。本発明では、液
晶に未硬化の光硬化性樹脂が溶解した溶解物に光照射す
ることにより、光硬化性樹脂を硬化させ、同時に生じる
溶解性の低下により、液晶を樹脂中から析出させ、その
相分離構造を固定化することにより、液晶が樹脂マトリ
クス中に分散保持された液晶樹脂複合体を得ることがで
きる。
本発明では、電圧を印加していない状態で、光照射に
より硬化させられた光硬化性樹脂による樹脂マトリクス
の屈折率が、液晶の常光屈折率(n0)と一致するように
される。
これにより、本発明の液晶樹脂複合体を一対の電極付
基板間に挟持した素子では、電界が印加されていない場
合は、配列していない液晶の屈折率と、樹脂マトリクス
の屈折率との違いにより、散乱状態(つまり白濁状態)
を示し、また電界を印加した場合は、液晶が配列し、液
晶の常光屈折率(n0)と光硬化により得られた樹脂マト
リクスの屈折率とが一致することにより透過状態を示す
ものであり、可逆的な透過−散乱特性機能をもつ。
なお、本発明ではこの樹脂マトリクスの屈折率と、使
用する液晶の常光屈折率(n0)とを一致させるものであ
り、この一致とは完全に一致させることが好ましいもの
であるが、透過状態に悪影響を与えない程度に、ほぼ一
致するようにしておけば良い。具体的には、屈折率の差
を0.15程度以下にしておくことが好ましい。
本発明で使用される光硬化性樹脂としては、未硬化状
態で液晶と相溶性のある光硬化性樹脂であって、硬化後
は液晶と相溶性を有さない光硬化性樹脂が使用できる。
この光硬化性樹脂としては、それ自身が光反応性をもつ
もの、光照射によって生成した物質により硬化が誘起さ
れるもの、具体的には、光照射によって分解硬化するも
のと、重合硬化するもの等公知の種々のものが使用でき
る。
中でも、光硬化性ビニル系樹脂が好ましい。特に、そ
れらのモノマーとオリゴマーとを組み合わせて用い、相
図の所望の状態に設定すれば良い。
この光硬化性樹脂は、単独もしくは複数混合して用い
てもよく、光硬化開始剤、その他液晶樹脂複合体作成に
必要な改質剤、作成した液晶樹脂複合体の改質剤などを
含んでいてもよい。具体的には、架橋剤、界面活性剤、
希釈剤、増粘剤、消泡剤、接着性付与剤、安定剤、重合
促進剤、連鎖移動剤、重合禁止剤などを含んでいてよ
い。
また、光硬化開始剤は、ベンゾインエーテル系、ベン
ゾフェノン系、アセトフェノン系、チオキサントン系な
どが例示される。
本発明で使用される液晶は、ネマチック液晶、スメク
チック液晶等があり、単独で用いても組成物を用いても
良いが、動作温度範囲、動作電圧など種々の要求性能を
満たすには組成物を用いた方が有利といえる。特に、ネ
マチック液晶の使用が好ましい。
また、使用される液晶物質は、光硬化性樹脂に均一に
溶解し、光照射後の樹脂マトリクスとは溶解しない、も
しくは溶解困難なものが必要であり、組成物を用いる場
合は、個々の液晶の溶解度ができるだけ近いものが望ま
しい。
本発明の液晶樹脂複合体を製造する際、未硬化の光硬
化性樹脂と液晶とは、その溶解物の液晶の体積分率CLC
が、溶解物の相図上の臨界点における液晶の体積分率C
critと下記の式(1) Ccrit−0.05<CLC<Ccrit+0.20 (1) の関係を有する溶解物とすればよく、液状ないしは粘稠
物として使用されればよい。
これは、液晶樹脂複合体では、サブミクロン〜ミクロ
ンオーダーの液晶粒が樹脂マトリクス中に均一に分散保
持されていることが必要であり、その粒径がより均一で
あることがコントラスト比、低電圧駆動特性等の電気光
学特性の向上において必要なためである。
未硬化状態の樹脂と、液晶との溶解物は、一般に高温
において均一溶解状態(透明)、低温においては白濁状
態となるが、均一溶解状態から白濁状態になる温度は、
その組成により異なり、一般に第1図に示すような相図
となる。
第1図において、は相溶領域(均一溶解状態)、
は非相溶領域、は液晶相であり、AとBの線は、均一
溶解状態(透明溶液状態)から白濁状態となる点、Cと
Dの線は液晶相から白濁状態となる点を示している。こ
の前者の線は、2つの線からなり、図中の線A(点Qの
左側)で示される相溶−非相溶線と、線B(点Qの右
側)で示される相溶−液晶析出線である。この線A、B
の位置関係は、液晶のネマチック−等方性転移点TNI
液晶と未硬化の光硬化性樹脂との相溶性、液晶及び未硬
化の光硬化性樹脂の分子量等により変化する。なお、図
中のPは臨界点を示す。
前述したような均一な粒径で均一な分散を得ようとす
ると、溶解物の相図上のAB線を同時に有効に利用するす
ることが重要となる。
これは、線Aの相溶−非相溶線による作用、即ち、相
溶状態から液晶を多く含む成分と、液晶をほとんど含ま
ない成分への相分離(スピノーダル分解)と、線Bの相
溶−液晶析出線による作用、即ち、均一溶液からの液晶
の析出との両者が同時に進行することが重要となるため
である。
このための条件として、前記式(1)の条件を満たす
必要がある。光硬化時には、相図上のAB線は共に高温側
に移動するために、式(1)の範囲とすることにより、
相分離と液晶の析出が同時に起こり、均一な液晶樹脂複
合体が得られる。
式(1)の範囲よりもCLCを小さくすると、光硬化時
の初期過程において相分離のみが先に生じ、液晶の析出
が生じないので、液晶の多くが樹脂中に残ったまま硬化
が進行して、相分離後に充分な量の液晶粒が形成されな
く、所望の電気光学特性が得られない。
また、逆に、式(1)の範囲よりもCLCを大きくする
と、光硬化時に液晶の析出が先に進行するために、分離
した液晶の粒径が不均一になりやすく、所望の電気光学
特性が得られない。
なお、溶解物の相図上の臨界点Pにおける液晶の体積
分率Ccritは、使用する液晶及び未硬化の光硬化性樹脂
(モノマー、オリゴマー)の分子量等によって異なる
が、一般的には0.45〜0.65程度が典型的な範囲であり、
実験的に求めれば良い。
また、光硬化を起こす温度も重要な要因である。具体
的には、この溶解物を光硬化させる温度To(℃)が、液
晶の体積分率がCLCである溶解物が、均一溶解状態から
白濁を生じる温度Ts(℃)と下記の式(2) Ts<To<Ts+25(℃) (2) の関係を有するようにすることが、優れた電気光学特性
を得るために必要である。
To≦Tsとすると、光硬化前に、液晶の析出または相分
離が生じるため、均一な液晶樹脂複合体が形成されにく
い。
また、逆に、Ts+25≦Toとすると、光硬化直後にはそ
の点は相溶領域にあるので、相分離、液晶の析出が起き
なく、ある程度硬化が進行してから相分離、液晶の析出
が生じてくるので、液晶の多くが樹脂に含まれたままで
残る傾向があり、相分離後に充分な量の液晶粒が形成さ
れにくく、所望の電気光学特性が得られにくい。
このため、式(1)及び式(2)の両方を満足するよ
うにすることにより、粒径が均一で、かつ樹脂マトリク
ス中に液晶粒が均一に分散していて、散乱−透過の電気
光学特性のよい液晶樹脂複合体を得ることができる。
さらには、液晶の組成、未硬化の光硬化性樹脂の組
成、それらの混合割合、硬化時の温度、照射光量等を、
さらに細かく設定することにより、液晶の粒径及び液晶
粒の密度を制御することもできる。
一般には、液晶の体積分率を増加させると、粒径は大
きくなる傾向があり、動作する液晶量も増える。硬化速
度に関しては、硬化速度が速いほど、粒径は小さく密に
なる傾向がある。硬化温度に関しては、To−Tsが大きく
なるほど、粒径は小さく、動作しうる液晶量は減少する
が、高温になると、液晶、樹脂の粘性も低下するため
に、粒径はTo−Tsがある程度の値を持つときに最大にな
る場合もある。
このように、本発明によれば、いくつかの要因によっ
て、材料や組成を変えることなしに、分離した液晶の粒
径、密度を制御することができる。
光硬化性樹脂のモノマー、オリゴマーの比によって
も、この相図を大きく変化させることができるため、モ
ノマー、オリゴマーの比を15:85〜90:10程度に変化させ
て所望の電気光学特性を得るようにできる。
これは、モノマーとオリゴマーとは異なった分子量を
持ち、液晶との相溶性も異なるため、それらを併用する
ことにより、容易に相図を変化させることができるため
である。
換言すれば、未硬化状態で、溶解物の相溶性を制御す
ることができるということであり、さらには硬化後に得
られる液晶樹脂複合体の液晶−樹脂マトリクスの分離構
造をも制御しうることになる。
オリゴマーの分子量は通常モノマーの分子量の数倍以
上あるので、液晶との相溶性は、オリゴマーの方がモノ
マーよりも低い。このため、オリゴマー/モノマー比を
増加させると、相図の臨界点Pは、図中左側(ΦLCの低
い側)に移動する。
また、上記の説明では、液晶が完全に球形の液泡を形
成しているかの如く説明したが、これは完全に球形でな
くてもよいし、個々の液泡が独立していなく、連通して
いるものであってもよい。この液晶の粒径は、液晶がほ
ぼ球状の液泡を形成している場合には、その直径をあら
わし、液晶が多孔質の連通構造を有する場合には、液晶
のディレクタが互いに相関を持つ領域の直径をあらわ
す。
本発明の液晶樹脂複合体は、例えば、In2O3−SnO2(I
TO)、SnO2等の透明電極付のガラス、プラスチック等の
基板間に挟持させて液晶光学素子とされる。この液晶光
学素子の製法としては、一対の電極付基板を相対向する
ように配して周辺をシールして空セルを形成し、注入口
から液晶と未硬化の光硬化性樹脂の溶解物を注入し、注
入口を封止して、光照射して光硬化性樹脂を硬化させて
相分離してもよいし、一方の電極付基板上に溶解物を供
給し、他方の電極付基板を重ねて、光照射して光硬化性
樹脂を硬化させて相分離してもよい。
この基板間ギャップは、5〜100μmにて動作するこ
とができるが、印加電圧、オン・オフ時のコントラスト
を配慮すれば、7〜40μmに設定することが適当であ
る。
樹脂マトリクスの屈折率を液晶の常光屈折率n0と一致
させているので、光照射前は、基板間に保持された溶解
物は透明であるが、光照射後は配列していない液晶と樹
脂マトリクスによる屈折率散乱のため白濁状態となる。
こうして作成した本発明の液晶光学素子は、電圧印加す
ることにより、液晶が配列し、樹脂マトリクスと屈折率
が一致するため透過状態となる。
本発明では、さらに溶解物中に顔料や色素、ガラス粒
子、プラスチック粒子、セラミック粒子等の間隙制御用
のスペーサーを添加したり、基板に着色基板を使用した
り、カラーフィルターを積層したりすることもできる。
本発明では、液晶物質を溶媒として使用し、未硬化の
光硬化性樹脂と液晶との溶解物に光照射することにより
光硬化性樹脂を硬化させるため、硬化時に不要となる単
なる溶媒や水を蒸発させる必要がない。このため、密閉
系で硬化できるため、信頼性が高く、かつ、光硬化性樹
脂で2枚の基板を接着する効果も有するため、シール材
を不要にすることもできる。
このような液晶樹脂複合体を使用することにより、大
面積にしても、上下の透明電極が短絡する危険性が低
く、かつ、通常のツイストネマチック型の表示素子のよ
うに配向や基板間隙を厳密に制御する必要もなく、大面
積を有する液晶光学素子も極めて生産性良く製造でき
る。
このような液晶光学素子は、表示素子としても使用可
能であるし、大面積化が容易であること及び後で切断し
て所望のサイズにできること等から調光体としても好適
である。
この場合、電極の一部に低抵抗化するための金属リー
ド部を併設したりしてもよいし、調光鏡として使用する
場合には、一方の電極を反射電極としてもよい。
この液晶光学素子は、基板がプラスチックや薄いガラ
スの場合にさらに保護のためにプラスチックやガラス等
の補強板を積層したり、基板を強化ガラス、合せガラ
ス、線入ガラス等にしてもよい等種々の応用が可能であ
る。
この液晶光学素子を用い、駆動手段を付加した調光体
の用途としては窓、天窓、間仕切り、扉等の建築材料、
窓、ムーンルーフ等の車両用材料、各種電気製品用のケ
ース、ドア、蓋等の材料がある。
また、この調光体を使用して、種々の物体を配置する
配置手段と組み合せることにより、各種商品を展示する
ショーウインドウ、ショーケース等の物体展示体に使用
することもできる。これは、ショーケースに使用して通
常は白濁して中が見えないが、電圧を印加して透明にす
れば中が見えるというような応用もある。
また、液晶光学素子を文字や図形を表示するという表
示装置にも使用できる。例えば、大型の公衆表示にも好
適であるし、基板の一方をTFT等の能動素子を画素毎に
形成したアクティブマトリクス基板とした高密度表示素
子にも使用できる。
本発明の液晶光学素子は、電圧を印加する時には、液
晶の配列が変化するような交流電圧を印加すればよい。
具体的には、5〜100Vで10〜1000Hz程度の交流電圧を印
加すればよい。
また、電圧を印加しない時には、電極間をオープンに
するか短絡すればよい。もちろん、液晶樹脂複合体が散
乱状態に保たれる程度の低電圧が印加されていてもよ
い。さらには、電圧−透過率曲線が緩やかであるので、
中位の電圧を印加して階調表示もできる。
[作用] 未硬化状態の樹脂と、液晶との溶解物に光を照射する
ことにより、樹脂が硬化し、分子量が大きくなるため、
液晶との相溶性が低下し、液晶が独立に析出して、液晶
が樹脂マトリクス中に分散された液晶樹脂複合体とな
る。
この際に、相図上のどの点から光硬化−相分離を生じ
させるかが重要になる。即ち、第1図の線Aの相溶−非
相溶線による相溶状態から液晶を多く含む成分と、液晶
をほとんど含まない成分への相分離と、線Bの相溶−液
晶析出線による均一溶液からの液晶の析出との両者が同
時に進行するような点とするかが重要となる。
このため、式(1)及び式(2)の両方を満足するよ
うにすることにより、粒径が均一で、かつ樹脂マトリク
ス中に液晶粒が均一に分散している極めて均一性がよい
液晶樹脂複合体を得ることができる。
[実施例] 以下、実施例により、本発明を具体的に説明する。
実施例 一対のITO付ガラス基板を10μmの間隔で注入口を除
いて周辺でシールし、空セルを形成した。
液晶としてBDH社製「E−8」、未硬化の光硬化性樹
脂としてアクリル系モノマーとウレタンアクリレート系
オリゴマー(モノマー:オリゴマー=60:40)、光硬化
開始剤としてメルク社製「ダロキュアー1116」を用いた
組成物の相図を第2図に示す。
この相図中の組成物を別々に前記の空セルに注
入して、注入口を封止し、相図に示される温度で60秒間
紫外線を照射して、光硬化性樹脂を硬化させるととも
に、樹脂と液晶の相分離を起こさせ、液晶樹脂複合体を
電極付基板間に挟持した液晶光学素子を製造した。
これらの液晶光学素子は、いずれも光硬化した時点
で、散乱状態(白濁状態)であった。この電極間に交流
電圧(AC30V,50Hz)を印加したところ透明な状態にな
り、電圧印加を止めたところ散乱状態にもどり、充分な
散乱−透過特性が得られた。
比較例 実施例の相図での組成物を、相図の温度で実施
例と同様にして光硬化させた。
の液晶光学素子は、液晶の体積分率が少ない比較例
であり、光硬化後もほとんど透明であった。さらに、数
日放置したところ数百μmサイズの球晶状物が現われ
た。
の液晶光学素子は、組成としては、と同一であっ
たが、硬化温度が高すぎる例であり、光硬化後もほとん
ど透明であり、交流電圧(AC50V,50Hz)を印加しても、
透明性がやや上がる程度であった。
の液晶光学素子は、液晶の体積分率が多すぎる比較
例であり、光硬化後にやや散乱状態であったが、白濁性
が充分でないものであった。
この結果からも明らかなように、本発明の式(1)、
(2)の範囲外で製造したものは、散乱性が不充分とな
り、電気光学特性が低いものであった。
[発明の効果] 以上の如く、本発明は液晶樹脂複合体の製造法を提供
するものであり、液晶に未硬化の光硬化性樹脂が溶解し
た溶解物を光硬化することにより、液晶と樹脂の硬化物
との相分離を固定して、液晶が樹脂マトリクス中に分散
保持された液晶樹脂複合体を製造する液晶樹脂複合体の
製造法において、溶解物における液晶の体積分率CLC
溶解物の相図上の臨界点における液晶の体積分率Ccrit
と式(1)の関係を有し、及び、溶解物を光硬化させる
温度To(℃)が、溶解物が均一溶解状態から白濁を生じ
る温度Ts(℃)と式(2)の関係を有することを特徴と
する液晶樹脂複合体の製造法である。
Ccrit−0.05<CLC<Ccrit+0.20 (1) Ts<To<Ts+25(℃) (2) これにより、液晶と未硬化の光硬化性樹脂とが相溶状
態から、液晶を多く含む成分と液晶をほとんど含まない
成分への相分離と、均一溶液からの液晶の析出との両者
が同時に進行するようにされ、粒径が均一で、かつ樹脂
マトリクス中に液晶粒が均一に分散している均一性がよ
く、散乱−透過の電気光学特性のよい液晶樹脂複合体を
得ることができる。
また、この相図を変化させることにより、所望の液晶
粒径、密度の液晶樹脂複合体を容易に製造できる。特
に、オリゴマーとモノマーとの比率を変えることによ
り、容易にこれに対応できる。
この液晶樹脂複合体を、電極付基板間に挟持すること
により、透過−散乱制御型の液晶光学素子を容易に得ら
れる。これは本発明の均一粒径、均一分散の液晶樹脂複
合体を用いているので、電気光学特性が優れている。
本発明は、この外、本発明の効果を損しない範囲内で
種々の応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、一般的な未硬化状態の樹脂と液晶との混合物
の相図。 第2図は、実施例の未硬化状態の樹脂と液晶との混合物
の相図。 A:相溶−非相溶線 B:相溶−液晶析出線 P:臨界点 :実施例 :比較例

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】液晶に未硬化の光硬化性樹脂が溶解した溶
    解物を光硬化することにより、液晶と樹脂の硬化物との
    相分離を固定して、液晶が樹脂マトリクス中に分散保持
    された液晶樹脂複合体を製造する液晶樹脂複合体の製造
    法において、溶解物における液晶の体積分率CLCが溶解
    物の相図上の臨界点における液晶の体積分率Ccritと式
    (1)の関係を有し、及び、溶解物を光硬化させる温度
    To(℃)が、溶解物が均一溶解状態から白濁を生じる温
    度Ts(℃)と式(2)の関係を有することを特徴とする
    液晶樹脂複合体の製造法。 Ccrit−0.05<CLC<Ccrit+0.20 (1) Ts<To<Ts+25(℃) (2)
  2. 【請求項2】液晶が正の誘電異方性を有するネマチック
    液晶であり、液晶の常光屈折率(n0)と得られる樹脂マ
    トリクスの屈折率が一致するように選ばれた光硬化性樹
    脂を使用することを特徴とする請求項1記載の液晶樹脂
    複合体の製造法。
  3. 【請求項3】光硬化性樹脂のモノマーとオリゴマーとの
    比を15:85〜90:10の範囲内で調整して溶解物とすること
    を特徴とする請求項1又は2記載の液晶樹脂複合体の製
    造法。
  4. 【請求項4】請求項1、2又は3記載の液晶樹脂複合体
    の製造法で得られた液晶樹脂複合体を一対の電極付基板
    間に挟持したことを特徴とする液晶光学素子。
  5. 【請求項5】基板の一方がアクティブマトリクス基板と
    されたことを特徴とする請求項4記載の液晶光学素子。
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