JPH06222343A - 液晶表示素子および該素子の製造法 - Google Patents

液晶表示素子および該素子の製造法

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JPH06222343A
JPH06222343A JP3126793A JP3126793A JPH06222343A JP H06222343 A JPH06222343 A JP H06222343A JP 3126793 A JP3126793 A JP 3126793A JP 3126793 A JP3126793 A JP 3126793A JP H06222343 A JPH06222343 A JP H06222343A
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voltage
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layer
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JP3126793A
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Hiroyuki Takahashi
裕幸 高橋
Yasuyuki Takiguchi
康之 滝口
Akihiko Kanemoto
明彦 金本
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、高コントラスト比で低電圧
駆動が可能であり、さらに信頼性に優れた散乱型の液晶
表示素子及び該素子の製造法を提供することにある。 【構成】 少なくとも一方が透明性を有する対向配置さ
れた一対の電極付き基板、該基板間に挾持された液晶
層、および該液晶層として液晶組成物と支持媒質とから
なる複合膜を有する液晶表示装置において、前記液晶層
中で液晶組成物が実質的に連続相であり、かつ前記支持
体媒質と液晶組成物界面又は前記対向基板の少なくとも
一方に、液晶組成物に対する配向規制手段が設けられて
いることを特徴とする液晶表示素子及び該素子の製造
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は散乱型液晶表示素子に関するもの
である。
【0002】
【従来技術】液晶表示装置における表示方式の一つに、
液晶層に電圧が印加された場合と印加されない場合と
で、光を透過する状態と光を散乱する状態とに変化する
ことを利用した、いわゆる散乱型がある。この方式は偏
光板を必要とするTN(twisted nemati
c)型やSTN(Super twisted nem
atic)型に対して偏光板が不要である。したがって
偏光板による光の損失を伴わず、明るい表示が可能とな
る。この散乱型のなかでも近年、ポリマーのマトリック
ス中に液晶をドロプレット状に分散させたり(NCA
P:Nematic Curvilinear Ali
gned Phase)(特表昭58−50163
1)、またポリマーにより形成された三次元網状構造す
なわちポリマーネットワーク中に液晶を分散させた(P
NLC:Polymer Network Liqui
d Crystal)(特開平1−198725)、い
わゆるポリマー分散型液晶(PDLC:Polymer
Dispersed Liquid Crysta
l)の提案がなされている。これらは、偏光板が不要な
ため明るい表示が可能、大面積化が可能、応答速度が大
きい、STN型等に比べて液晶層の厚さの影響を受けに
くい、等の特徴を持つことから注目され、ディスプレイ
への応用開発も進められている。このようなポリマー分
散型液晶表示素子においては、動作電圧が大きいことが
当初からの重大な問題点の一つであり、動作電圧の低減
と高コントラスト比の両立のために開発が行なわれ、液
晶を分散させる支持体として例えば、ポリマーによる三
次元網状組織、互いに絡み合った繊維状組織、連接した
微小粒により形成される網目状組織、空間的に連接した
突起状組織等の構造体を用いることにより、上記問題点
が改善されてきた。しかしながら、これらの液晶表示素
子においても、電圧印加により経時的に電気光学特性が
変化してしまうというもう一つの問題は解決されていな
い。これは電圧の印加、無印加を繰り返した場合、印加
電圧値および印加時間等によっては電圧無印加時(光散
乱状態)の散乱性が小さくなり、表示の明るさが減少
し、コントラスト比も低減するという現象である。電圧
印加による電界方向への液晶分子の配列変化の影響を受
けて、液晶とその支持体であるポリマーとの界面状態が
変化してしまい、これが光散乱状態に反映されることが
原因の一つであると考えられている。
【0003】
【目的】本発明は、以上の従来技術の問題点の解決を目
的としてなされたものであり、高コントラスト比で低電
圧駆動が可能であり、さらに信頼性に優れた散乱型の液
晶表示素子を提供することにある。
【0004】
【構成】上記目的を達成するため、本発明によれば、内
面に画素電極を有し、少なくとも一方が透明性を有す
る、離間対向配置された一対の基板と、該基板間に挾持
された液晶層を有し、該液晶層が液晶組成物と支持媒質
とからなる複合膜であって、該液晶層中で液晶組成物が
ほぼ連続相をなしており、さらに該支持媒質と液晶組成
物界面に、液晶組成物に対する配向規制手段が設けられ
たことを特徴とする液晶表示素子およびその製造方法が
提供される。
【0005】本発明の液晶表示素子をその構成例により
詳細に説明する。図1は本発明に用いられるような従来
の散乱型液晶表示素子の構成例を示したものであり、そ
の内面に透明電極1を有する基板2に挾まれた微小空隙
に液晶層3が形成されている。液晶層3中では、樹脂等
によって形成された微細構造体4が基板間に挾持され、
液晶組成物5は該微細構造体により、0.5〜5μm程
度の間隔で三次元的に横切られるような構造をなしてい
る。該微細構造体の形状としては、三次元網状組織、互
いに絡み合った繊維状組織、連接した微小粒により形成
される網目状組織、空間的に連接した突起状組織等の構
造体等を例示することができる。また、該微細構造体
は、単独に形成された後両基板で挾持されてもよいし、
どちらか一方に基板上に形成された後対向基板を重ねて
もよいし、あるいは両基板にそれぞれ形成した後重ねて
もよい。また、該微細構造体は、液晶層の厚み方向を完
全に埋めるように構成される必要はなく、例えば図2お
よび図3のように該微細構造体が存在しない、液晶組成
物のみの部分があってもよい。前記のような微細構造体
によって、液晶層中の液晶組成物は、0.5〜5μm程
度の間隔で三次元的に横切られるような構造を有し、か
つ両基板間でほぼ連続相を形成している。このような、
素子において電圧を印加しない場合、液晶層中の液晶組
成物は、特に該微細構造体との界面近傍においてその相
互作用により該界面にほぼ平行に配列するため、液晶組
成物の配向構造が乱され、微細な屈折率の歪を生ずる
(図4)。また該素子に電圧を印加したとき、液晶の誘
電異方性が正の場合、液晶組成物は基板と垂直に配向す
る(図5)。前記配向変化により、液晶組成物に二色性
色素が含まれないときは散乱状態−透明状態間のスイッ
チングが可能となり、また液晶組成物に二色性色素が含
まれるときは着色状態−透明状態間のスイッチングが可
能となる。前述のように、素子に電圧を印加した場合、
液晶組成物には基板に垂直に配向するような力がはたら
くが、該界面近傍においては上記相互作用のため液晶組
成物は完全には基板と垂直方向には配向せず、中間的な
配列状態にある(図6)。このとき微細構造体も液晶組
成物によって部分的に力を受けるため、素子に印加され
る電圧によっては、電圧を除去した後も微細構造体の該
部分が元の状態に回復せず、それにともない、液晶組成
物の配向状態に基づく光散乱状態も非可逆的に変化して
しまうことになる。微細構造体および液晶組成物の材料
組成等によってもその程度は異なるが、光学的変化が充
分飽和するような電圧を印加した場合、前述のように電
圧無印加時の光散乱は小さくなる傾向にあり、表示素子
としての表示の明るさが低下し、コントラスト比が減少
してしまうという問題が生じる。本発明においては、前
記のような液晶組成物が、微細構造体によって0.5〜
5μm程度の間隔で三次元的に横切られるような構造を
有し、しかも両基板間でほぼ連続相を形成している。液
晶層を有する液晶表示装置において、該微細構造体−液
晶組成物界面、あるいは両基板の少なくとも一方の表面
に液晶組成物に対する配向規制手段、具体的には、水平
配向処理、あるいは配向処理を施すことにより上記問題
を解決した。
【0006】図7に本発明による液晶表示素子の一構成
例を示す。素子の基本的な構成は図1に示した従来例と
ほぼ同様であるが、本構成例においては該微細構造体の
表面(微細構造体−液晶組成物界面)に、液晶組成物に
対する配向規制手段6が設けられている。本構成例にお
いて用いられる、液晶組成物と支持媒質の複合膜の作製
方法としては、液晶層中で液晶組成物が連続相をなすよ
うな複合膜が作製可能な方法であればよく、液晶と樹脂
とをこれらの共通溶媒に溶解させた溶液を基板上に塗布
し、溶媒を蒸発させることにより液晶組成物と樹脂とを
相分離させる方法(溶媒蒸発法)、アクリルモノマー等
の光重合性物質と液晶と光重合開始剤の均一混合物を両
基板間の空隙に封入し、紫外線を照射して光重合性物質
を重合させ相分離させる方法(光重合法)、例えば−エ
ポキシ化合物とその硬化剤−と液晶の混合物を両基板間
の空隙に封入し、加熱により重合させ、相分離させる方
法(熱重合法)等が挙げられるが、本構成例においては
前述のように、微細構造体の表面(微細構造体−液晶組
成物界面)に配向規制手段を設けるために、該膜を作製
後に、該膜中より液晶組成物を溶出することが必要なこ
とから、一基板上に作製できて、しかも他の方法に比べ
て液晶層中で液晶組成物が連続相をなすような複合膜が
作製しやすい、溶媒蒸発法が特に好ましい。光重合法や
熱重合法による複合膜も使用可能であるが、液晶組成物
の溶出や溶媒除去時の乾燥に比較的時間がかかるという
問題がある。本構成例における該微細構造体への配向規
制手段の配置は、上記のようにして作製した液晶組成物
と支持媒質の複合膜から、例えばアルコールやアルカン
のような有機溶媒を用いて液晶組成物を溶出して乾燥し
た後に行なわれる。具体的に、水平配向処理は一般によ
く用いられような例えば、ポリビニルアルコール、ポリ
イミド、ポリアミドイミド、ポリオキシエチレン、二塩
基性カルボン酸クロム錯体、有機シラン等の水平配向剤
溶液を、液晶組成物を溶出した該複合膜に含浸させ加熱
乾燥等により溶媒を除去することにより行なわれるが、
これに限られるものではない。同様に垂直配向処理は、
例えば、レシチン、ステアリン酸、オクタデシルアミン
ハイドロクロライド、オクタデシルトリエトキシシラ
ン、一塩基性カルボン酸クロム錯体等の垂直配向剤溶液
を、液晶組成物を溶出した該複合膜に含浸させ加熱乾燥
等により溶媒を除去することにより行なわれるが、これ
に限られるものではない。このようにして複合膜に配向
規制手段を設置した後、複合膜に再び液晶組成物を含浸
させ、さらに対向基板を重ねあわせて外周部を封止処理
することによって素子が完成する。該素子において、該
配向規制手段が水平配向処理である場合、素子に対する
電圧印加および電圧除去にともなう液晶組成物の挙動は
上記従来例の場合と同様であるが、図8のような電圧を
印加したときの該界面において、水平配向処理面は液晶
組成物との相互作用により受ける力に対して非常に安定
であるため、電圧を除去した場合、液晶組成物は元の配
向状態に回復する。また該配向規制手段が垂直配向処理
である場合、電圧無印加時、液晶組成物は図9のように
該微細構造体−液晶組成物界面に対して垂直に配向する
ため、液晶組成物の配向構造が乱され、微細な屈折率の
歪を生じる。一方、電圧印加時は、液晶の誘電異方性が
正の場合、液晶組成物は基板と垂直に配向し(図1
0)、前記配向変化により、液晶組成物に二色性色素が
含まれないときは散乱状態−透明状態間のスイッチング
が可能となり、また液晶組成物に二色性色素が含まれる
ときは着色状態−透明状態間のスイッチングが可能とな
る。このような垂直配向処理の場合においても、電圧を
印加したときの該界面において、水平配向処理面は液晶
組成物との相互作用により受ける力に対して非常に安定
であるため、電圧を除去した場合、液晶組成物は元の配
向状態に回復する。以上のように、該微細構造体の表面
に、液晶組成物に対する配向規制手段を設けることによ
り、電圧印加履歴による該界面近傍での非可逆的な配向
状態の変化を低減でき、電圧無印加時の光散乱の減少を
防ぐことができる。
【0007】図11に本発明による液晶表示素子の別の
構成例を示す。本構成例のものも、素子の基本的な構成
は図1に示した従来例とほぼ同様であるが、本構成例に
おいては少なくとも一方の基板表面に、液晶組成物に対
する配向規制手段6が設けられていることを特徴とす
る。該配向規制手段が水平配向処理である場合、電圧無
印加時には、素子への電圧印加および電圧除去にともな
う液晶組成物の挙動は上記従来例の場合と同様である
が、電圧除去時の基板面近傍では該液晶組成物がその相
互作用により基板にほぼ平行に配列し、この配列の影響
が複合膜内部の液晶組成物部分にまでおよぶ(図1
2)。これにより、液晶組成物−微細構造体界面近傍の
液晶組成物は、該界面による配向規制力とさらに前記の
基板面による配向規制力とを受けるため、電圧印加によ
り基板に垂直方向へ配向した該界面近傍の液晶組成物
は、電圧除去とともに元の配向状態に回復する。また、
該配向規制手段が垂直配向処理である場合、電圧除去時
の基板面近傍では該液晶組成物がその相互作用により基
板にほぼ垂直に配列し、この配列の影響が複合膜内部の
液晶組成物部分にまでおよぶ(図13)が、上述の水平
配向処理の場合と同様の理由により電圧印加により基板
に垂直方向へ配向した該界面近傍の液晶組成物は、電圧
除去とともに元の配向状態に回復する。このような配向
規制手段は両基板に対して行なう方がその効果は大きい
が、一方の基板にのみ行なった場合にも効果は認められ
る。以上のように、基板表面に、液晶組成物に対する配
向規制手段を設けることにより、電圧印加履歴による液
晶組成物−微細構造体界面近傍での配向状態の非可逆的
変化を低減でき、電圧無印加時の光散乱の減少を防ぐこ
とができる。本構成例における基板表面への配向規制手
段の設置は、素子を構成する基板の液晶層側表面に、予
め配向処理を施しておけばよい。具体的に、水平配向処
理は、前述の構成例において例示したような一般的によ
く用いられる水平配向剤溶液を、例えばスピンコート
法、ディッピング法、ブレード法、印刷法等の方法によ
り基板上に塗布し、場合によっては加熱等の処理を行な
って形成したり、あるいは他の方法としてSiO等の酸
化物を用いた深い蒸着角度の斜め蒸着法を行なってもよ
い。同様に、垂直配向処理は、前述の構成例において例
示したような一般的によく用いられる垂直配向剤溶液
を、上記の方法等により基板上に塗布し、場合によって
は加熱等の処理を行なって形成したり、あるいは他の方
法としてSiOなどの酸化物を用いた浅い蒸着角度の斜
め蒸着法を行なってもよい。本構成例においても用いら
れる液晶組成物と支持媒質の複合膜の作製方法として
は、液晶層中で液晶組成物が連続相をなすような複合膜
が作製可能な方法であればよく、前述の溶媒蒸発法、光
重合法、熱重合法等が挙げられる。本構成例において
は、複合膜形成試料(具体的には、溶媒蒸発法において
は液晶と樹脂とをこれらの共通溶媒体に溶解させた溶
液、光重合法においてはアクリルモノマー等の光重合性
物質と液晶と光重合開始剤の均一混合物、熱重合法にお
いてはエポキシ化合物等とその硬化剤と液晶の混合物)
を、上述の配向処理を施した一基板上あるいは両基板間
に、塗布あるいは封入するため、基板表面の配向規制手
段が前記複合膜形成試料に溶解したり侵されたりしない
ことが必要となる。上記溶解等が起こった場合、該配向
規制手段がその機能を失うほか、複合膜の作製にも悪影
響を与える場合がある。溶媒蒸発法の場合、光重合法お
よび熱重合法に比べて、材料選択の範囲が非常に大き
く、特にこの場合溶媒の選択自由度が大きいため、該配
向規制手段に影響を与えない複合膜形成試料を調製する
ことが容易であり、他の作製方法に比べて非常に有利で
ある。作製された複合膜は、対向基板を重ねあわせて外
周部を封止処理することによって素子を完成する。
【0008】本発明の液晶表示素子において用いられる
基板としては、ガラスのほかに、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリカーボネート、ポリエーテルサルフォン、
ポリアリレート等の透明なポリマーが挙げられる。透過
型の液晶表示素子では基板は2枚とも透明なものが必要
であるが、反射型の液晶表示素子では、場合により、一
方が透明であればよく他方は不透明でもよい。これら基
板には画素電極としてITO等の電極が設けられてお
り、少なくとも透明基板には透明電極が必要である。本
発明の液晶表示素子において用いることができる液晶組
成物は、複合膜の上記各作製方法において共通であり、
誘電異方性が正または負のネマティック液晶、スメクテ
ィック液晶、コレステリック液晶を例示できるが、これ
らのうち誘電異方性が正のネマティック液晶を特に好適
に用いる。液晶組成物に二色性色素を添加していわゆる
ゲスト−ホストモードとして用いることもできる。溶媒
蒸発法における微細構造体材料としては、ポリメチルメ
タクリレート、ポリジイソプロピルフマレート、ポリア
リレート、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネ
ート、エポキシ系樹脂、シロキサン系樹脂、ポリエーテ
ルサルフォン等通常の高分子化合物が例示される。該微
細構造体材料と液晶組成物との共通溶媒としては、ジエ
チルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ア
セトン等のケトン類、トルエン、クロロベンゼン等の芳
香族系溶媒、γ−ブチロラクトン、トリクロロエタン、
N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルホルムアミ
ド、N−メチルピロリドン、セルソルブ系、カルビトー
ル系、クロロホルム、酢酸アミル等が例示できる。光重
合法における微細構造体材料としては、不飽和ポリエス
テル/スチレン系樹脂、ポリエン/チオール系樹脂、エ
ポキシ/ルイス酸系樹脂、アクリレート系樹脂等の樹脂
が例示される。また光重合開始剤としてはアセトフェノ
ン、ベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、チオキサ
ントン等やこれらの誘導体が例示できる。熱重合法にお
ける微細構造体材料としては、熱硬化型エポキシ樹脂、
ポリビニルアルコール、二官能型光硬化アクリル樹脂等
の化合物が例示される。液晶層の厚みは小さすぎるとコ
ントラスト比が低下し、大きすぎると動作電圧が上昇し
てしまうため、4〜30μmの範囲が好ましく、5〜2
0μmの範囲がより好ましい。また液晶層中に占める微
細構造体(支持体)の体積分率は、小さすぎると均一な
微細構造体が得られにくくさらにコントラスト比の低下
を招き、大きすぎると液晶層中で液晶組成物が連続相を
なすような微細構造体が得られにくくさらに動作電圧の
上昇を招くため、5〜30%の範囲が好ましく、10〜
20%の範囲がより好ましい。上記液晶層の厚みは、複
合膜の上記各作製方法において、基板上への試料塗布条
件、あるいは基板間の空隙により制御することができ
る。また、液晶層中に占める微細構造体(支持体)の体
積分率は、複合膜の上記各作製方法において、試料の組
成等により制御することが可能である。
【0009】
【実施例】以下に実施例を示す。 実施例1 ポリジイソプロピルフマレートと誘電異方性が正のネマ
ティック液晶(E7、メルク社製)を質量比で20/8
0の割合で含むトルエン溶液(不揮発分濃度10%)
を、ドクターブレードを用いて透明電極付きのポリエー
テルサルフォンフィルムに塗布した。乾燥後の膜厚は5
μmであり、塗膜は良好な光散乱性を示した。走査型電
子顕微鏡による膜断面観察の結果、立体的に絡み合うよ
うな三次元網状組織が観察され、液晶部分は塗膜表面か
らその裏側まで貫通しており、液晶部分が連続相をなし
ている様子が確認された。この微細構造によって形成さ
れた網目に類似の構造の大きさはおよそ1μmであっ
た。この塗膜からヘキサンによって膜中の液晶を溶出
し、乾燥後、ポリアミドイミド系水平配向剤溶液(HL
−1110、日立化成工業製)を含浸させ、80℃で3
0分間加熱して乾燥させ、膜中の微細構造体表面に水平
配向処理を行なった。ネマティック液晶E7を再び含浸
させ、透明電極付きのポリエーテルサルフォンフィルム
を対向基板として重ね合わせ、外周部をエポキシ系の接
着剤でシール処理して液晶表示素子を完成した。完成後
の本素子の電圧無印加状態における透過率は約10%
(測定波長:550nm)であった。本素子の印加電圧
−透過率特性を、電圧走引範囲を0vから30v、走引
速度を0.2v/秒として、64Hzの矩形波を印加し
て測定した。透過率変化は25vでほぼ飽和し、このと
きの透過率は約83%であった。さらに測定後の電圧無
印加状態での透過率を測定したところ約10%であり、
測定前と同様であった。さらに、本素子に対して30v
の電圧を10分間印加し、電圧開放後の透過率を測定し
たが、透過率の上昇はみられず、光散乱性の減少はみら
らなかった。
【0010】比較例1 実施例1と同様の材料および工程により、溶媒蒸発法に
よる液晶分散膜を作製したが、本比較例においては実施
例1のような液晶の溶出および配向処理を行なわずに、
対向基板を重ね合わせて外周部をエポキシ系の接着剤で
シール処理して液晶表示素子を完成した。本素子の完成
後の透過率および、印加電圧−透過率特性の結果も実施
例1とほぼ同様であったが、測定後の電圧無印加状態で
の透過率を測定したところ約18%であり、光散乱性の
減少がみられた。さらに、本素子に対して30vの電圧
を10分間印加し、電圧開放後の透過率を測定したとこ
ろ、透過率はさらに25%まで上昇し、さらに光散乱性
が減少した。
【0011】実施例2 実施例1と同様の材料および工程により、溶媒蒸発法に
よる液晶分散膜を作製し、ヘキサンによって膜中の液晶
を溶出し、乾燥後、オクタデシルトリエトキシシラン系
垂直配向剤溶液(ODS−E、チッソ社製)を含浸さ
せ、80℃で1時間加熱して乾燥させ、膜中の微細構造
体表面に垂直配向処理を行なった。ネマティック液晶E
7を再び含浸させ、透明電極付きのポリエーテルサルフ
ォンフィルムを対向基板として重ね合わせ、外周部をエ
ポキシ系の接着剤でシール処理して液晶表示素子を完成
した。本素子の完成後の透過率および、印加電圧−透過
率特性の結果も実施例1とほぼ同様で、測定時の電圧印
加による、電圧開放後の透過率の上昇もみられなかっ
た。さらに30vの電圧を10分間印加しても、電圧開
放後の透過率の上昇はみられず、光散乱性の減少はみら
れなかった。
【0012】実施例3 基板として用いた2枚の透明電極付きのポリエーテルサ
ルフォンフィルムに、ポリアミドイミド系水平配向剤溶
液(HL−1110、日立化成工業製)をスピンコート
法により塗布し、100℃で30分間の熱処理により約
1000Åの配向膜を形成した。このうち1枚の基板上
に、実施例1と同様の材料及び工程により、溶媒蒸発法
による液晶分散膜を作製し、もう1枚の基板を重ね合わ
せて外周部をエポキシ系の接着剤でシール処理して液晶
表示素子を完成した。本素子の完成後の透過率および、
印加電圧−透過率特性の結果も実施例1とほぼ同様で、
測定時の電圧印加による、電圧開放後の透過率の上昇も
みられなかった。さらに30vの電圧を10分間印加し
ても、電圧開放後の透過率の上昇はみられず、光散乱性
の減少はみられなかった。
【0013】実施例4 基板として用いた透明電極付きのポリエーテルサルフォ
ンフィルムに、ポリアミドイミド系水平配向剤溶液(H
L−1110、日立化成工業製)をスピンコート法によ
り塗布し、100℃で30分間の熱処理により約100
0Åの配向膜を形成した。この基板上に実施例1と同様
の材料および工程により、溶媒蒸発法による液晶分散膜
を作製し、配向処理を施していない基板を重ね合わせて
外周部をエポキシ系の接着剤でシール処理して液晶表示
素子を完成した。本素子の完成後の透過率は約10%で
あり、印加電圧−透過率特性の結果は実施例1とほぼ同
様であったが、測定後の電圧無印加状態での透過率を測
定したところ約12%であり、光散乱性の若干の減少が
みられた。さらに、本素子に対して30vの電圧を10
分間印加し、電圧開放後の透過率を測定したところ、透
過率は12%のままであった。
【0014】実施例5 基板として用いた2枚の透明電極付きのポリエーテルサ
ルフォンフィルムに、オクタデシルトリエトキシシラン
系垂直配向剤溶液(ODS−E、チッソ社製)をスピン
コート法により塗布し、100℃で30分間の熱処理に
より垂直配向処理を施した。このうち1枚の基板上に、
実施例1と同様の材料および工程により、溶媒蒸発法に
よる液晶分散膜を作製し、もう1枚の基板を重ね合わせ
て外周部をエポキシ系の接着剤でシール処理して液晶表
示素子を完成した。本素子の完成後の透過率および、印
加電圧−透過率特性の結果も実施例1とほぼ同様で、測
定時の電圧印加による、電圧開放後の透過率の上昇もみ
られなかった。さらに30vの電圧を10分間印加し、
電圧解放後の透過率の上昇はみられず、光散乱性の減少
はみられなかった。
【0015】実施例6 日本化薬社製のプレポリマーKAYARAD HX−6
20に、メルク社製の光重合開始剤Darocur−1
173を3重量%添加して、光硬化性樹脂組成物を調製
した。基板として用いた2枚の透明電極付きのポリエー
テルサルフォンフィルムに、ポリアミドイミド系水平配
向剤溶液(HL−1110、日立化成工業製)をスピン
コート法により塗布し、100℃で30分間の熱処理に
より約1000Åの配向膜を形成し、6μmのスペーサ
を介して重ね合わせ、セルギャップが6μmの液晶セル
を作製した。メルク社製の液晶組成物BL−007と光
硬化性樹脂組成物を液晶組成物の割合が80重量%とな
るように混合し、液が均一となる温度まで加熱して液晶
セル中に注入した。これに、高圧水銀灯によって光照射
してプレポリマーを重合させることにより液晶組成物ポ
リマーを相分離させて液晶分散膜を有する液晶セルを作
製した。走査型電子顕微鏡による膜断面観察の結果、立
体的に絡み合うような三次元網状組織が観察され、液晶
部分は塗膜表面からその裏側まで貫通しており、液晶部
分が連続相をなしている様子が確認された。この微細構
造によって形成された網目に類似の構造の大きさはおよ
そ1μmであった。完成後の本素子の電圧無印加状態に
おける透過率は約15%(測定波長:550nm)であ
った。本素子の印加電圧−透過率特性を電圧走引範囲を
0vから30v、走引速度を0.2v/秒として、64
Hzの矩形波を印加して測定した。透過率変化は20v
でほぼ飽和し、このときの透過率は約81%であった。
さらに測定後の電圧無印加状態での透過率を測定したと
ころ約15%であり、測定前と同様であった。さらに、
本素子に対して30vの電圧を10分間印加し、電圧開
放後の透過率を測定したが、透過率の上昇はみられず、
光散乱性の減少はみられなかった。
【0016】実施例7 基板として用いた2枚の透明電極付きのポリエーテルサ
ルフォンフィルムに、ポリアミドイミド系水平配向剤溶
液(HL−1110、日立化成工業製)をスピンコート
法により塗布し、100℃で30分間の熱処理により約
1000Åの配向膜を形成し、6μmのスペーサを介し
て重ね合わせ、セルギャップが6μmの液晶セルを作製
した。エポキシ系樹脂Epon828と添加剤Capc
ure3−800、および液晶組成物(BL−007、
メルク社製)をそれぞれ10:10:80の重量比で混
合して、熱硬化性樹脂組成物を調製し、液晶セル中に注
入し、70℃で10分間の熱処理をすることにより、液
晶組成物とポリマーを相分離させて液晶分散膜を有する
液晶セルを作製した。走査型電子顕微鏡による膜断面観
察の結果、立体的に絡み合うような三次元網状組織が観
察され、液晶部分は塗膜表面からその裏側まで貫通して
おり、液晶部分が連続相をなしている様子が確認され
た。この微細構造によって形成された網目に類似の構造
の大きさはおよそ1μmであった。完成後の本素子の電
圧無印加状態における透過率は約13%(測定波長:5
50nm)であった。本素子の印加電圧−透過率特性
を、電圧走引範囲を0vから30v、走引速度を0.2
v/秒として、64Hzの矩形波を印加して測定した。
透過率変化は20vでほぼ飽和し、このときの透過率は
約79%であった。さらに測定後の電圧無印加状態での
透過率を測定したところ約13%であり、測定前と同様
であった。さらに、本素子に対して30vの電圧を10
分間印加し、電圧解放後の透過率を測定したが、透過率
の上昇はみられず、光散乱性の減少はみられなかった。
【0017】
【効果】本発明においては、液晶相を形成する、液晶組
成物と微細構造体からなる複合膜の該微細構造体−液晶
組成物界面は、少なくとも一方の基板表面に、液晶組成
物に対する配向規制手段を設けることにより、電圧印加
履歴による該界面近傍での非可逆的な配向状態の変化を
低減でき、電圧無印加時の光散乱の減少を防ぐことがで
きる。したがって、明るい表示が可能でコントラスト比
が大きく、しかも表示特性の経時的な変化がない、信頼
性に優れた液晶表示素子が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】液晶層の断面構造を模式的に示す図である。
【図2】微細構造体が存在せず、液晶組成物のみの部分
を有する液晶層の1例の断面構造を模式的に示す図であ
る。
【図3】微細構造体が存在せず、液晶組成物のみの部分
を有する液晶層の他の例の断面構造を模式的に示す図で
ある。
【図4】図2に示す液晶層に電圧を印加しない場合の該
液晶層の状態を示す図である。
【図5】図2に示す液晶層(誘電異方性が正)に電圧を
印加した場合の該液晶層の状態を示す図である。
【図6】図3に示す液晶層に電圧を印加した場合の該液
晶層の状態を示す図である。
【図7】微細構造体の表面(微細構造体−液晶組成物界
面)に配向規制手段を設けた液晶層の1例の断面構造を
模式的に示す図である。
【図8】微細構造体の表面(微細構造体−液晶組成物界
面)に配向規制手段を設けた液晶層に電圧を印加した場
合の液晶組成物の配向状態を示す図である。
【図9】微細構造体の表面(微細構造体−液晶組成物界
面)を垂直方向処理をした液晶層の電圧無印加時の状態
を示す図である。
【図10】図9の液晶層(誘電異方性が正)に電圧を印
加した場合の該液晶層の状態を示す図である。
【図11】基板表面に液晶組成物に対する配向規制手段
が設けられている本発明の液晶表示素子の層構成を示し
た図である。
【図12】基板表面を水平配向処理した場合の液晶層の
電圧無印加時の状態を示した図である。
【図13】基板表面を垂直配向処理した場合の液晶層の
電圧無印加時の状態を示した図である。
【符号の説明】
1 透明電極 2 基板 3 液晶層 4 微細構造体 5 液晶組成物 6 配向規制手段

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一方が透明性を有する対向配
    置された一対の電極付き基板、該基板間に挾持された液
    晶層、および該液晶層として液晶組成物と支持媒質とか
    らなる複合膜を有する液晶表示装置において、前記液晶
    層中で液晶組成物が実質的に連続相であり、かつ前記支
    持体媒質と液晶組成物界面又は前記対向基板の少なくと
    も一方に、液晶組成物に対する配向規制手段が設けられ
    ていることを特徴とする液晶表示素子。
  2. 【請求項2】 前記配向規制手段が、液晶組成物に対す
    る水平配向処理剤又は垂直配向処理剤である請求項1記
    載の液晶表示素子。
  3. 【請求項3】 少なくとも一方が透明性を有する一対の
    電極付き基板の一方あるいは双方の表面に、液晶組成物
    に対する配向規制手段の層を設け、該基板上に液晶組成
    物と樹脂の溶液を塗布および生成した塗布層より溶媒を
    除去させ液晶組成物と樹脂の複合膜を形成させ、次に、
    基板同士を貼り合わせることを特徴とする請求項1また
    は2記載の液晶表示素子の製造法。
  4. 【請求項4】 少なくとも一方が透明性を有する一対の
    電極付き基板の一方あるいは双方の表面に、液晶組成物
    に対する配向規制手段の層を設け、あるいは設けること
    なく、該基板上に液晶組成物と樹脂の溶液を塗布および
    生成した塗布層より溶媒を除去させ液晶組成物と樹脂の
    複合膜を形成させ、次に、該複合膜より液晶組成物を除
    去した後、支持媒質面に配向規制手段を行い、再度、液
    晶組成物を複合膜に注入し、次いで、基板同士を貼り合
    わせることを特徴とする請求項1または2記載の液晶表
    示素子の製造法。
  5. 【請求項5】 少なくとも一方が透明性を有する一対の
    電極付き基板の一方あるいは双方の表面に、液晶組成物
    に対する配向規制手段の層を設け、該一対の基板により
    液晶セルを作製し、該液晶セルに液晶組成物と支持媒質
    からなる複合膜を形成することのできる材料を注入し、
    次いで、光重合法あるいは熱重合法によって液晶層中で
    液晶組成物が実質的に連続相の状態にある液晶層を形成
    することを特徴とする請求項1または2記載の液晶表示
    素子の製造法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015184471A (ja) * 2014-03-24 2015-10-22 大日本印刷株式会社 表示装置
JP2015215568A (ja) * 2014-05-13 2015-12-03 大日本印刷株式会社 機器
JP2015215569A (ja) * 2014-05-13 2015-12-03 大日本印刷株式会社 ヘイズ切替えパネルを備えた機器
CN112014996A (zh) * 2020-09-16 2020-12-01 太原工业学院 一种实验中制备聚合物分散液晶制备方法

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