以下、図面を参照して本発明のいくつかの実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺及び縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
(第1の実施の形態)
図1〜図6は、本発明による第1の実施の形態を説明するための図である。図1〜図6に示すように、機器は、機器本体と、機器本体を収容する筐体と、を有している。筐体は、高ヘイズ状態と低ヘイズ状態とを切替え可能なヘイズ切替えパネルを含んでいる。詳しくは後述するように、ヘイズ切替えパネルを高ヘイズ状態と低ヘイズ状態とで切り替えることにより、筐体を開放することなく筐体の内部の状態を確認することが可能となる。また、機器は、機器本体の状態を検出可能な制御部を、さらに有している。
第1の実施の形態では、コンピュータ10が機器を構成する例について説明する。この第1の実施の形態では、ヘイズ切替えパネル40によって一部を形成された筐体20が、機器本体をなすコンピュータ本体部11を収容する。
添付図面のうち、図1は、コンピュータ10の筐体20のヘイズ切替えパネル40が高ヘイズ状態にあるコンピュータ10を示す図であり、図2は、図1のヘイズ切替えパネル40が低ヘイズ状態にあるコンピュータ10を示す図である。図3は、本発明のヘイズ切替えパネル40の一例を示す断面図であって、電圧を印加していない状態のノーマルモード型のヘイズ切替えパネル40を示す断面図であり、図4は、電圧を印加している状態にて、図3のヘイズ切替えパネル40を示す断面図であり、図5は、本発明のヘイズ切替えパネル40の他の例を示す断面図であって、電圧を印加していない状態のリバースモード型のヘイズ切替えパネル40を示す断面図であり、図6は、電圧を印加している状態にて、図5のヘイズ切替えパネル40を示す断面図である。以下、機器をなすコンピュータ本体部11、筐体20及び制御部30について、順に説明する。
図1及び図2に示された第1の実施の形態において、コンピュータ本体部11は、メイン基板12、電源ユニット13、CDドライブ、DVDドライブ、ブルーレイ(登録商標)ディスクドライブ等の光学ドライブ14、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)等の記憶装置15、排気ファン16等を有している。前記メイン基板12には、中央処理装置(CPU)17、主記憶装置(メモリ)、ビデオカード、サウンドカード等の拡張カード18が装着されている。
次に、筐体20について説明する。上述したように、筐体20は、機器本体を収容する。コンピュータ本体部11が機器本体を構成する図示された例において、コンピュータ本体部11をなすメイン基板12、電源ユニット13、光学ドライブ14及び記憶装置15が、前記筐体20に取り付けられ、筐体20に保持されている。筐体20の前面には、光学ドライブ14の挿入部や、USB端子、ヘッドホン端子のための開口部が設けられ、後面には、電源ユニット13や各拡張カード18へケーブルを接続するための開口、及び、排気ファン16からの排気を外部に排出するための排気口が設けられている。
筐体20内部へのアクセスを可能にするために、筐体20の一部に、筐体20の他の部から着脱可能とされた着脱部材、又は、開閉可能とされた開閉部材が設けられている。例えば筐体20の側面を着脱部材又は開閉部材が形成するようにしてもよい。
また、筐体20のいずれかの面には、少なくともその一部にヘイズ切替えパネル40が設けられている。ヘイズ切替えパネル40は、筐体20のいずれかの面の全体に設けられていてもよいし、いずれかの面の一部に設けられていてもよい。また、筐体20の1面だけでなく複数面に設けられていてもよい。さらに、ヘイズ切替えパネル40が、上述した筐体20の着脱部材又は開閉部材をなすようにしてもよいし、筐体20の着脱部材又は開閉部材以外の部分をなすようにしてもよい。図示された第1の実施の形態では、一例として、筐体20の左側面が着脱部材21となっており、この着脱部材21がヘイズ切替えパネル40によって形成されている。すなわち、この例において、ヘイズ切替えパネル40は、筐体20の他の部分から取り外し可能となっている。
次に、ヘイズ切替えパネル40についてさらに詳しく説明する。ヘイズ切替えパネル40は、ヘイズ値〔%〕が変化するパネル状の部材である。ヘイズ値は、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、製品番号;HM−150)を用いてJIS K7136に準拠した方法により測定することができる。
ヘイズ切替えパネル40は、ヘイズ値が変化する種々のパネル状の部材を用いて形成され得る。第1の実施の形態の筐体20において、ヘイズ切替えパネル40は、高ヘイズ状態でコンピュータ10内部が見えなくなること、言い換えると、筐体20の内部に収容されたコンピュータ本体部11を隠蔽することを意図されている。したがって、高ヘイズ状態におけるヘイズ切替えパネル40のヘイズ値は、90%以上となっていることが好ましい。その一方で、ヘイズ切替えパネル40は、低ヘイズ状態でコンピュータ10内部の視認性を害さないことを意図されている。さらに詳しくは、低ヘイズ状態にあるヘイズ切替えパネル40は、当該ヘイズ切替えパネル40を介した筐体20内部の視認を可能にすることを意図されている。したがって、低ヘイズ状態におけるヘイズ切替えパネル40のヘイズ値は、10%以下となっていることが好ましい。
ヘイズ値の切り換えを可能とするヘイズ切替えパネル40として、電圧を印加しているか否かに応じてヘイズ値が変化する部材を例示することができる。図3〜図6には、電圧印加の有無に応じて高ヘイズ状態と低ヘイズ状態とを切替え可能なヘイズ切替えパネル40として、ポリマーネットワーク型液晶(PNLC)が例示されている。このうち、図3及び図4に示されたヘイズ切替えパネル40は、ノーマルモード型と呼ばれるタイプであり、図5及び図6に示されたヘイズ切替えパネル40は、リバースモード型と呼ばれるタイプである。
図3及び図4に示されたノーマルモード型のヘイズ切替えパネル40は、互いに対向して配置された第1基材41及び第2基材42と、一対の基材間に配置され且つ対応する側の基材にそれぞれ積層されている第1電極43及び第2電極44と、一対の電極間に配置されたポリマーネットワーク48及び液晶材料49と、を有している。一対の基材は、可視光透過性を有しており、筐体20の内部に配置されたコンピュータ本体部11の視認を可能にする。同様の理由から、一対の電極も可視光透過性を有している。一対の基材は、例えば、透明なガラスや樹脂フィルムを用いて形成される。また、一対の電極は、酸化インジウム錫(ITO)等の透明導電性材料を用いて形成される。
一方、図5及び図6に示されたリバースモード型のヘイズ切替えパネル40は、一対の電極間に配置された一対の配向膜45,46を更に有している。第1配向膜45は、第1電極43に積層され、第2配向膜46は、第2電極44に積層されている。ポリマーネットワーク48及び液晶材料49は、一対の配向膜45,46の間に配置されている。配向膜45,46は、いわゆる垂直配向膜であり、液晶分子50の長手方向が配向膜45,46の法線方向に沿うように、当該液晶分子50を配向する。
ポリマーネットワーク48は、三次元の網目状に、言い換えると、スポンジ状に形成されている。ポリマーネットワーク48は、その内部に多数の空隙を形成している。この空隙内に液晶材料49が設けられている。ポリマーネットワーク48は、樹脂材料の硬化物から形成される。一方、液晶材料49は、長手方向を有する液晶分子50を含んだ液状の材料である。液晶分子50は、その形状に対応した屈折率異方性を有している。すなわち、液晶分子50の長手方向に直交する方向での屈折率と、液晶分子50の長手方向に平行な方向での屈折率とは異なる。
一例として、図3〜図6に示されたヘイズ切替えパネル40では、液晶分子50が配向されている状態(図4及び図5)において、液晶分子50の屈折率とポリマーネットワーク48の屈折率とが揃う。この状態において、ヘイズ切替えパネル40へ入射した光は、進行方向を大きく曲げることなく、ヘイズ切替えパネル40を透過することができる。すなわち、液晶分子50が配向されている状態において、ヘイズ切替えパネル40は低ヘイズ状態となる。この状態において、ヘイズ切替えパネル40は透明又は透明に近い状態となり、このヘイズ切替えパネル40越しにコンピュータ10内を観察することができる。
一方、図3〜図6に示されたヘイズ切替えパネル40において、液晶材料49の液晶分子50が配向されていない状態(図3及び図6)では、液晶分子50の長手方向の向きが、当該液晶分子50の近傍に位置するポリマーネットワーク48にも依存して、不規則的となる。この状態において、ヘイズ切替えパネル40へ入射した光は、進行方向を大きく曲げられて拡散する。すなわち、液晶分子50が配向されていない状態において、ヘイズ切替えパネル40は高ヘイズ状態となる。このとき、ヘイズ切替えパネル40は白濁した状態となり、このヘイズ切替えパネル40によってコンピュータ10内が不可視状態となる。
図3及び図4に示されたノーマルモード型のヘイズ切替えパネル40では、ポジ型の液晶分子50が使用される。図3に示されたスイッチ51が開いた状態(切れた状態)において、液晶分子50の向きは不規則となっている。したがって、ノーマルモード型のヘイズ切替えパネル40は、電圧が印加されていない状態において、白濁して筐体20の内部に配置されたコンピュータ本体部11を不可視状態にすることができる。一方、図4に示すように、スイッチ51が閉じた状態(入った状態)において、液晶分子50は配向されるようになる。したがって、ノーマルモード型のヘイズ切替えパネル40は、電圧を印加された状態で透明又は透明に近い状態となり、観察者は、このヘイズ切替えパネル40を介して筐体20の内部に配置されたコンピュータ本体部11を観察することができる。
図5及び図6に示されたリバースモード型のヘイズ切替えパネル40では、ネガ型の液晶分子50が使用される。図5に示されたスイッチ51が開いた状態(切れた状態)において、液晶分子50は、一対の配向膜45,46の配向作用により垂直配向される。したがって、リバースモード型のヘイズ切替えパネル40は、電圧を印加されていない状態で、透明又は透明に近い状態となり、観察者は、このヘイズ切替えパネル40を介して筐体20の内部に配置されたコンピュータ本体部11を観察することができる。一方、図6に示すように、スイッチ51が閉じた状態(入った状態)において、ネガ型の液晶分子50の向きは不規則となる。したがって、リバースモード型のヘイズ切替えパネル40は、電圧が印加されている状態において、白濁して筐体20の内部に配置されたコンピュータ本体部を不可視状態とする。
ところで、液晶材料49が二色性色素を有するようにしてもよい。二色性色素は、液晶分子50と同様に、長手方向を有するとともに、電圧印加の有無に応じてその向きを変化させる。そして、二色性色素は、その向きに応じて色味を有するようになる。このため、ヘイズ切替えパネル40は、低ヘイズ状態において無色透明又は無色透明に近い状態に維持され、その一方で、高ヘイズ状態においては、単なる白濁ではなく、所定の色味を有しながら不可視状態とすることができる。ここで所定の色味を、筐体20の他の部分(ヘイズ切替えパネル40が設けられていない部分)と同様の色にすると、ヘイズ切替えパネル40の部分だけ筐体20の他の部分と外観が異なることを防ぐことができる。また、低ヘイズ状態にあるヘイズ切替えパネル40の色味が筐体20の他の部分の色味と異なるようにして、コンピュータ10に意匠性を積極的に付与してもよい。二色性色素として、例えば特開2007−009120号公報や特開2011−246411号公報に開示されているような種々の公知なものを用いることができる。
以上のようなヘイズ切替えパネル40は、一例として次のようにして作製することができる。まず、一対の基材41,42、電極43,44及び配向膜45,46の間に、ポリマーネットワーク48をなすようになる未硬化状態の樹脂組成物を液体状態の液晶材料49とともに配置する。この状態から、未硬化状態の樹脂組成物を硬化させる。この際の硬化速度を調整することにより、樹脂組成物及び液晶材料49が、それぞれある程度凝集する。これにより、液晶材料49がある程度分散して配置される一方で、三次元網目状(スポンジ状)のポリマーネットワーク48が形成されるようになる。なお、ポリマーネットワーク48をなすようになる樹脂組成物は、一例として、光を照射されることによって硬化する光硬化型樹脂とすることができる。光硬化型樹脂を用いた場合、樹脂組成物に照射する光量を調整することにより、液晶材料49の分散を調整することができる。
次に制御部30について説明する。上述したように、制御部30は、機器本体をなすコンピュータ本体部11の状態を検出可能となっている。ここで、制御部30が検出可能なコンピュータ本体部11の状態とは、コンピュータ本体部11が正常に稼働している状態、コンピュータ本体部11が故障している状態、さらには、コンピュータ本体部11が正常に稼働しているが温度上昇等の状態変化を生じている状態等を例示することができる。
ヘイズ切替えパネル40のヘイズ状態の切替えは、コンピュータ本体部11の状態に応じて自動的に行われることが好ましい。具体的には、機器本体をなすコンピュータ本体部11が正常状態にある場合、当該コンピュータ10のデザイン性を損なわないよう、ヘイズ切替えパネル40を高ヘイズ状態に維持することが好ましい。その一方で、制御部30がコンピュータ本体部11の故障や異常を検知した場合には、ヘイズ切替えパネル40を低ヘイズ状態に切替えるようにすると、故障や異常時に筐体20の一部を外したり開けたりしなくてもコンピュータ本体部11を観察することができるようになる。そこで、第1の実施の形態において、制御部30は、コンピュータ本体部11の状態に応じて、ヘイズ切替えパネル40を低ヘイズ状態から高ヘイズ状態へ、又は、低ヘイズ状態から高ヘイズ状態へ切り替えることができる。
ただし、ヘイズ切替えパネル40のヘイズ状態の切替えは、制御部30が検出したコンピュータ本体部11の状態に応じて行う以外に、手動スイッチを用いて行ってもよい。さらには、ヘイズ切替えパネル40のヘイズ状態の切替えは、コンピュータ10に接続されたキーボードやマウスからの入力により行ってもよく、また、ネットワーク接続された他のコンピュータやサーバからの命令により行ってもよい。
次に、以上のような筐体20の作用を説明する。
一例として、制御部30でコンピュータ10の状態を検出し、制御部30で検出したコンピュータ10の状態に応じて、ヘイズ切替えパネル40を高ヘイズ状態と低ヘイズ状態に切替えるものについて説明する。
制御部30は、コンピュータ10の状態を常時監視する。コンピュータ10が通常の状態、すなわち、制御部30で故障や異常等を検知していない間は、制御部30はヘイズ切替えパネル40を高ヘイズ状態に維持する。ノーマルモード型のヘイズ切替えパネル40を用いている場合には、一対の電極間に電圧が印加されていない状態、リバースモード型のヘイズ切替えパネル40を用いている場合には、一対の電極間に電圧が印加されている状態に維持する。
高ヘイズ状態においては、ヘイズ切替えパネル40が透過光を散乱させるため、コンピュータ10内部がヘイズ切替えパネル40越しに観察されづらくなる。したがって、筐体20全体のデザイン性を損なうことがない。
制御部30で故障や異常等を検知した場合には、制御部30はヘイズ切替えパネル40を高ヘイズ状態から低ヘイズ状態に切替える。ノーマルモード型のヘイズ切替えパネルを用いている場合には、一対の電極間に電圧を印加されている状態、リバースモード型のヘイズ切替えパネルを用いている場合には、一対の電極間に電圧が印加されていない状態に切替える。なお、制御部30で故障や異常等を検知している状態よりも、通常状態の方が長時間であるので、全体の消費電力を抑えるためには、ノーマルモード型のヘイズ切替えパネルを用いる方が有利である。
コンピュータ10の使用者や管理者は、低ヘイズ状態に切替えられたヘイズ切替えパネル40を通してコンピュータ10内を観察し、修理や部品交換等の要否を判断する。修理等が必要と判断されれば、筐体20の着脱部材を取り外し、又は、開閉部材を開いて、修理等を行う。
これにより、筐体20を開けることなく、故障や異常の箇所、部品の状態等の確認を行うことができるので、簡単かつ迅速に修理等の必要性を判断することができる。また、故障や異常の箇所、部品の状態等の確認の際には筐体20を開ける必要がないので、筐体20を開けることで外部から粉塵等の異物が入り込むことを防ぐことができる。
この例では、制御部30で故障や異常等を検知した場合にヘイズ切替えパネル40を高ヘイズ状態から低ヘイズ状態に切替えたが、他にも、制御部30でコンピュータ10の電源のオン/オフの状態を検知し、電源のオン/オフに応じてヘイズ切替えパネル40の高ヘイズ状態と低ヘイズ状態とを切替えてもよい。例えば、コンピュータ10の電源がオンになるとヘイズ切替えパネル40を低ヘイズ状態とし、電源がオフになるとヘイズ切替えパネル40を高ヘイズ状態とするようにすると、稼働中のコンピュータ10の内部の状態が観察しやすい。なお、この場合も、コンピュータ停止中の電力消費を抑えるため、ノーマルモード型のヘイズ切替えパネルを用いることが好ましい。
また、この例では、制御部30で検知したコンピュータ本体部11の状態に応じて、ヘイズ切替えパネル40の高ヘイズ状態と低ヘイズ状態とを切替えたが、手動スイッチ、当該コンピュータ10に接続されたキーボードやマウス等による入力、ネットワーク接続された他のコンピュータやサーバからの命令により、ヘイズ切替えパネル40の高ヘイズ状態と低ヘイズ状態とを切替えてもよい。
さらに、ヘイズ切替えパネル40を高ヘイズ状態から低ヘイズ状態に切替えるとともに、当該コンピュータ10、あるいはネットワーク接続された他のコンピュータやサーバにアラーム等の報知を行ったり、ヘイズ切替えパネル40を高ヘイズ状態から低ヘイズ状態に切替えるとともに、筐体20内の照明を点灯したりしてもよい。
以上に説明したように、第1の実施の形態において、機器は、機器本体と、機器本体を収容する筐体20と、を備え、筐体20は、高ヘイズ状態と低ヘイズ状態とを切替え可能なヘイズ切替えパネル40を含んでいる。第1の実施の形態によれば、筐体20を開けることなく、故障や異常の箇所、部品の状態等の確認を行うことができるので、簡単かつ迅速に修理等の必要性を判断することができる。また、故障や異常の箇所、部品の状態等の確認の際には筐体20を開ける必要がないので、筐体20を開けることで外部から粉塵等の異物が入り込むことを防ぐことができる。
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。ここでは第1の実施の形態と異なる点についてのみ説明し、他の点については第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
図7及び図8は、本発明による第2の実施の形態を説明するための図である。図7及び図8に示すように、機器システムは、複数の機器と、複数の機器と接続される制御装置とを備えている。機器は、上述の第1の実施の形態と同様にコンピュータ10から構成されている。一例として、制御装置60は、各コンピュータ10に設けられた制御部30と接続されている。
図7は、複数のコンピュータ10のそれぞれのヘイズ切替えパネル40が高ヘイズ状態にあるものを示す図であり、図8は、図7の複数のコンピュータ10のうち、例として、中央のコンピュータ10のヘイズ切替えパネル40のみが低ヘイズ状態にあるものを示す図である。
図7及び図8に示された第2の実施の形態において、制御装置60は、各制御部30を通して、各コンピュータ10の状態を監視する。各コンピュータ10が通常の状態、すなわち、制御装置60で故障や異常等を検知していない間は、図7に示すように、制御装置60は各コンピュータ10のヘイズ切替えパネル40を高ヘイズ状態に維持する。
いずれかのコンピュータ10で故障や異常が発生した場合、当該コンピュータ10の制御部30は、制御装置60に対してその旨を通知する。制御装置60は通知を受けると、当該コンピュータ10の制御部30に対して、ヘイズ切替えパネル40を高ヘイズ状態から低ヘイズ状態に切替えるよう命令する。制御部30はこの命令を受けて、ヘイズ切替えパネル40を高ヘイズ状態から低ヘイズ状態に切替える。
したがって、複数のコンピュータ10のうち、故障や異常が発生したコンピュータ10のヘイズ切替えパネル40だけが低ヘイズ状態となる。例として、図8に、3台のコンピュータ10のうち中央のコンピュータ10に故障や異常が発生し、中央のコンピュータ10のヘイズ切替えパネル40だけを低ヘイズ状態としたものを示す。これにより、複数のコンピュータ10のうちどのコンピュータ10に故障や異常が発生したのかが一目でわかるようになり、管理者や係員がコンピュータの配置図を見なくても、迅速に故障や異常が発生したコンピュータ10を特定することができる。
この実施の形態では、いずれかのコンピュータ10で故障や異常が発生した場合に、当該コンピュータ10の制御部30が、制御装置60に対してその旨を通知するようにしたが、これに限らず、制御装置60が所定の時間間隔で各制御部30に問い合わせを行い、それに対して各制御部30が各コンピュータ10の状態を制御装置60に通知するようにしてもよい。
また、各コンピュータ10の制御部30は、拡張カード18の1つとしてメイン基板12に装着するようにしてもよい。
以上に説明したように、第2の実施の形態において、機器システムは、複数の機器と、各機器の状態を検出可能な制御装置60と、を備え、各機器は、機器本体と、前記機器本体を収容する筐体20と、を有し、前記筐体20は、高ヘイズ状態と低ヘイズ状態とを切替え可能なヘイズ切替えパネル40を含み、前記制御装置60は、それぞれの機器の状態に応じて、各機器の前記ヘイズ切替えパネル40の高ヘイズ状態と低ヘイズ状態とを切替える。第2の実施の形態によれば、複数の機器のうち、故障や異常が発生した機器のヘイズ切替えパネル40だけを低ヘイズ状態に切替えることが可能となる。この場合、複数の機器のうちどの機器に故障や異常が発生したのかが一目でわかるようになり、管理者や係員が機器の配置図を見なくても、迅速に故障や異常が発生した機器を特定することができる。
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。ここでは第1の実施の形態と異なる点についてのみ説明し、他の点については第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
図9及び図10は、本発明による第3の実施の形態を説明するための図である。図9及び図10に示すように、機器は、機器本体と、機器本体を収容する筐体と、を有している。筐体は、高ヘイズ状態と低ヘイズ状態とを切替え可能なヘイズ切替えパネルを含んでいる。以下に詳述する機器では、ヘイズ切替えパネルを高ヘイズ状態と低ヘイズ状態とで切り替えることにより、筐体を開放することなく筐体の内部の状態を確認することが可能となる。また、機器は、機器本体の状態を検出可能な制御部を、さらに有する。
第3の実施の形態では、機器をなす工場等の屋根73に設置された排気装置70について説明する。この第3の実施の形態では、ヘイズ切替えパネルによって一部を形成された筐体80が、機器本体をなす排気ファン71を収容する。
図9及び図10に示された第3の実施の形態において、排気装置70が機器をなしている。排気装置70は、工場等の内部の空気や、製品の製造工程で排出される気体等を外部に排気するためのものであって、この例では工場の屋根73に設置されている。工場内の各部屋や製造装置からの排気を排気ダクトを通じて集気し、集塵装置、有害物質の除去装置等を経て排気装置70で外部に排出する。
図9は、ヘイズ切替えパネルが高ヘイズ状態にある排気装置70を示す図であり、図10は、図9のヘイズ切替えパネルが低ヘイズ状態にある排気装置70を示す図である。以下、機器を構成する排気ファン71、筐体80及び制御部90について順に説明する。
図9及び図10に示された第3の実施の形態において、排気ファン71が機器本体をなしている。排気ファン71としては、プロペラファン、シロッコファン、ターボファン、クロスフローファン等、様々なものが使用できる。
次に筐体80について説明する。上述したように、筐体80は機器本体を収容する。排気ファン71が機器本体を構成する図示された例において、筐体80下部の内側に排気ファン71が設置されている。筐体80上部には、排気ファン71から排出された排気を外部へ放出するための排出口72が設けられている。
筐体80内部へのアクセスを可能にするために、筐体80の一部に、筐体80の他の部分から着脱可能とされた着脱部材、又は、開閉可能とされた開閉部材が設けられている。例えば排気ファン71を収容している筐体80下部側面を着脱部材又は開閉部材が形成するようにしてもよい。
また、筐体80のいずれかの面には、少なくともその一部にヘイズ切替えパネルが設けられている。ヘイズ切替えパネルは、筐体80のいずれかの面の全体に設けられていてもよいし、いずれかの面の一部に設けられていてもよい。また、筐体80の1面だけでなく複数面に設けられていてもよい。さらに、ヘイズ切替えパネルが、上述した筐体80の着脱部材又は開閉部材をなすようにしてもよいし、筐体80の着脱部材又は開閉部材以外の部分をなすようにしてもよい。図示された第3の実施の形態では、一例として、筐体80下部の面81,82がヘイズ切替えパネル100,101によって形成されており、ヘイズ切替えパネル100,101によって形成された筐体80下部の面81,82の一部がヘイズ切替えパネル100,101によって形成されている。すなわち、この例において、ヘイズ切替えパネルは、開閉部材、及び開閉部材以外の部分の両方に設けられている。ヘイズ切替えパネル100,101としては、第1の実施の形態と同様のものを用いることができる。
次に制御部90について説明する。制御部90は、機器本体をなす排気ファン71の状態を検出可能となっている。ここで、制御部90が検出可能な排気ファン71の状態とは、排気ファン71が正常に稼働している状態、排気ファン71が故障している状態、さらには、排気ファン71が正常に稼働しているが回転数変動等の状態変化を生じている状態等を例示することができる。
一方、ヘイズ切替えパネル100,101のヘイズ状態の切替えは、排気ファン71の状態に応じて自動的に行われることが好ましい。具体的には、機器本体をなす排気ファン71が正常状態にある場合、外観を損なわないことや、セキュリティ低下の防止、機器内部の部品の保護のために、ヘイズ切替えパネル100,101を高ヘイズ状態に維持することが好ましい。その一方で、制御部90が排気ファン71の故障や異常を検知した場合には、ヘイズ切替えパネル100,101を低ヘイズ状態に切替えるようにすると、故障や異常時に筐体80の一部を外したり開けたりしなくても排気ファン71を観察することができるようになる。そこで、第3の実施の形態において、制御部90は、排気ファン71の状態に応じて、ヘイズ切替えパネル100,101を低ヘイズ状態から高ヘイズ状態へ、又は、低ヘイズ状態から高ヘイズ状態に切り替えることができる。
ただし、ヘイズ切替えパネル100,101のヘイズ状態の切替えは、制御部90が検出した排気ファン71の状態に応じて行う以外に、スイッチを操作することにより行ってもよい。さらには、ヘイズ切替えパネル100,101のヘイズ状態の切替えは、有線又は無線で接続されたコンピュータやサーバからの命令により行ってもよい。
図9及び図10に示された第3の実施の形態において、制御部90は、排気ファン71の状態を常時監視する。排気ファン71が通常の状態、すなわち、制御部90で故障や異常等を検知していない間は、制御部90はヘイズ切替えパネル100,101を高ヘイズ状態に維持する。
高ヘイズ状態においては、ヘイズ切替えパネル100,101が透過光を散乱させるため、排気装置70内部がヘイズ切替えパネル100,101越しに観察されづらくなる。したがって、筐体80全体の外観を損なうことがない。また、セキュリティの低下や、紫外線や熱線による機器内部の装置や部品への悪影響を抑制することができる。
制御部90で排気ファン71の故障や異常等を検知した場合には、制御部90はヘイズ切替えパネル100,101を高ヘイズ状態から低ヘイズ状態に切替える。工場の管理者や作業員は、低ヘイズ状態に切替えられたヘイズ切替えパネル100,101を通して排気装置70内を観察し、修理や部品交換等の要否を判断する。修理等が必要と判断されれば、筐体80の着脱部材を取り外し、又は、開閉部材を開いて、修理等を行う。
これにより、筐体80を開けることなく、故障や異常の箇所、部品の状態等の確認を行うことができるので、簡単かつ迅速に修理等の必要性を判断することができる。また、故障や異常の箇所、部品の状態等の確認の際には筐体80を開ける必要がないので、筐体80を開けることで外部から粉塵等の異物が入り込むことや、外部へ粉塵等の異物が流れ出ることを防ぐことができる。
以上の例では、制御部90で故障や異常等を検知した場合にヘイズ切替えパネル100,101を高ヘイズ状態から低ヘイズ状態に切替えたが、他にも、制御部90で排気ファン71の稼働/停止の状態を検知し、排気ファン71の稼働/停止に応じてヘイズ切替えパネル100,101の高ヘイズ状態と低ヘイズ状態とを切替えてもよい。例えば、排気ファン71が稼働するとヘイズ切替えパネル100,101を低ヘイズ状態とし、排気ファン71が停止するとヘイズ切替えパネル100,101を高ヘイズ状態とするようにすると、稼働中の排気ファン71の状態が観察しやすい。
また、ヘイズ切替えパネル100,101を高ヘイズ状態から低ヘイズ状態に切替えるとともに、有線又は無線で接続されたコンピュータやサーバにアラーム等の報知を行ったり、ヘイズ切替えパネル100,101を高ヘイズ状態から低ヘイズ状態に切替えるとともに、報知ランプや筐体80内の照明を点灯したりしてもよい。
なお、筐体80の一部を常に透明(低ヘイズ)材料で形成すると、特に第3の実施形態のような屋外に設置する機器では、透明(低ヘイズ)材料を通して常に内部が見えてしまうことになり、セキュリティの面で好ましくない。また、屋外設備の場合、機器内部に常に太陽光が照射されることになり、太陽光に含まれる紫外線や熱線により機器内部の装置や部品に悪影響を及ぼす可能性がある。さらに、透明(低ヘイズ)材料で形成した部分は、常に外部から機器内の部品や配線、塵埃等が観察されることになり、デザイン性に劣るという欠点も有する。
以上に説明したように、第3の実施の形態において、機器は、機器本体と、機器本体を収容する筐体80と、を備え、筐体80は、高ヘイズ状態と低ヘイズ状態とを切替え可能なヘイズ切替えパネル100,101を含んでいる。第3の実施の形態によれば、筐体80を開けることなく、故障や異常の箇所、部品の状態等の確認を行うことができるので、簡単かつ迅速に修理等の必要性を判断することができる。また、故障や異常の箇所、部品の状態等の確認の際には筐体80を開ける必要がないので、筐体80を開けることで外部から粉塵等の異物が入り込むことや、外部へ粉塵等の異物が流れ出ることを防ぐことができる。
機器本体が通常状態にあるときには、ヘイズ切替えパネル100,101を高ヘイズ状態とすることができるので、この場合には、常に機器内部が見えてしまうことを防止でき、セキュリティが向上する。また、機器内部に常に太陽光が照射されることがないので、太陽光に含まれる紫外線や熱線による機器内部の装置や部品への悪影響を抑制できる。さらに、常に外部から機器内の部品や配線、塵埃等が観察されることがなく、デザイン性が向上する。
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態について説明する。ここでは第1〜第3の実施の形態と異なる点についてのみ説明し、他の点については第1〜第3の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
図11及び図12は、本発明による第4の実施の形態を説明するための図である。図11及び図12に示すように、機器システムは、複数の機器と、複数の機器と接続される制御装置とを備えている。機器は、上述の第3の実施の形態と同様に排気装置から構成されている。一例として、制御装置110は、各排気装置75,76に設けられた制御部91,92と接続されている。
図11は、複数の排気装置75,76のそれぞれのヘイズ切替えパネル100,101が高ヘイズ状態にあるものを示す図であり、図12は、図11の複数の排気装置75,76のうち、例として、手前の排気装置75のヘイズ切替えパネル100,101のみが低ヘイズ状態にあるものを示す図である。
図11及び図12に示された第4の実施の形態において、制御装置110は、各制御部91,92を通して、各排気ファン71の状態を監視する。各排気ファン71が通常の状態、すなわち、制御装置110で故障や異常等を検知していない間は、図11に示すように、制御装置110は各排気装置75,76のヘイズ切替えパネル100,101を高ヘイズ状態に維持する。
一例として、排気装置75の排気ファン71で故障や異常が発生した場合、排気装置75の制御部91は、制御装置110に対してその旨を通知する。制御装置110は通知を受けると、当該排気装置75の制御部91に対して、ヘイズ切替えパネル100,101を高ヘイズ状態から低ヘイズ状態に切替えるよう命令する。制御部91はこの命令を受けて、図12に示すように、ヘイズ切替えパネル100,101を高ヘイズ状態から低ヘイズ状態に切替える。
したがって、複数の排気装置75,76のうち、故障や異常が発生した排気装置75のヘイズ切替えパネル100,101だけが低ヘイズ状態となる。これにより、複数の排気装置のうちどの排気装置に故障や異常が発生したのかが一目でわかるようになり、迅速に故障や異常が発生した排気装置を特定することができる。
この実施の形態では、いずれかの排気装置で故障や異常が発生した場合に、当該排気装置75の制御部91が、制御装置110に対してその旨を通知するようにしたが、これに限らず、制御装置110が所定の時間間隔で各制御部91,92に問い合わせを行い、それに対して各制御部91,92が各排気装置75,76の状態を制御装置110に通知するようにしてもよい。
以上に説明したように、第4の実施の形態において、機器システムは、複数の機器と、各機器の状態を検出可能な制御装置110と、を備え、各機器は、機器本体と、前記機器本体を収容する筐体80と、を有し、前記筐体80は、高ヘイズ状態と低ヘイズ状態とを切替え可能なヘイズ切替えパネル100,101を含み、前記制御装置110は、それぞれの機器の状態に応じて、各機器の前記ヘイズ切替えパネル100,101の高ヘイズ状態と低ヘイズ状態とを切替える。第4の実施の形態によれば、複数の排気装置75,76のうち、故障や異常が発生した機器のヘイズ切替えパネル100,101だけを低ヘイズ状態に切替えることができる。この場合、複数の機器のうちどの機器に故障や異常が発生したのかが一目でわかるようになり、迅速に故障や異常が発生した機器を特定することができる。
(他の実施の形態)
上述した第1〜第4の実施の形態において、機器がコンピュータとして構成されている、及び、機器が排気装置として構成されている例について説明したが、コンピュータや排気装置に限られず、その他の種々の機器、例えば製造装置、加工装置、家電機器等として、機器が構成されるようにしてもよい。このような例においても,機器、並びに、複数の機器を含む機器システムは、上述した作用効果を奏することができる。