JPH09323621A - 払拭装置 - Google Patents

払拭装置

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JPH09323621A
JPH09323621A JP8165251A JP16525196A JPH09323621A JP H09323621 A JPH09323621 A JP H09323621A JP 8165251 A JP8165251 A JP 8165251A JP 16525196 A JP16525196 A JP 16525196A JP H09323621 A JPH09323621 A JP H09323621A
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wiped
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piezoelectric
wiping device
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JP8165251A
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English (en)
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Yasuyoshi Saitou
康善 斎藤
Toshihiko Tani
俊彦 谷
Chiaki Yamada
千秋 山田
Mitsuaki Kato
充明 加藤
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Toyota Central R&D Labs Inc
Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価に製造でき、電力消費が少なくかつコン
パクトである。 【解決手段】 薄膜電極51,52を上下面に形成した
圧電振動板2が変換部材3の上面に接合されている。変
換部材3は一定厚の板体で、その下面に互いに平行に形
成された複数の突条部32が石英ガラス基板1の上面に
接合されている。薄膜電極51,52間へ高周波交流電
圧を印加すると圧電振動板2が板厚方向へ伸縮振動し、
超音波疎密波が突条部32を介して石英ガラス基板1に
入力して、隣り合う突状部間を一波長とする表面弾性波
が石英ガラス基板1上に生じる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被払拭基板上の水
滴等を払拭する払拭装置に関し、特に、被払拭基板に弾
性波を生じさせて払拭作用をなす払拭装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】車両のウインドウガラス等に付着した水
滴や塵の払拭には、従来、機械的なワイパやヒータ線が
使用されているが、前者は機械的構造が大掛かりにな
り、後者は払拭に時間を要するとともに電力消費も大き
い等の問題がある。
【0003】そこで、例えば実開昭63−25658号
公報では、車両サイドミラーの、被払拭基板たるミラー
板を支持するミラーベースの一部に、圧電アクチュエー
タよりなる振動装置を設け、この振動装置によってミラ
ー板全体を機械的に振動させることでミラー面に付着し
た水滴等を除去するものが提案されている(第1従来
例)。
【0004】また、特開平4−15146号公報、特開
平7−223512号公報、特開平7−223513号
公報等には、被払拭基板たるミラーやウインドウガラス
の表面に、櫛形電極と圧電層よりなる表面弾性波(SA
W)発生装置を膜形成して、ミラー面等に表面弾性波を
生じさせることにより水滴等の除去を行うものが示され
ている(第2従来例)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記第1従来
例のようにミラー板全体を機械的に振動させるだけでは
水滴等の除去効率は低く、水滴等を完全に除去するため
には比較的大型の振動装置を設ける必要があって、電力
消費の小さいコンパクトな払拭装置の実現は困難であ
る。
【0006】一方、上記第2従来例のような表面弾性波
発生装置によれば、水滴等の除去を効率的に行うことが
でき、払拭装置のコンパクト化も実現されるが、スパッ
タリング等による櫛形電極や圧電層の膜形成に大掛かり
な製造装置を必要とするため、コストアップが避けられ
ないという問題がある。
【0007】本発明はこのような課題を解決するもの
で、安価に製造され、電力消費が少なくかつコンパクト
でもある払拭装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本第1発明では、被払拭基板(1)上の水滴等を払
拭する払拭装置(E)であって、圧電振動板(2)と、
圧電振動板(2)の両面に形成された電極(51,5
2)と、電極(51,52)間へ高周波交流電圧を印加
して圧電振動板(2)を板厚方向へ伸縮振動させる電源
(62)と、圧電振動板(2)と被払拭基板(1)との
間に介設されて、圧電振動板(2)の伸縮振動を、被払
拭基板(1)の板面方向へ伝達する被払拭基板(1)の
弾性波に変換する変換部材(3,4)とを備えている。
【0009】本第1発明において、圧電振動板の板厚方
向の伸縮振動は、変換部材により被払拭基板をその板面
方向へ伝達する弾性波に変換される。この弾性波は被払
拭基板の表面に付着した水滴や粉塵に至り、これらを流
動、飛散させて被払拭基板上から除去する。圧電振動板
は圧電単結晶や圧電セラミクスから切り出すことにより
製造でき、また、その両面の電極も蒸着等により形成で
きるから、従来のようなスパッタリング等による積層薄
膜の形成は不要であり、簡易かつ安価に払拭装置が実現
される。さらに、被払拭基板に弾性波を発生させて水滴
等を除去するから、除去効率は高く、電力消費の小さい
コンパクトな払拭装置となる。
【0010】本第2発明では、変換部材(3)は板体
で、その上面に圧電振動板(2)が接合されるととも
に、下面には被払拭基板(1)上に生起される表面弾性
波の波長に等しい間隔で複数の突条部(32)が互いに
平行に形成されており、各突条部(32)の端面が被払
拭基板(1)の板面に当接している。
【0011】本第2発明において、圧電振動板が板厚方
向へ伸縮振動すると、この伸縮振動によって変換部材内
に下方へ向かう超音波の疎密波(圧力脈動)が生じる。
超音波疎密波は変換部材下面の突条部に伝達し、突条部
を介して被払拭基板の表面を押し下げ、あるいは引き上
げる。これにより、被払拭基板の表面が波打って、隣り
合う突条部間を一波長とする表面弾性波が発生する。こ
の突条部はエッチング等により簡易に形成される。
【0012】本第3発明では、変換部材(4)は被払拭
基板(1)の板面に当接するブロック体で、被払拭基板
(1)の板面に対して角度θをなして圧電振動板(2)
が接合された傾斜面(4a)を有しており、変換部材
(4)内の超音波縦波速度をvBULK、被払拭基板(1)
上の表面弾性波速度をvSAW として、角度θが
【数2】 に設定されている。
【0013】本第3発明において、圧電振動板が板厚方
向へ伸縮振動すると、これに伴って変換部材内に超音波
の疎密波(圧力脈動)が生じて、被払拭基板の板面に対
して角度(90°−θ)で入力する。これにより、変換
部材の接合面に接する被払拭基板の表面が局部的に押し
下げ、あるいは引き上げられて、超音波疎密波に同期し
た表面弾性波が被払拭基板上に生じる。変換部材は例え
ば直角三角形断面の柱状ブロック体とすることができ、
簡易に製造される。
【0014】本第4発明では、被払拭基板(1)上の水
滴等を払拭する払拭装置(E)であって、圧電振動板
(2)と、圧電振動板(2)の両面に形成された電極
(51,52)と、電極(51,52)間へ高周波交流
電圧を印加して圧電振動板(2)を板厚方向へ伸縮振動
させる電源(62)とを備え、圧電振動板(2)の、被
払拭基板(1)に接する側に、圧電振動板(2)の伸縮
振動を、被払拭基板(1)の板面方向へ伝達する被払拭
基板(1)の弾性波に変換する変換部(22)を形成す
る。
【0015】本第4発明において、圧電振動板の板厚方
向の伸縮振動は、圧電振動板の一部に形成された変換部
により、被払拭基板をその板面方向へ伝達する弾性波に
変換される。本第4発明では、変換部が圧電振動板に一
体に形成されているから、さらに簡易かつ安価に払拭装
置が実現される。
【0016】本第5発明では、圧電振動板(2)の、被
払拭基板(1)に接合された下面に、被払拭基板(1)
上に生起される表面弾性波の波長に等しい間隔で複数の
突条部(22)を互いに平行に形成して変換部とする。
【0017】本第5発明において、圧電振動板が板厚方
向へ伸縮振動すると、突条部を介して被払拭基板の表面
が押し下げ、あるいは引き上げられる。これにより、被
払拭基板の表面が波打って、隣り合う突条部間を一波長
とする表面弾性波が発生する。
【0018】本第6発明では、電源(62)は、被払拭
基板(1)に機械的振動を生起させる低周波交流電圧を
高周波交流電圧に重畳し、当該重畳電圧を電極(51,
52)間へ印加するものである。
【0019】本第6発明において、高周波交流電圧によ
り被払拭基板上に弾性波が生じるとともに、被払拭基板
自体が低周波交流電圧により機械的に振動させられ、こ
れら弾性波と機械的振動の両者によって被払拭基板上に
付着した水滴等がより効果的に除去される。
【0020】本第7発明では、圧電振動板(2)の、被
払拭基板(1)とは反対側の板面に、所定重量の錘り
(7)を接合する。
【0021】本第7発明においては、錘りの慣性力によ
り被払拭基板の機械的振動が助長され、被払拭基板上の
水滴等の除去がさらに効果的になされる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明の
実施形態を説明する。なお、各実施形態中の数値はあく
まで一例であり、これに限定されるものではない。
【0023】(第1実施形態)図1には被払拭基板たる
石英ガラス基板1上に本発明の払拭装置Eを設けた場合
の斜視図を示し、図2にはその垂直断面図を示す。石英
ガラス基板1としては滑らかな平行面を有する一定厚の
ものを使用した。払拭装置Eは矩形のブロック体で、上
半部の圧電振動板2と下半部の変換部材3とより構成さ
れている。本実施形態では圧電振動板2として、ニオブ
酸リチウム(LiNbO3)の単結晶を〔0001〕面で切り
出した、いわゆるZカット板を使用している。圧電振動
板2は図3に示すように、長辺の長さL1 が20mm、短
辺の長さL2 が10mmの長方形の板体で、その上下面に
は全面にAu、Pt等の薄膜電極51,52が形成され
ている。これら薄膜電極51,52は図2に示すよう
に、給電スイッチ61を介して交流電源62に接続され
ており、給電スイッチ61を投入すると電極51,52
間の圧電振動板2に所定周波数の交流電圧が印加され
る。
【0024】本実施形態では、圧電振動板2へ30MH
zの高周波電圧を印加しており、この周波数で圧電振動
板2を共振振動させるために、その板厚L3 を122μ
m としてある。すなわち、ニオブ酸リチウム製圧電振動
板2の周波数定数は3660Hz・mであり、下式
〔1〕により板厚が決定されている。
【0025】周波数定数=機械的共振周波数×板厚
【数3】
【0026】変換部材3は、図4に示すように、長辺の
長さL4 、短辺の長さL5 がそれぞれ上記圧電振動板2
と同一長の長方形板体で、その板厚L6 は1mmである。
変換部材3の材質は基板1と同質の石英ガラス材で、そ
の下面には、短辺に沿って一定間隔L9 で幅L8 の矩形
溝31が多数長辺に平行に延設されている。なお、変換
部材3の材質は被払拭基板1の材質(本実施形態では石
英ガラス)と同一とした方が、被払拭基板1との接着面
における超音波疎密波の反射が小さくなるため有利であ
る。
【0027】矩形溝31の数は図では理解を容易にする
ために4個としてあるが、表面弾性波を有効に生じさせ
るには20〜100個を設けると良い。矩形溝の深さL
7 は100μm としてあり、この深さL7 は、石英ガラ
ス基板1への接着時に接着材が多少入り込んでも埋まら
ない程度の深さとする。また、L8 ,L9 の寸法は共に
53μm としてあり、これは、石英ガラス基板1に生じ
る表面弾性波の半波長に等しい。すなわち、石英ガラス
基板1上の表面弾性波速度は3180m/sであり、周
波数30MHzではその波長λは下式〔2〕で106μ
m と算出される。そこで、その半波長である53μm に
設定する。
【0028】
【数4】
【0029】このような払拭装置を製造するには以下の
手順による。最初に、フォトリソグラフィのリフトオフ
法により、フッ酸をエッチング液として、変換部材3の
下面に矩形溝31を形成する。次に、Zカット板の一面
に薄膜電極52を蒸着にて形成し、この蒸着面を変換部
材3の上面に接着剤で張りつける。その後、機械式研磨
あるいはエッチングにより、Zカット板を所定厚(本実
施形態では既述のように122μm )まで正確に研磨し
て圧電振動板2とする。圧電振動板2の研磨面に蒸着に
よって薄膜電極51を形成し、その後、変換部材3下面
の隣り合う矩形溝31間に位置する突条部32の端面を
水ガラスで石英ガラス基板1上に接着する。
【0030】石英ガラス基板1上に設置された払拭装置
Eの薄膜電極51,52間に、交流電源62から30M
Hzの高周波電界を印加すると、圧電振動板2は板厚方
向(図5の上下方向)へ伸縮振動し、この伸縮振動によ
って変換部材3内に下方へ向かう超音波の疎密波(圧力
脈動)が生じる。超音波疎密波は変換部材2下面の突条
部32に伝達し、突条部32を介して石英ガラス基板1
の表面を局部的に押し下げ、あるいは引き上げる。これ
により、図の鎖線で示すように基板1表面が波うって、
隣り合う突条部32間を一波長(106μm )とする表
面弾性波が発生する。発生した表面弾性波は、図1、図
2の実線矢印で示すように、ほぼ払拭装置Eの長辺の幅
で、短辺の延長方向へ石英ガラス基板1上を伝達する。
そして、この領域内の基板1表面に付着した水滴Lに至
って、これらを励起し、図の右方へ流動させ、あるいは
飛散させることにより、払拭装置Eから距離d(図1)
の範囲内の水滴を除去する。なお、表面弾性波の波長
は、除去すべき水滴径の約半分にするのが良く、このよ
うな波長となるように表面弾性波の周波数、すなわち、
圧電振動板2への高周波電界の周波数(本実施形態では
30MHz)を決定する。
【0031】変換部材3内の超音波疎密波の大部分は石
英ガラス基板1上の表面弾性波に変換されるが、一部は
図2の鎖線で示すように、石英ガラス基板1内を下面に
向けて進行する体積弾性波となる。本実施形態では、石
英ガラス基板1の下面は滑らかな平面となっているか
ら、下面に至った体積弾性波は上方へ反射され、基板1
内で反射を繰り返す。このような体積弾性波によって
も、基板1表面に付着した水滴Lが励起されて、流動、
飛散され、除去される。
【0032】ちなみに発明者等の実験によれば、30M
Hz、2Wの高周波電界を圧電振動板2に印加した場
合、水滴Lが移動して除去される距離dは10cmであっ
た。また、10Wに電界パワーを上げると、水滴Lは移
動するだけではなく、霧化して除去された。
【0033】(第2実施形態)第1実施形態では、圧電
振動板2に30MHzの高周波電界を印加したが、本実
施形態では、これに1kHzの低周波電界を重畳する。
この重畳電界の1kHzの低周波分により圧電振動板2
が伸縮振動すると、この振動は変換部材3を介して石英
ガラス基板1に入力し、石英ガラス基板1を機械的に振
動させる。一方、重畳電界の30MHzの高周波分は上
記第1実施形態で説明したような弾性波を石英ガラス基
板1に生じさせ、この弾性波に上記機械的振動が加わる
ことにより、さらに効果的に付着水滴が除去される。ち
なみに、2Wの重畳電界で圧電振動板2を起振すると、
水滴Lが移動し除去される距離d(図1)は15cmとな
った。なお、低周波の周波数は1kHzに限られるもの
ではなく、石英ガラス基板1に効率的に機械的振動を生
じさせる周波数を適宜選択することができる。
【0034】(第3実施形態)第2実施形態における3
0MHzと1kHzの重畳電界を圧電振動板2に印加す
る際に、図6に示すように、圧電振動板2上に錘り7を
接合しておくと、より効果がある。この錘り7の重量は
石英ガラス基板1の重量との兼ね合いで最適値を選択す
る必要があるが、例えば100gの錘り7を接合して、
2Wの重畳電界を圧電振動板2に印加した場合、水滴L
が移動し除去される距離d(図1)は20cmにまで延び
た。これは錘り7の慣性力により石英ガラス基板1の機
械的振動が助長されることによるものである。
【0035】(第4実施形態)本実施形態では圧電振動
板2の伸縮振動を石英ガラス基板1の弾性波に変換する
ための変換部を、圧電振動板2自身の一部に形成してい
る。すなわち、図7において、ニオブ酸リチウムのZカ
ット板よりなる圧電振動板2は板厚L10が122μm と
してあり、下面には一定間隔L12で幅L11の矩形溝21
が多数(図では4個であるが実際には20〜100個と
する)形成されて変換部となっている。L11,L12の寸
法は共に同一で、基板表面に生じる弾性波の半波長であ
る53μm としてあり、矩形溝21の深さL13は接着剤
によって埋まらない程度の20μm としてある。圧電振
動板2の上面と、隣り合う矩形溝21間に位置する突条
部22の下面とにはそれぞれ薄膜電極51,52が形成
されており、薄膜電極52を形成した各突条部22の端
面が直接石英ガラス基板1の表面に接着されている。な
お、各矩形溝21の一端は圧電振動板2下面のいずれか
の側縁(紙面垂直方向)で閉塞されており、この部分で
各突条部22端面の薄膜電極52が互いに導通してい
る。
【0036】このような構造の払拭装置を製造するに
は、Zカット板の一面に蒸着で薄膜電極51を形成し、
この蒸着面を補強用の石英ガラス(図示略)に接着した
後、機械的研磨等によりZカット板を122μm まで研
磨して圧電振動板2とする。そして、研磨面に、フォト
リソグラフィのリフトオフ法により、フッ酸をエッチン
グ液として矩形溝21を形成し、この時マスク膜として
使用した金属膜をそのまま薄膜電極52として使用す
る。この後、薄膜電極52の形成面を水ガラスで石英ガ
ラス基板1の板面に接着する。なお、補強用の石英ガラ
スは機械式研磨等によって除去する。
【0037】薄膜電極51,52間に第1実施形態と同
様の30MHzの高周波電界を印加すると、圧電振動板
2は板厚方向へ伸縮振動し、突条部22を介して石英ガ
ラス基板1の表面を局部的に押し下げ、あるいは引き上
げる。これにより、基板1表面が波打って、隣り合う突
条部22間を一波長(106μm )とする表面弾性波が
発生する。
【0038】発明者等の実験では、30MHz、2Wの
高周波電界を圧電振動板2に印加した場合、水滴が移動
して除去された距離d(図1)は第1実施形態と同様の
10cmであった。
【0039】なお、圧電振動板2に第2実施形態と同様
の30MHzと1kHzの重畳電界を印加しても良い。
例えば2Wの重畳電界を印加すると、水滴が移動し除去
される距離d(図1)は第2実施形態と同様の15cmで
あった。
【0040】(第5実施形態)第4実施形態で説明した
払拭装置Eの圧電振動板2上に、図8に示すように、第
3実施形態におけるような錘り7を接合し、このような
圧電振動板2に重畳電界を印加すると、錘り7の慣性力
によって石英ガラス基板1の機械的振動が助長されて、
水滴の移動除去がさらに効果的になされる。発明者等の
実験では、100gの錘り7を接合して、第4実施形態
と同様の2Wの重畳電界を印加した場合、水滴が移動し
除去された距離d(図1)は20cmであった。なお、錘
り7として、払拭装置Eの製造時に使用する補強用の石
英ガラスを、除去することなくそのまま利用すれば、特
別に錘りを準備する必要がない。
【0041】(第6実施形態)図9には変換部材の他の
例を示す。図において、変換部材4は直角三角形の断面
を有する角柱ブロック体で、材質はポリスチレンであ
る。この変換部材4は最長側面で石英ガラス基板1の板
面に接合されるとともに、変換部材4の残る側面の一方
4a(図10)には、第1実施形態で説明したのと同一
の、両面に薄膜電極51,52を蒸着したニオブ酸リチ
ウムZカット板の圧電振動板2が接合されている。圧電
振動板2は第1実施形態で説明したような、長辺20m
m、短辺10mm、板厚122μm の板体である。
【0042】圧電振動板2を接合した変換部材4の側面
4aは、石英ガラス基板1の板面に対して角度θで傾斜
している。この角度θは、変換部材4内の超音波縦波速
度vBULKが2340m/sであり、石英ガラス基板1上
の表面弾性波速度vSAW が既述のように3180m/s
であることから、下式〔3〕で算出される47.4°に
設定されている。この角度θ、速度vBULK,vSAW の関
係を図11に示す。
【0043】
【数5】
【0044】このような構造の払拭装置Eの薄膜電極5
1,52間に、給電スイッチ61(図9)を介して交流
電源62から30MHzの高周波電圧を印加すると、圧
電振動板2は板厚方向へ伸縮振動し、これに伴って変換
部材4内に超音波の疎密波(圧力脈動)が生じて、石英
ガラス基板1の板面に対して角度(90°−θ)(図1
1参照)で順次入力する。これにより、変換部材4の接
合面に接する石英ガラス基板1の表面が局部的に押し下
げ、あるいは引き上げられ、図10の鎖線で示すよう
に、30MHzの超音波に同期して進行する表面弾性波
が石英ガラス基板上に生じる。
【0045】発明者等の実験によると、30MHz、2
Wの高周波電界を圧電振動板2に印加した場合、水滴L
が移動して除去される距離d(図1)は第1実施形態と
同様の10cmであった。
【0046】なお、圧電振動板2に、第2実施形態と同
様の30MHzと1kHzの重畳電界を印加しても良
い。この場合、1kHzの電界による圧電振動板2の板
厚方向の低周波振動は、変換部材4を介して石英ガラス
基板1に入力してこれを機械的に振動させる。この機械
的振動と30MHzの高周波電界により生じる表面弾性
波とによって、2Wの重畳電界を印加した場合に石英ガ
ラス基板1上の水滴が移動し除去される距離d(図1)
は第2実施形態と同様の15cmにまで延びる。
【0047】(第7実施形態)第6実施形態の圧電振動
板2上に、図12に示すように錘り7を接合しても良
い。この状態で30MHzと1kHzの重畳電界を圧電
振動板2に印加すると、錘り7の慣性力によって石英ガ
ラス基板1の低周波の機械的振動が助長され、高周波の
表面弾性波と相まって、石英ガラス基板1上の水滴をよ
り効果的に移動除去できる。発明者等の実験によると、
100gの錘り7を設けて、2Wの重畳電界を圧電振動
板2に印加すると、水滴Lが移動し除去される距離d
(図1)は第3実施形態と同様の20cmとなる。
【0048】(他の実施形態)第1実施形態〜第5実施
形態における突条部22,32と矩形溝21,31の幅
寸法L12,L9 とL11,L8 は、既に説明したような同
寸法にすると表面弾性波の発生効率が最も良いが、少な
くとも突条部22,32の形成周期を表面弾性波の波長
と等しくしておけば、寸法L12,L9 とL11,L8 を必
ずしも同一としなくても表面弾性波を発生させることが
できる。
【0049】第6実施形態および第7実施形態における
変換部材4の材質は、これを伝達する超音波疎密波の縦
波速度vBULKが、石英ガラス基板1上の表面弾性波速度
vSAW よりも遅いものであれば良く(式〔3〕を参
照)、上記ポリスチレン以外にポリイミド、ポリビニル
クロライド、ベークライト等の樹脂系のものが使用でき
る。また、変換部材4は、既述のような直角三角形断面
にすると超音波疎密波が伝達する上で最も無駄がない
が、石英ガラス基板1に対して圧電振動板2を角度θで
支持する傾斜面を有する断面形状であれば、必ずしも直
角三角形断面に限定されるものではない。
【0050】上記各実施形態において、圧電振動板2と
しては、ニオブ酸リチウム以外に、水晶やタンタル酸リ
チウム(LiTaO3)等の単結晶を使用でき、また、ジルコ
ン酸チタン酸鉛やチタン酸バリウム等の圧電セラミクス
を使用することもできる。
【0051】上記各実施形態では被払拭基板を石英ガラ
ス基板としたが、これに限られるものではない。
【0052】
【発明の効果】以上のように、本発明の払拭装置は、被
払拭基板上の水滴等を効果的に除去できるとともに、製
造簡易かつ安価で、電力消費が小さくかつコンパクトな
ものであり、車両用窓や各種機器の観察窓等の払拭に広
く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における、払拭装置を設
けた石英ガラス基板の破断斜視図である。
【図2】図1のII-II 線に沿った垂直断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態における、圧電振動板の
斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態における、変換部材の斜
視図である。
【図5】本発明の第1実施形態における、払拭装置の垂
直断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態における、払拭装置の垂
直断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態における、払拭装置の垂
直断面図である。
【図8】本発明の第5実施形態における、払拭装置の垂
直断面図である。
【図9】本発明の第6実施形態における、払拭装置を設
けた石英ガラス基板の部分拡大断面図である。
【図10】本発明の第6実施形態における、払拭装置の
垂直断面図である。
【図11】本発明の第6実施形態における、角度と速度
の関係を示す説明図である。
【図12】本発明の第7実施形態における、払拭装置の
垂直断面図である。
【符号の説明】
1…石英ガラス基板、2…圧電振動板、22…突条部、
3…変換部材、32…突条部、4…変換部材、4a…側
面、51,52…薄膜電極、62…電源、E…払拭装
置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷 俊彦 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 山田 千秋 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内 (72)発明者 加藤 充明 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被払拭基板(1)上の水滴等を払拭する
    払拭装置(E)であって、 圧電振動板(2)と、 前記圧電振動板(2)の両面に形成された電極(51,
    52)と、 前記電極(51,52)間へ高周波交流電圧を印加して
    前記圧電振動板(2)を板厚方向へ伸縮振動させる電源
    (62)と、 前記圧電振動板(2)と前記被払拭基板(1)との間に
    介設されて、前記圧電振動板(2)の伸縮振動を、前記
    被払拭基板(1)の板面方向へ伝達する前記被払拭基板
    (1)の弾性波に変換する変換部材(3,4)とを備え
    ることを特徴とする払拭装置。
  2. 【請求項2】 前記変換部材(3)は板体で、その上面
    に前記圧電振動板(2)が接合されるとともに、下面に
    は前記被払拭基板(1)上に生起される表面弾性波の波
    長に等しい間隔で複数の突条部(32)が互いに平行に
    形成されており、前記各突条部(32)の端面が前記被
    払拭基板(1)の板面に当接している請求項1に記載の
    払拭装置。
  3. 【請求項3】 前記変換部材(4)は前記被払拭基板
    (1)の板面に当接するブロック体で、前記被払拭基板
    (1)の板面に対して角度θをなして前記圧電振動板
    (2)が接合された傾斜面(4a)を有しており、前記
    変換部材(4)内の超音波縦波速度をvBULK、前記被払
    拭基板(1)上の表面弾性波速度をvSAWとして、前記
    角度θが 【数1】 に設定されている請求項1に記載の払拭装置。
  4. 【請求項4】 被払拭基板(1)上の水滴等を払拭する
    払拭装置(E)であって、 圧電振動板(2)と、 前記圧電振動板(2)の両面に形成された電極(51,
    52)と、 前記電極(51,52)間へ高周波交流電圧を印加して
    前記圧電振動板(2)を板厚方向へ伸縮振動させる電源
    (62)とを備え、 前記圧電振動板(2)の、前記被払拭基板(1)に接す
    る側に、前記圧電振動板(2)の伸縮振動を、前記被払
    拭基板(1)の板面方向へ伝達する前記被払拭基板
    (1)の弾性波に変換する変換部(22)を形成したこ
    とを特徴とする払拭装置。
  5. 【請求項5】 前記圧電振動板(2)の、前記被払拭基
    板(1)に接合された下面に、前記被払拭基板(1)上
    に生起される表面弾性波の波長に等しい間隔で複数の突
    条部(22)を互いに平行に形成して前記変換部とした
    請求項4に記載の払拭装置。
  6. 【請求項6】 前記電源(62)は、前記被払拭基板
    (1)に機械的振動を生起させる低周波交流電圧を前記
    高周波交流電圧に重畳し、当該重畳電圧を前記電極(5
    1,52)間へ印加するものである請求項1ないし5の
    いずれか一つに記載の払拭装置。
  7. 【請求項7】 前記圧電振動板(2)の、前記被払拭基
    板(1)とは反対側の板面に、所定重量の錘り(7)を
    接合した請求項6に記載の払拭装置。
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